ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 第二部


――職業柄、軍隊らしいこともしなければならないのがロンド・ベルである。デザリアム戦役の最中ながら、ロンド・ベル本来の任務の一つ『反政府分子の摘発』もしなくてはならないのも辛いところであった。ジオン残党はパルチザン運動の邪魔になるからだ――



――シナノ――

「先輩。なんで今回はタイガーシャークであがるんです?」

「ジオン残党の戦闘機なんざ、ドップくらいしかいないからだよ。あれは普通の常識で言えば、局地戦闘機くらいの航続性能しかないからな」


黒江はグアムをロンド・ベルが発つと、すぐにジオン残党に襲撃されたため、64Fで確保していた改造済みのF-20で出撃する。敵はジオン地上軍の主力機のドップだが、この時代には旧式化した機体にすぎないからだ。

「お前はクフィールで出ろ。熱核タービンの暖機運転は済ませてある」

「了解」

のぞみはパイロットスーツを着るのが面倒くさいためか、キュアドリームに変身し、そのまま、クフィールの操縦席に乗り込む。

「綾香、この子にクフィールを?」

「お前だって、ドラケンだろ?ビート」

「いっぺん乗ってみたかったのよ、これ。熱核タービンに換装してあるんでしょ?」

「俺が造ったのは、好事家のマニア向けのホビーの外装を取り寄せてフルスクラッチしたモノも多いが、それは博物館にあったものをコピって造った出来の良いやつだ。乗り回してみてくれ」

「了解」

三人は電子部品、武装とエンジンは共通化している以外は姿形は旧各国の名戦闘機を模したレプリカ機に乗り込む。

「あのさ、エレンちゃん。慣れてない?」

「メルトランディに転生して、民間軍事会社でおまんま食ってたから当然よ。今は正規軍人だけど、やることは変わらないわ。それより…、のぞみ。あなた、本当に戦闘機の操縦ができるの?」

「転生先の都合で技能あるんだよ、あたし。それに、先輩にシミュレーターはずっとやらされてきてるし、実機の訓練もやらされてるんだ」

「ダイ・アナザー・デイの時はパイロットが欲しかったからな。ジェットの癖を覚えさせるのに骨を折ったが、ペーペーのガキよりは戦力になる」

「ついてきなさい。貴方にジェットの空戦ってものを見せてあげる」

「あーもう。レシプロの経験はあるんだけどー!」

「ジェットはレシプロと別物よ」

さらっというキュアビート。クラン・クランとして鳴らした腕はプリキュア化後も健在であるため、ダイ・アナザー・デイ中は途中参加ながら、黒江らに次ぐスコアを叩き出し、金鵄勲章を叙勲している。なお、スクランブルであるが、ジオン残党が少数機で上がっているため、黒江達だけで迎撃したというわけだ。

「敵の数は?」

「六機。それだけで俺達に喧嘩を売ろうなんてのは、よほどの命知らずか、腕っこきだけだ」

「でも、なんで今さらドップなんて」

「飛行機の年式の違いは誤差の範囲だ。パイロットの質で勝負する。それが空戦のセオリーだぞ」

「す、すみません」

「まぁいい。行くぞ!」

三人はジオン残党のドップ編隊を迎え撃った。ドップは一年戦争で使われたジオンの戦闘機だが、空力特性などをほとんど顧みない機体形状である。地球連邦軍が基本的に在来航空力学などを応用した従来通りの形状の航空機を使っているのとは趣を異にしているが、これはサイド3にはノウハウを持つ航空技術者がいなかったため、コンピュータシミュレーション主体の机上理論のみで設計してしまったためだ。一年戦争では空戦能力こそ評価されたが、ガウ攻撃空母からあまり離れられない航続距離の短さが致命的で、ジオン地上軍が連邦空軍に最終的に敗れ去った一因である。



「あれがジオンの戦闘機かぁ。なんか変な形ですね」

「周囲にガウがいるはずだ。よく目を凝らせよ」

「へ、なんでですか?」

「ジオンの戦闘機は熱核タービンじゃないのよ。年代的に。だから、半分はパラサイトファイター的運用で弱点を補っていたって記録があるわ」

「連邦空軍がガウの思想を発展させたのがガルダ級だが、ドップはオデッサとキャルフォルニア攻防戦で生産数の殆どが失われたから、この時代まで残ってるとしたら、あっぱれな連中だぜ」

