――箒の援軍として参戦した、二大スーパー戦隊メカ。箒も以前、マスクマンと共に戦った事があるが、鳥人戦隊ジェットマンとは今回が初めてだった。並び立つと、グレートファイブよりジェットガルーダのほうがかなり大きい。元々は異次元世界の最終兵器として建造され、それを託されたジェットマンは戦いにおいて活用し、最終的に大破はしたものの、なんとか勝利を収めた。ジェットマンのいた時間軸は、アカレンジャー=海城剛によれば、メカの再建が終わり、なおかつブラックコンドル=結城凱がまだ存命であった1992年の夏頃との事(結城凱は1995年頃、ひったくりにナイフで刺され、親友の天堂竜の結婚を見届けた後に、ベンチに座って、静かに力尽きて生涯を閉じたという記録が残されている。享年、28歳)。暗黒星団帝国の地上軍は掃討三脚戦車を動員したが、当然ながら二大メカの敵ではなかった。


『グレートガン!』

グレートファイブは、マスキードリルのビーム砲を手持ち銃にし、撃つ。威力は掃討三脚戦車に痛打を浴びせられるほどで、攻撃を受けた戦車がよろめく。隙を作ると、すかさず次の一打を放つ。ジャイロカッターである。回転翼をカッターとして転用しただけあり、その威力は十分。脚を斬られた掃討三脚戦車が大きな音と共に、崩れ落ちる。VTOLノズルを持つので、それを吹かしてバランスを立て直そうとするも、脚部の補助が無くなったために、ブースターを吹かしてもジャンプができなくなっていた。そこにグレートファイブがとどめの光電子ライザーを突き入れる。オーラパワーを注入はしていない状態だが、それでも暗黒星団帝国のメカを破壊するには十分であった。一両を沈黙させた後、光電子ライザーを片手に、剣戟を展開する。掃討三脚戦車隊は接近戦に持ち込まれるとは思ってもみなかったらしく、ノズルを吹かして距離を取ろうとする者、慌てて十字砲火を浴びせる者と千差万別になった。グレートファイブは、それらを意に介さず、光電子ライザーを発光させる。

『ファイナルオーラバースト!!』

立ち塞がったすべての敵戦車を一撃で斬り裂く。装甲に被弾による多少の傷はあれど、大きな破損はしていない辺りはスーパーロボの面目躍如であった。







――ジェットガルーダは、レッドホーク単独での操縦であった。再建の際にエンジン出力の向上、操縦系を地球のそれに直し、機体反応速度を上げたりする能力向上策が取られている。これは次元戦団バイラムとの戦いの後半戦で度々、苦戦を余儀なくされた戦訓を反映させたものだ。

(凱……、数年後にお前が死ぬ運命にあろうと、俺達は『鳥人戦隊ジェットマン』だ。忘れはしないぞ。俺達の戦いの日々を)

レッドホーク=天堂竜は、1992年からわずか数年後に、親友のブラックコンドル=結城凱が死ぬ運命にあることを知らされた際、悲嘆に暮れたという。だが、凱はあえてそれを受け入れたような節があり、竜とホワイトスワン=鹿鳴館香が結婚し、生まれてくる子供が男であったら『凱』と名付けてくれと、冗談めかして語っていた(後に激走戦隊カーレンジャーが戦っていた時代に生まれた長男を凱と命名し、その更に数年後に生まれた長女を綾と名づけたそうな)。因みに、天堂竜は意外ながら地方出身という一面も持つ。祖母を『ばっちゃ』と言う辺り、東北方面出身であるのが窺える。


――彼ら鳥人戦隊ジェットマンの活動は、公式には『1994年頃が最後』とされているが、実際にはアカレンジャーの指令で未来へ呼び出されているので、活動実態はかなり異なっている。その一端がその戦いであったのだ。ジェットガルーダは再建後、最初からグレートイカロスへの合体機構が組み込まれており、以前より『最適化』された格好だ。

『ガルドビーム!』

ジェットガルーダは武装こそ少ないが、パワーはジェットイカロスを凌ぐ。そのため、武装の威力も強めである。暗黒星団帝国のメカ群はこの一撃で瞬く間に大破する。そして、右足で思い切り蹴りを入れ、指揮官搭乗の一両を転倒させる。ブーストキッカーとの名称を持つ技だ。

