ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 第二部


――ダイ・アナザー・デイの最中にも関わらず、強引に軍縮を行ったドイツ領邦連邦は国内外から批判を受ける事になった。カールスラントにとっては理不尽にそれまで築き上げてきた地位を奪われたため、世情不安が煽られた他、『本土奪還』をモチベーションとしてした軍隊のモラル崩壊を招いた。これに窮したドイツは政策の緩和を慌てて行い、近代兵器の配備を行ったが、その頃には多くの有力なカールスラント将校が日本の義勇兵と化しており、カールスラント軍は瞬く間に人的にも大きく衰退してしまった。カールスラントはせめてのドイツへの抵抗として、44Jvの人員の軍籍だけは予備役として維持させ、カールスラント軍服の着用を遵守させた。それがカールスラント最後の意地であり、多大な費用をかけて育成した将校の完全な流出は阻止したい思惑が透けて見えた――



――対する日本連邦も新規志願数の落ち込みは深刻であった。特にウィッチの志願数落ち込みはダイ・アナザー・デイの凄まじい戦いに反戦運動が起こるほどで、MATとのリソースの食い合いの結果、軍に行くウィッチが46年度は一桁しかいないという有様であった。また、ダイ・アナザー・デイ後は19歳のウィッチの退役も自然と進んだため、軍部は一握りのGウィッチに依存せざるを得なくなった。加えて、教育課程の変更で18歳以上からが兵役と変更されたため、『若いウィッチ』を戦線に供給する事が物理的に不可能となった事が戦線へのウィッチ供給に多大な影響を及ぼした。そのため、兵科の解消はクーデター直後には上層部で既定路線とされ、天皇にも上奏された。だが、昭和天皇は『竹井の存命中は兵科を維持できないものか』と要望を伝え、竹井元・少将の功を否定しないように取り計らった。それは竹井少将の死を以て兵科を解消するという『先延ばし』であったが、彼の功を生前のうちに否定する流れにしたくなかった昭和天皇の策だった。竹井少将はアルジェリア戦争開戦時まで存命し、孫である竹井の予想より十数年は長生きした。それがせめての救いであっただろう――









――23世紀の世界では、野比家、剛田家、骨川家の三家が社会的に高い地位についている。アナハイム・エレクトロニクスにすら影響力を及ぼせるほどで、ビスト家の横暴に立ち向かえると評された。扶桑爵位をも持つ三家はビスト家の抑え込みに動き、ビスト家の権勢に驕っていた『マーサ・ビスト・カーバイン』は目の上のたんこぶである三家の当主の排除を目論んだが、キュアフェリーチェの奮闘で狂いが生じ、偶然に出来事に巻き込まれたゴルゴ13に阻止され、祖父のサイアム・ビストにも『ゴルゴを敵に回すな!』と戒められるなど、踏んだり蹴ったりであった。いくら、ビスト家が数十年の月日を使って地位を得たとしても、元々はサイアム・ビストが中東の貧困層の出である点で、爵位というブランドを持つ三家にある意味では及ばない。それが孫のマーサにとってはコンプレックスであり、名家と呼ばれた者たちの蹴落としに全力を注いだ。同時に自身の父親の一件から、女系社会を夢見ていたが、行動原理は『男性的』なそれでしかなく、それが彼女自身も気づかぬ彼女の限界であった――




――デザリアム戦役の開始前――

――紆余曲折を経て、オーブ首長国連邦から返還された『ストライクルージュ』のコピー機。それは新システム対応改修が施され、諸般の事情で朝日奈みらいに与えられた。そのため、野比家のソファに二体のガンダムが腰掛けるというシュールな光景が広がっていた――

「うーん。どこでどうなったのかわからないよ、いつきちゃん〜!」

「仕方ないさ。連邦が下手にフルサイズでテストすると、デラーズ紛争みたいな事になるんだし、パワードスーツの名目でボク達にお鉢が回されてるからね。君は随分と重装備だね」

