短編『次元震パニック』
(ドラえもん×多重クロス)



――さて、1947年の扶桑で起こったパニックは新たな局面を迎えていた。烈風丸にこめられた魔力が異形のバケモノを生み出したのだ。智子と黒江は現状、持ちえる最高の力で迎え撃った。そのバケモノは艦娘のような砲熕武装を備えており、異形でありながら、艦艇を連想させる装備を持っていた。

「何ぃ、砲熕武装だと!?」

黒江Aはとっさに回避する。すると戦艦の主砲級(長門型とほぼ同等)の爆発が起こる。それを潜り抜ける二人。

「危ね……聖闘士になってなかったら粉微塵だぜ」

「私も変身してなかったら死んでたわね、ありゃ」

「さて、お返しだ!私から行くぞ!『我が拳よ!!正義の矢となり、悪を討て!!』アトミックサンダーボルト!!」

先手必勝、黒江はこの頃には習得していたアトミックサンダーボルトで攻撃を仕掛ける。ダメージを与えるのが目的であるため、拳は一点集中ではない。

「ハアッ!!」

智子も続く。アトミックサンダーボルトと斬撃で、『艤装』というべきものの一部が破壊されるが、火力に衰えは見られず、お返しとばかりの12.5inch連装副砲と主砲を連射し、二人を火力で圧倒する。

「綾香、火力負けしてるわよ、どーにかしなさいよ!」

「どうにかしろと言われて困るぞ!おっ!危ねっ!」

砲弾を黄金聖衣の右腕で弾き返す。

「オリハルコン製の黄金聖衣が、そんな砲弾如きで傷がつくかよ!」

勝ち誇る黒江A。黒江Bと比べると性格が熱血漢になっているため、ストレートに感情を表すようになっているのが特徴である。そのため、地上から戦いを見つめる圭子Bは不思議そうだった。

「この世界の黒江ちゃん、智子みたいな感じね。私の知る限りだと、ああやって勝ち誇る事はめったになかったから」

「まぁ、こっちじゃ色々あったから。荒くれ者たちと一緒に仕事してる内に感染った感じよ。智子のビョーキが感染ったような感じだと思って」

「へぇ〜〜。武子、貴方は飛んでないの?」

「部隊長だから、デスクワーク中心になってるのよ、私は。最近はウイングマーク維持のための必要最低限しか飛んでないわ」

「それじゃ智子の面倒は誰が?私?」

「綾香や後輩に頼んでるわ。この数年は綾香がバディだから、その関係でね」

「意外ね……第1F時代の流れで、私だと思ったんだけど」

「貴方には折衝とかの仕事も頼んでるから、そうもいかないのよ。だから綾香に頼んだのよ。傾向も似てるし」

そう。黒江と智子は、ロンド・ベルでもペアで扱われている。それも引っくるめて、武子は黒江を、智子の『バディ』だと説明する。


――智子はバディと呼べる人間を、いらん子中隊ではビューリング、第1F時代では武子、ここ数年は黒江と、数人ほど持つ。そのため、黒江は暇ができ次第、武子やビューリングから、智子の飛行時の癖を聞く(本来の歴史では黒江は智子と別小隊だったため、組んだ事はあまりない)などして、智子をサポートするよう務めた。その内に、黒江の心に若き日の負けん気が蘇ったため、一度喧嘩した1945年頃からは『悪友』となった

「あの子達が仲よくなったのは二年前の事よ。当時、出向先での任務で智子がヘマをしたの。それを綾香が咎めたのよ。それで殴り合いになりそうだったのを出向先の上官が仲裁したんだけど、綾香、バツの悪さを感じたらしくてね……」

――『か、勘違いするなよ!これはお前のためにやるんじゃねーからなっ』――

「とか言って、なんだかんだ言って、智子の汚名返上に協力したのよ。それで部隊司令の事情聴取の時、必死に智子の失敗を庇ったらしいわ。それで一緒に何週間かのトイレ掃除を罰として命じられたの。それから智子は綾香のことを名前で呼び始めたの」

