――ヒーロー達と共に突撃を敢行したなのはと箒。箒にはある火器が渡された。それはビッグワンが自分のルートを通して手に入れていた物であった。

「こ、これは……?」

「激戦になるだろうから渡しておく。ギガストリーマー。20世紀の末に日本警察が制作した、レスキュー補助と犯人制圧用のプラズマガトリングとドリルを兼ねたツールだ」

「ん?待って下さい。プラズマって……当時の科学力では不可能じゃ……?」

「事の起こりを話そう。旧日本軍は追い詰められた戦争末期、ロボット兵器で戦況逆転を目論見、当時の平均水準を超越したバード星やデンジ星の科学を部分的に手に入れ、活用し始めた。その計画の一環で『超人機計画』というロボット兵器量産計画が陸軍によって遂行されていた。一見して当時の平均技術水準では夢物語だが、バード星やデンジ星の技術を使えば容易なことだった。実行に移されたのは、日本連合艦隊が二度目の破局を迎えた1944年6月20日だったと伝えられている」

――そう。宇宙からもたらされた技術を旧日本軍は、いや大日本帝国は使用しようとしたのだ。その決断がなされたのは海軍がマリアナ沖海戦に敗北したその日。自身の失脚と帝国の落日を悟った時の総理大臣、東條英機が最後に実行させた極秘計画。与太話と一般には考えられていた日本軍の秘密兵器は、この世界に置いては大まじめに研究されたのだ。

「それでそれは成功しなかったんですよね?」

「末期の計画だったから、量産は当然ながら頓挫した。だが、試作機が一機だけ完成したというのは確認されている。終戦と同時に秘匿されたその技術は日本政府の極秘事項として残され、ショッカーなどから得た技術と組み合わせる事で80年代頃に、ある計画が立案された。『機動刑事』計画。ロ◯コップのように、人間を素体にしたロボットを建造するという非人道的なものだった」

「なんか特撮にありそうな話ですね……あなた達がこうしているというのに、非現実的な話にしか思えません」

「それが普通の反応さ。私達自体がイレギュラーと言える存在だからね。当たり前のことだよ。」

「ですね。それでどうなったんですか?」

「その計画は時勢的に必要とされてたが、博士はたとえ志願者が出ても中止をするつもりだった。だが、自分と孫娘を命を張って守った青年刑事を死なせたくない一心で、自身も重傷の身で改造を施し、機動刑事として誕生させた。その機動刑事の存在が日本警察に一石を投じ、以後はパワードスーツを作る方向に切り替えられた。その傾向は80年代末からしばらく続いたが、日本が不況になった時に終焉してしまったが、そのギガストリーマーは最初のパワードスーツ部隊用に配備された最強のツールだよ」

――ビッグワンが存在を示唆した、この世界において存在したいくつかのヒーローやそれを受けて設立された日本警察の特殊部隊。『ヒーローがいる世界では、その世界なりに彼らに頼らないで物事を解決すべき』という至極当然な理論が議論されており、試行錯誤が重ねられたのが分かる。


――しかしいくら救助・犯人制圧用とはいえ、プラズマガトリングなど威力過剰ではないのか?それほど当時の日本はハイテク犯罪があったのか?のび太達は何も言ってないから、のび太達の時代には鳴りを潜めたと考えるべきか?う〜〜む。時代背景と矛盾していて、わからん!

ビッグワンの言に首を傾げつつも、必死に説明を整理する箒。箒から見れば1980年代末から90年代初頭のバブル経済期は遠い過去の時代だ。いくらこの世界においては、太古から宇宙人が飛来していたと言っても、当時の技術力は21世紀以後から見れば拙い。スーパーファ◯コンやPCエ◯ジン、メガドラ◯ブ世代の家庭用ゲーム機が持て囃され、パソコンもメガビット級の容量で大容量を謳って販売され、インターネット以前のパソコン通信が全盛期であった。世に出回っている技術がそのレベルであった時代に、超エネルギーを制御したり、パワードスーツを作り得たのだろうか?そもそも戦時中にロボット兵器を実用化せんとする技術力があるのなら、戦争に負けるはずがない。突拍子がないというのはまさにこのことだと言わんばかりの顔をする。

