‐2200年。シャーリー達を守ってデルザー軍団と戦いを繰り広げる仮面ライダー。
その戦いはシャーリーらの常識を遥かに超え、まるでコミックか何かを見ているような錯覚にさえ
囚われた。それ程にライダー達の技の応酬は劇的だった。

「ギャウウウウ!!大・切・断ッ!!」

仮面ライダーアマゾンはその獣の如き咆哮を上げながら必殺技で戦闘員を一刀両断する。
悪く言えばただの手刀なのだが、 アームカッターとフットカッターを使ったその切断力は凄まじく、
並の怪人相手にはこれで事足りる。インカ帝国が残したその超ロストテクノロジーの加護も加味されるので、
戦闘員にはオーバーキル気味だ。派手に内部部品が飛び散り、血が吹き出る。

シャーリーとルッキーニはこのスプラッタ気味な光景に吐き気を催したらしく、吐き気を必死に堪える。
顔色も悪い。ストロンガーはそんな2人にエチケット袋を手渡す。

「そらよ。吐きたいならとっととそこにしな」
「随分……用意いいなアンタ……、おぇっ、うっぷっ……」
「アマゾンのやつは野性的だからな。強くなりな、これからこんな光景がアホみたいに出現するから耐性をつけなよ」

ストロンガーはそう言いながら自身も後ろから迫ってきた戦闘員を回し蹴りとパンチのコンボで吹き飛ばす。
ジェットコンドルはXライダーがクルーザーで追っているので、この場にいるのはアマゾンとストロンガーだが、
戦闘員の数はもう一桁だ。

「さて、俺もちょっとカッコイイところ見せるか!」

ストロンガーはシメとばかりに空中への大跳躍を見せると、体に内蔵している超電子ダイナモのエネルギーを一部開放。
キックの態勢に入る。これはネオショッカー戦に至る過程の特訓の成果と経験値の増加によるもので、
チャージアップ(超電子ダイナモの起動)をしなくとも、エネルギーを開放することで破壊力を倍加し、
チャージアップ時同様の破壊力を実現させられるようになった。そのためチャージアップする機会は減ったが、
戦闘力自体は現役時代より向上した事を意味する。

「超電!稲妻キィィィ――ック!!」

空中で大の字になってそのまま空中で回転し、空へ超電子エネルギーを放電し、落雷を起こしてそのエネルギーを全身に受ける。
そして雷となってキックを放つこの技こそストロンガー最大最強の大技。そのエネルギー量は凄まじく、
御坂美琴の発電量(10億ボルト)をも凌駕し、後輩のZXの「ZXイナズマキック」、RXの「RXキック」と同等のポテンシャルを発揮する。
(発電量が大きいのは超電子そのものが電気の100倍の発電量を誇るエネルギーなのが要因)

その場にいる戦闘員はすべてその余波で破壊される。ガンバスターの「スーパーイナズマキック」の源流となった技の面目躍如である。
一瞬でカタをつけたストロンガーであるが、ルッキーニはこの大技に見とれてしまい、目を輝せているが、シャーリーはそれどころではないようだ。

「やったぁ――!カッコイイ〜!ペリーヌ顔負けだよ〜!ねっ、ねっ、シャーリー見た?」
「あ、ああ……」

ルッキーニは超電稲妻キックにすっかり魅せられたようだ。ペリーヌの「雷撃」(トネール)を凌ぐ破壊力を
ただのキック(飛び蹴り)で発揮したのがよほど気にいったようだ。シャーリーはまだ吐いている。
意外にもスプラッタへの耐性が無かったようだ。

「ったく、しっかりしろよな」
「しっかりしろと言ってもなぁ……」

エチケット袋がまだ手放せないシャーリーに呆れつつも一応の気遣いを見せるストロンガー。
敵がいなくなったことを確認すると、ジェットコンドルをXに任せ、その場は引き上げた。もちろんシャーリーが
落ち着くのを待った上で。脳波通信で1号へ報告も済ませ、アマゾンと共にヌーボパリへ戻った。

 

 

 

‐Xライダーは愛車の「クルーザー」でジェットコンドルを追っていた。7人のライダーマシンの内、唯一飛行能力を持つ
(他のマシンもブースターなどで飛行可能だが、空中機動という点ではZXのヘルダイバーと並んでクルーザーが次点である)。
クルーザーで時速750キロでジェットコンドルをひたすら追う。

