――フェイトは、デルザー軍団に囚われ、気絶した状態のまま牢屋に入れられた。その際にバルディッシュ・アサルトは没収されてしまった。しかも入れられた牢屋はバダンが“対魔導師”を想定して攻撃魔法の発生を封じる「仕掛け」が施されている代物であった。かつて仮面ライダーたちの変身を封じる仕掛けが施された牢屋をデストロンの時代に開発していたので、そのテクノロジーと“彼らの息がかかった次元犯罪者”に開発させた技術とを組み合わせた牢屋なので、フェイトはバリアジャケットを保つだけで精一杯なのであった。



「うぅ……ん…ん!?こ、ここは……」

フェイトはガバっと飛び起きて自身の状況を確認する。見回すと、頑丈な作りの牢屋に入れられてしまったようだ。しかも相棒のバルディッシュは没収されてしまっている。一応、デバイスがなくとも魔法は使えるが、敵もさるもの、何かかしらの対策は施してあるだろう。それに魔法を使えなくなる妨害工作もありうるので、魔力は極力温存しておいたほうがいいだろう。ただ、何かの不測の事態に備えてバリアジャケットは展開したままにしておいた方がいいと判断し、バリアジャケットはそのままにしておく。そして、試しに壁を叩いてみる。

「恐ろしいくらいに頑丈だ……。窓も無い……外の様子は……鉄格子から確認できないか……!」

全てが頑丈にできている。鉄格子も触ってみるが、これも頑丈な金属でできているようだ。見ると、奴ら――デルザー軍団――のアジトに連れ込まれてしまったようだ。

「チ…ィ…ッ。マズったな…迂闊だった。」

フェイトにしては荒っぽい言葉使いだが、フロンティア船団で出会った“早乙女アルト”の影響なのかもしれない。彼女は迂闊にも捕虜となってしまったが、レビル将軍には単独行動をする旨は言っておいたので、彼が何かかしらの手段は講じてくれるはずだ。それに望みをかけるしかないと、フェイトはひとまず寝ることにした。その様子をデルザー軍団の首脳陣らは確認していた。

「大元帥、例の小娘は寝たようです」

「フン。諦めたようだな……あの牢屋はそう安安と出れるようにはしておらん。まあ、安心して良いだろう。デバイスもこちらの手にある」

「流石はマシーン大元帥。考えることが一味違う」

「ふふふ……貴様達は万が一に備えておけ。ライダーどもがここを嗅ぎつけるとも限らんからな」

「わかった」

マシーン大元帥は外で見張りについている“磁石団長”に見張りを厳重にするように告げる。デルザー軍団の中では磁石団長は戦闘力は低い方ではないのだが、歴戦を経てパワーアップを重ねたストロンガーを初めとする仮面ライダーにはいまいち遅れをとっている感が否めない。マシーン大元帥は一抹の不安を抱えつつ、暗闇大使への定時報告に赴いた。





――こちらはライダー達。フェイトを乗せたジープがアジトの入口に入るのを確認していた。


「あそこがアジトか……ゴットの時代のアポロン宮殿みたいに大規模だな」

「ゴットの頃に造っておいた基地をそのまま流用したんだろうな。所々にその名残がある」

そう。現在、マシーン大元帥らがいるアジトはかつてのGOD機関の当時に造っておいたアポロン宮殿を時代ごとに改修して秘匿されていた秘密基地。なので、かなり大規模な作りである。ライダー達もその規模の大きさに驚いているようだ。


「どうします、一文字さん」

「既に本郷達に連絡してある。俺達は戦闘員に化けて潜入するぞ」

「了解です」

一文字、風見、敬介の三人は近くにいた戦闘員を呼び込んで気絶させて着ぐるみをはがして戦闘員に変装する。磁石団長麾下の戦闘員なので、マスクにその意匠がある。過去に城茂も行ったこの行為は歴代仮面ライダーの複数が経験済みであり、アジトに侵入するてっとり早い方法であった。






――サンダーボール作戦に則り、行動していたエーリカ・ハルトマンと雁淵孝美だったが、途中で西沢義子&剣鉄也と合流していた。グレートマジンガーというスーパーロボットを目の当たりにして、ハルトマンは呆然としてしまっていた。

「うへぇ〜〜これがマジンガーかぁ……大きいなぁ」

ハルトマンは初めて間近で見るマジンガーというスーパーロボットに関心したりなようだ。兵器然としたロボットたるモビルスーツや“常識はずれ”な真ゲッターロボに比べてヒーローチックな外見を持つマジンガーは黒いボディと相まって重厚感に溢れており、カールスラントの重戦車を思わせる。そこがハルトマンを惹きつけるのだろう。

