――完全平和主義。額面通りに受け止めれば警察を含めた『武力』を完全放棄することと受け取られる。リリーナはかつて、この主義主張を額面通りに受け止め、地球圏に当てはめようとしたとされる。だが、白色彗星帝国などの侵略者の理不尽な攻撃はその理想の実現を阻んだと記録される。『完全平和主義は自らを無力化させるだけ』とバッシングされ、政府への攻撃に利用されたのだ。無論、当初はプリベンターという形で、軍事的ノウハウを残す事は決定されていたが、白色彗星帝国の強大な軍事力に恐怖したり、災害救助への即応性、治安維持のためという現実論が人々の理想論を軌道修正させ、結果、人々は軍の存続を望んだ。これは地球圏が太陽系以外の他星系にまで既に広がっていた事、宇宙怪獣やバジュラなどの脅威が知られていたなどの理由で自衛軍備を持つことを望んだからだ。だが、リリーナの真意は『完全平和主義は無抵抗主義ではない。軍備の放棄も有事の際には絶対でなく、国民が望めば、あくまで必要最低限の自衛用軍備に留める範囲で保有する』という柔軟性を備えており、軍備の必要性自体は災害を含めた、有事の対応策として必要と考えていた。彼女の構想では、然るべき時に『地球防衛軍』として、防衛軍備主体の軍隊を再結成し、防衛体制を再編するつもりであったという。これは赤貧に堕ちた元軍人達への再就職先を用意する事で、軍人達の不満とクーデターを抑えるという人心的側面と、ジオン残党などの大規模テロには、警察では対処不能という治安的側面からの結論であった。理想からの剥離という点で悩んだ彼女は自らの近衛兵であり、元・OZ一等特尉の「ルクレツィア・ノイン」と協議を重ね、その結果、この案をいずれは実行に移す腹づもりだった。これは、かつての日本国が軍備を一旦放棄しながらも、『自衛隊』という形で自衛軍備を復活させた歴史や、様々な混乱要素を持つ地球圏が現状、軍備の完全放棄など無理である事をよく認識はしていた故の決断だった。彼女自身は亡き実父の理想を実現させようと躍起になっていたところもあったが、このような現実的思考も持ち合わせていた。サンクキングダムの降伏も『国は滅ぼされようと、無傷の国土は残る』という現実的理由も含めた決断だった。だが、この決断が後に彼女への攻撃材料にされた。統合戦争で日本が勝者となった後の世界では、外交的・実務的にも日本的な『刀折れ矢尽きる』状況まで戦う事が美徳とされ、彼女を理解するもの以外は、その美徳に反すると反感を持ったのだ。更に、警察機構の温存が決定されていたのも、軍人を中心に反感を巻き起こさせる原因となった。白色彗星帝国からの防衛戦争の指導を後任に託し、戦後に義父の性へ戻った彼女は『外務次官』となり、以後は外務官僚として活躍する。外務次官としての巧みな手腕から、人々からは『国の首脳としては不運だった』と、その治世の不運を惜しまれたという。



――極秘会談中の別室

「外務次官は今のこの戦争を終わらせようとしておられる。この会談が成功すれば戦争は終結に向かう」」

「ヘッ、サンクキングダムの時に戦うのを放棄したお嬢さんがそう上手くできんのかいな」

「あれは現実的判断でそうしただけだ。それにいつまでも過去の事で揚げ足を取るな。みっともないぞ」

「外務次官は誠に平和について考えておられる方だ。同時に今の地球圏の状況をよく認識しておられる。敵を倒すだけが戦争の終わらせ方ではない。話し合いで終わらせるのもまた、一つの終わらせ方だ」