「逃がさんぞジェットコンドル!!」
「ええい、Xライダーめ!しぶとい奴」

バイクで追ってくるXライダーの根性にげんなりしたのか、ミサイルを放つ。Xライダーはライドルホイップと
クルーザー大回転を応用した空中機動でそれを上手く回避したり、斬り払う。
そして交差する一瞬に全手をかけたXライダーはその一瞬で「Xキック」の態勢に入る。

ライドルを鉄棒がわりにし、それで一回転し、大の字を描き、飛び蹴りの態勢に入る。

「X!!キィィィ――ック!!」

直撃し、装甲を穿つ音が響くが改造魔人たるジェットコンドルには致命傷とはならず、逃走を許してしまう。

「ふはは!!その程度のキックで俺は倒せん!また会おう」
「何!?」

キックを食らってもなお飛行速度が衰えないジェットコンドルにXライダーはデルザー軍団の名に恥じない強敵である事
を再認識し、ジェットコンドルの作った飛行機雲に向けて呟く。

「ジェットコンドル、デルザー軍団……また奴らと戦う事になろうとは……」

‐デルザー軍団、大首領が生み出し魔物や怪物らの子孫の集まりにして、仮面ライダーを最も苦戦させた組織。
それが今、バダンの精鋭として再臨した。「栄光の7人」と後輩たちから称される自分たちだが、
デルザー軍団との死闘はショッカーなどの並の組織との戦いより遙かに辛いだろう。Xはストロンガーとアマゾンへ打電すると、
クルーザーでヌーボパリへ進路を向けた。

バイクでヌーボパリに戻る途中、シャーリーとルッキーニはストロンガーとアマゾンにその力をどうして得ることになったのか、
何故、「正義」という永遠に続くかも知れない道を選んだのかを尋ねた。それにストロンガーとアマゾンは答える。

「俺達はそんな使命の星のもとに生まれたかも知れないな。そもそも俺ら仮面ライダーの内、光太郎を除いて、
生まれた年代は20世紀後半で、全員が必ずしもそう願って`改造人間`になったわけじゃない。
何かかしらの理由がある。俺の場合はそもそもはダチの仇を討つために仮面ライダーになったしな」

ストロンガーはそもそも仮面ライダーの内の10人は20世紀後半に生まれ、その時代に死すべき人間であった事、
改造人間となった事で、ほぼ無尽蔵の寿命と永遠の若さを持ってしまった事、組織との因縁を掻い摘んで説明する。
シャーリーとルッキーニはその説明に息を呑む。
仮面ライダーという名がやがて希望になった事、そして人が「ライダーと共に悪と戦いたい」という気持ちから
「スーパー戦隊」というヒーローを生み出した事……そのスーパー戦隊と共に悪と戦うのが今の自分たちの使命であり、
陳腐に聞こえるかも知れないが、「正義」と「人間の自由」のためにたとえ、時代を超えても戦い続ける決意があると。

「……すげえよ、あんたら。とてもあたしたちには真似できねえよ。自分の未来を全部擲ってでも他人のために戦うなんて……」
「いや、君たちにも出来るさ。大事なのは`心`だ。誰かを、何かを守りたい……それだけでもいいのさ」

アマゾンがそう締めくくる。「大事なものの為に戦うこと」。芳佳が見せた決意。バルクホルンが垣間見せた妹への優しさ。
それらだけでも戦える。それだけでもいいのなら……。シャーリーはルッキーニの、みんなの笑顔のため……。

「できるかな……あたしにも……あんたらみたいに」
「できるさ、必ず」
「おう」

シャーリーはサイドカーで眠るルッキーニの寝顔に何かを思い出したのか、遠くを見るような視線を夕日に向ける。
仮面ライダー達はシャーリーの心境を察したのか、優しく後押しつつ、2人を護衛する。
ここに、シャーリーとルッキーニは501の面々では初めて仮面ライダーと面識が出来たのであった。
それはロマーニャの戦いにてプラスに働くことになるが、今はまだ語るべきではない。
ただわかることはシャーリーが風来坊な仮面ライダーストロンガーこと城茂と縁を持ったことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐なのはは夢を見ていた。夢と言っても悪夢と言っていいかも知れない。

 

『マグフォースサンダーァァァッ!!』

「う、ああああっ!!」

身体を轟音と共に烈風がカマイタチのように切り刻んでいく光景。もう何回も見、どうしても拭いきれぬ恐怖の光景。

「あっ……!……またあの夢……どうして……どうしちゃったの、あたし……」

ベットから跳ね起き、寝間着姿のなのはは左腕の袖をまくってみる。そこには戦いや日常には支障ないもの、
傷跡が残っていた。未来世界の医療技術を以てしても唯一消せなかった傷。

‐落とされる事が怖いの?