一年戦争でジオン航空戦力は壊滅している上、アクシズ時代からは『ドダイ付きのMSか可変機で航空戦力を充当する』事が普及したため、ジオンはドップ以上の戦闘機を造らなかった。だが、温存された一部の機体はこうしてゲリラ活動で活用されている。地球連邦軍がVFやコスモタイガーなどを実用化したので、得意分野で対抗するという方針であったが、戦闘機は制空権維持には必須であるのは変わりはない。

「さて、熱核タービンの威力を見せてやるか」

黒江はタイガーシャークを加速させる。機体の外見はタイガーシャークだが、中身はこの当時の新鋭機水準であるため、ジオン兵が呆気にとられるほどの加速力を見せる。同機は1970年代当時の耐G技術では機体の真価を発揮させられずじまいだったが、23世紀の技術を投入した事でそれが可能となった。VFの技術で近代化することで、初めて潜在ポテンシャルを引き出せたという点は特筆に値する。

「伊達に、このエンブレムを書いたわけじゃないぜ!」

黒江はこの頃には『炎の鬣のユニコーン』のパーソナルエンブレムを描くようになっていた。これは前史以前ではエンブレムを正式には決めていなかったため、今回は日本のある漫画から頂いたのである。扶桑で黒江の敵が多い理由が『パーソナルエンブレムを内外に誇示し、撃墜王と吹聴している』という子供じみた理由なのには呆れられているが、扶桑は参謀格を中心に『個人の功を対外的に誇示するのは良くない』という集団主義的風潮が強く、黒江達は戦時の英雄故か、『統合戦闘航空団の時代』が訪れるまでは上層部の主流派から疎んじられた過去を持つ。旧・64F(初代64F)の健在時は江藤がシャークマウスにさえ不満を漏らし、赤松にシメられていたため、扶桑特有の集団主義であった。



――欧州との共同作戦でパーソナルエンブレムが認められる様になったが、それは1939年以降の話であるため、扶桑航空部隊は欧州を知らない者達が反G派、派遣経験組が親G派に分かれ、派閥抗争を行っていた。後に64Fに着任した八木大佐や明樂大佐はこの反G派に属し、広瀬大佐と宮部大佐は隠れ親G派である。なお、1947年に横須賀航空隊が終焉を迎えた際、64Fに転属を志願した横須賀航空の若手が中心となり、『皆でやろうぜ、部隊識別や敵味方識別になるじゃん?』と意見を提出し、士気高揚のために1948年度から容認される。これは自由リベリオンに対する『ポーズ』でもあったが、扶桑空軍の気風の形成に一役買うことになったという。――



「ふん。こっちに気がついたか。だが、対進戦で勝てると思うなよ」

黒江はパルスレーザーとガイア経由で導入したガンポッドの『陽電子機関砲』を斉射し、ドップを落とす。ジオン兵の『放心状態』の表情が一瞬見えたため、敵は『20世紀の骨董品』と侮ったのだろう。

「ビート、そっちはどうだ?」

「問題ないわ。ドラケンなら、簡単に上昇で振り切れる」

キュアビートはタイガーシャークより軽量な機体に乗っている利点を活かし、ハーフループであっさりと相手の後ろを取り、瞬く間に撃墜する。ドップのカタログスペックでの速力はマッハ5とされるが、技術面では従来のジェット機の範疇でしかないため、実際の空戦速度は意外に大した事がない。更にコスモタービン以前の機種であるため、高機動バーニアの使い所は限られる。そこも黒江達の優位点であった。

「ジェットは射撃機会が少ないってのは本当だなぁ。だけど、肉体の記憶にあるシュワルベほどじゃない。これなら鍾馗と大して変わんないや」

ドリームは錦としての記憶から、メッサーシュミットMe262を航空審査部が購入した際の試乗を引き合いに出す。ウルスラが膨れたように、ジェットは『一撃離脱を前提にした高速戦法専門の要撃戦闘機』と考えていたカールスラント空軍は日本連邦が矢継ぎ早に投入するジェット制空戦闘機にプライドをズタズタにされた。本来、カールスラントはシュワルベで『一儲け』して、本土奪還の軍資金を得るつもりであったので、日本連邦が洗練された後世のジェットを矢継ぎ早に投入する事に技術者が反対論を展開したが、『同盟国に最新の図面や燃料噴射装置を出し渋ったのはどこの誰だっけ?』と返され(本当は違うが…)、外交的に立つ瀬がない状況であったダイ・アナザー・デイ。ちなみに、ダイ・アナザー・デイでもっとも、カールスラント技術陣の悲憤を起こしたのがクフィールとドラケン、トムキャットの三種である。いずれもデルタ翼と可変翼という『カールスラントがテスト中の翼型と新機構の完成形』だからだ。

