ルビのテストですからエロくないですよ? |
作者: さく 2016/01/12(火) 22:52公開 ID:07jMMzMFwow |
「 そう、ろれつの回らない口調で彼女は懇願した。 「そんな事いっても、ここまで来てそりゃないだろ?」 俺は呆れ半分、意地悪半分でそう言う。 「 彼女が言い終わらない内に、無情にも入り口に手をかける。 その手を彼女は、制止して懇願する。 「 上目遣いで、やや涙目の彼女にドキリとする。 アルコールのせいか、紅く上気した顔は何ともなまめかしい。 少し決心がグラつきそうになるが、自分の当初の目的を思い出す。 「だめだ。入るぞ。」 冷たく言い放ち、入り口から侵入… できなかった。 「こ、これほどとは…。」 俺は喉をゴクリとならした。 1Kの彼女の家は入り口から既に足の踏み場がなかった。 玄関には靴が無造作に脱ぎ捨てられ散乱。 ビニールに包まれたゴミのせいで、玄関と廊下の境界すら曖昧だ。 キッチンもしばらく使ってないのか、カルキの白さがシンクにこびりついていた。 せめてもの救いは、生ごみが放置されていない事くらいか。 「 彼女は入り口でへたり込んで泣いてしまった。 「あーあー、みっともない、なくなよ。元々散らかってると聞いてたし、俺、掃除得意だからって来たんじゃないか。」 更に続ける。 「それにな、遅かれ早かれバレるっつーの。大体さ、その…なんだ、そろそろ身を固めないと…だしな…」 最後の方はなんかモゴモゴとなってしまい、俺、なんかカッコわりいと思う。 「え?」 彼女がキョトンとしている。 「あーもう、俺はもうお前と結婚するつもりなんだから気にすんなって、うわっ」 彼女が飛びついてきてそのまま倒れ込む。 ゴミの入ったビニールがクッションとなり、痛くはないが、なんだか複雑だ。 彼女の頭をなでて、ポンポンと背中を叩く。 「まあ、お前が嫌だといったら諦め…」 俺の言葉は彼女の口でふさがれた。 嫌なわけ無いでしょう?という、彼女の返事なのだろう。 …しかし、どっから手を付けるかなぁ… と、難攻不落の彼女のゴミの城攻略を考え始める。 少しため息がでたが、そのまま安心して果ててしまった彼女を抱きながら、 「まあ、なるようになるだろ」 と、ゴミ袋をベッドがわりに天井を見上げた。 |
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