神人類帝国の黄昏
第1話 皇帝ヤーニスと聖女エレーヌ 静やかな音色の音楽が流れる部屋の中で、それとは異なるさえずりが響いている。
「んっ…あ…ああ…いい…いいッ…」
「…ほう、この程度でもう音を上げるのかそなたは?」
「あ…あああ〜〜……も、もう許してっ……もう…もうダメ…」
自分の秘所に半分ほど埋没した肉の槍がもたらす感覚に、ベッドの上の女は犯されていた事も忘れて快楽を認める言葉を紡ぎ出した。
「ククク…情けない声だのうエレーヌよ、そのような様で皇帝たるこのワシに逆らおうとしたのか、ん?」
「くっ……あ!あああっ…ああああああ〜〜〜〜〜〜……」
自分をなぶる言葉に一瞬反撥の表情を浮かべた女であったが、同時に自分の肉体の中心…女の蜜壷の奥で激しく蠢く牡の逸物の力によって喘ぎ声を洩らしてしまう。
「ほうれ、ほうれ…こうするとどうじゃの…?」
老境に入っているとは思えないほど張りのある逞しい身体を誇る男、神人類帝国皇帝ヤーニスにその身を串刺しにされて悶えている女…反帝国組織『聖女連合』の指導者エレーヌの瞳は恍惚とした快楽の光を放ちながら、それと同時に絶望の涙をあふれさせていた。
人類世界を彼ら『神人類帝国』が支配するようになってどれ程になるのか…
現在ではそれを知る者は実質存在しないと言われている。
いずれにしても今の世界は彼ら『神人類一族』によって支配され、その意志に逆らう者たちは容赦なく弾圧あるいは殺戮の対象となっていた。
無論のことそれに反旗を翻す者は大勢存在したが、その殆んどは神人類一族の力の前に敗退していったのである。
そんな中にあって帝国に唯一対抗する事が可能な勢力が存在した。
善なる女神アイシスに選ばれ、奇跡を起こす力を与えられた『聖女』たちを中心にした『聖女連合』である。
聖女たちは女神の洗礼を受け、人々の先頭に立って戦って来た。
そして近年の聖女たちの中で最も優れた力と指導力を備えたと言われる聖女エレーヌとその同志たちは、激しい戦いの末に神人類帝国の首都であり王城でもある天空都市コンフリクトに突入、神人類帝国の支配者・皇帝ヤーニスとその皇子たちに決戦を挑んだ末に……敗北したのである。
皇帝とその息子たちに果敢に挑んだ聖女たちであったが、女神から授かった奇跡の力も彼ら『神人類』の前には無力でしかなかった。
次々と打ちのめされ捕えられる仲間たちにエレーヌは心の中で詫びながら、刺し違える覚悟でヤーニスに突進して行き…そして彼女も倒されてしまったのだった。
再び彼女が意識を取り戻した時は、皇帝ヤーニスの寝室の上に手足を縛られて寝かされた状態であった。
必死になって抗おうとするも、自分の手足を拘束する皇帝の『力』の前には無力だった。
衣服を全てはぎとられ、皇帝の巧みな愛撫に翻弄されるうちにエレーヌの身体と心は次第にヤーニスに屈し始める。
汗ばむうなじを、美しい形の乳房を、そしてかつて愛したただ一人の男以外は誰にも許したことがない女の聖域までもが憎むべき皇帝の指と舌先によってとろかされていく…
懸命になって自分の心と体を律しようと試みたエレーヌであったが、身体の自由が利かぬまま男によって感じさせられ羽根のように開かれた両足の間に皇帝の剛直を見た時、心の中に絶望の二文字を意識せずにはいられなかった。
そのまま皇帝はゆっくりと嬲るようにエレーヌの秘所を貫き、その雄々しい肉の剣で自分に刃向かった女を成敗し始めたのである。
そのおぞましくも心地よい感触によってエレーヌは狂いそうなまでの悲嘆と快楽に翻弄されていった。
(ダメ…ダメよ、この男によって例え身体は穢されようと心まで屈してしまっては…)
皇帝の目的が自分を凌辱する事だけではなく、意のままに従えることでその姿を敵対する諸勢力に見せつけてその反抗心を弱める事にあると考えたエレーヌは、必死の思いで意志を保とうと務めた。
しかしそんなエレーヌの努力を無視するかのように皇帝の太い肉剣は女体の奥深くを自在に突き、あるいは斬り伏せて行く。
その力強く巧みな剣技の前に、必死に保っていた女の自我は儚くも崩れようとしていた…
「ああ…あっ! あああ!…だめ…お願いだから…もう……もうダメ……」
悠々と自分の花芯を蹂躙する牡の力の前に、エレーヌの理性はあまりにも非力であった。
「だめぇ…もう…もうだめ…ああっ!」
ぴちゃぴちゃと音を立てて自分の花蜜が秘処から溢れ出るのを自覚するエレーヌは、自分の身体を支配している男に全てを委ねてしまいたいという思いが心の奥から湧き出るのを止める事が出来なくなっていた。
(もう…ダメ、ごめんなさい…あなた…ジュリア…)
快楽によって支配された心の中で僅かに残った理性が亡き夫と一人娘にそう告げる。
そしてそれがエレーヌの最後の抵抗であった…
「ほう、ようやくこのワシを受け入れる覚悟が出来たか…ならば情けをくれてやろう!」
女の心が抵抗を諦めたと察した皇帝が最後のトドメを刺そうとこれまでにない激しい動きでエレーヌの身体を責め始める。
「ひっ…ひいいいっ……ダメッ! こんなの…ああいやあ〜〜〜〜〜!!!」
「そら!思いきり逝くがいい、喜びの彼方へとな!」
そう言って一際強くねじるように突き入れた皇帝の剛直の前についにエレーヌは敗北を認めた。
「ああ〜〜〜、もうっ…もうダメ! イク……イキますっ!! ああああ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
「ほおう、良い締め付けだ…ならばこれを与えてやろう!!」
あられもなく絶頂へと駆け上がるエレーヌの中に皇帝ヤーニスが精液を放つ。
「ひいっ!!ダメ!!ダメよそれは〜〜〜ッ ああ…イク!イキますあなたぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
自分の秘奥に激しい勢いでほとばしる皇帝の精を感じたエレーヌは、絶頂と敗北の叫びと共に意識を手放すのだった。
「フ…他愛もない。 この程度でもう力尽きるとはの」
絶頂の果てに気を失ったエレーヌの美しく艶かしい肢体を鑑賞しながら、皇帝ヤーニスは酷薄な呟きを漏らす…
皇帝にとって反乱勢力との戦いは全て予定調和の結果に過ぎず、そのつまらない『作業』の対価として得られる娯楽にこそ価値があった。
だからこそ目の前の女には存分に楽しませてもらわなくてはならないが、こうもあっけなく陥落してしまっては面白みに欠けるというものだと彼は考えていた。
「我が皇子たちに分け与えた女たちを今更召し上げるというのも皇帝としてはいささか見識に欠ける行いであろうしな…さて、どうすればこの女をさらに啼かせる事が出来るであろうかの…?」
凌辱に負け、力尽きて眠るエレーヌはまだ知らない…
自分にとって本当に悲嘆に暮れる運命はこれからが始まりなのだという事を。
次話に続く