「そう言えば、エレンちゃん。どうして、ウルスラはこれやドラケンに憤慨してたの?」

「あの子は技術屋だから。だけど、あの戦いは物量差を質で埋めるしかなかったから、馬耳東風よ。言うこと聞いてたら、シュワルベでサンダーストリークを迎え撃つ羽目になってるもの」

「言えてる。カールスラント人はカタブツかウォーモンガーしかいないの?」

「あとはお国自慢だ。カールスラント人はこの三つに分けられる。ハルトマンや伯爵は少数派だよ」

「そういえば、カールスラント人はそういう人多いような」

カールスラント人は真面目な気質とお国自慢率が高いが、皮肉な事にお国自慢のせいで軍隊の衰退を招いたのである。カールスラントのお国自慢は有名だが、ドイツからお国自慢を強く戒められたことが原因で、軍隊のモラルが崩壊しかけるという珍事になっていく。日本連邦は自衛隊の空気が扶桑にも広がった結果、軍の風土改革に成功するため、カールスラント軍の急激な退廃ぶりは対照的で、後世に汚点を残す結果になった。

「ドイツは戦後西ドイツの空気に一変させたかったんだろうが、それは傲慢だ。東ドイツの立場がないし、皇帝の威光でまとまってるのを無理に共和制にしようとすれば、史実ナチスへの道の繰り返しでしかない。自分達の古文化のマニアのジオンを見て、どうしても共和制にしたがったんだろうが、カールスラントの世情不安は想定外だった。だから、立憲君主制で妥協したんだよ」

「それがあの戦いの?」

「一種の結果だよ。カールスラントはドイツからの干渉を拒んだけど、戦前の規模の軍隊と量的意味の軍事強国にはもう戻れない。ヤツにできることはモラルハザードの阻止と、軍の近代化くらいだ」

ダイ・アナザー・デイ途中で起こった軍縮のせいで『カールスラント連合帝国』としては目立った成果が残せず、501の管理権もミーナの一件の責で手放したことは『カールスラントの軍事面の栄華の終わり』の象徴であった。日本連邦はウィッチ世界の盟主として君臨するようになる『旭日の時代』をダイ・アナザー・デイで迎えたが、カールスラントは連合帝国化したのも束の間、『落日の時代』を迎えた。対照的な二つの連邦は同位国のスタンスの違いで道が分かれた。日本連邦は繁栄に伴う『血の献身』という史実アメリカ役を演じ、ドイツ領邦連邦は史実の日本役に落ち着き、後に経済的な意味での復興は成る。対して、リベリオンは史実冷戦期の分断国家群の役目を担う羽目となり、最も割を食った国家となるのだ。

「空戦しながらですけど、これからカールスラントはどうなるんですか?」

「立場的に史実の日本が担った財布役に落ち着くだろうさ。俺らがアメリカ役だ。勝者と敗者の役者が違う冷戦期が次の戦争の後に起きるとして、ウィッチの軍での生き残り策は万能性を志向させるしかないな」

「万能性、ですか」

「あの戦いもそうだけど、兵器の近代化がストライカーの進歩を追い抜いた上、平均的なウィッチの旬は10代前半からの八年ほど。タイムふろしきのチートができるようになっても、同調圧力でしないのも多いでしょうから、軍の兵科解消は既定路線になってると思うわ」

「親の圧力で嫁入りさせられるのも多いし。ある意味、平和っちゃ平和だけど」

「あの戦いで、すっかり軍隊の人気が下がったから、当面は俺らが支えない事には、ウィッチの職場確保も覚束かん。日本は公使館前でデモが起きたのにブルってるからな。戦前の日本人は焼き討ちもしてたから、それを恐れてだろうが、社会不安を煽っちゃいけねぇよ」