『ガルーダクロー!!』

ジェットガルーダが咆哮し、両腕の鉤爪にエネルギーが集束し、そのまま敵を斬り裂く技『ガルーダクロー』を披露する。その他にも胸のガルーダバースト(この技のパワーアップバージョンが、グレートイカロスのバードメーザーと思われる)を持つ。鳥と人のキメラの姿を持つロボらしい技である。暗黒星団帝国は火災が手を付けられないと怯えたか、この基地を放棄するようで、地上軍は撤退を始める。意外な結果である。空軍も箒との空戦を打ち切って撤退を始め、意気込んでいた箒は拍子抜けであった。武蔵へはレッドマスクが通信を入れ、棚からぼた餅の要領で、本来の目的以上の『東京港奪還』という結果が招来された。戦いの後、東京港で今後の作戦会議が行われ、三者の合議で『スーパー戦隊はパルチザンへ情報、物資を提供し、共同戦線を張る』事が正式に決定された。更に更なる援軍がやってくることも通達された。

「実は、前から声をかけていたんだが、超新星フラッシュマンが地球に帰還してくれることが正式に決定した」

「超新星フラッシュマンが?でも、彼らは確か反フラッシュ現象で地球滞在が不可能になって、帰還したはずでは?」

「フラッシュ星と地球とは凄く離れている。彼らのスターコンドルが帰還して数年経つうちに、こっちでは数百年の月日が経っている。今の地球の科学力ならば、フラッシュ星が元来持つ医療技術と組み合わせれば『反フラッシュ現象』を抑制、あるいは緩和する薬品が出来るはずだ。なので、彼らも了承してくれたよ」

レッドマスク=タケルは、レッドとしての席次は第11番と、古株に位置する。戦隊歴代レッドは仮面ライダー同様に、基本は縦社会となっており、アカレンジャーの言葉一つで、他のレッドを動員可能である。アカレンジャーもフラッシュマンが地球にまた来訪可能かどうかを調べており、何よりも反フラッシュ現象が最大のネックだった。レッドマスクにアカレンジャーは『オーラパワーで反フラッシュ現象を押さえ込めないか』と尋ね、レッドマスクは『理論的には可能だが、反フラッシュ現象を抑えこむには、まず、彼らの体質を元来の地球人のそれに戻すか、体組織を擬似的に、『フラッシュ星系にいる』と錯覚させるしかないと回答した。その言葉がヒントになり、アカレンジャーは科学者であったライブマンに『体組織を擬似的にフラッシュ星系にいると錯覚させて、体内から反フラッシュ現象を抑えこむ』薬品の開発を依頼。それは2201年に完成し、電撃戦隊チェンジマンがシャトルベースでフラッシュ星系を訪れて手渡し、フラッシュマンが短期ではなく、『長期的に滞在可能』な土台を作った。それがレッドマスクに伝えられたのである。

「でも、よく薬品を独自開発出来ましたね」

「ライブマンに協力してもらったよ。彼らは科学者だからね。俺達も協力して、臨床試験したよ」

フラッシュマンに手渡された薬品は『体の生命力の発露である、オーラパワーを引き出しやすくし、その活性化させた生命力で反フラッシュ現象を抑えこむ』滋養強壮剤的な効果があるものだった。反フラッシュ現象が引き起こった場合、最終的には水も摂取不能となり、死に至る。それだけは避けなくてはならないのがフラッシュ星系人の宿命であり、彼らが高度な恒星間航行技術を有しておりながら、星系外へ進出を果たしていない理由である。フラッシュ星の過去の英雄で、23世紀から数えて、数百年前に改造実験帝国メスとの戦いで活躍した『タイタン』が戦死した要因でもあるこの現象は、『フラッシュ星系の人間の克服すべき命題』とされている。奇しくも、地球人がそのフラッシュ星系の命題に取り組んで、対策となり得る薬品を製造に成功し、元は地球人である超新星フラッシュマンに希望を抱かせるのは、不思議な巡り合わせと言えた。



「彼らの到着はいつ頃に?」

なのはは尋ねる。すると、タケルはこう告げる。『正直な所、不明だ』と。理由は『フラッシュ星系付近に『電撃戦隊チェンジマンに倒された大船団ゴズマの残党が彷徨いていて、それに対処する必要が出たらしいと、チェンジマンから打電されたと。