彼女の部下たちも千差万別。誠にリリーナに心酔している者、今の彼女の姿勢に共感しているもの、異動で仕方がなく彼女と同部署に配属となったもの、彼女を蹴落とそうと野心を持つ者と様々である。しかしリリーナはそれらを全て受け入れ、過去の自分の政策への批判も受け止めている。確かに官僚の暴走を止められなかったり、命をかけて戦う者達の心への理解が足りなかったなどの失点はあった。それらを引っ括めて反省し、それを糧に自分なりに『戦う』事がトレーズ・クシュリナーダなどの死んでいった者達への手向けになるのだ。今を生きる者としてできる事をするとの決意のもと、今回の会談に臨んだ。この会談は最前線近くで行われた。後の記録によれば、この場所のセッティングはリリーナたっての希望ともされ、如何に危険な場所でも出向く決意の表れと賞賛され、彼女の再評価のきっかけとなったという。ピースクラフトという王家の人間としてでなく、『ドーリアン』という一市民の代表として、為すべきことをするという決意の表れだった。




「外務次官は何故このような場所をセッティングしたのだ?最前線近くではないか」

「あの方は口だけの平和主義者とは違う。たとえ、こめかみに銃を突きつけられようとも屈しないお方だ。与えられた平和ではなく、『勝ち取った平和』を是非としておられる。これにもっと早く気付いてくれれば……」

「ああ、あの方の唯一無二の失点はそこだからな」

――平和は自分達で勝ち取って、初めて価値がある。これにリリーナが気づくのは白色彗星帝国戦が最終局面を迎えた頃であった。ヤマトの自己犠牲的な行動は理不尽な輩と『戦い、平和を勝ち取る事』こそ人があるべき姿だと示し、人々はそれを支持した。既にヒイロ・ユイ達の戦いを目の当たりにしていた彼女も、最終的には古代進の行動を認めた。会談が成功するかは、リリーナの手腕にかかっていた。そして、ヒイロから『会談は終了した』と連絡を受けた彼らは、リリーナの報告を待つ……数分後、リリーナが部屋に入ってくる。結果は――







――智子と黒江はデュオ・マックスウェルにくっつく形で潜入行動に打って出ていた。慣れぬ潜入行動(ウィッチである彼女達は近代の非正規戦という概念そのものがなかった。これは彼女達の時代には、国家間の戦争という物が久しく起きていなかったためである)に苦戦しつつも、どうにかコンピュータのハッキングで通路の見取り図を入手に成功した。

「これがこの地下通路の見取り図だ。見ると、スイスからベルギーまで貫通してる。物資倉庫は……ここだ」

「だいたい地上だと、どのあたりにあたるの?」

「スイスの領域を出て、フランス領域内になるな。他にも他地域の地下に置いてる。かなり分散して置いてるから、全部を潰せと言われると骨が折れるぜ」

「バックアップ代わりか……考えたな」

「軍事的には正しい判断だ。一箇所に集めてるとそこがやられたら一巻の終わりだからな。例を挙げると、あんたと同じ時代のこっちの日本軍は工作船を二隻しか保有してなかったのが仇となって、パラオ空襲で工作艦の修理能力を無力化された挙句に支援艦を多数損失、航空機も多数損失して、マリアナ沖海戦以後に悪影響を及ぼした。これは今でも連合艦隊の頭が時代遅れだったって言われる原因の一つだけど、リスクを分散させるほうが正しいのさ」

「……!」

黒江達は内心でゾッとした。第二次世界大戦で日本陸海軍が滅亡した歴史はある意味、自分らの扶桑皇国も一歩間違えれば辿ったであろう道である。聞けば聞くほど、その軍部上層部の愚かさに反吐が出そうになるという顔をする。

「たしかにそうだな。本国に戻ったら意見具申してみるか……」

黒江は自国の兵站管理に疑念を抱いたようである。智子が良くも悪くも前線指揮官である(兵站面はビューリングの補佐を受けていた)のに対し、彼女は組織の管理運営の心得がある。補佐的役割を多く務めていたために身についたと言えるこの才は後の空軍設立後に本領を発揮したという。

