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アウターゾーン リターンズ
サロン 美沙里
(アウターゾーン)
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夜の繁華街を連れ立って歩く二人の男。
一人は四十代後半から五十代前半、もう一人は十代後半から三十代前半なら何歳でも通用しそうな顔である。
両者に共通しているのは一見してあまり裕福な暮らしはしていないと分かる身なりだろう。
「出戻よ、その女店長というのはそんなに凄い美人なのか?」
「この世のモノとは思えん」
「むぅ〜ワシはみなぎってきた!」
それを聞いて鼻息を荒くする中年は小久保のおっさん。
若い方の名は出戻始という。
二人は同じアパートの隣室同士で、出戻はフリーター、小久保はセックスコンサルタントという怪しげな仕事を生業としている。
その夜はどこに就職しても必ずクビになるか仕事先の方がダメになるという、疫病神に取り付かれているのか自身が疫病神なのかよく分からない出戻が、久し振りにいい勤め先であるという酒場の店主が大美人だと聞き、ゼヒお近づきになりたいという小久保のおっさんを店に連れて行くところなのであった。
出戻の先導で二人はドンドン灯りの少ない寂れた街区へと進んでいく。
「おい出戻よ、ホントにこの道でいいのか?」
「大丈夫大丈夫、間違いない」
などといってる間にもますます闇は深くなり、いまや足元もおぼつかない。
「あった、あれがオレの勤め先」
出戻の指差す先にその店はあった。

サロン「美沙里」

「サロン“びしゃさと”?」
「“ミザリ”だよおっさん、店長の名前」
「そうかそうか、いや名前からしてせくしぃじゃの〜」
無駄に高ぶるエロ中年。

小久保を引き連れ店に入ると、店内には誰もいなかった。
「おい、大美人はどうした大美人は?」
リビドーが暴走気味の小久保は出戻を揺さぶる。
「ハテ?この時間はもう店に出ているはず…」
小久保を引き剥がした出戻が店内を見回していると、二階からなんとも艶っぽい声が聞こえる。
「出戻さん?ちょっと来てくれるかしら」
言われるままに階段を上る出戻、あとから小久保もくっついていく。
「こっちよ」
声に誘われドアを開ける。
一歩足を踏み入れたところで凍りつく二人。
部屋の中にはミザリィがいた。
いたのはいいが素っ裸だった。
「ごめんなさい、シャワーを浴びていたら声が聞こえたものだから」
輝くばかりの裸身に見とれ案山子のように立ち尽くす出戻始。
「うわ〜全裸だ全裸だ」
小久保は興奮のあまり出戻の首に両手をかけギュウギュウと締めあげている。
振り向いた拍子にボリュウム満点の二つの果実がたゆんと揺れた。
「あら、そちらの方は?」
小久保に向かって妖艶に微笑むミザリィ。
「ど、どうも。自分は出戻クンの大親友の小久保であります、ハイ」
何故か軍隊口調になっている。
「それでご用件は?」
ようやく立ち直った出戻が尋ねる。
「あれの始末を頼みたいの」
見ればベッドの上で顔面をグシャグシャにした男が大の字になっている。
ちなみにこちらも全裸だった。
「む〜こっちの全裸は嬉しくない」
眉をひそめる小久保のおっさん。
「こちらの御方は?」
「今日最初のお客よ」
出戻の問いにミザリィは肩を竦めた。
「最初から私のカラダを舐めるように見ていたの、しばらくは大人しく飲んでたんだけどいきなり銃を突きつけて言うことを聞かないと殺すって」
なるほど男の右手には拳銃の残骸が握られている。
かろうじて原型を留めているグリップの形から察するに、西部開拓時代に使われたコルト社製の六連発のようだ。


[挿絵1]


「寝室に案内させると裸になれと言ってしたい放題」
「したい放題!」
全裸のミザリィが後ろから前からナニされて悶える姿を想像し、小久保は激しく興奮する。
「ナニが終わると私を撃ち殺そうとしたんだけど、銃が暴発して撃ったほうが死んじゃったの」
「おいたわしや」
顔面に蓮根形のシリンダーをメリ込ませて息絶えた男に向かって合唱する出戻。
「ワシは…ワシは…」
ピンク色の妄想に没入した小久保はうわ言をつぶやきながら激しく腰をシェイクしている。

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