「だが、この世界ではこれが現実だ。それ故に22世紀前半にはドラえもん君のような意思を持つロボットが人権を獲得し、市民権を得るに至った。統合戦争でご破算になってしまったが……」

そう。22世紀前半が最も総合的技術力で栄えた時代だとはこの時代における認識だ。欧米諸国の所業で一時的に退化し、再興課程にあるこの時代は『軍事的分野やそれに関係する技術だけが異常発達した歪な状態』になっている。恒星間航行艦が量産でき、戦闘機がマッハ20以上で飛び交うような世界だというのに、通信関係は21世紀中と大差ない。通信関係技術が衰退し、更にミノフスキー粒子の登場で携帯電話文化が衰退し、この時代の子供達は携帯電話を歴史上の遺物と認識しているとか。

「統合戦争で何があったんですか?詳しくは聞いてないんで」

「私達も君と似たようなものだ。少なくともAI関連技術の水準が退化したのは確かだ。それが欧米諸国の狙いだったとされている」

「人工知能の発達で人間が取って代わられるのを恐れたとか?SFでは割とポピュラーな題材ですし」

「それだけではパンチ力不足ではある。自分たちも何だかんだで繁栄を謳歌していたのを捨ててまで、何故故に破滅的な戦争に走ったのか?我々のような過去の人間にも理解し難い。皮肉なことに戦うことに関してはその時代よりも発達しているから余計にね」

「ええ……でも安心しました。血に塗れたこの世界にもそんな頃があったなんて」

「人の歴史は戦いの歴史と言っていい。このような時代が来るのは残念だ」

ビッグワンは自分たちヒーローが命を賭して守りぬいたはずの地球が、自分たちの争いで荒廃したという皮肉にはやるせなさを覗かせる。しかし兵器に使われる技術が人命救助のために使われていた。それだけでも箒は安堵し、この世界を見なおしたのであった。





――ここで、箒にビッグワンが言った日本警察の特殊部隊について説明する必要があるだろう。時代は日本が経済重視の繁栄で頂点へ手が届きつつあった1980年代頃。当時は繁栄を謳歌する日本であったが、将来的に犯罪の高度化が旧来の警察組織や救急組織、国防組織の枠組みを凌駕してしまうことを恐れた当時の政府と、それぞれの組織の有志が手を組んだ。そうしてその犯罪に対抗するべく、様々な手段を選んだ。一つは旧帝国陸海軍が秘匿していたロボット技術とショッカーなどから得ていたサイボーグ技術を組み合わせて生み出す警官サイボーグ、あるいはアンドロイド計画。これは計画段階でその非人道性から破棄された。しかしながら、紆余曲折を経てその完成形と言える一人の機動刑事が誕生した事で日の目を見た。これが『機動刑事ジバン』と呼ばれた秘密捜査官であった。彼を生み出した計画から更に派生し、当時既に頭角を現していた学園都市の送り出す能力者などへの対抗も含めたパワードスーツ制作計画が開始された。これが政府受けしたらしく、この形式は構想の終焉までの主流となった。3つの部隊が当時の政権によって創立された。『特警ウインスペクター』、『特救指令ソルブレイン』、『特捜エクシードラフト』との大仰な名が与えられており、日本が不景気になり、バブルの名残りの大規模犯罪が落ち着く時代までの活動が確認されている。彼らのスーツは、機動刑事のサポートロボットとして設計されつつあったものの一体をパワードスーツとして更に改設計したのが最初(残り二体はそのままロボットとして制作されたとの事)であるとされる。最初に組織されたウインスペクターの用いた第一世代型は「クラステクター」と呼ばれ、機動刑事のサポートロボの設計流用を匂わせる意匠が残っている。性能的には申し分なかったが、装着可能時間が短いという欠点が明らかになり、性能改善が進められた。ソルブレインに配備された第二世代型の「ソリッドスーツ」では30分へ延長され、エクシードラフトの第三世代型では安定性重視のために自動装着は必須とはされなくなったという。彼等は日本での任務を終えた後も海外も重宝されたものの、やがて日本が経済力に陰りを見せた2000年代を迎える頃に学園都市への接近で国防などの費用削減などを考えた野党から批判されるようになり、日本の財政が傾きつつある時勢なのも相成ってついに解散された。だが、その野党らの批判は彼等自身にしっぺ返しが来た。政権交代後の2010年代を迎えた時の大震災と戦争で、彼等の政権が学園都市を制御出来ない事が露呈し、更に学園都市が事実上の独立国であるのを示すかのように、大震災への大規模支援をしなかった事で彼等の戦略は崩壊し、せっかく得た政権の座から滑り落ちる結果を産んだ。この頃に3つの特殊部隊の元メンバーが警察OBの支援で独自に大震災の救助活動を行ったのが確認されており、それが確認されている限りの最後の活動であったという。