「で、これを全部ぶっ壊すの?」

「まさか。んな事すんより重点的に数個を狙ったほうが早い。破壊するのはベルギーの本部と繋がってるルートだけだよ。ここからだとSルートが近い」

地図をもとに歩き出す三人。銃や刀を手にして深く静かに潜入していく……。







――地球連邦軍はこの時代、実働部隊の50%以上が宇宙軍のそれであった。これはかつて、解体内定状態にあった時に、治安上の理由から、もっとも人材や機材が温存されていたのが宇宙軍であったためである。この欧州戦線に投入されている部隊も60%が宇宙軍所属であった。そして、宇宙軍が敵前上陸作戦のため、ガミラス帝国戦後に設立したのが海兵隊の後進ポジションに当たる『空間騎兵隊』である。名前が『海兵隊』から変えられた理由はジオン公国の海兵隊が汚れ仕事をやらされていた事が当時の隊員の証言やアクシズから押収された記録で明らかになり、マイナスイメージがついてしまった事からそれとの差別化も兼ねて再編された。人員は前身組織からの引き継ぎが多いが、除隊措置が取られていた陸軍の元軍人が再就職した例もかなりのものであった。これにより、かなりの人材が宇宙軍へ流れた事で、陸軍はリリーナに対してかなり根に持っているという噂である。


――旧ベルギー ブリュッセル

「A班は直ちに突入、敵部隊を排除し、行政府長官を拘束せよ!」

空間騎兵隊が課せられた任務は『兵団本拠地に楔を打ち込む』事。スーパー戦隊らによる事前偵察で情報を得ていた彼らは迅速に行動し、ベルギー占領統治責任者を拘束する任務を実行した。

――この時の空間騎兵隊の装備はM16アサルトライフル(地球連邦軍の制式アサルトライフルはこの時期、旧米軍時代から生産が300年近く続くM16アサルトライフルとM72A1という、M16の流れを組む後継的アサルトライフル、AK-01レーザー突撃銃というレーザーアサルトライフルの3つがあった。しかしながらレーザーは白色彗星帝国戦時に導入された、比較的新しい装備故、配備数は少ない。非居住惑星警備や恒星間航行艦艇の部隊への配備が優先されたため、本星でもまだそれほど多く出回っていない。M72A1は解体内定時に退役したのを軍存続決定後に倉庫から引っ張りだして使った際に、作動不良が頻発。後継としてAK-01が開発される原因となり、減勢気味。M16は枯れた技術で作られているために、結果的に地球連邦軍で信頼性が最も高いアサルトライフルとなった。数百年間の戦場での実戦証明も相なって、遠い後継のM72A1が扱いにくさや、白色彗星帝国戦などでの機構の作動不良事例で減勢している中でも生き残り、『最も愛されるアサルトライフル』の一つとなっている)、試作の歩兵用ビームバズーカなどで、ビームと実弾をバランス良く使用するためのものであった。ビームバズーカは重装甲である参謀格や隊長格を一撃で倒すために、Fシリーズやジャベリン用のものを小型化したもの。エネルギー容量の都合で一個に付き、5発が発射回数の限度であるが、威力は十分。実弾型でびくともしなかった兵団施設の装甲ドアを破壊するほどである。この時は正面切っての戦闘が任務なので、ご丁寧に玄関ドアをぶち破って突入した。

「地球軍の奇襲だ!長官をお守りしろ!」

「こっちにレーザーガン持ってこい!」

「敵の歩兵を黙らせろ!もう一発お見舞いしろ!」

建物内に双方の怒声が響く。実弾とビームの火線が入り混じり、双方の兵士たちの屍が築き上げられていく。しかしながら形勢は重装備を持ち込んだ地球連邦軍が次第に有利となっていく。そして、数分の後に玄関ロビーでの撃ち合いを終えた空間騎兵隊は目標を迅速に拘束、引き上げた。占領行政府長官は今次大戦に疑念を抱いていた穏健派らしく、その後の尋問に極めて協力的であった。


――数時間後の現地

「あなたは今次大戦に懐疑的であったと?」

「ええ。私は旧体制下での最後の大統領の長男です。軍政となった後も私の家は名家だったおかげで地位は約束されてはいましたが、私達子供が民衆をまとめて反乱を起こすのを警戒し、常に軍の監視がつき纏いました。本国のレジスタンスに情報を提供しているのは、軍の中枢にいる私の弟です。弟は軍で地位を持つことで軍政の信頼を勝ち得ると言ってましたから」

