神話における世界創造。

 

 マナに魔力が干渉し、窮極なる1を形成していたマナが、細分化され今の世界になったというのは前々から魔法等の設定などの方面で語っていたとおり。

 

『大いなるマナ、母なるマナは、魔力によって歪められ、我等、魔の墜とし児たる生き物を生み出され、我等の世界たる現実を御作りになられた。嗚呼、悲しき かな。我等は、母を煩わせるいらない子供に過ぎず、我等は邪魔者。世界の歪みそのもの』

 

 上記の一説はウンザンブル教(仮)の聖書の冒頭部分に書かれている一説から抜粋したものである。

 これによって分かるとおり、ウンザンブル教は魔力の歪みによって生まれたこの世界全てが邪悪な存在であると語り、また、神を敬う立場にある自分たち人間 も、ただの邪魔者であると語っている。

 大いなるマナ、母なるマナ。この言葉からも分かるように、つまりは、原初のマナを唯一神のように崇めている節が在るのだ。

 この聖書自体があまりに古くから伝えられているもの故に、どうして『世界を形作る原子のようなマナ』を神のように崇めているのかは定かではないが、古代 の人々はまず間違いなく、マナを人の姿をし、知性を持った唯一神として崇めていたと言い切れるだろう。また、その傾向は、今のウンザンブル教にも十二分に 見られるとここに記述しておく。

 神話における世界創造は決して喜ばしいものではなく、むしろ憎むべき、忌むべき出来事だったというべきだろう。つまりは、ウンザンブル教は『世界は一か ら派生したものであり、一こそが完全であり、完璧であり、一番矛盾の無い清らかなるものである』と、仮定している節があるのだ。要するに『世界=運命共同 体』と言った感じだろうか?

 

エーテルに関する記述。

 

 神話におけるエーテルは、現在の魔術論に見られるような単なるマナを編むための道具のような感覚ではなく、酷く神聖で、不可侵のものだとしている。魔科 学を教会関係者などが良く想わないのは、このエーテルを冒涜していると想っている節が在るためでもあったりするのだが、それは別の場所で語るとする。

 

『我等は邪悪なる存在、我等は許されざる混沌。許されざる子供たち。去れども、母なるマナは慈悲深く。母なるマナは我等を救い給う。母は我等に一本の木を 授けられた。それは大いなる、大いなる大樹。泉のほとりに母は『ユグドラシル』を授けられた。そして、其処に母は大いなる『Fates−フェイツ−(運命 の選定者たる女神たち)』の中から、その中でも秀でたる、マナの化身たる『NORNS−ノールス−の四姉妹』を其処に造り給う、授け給う。嗚呼、慈悲深き 我等が母君大いなるマナ、母なるマナ。その化身たるノールスのエルタ、ヴェルザンディ、スクルド、アリアンロード。我等は彼女らの慈悲の元、我等は彼女ら の愛の元。慎み深く生き給う。彼女らの恩を忘れるなかれ。彼女らは我等にエーテルを。聖なる魂の力を授けてくださった者達ぞ。エーテルこそ、我等を魔から 救い給う。エーテルを、軽んじるなかれ。大いなる、母なるマナからの贈り物。エーテルを侮るなかれ。』

 

 要約すると、マナによってユグドラシルと言う大樹を泉のほとりに与えられ、さらに、その大樹を管理するものとして、運命をつかさどる四姉妹を遣わされ た、と言う事になる。

 だが、この時点で一つの矛盾が生じている。果たして、その運命の女神たちとは誰だったのか、ということだ。

 歴史学者たちの見地からすると、このものたちは実在した『人間』なのではないかと推測されている。『フェイツ』とは、『エーテルを生来、強く宿してい た、魔法に長けたものたち』ではないか、と言うことだ。

 神話では、この者達は不死であり、人の生死と時を司っていたとされる。

 

・エルタ … 過去

・ヴェルザンディ … 現在

・スクルド … 未来

・アリアンロード … 時

 

