テストver:樹氷の悲劇 |
作者: マスカレイド 2014/03/16(日) 18:00公開 ID:8YA7Hr6Ij6Y |
『兄さん!!しっかりしてくれ!!』 赤い肌の若き竜人は叫ぶ。 『許せ、弟よ……お前ではあの術を施せば、身体が滅んでしまうのだ……』 竜人の兄である偉丈夫は恐ろしく変わり行く体と薄れる精神を気にかけながら、続ける。 『さぁ、お前たち、私が私で無くなる前に、止め……ガアァ…………!!!』 言い終わらぬうちに、偉丈夫は白目をむき、苦痛にうちひしがれながら、 漆黒の巨竜へと成り果ててしまった。 『ルギウス様!もう駄目です!御下がり下さい!!』 氷状の突起が身体に生えた蒼き武人が竜人を背に、槍を怪物に向ける。 『アルゴ!!そうはいくか!すでに理性のない兄さんでは誰であろうと止められない! ならばいっそ弟として私が……!』 身を乗り出す竜人、ルギウスだが、二人の人物に取り押さえられてしまう。 『お止めください、ルギウス様!!あのお方が暴走された以上、貴方にまで災禍が及んでは……』 『そうですぜ!ジュヒョウの国はどうなるんですか!?』 『ヴェーラ、ホゲイラ!』 豹人の美女、ヴェーラと、白鯨の格闘家、ホゲイラにそのまま城から出され、 ヴェーラと二人、控えていた者達にルギウスを託し、ホゲイラは再び城内へ突入する。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 『なんとか、取り抑えました。』 軽く頭を下げるアルゴとホゲイラを労うルギウス。 『よくやってくれた。いや、よく無事で居てくれた。ありがとう……』 己の不甲斐なさと彼らの生還に涙を流しながら、彼は地底の牢獄へ兄を封じる為、 城内へ向かっていった…… ーーーーーーーーーーーーーーー 事件の後、彼らは自室でそれぞれの思いにかられていた。 『なんと言うことじゃ……予言に勝つために見つけた対策こそが…… 予言を実現させてしまうとは……』 ローブを着た魔術師の老人、サイフォンは失意の表情を浮かべる。 『よしてくれ、じいさん!!オレがあの禁呪を二人に教えなけりゃアァ!!』 サイフォンを慰めるようにホゲイラは号泣する。 ……と不意にノックが彼らの部屋に響く。 『失礼します。皆様、ルギウス様からお話があるそうです。』 顔色の悪い執事、セバスチャンから召集をかけられた彼らは会議室に集まる。 『お前たち、まだ兄さんは終らない。』 『と、申しますと?……!まさか……!!』 ヴェーラが察したように伺う脇で、ルギウスは静かに頷く。 『ああ、今から400年後、人間達と四百年に一度の『星降りの大会レジェンド』で勝ち、 奇跡の鉱物、精霊石を手に入れる!』 精霊石、それは一部の国々が、国の平和を保つために四年に一度の大会で賞品とする宝石だ。 その秘めたる奇跡の力であれば、変わり果てた兄を戻すことも可能なのではないか、 そう考えた彼らは僅かながらも希望を見出だし、来るべき時に備え、 ただひたすら鍛練に打ち込んだのであった…… ジュヒョウの運命やいかに……? |
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