「何故、兵団は人間を連行していったのです?」

「本国の深刻な労働力人口の不足が原因です。我が国では、あなた方での19世紀頃のように、奴隷解放宣言が出され、労働階級が賃金の要求や身分の保証を求めるようになった。労働階級の人口は以前より大きく減少した。感情を持たない、純粋な労働ロボットを増産して対応しても限界があったのです。軍政はその解消を他の文明の人々で補おうと考えた。神話を歪んで解釈するようになったのも、その頃でした。私は本国に繰り返し外交で解決するように意見具申しましたが、軍政は取り合わなかった……」

自分は外交努力を続ける地球連邦政府に共感し、本国に意見具申を繰り返した。だが、『下等生物ごときと話す舌は持たぬ」とばかりに戦争を選んだと彼は言った。そしてドラえもんが伝えた(静香がドラえもん通して)メカトピアの神話。概要は以下の通り。




――有に3万年の遥か過去、銀河のどこかに高度な科学文明の栄えた文明社会が存在した。しかし。神はその文明で安穏と暮らす傲慢な人間達を見放し、無人の惑星に降り立つとアムとイムというロボットを創り、二体に「天国のような社会を作れ」と命じたという。要するに、メカトピアの住民はアムとイムから発達を重ねた末の遠い子孫にあたる。しかし、その天国を、軍政は『ロボットが他の生物を支配する事で完成する』と解釈した。それがそもそもの間違いだったのであり、この戦争の遠因なのである。







――ある時、静香はなのはにこう言ったという。

「この戦争はメカトピアの『神』も望んでない戦争よ。彼らはそれを知らないか、歪めたのか……」

「たしかしずかさんは前に『歴史を変えた』って、ドラえもん君から聞きました。その時に?」

「正確にその数日前の事よ。兵団がドラちゃんの道具が産んだ鏡面世界で一人相撲を始めた時に、リルルから聞かされたのよ。メカトピアの神話を。『地球人がまだ石器時代だった、遠い過去に、銀河の片隅に文明の栄えた人間の世界があった。しかし神は傲慢な人間達を見放し、無人の惑星に降り立つとアムとイムというロボットを創り、天国のような社会を作れと命じた。神によって創られたアムとイムは子孫を増やしていったの。メカトピアの住民はアムとイムの血を受け継いでいる子孫なのよ」

しずかは歴史を変えた過程で、その神自身、つまり人間を見限った科学者と出会っている。その科学者は愚かな行為を続ける出身星の人間を見限り、自分がロボットを作り、そのロボット達ならば自分が信仰する『天国』を創造できると信じ、アムとイムを建造した。その発展の課程はリルルが『生前』に語っていた。

「でも、なんでそれがどうしてこんな事に?」

「アムとイムは子孫をどんどん作った。その子孫達が発達していく内に、人間の歴史のように、弱者を支配する者達が生まれたのよ。それで奴隷階級が支配階級に支配される事が数万年続いた。その内に奴隷解放戦争が起こって、市民が支配階級を倒して自由を得た。あたしはその時に『まるで人間の歴史そのものね』と言ったわ。過去に地球の人間が世界各地で辿った血みどろの歴史と似てたからなのよ」

しずかは女子らしく、人間の闘争の歴史に嫌悪感を持っているようだった。世界各地の発展の過程で巻き起こる戦争を乗り越えた末に設立されたはずの地球連邦政府は自分のいた20世紀末頃からすれば、『民族間のしがらみを乗り越えた理想』のはずだった。だが、実際はその地球連邦ですらも、時を経て不満を持つ者が表れ、そして戦争になる。地球連邦もビンディランス事件で中央集権派が打倒され、地方分権が進んだものの、未だに中央集権を目指すタカ派はおり、ティターンズ残党を支援している。しずかは地球連邦時代を向かえてもなお、戦争を続ける人間達に呆れている節があった。

「あの時、リルルはユートピアを目指した。自分の存在を『天使』だと言ってね……でもそれがどうしてこんな事に……」

「しずかさん……」

――リルルがその身を犠牲にして行った行為は確かに成功した。だが、バタフライ効果で軍政の出現を遅らせただけに終わったのかと絶望すら垣間見せたしずか。しかし、僅かであるが希望はある。軍政は共和制に取って代わったものの、改変前のように歪んだ思想に染まってはいない。リルルのように、自国の動きに反感を持つ者がいるのだから。そして彼女は知らないが、その中心人物がリルルの転生体であり、かの有名絵画よろしく『民衆を導く自由の女神』となっているのだ。