 といった風に、だ。

 もし、歴史学者たちの仮説が正しければ、彼女らは今もこの世界のどこかに生存するという事になる。それも、美しい女神の姿のままで。

 不死と囁かれている賢者の中には、彼女たちの事も含まれていたりするかもしれない、と、少しだけ、ロマンに溢れた話もここに記述しておくとする。

 さて、この一文だけではエーテルの事は分かりづらいが、彼女らがエーテルを我々人間に与えていたと言うのは確かなことらしい。

 ユグドラシルと言う大樹から溢れる蜜=エーテルであり、それを集め、人々に分け与える存在だった、と言う記述がここ以外の部分に書かれていたのである。

 残念なことに、その部分の掲載を教会に許可されなかったので、この様な説明の形を取る事になったのをここで謝罪するとする。この部分は聖書でも核を担う 部分であり、その記述自体が『禁忌に当たる呪文詠唱』だと言うことだ。

 少し、話しが逸れる事になるが、現在普及している呪文詠唱の中にはこういった神話の中から抜粋されたものがいくつかある。そして、そういったものは総じ て大きな力を持つことが多いのもまた、特徴といえるだろう。

 やはり、神の力を受けた言葉は、他のものとも一味違うのだろうか。そういった部分を研究してみるのも面白いといえるかもしれない。

 

 

神々の世界に関する説明

 

 神々の世界は単一では無く、同時に平行して幾つかの世界が存在していたと言う。

 

 一つは 大いなる楽園 『 アヴァロン 』

 

 一つは 神々の住処 『 ヴァナヘイム 』

 

 一つは 英雄の館 『 ヴァルハラ 』

 

 一つは 終末の砦 『 アースガルド 』

 

 一つは 終わり無き諦観の地 『 ギヌンガプヌ 』

 

 一つは 妖精の永久宮 『 ティル・ナ・ノグ 』

 

 一つは 人々の始原郷 『 リリース・ゼロ 』

 

 これら、七つの世界は、共に寄り添うようにしてあり、また、互いに補い合う形で存在していたといわれている。その片鱗は現在でも確認されており、何よ り、『ギヌンガプヌ』『ティル・ナ・ノグ』『リリース・ゼロ(現在の世界の名称)』は、その存在が明確に確認されている。もっとも、『リリース・ゼロ』 は、確認どころか、存在している世界なのだが。『ティル・ナ・ノグ』『ギヌンガプヌ』は、聖書にも記述されているが『リリース・ゼロ』にとって、もっとも 近しい世界だった。また、今世界に存在する精霊や悪魔などの存在もここから来たのではないかと囁かれている。

 かつて、英雄と呼ばれる存在が『ヴァナヘイム』の神々の力の恩恵を得られた時代。数々の試練を与え、今現在まで伝わる名声を得る機会を与えていた魔物な どは『ギヌンガプヌ』より渡来した、『ギヌンガプヌの住人』なのだ。また、英雄達をさまざまな形で導いた精霊たちも、『ティル・ナ・ノグの住人』なのだろ う。

 隣接している、と言われるだけあって、この二つの世界との交流はかなり盛んなものと思われる。今現在に置いて、向こうの世界へと旅立つ術は失われてし まっているが、聖書にはそれらしき記述がいくつもあり、また、その記述を立証づける『聖剣』や『魔剣』、『宝具』『魔術書』などが世界に点在している。

 彼の『エクスカリバー』や『ゲイ・ボルグ』、『ガラティン』、『アロンダイト』、古の王・シャルルマーニュが天使より授けられたという『エンジェリック ブレード』、その配下である聖騎士団団長ローランの持つ聖剣『デュランダル』、創世の剣『エア』、光の弓『サルンガ』、門番の剣『ブルトガング』、光の剣 『フラガラック』、光の槍『ブリューナク』

 挙げるときりがないので此処で止めておくが、数多くの武具が世界中で存在を確認されている。もっとも、今現在もその所在が分かるものは少数なのだが。

                                                               大いなる勝利の約束

 一説によるとだが、帝国、または王国……連合国の一国かもしれないが、どこかの国の秘宝として、『 スォードフ・ヴィクター 』 という、剣が祭られて いるらしい。

 遥か昔、ヴァナヘイムで行われた戦争で、討ち死にした神が持っていた剣の一本だったらしく、その名に恥じぬ魔力を持ち、一度抜かれると、勝利は免れぬ必 然となると言われている。

 

 

 


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