何度も自問自答した事だが、今の力(レイジングハート・エクセリオン)を得てからは落とされることが無かった自分に取って、
如何に落とされた事が大きかったのかを思い知らされる。それまで負けたことはあっても落とされた事は無いのだから。
それが自分の弱さ、脆さかもしれない。それを全て受け入れるしかない。それらも全部ひっくるめて「自分」なのだから。
話に聞く、スバルがいた「時代」の自分は「無茶して、その挙句に撃墜された」事がトラウマになっていたらしいのも
分からないわけではないが、自分が教導で犯してしまった行為は真意がどうであれ、「エゴ」と言われて非難されても仕方が無い。
軍人として教育を受けた今の自分から考えるとなおさらだ。

なのははこの時期にはスバルから「大人になった自分」の事を聞いていた。「撃墜」をきっかけにその自分とは道が分かれたが、
いくつもの歴史の流れの中で起こりえる可能性としては残っている。その姿を様子をスバルが持っていた写真で見たが、
客観的に見ると「19歳でツインテール、バリアジャケットのリボンはないだろ」と突っ込みたくなる格好だ。
(最もエクシードモードではリボンは無いが、スバルがいた時点では使用していなかったので知る由もない)

なのははこの時点ではルーデルや智子、圭子に指摘された結果、
バリアジャケットのデザインを若干変え、さらに戦闘向きにアレンジしていた。そういう点では「エクシードモード」を先取りしたよう形である。
ただしより戦闘的だが。そのため大人になったら髪形をポニーテールにしておこうと決意しているとか。

 

 

‐ゲッターロボ號か……この時代には無いはずのゲッターロボ……ゲッター線で動いてないっていうけど……。

なのはは次いで、自分を撃墜した張本人であるゲッターロボ號の事を考える。ゲッターロボとしては傍流に位置するとの事だが、
それでも強力で、設計を考案した隼人曰く`おそらく戦闘力はゲッターロボGと互角だろう`との事。
ゲッターロボの事は元の世界でも父が持っていた本という形で知っている。
それは初代とGの事だが。ゲッターロボ號は隼人曰く「ゲッター線動力を考えているが、プラズマエネルギーで動かす方法で
話が進んでいた」というから傍流なのだろうか。
この傷の礼も兼ねてリベンジしたいが、スーパーロボット相手には勝つ手段はそうそうない。

‐それに……この世界で初めて見る「真ゲッターロボ」。ゲッター線の力を最大限引き出すために造られたGの後継機。
あんなの反則だよ。世界の一つや二つは軽く滅ぼせるよアレじゃ。フェイトちゃんもびっくりしてたし……。

スーパーロボットの中でも現時点で二強を誇るであろう、常軌を逸した戦闘力を持つ真ゲッターになのはたちは恐れすら抱いていた。
マジンカイザーと並んで「最強のスーパーロボット」と呼ぶに相応しい力。ネウロイの巣でさえ一撃粉砕した「ストナーサンシャイン」
……、幾何学的な飛行が可能かつ超高速まで加速するスペックは単なる兵器の域を超えている。言うなれば「神」。
なのはは味方ながら身震いするほどの恐ろしさを真ゲッターロボから感じ取った。

それはフェイトも同様。マジンガーやゲッターロボに代表されるスーパーロボットの持つ破壊力に驚愕し、管理局に報告を入れた。
すると上層部のごく一部からはその破壊力を危惧する声が上がったという。
管理局の質量兵器の許容範囲を当然ながら遥かに凌駕している上、世界を軽く滅ぼせる威力は観測指定世界に分類替えされた
都合上、真っ先に公開意見陳述会の議題の槍玉に挙げられ、紛糾するほどの議論を生んだとの事。
だが、ゼントラーディ軍やプロトデビルン、ガミラス、宇宙怪獣ete……の強大な敵の前には仕方の無い軍備だと結論された。
これにはヤマトの勇戦の模様も公開された事で、その勇戦奮闘ぶりに主流派が`地球連邦との友好関係を絶対的にすべし`
と結論付け、改革派もそれに追従した事、守旧派や極右勢力のいずれも地球が座して死を待つ世界では無いことを
知ったことで、暗にヤマトやスーパーロボットを恐れた事の表れであった。それら意見をまとめたのは地上本部のレジアス中将との事。