「大船団ゴズマ?」

「かつて、電撃戦隊チェンジマンが戦った、宇宙にその名を轟かせた宇宙帝国だ。銀河連邦も警戒していたが、その支配者が電撃戦隊チェンジマンに倒されたのをきっかけに、組織が瓦解したとされている。だが、規模があまりにも大きかったために、末端まで情報が行き届かず、未だに活動している残党が多いんだ」


「地球で数百年経っても、宇宙じゃ4日くらいの感覚なんですかね?ほら、よくSFでもあるネタですし」

「宇宙は広いからね。この時代に、人類が行けるようになった宇宙は局部銀河群の中の一部にすぎないのさ。この瞬間にも、宇宙じゃ数えきれないほどの星が死に、生まれるんだ。地球や太陽系の大きさなんて、宇宙全体からみればミトコンドリア以下かもしれないよ」

「ミトコンドリアかぁ……なんかでか過ぎて想像できませんよ」

「俺達だってそうさ。宇宙怪獣だって、銀河系だけにいるとは限らないだろう」

「そうですねえ」


「ダイソン球殻も実現していないからねえ。あれなら恒星系や銀河系の全エネルギーを活用できるというが」

「ダイソン球殻?」

「1960年代くらいから言われてる、『高度な宇宙文明が作るであろう『星を覆う巨大な球殻』のことさ。SF読んだことは?」

「あまり。子供の頃は、SFにそんな興味なかったんで」

「俺は中学の頃に本読んだのがきっかけで興味持ったクチでね。スター・ウ○ーズの公開の時に中学生だったのも大きいけど」

「そうだったんですか」

「子供の頃は、人造人間キカ○ダーとキカ○ダー01にハマってたんだが、中学に行ってからは宇宙にも興味持ってね」

タケルはわんぱくな少年期を過ごした後、思春期以後に武道に励む一方、ある程度の天文学の知識も身につけていたのが窺える。そして、いつしか自分がヒーローの席次に加わって戦うようになった事を絡めて話していく。なのはは、タケルに同意する。宇宙の広さから見れば、人類の生存圏などはミジンコにも等しい大きさでしかないからだ。人類は波動エンジンなどを得て『恒星間文明』へ飛躍したが、未だ『ダイソン球殻』の建造には至っていない。かつて、高度な宇宙文明は『ダイソン球殻を作り、一つの銀河系で得られる全エネルギーを利用する文明として進化するだろう』とされたものの、ダイソン球殻を作れるほどに高度な耐熱性・耐衝撃性、加工性を備えた素材は無く(超合金ニューZαは量産性がないために、除外)、まだ理論段階にあった。ダイソン球殻そのものは技術の進歩により、その後の26世紀頃に太陽を覆える規模で実現する。そして、ゲッターエンペラーの時代には、銀河をも覆える規模のものが建造可能になり、地球人類と、その友好国家の生存圏は局部銀河群全体、更におとめ座銀河団を支配しようかという領域に達したという。





――ゲッターエンペラーはやがて、あらゆる種族との戦いを経て、空間支配能力も獲得して因果律への干渉すら超えた存在となり、神を超えた存在へ戦いを挑む。それは果てしない時の流れの中で生き残った地球人類とその友好種族が『神々の眼鏡にかなう』種族となり、宇宙の外で戦うようになるのだ。それは億すら超えた後の年単位の話である……。宇宙怪獣は宇宙の『対知的生命体抗体』である説がある。宇宙にとって、知的生命体の行動など、何ら恩恵がないからだ。だが、実際には『人類を兵器として育成しようとする、神の一派が用意した生体兵器』にすぎない。神は『時天空』を倒すための可能性を人類に見出し、最終的に人類は『ゲッターエンペラー』へ至る。そうさせざるを得ない状況に追い込む神々と、生き残りをかける地球人類の生存本能がゲッターエンペラーを遠い未来に生み出すきっかけになるのだ。人類が『闘争放棄』を議論し出す時、神々は侵略者を、創りだし、あるいは唆して地球に送り込む。全ては時天空に対抗できる種族を生み出すため。時間の概念すらない神々ならばの遠大な目的のために、人類は戦い合っていくのである……。




――話は戻って、パルチザンとスーパー戦隊は共同戦線で一致した。制圧した東京港でひとまずは態勢を整えることにし、基地の再建と、移動本部へ連絡を取り、戦闘機一個大隊を移動させて配置させる事が決議された。