――また、別の日のギアナ高地 地下基地

「この戦争は労働力人口を欲したメカトピア軍政が始めた。だが、それは傲慢にすぎん。銀河連邦も宇宙刑事達を派遣して、植民地開放を行っているそうだ」

「この戦争はあと数週間もあれば、本国で革命が起きて終結する。その後の処理はドーリアンのお嬢さんに任せる。あの娘は自らの贖罪を外務官となる事で果たそうとしている。義父を見て育った分、そちらのほうが向いてると思うよ」

レビル将軍とゴップは戦後処理を議論していた。リリーナの素養は、一国の長としても優秀な部位に入るが、気質的に、外務官の方が向いているように思えると、ゴップは言う。生前のドーリアン外務官と知り合いであったゴップはリリーナの事も幼少期から知っていたため、外務官の方が彼女の素質に合っているのではないかと推測する。レビルもそれに同意した。自らの保身しか考えていない大半の政治家より、リリーナのほうがよほど平和について真摯に考えている。ドーリアン姓に戻り、外務官となってまで『戦う』その姿に惹かれる者は多い。自分達もその一人だが。

「議長、ドーリアン外務次官から報告電です。会談は成功裏に終わったと!」

「そうか……ご苦労と返信し給え」



――こうして、地球連邦は和平へ道筋を作る。兵団内の穏健派の情報提供やリリーナを中心とする外交努力を続けた結果、和解への一歩を踏み出す。だが、進退窮まる軍部がどういう手段に打って出るかは予断を許さない。そのために過去からスーパーヒーローたちを呼び寄せたのだからとゴップはレビルに言う。レビルは議会や世論を和平へ誘導するべく、ゴップに根回しを依頼する。この瞬間からゴップの『戦い』は開始された。元帥の称号を持つ(地球連邦軍は称号・階級としての元帥がある)彼は現在も軍部に歴然たる影響力を持ち、政財界にも影響力を持つ名家の出という意外な出自の持ち主。レビルはゴップを信頼しており、レビルが軍に復帰するのに貢献したのもゴップ派閥だ。こういうあたりに彼が政治的に優秀であるのが伺える。

「レビル、安全保障会議の長老達には私が話す。君は前線指揮に専念しろ」

「助かる」

レビルは前線指揮官としての素養に恵まれ、すべての教育課程を主席で卒業している。だが、そんな彼の盲点は『軍人として実直にすぎる』ところである。実地主義なのも兵に受けるが、官僚型軍人達には疎まれる。ゴップは一年戦争中はレビルの擁護に回った。それ故、レビルのタイムスリップ後は以前より関係は改善している。レビルは自らの不在時に危険視していたジャミトフ・ハイマンやジーン・コリニー派閥がティターンズを作っていた事に憤慨しており、エゥーゴの政治的影響力維持に務めた。そしてそれは成功した。


「次の戦争は宇宙人か、ジオン残党か……どっちだと思うかね?」

「ジオン残党はしばらくは表立った行動は取れんだろう。だが、赤い彗星が生存しているという未確認情報がある。サイド3の共和国のタカ派が残党を支援している情報が伝わってきた。ある一定の規模には立ち直っていると見るべきだろう」

「宇宙人の方は?」

「白色彗星帝国亡き後のアンドロメダ銀河は混乱し、別の銀河の帝国か何かが来る可能性がある。ヤマトを近代化させておこう」

数々の武功を上げた伝説の存在ではあるが、スペック面で旧式化している宇宙戦艦ヤマトを新鋭艦と同レベルにまで大規模近代化するプランは既にこの時、承認されていたのが伺える。そしてそのプランは実行され、ヤマトを第一線級の性能に押し戻す一助となるのであった。そのための新型波動エンジンの試作機がギアナ高地の地下試験室で静かに唸りを上げていた……。



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