「レジアス中将……か。ベテランだっていうけど……きな臭い話も結構聞くんだよね。まあ管理局が地球と戦争起こさないで
済んだぶん、有能な人かな?」

なのはは子供である故と基本、現場タイプで政治的駆け引きには疎く、そもそもの興味もないもの、
将校として管理局・地球連邦軍の双方で教育を受けたので、その位の知識程度は持ち合わせている。
そのため、現在の管理局の地上本部の長が有能か無能かどうかの判別はつく。
政治的黒い話は地球の政治家にもよく聞く話だが、地球に手が付けられなければたとえきな臭そうが、どうでもいい。
それは政治家達や国民が判断してくれることで、武官の自分がどうこうできる問題ではない。(これは完全にごく平凡な小学5年の思考ではない)

‐もうじきフェイトちゃんと合流できるけど、栄光の7人ライダーの事をまた伝えないと。起きちゃったから艦内ぶらつこうっと。
今日は確か非番だし。

なのはにはフェイトにまた伝えることが増えた。それは栄光の7人ライダー。
ヒーローはTVの中だけだと思っていたのが、本当にいたのだから。特に栄光の7人ライダー。
1号を始めとしてみんな古豪と言える者達。
なのははその内、V3とXに対面している。他のライダー

達にも出来れば会いたい。会って話がしたい。そう考えている。
彼女は軍服に着替えて、飲み物を艦内の自動販売機に取りに行く途中、情報収集及び処理分野で働く初春飾利と出くわした。
特徴のある花飾りと甘ったるい声色なのですぐに初春だと分かった。

「あ、初春さん」
「なのはちゃん。今日は非番なんだ」
「はい。初春さんは?」
「ブライト艦長への情報収集と処理の結果報告やらで、もうてんてこ舞いって感じで……」
「大変ですね」
「情報処理は学園都市の`風紀委員`の仕事で慣れてるけど軍隊は思ったよりハードワークで、肩がこっちゃってパンパンだよ。
これから軍医の先生に肩こりの薬を処方してもらいにいくところだよ」

初春の情報処理能力は学園都市にいただけあって優秀。なのは達戦闘要員も彼女の情報に結構助けられている。
なのはは裏方の仕事も大変なんだと、時々は戦闘ブリッジに入って仕事をこなす初春の姿を見て色々と学んだ。
そんな姿を見ていると思わず労いたくなる。暇なので初春にくっついて医務室へ向かった。そこで2人は軍医にこう言われたとか。
「歳の割には肩がパンパンだね」と。2人は軍医に涙目で答えを返したとか。

 

 

 

 

 

 

‐ドラえもんは鉄人兵団の戦線の構築具合をブライトから聞いていた。
鉄人兵団との戦いでは一日の長があるのも大きく、
ドラえもんは参謀役としてここのところはブライトの副官「メラン」と共に作戦室に詰めていた。

「兵団の戦術・戦略ドクトリンは人海戦術と火力集中支援なのは前と変わりありません。
弾薬の備蓄は余るくらいでもいいくらいに用意するに越した事はありません」
「人海戦術か。大昔の赤軍や中国軍を思い出すな」
「彼等のそれは空を覆い尽くすほどの物量です。流石に宇宙怪獣の天文学的数には及びませんが、
ゼントラーディ軍の艦隊程度の物量は覚悟したほうがいいでしょうな」
「ああ。軍司令部もそれを見越して応酬に軍の集結を急いでいるが、物量では彼等には到底及ばない。質で勝負といったところだな」
「艦長、敵の戦線はベルギーを中心にスペイン、北欧などの各地に点在しています。その内のどこかが突破できればいいのですが」
「一点突破したところで、突出したところを背後や側面から撃たれては元も子もないからな。
将軍も迂闊には軍を動かせん。兵站がきちんと機能するまではね」

スクリーンに映る地図を睨みながら3人は戦線がどのように推移しうるのかを議論する。後方支援も考えて戦略を立てなくては勝利も
覚束ない。かつてノルマンディー上陸作戦の際にアイゼンハワーは補給を重視したとの記録が残っているが、どんなに精強な軍隊も
物資がなければ戦えない。それを身にしみている地球連邦軍は欧州戦線への兵站網が確立されるのを待っているのだ。
これは言わばお互いの手の読み合いとも言える。ドラえもんは連邦軍に護身用として「瞬間接着銃」、「ひらりマント」、
ミノフスキー粒子散布下でもクリアな通信ができる「糸なし糸電話」なども提供。
この時代には既に失われていたひみつ道具の生産ラインの復活
にも一役買ったが、それでもまだ兵団への
不安は拭えない。