「使い所なさそうだけどね、こんなの」

「稼働データは俺のメアドに送ってくれ、みらい。とりあえず、それでしばらく生活してみてくれ」

「わ、わかりました。リコに頼んで、変身した状態で乗ったんですけど、その場合はどうなるんですか」

「エースのケースで確認したが、能力にプラス補正が働くそうだ。いつきのデータは取ったから、今度はお前がやってくれ」

「うーん…。いいんですか?」

「キュアメロディも紅蓮聖天八極式に乗ってるし、今更だぞ」

「……」

みらいはストライクルージュ越しに助けをいつき(もちろん、彼女もガイアに乗っている)に求めるが、彼女もなんとも言えない態度を見せ、みらいは肩を機体越しに落とす。

「いいじゃねーか。暴漢に襲われても、魔法はその姿でも使えるし、それ以前に武装で事足りるじゃねぇか」

「どーいう時に使うんですかぁ!」

「暴漢を脅す時に使えんだろ?威嚇でも大抵の連中はブルるよ」

「そ、そういう問題ですか?」

「ま、こまけーこたぁいいんだよ。直に呼ぶから、それまでは機体のデータ取りを頼むぜ」

黒江の要請は若干の無茶が目立っているが、23世紀でデザリアム戦役が差し迫ってきていた時期にあっては仕方ないことでもあった。当時の地球連邦政府はジムタイプの刷新に消極的である一方で、人気取りの手段としての『ガンダムタイプ』の製造には積極的であったため、野比一族はそこを上手く利用したと言える。

「いいのかなぁ」

「仕方ないさ。買い物でも行こうか」

「こ、この姿で?」

「その機体の稼働データ取りはしないといけないでしょ?」

二人はこうして、ガンダムの姿で買い物に出かけるのだが、その時の写真がシャーリーたちに見せられるわけだ。みらいはこの後、急激に機動兵器に慣れていくが、それが彼女の持つ才能である事を黒江達が認識するのは、もう少し後のこと。








――この頃には野比家の試案は連邦軍に制式採用されており、連邦軍公式プランとしてのお墨付きを得ていた。その内の二種は納入済みであり、フラッグシップモデルと位置づけられる『GX』の完成を待つのみであった。アナザーガンダムの『ツインバスターライフル』に匹敵する『サテライトキャノン』を持つ同系統は連邦軍の新たな象徴として開発されていた。これは隕石やコロニー落としを力で打ち破るためでもあり、地球の人々の切なる願いが込められての誕生でもあった。ジオン残党はそれを『新たな弾圧の象徴』と捉え、量産型MSの数を揃えることよりも『ワンオフの大型モビルアーマーとワンオフのサイコミュシステム搭載機』に傾倒してしまう。ジオンの人材はスペースノイドの世代交代で末期的症状の様相を呈しており、仕方ないといえば仕方なかった。だが、連邦軍量産機がビームシールド標準装備に切り替わりつつあった時代にあってはジオンの既存量産機は陳腐化しつつあったため、ワンオフの大型モビルアーマーやサイコミュシステム搭載機で万一の奇跡を願うのはジオン系組織の常であった――




――月 アナハイム・エレクトロニクス 工場――

「ガンダムXの建造は?」

「現在、3号機が建造開始段階にあります。ですが、ジオン残党はこのガンダムの存在に気づいたようです」

「どーせ、連邦の圧政の象徴とかいうつもりだろう?第一、オーストラリア、ダブリンと北米の穀倉地帯にコロニー落としたのはどこのどいつだっての。」

圭子はアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場を訪れていた。第二プランのフラッグシップモデル『ガンダムX』は既に二機が完成していたが、三号機の建造も始まり、強化型の『ダブルエックス』も詰めの設計に入っていた。これらはのび太発案だが、表向きは23世紀に生きる末裔『ノビ・ノビタダ』の発案となっている。彼はのび太の転生体であるので、事実上、『23世紀に転生しつつも、その時代の末裔として暮らすのび太』と言える。