「ギガストリーマーはその種のツールの第一世代型で、反動圧力が20G以上にもなる。そのために使いこなせたのは二人しかいない。後継型が作られたと同時に予備装備へ回され、長年保管されていたのを、私が取り寄せた」

「動きは止まるから支援に徹するのが上策と言うことですか?」

「そうだ。いくら君のそのスーツが高性能と言っても最大25Gにもなる反動圧力を相殺するのは至難の業だろう?」

「はい。いくらなんでもそこまでの反動の相殺は無理です」

箒は赤椿のPICが高性能と言ってもそこまでの反動を抑えこむのは無理であると同意する。箒は知らないが、IS学園にあるラファール・リヴァイヴの火力増強型『クアッド・ファランクス』は7連装ガトリング砲4門の反動に耐えるために移動を捨てて砲台としての運用に徹している。それよりも遥かに火力があるギガストリーマー(当時の計測では、当時最新型のM1エイブラムス戦車を数秒で消滅させるとの事)を撃つのなら、それよりも強力なPICを持つ赤椿でもほぼ砲台に徹しなくてはならないのだ。ギガストリーマーの反動に慣れ、現役期間中に使いこなしたのが二人のみであるのもその力の証だ。


(固有武装ではない手持ち火器は照準補助できない。目視でやるしかないな……しかし、射撃武器の経験が浅い私が扱えるのか?)

1980年代末に作られたとは思えないほどに小型のガトリングガン。イニシャルの刻印が示す元の持ち主の名、幾多の困難を乗り越えてきたと思しき使い込み具合。箒は試射を決意する。

「試射してみます。エネルギーチャージ……!」

エネルギーゲージがMAXを示すと同時に、箒はギガストリーマーを試射する。目標は周りに置かれている防衛砲台。しかしギガストリーマーの反動はIS越しでさえ制御しきれないものだった。

「う、うおおおっ!?」

トリガーや持ち手のサイズ的にはISに比して小型気味であるが、それが嘘のような反動が箒に襲いかかった。連射するにつれて増大する反動圧力はパワーアシストやPICで抑えきれず、スラスターを噴射してやっと相殺した。だが、腕の中で暴れるギガストリーマーを押さえつける赤椿の腕部に負担がかかり、装甲や可動部が軋む。

(腕部の負担が大きい。終わったらオーバーホール頼むしかないな……しかしよくこんなものをその二人は扱えたな)

プラズマエネルギーが命中した箇所はもれなく大爆発する。面制圧にはこれ以上ない武器であるのが確認された格好だ。しかし箒の腕では真に使いこなせた二人のような精密射撃は不可能なようで、殆ど当てずっぽうの射撃である。命中率は30%も行けばいいほうだろう。


(恐ろしい武器だ…。しかし、こんなものをレスキュー用の装備としてどう使ったのかが気になるな。ISでも多用は無理な武器だぞ……?)

