短編『プリキュア、スーパーロボット大決戦2』
(ドラえもん×多重クロス)



――プリキュア達はスーパーロボットとの共闘を行う事になった。彼女らの本来の敵『ボトム』は意に介されなくなっていた。仕方がないが、守護聖竜『ウザーラ』は真ゲッタードラゴン、ゴッド・マジンガー、マジンエンペラーGが一同に介するほどの力を持つ。ボトムはそれらと比べれば劣るのだ。

「さて、ボトムは俺が始末する。ああいうのは空間ごと葬るのが手っ取り早い」

「アンタ、左を?」

「こういう時のために取っておいたんだからな」

黒江はドリームの姿を借りているが、能力はそのままであるため、左腕に宿す乖離剣エアも健在である。その力を使うつもりなのだ。

『キサマラ…ムシスルナ!!』

「げ、ヤバッ!ボトムって奴、ガン無視されてメッチャ怒ってるじゃん!」

「落ち着け、ブラック。ヤツは冷静でなくなってる。そういう時こそつけいる隙が生まれる。ウザーラとやろうって時だ。奴になんぞかまけてやれん」

「ドリーム…?」

『バカナ……、ソノ力ハ……!』

「感づいたか。悪いな。本来なら皆でのソリューションで浄化するんだろうが、ウザーラがいるんだ。お前には完全にくたばってもらうぜ」

『キサマハイッタイナニモノダ!』

「それを聞いた時点で、テメェの負けだ!!」

ボトムは歴代プリキュア達が戦った使役怪物をシャイニングドリーム(黒江)に差し向けるが、その技の前に蹴散らされる。

『デスパーサイト!』

黒江は聖剣を使わずとも、長年の経験で技を多く有するため、普通に敵を葬ることができる。ガイキング・ザ・グレート(正確にはガイちゃんだが)からのデスパーサイト(手刀)で第一陣を葬り去る。そして、一筋の雷を纏った流星となりて、怪物の集団を消滅させる。幾何学的機動を見せて。

「は…え!?な、何あれ!?」

「アブショックライね。あの子、こういう時に張り切るのよね。さて、あたしも!」

智子はキュアエンジェルピーチの姿は借りているが、光子力エネルギーを炎となりて邪を討つ。

『光子力を炎に変える!!ファイヤーブラスターッ!!』

胸のあたりで炎が渦巻き、炎球になる。それが弾け、超高熱熱線として放射する。プリキュアとしての技ではないし、浄化の力を持つはずのキュアエンジェルとは対極に位置する『敵を溶かし、倒す』力。これが智子が転生を繰り返している内に得た光子力の力である。ピーチの姿でも好き勝手するところは、黒江と似た者同士、若き日に血気盛んだった時の名残りであった。

『バイオブレード!!』

徒手空拳の名手のはずのピーチが剣を召喚したので、他のプリキュアは大パニックである。智子は格闘より剣戟が好きなため、ピーチの姿を借りていても、それは変わらない。バイオライダーのバイオブレードを借り、百鬼メカと機械獣を斬りまくる。剣技は智子の場合、備前長船を愛用していた過去があるため、若干ながら、佐々木小次郎にかぶれていたと思われる節がある。その名残りで、空中でバイオブレードによる燕返しを見せた。これは平成ライダーのディケイドやジオウの戦いでは、敵味方ともにままあるため、黒江と智子が昭和ライダーの力を使おうと、何ら問題はない。(もっとも、二人は昭和どころか、大正後期生まれだが…)

「嘘ぉ――!?ピーチ、何があったのよぉ!?あの子、剣道なんてガラじゃないはずよ!」

狼狽えるベリー。ピーチの幼馴染だからだろう。そして。

『邪魔だ、どきやがれ!!超電!!三段キィィ――ック!!』

黒江もシャイニングドリームの姿で超電三段キック(仮面ライダーストロンガー)を敢行、ボトムを守るかのように陣取る歴代の使役怪物をぶち抜く。他の歴代プリキュア達は巨大ロボ相手にいささか苦戦を強いられている。一体一体がスーパーロボットと戦える力を持つため、最強形態になっている歴代プリキュア達も一筋縄ではいかなかった。一撃で相手を屠れる力を持つのは、三大スーパーロボットか、修行を積み、自らを鍛えた『四大プリキュア』のみ。第一期プリキュア原初にして最強を謳われしブラックとホワイトも、何も予備知識がない状態で『スーパーロボットと戦うために作られた巨大ロボ』と戦うのは骨が折れる仕事であった。