そう。黒江は当初、同じタイプの智子にライバル心を抱いていたのだ。ロンド・ベル配属から一年が経過したある時、智子が任務で失敗を犯し、それがもとで十字砲火を浴びる格好となった黒江は負傷してしまったのだ。智子のミスが原因であったため、黒江はそれを『独断専行』と咎めた。智子は反論し、一瞬、険悪な雰囲気となったが、アムロがその場を仲裁(その時に黒江はアムロに強く叱責された)した。アムロは黒江が感情的に智子を強く責めた事を、彼にしては珍しい、強い口調で叱責。その時、黒江は改めて、自分の愚かさに気付かされた。だが、強く責めた手前、素直に謝れず、その数日後に智子が独断で出撃するのに、『か、勘違いするなよ!これはお前のためにやるんじゃねーからなっ』と照れ隠しの台詞と共に付き合い、戦果を挙げた。その帰りにブライトによる事情聴取が行われた時、黒江は必死に庇った。アムロとブライトは、黒江の弁護と態度、智子の双方に反省が見られるとし、トイレ掃除に罰を留めるが、修正を受ける事で決着をつけた。ブライトの修正は痛かったが、この時の黒江の必死の弁護に智子は感動し、改めて謝罪された事(土下座)もあり、黒江を許した。数週間のトイレ掃除を共にした事もあり、深く友情が結びついた。それが、智子が黒江のことを名で呼ぶようになった背景だ。黒江はこの時、アムロにビンタされると同時に『感情的に怒鳴るな!それじゃ伝えるべき事が伝わらず、敵意を持たせるだけなのが解らないのか!』と叱責された事をきっかけに自らの態度を猛省。自らの口で何を伝えるべきかと考えていき、次第に現在の好人物に脱皮していったのだ。

「それからね、綾香が素直に感情を出すようになったのは。だから、智子と組んでるのは、それへの贖罪もあるわ。綾香、ああ見えて結構、自分の迂闊な発言で他人が傷ついたりするのを気にするタイプなのよ」

黒江は元来、思いやりが強い。それ故、自分の迂闊な発言で智子を傷つけた事を悔いていた。アムロの叱責もあり、『私はなんてバカな奴だぁぁ!あいつの事を何も考えちゃいなかった……』と数日間悩んだ。だが、智子の前では素直になれない自分がいる。自己嫌悪にさえ陥る寸前となった末に、決断した。ツンデレと取れる台詞を言って、智子の汚名返上の独断出撃に同行。この時に二人は改めて、本当に初めて、『お互いに背中を預けあって戦った』。この時に生死を共にし、共に罰も受けた事で真の友情に目覚めた。黒江がその翌年のデザリウム戦役で、自身のトラウマを智子に明かした理由もここに行き着くのだ。

「あの子は優しいから。それは智子へも変わらなかったのよ。それで今じゃ、ああなったって訳」

圭子Bは護衛兼説明役の武子から話を聞かされる。圭子Bも黒江の気質を知っていたため、納得する。そして、上空での戦闘では、黒江Aが動きを見せる。

「穴拭、下がれ!後は私が新技でケリをつける!」

「あんた、新技って何よ?オーロラエクスキューションでも覚えたの?」

「ギャラクシアンエクスプロージョンのほうだよ。あれならチリ一つ残さず消滅させられるからな。再生されても困るから、銀河破砕級の小宇宙をぶつける!」

「分かった!」

智子Aが戦闘を打ち切り、後方に下がったのを確認した黒江Aは小宇宙を最大に高め、一気に畳み掛ける。最大破壊力の技を以て。

「『聞け、星々が砕け散る音を!!』ギャラクシアンエクスプロージョン!!」

その瞬間、銀河をも破壊する凄まじいエネルギーが敵にぶつけられ、空中で凄まじい爆発が起こる。相手は残骸の一つ残さずに消滅し、ギャラクシアンエクスプロージョンの面目躍如となった。ただし、それでも歴代の双子座の黄金聖闘士に比べると威力はかなり落ちるとの事。