「言えてますね。これは誰に回すので?」

「分からん。だが、候補は何人かいるがな。ゲリラ戦だから、うちへのビーム兵器の供給は多めにしてくれ。実体弾は温存したいんでな」

「わかりました」

「ノビタダはそちらへの資金提供を増やすそうだ。ダブルエックスの開発を急いでくれ」

「わかりました」

――のび太はアナハイム・エレクトロニクスに回す資金を増やすことで、ガンダムXタイプの建造を促進させる。後に、その内の一機はのぞみの手に渡る事になるが、もう一機はディバイダー仕様を主にして運用され、ノビタダ(のび太)の乗機となる。これはのび太が30代以後は裏仕事がメインであった生き方とは異なるが、ノビタダはのび太の少年期以前の立ち位置を色濃く反映したポジションにいるのがよくわかる――



――23世紀の野比家――

「おかえりなさい、のび太」

「ああ。ただいま。デザリアムの艦隊のワープ反応と重核子爆弾が亜空間で感知されたよ。あと数ヶ月もすれば、爆弾は地球圏に到達する」

調はダイ・アナザー・デイ後、23世紀の野比家にのび太の計らいで『ハウスキーパー』として雇用された。かつての野比家で『家政婦』であったため、『実績』を鑑み、当主のノビ・ノビカズ(ノビタダの父で、セワシの孫)がハウスキーパーとしたのだ。

「あと数ヶ月?準備が間に合わないよ」

「少なくとも、前史よりはマシだよ。ロンド・ベルに新型を回せたし、空母ベクトラの配備を確約できた」

「ああ、本当は衛星軌道防衛のプラットフォームにするはずだった空母」

「あれは恒星間航行できるように実は船体は改造済みでね。ウチの部隊に回された時に波動エンジンを積む事になってる。流石にあれを最初から波動エンジン搭載で完成は無理だったから」

ノビタダは過去ののび太を知る人間の前では『のび太』に戻る。口調は20代当時ののび太のそれになっているため、ノビタダとしての口調と使い分ける必要から、30代以後に取っていた口調は封印しているらしい。

「そういう話だったのに?」

「予定は未定さ。だが、将来的換装は取り付けてある。武装は波動エンジン無しでも駆動できるからね」

「それを恒星間航行艦に直して?」

「そう。前史よりはマシって言うのは、ベクトラが手中にあるからさ」

ノビタダは言う。空母『ベクトラ』(グワダン級を連邦のデザインラインで再構築した大型戦闘空母)こそ、前史には存在しないファクターであり、歴史を変える存在であると。

「そして、前史に存在しない男、タウ・リン。本来なら、僕とドラえもんが出張れと言う輩も出てきてもおかしくない奴だ。だが、奴はのぞみちゃんの運命を左右する相手だ。僕はフォローはするけど、あの子のためにも、奴はのぞみちゃんの手で倒してもらう。あの子の闇はそれくらいのことをなし得ないと、なにかしらの折り合いがつかないだろうし」

ノビタダ(のび太)はタウ・リンの存在を『23世紀初頭時点における『Public enemy』(パブリック・エネミー。意味は公共の敵である)の最たるものと位置づけている。タウ・リンは『破滅主義とアナーキズムをごちゃまぜにしてこじらせた元・ジオン強化兵』である。23世紀初頭の地球圏で最悪のテロリストに位置づけられ、連邦とジオンを諸共に滅亡させようと目論んでいた。更にルウム戦役で破壊されたコロニーを地球へ連続的に落とそうとしつつ、旧ギレン派が目論んだ『月爆破計画』を本命として実行しようとするなど、壮大な計画を立てていた。それを阻止し、デザリアム戦役を勝ち抜く決意であった。そのためのガンダムXである。

「それに、ヤツの動向も気になる。万一のために、ガンダムXとダブルエックスを造らせてるのさ。ユニコーンは封印が協議されてるし、ボラー連邦との戦争で使えるとは限らないからね」