「いっつつ…、硬った〜〜!?嘘でしょ、キュアレインボー状態になって、パワーは上がってるのに…!」

「光弾にも耐えるよ!単純な力押しじゃ一体倒すのも骨だよ、これ!」

「技の破壊力が相手の装甲に打撃は与えられても、壊すまでには達してないんだわ!!みんな、一体づつ確実に倒さないとジリ貧になるわよ!」

「ありえな〜い!キュアレインボーになってるってのに!」

愚痴るブラックだが、アクアの進言は確かに当たっており、いくらキュアレインボー化していても、相手の装甲が堅牢を誇っている以上、バラバラにかかっていてはジリ貧である。現状、後代のプリキュア達は『修行を重ねた』と公言する通りの力を発揮し、この時点での歴代オールスターズを上回る戦闘能力を見せている。

『ラブリービィィィム!!』

キュアラブリーは目の周りを指で囲んで照準器代わりにし、ビームを撃てる。練度も転生後は現役時代を上回るため、マジンガーZの『光子力ビームフルパワー』に匹敵する勢いの極太ビームを撃てるようになっている。破壊力も光子力ビームに匹敵するという反則技である。

『ラブリーライジングソォォ――ドッ!!』

ピンクのプリキュアとしては、史上初の剣戟が通常戦闘での選択肢に含まれるプリキュアであるラブリー。第二期プリキュア最後発かつ、第一期プリキュアに近い武闘派である故の戦闘であった。時間軸の都合でラブリーとの面識がないブラック達は度肝を抜かれるが、その次の技も衝撃であった。

『ラブリーシャァァァイニングゥ!!インパクトォォ!!』

修行の成果で、叫びに気合が入るようになった『ラブリーシャイニングインパクト』。本来はビームの照射技だが、エネルギーを相手にぶつける方法も可能であるため、ゴッドガンダムやシャイニングガンダムを知ってからは、エネルギーをぶつける方法を好むようになっているという。ラブリーは戦列に加わってからは率先して戦うのだが、それには理由がある。それを説明しよう。



――予てから、ラブリー/めぐみは彼女の先代のハート/マナの鏡写しのような存在と一部から揶揄されるように、幼少期から現役時代を通し、強烈に『メサイア・コンプレックス』に苛まれていた。ラブリーの頃には伝説視されていた『第一期プリキュア』は昭和時代のヒーローとヒロインから受け継がれてきた『崇高な目的で自己犠牲をしてでも地球を守る』という高潔な精神を備えていたが、ハピネスチャージプリキュアは『利己的な理由で戦う』事がクローズアップされていた。めぐみは『自身のメサイア・コンプレックスを満たす偽善的目的で戦っているのではないか?』という歴代への負い目を抱えたまま一生を終え、転生を遂げたという。つまり、真ドラゴンとの戦闘時には既に『転生していた』事になる。ラブリーは転生前、『世界を救うか、母親を救うか』という自身にとっての究極の選択を強いられたという。持病の病状が重くなり、余命幾ばくもなくなってしまった最愛の母親の治癒を選んでしまったがために、世界は危機に陥った。自責の念に駆られ、自傷行為に走るほどに精神的に追い詰められた彼女を救ったのは、のぞみ、ラブ、響の三者であったという。めぐみ曰く、『町外れの公園で自暴自棄になっていた自分を叱咤し、プリキュアとしての自分に希望を与えてくれた』との事で、詳しく聞くと、母親にさえ『そんな事は望んでいなかった』と否定され、人助けをしていたつもりが、『善意の押しつけでしかない』と否定されてしまい、それまでのアイデンティティが崩壊、自殺未遂にまで及んでしまったという。町外れの人気のない公園で自殺をしようとしたところを、のぞみが止め、ラブと響が事情を聞いたところ、めぐみは『何のために生きてきたのか、分からなくなっちゃった……』と泣いた。響は『身近な人が守れない子に、皆を守るとか言われても、信じられないよ。世界を守るのは、自分の身内を守るついで程度で良いんだよ』といい、めぐみがプリキュアである事を知っていた。そして、仲間と離れていためぐみを倒そうとした敵が襲撃してきて、のぞみ達はプリキュアに変身、応戦。そのまま、シャイニングドリーム、エンジェルピーチ、クレッシェンドメロディと共闘し、チームの危機を救い、最後はピーチが音頭を取った『プリキュア・クローバー・ラブリー・グランドフィナーレ』というラッキークローバー・グランドフィナーレの発展技で世界を救ったと言っている。その出来事を経ているため、のぞみ、ラブ、響を慕っているという。響が真ドラゴンとの戦闘の後に、戦列に加えるのを侘びたところ、『響ちゃん達の役に立てるのなら、あたしは何でもするよ。現役時代、あたしを助けてくれたもの』と語り、三人を恩人として慕っている事を語ったという。ダイ・アナザー・デイが終わった後に修行を終えると、すぐに戦列に加わって戦い、クーデター鎮圧に貢献している。それが彼女が戦いに参加する動機なのだ。現役時代に利己的な理由で戦ってしまった事が彼女を苦しめ、転生後に恩返しという明確な目的を得た事もあり、三人を姉のように慕っている。そのため、三人は喜んでいいのか微妙(同位体が経験している出来事で、自分自身ではないため)だと言っている。ただし、めぐみが慕うことは悪い事ではないため、のぞみは特に上機嫌(日頃から黒江と黒田の使いっぱしりであるため)だったという。