「コスモタイガーを一個大隊か。まあ贅沢は言ってられないか」

「贅沢をいうな。コスモタイガーだって、一応は現行型の戦闘機なんだ。ドラえもんに施設を復元してもらって、当面はここが前線基地になるぞ」

「防衛は俺たちスーパー戦隊も持ち回りで引き受ける。そんじょそこらの軍隊なんて一捻りしてみせるさ」

「頼みます。ところで、グレートファイブって、なんで後半戦で使用した回数が少ないんですか?確かギャラクシーロボを後半は使ってましたよね?」

「それは、グレートファイブの損傷が蓄積して、大掛かりなオーバーホールが必要になったんだが、その時間を確保できなかったのと、ギャラクシーロボのほうが運用上、使いやすかったのが要因なんだ。グレートファイブは俺たちマスクマンが5人揃って乗らないと、ポテンシャルが発揮できないんだが、ギャラクシーロボはロボ自体がオーラパワーを身につけているおかげもあって、極言すれば、俺一人でもフルポテンシャルを発揮できる。その特性もあって、ギャラクシーロボを使ってたんだ」

「なるほど。やっぱりそうだったんですね」

タケルはここで、現役時代のやむにやまれぬ事情を告白する。グレートファイブの使用回数が減った理由は、機体損傷の蓄積が原因であると。ギャラクシーロボの使い勝手の良さも関係したのに、なのはは納得した。マスクマンの活躍は、この頃には元の世界で視聴済みだったからだ。

「俺達の頃はまだ楽なほうさ。竜、お前達の頃になると、スーパー合体でも苦戦した回数多かったな?」

「ええ。自分たちの頃になると、グレートイカロスを以ても、正面から立ち向えない強さの敵が現れたりしましたから、焦りましたよ」

「お前達やファイブマンが現役の時代は激戦だったと聞くからな。ジュウレンジャーのは、神様だから、そんなに苦戦したとは聞かないな?」

「守護獣ですからね。最後の敵も究極形態で破ったっていいますから。どこにいるのか……」

「ジュウレンジャーって、恐竜戦隊ジュウレンジャーの事ですか?」

「そうだけど?」

「ちょっと待ってください。恐竜じゃないのが混じってますよ!?」

「あ、やっぱりそこ突っ込むかぁ」

竜もタケルも至極当然と言わんばかりに頷く。恐竜戦隊ジュウレンジャーは鳥人戦隊ジェットマンが戦いを終えた後に活動していたスーパー戦隊で、爬虫人による戦隊である(ただし、姿は現生人類同様である)。彼らは一億七千年もの昔に栄えた『ゲッター線に適応して進化した爬虫人類』で、その守護獣達が合体した大獣神を戦力にしていたが、明らかに恐竜絶滅後に現れたとされるマンモスやサーベルタイガーが混じっているのは、ジュウレンジャーを知ると、誰もが突っ込むところだ。彼らマンモスやサーベルタイガーが恐竜時代より栄えていたのなら、進化の定説が相当に混乱するのは間違いないが、ジュウレンジャー達が語ってないので、真偽の程は明らかでない。


「だって、サーベルタイガーとマンモスですよ!?あいつら哺乳類じゃないですか!恐竜と縁もゆかりも無い種族ですよ!生きてる時代も更新世だったし」

「う〜ん。俺達も聞いてないから、なんとも言えん…。ジュウレンジャーは最終決戦後は行方をくらましたとしか、ダイレンジャーの連中から聞いてないしなぁ」

竜もその辺は分からないと、お手上げであった。なのはは憮然とするが、スーパー戦隊側もそれ以上は答えようがなかった。ジュウレンジャーが来てくれれば、百万の味方を得たようなものだが、どこへ行ったのかは誰も知らない。彼らが地球の危機に、再び立ち上がってくれる事を祈るしかないのだ。パルチザンは何をどう宛にすればいいのか。いささか不透明感が否めなかった。ただ、一つは判明している。超新星フラッシュマンが地球へ向けて帰還しようとしているのだ。かつて、反フラッシュ現象によって、やむなく離れざるを得なかった故郷を目指して……。

――そして、フラッシュ星に彼らの叫びが木霊する。再び地球へ戻り、危機へ立ち向かうための狼煙を。

『スターコンドル、発進!!』



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