ISの機構に負担がかかるために多用は無理と踏む。(ちなみにクラステクターやソリッドスーツはオーバーテクノロジーを含んでいたが、それでも当初は反動制御に難儀したので如何に反動圧力が激烈なのが伺える)



「こんなものをその『彼ら』は用いていたのですか?」

「そうだ。後継武器であるパイルトルネードが開発されるまで使用された。こういう状況を乗り切るには最適な武器だ」


ビッグワンがどうやってこれを取り寄せたのか?それは彼が日本警察にコネクションを持っており、それを最大限利用したからだ。

「ん?誰だ!」

一同が通路を走っていると、何者かと遭遇した。一号ライダーの声に誰もが身構えるが、それは通り抜けフープで基地に侵入したドラえもんズであった。

「待て、おれ達は味方だ!撃つな!」

「すると、君たちがザ・ドラえもんズか?」

「そうだ。ドラえもんから話は聞いてないのかよ?」

憮然とするキッド。世界各国を模した姿であるザ・ドラえもんズであるが、その構成は日米中露以外の主要国の英仏独が含まれていない。箒はセシリア・オルコットとシャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒがこの場にいれば憤慨するであろう国の組み合わせに、なんとなく可笑しくなる。

「遅いよ〜キッド君」

「コイツが寝てたもんで、探すのに手間取ってな。」

「オレのせいかよ」

「ドラえもん君から聞いてます。あなた達がドラえもんズですね?」

「そうであ〜る。吾輩はドラメッド三世。ここにいるのは皆、ドラえもんの学生時代の親友である」

「ドラえもん君、学校行ってたんだ……意外だなあ」


なのはがいの一番にコミュニケーションを図る。彼女が物心つく頃には故郷でのドラえもんのアニメは代替わりしており、ドラえもんズの存在は兄や姉たちから話に聞いていただけなのだが、全員の本物と対面できたのが嬉しそうである。やはり何だかんだいっても歳相応の少女なのだと箒は実感する。

「と、いうわけで俺たちザ・ドラえもんズはあんたらに協力するぜ」

「君たちも道具を持っているのか?」

「そうです。私達は基本的にひみつ道具を持っています。ただ持っている道具に個人差がありますが」

「それぞれのモチーフにちなむ道具を多めに持ってるのさ。例えばこのオレ様、エル・マタドーラはドラえもんのものより高性能なひらりマントを持ってる。ドラメッド三世はアラビアンナイト風、あそこのサッカーバカ……もといドラリーニョはサッカー関連の道具が多い」

エル・マタドーラと王ドラが解説する。王ドラは緊急時故か、女性に弱いところは今のところ見せていない。基本的にドラえもんと同型機な彼等だが、モチーフになった国々にちなんだ側面が多い。キッドはアメリカへの愛国心が強く、王ドラはブ◯ース・リーにでも憧れているのか、拳法に傾倒しているなどだ。

「ドラえもん達の位置はつかめたのであるか?」

「通信でおおよその位置は掴んでいるが、どうやらどこでもドアの通行を妨害されているらしく、どこでもドアは使えん」


「通りぬけフープは?」

「ん、それはまだ試してないと言っていた」

「あいつ、肝心なときにはダメな奴だからなあ。おいエル・マタドーラ。テメー持ってんだろ?通りぬけフープLLサイズ」

「ああ。買っておいたが、こういう時に役に立つなんて思ってもいなかったけどな。ほれ」

エル・マタドーラが床に通りぬけフープを置き、ISでも楽に通れる道が開ける。ヒーロー達が順番に通って行き、戦闘を開始する。箒となのは、フェイトが最後に通り抜ける。階層をショートカットした一同は即座に戦闘となった。しかし歴史上でも類を見ない陣容のヒーロー軍団とザ・ドラえもんズに勝てるはずはなく、その階層の数万の兵団兵士は一瞬で全滅する。

「俺達に勝てると思ったのが大間違いだぜ!」

代表して決めポーズを決めるニンジャレッド。ヒーロー軍団の中では活動年代が新しい部位に入るカクレンジャーであるが、モチーフが忍者の割には『全く忍んでいない』。彼等は由緒ある忍者の子孫の割にはハリウッド系の臭いがあるのは気のせいではないだろう。