ちなみに、黒江と智子がこの戦いに巻き込まれたのは、休暇を取り、基地に近い地域(21世紀でいうところの神奈川県大和市に相当する地域)にある、智子の縁筋(智子の伯母の従姉妹が嫁いだ旅館らしい)が経営する旅館に宿を取っていた時である。1940年代の扶桑では、大和市はまだ『大和町』で、21世紀の区画とは異なり、長後も隣接する渋谷村の一部であった。厚木基地周辺はまだ未開発の林や丘が広がる『田舎』であった。本格的に開発されるのは、太平洋戦争の長期化で基地周辺が整備されてからである。大和市になるのはそれ以降の時代であるが、史実の大和市と違い、空襲を避けるための地下街も急激に整備され、長後地域が大和町が大和市に昇格する際に取り込まれたため、数キロほど市域が長くなったという。黒江と智子が宿を取ったのは、21世紀世界で言う高座渋谷と桜ヶ丘の中間に所在している旅館で、小園大佐らもよく泊まる隠れ家的旅館である。そこで事態に巻き込まれたのである。


「だいぶ古めかしいネタだが、こいつを喰らえ!火の玉・縦分身魔球!!」

黒江はシャイニングドリームの姿を借りているが、お構いなしにハイドロブレイザーを生成、更にそれを握りつぶして投球する。モーションはアンダースローであり、縦分身・火の玉魔球と言うべき代物であった。これを見たオールスターズのルージュは激しく動揺した。

「へ!?いくらなんでも、そんなのありぃ!?だいたい、何十年前のネタよそれぇ!」

「お前、サッカー一辺倒と思ったが、野球も分かるんだな」

「弟がいるから、まぁ…」

「ダイヤモンドを劈いて、バッターもキャッチャーも吹っ飛ぶぜ、これ」

「だから古すぎだって…」

ルージュはドリームが他人と入れ替わっている事は承知しているのだが、ツッコミ要員ぶりは微塵も衰えない。黒江のチョイスが2010年代から数十年は昔の野球漫画だと言うことにも気がついている。

「まだまだ、バリエーションはあるぜ。蜃気楼の魔球とかな。サッカーには馴染みはなくてね」

黒江は大正世代であるため、野球が最先端のスポーツである。黎明期の名選手達の本物を知る世代であるため、野球に親しむ一方、サッカーに馴染みがない。

「貴方、聞くけど、いつの生まれなの?サッカーに馴染みがないって」

「ややこしいんだ、これが。お前らのひいばあさんでいいくらいだ。大正の大震災より前だよ」

「はぁ!?」

「言ったろ?ややこしい事になってるって。その辺りをいちいち説明すると、ハリウッド映画一本分の時間がいる。お前には他のプリキュアに大まかな事情を説明する役目を負ってもらうぜ」