「俺は剣鉄也。このスーパーロボット、“グレートマジンガー”のパイロットだ。よろしく。言っておくが、俺はこー見えても19だ」

「うそぉ〜その顔で!?」

ハルトマンはとても10代の顔では無いほどに老け顔な剣鉄也に思わずズバッと言ってしまう。そこまでハルトマンに言わしめる彼の顔がそれだけ濃ゆいのを妙実に現している事例であった。


「西沢さん、あなたもここに来てたんですか?」

「おー、雁淵か。久しぶりじゃねーか」

「ん?なんだ、知り合いか?」

「同じ海軍の撃墜王だから顔合わせるのも一度や二度じゃ無かったかんな。それで…ね」

義子は普段の奔放な性格から坂本と醇子からは“教官向けじゃない”と言われているが、実は現地司令官の命令で教官をこっそりと行なっていた。雁淵とはその時に座談会を行った時からの仲であった。これは1943年頃にある激戦地でベテラン勢があがりや戦死で次々と櫛の歯が欠けるようにいなくなり、教官ができるほどの実戦経験と飛行時間があるのが義子しかいなくなり、補充兵が未熟な新兵ばかりだったので、現地の司令官が義子を教官に仕立てあげてしまったのである。もちろん本人は自身が教官やれるような性格も気質もないのを自覚していたため、猛烈に抗議したのだが、司令官が「しょーがないだろ、教官レベルの腕持つのがお前しかいないんだから」と、強引に決定してしまい、渋々ながら一定期間、後任が決まるまでの間であるが、教官の任についていた。雁淵とはその時以来だ。


「あ、上層部からの言付けがあります。西沢さん、あなたは二階級特進で中尉だそうです」

「……は?」

義子は長年、曹長のままであった。そのため同期からは“万年曹長”とあだ名されるほどだったが、この度、“陛下”が西沢について「戦功上げているのに下士官のままとはいかがものか」と海軍航空本部長に言ったのがきっかけで、海軍は慌てて彼女を中尉に二階級特進させてしまい、それで陛下への言い訳を誤魔化したと雁淵は言う。

「なんだよそれ。あたしは上の言い訳のために階級を上げられたのかよ……うわぁ〜やだー!」

「しょうがないですよ。あがったのは事実なんだから。ほら、階級章を変えて」

「面倒くさいなぁ、もう……」

義子は服の階級章を中尉のそれに渋々ながら交換する。服はいつもの服なのでなんか変である。

「……取り込み中の所をすまないが、いいか?」

「いいですよ」

「爆弾の最終確認ポイントだが、俺達が行った時には爆弾を載っけた爆撃機は無かった」

「なんだって〜!?」

鉄也はロシア方面に向かっていた所を上層部からの連絡で急遽、爆撃機の最終確認ポイントへ向かったが、到着した時にはもう爆撃機は無かった事を一同に言う。さしものハルトマンもこれには真剣モードに入る。

「敵がこっちの動きを先読みして爆撃機を回収したようだ。それで俺達はその隠し場所と思われる、この地点へ急がないといけない」


鉄也は皆に爆撃機が隠されたと思われる地点であるスイスの地図を広げる。2199年中に作成された最新のものだ。スーパー戦隊からの通達が伝えられると鉄也は途中で地図を買っておいたのだ。

「ここって……ヘルウェティ……じゃなくって、スイスだよね?」

ハルトマンの質問に鉄也は答える。

「そうだ。ここに俺が普段属してる部隊で、今の地球連邦軍の最高戦力を持つ“ロンド・ベル隊”が向かっている。もし、彼らがいる状態で奴らが爆弾を起爆させたら連邦軍の戦線は総崩れにもなりかねん。何としてもそれまでに阻止しなければならん」

「事は一刻を争うってやつだね?」

「そういう事だ。いざ、スイスへ!」

――ロンド・ベルはそう安安とスイスには入れないはずだ。ウチの部隊のあるところ戦いだからそれをしながらだとすると……最長で一週間とちょっとで爆弾を見つけなければならん。ジェームズ・ボ◯ド並にハードだぞ…。

鉄也は口で景気よく啖呵を切ったものの、ハードかつヘビーなスケジュールで動かなくてはならない事にはへばりそうだった。





――地球連邦軍と鉄人兵団との戦いはかれこれ二年間に及んでいる。開戦劈頭の奇襲攻撃に始まって、地球連邦政府は物的、人的にも多大な損害を被った。平時体制で縮小されていたロンド・ベル隊の戦時規模への拡充もこの時になされた。ロンド・ベル隊が外郭独立部隊という特殊な枠組みで編成されているのは旧・エゥーゴの残存軍事力を基幹にして造られたからという、ある意味では特殊な事情からであった。地球連邦政府の情報機関であるプリベンターもそうで、人材の大半を、かつての戦乱で名を残したOZの人材をそのままそっくり引き継いでいた。プリベンターは開戦時から兵団への対応に追われ、その過程で、かつての戦乱で名を残した5機のガンダムのパイロットも籍を置くようになっていた。







