外伝その11


 

−1944年へ集結するスーパー戦隊。サンバルカン、チェンジマンなど、主に80年代に行動していたスーパー戦隊
が先陣として現れ、その力を振るっていた。

「うむ、そうか…」
「どうしたんです」
「菅野大尉、君にいい知らせだ。508の松田少尉が意識を取り戻した」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。きちんと質問に受け答えできているそうだから安心しろ。それと今は508を「大戦隊ゴーグルファイブ」
が護衛しているそうだからこれで安泰だぞ」

発進したコスモシーガルの機内で機長からその報を知らされた菅野はほっと胸を撫で下ろした。

これは嵐山大三郎長官の計らいであった。扶桑海に建設された「第二ニューバルカンベース」に
ゴーグルシーザーとメカを引っさげて合流した大戦隊ゴーグルファイブに指令を発し、統合戦闘航空団の
援護を命じた。ゴーグルファイブはこれに応え、ティターンズ海軍をその超兵器群で撃退し、
更に現れたネウロイをゴーグルロボの「地球剣・電子銀河斬り」で一刀両断。508を救ったのだ。
無論、暗雲を引き裂いて飛来したゴーグルシーザー、3機のメカが合体してスーパーロボットになるというのには
508の誰もが目を丸くしたのは言うまでもない。特に新藤美枝は地球剣・電子銀河斬りに
年甲斐もなく、大はしゃぎ。「あれウチにくれ〜!!」と発言し、小村定恵を慌てさせ、
ゴーグルファイブのメンバーを笑わせたとか。

 

「ゴーグルファイブが!?いっよっしゃ!!」
「良かったですね菅野さん!」
「おう、これで508は大丈夫だぞ〜!!」

喜び合う菅野と芳佳だが、話についてけない坂本とハルトマンは「説明しろ〜!!」と?マーク全開だ。
それに気づいた2人はとりあえず説明をする。飛羽高之から聞いているだけの全てを。

「……と、いうわけなんです」
「なるほどね〜要するにバラバラの時代にいるその……`スーパー戦隊`ってのを一つでも多く呼んであたし達を助けようって
事でしょ〜?」
「そうだ。今は3つくらい来てるらしいぞ」
「うぅ〜む。いまいちよく分からんが、そのスーパー戦隊というのは統合戦闘航空団みたいなものなのか?」
「うんにゃ。ちょっと違うかな?有志の民間人が作った戦隊も多いしなぁ。だけど、戦力は下手な軍隊よりずっと上だし」
「ゴーグルファイブとかダイナマンはそれですしね」

菅野は頭を一回ポリポリとかきながら芳佳と顔を見合わせる。スーパー戦隊と出会い、その関連知識を仕入れた
自分たちも全てをまだ把握した訳ではないからだ。

「それで宮藤が伝授されたあの技はその内の一つの太陽戦隊サンバルカンのリーダー`バルイーグル`こと飛羽高之さん……
サンバルカンは軍隊が作ったんで、メンバーは全員軍人なんですけど、その人は真剣で稽古して、それで開眼したそうで」
「おおっ!」

坂本の目が輝く。真剣での稽古という点に惹かれたのだろうか。と、会話をしている内に機長から「アフリカに入った」と知らされる。

「何っ、もうだと」
「忘れたの少佐。艦隊の機体は輸送機まで全部宇宙戦艦用なんだよー」
「おお、そうだったな。はっはっは」

そう。コスモシーガルはコスモタイガーUやその後継機と戦列を組んで飛行する事が開発時の目的である。宇宙戦艦用の艦載機なので、
その飛行能力はこの時代の輸送機の比ではない。猛スピードでアフリカに
進入。ストームウィッチーズの出迎えと合流した。

ティアナと真美である。ティアナは今日は扶桑皇国陸軍軍服を着ての飛行である。このため、外の様子を確認するためコックピットに
入った坂本は合流してきた扶桑陸軍の軍服を着た外国人の少女に驚きを見せた。

 

「……陸軍も変わったなぁ」

と、目を丸くする坂本。陸軍には堅苦しいイメージがあったからだろう。海軍にしても、外国人(永住・在留含め)に入隊が許された事は
無いはずである。それを陸軍が先に行ったとは……と驚きも一塩であった。

一方、ティアナのほうも黒江や智子から話に聞く「坂本美緒」少佐の姿に改めて感慨深いものがあるようだった。

「あの人が坂本美緒少佐……智子や綾香さん、それにケイさんから聞いてた通りね」
「リバウ航空隊の三羽烏にして、501の戦闘隊長だよ〜」

と、その方面の知識はしっかりと仕入れている真美に呆れつつも坂本の武勇は智子達から聞いている。新兵時代とは180度性格が違うと
智子達の談。特に黒江曰く「アイツ、新米の頃は泣き虫でな。私も慰めてやったことがある
だ。だから私に言わせりゃ
`どこであんな性格になったんだ!?って言いたいぜ`」との事である。

黒江や圭子は新米時代の坂本らを知っている世代である。なので現在の性格とのギャップに困惑しているのだろう。

−そういやスバルの奴も手紙で色々な人達がなのはさんの性格に影響与えちゃって、「元いた時代のなのはさんとは別人」
に育ちそうとか言ってたっけ。人間環境で変わるのよね……ルーデル大佐の教育方針もあるし。

実はルーデルは未来世界に行く前にティアナと会っていたのだ。それでなのはの話を聞き、未来世界で出会った後は
なのはを魔改造……もとい、教育を施しているのは言うまでもない。

その成果は主に戦闘時に現れた。例えば智子の教えの成果で「見敵必殺、指揮官先頭!!」な戦闘スタイルになったり、
流竜馬の課した特訓が原因で、「アレが有機体ならぶち殺す!!メカならぶっ壊す!!」な過激な台詞を時々口走るようになったり、
魔改造を受けたレイジングハートを近接格闘で振り回す(剣やらハルバード)、ルーデルの教育により37ミリ砲を意気揚々と
撃ちまくるようになるなど多大な変化が見受けられる。無論、指揮官として優秀な智子達を見ているので、
少なくとも指揮官としては元の時代の「なのは」より優れた人材となるのは間違いないが、環境の違いで、
ここまで別人化するのは逆に面白いとティアナは思う。

−最も扶桑皇国軍人としての教育を叩きこまれたあたしも人のこと言えたもんじゃないけどね。

 

ティアナは橘花で飛行しながらそう考える。ティアナとて扶桑皇国陸軍軍人として教育され、
今ではストライカーユニットに時空管理局時代の所属小隊「スターズ」の部隊マークをノーズアートとして描くまでに成長した。
撃墜数はネウロイ5機、ジェット機5機。エースの末席に名を連ねている。

(多分元の時代のなのはさんがこの格好見たら腰抜かすかもね)

ティアナの身体には使い魔の耳と尻尾が出現し、時代がかった飛行眼鏡もかけている。
6課時代の仲間に質問攻めにあうのは間違いない。そう思うと逆に笑いたくなるティアナであった。

 

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