「ち、ちょっ…待ちなさいよコラァ!」

「俺は仕事があるから、お前らは連中の相手を頼む!三大スーパーロボットと未来のプリキュアがいるんだ、安心しろ!」

「その説明、あたしに丸投げする気〜!ツッコミは好きでしてるわけじゃないのにぃ〜!」

コミカルに涙目のルージュだが、戦闘そのものは三大スーパーロボットの圧倒的破壊力、修行を積んだ後代の四大プリキュアの力が示され、ハートキャッチが現役前期の頃のオールスターズは相対的に見劣りする戦力であった。

『真!ゲッタービームランチャー!!』

ゲッタードラゴンのゲッターレーザーキャノンが進化した『真ゲッタービームランチャー』を召喚した真ゲッタードラゴンは最大出力で放つ。遥かにサイズが巨大なはずの真ドラゴンの龍の口からのゲッタービームをも凌ぐ破壊力を見せつける。空を突き抜け、遥か海王星付近まで達するほどの射程を以て。

『ヒュウ。さすがは真ゲッタードラゴン。真ゲッターも問題外のパワーだぜ』

「さすがに真ゲッタードラゴン。ランチャーを撃つだけでこの破壊力。第一級ドワォ兵器ね」

智子も脱帽の圧倒的パワーである。ランチャーの発射口はゲッター1系列の顔を模したものであり、かなりゴツい。黒江は『イデ○ンガンみてぇだ』と言っており、真ゲッタードラゴンは真ゲッター1すら霞むパワーを持つのがわかる。敷島博士が調整したため、ランチャーにはサイトスコープもあり、額のビーム発振器と接続し、ビームの力をブーストさせる機能も持つ。23世紀時点では、紛れもない最強のゲッターだ。

『俺にもやらせてくれや、リョウ。腕がなまってると、全国の女子高生の皆さんに申し訳無い。ゲッターエレキ!!』

弁慶がポセイドンの機能を使い、ゲッターエレキを放射する。ゲッターエレキ放射機能は真ドラゴンと共通の機能だが、ドラゴンの状態で放つのが両者の違いだろう。

『ほれ、ポチッとな!フィンガーネット!!』

弁慶はどことなく、ノリの良いおどけた側面がある。浅間学園の野球部主将だったはずなのだが。

『大雪山おろし・二段返しじゃーい!!』

フィンガーネットで捕縛した敵を大雪山おろしで投擲し、ストロングミサイルで追撃する。真ゲッタードラゴンは、ドラゴンの状態で三形態の能力を扱えるという利点もあるため、部分的な変形で戦況に対応可能である。

『ちょっと他の存在が混じったかな?ゲッターに身を任せたら色んな経験させられたんでな』

「弁慶さん、面白い事になりましたね」

『同位体は娘を持ってたしな。それも含めてるぜ、わしゃ』


微笑う弁慶。そして。ポセイドンとしての最大の武器。

『ゲッターダブルサイクロン!!』

レザーをプロペラに変形させ、拳を引っ込め、小さいポセイドンの頭部がせり出す。サイクロンの制御機構を扱うためだろう。暴風で敵を吹き飛ばす。それを見たマジンガー勢も続く。

『ルストストリーム!!』

『ルストタイフーン!!』

強酸が混じった暴風が吹き荒れる。この世のものとも思えない暴風で敵はボロボロに腐食し、朽ち果てていく。

「私も続きます!」

フェリーチェは鉄也からの承諾を取ってのサンダーブレークを披露する。300万ボルトの放電で雷を起こし、30万メガワットの瞬間電圧電流をぶつけるシンプルな仕組みだが、魔法つかいプリキュア本来の技でもなんでもない。これはフェリーチェが20年の間の修行で光子力の力を制御した際に会得したもので、原理的にはミッド式の雷撃魔法に近い。

『サンダァァ……ブレェェェク!!』

グレートマジンガーのそれに遜色ない威力のサンダーブレークが敵を討つ。天の稲妻を指で起こしているような構図、天を指差すようなポーズ、フェリーチェの元からの神々しさもあり、どことなく迫力満点である。