「う〜ん。かっこいいことにはかっこいいんだけど……なんか違うような?」

「彼等はステレオタイプ的な忍者像の集大成的なヒーローだからね。実際の忍者と剥離するところがあるのは、まあご愛嬌さ」

フェイトはカクレンジャーが気になるようだが、それにバルイーグルが補足する。フェイトは地球に住むことになった後に、地球のあらゆる本に目を通したのだが、どうにも負が落ちないようだ。

「よし、この階層は制圧した。降りるぜ」

エル・マタドーラが二個目の通りぬけフープを取り付け、三層目への道を作る。いいショートカットであるが、なのはとフェイト、箒は何かのTVゲームのような感覚に囚われたという。









――グレートマジンガーとマジンカイザーは対峙していた。一体の禍々しい魔神と。生物的なフォルムのそれはマジンガーの意匠を持っているものの、Z、グレート、カイザーのどれとも異質な悪魔的狂気を纏っていた。

『久しぶりであるな剣鉄也。それに兜甲児……』

『テメー、地獄大元帥……いやドクターヘル!?馬鹿な、テメーは死んだはずだ!?』

『儂は死なぬ……貴様等に復讐を果たすまでは何度でも蘇るのだ。特に兜、貴様等の一族にな!』

『なんで俺たち家族を付け狙う!二度蘇ってまでやることかよ!』


――ドクターヘルのあまりのしつこさに閉口する甲児。自分ら一族を死んでも付け狙う根性にげんなりする。しかしながらヘルに取っては自分の青春期からの人生を左右した重要なファクターが兜家なのだ。誰からも祝福されず、疎まれた。必死に勉強しても両親でさえ褒めてもくれなかった幼少期と少年期。青年期に天才の名声を得たが、大学の同窓生の兜十蔵に一度も勝てずじまいであった事、片思いの人と十蔵が結婚し、子を成した(兜剣造)事、そしてアドルフ・ヒトラーが成し得なかった事を成そうとした老年期にかつての親友であり、好敵手であった十蔵の孫である甲児がかつてはZ、そして今はマジンカイザーで自分の道に立ち塞がっている事。

『儂は手に入れたのだ。貴様等を倒せる力を!十蔵が破棄した悪魔をな!ヌァハハハハ!!』


ドクターヘルの脳髄はスーパーロボット『デビルマジンガー』のパイルダー部に組み込まれている。声も彼の生前の肉体のそれをコンピュータで正確に再現しているあたり、あしゅら男爵の芸の細かさが伺える。

『味わえぃ我が力を!!』

デビルマジンガーの口部スリットから暴風が吹き荒れる。ルストハリケーン系の武器だ。威力はルストハリケーンが児戯に見える凄まじいもので、超合金製のマジンガー以外の全てを腐食し、塵へ帰していく。グレートがグレートタイフーンを放つが、機体出力の差で押し返され、吹き飛ばされる。

『うわあああああぁ!!』

数十mは吹き飛び、10000mから墜落したグレートはビルを倒壊させながら倒れ伏す。その際にスクランブルダッシュの回路が破壊されたらしく、鉄也がレバーを引いてもスクランブルダッシュは折りたたむ動作もノズルから噴射炎が出る事なく沈黙している。

『鉄也さん!』

『クソ、スクランブルダッシュがイカれた!うんともすんとも言わん!』

『無様だぞ剣鉄也!死ねえぃ!』

デビルマジンガーが爪を倒れ伏すグレートへ突き立てんと動く。鉄也はとっさにサンダーブレイクを放つが、デビルマジンガーは物ともせずにグレートの首根っこを掴み上げる。鉄也はグレートを必死に操縦して抵抗するが、パワー差でデビルの腕を振り払えない。

『鉄也さんを離しやがれ!』

マジンカイザーのカイザーブレードがデビルに向けてお見舞いされるが、デビルマジンガーは指でカイザーブレードを受け止める。

『何だとぉ!?』

ブレードはカイザーのパワーを持ってしても微動だにせず、デビルは逆にカイザーをそのまま持ち上げ、放り投げる。カイザーのボディは傷こそつかないが、派手に吹き飛ぶ。この時、確かに降臨したのだ。悪魔の名を持つ魔神は。それはドクターヘルという悪魔が黄泉帰った事を世に知らしめる一幕であった。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.