「連邦軍はフルサイコフレームの代替物にフラッシュシステムを?」

「今までのサイコミュシステムと異質なものだけど、ジオンがうるさいフルサイコフレームのMSよりは常識的さ。たぶん、ユニコーンが封印されれば、ダブルエックスが連邦の象徴としてプロパガンダされるだろうな。どこかの世界みたいに、厄介な双子の兄弟がいないのが救いかな」

「確かに」

地球連邦軍はガンダムXを『コロニー落とし』と『隕石落とし』を自前で阻止する切り札として採用した。ガンダムタイプは連邦の象徴たるべきという声に押され、のび太の私案は公式化したのである。

「まさか、23世紀になって『戻る』なんて」

「ウチも立場が変わって、驕ってたところはあるからね、また頼むよ」

調は23世紀の野比家で働き始めた。今度は『ハウスキーパー』として。(かつては家政婦であったため、立場としては上がっている)セワシの父の代まで家政婦として、この時代からはハウスキーパーとして。ある意味では『元鞘に収まった』と言える。

「『親父』は?」

「アナハイム・エレクトロニクスの株主総会に出かけたよ」

「わかった。じきにはーちゃんも『戻す』から、親父が隠居したら、僕が仕切るよ」

「いつ?」

「親父は僕の士官学校卒業で隠居すると言ってる。フォン・ブラウンの別宅で悠々自適だろうな」

この時点の当主である『ノビ・ノビカズ』はのび太の指示もあり、ノビタダの士官学校卒業・任官を以て隠居し、ノビタダが当主に就任する。のび太の指示は後世の野比家では絶対的な権威を持つため、ある意味、自分の転生体を自由にするためにノビカズを早期に隠居させたと言える。

「東京の同じ位置の代替わりしたマンションの同じ階に家、か」

「ウチはススキヶ原に代々住んでたからね。フォン・ブラウンの別宅はこの時代のステイタスを満たすための道具さ」

野比家の本籍は23世紀でも、21世紀と同じ位置のマンションにある。マンションは平均で30年ごとに代替わりするため、この時期には何度目かの建て替えが終わったばかりであった。ただし、23世紀時点のマンションは21世紀の頃より大規模であるとの事。

「兄さん、帰ってたのか」

「ノビヒサか。入隊手続きは終えたようだな」

「ご先祖さまの指示で親父が隠居するって?」

「そうだ。私が任官された後に隠居なされる。挨拶をしとけ。フォン・ブラウンに隠居するそうだぞ」

(切り替え早っ!)

ノビタダは瞬時に、その場に応じた言葉づかいに切り替える。調はのび太が青年期以降に身につけた技能をノビタダは『生まれつき持っている』事を実感した。

「…ふう。ヤツはカンが鋭いし、僕が『転生したのび太』だって事はそのうちに悟るだろうな。ま、それでも兄弟づきあいは続けるけどね」

「大変だね」

「僕は転生を選んだからね。相応に苦労はしてるさ」

「悪く言うやついそうだね」

「君等みたいに、やれ、マウント取ってるだの、どうやっても必然的に起こる戦争を指して、『弱肉強食の世界』って言ってるのは平和ボケ以外の何物でもないさ。一年戦争やグリプス戦役とかさ」

「言えてる」

「戦争を終わらせるための戦いってのを理解してないんだよ、21世紀でブーブーいう連中は。感覚が良くて日露戦争、悪けりゃ戦国時代の感覚でしかない。あるいはマッドマックスか北斗の拳の見過ぎだね。僕たちは一応は職業軍人なんだから」

のび太も転生後は地球連邦軍の軍人であるため、生まれ変わっても公務員である。軍人というのは、平時は訓練と書類仕事と広報業務しかやることはない職業である。そこに如何にして喜びを見出すか。平和な時代の軍人は意外にのんびりできるが、有事になると、軍隊の仕事は過酷を極める。この時代の連邦は戦乱期にあったため、有事即応部隊であるロンド・ベルはもっとも過酷な任務を担う部隊である。そんな中でも、平穏は存在する。