――剣鉄也らとハルトマンらが合流した日の夜、欧州 某地

「やれやれ。久しぶりに地球に降りたらまたまた戦いかよ」

……と、ぼやくのは“ガンダムデスサイズヘル”のパイロットのデュオ・マックスウェル。他のガンダムパイロットと同時に呼ばれたのだが、プリベンター自体に就職している、アルトロンガンダムのパイロットである張五飛を除けば、真っ先に連絡がとれた二人のうちの一人であった。

「……へいへい。全くお前って奴は……ゾッコンってわけね」

彼が今、連絡をとっているのは“ウィングガンダムゼロ”のパイロットのヒイロ・ユイである。今回は珍しく、彼の方から連絡を取ってきたようである。

――ここで彼らと彼らの有するガンダムについて説明せねばなるまい。彼ら5人の有するガンダムは他のガンダムとは一線を画する高性能を誇り、単機で軍隊全体と渡りあえるほどの力を発揮できるという、モビルスーツとしては破格の威力を持つ機体である。これは“オペレーション・メテオという作戦を遂行するためにそれほどの性能が必要とされたためで、装甲もモビルスーツ用装甲としては最強の性能を誇るガンダニュウム合金という、ルナチタニウム合金を遥かに超える軽量合金が採用され、攻撃力・防御力ともに他のガンダムを問題にせず、モビルスーツとしてのガンダムとしては最強の総合スペックを持つのである。それらを操縦するのが、“ヒイロ・ユイ”、“デュオ・マックスウェル”、“トロワ・バートン”、“カトル・ラバーバ・ウィナー”、“張五飛”の五人。いずれも工作員・パイロットとしての訓練を施され、一流といえる腕を持つ面々で、全員が美少年というおまけ付きである。彼らは現在、プリベンターに属する形で戦いに赴き、ロンド・ベル隊とは別行動を取って各地の兵団を制圧する行動をこの戦争中、取っていた。連邦軍が戦争の戦況を急激に押し返し始めた要因の一つは彼らの奮戦によるものであった。


「……ったく、ヒイロの奴、むちゃくちゃ言いやがるぜ……まぁあのお嬢さんのためならアイツ、どんなむちゃくちゃもやりそうだしな」

デュオは平時においてはジャンク屋で生計を立てており、ロンド・ベルのジュドー・アーシタとは平時においても仕事仲間である。ガンダムパイロットには有事の時にのみ戻る。それは他の三人も似たようなものだが、ヒイロ・ユイの場合は学生・フリーターを偽名で流動的にこなしながら生活を送りつつ、有事に対応していた。そして彼には想い人といおうか、「ゾッコン」な人物がいる。地球連邦政府の外務省で外務次官を10代で拝命した“リリーナ・ドーリアン”という少女である。彼女の出自は完全平和主義を唱えた欧州の某地の小国“サンク・キングダム”の王の二人の遺児の内の一人という、波瀾万丈なもので、一時は地球連邦のタカ派に政治的利用されたりもしたが、色々あって再び養父の性を名乗って養父と同じ職に就き、今では地球連邦政府内でハト派の若き実力者として知られる美少女である。地球連邦が話さえ通じれば、基本的に友好関係を志向するのは、外務省にいる彼女の影響によるものである。デュオがヒイロを“ゾッコン”と評したのはヒイロが何かと彼女を気にかけているからである。デュオはそんなヒイロに“やれやれ”と思いを馳せつつ、プリベンターからの指令―事実上は依頼に近いが――を実行する。スーパー戦隊及び、仮面ライダー達への情報提供及び、兵団駐屯地及び基地への破壊工作及び、ガンダムによる制圧である。この日は後者の任務である。市街地の外れに隠していた“相棒”のガンダムデスサイズヘルを起動させ、いざ、隠密任務に赴いた。彼の相棒であるデスサイズヘルは「名は体を表す」の要領で鎌を武器とする。ビーム・サーベルのいわば鎌版のビームシザースが得物である。ただし英語的にはサイズのほうが合っているので、技術者らは“ビームサイズ”と呼んでいるとか。