「やっぱり本職に比べると落ちるなあ」

「どのくらいよ」

「多分、半分行けば良い方だと思うぜ。それでもマゼラン雲くらいなら破砕できると思う」

「それで充分凄いって」

と、二人は会話をしつつ、地上に降り立つ。

「ふぉぉ〜!何それ〜!ね、ね、ね、説明してくれる?」

「う、うん」

自分の行いを他人目線で見たため、智子はなんとも言えなくなった。だが、容姿の変化を伴う魔力の発露というのは魅力的である。偶発的に得た固有魔法である事を前置きして、説明する。

「え〜!!何それ、何それ、何それぇ〜!ズルい!!魔力は絶頂期、しかも変身して上乗せできるなんてぇ〜!」

智子AとBの間には、『魔力の差』が絶対的な壁となっている。絶頂期の魔力に更に上乗せ強化した戦闘力は凄まじいの一言。黒江Bを容易く撃墜してみせたのだから、当然であった。

「いつつ……何なのよ、さっきの技は!いきなり大爆発とか!」

「あー……ギャラクシアンエクスプロージョンか。説明がややこしいからなぁ。おい、フジ。なんて言えばいいんだろう?」

「そうねぇ。要は星座の力を使うんだし、星辰の力って言えば良いと思うわ。陰陽道的表現だけど」

「流石フジ、冴えてるぜ!要するに、んなわけだ」

「いまいちわからないわね、それ」

黒江BはAより生真面目であるため、Aのフランクさに閉口気味なようだ。同位体でも、気質の違いがよく出ていると言えた。

「んなわけで、私達は現役で戦ってるわけだ」

「現役?それじゃ誓約はどうしたのよ?」

「ああ、あれは空軍設立でチャラになったよ。戦争が激しくなって、エクスウィッチがどうたらって言えなくなってる状況だしな」

――黒江Aはスーパーロボットの凄まじい物理無視ぶりに感化されたため、説明がアバウトになっている。その辺りは甲児や竜馬、忍に感化されたと言える。

「ふう。一仕事終えたし、脱ぐか」

黄金聖衣をオブジェ状態に戻し、箱に収納する。小宇宙が体に滾っているため、黄金のオーラが出ている。

「よっと。これ結構重いんだよなっと」

そう。箱に収納された聖衣は結構な重量があある。黒江Aの筋力でも『重い』ので、試しにBが持ってみたのが……。

「ム、ムムム……!」

ズシンと重量がかかり、通常状態では持ち上がらない。ウィッチとしての力を使っても……

「ぬ、ぬぬぬ……ぬああああっ!」

魔力が黒江Bを包み込み、わずかに動く。だが、それ以上行かない。顔を紅潮させてまで力を入れても、持ち上がらない。だが、黒江Aは……。

「よっと」

二宮金次郎のように、薪を担ぐ感覚で軽く持ち上げる。それを目の当たりにしたBは涙目となる。

「お、お前!いったいどういう筋力してんのよ〜!」

「そんな事言われても困る……」

BがAの腕を掴むが、筋肉量がまるで違う事に気づく。脂肪はある程度あるが、薄く、その下に男性的な硬い筋肉が隠れていた。

「なぁ!?何これ……」

「筋肉だよ、筋肉。鍛えてんだよ、こっちは」

Aは飛天御剣流を扱うために、筋肉量を増やして『頑強な体躯』を造るように鍛えた。仮面ライダー達からの殺人特訓も潜り抜け、刀を毎朝、1000回素振りする、ランニングなどのトレーニングを日課としたこともあり、筋肉量がBと比べると倍以上に相当する。シェイプアップされているため、見かけ不相応のパワーがあり、基礎筋力は下手な格闘家顔負けである。

「だから魔力使わなくても、片手で扶桑刀振り回せるぞ」

「嘘ぉ……」

そう。日本刀は意外に重いのだ。Aは素で片手で振れる筋力を持っている故、『軽やかに演武ができる』のだ。

「どうしてそこまで鍛える必要があったの?ネウロイ相手には必要ないんじゃ?」

「言ったろう?『戦争が激しくなった』って。怪異だけ相手にできた時代じゃ無くなったし、私もそれで死にかけた事がある。だから、力が欲しかったんだよ、何者にも屈しない、誰も悲しまずに済む力を、な」