一同はマルチタスクを普通に出来るため、話をしながらの空戦は朝飯前である。この時に『ウィッチの生き残り策は万能性を極めるしかない』という事に言及されたが、ダイ・アナザー・デイでのサボタージュの結果、ウィッチ兵科の統廃合が世界中で押し進められ、社会不安が煽られた結果、扶桑ではクーデターにまで至った。また、軍人への職業差別意識も興り、田舎でウィッチになっても社会的に冷めた目で見られるという問題が生じたため、扶桑はしばらくの間、内乱の要素が国内に生じた状態で太平洋戦線へ突入する羽目になるのだ。言わば、『ウィッチになれば、無条件で社会的優遇が受けられる』というステイタスが外的要因で消滅した結果、扶桑は太平洋戦線の前に内乱が起こったようなものである。この混乱と戦乱は以後の世界の規範を変革させ、大戦世代のウィッチがウィッチ界隈で絶対的な発言力を持つようになる一因になった。また、ウィッチの世代交代が停滞した点では賛否両論だが、軍隊にとって『つぶしが効かないのに、ある年齢が来ると自動的に転科するしかないウィッチのネガ』がRウィッチ化処理で事実上は無くなったとは言え、人々の意識の変化がそれを受け入れるのを待つしかないという状況はGウィッチの酷使を確定させたと言え、黒江達がデザリアム戦役にも参加したのは、単に64Fがロンド・ベルの一部と扱われているだけではない。ウィッチの今後の立場の激しい変化を慮る扶桑軍上層部のウィッチへの厚意でもある。

「よし、まず一機」

ドップが斜め下からのパルスレーザーにぶち抜かれ、派手に炎上しながら空中爆発する。クフィールでのドリームの初戦果である。

「プリキュアに変身してるからいいけど、普通だったら、耐Gスーツが必須なんだよな、これ」

「エクスギアが本当は必須なんだけど、変身してれば大丈夫よ。それに機体がやられても、そのまま戦えるし、いいことずくめってヤツ」

キュアビートの現在の肉体はメルトランディであるので、実のところ、現在までに出現済みのプリキュアの中で一番にタフネスを誇る。その関係上、ドラケンの潜在ポテンシャルを余すところなく発揮した。近代化改修で更に軽量化されたこともあり、カタログスペック上の最高速がマッハ5のはずのドップが嘘のような上昇力を発揮。容易く背後を取り、撃墜する。

「やっぱり、ドップのカタログスペックはハッタリのようね。この機体についていけないなんて」

「ドップの最高速は大気圏の最上層でしか出ねぇよ。大気圏じゃエネルギー転換装甲以上の素材でも無いと、マッハ3も出しゃ歪む、割れる、溶けるぜ」

ドップはカタログスペックが嘘のような様相を呈し、瞬く間に三機が撃墜される。三機がしばし索敵をしていると……。

「うお、出やがった。ガウだ」

「あれが……って!なんですかあれ!?」

「在来地球航空技術が生み出した怪物の一つだ。だが、落とせないわけじゃない」

母艦と思われるガウが姿を現した。フリゲート艦並の巨体は第二次世界大戦中のいかなる重爆も及ばない。MSを出さないところを見ると、MSを持っていないらしい。連装メガ粒子砲×3とミサイルランチャーを持つが、あくまで対艦/対地兵装であるらしく、戦闘機相手には使わない。対空機銃多数が火を吹くが、所詮は自衛用の武装の域を出ない。

「要はエンジンをやって、速度を落としてから仕留めるわけだ。続け!」

三人は鉄壁と思えるガウの対空砲火の間隙を突く形で、ガウ最大の弱点を突いた。ガウは自身の揚力だけでは浮かぶことも困難なのである。(ジオンの技術者は『無限の航続性能がある』と嘯いたが、実際は燃費が悪かったという)

「すべてのエンジンは破壊するなよ。あんなのに墜落されたんじゃ、後の処理が面倒だ。脅して退散してもらう。今はジオン残党にかまけてられないからな」

「了解」

「まずは右エンジン!」

「武装!」

「左エンジン!」

一同はガウに退散してもらうため、エンジンの全てを破壊しないで、武装の無力化も合わせての撃退を選択した。ガウは図体がデカイため、護衛がいない状況では単なる的である。3人はいくつかのエンジンと武装だけをうまく破壊し、ガウを退散させる。ガウは対空砲といくつかのエンジンを壊せば、『飛ぶのが精一杯』な飛行機だからだ。

「敵、逃げましたね」

「ガウは自衛用の対空砲をくぐり抜けられたら一巻の終わりだし、それに揚力の30%を下方に向けたジェット噴射で賄ってる。その点でも脆い。だから、無力化されると、逃げるのさ」