「さぁて………行くぜ相棒!」

デスサイズヘルのツインアイが輝く。闇夜の月明かりに照らされ、不気味に胎動し、夜に溶け込んでいく、死神を思わせる姿のガンダムは今日も鉄人兵団に対し猛威を振るおうとしていた……。














――余談だが、5機の言わば“アナザーガンダム”とも言うべき機体はロンド・ベル隊の記録に残されており、その勇姿にドラえもん達は少なからず惹きつけられていた。ある日、ドラえもん達やなのはとスバル、ウィッチ達はラー・カイラムの閲覧室で、その映像を見ていた。

「天使みたいな翼持ってるガンダムがいるなんて……なんか可愛いわね」

「しずかちゃん、それなんかズレてる、ズレてる」

「え、そう?」

しずかが見たのはウィングガンダムゼロの映像である。“ウィング”の名の通りに羽を持つウイングゼロは外見的には天使を思わせるが、その反面、悪魔的な側面を持つのだが、映像はそこまでのは触れていないので、しずかの感想は小学生の女子としてはあながち間違いではないのだが、メカ的かっこ良さを見ているのび太からツッコまれた。次はデスサイズヘルの勇姿。鎌を片手にとにかく突っ込むデスサイズヘルはなのははフェイトの姿と重なったのか、親近感が沸くようで、「あのガンダム、フェイトちゃんみたい」と漏らした。だが、スバルの時代においてのフェイトは剣のほうに嗜好が移ったためか、鎌としてのバルディッシュ・アサルトはあまり使ってないので、逆に珍しそうであった。

「そうかぁ。フェイトさんのバルディッシュって鎌でしたっけ」

「あれ?そっちの歴史だとフェイトちゃん、ザンバーの方がメインになってたっけ」

「あたしは見たことないんですけど、話だとフルドライブ形態は剣だって聞いてますから多分」

「まぁ、フェイトちゃんってシグナムさんと会ってからは剣の方に嗜好が移った節があるからね。大尉の特訓の時もザンバーフォームでしたよね?」

「ああ。アイツは剣をもっぱら使ってたからハーケンフォームとかアサルトフォーム使ったときは逆に驚いたよ。そんで言っちまったよ。“あれ、お前のバルディッシュって鎌だっけ?”って」

黒江もスバルの言葉に同意のようだ。フロンティア船団でフェイトの面倒を見ていたために、彼女の言葉からは、フェイトがどのような生活を送っていたか、がよく分かる。


「そーいえばとあたしってフェイトさんと入れ違いの形でロンド・ベルに来たですよね?」

「そうだよ。フェイトちゃんがフロンティア船団に行った次の次の日くらいにね」

「子供の頃のフェイトさんかぁ。ぐ、グフフフ……」

「な、何、スバルその目は!?まさか、まさか!?」

「そのまさかですよ」

「ああ、例のあれ?」

「うん」

ドラえもんに半分呆れられながらツッコミを入れられつつも、スバルは頷く。スバルはスキンシップと称して、なのはの胸を揉むことをスバルは行なっており、子供なのはと出会った日に早速行なっており、なのはに「何するの〜〜!」とディバインバスターを撃たれたとか。当然ながら、ディバインバスターはラー・カイラムの装甲に大穴を開けてしまい、二人共ブライトに叱られてしまったのは言うまでもない。それでチーフメカニックのアストナージ・メドッソが目を白黒させながらも艦外で修理を行うはめになり、空中で甲板に出て作業を行うハメになった彼からも怒られたという。そのためロンド・ベル隊の面々からはスバルは“おっぱい星人”という称号を頂いたとか。これは奇しくも、ロンド・ベルの寄港地で出会うウィッチから度々指摘されている、彼女と声などが酷似している、ロマーニャ空軍の撃墜王のフランチェスカ・ルッキーニと同じであった。


「そうそう。あれのせいで色々恥ずかしいんだから〜!」

「まままぁ。スキンシップですよ、スキンシップ」

この時、なのはは膨れるが、この乳揉みのおかけがどうかは分からないが、後々の思春期以降、バストサイズが史実よりアップしたとか。そして、映像はガンダムヘビーアームズ改に移る。両腕のダブルガトリングガンを初めとする重火器群の応酬は大火力の嗜好が強いなのはや、重火器が好きなジャイアンは「おー!!」と目を輝かせている。

「大佐が見たら“あれくれ、ちょっと急降下爆撃してくる”っていうだろうなぁ。そーいや大佐はどこです?」

「ああ、大佐ならTa152の調整で格納庫にいるよ。まぁ確かに言いそうだが」

黒江もルーデルの急降下爆撃狂ぶりにはいささかついていけてないようだが、だいたいの性格は掴んでいたので、そう言ったのだろう……映像はまだまだ続いた。



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