「これが『偉大な魔神』の力、そして、私が得た力です!」

「嘘、何あれー!?反則すぎー!」

「流石のブラックさんも肩なしってか?さて、あたしもやるか!」

キュアメロディもMVSを左腕で持ち、右腕で輻射波動を放つ態勢に入る。キュアメロディは紅月カレンとして、『紅蓮特式』までの歴代のナイトメアフレームで戦った記憶がある。その名残りで力が高なると、最強形態で生える翼の色が紅蓮系列機のエナジーウイングと同色になる。これはスイートプリキュアとしては浄化技しか持たない故のもので、必要に応じて紅蓮系列機(特に紅蓮聖天八極式以降)の能力を用いる。MVSは刀身が長刀身化された特式のそれを模している。紅蓮聖天八極式で行っていた『最大戦速からの回し蹴り』も好んでおり、黒江からは『プリキュアと悪魔合体した紅月カレンって言うべきか?』と冗談めかしてのネタにされている。当人も混じり合っている自我に苦笑いだ。

『弾けろぉぉ!!鬼どもぉぉ!!』

量産されたメカ一角鬼に輻射波動を照射、高熱で沸騰させるように爆発させる。

「あたしは……自分の選んだ方法で、未来を切り拓く!!」

輻射波動を決めた後、キメ台詞も言うが、紅月カレン色がかなり濃い。その事もあり、青年のび太からは『最近、互換機が安く出たから初代やったんでしょ?メガテ〇』とネタにされているが、自分は北条響の要素より、紅月カレンとしての要素が強いことは自覚している。それでもキュアメロディには変身できるため、プリキュアとしての自分は消えていないとも言っている。

「あーーーりーえーなーい!!」

「あのねぇ、オウムかインコじゃないんだから、ブラック」

と、智子が『ありえない』を連発するブラックに苦言を呈する。フェリーチェ、メロディ、ラブリーの三人をハートがサポートし、自分たちより凄まじい戦闘を行う。言いたくもなるだろう。ブラックにとってはありえない事のオンパレードなので、連発したくもなるのは人情である。

「んじゃ、何言えばいいのさ、ピーチ」

「うーん……」

ぶーたれられる智子。ブラックは事情を知らないので、ピーチに話してるつもりである。しかし、当時の『現役プリキュア』のハートキャッチがすっかり霞んでしまうどころか、モブ状態である事に気がついたため、気まずそうな智子。だが、この時点では、キュアサンシャインは覚醒前、ムーンライトは力を失っていた時期にあたり、ハートキャッチの初期の二人では『パンチ力に欠ける』のは言うまでもない。まだ現役初期段階の『新人』である二人に無茶はさせられないし、二人の戦死はスイート以降のプリキュアに悪影響が生ずる可能性が大きいため、メロディやラブリーも重点的に守っているが、キュアマリンは不服そうな顔をしていた。


「なんで、私達を戦わせてくれないのよー!」

「貴方たちが死ぬと、あたし達に悪影響が出ちゃう可能性が大きいからね。ここは任して!」

「それが嫌だってんのー!」

ハートに不満をぶつけるマリン。

「キュアハートの言う通りかもしれません…。私達がやられたら、それ以降に生まれるプリキュアに悪影響が生じてしまう可能性は大きい…」

「だからって……先代達や後輩に守られてるのは!」

「我慢を覚えなさい、マリン。熱くなって、周囲が見えないまま突撃しても、最悪の結果を招くだけよ。武田信玄公の兵法でもあるでしょ。動かざること山の如し、ってね」

智子は武田信玄を引き合いにして、マリンを諌める。完全に地が出ていた。智子は気を張っている分には凛々しさを演出できるため、マリンを諌めるには十分だった。

「それに最前線で押してる時に手を出されるのって、信頼されてないんだなぁってモチベーション下がるのよ、勝つことが信じられる時は見守るのも仲間の役目なんだよ」

「意外に…その…ごめん。カッコいい」

バシッと決める智子(外見や声はキュアピーチ)。しかし、ピーチ本来の学業成績とキャラからは些か離れた知的な発言だったため、ベリーは顎が外れかけるほどに唖然としつつ、半信半疑なピーチの正体に近づこうとするのだった。



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