(地球連邦軍が精強といっても楽観はできない。その時のために鉄人兵団を出し抜かないと……)

鉄人兵団の戦略ぶりに焦りを見せるドラえもん。戦争というのはどうなるかわからない。それを知るドラえもんは地図と睨めっこしながら
思考を巡らせていた。ドラえもんは決まってこういう危急存亡の時には準備が大好きだ。『前の戦い』では、
逆世界入り込みオイルを戦略的に使用して兵団に一人相撲を取らせた。他には歴史修正の際には何故か「デラックス版キャンピングカプセル」
を用意しておくなど用意周到な側面がある割には、イレギュラー的な出来事に即応出来ないという間の抜けたところもある。
スネ夫が知恵袋的側面を担っているところもあれば、時々は出木杉英才に解説してもらうところもある。

例えば、兵站の本格的概念などがそれだ。この日までにドラえもんラー・カイラム艦内で20世紀にいる出木杉英才に連絡を取って、
事情を説明。兵站についての解説を受けていた。その時の様子は以下の通り。

 

‐2日前 ラー・カイラム艦内 ドラえもんとのび太の部屋

『君たちの冒険の事は聞いていたけど、まさか戦争なんてね』
『今回のことは元はと言えば、僕達が撒いた種なんだ。だからさ』
『君たちらしいね。今日は`兵站`についてだったね?いいよ』
『えっ?君はそんな軍事的話題でもOKなのかい?』
『僕のおじいさんの代の人達が太平洋戦争に従軍してたからね。その関係もあるのさ』

出木杉英才はすべての分野に秀でた才覚を持ち、将来的にはNASAの宇宙飛行士にまで立身する。
そんな彼の祖父らの世代の人間は太平洋戦争に従軍していたという。一〇〇式輸送機の搭乗員であった人間も親類にいたらしいので
軍事方面の知識も得ていたとの事。

『兵站は軍隊では重要な要素だけど、国力がなかったり、概念が育ってなければ軽視されやすい。特に太平洋戦争までの近代日本がそうだっよ」
『補給があって初めて軍隊は動けるのになんでだい?』
『近代日本は日清、日露とずっと勝ち続けた。それが明治維新後の日本の自信や自負を過信と傲りに変えてしまったんだ。
それが兵站軽視の風潮を助長した。陸軍の兵站軽視や日本海軍のシーレーン無理解に繋がった。最もそれは日露以前の戦役経験者がいなくなった
太平洋戦争時に顕著に現れただけなんだが、それが最悪の形で現れたから問題になったんだ。第二次大戦ほど国力差が分かりやすく
現れた例もないからなおさらだ』

そう。太平洋戦争時の日本軍は上層部でさえ「実戦経験ほぼ皆無」の人間に代替わりしていたのが最大の不幸であった。
軍の暴走を抑えられる、幕末・明治の動乱の時代を知る元老は既に亡く、(元老としては開戦前まで西園寺公望が生存していたもの、彼は実戦経験無し)
実戦経験がなく、国際情勢を展望できない官僚形軍人が国を主導した事で明治体制(大日本帝国)は崩壊へ向かった。それも
無謀な戦争で。日本軍の敗北には兵站軽視もその一因を担った事を出木杉は暗に告げる。

『いいかい。航空輸送は過信しないほうがいい。運べる量も限られるからね。それは未来の輸送機であっても、だ』
『うん』
『陸はもちろん、海にしてもそうだが、輸送部隊は敵の格好の標的だ。制空権の確保を初めとする経路の安全確保は必須なんだ』

出木杉のいう事は完全に小学生レベルのそれではない。わかりやすく解説する様は、大学教授顔負けである。
以前にのび太に「魔法と科学』についてうんちくを説明した時もそうだが、出木杉の部屋の本棚にある本には
一部、大学生でも読むのにげんなりしそうな学術書がある。軍事的分野でもそれは同じようだ。
ドラえもんは出木杉のあらゆる分野での英才ぶりに改めて舌を巻いた。
こうしてドラえもんはロンド・ベルの参謀の一人として振る舞うことでこの戦争での役割を見出していった。

‐こうして、ドラえもん、ロンド・ベル、なのは達魔導士、智子達ウィッチ。仮面ライダー、スーパー戦隊達「スーパーヒーロー」。
各々の役割を確実にこなしていった。

 

 

 

 

 

 

 


‐あとがき

30話到達です。今後共よろしくお願い致します。

 

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