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アウターゾーン リターンズ
HUNTING WARBIRDS
(アウターゾーン)
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ダリル・グリネマイヤー、ゲーリー・ラーキンズ、そしてウォルター・ソプラータに捧ぐ。

ボイド・ロイガーはエア・パイレーツと呼称する仲間たちを率いてカリブ海を航行していた。
貨物船オリビア号を借り切っての航海である。
アイダホのジャガイモ成金、アル・シモンズがスポンサーだった。
ボイドとパイレーツはシモンズに雇われ、ある宝物を探し出して回収するための旅の途中だった。
行く手に待ち受ける冒険に思いを馳せるとき、ボイドの心は少年のように高鳴るのだった。
パイレーツの連中が騒いでいた。
やたらとエキサイトしている男たちを掻き分けて船首に立つと、前方の海面にゴムボートが漂流しているのが見えた。
ゴムボートには女が乗っていた。
ウエーブのかかった緑の髪が潮風に靡いていた。
美人だった。
ナイスバディだった。
そして全裸だった。
正確にはオレンジ色のライフジャケットを纏ってはいたが、それ以外は服も下着も、水着すらも身につけてはいなかった。
ボイドは船をゴムボートに近づけるよう船長に怒鳴った。

ボイドは救助した女を自分の船室で休ませた。
ミザリィと名乗った女はことの顛末を語りはじめた。
ラルフ・ドーマーと名乗る男にマナグアのビーチで声をかけられた。
フロリダの不動産業者とのことだった。
ドーマーの目は、黒のマイクロビキニに包まれたミザリィの美乳と桃尻の間を、ブライトリングのクロノグラフ並みの正確さで行き来していた。
ドーマーは下心丸出しの顔で自分のボートで沖に出ないかと誘った。
ミザリィは拒まなかった。
海岸から充分離れると、ドーマは獣欲を剥き出しにした。
ミザリィは素直に身をまかせた。
垢抜けない男との垢抜けないセックスもたまにはいいかと思っていた。
だが、ドーマのボートに接近する船があった。
第二次世界大戦の魚雷艇、エルコ80フィート型改造の高速艇だった。
スキンヘッドの黒人が舵輪を握っていた。
マッチョな黒人は見事な操船でボートの船腹にぴたりと寄せた。
ドーマーは高速艇の接舷に気付かなかった。
キャビンでミザリィのフェラチオ奉仕を受け、天井を向いて間抜け面を晒していた。
キャビンのドアが蹴り開けられた。
乗り込んできたのはドーマーの女房だった。
火炎放射器を背負っていた。
ノズルの先端で炎が舌なめずりしていた。
ミザリィの口の中で、ドーマーのモノが急速に萎えていった。
ドーマーは腰を浮かせた。
ミザリィの唇から、すっかり意気地の無くなった男根が引き抜かれた。
床を向いた男根の先から、ミザリィの唾液が糸を引いて滴った。
女房が吼えた。
悪鬼の形相だった。
「待て、話せばわかる!」
ドーマーが悲鳴をあげた。
女房がトリガーを絞った。
炎がキャビンを舐めた。
ミザリィは船窓から海に飛び込んだ。
深く潜ってボートから離れ、海面に顔を出すとボートが大爆発を起こすのが見えた。
魚雷艇は遁走していた。
ボートの破片や備品がバラバラと降り注いだ。
ミザリィはゴムボートを膨らませ、裸にライフジャケットを羽織ると、潮の流れに身を任せた。

「死ぬかとおもったわ」
ミザリィは心底可笑しそうに笑った。
「ところで貴方がたは何者なのかしら?」
色あせた革張りのソファーの上で脚を組んだ。
今はボイドから借りた男物のシャツとズボンを身につけている。
勿論ノーブラ、ノーパンだった。
サイズの合わない服を着ていても、男を挑発する淫靡なボディラインは少しも隠せてはいなかった。
ボイドは咳払いをした。
自分たちは航空機引き揚げ業者だと言った。
専門は第二次世界大戦期の軍用機であると。
合衆国において第二次大戦機は、近年もっとも成長著しいサブカルチャーだった。
戦争中に何千何万という規模で生産された各種軍用機は、終戦とともに二足三文で処分された。
多くはクズ鉄として溶鉱炉に投げ込まれた。
僅かに生き残った機体も誰の興味も引かず、野ざらしのまま朽ち果てていった。

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