黒江Aは力を欲した事を示唆すると同時に、智子から返された刀を瞬時に抜刀し、瞬時に鞘に収める。その標的になった鋼材は細切れに粉砕される。刀を振るう一瞬、旋風が吹く。これはエクスカリバーが宿っている故の副産物だ。

「穴拭……今の……見えたか?」

「いえ、私もまったく……。圭子は?」

「同じく……」

三人全員のB側は直感的に『絶対的な実力差』を感じ、絶句する。

「そうだ、穴拭。後で坂本に烈風丸の代わりを用意してやれ。落ち込んでると思うから」」

「OK。あの妖刀恐ろしいわね。破片も処分していい?」

「溶断バーナーで丁寧に焼いとけ。バケモノをまた生み出されたらたまらん」

こうして、坂本の烈風丸は溶断バーナーで焼かれ、屑鉄として処分された。お祓いも行い、烈風丸はこの世から消え去った。坂本Bは『弱った……シールド張れないから、あれでシールドの代わりにしようと思ってたのに』とぼやいたが、その代わりに与えられたものが凄かったので、機嫌が持ち直した。連邦軍が支給しているエネルギー転換装甲製の軍刀である。

「おおぉ〜、凄いなこの刀!」

「特殊金属製の代物で、素で怪異の装甲を切れる切れ味持ちよ。それと。ほい。私も使ってる籠手よ。素で装甲を殴っても破損しないから、便利よ」

「ありがとう。しかし、どうしてそんなものを私に?」

「あんたの同位体も魔力の事で悩んで、周囲と揉め事起こしてたのよ。私達はそれへの有効打を打てないで、問題をややこしくしちゃってね……。それもあって」

そう。この世界において、三羽烏は悩む坂本を助けようとしようと奮闘したが、思いのすれ違いなどで叶わなかったのだ。それへの悔恨から、坂本Bに武器を与えたのだ。


――思えば、この辺りの時だったな。親父さん関連の事で坂本と揉めたの。あいつは64Fの編成にベテランが多いのを指摘して、『前線からエースを引き抜いた』とか言った。勿論、私は『それは違う』と反論した。私は前に『感情的になるな!』って、アムロさんに言われたから、できるだけ感情を抑えて言ってやった。言い負かしたって言っていい。それであいつと言い合ってるのを、ある若い奴に見られた。思えば、そいつが坂本の人生を狂わした元凶かも知れないな。分かったらたたっ斬ってやりたいくらいだったぜ。

黒江は後年の回想録でこう記し、坂本に関する項目を多めにした。これは坂本の『大空のサムライ』の内容が削られていることを、部下の下原定子(最終階級は大尉。旧502の一員で、坂本の教え子)から通報されたのを受けての事で、黒江は真実を明るみにすると決意。1973年に出版する。回想録はそれなりに売れた。『扶桑空軍を長年支える女傑』というネームバリューも効果抜群で、圭子があとがきに寄稿した事もあって、世間に定着していた坂本と彼女らの関係を覆す実像を示すことに成功する。また、坂本の大空のサムライは、その更に5年後の1978年、圭子の知り合いの出版社から完全版が出された。その際には、芳佳、菅野、下原、西沢、竹井などの当時にも軍に残留していた坂本の教え子達や親友が寄稿したあとがきがつき、大ベストセラーとなった。その際の祝賀祭に姿を見せたのが、坂本が黒江達と顔を合わせた生涯最後の機会となったという。(公には)







――さて、智子達は別時空の自分や芳佳達の警護の意味もあり、しばし本土に留まった。その際に、この世界におけるロマーニャの戦いに自分達も参加していた事、また、地球連邦軍の存在もここで明かした。(記録映像にバッチリと、グレートマジンガーやゲッタードラゴン、連邦軍の兵器の姿が写り込んでいるためでもある)