『ご苦労さん、三人とも。帰ったら話がある。水無月かれんちゃんが参戦を確約してくれた。それと、城戸沙織さんから呼集がかかってるよ、綾香さん』

「何、沙織さんが?なんだろう。俺を呼びだすなんて。なんかあったか?」

『わからないけど、すぐ行きな』

「わかった。智子を起こしてくれ。支度させろ」

『OK』

「かれんさんはどうやって、ウチの部隊に連絡を入れたんだろう?」

「はーちゃんが連絡先を教えておいたのさ。ただ、ね。その世界の君だよ」

「あ、あたし?」

『その世界はまだ、君達の現役時代中の時間軸だろ?君の同位体が不満を顕にしたんだ。りんちゃんがその場を収めたけど、君の同位体は納得しなくてね。こりゃ、荒療治的な手段を講じるしかないよ』

「仕方がない、こっちも切羽詰ってるんだ。最悪、拉致同然でもいいから」

『わかった。はーちゃんに伝えておく』


この時、のぞみはかれんを『拉致同然でもいいから連れてきていい』事をノビタダに伝えた。23世紀では彼が正式にのび太の役目を継承(転生体なので当然だが)したからだ。

「でも、沙織さんが先輩に呼集をかけるなんて。なんかあったのかな?」

『君には伝えておく。個人回線に切り替えてくれ』

「あ、う、うん。…切り替えたよ。なんで?」

『キュアパッションが現れたからだよ』

「せ、せつなちゃんが!?」

『ああ。どうやら彼女、蛇遣い座のシャイナさんの同位体にあたるみたいでね…。シャイナさんが入れ違いでどこかの世界にはじき出されたみたいだから、代役で役目を継承したみたい。それで連絡がぼくに入ったのさ。綾香さんには、沙織さんから伝えてもらう』

「前に、なおちゃんと冗談で言った事あるんだけどさ。まさか……本当に蛇遣い座の白銀聖闘士になってたんだ……せつなちゃん」

『世の中、一寸先は闇さ。彼女だって、まさか自分が白銀聖闘士になるなんて考えもしなかったと思うよ?』

「言えてる。ラブちゃんに言わなくて?」

『来たら、どのみち驚くさ。それにベリーもイーグルトゥフラッシュが撃てるようになってるから、聖闘士技能持ち増えたよ』

「確かに。あれ、こまちさんは?」

『その場で結論出せなかったみたいで』

「こまちさんらしいや。別のあたしにはボディランゲージが必要みたいだね、困ったよ」

『仕方ないさ。君達自身の平行世界自体、君達の現役時代にはおぼろげな感覚でしかなかっただろう?はーちゃんを近い内にもう一回行かせて、肉体言語で説得させるさ。分身ハンマーでも持たせるよ』

「向こうには向こうの都合があるからね。先輩や士さんみたいに開き直って、『原作崩し』をおおっぴらにするほど肝は据わってないからなぁ、あたし。」

『ま、綾香さんは結果的に新たな世界線を一個は増やしたから。君たちも『大決戦』の時に自覚したと思うけど、強くなった力を持ちながら、その世界の人達にどうにも出来ない危機を見過ごすのはフェアじゃないさ。物語を破壊するんだら、どうせなら、徹底的にやった上で新しく創造すればいい。士さんが言ってるようにね。チートと言われようが、そういう事するような敵は自分達の敵なんだから、こっちも相応にチートをし返したっていい。敵だって、そこの世界の力じゃ、どうにもならないのわかった上で攻めてるんだし」

「言えてる。大決戦に参加してないってのが嫉妬のもとかな、そのあたし」

『綾香さんが成り代わってたしね、その間。タネ明かしたから、スプラッシュスターの二人が説明したけれど……納得しないだろうね。こっちの都合だけで、かれんちゃんを連れて行くのは虫が良すぎる』

「うーん。とは言え、こっちも切羽詰ってるんだけどなぁ」

『そのへんは、はーちゃんに任せよう」

ノビタダは『虫が良すぎる』とした。こちらの都合だけで水無月かれん/キュアアクアをつれてくるのはそうだからだ。だが、のぞみ自身の精神状態ががそう遠くない内に破綻寸前に陥るため、緊急事態ということで、結局は半ば強引に連れてくる事になるのである。ことははそのこともあり、後にその世界のプリキュア5に助っ人として協力する事になるが、それは些か未来の話である…。



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