「軍人は基本は自衛官と同じようなもんなんだよ。違うのは、死ぬ確率がそれなりに有る代わりに、それなりに出世すれば、老後は安泰だってことさ」

「自衛官はせいぜい、警備系の会社に天下るか、実家の家業を継ぐかくらいしかないもんね。老後を安泰にする方法」

「そこが問題なんだよ。旧軍は勲章の年金や恩給が出れば、ある程度の目処を立てられてたけど、自衛官はそれがないし、よほど出世しないと、瑞宝章さえもらえない。それが不味かったんだよ」

ノビタダ(のび太)もそこは批判した。21世紀の自衛官は高級幹部まで勤め上げないと、勲章の一つももらえない。(外国軍勲章を貰えば別だが)ダイ・アナザー・デイの時に、扶桑の金鵄勲章や従軍記章の扱いで大揉めになったのは記憶に新しいが、扶桑の財源で年金などが出ると知らされた財務官僚が手のひらを返したために、扶桑軍人から顰蹙を買ったのは言うまでもない。

「できれば、誰も戦争はしたかないさ。だが、やられたらやり返す。倍返しでね。ガミラスを崩壊させて、ガトランティスを滅亡させたように。宇宙戦争は生存競争みたいなところがあるからね。立ち塞がるのなら倒すのみさ。宇宙海賊バンカーとか、危ない組織もいるし、宇宙怪獣だっているんだし」

「ジオンやティターンズだって、相応の事はしたし、因果応報だよね」

「誰しも、お互いに手を取り合えるとは限らないさ。シャア・アズナブルとハマーン・カーンみたいに、ニュータイプ同士で痴話喧嘩した挙句に、二人して同じことを選んだんだ。世話ないね」

のび太はノビタダに生まれ変わっても、一貫して反政府組織などには冷淡である。これはそもそも、のび太の生まれた20世紀最末期からすれば『世界政府そのものが理想』だったからである。地球連邦政府の中興には、のび太達がメカトピア戦役直後に出した『ある談話』も大きく作用している。ジオンがのび太達を敵視しだしたのは『自分達の存在を過去の人間が身勝手に否定した』という理由だが、のび太達の談話は不甲斐ない地球連邦政府に奮起を促す目的で出されたのであり、ジオンなどを批判はしても、その存在を否定はしていない。それなのに、狂信的ジオニストは野比家などにテロを働くようになった。その行為がジオンから急速に人心が離れ始めた理由であり、シャアがネオ・ジオンに見切りをつける遠因であった。

「人は違う考えを持つからこそ、誰かを愛せるしね」

「『ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん』……か」

「え?」

「のぞみちゃんが『いつかどこかの前世』で聞いたらしい言葉さ。あの子は自分の闇に気づいてる。だからこそ、心の奥にある断片的な記憶を思い出した今、今ある生を精一杯に生きろうとしてるんだろうな」

のぞみ自身も自分に宿る闇の事には既に気づいていた事をノビタダは調に言う。のぞみがこの後に、ヌーベルエゥーゴの爆弾テロでりんの記憶という大切なものを奪われ、タウ・リンに敗れ去るという最悪の出来事の連続にも、完全には折れなかった理由は『ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん』という言葉の記憶が蘇っていたのが理由だ。いつかどこかの前世での『自分』の生き様をおぼろげに思い出した節がある彼女は『大切なみんなと未来を勝ち取りたい』との言葉を胸に懐くことで、『闇に飲まれそうになっても、なんとか踏みとどまれる』。ノビタダはのぞみに『レントン・サーストン』としての記憶が部分的に蘇った事を調に明言する。

「まさか、のぞみさんの前世は……!」

「間違いない、レントン・サーストン。綾香さんが見当を前々からつけてたけど、確定したよ」

夢原のぞみは『レントン・サーストンが転生して生まれた存在』。状況証拠だけだが、黒江はそう確信していた。シャーリーに『アネモネ』の要素があったからで、なにかと複雑に絡み合う糸のような何かをを感じたという。ノビタダもその確信に至ったようだ。これがデザリアム戦役が起きる直前ののび太(ノビタダ)らの動向であった。



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