「う〜む……。信じられんな。更に別の世界からの来訪者が世界を引っ掻き回し、更にそれを止めようとする者たちとの抗争、か……。それで何故、ソイツらは現れた?」

「ある学者の推測だが、ある種の帳尻合わせのためだろうと言われている」

「帳尻合わせ?何よそれ」

「歴史には多くの『もしも』の可能性があるが、その中でも『必然』とされる流れってのがあるんだよ。その流れというのが二つの『世界大戦』だよ」

「『世界大戦』!?」

「そうだ。大抵の場合、1914年から18年、39年から45年までの二回起こる。扶桑、大抵の場合は日本という名前だが……は後者の敗者になるのが必然なのさ」

「バカな!?」

「リベリオン相当の国に、資源がない状態で挑んだら負けるのは目に見えてたんだが、戦争に突っ走っちまった結果さ。その流れに持っていくための神の意志だろう」

「何よそれ!世界戦争になったら、今、私達がネウロイ相手にやってる戦争より、ずっと多くの人が死ぬのよ!?それを神様のご意思だが知らないけど、そんなことって割り切っていいの!?」

智子Bが声を荒げる。黒江Aの淡々とした語り調子もあり、余計に効果があった。

「もちろん、私達だって黙ってるつもりはないさ。彼らの力も借りて、防戦中だよ」

そこで、グレートマジンガーやゲッタードラゴン、ZZガンダム、Zガンダムと言った超兵器郡の勇姿が映しだされる。合体し、ハイメガキャノンを撃つZZ、ウェーブライダー突撃をぶちかますZ、サンダーブレークを放つグレートマジンガー、ダブルトマホークブーメランを披露するゲッタードラゴン……。それらの圧倒的な力と、その技術力で改装された既存兵器(大和型戦艦)、登場が早まった未来兵器なども映像に登場する。

「私達はこれらからもたらされた技術で敵に対抗してる。向こうがそれでくるなら、こっちもそれだ。その証拠を見せよう」

そう言って、資料室に皆を案内する。そこには連邦から資料として提供されたF-4EJ(現存機の一つを提供した)が展示されていた。レストア機なので、稼働する。

「こ、これは?」

「奴さんがサンプルとして提供した『F-4E』ファントムU戦闘機。大抵の歴史の流れでは、『1958年』の初飛行になるから、10年前倒しされてる。うちの部隊にも配備されてて、私も使ってるよ」

「すごく大きいな……ジェットなら、速度は出るだろうが、機動性はどうなんだ?」

「いや、これよりも大きい奴はいくらでも出てくる。こいつはその流れを決定づけた、リベリオンの大ベストセラー機だ。これが次期主力だよ」

「複座機を主力にするのか?」

「電探の操作が複雑だしな。複座にしたのはしょうがない。その辺の技術の限界でもある。もっと世代が進めば単座機も出てくるが、更に一世代半後だし。海軍もこれだ」

「こんなでかいのを海軍が?何かの間違いだろ?」

「空母が50000トン超えになるし、元々がリベリオン海軍のジェット戦闘機だしな」

「なんでリベリオン製のを?」

「国産のいいジェットがないんだよ。大抵の場合は戦争の敗戦で軍需産業が無くなった影響で独自開発力が失われたし、うちらも高出力ジェットエンジンの製造に手間取ってるからな。だから、ジェットの時代はリベリオンのライセンス生産なんだよ」

「なんか、すごく複雑だな。それって」

「安心しろ。うちらでは、国産の震電改も製造されてる。こいつには及ばないが、本土のいくつかの部隊はそっちを好んでる」

「震電改、か。宮藤にいいかなって思ってる試作のあれの後継か……なんだかおかしいな」

――震電改。この頃には実機のほうも完成し、今は実戦仕様に改良された『改二』が飛んでいる。どちらかと言うと、対戦闘機向けの性格が強まったのと、F-4系には搭載能力で及ばないが、ドラケンより航続距離が長いために、扶桑国産の『制空戦闘機』として、ティターンズ側の『ハイパーセイバー』、通称『セイバーV』(連邦側の識別名)と争い、後のF-15の登場まで『扶桑軍最強の格闘戦闘機』との評を得るに至る。坂本Bはそれを聞いて、安堵するのだった。



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