外伝その85『望んだ歴史改変2』


――黒江が引いた歴史改変の引き金は扶桑海から数えると、三回目であった。それにより、ミーナとの早期の和解、孝美が欧州にいた事になっていたなどの変化が生じていた。細かい出来事としては、坂本が教官に退いた事により、スリーレイブンズと他メンバーの緩衝に動けた事で、対立が減った事であった。特に効果が顕著だったのは、502/504/506の各メンバーにスリーレイブンズがその腕を奮う模擬戦であった。今回では合流が叶った赤ズボン隊であるが、『世界最強』と謳われたレイブンズの武威には流石に及ばなかった。

「ふーん。これが噂のレイブンズ。記録通り、いや、それ以上ね」

「扶桑海で戦技無双を謳われ、戦局すら動かした伝説は伊達じゃないと言うことね」

旧504司令のフェデリカ・N・ドッリオ、506司令のロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネは、現・赤ズボン隊を圧倒する戦技に唸る。現役時と遜色ない動きをしている事、現役をも上回る機動、そして現役ウィッチが怯えるほどの修羅ぶり。赤ズボン隊は完全に圧倒されている。

「ちょっとぉ!?何よ、このオバサン達!?本当に、去年の前半までエクスウィッチだった人達なの!?」

フェルナンディア・マルヴェッツィは完全に掌で弄ばれていた。レイブンズの単独にも飛行経験、実戦経験において劣る彼女に勝てる道理は無かった。黒江達は未来での飛行経験も入れると、飛行時間はこの時点で1500時間を超えていた。ましてや、極超音速戦闘を経験している三人には、スピードでの一撃離脱など通じない。

「隊長、この人達はこの機体の性能限界を攻めてきてます!」

「えぇ!?嘘でしょ、この機体は最新鋭機の更にチューンした奴よ!?」

「へぇ、誰がオバサンだって?十九、二十は鼻垂れだって教えてあげようじゃない」

智子はカチーンと来たらしく、よく見てみると、漫画で言うところの怒りマークが出ていそうなオーラがムンムンである。この時はキ100をレイブンズが、赤ズボン隊はG55Sを使用していた。カタログスペックでは後者が優れているが、実は格闘性能は前者が圧倒的に上回る。これはレイブンズ仕様として、空戦フラップを実装していた事と、ユニットの高い操縦性が合わさった業である。空戦フラップはA世界においては、紫電改で実用されたもので、その改良型がついていた事、速度差を『ローヨーヨー』に捻り込みを混ぜた機動で帳消しにした事により、フェルはレイブンズに容易く背後を取られたわけである。

「な!?」

「悪いけど、もらったわよ」

「そうはさせないよ!」

マルチナ・クレスピがフェルを援護せんと突っ込んでくる。が、それは予想の範疇である。

「そんな一直線に突っ込んでくるなんて、『狙ってください』って言ってるようなもんよ。……圭子!」

「はいはい」

銃声と共に、マルチナのユニットに模擬弾が命中する。圭子の狙撃である。久々に九九式小銃で狙撃したのだが、のび太に負けじと鍛えたのが幸いし、絶頂期と遜色ない精度で狙撃に成功した。圭子の第一次現役時には、空戦時には旧式の三八式で狙撃していたので、今回が実は九九式での初狙撃であった。反動も三八式より強い(6.5ミリ弾→7.70ミリ弾)のだが、未来で色々と鍛えたおかげで、三八式使用時よりも遠距離からの狙撃に成功した。当人曰く、『デスクワークが多くなってたから、あの子(のび太)に負けたの悔しかったのよね〜。未来でシューティングレンジ行きまくったわよ』との事。この狙撃は高精度かつ、歩兵用装備で狙撃に成功した例なので、注目の的だった。

『すまんなー。Gew98がないから、九九式を適当に渡したんだが』

『こっちの物資はまだ届いてないしね。お前が九九式を持っててくれてよかったわ』

『しかし、Gew98を欲しがるとは思わんかった。カールスラントでは『Kar98k』に置き換えられてるから、今度、ハルトマンに武器庫でも探してもらう』

『そうして。確か、戦間期まで生産されてたウィッチ用にストック切ったのがあるはずだから』

『しかし、驚いたぞ。お前、九九式機銃の原型仕様を取り寄せているそうだな』

『もし、今の装備でジェットと空戦するような事があったら、13ミリ弾じゃ雀の涙だもの。せめて20ミリはないと』

圭子は会話の中で、次善策を話した。九九式機銃などは20ミリに再統一すると。当時、扶桑海軍ウィッチ隊が連戦連敗を喫していた背景に、一人あたりの火力が低いという事実があった。ジェット戦闘機は怪異と違い、ウィッチの攻撃で装甲の弱体化があるわけでもなく、明確に人が動かす兵器であるのがわかるので、ウィッチが攻撃をためらうこと、コックピットに銃撃する選択肢が古参でも取れない事が多い事もあり、容易く返り討ちにあっている。更に、『撃てませーん!』と戦闘放棄して逃亡→輸送空母が大破という事も起こっており、ウィッチ兵科の前途は暗かった。ウィッチ至上主義者が焦ったのも、この『対人戦に使えない』点で、黒江達でなくとも、中央・前線部隊共に、深刻な問題として捉えられていた。それが数年後の64Fが異常に豪華になる大義名分にされた。エクスウィッチ達の反乱も鎮圧された後のウィッチ兵科は存亡の危機に立たされており、扶桑でさえも『ウィッチ兵科不要論』が台頭し、ウィッチ達の居場所が無くなる危機にあった。彼女らは『化物』と、一度は疎んじたスリーレイブンズの威光に頼った。その事が後年にまで禍根を残す事になる。それは今回も既定路線であると言える。


――第二次扶桑海事変において顕現する歪みは、その前段階のこの年代で既に片鱗が見え隠れしており、『一部精鋭以外は役に立たない』とする認識を、扶桑の一般軍人らに植え付けてしまう。それは無敵のスリーレイブンズとそれを護衛する者達の奮戦と、一般ウィッチ部隊の及び腰との落差が激しすぎたためでもあり、その落差に愕然とし、憤慨した者の一人が、当時は陸軍航空参謀になったばかりの『三輪防人』(アニメと違い、『もりひと』と読む)大尉(当時)だった。これが彼の歪みの一因になったのではないかと、実の弟は1970年代に語るが、彼が狂気に堕ちる最初のきっかけが、若き日に『あきつ丸』に乗船時、ティターンズに空襲され、配属されていたウィッチが敵前逃亡をやらかし、あきつ丸が大破した。彼がそのウィッチを激しく殴打し、最後には敵前逃亡の罪で、刀で斬り殺したという事件ということが判明する。それが彼の心に狂気を宿してしまったのではないかと、弟は推測する。そのウィッチの自業自得ではあったが、法務士官不在の状況での独善的な処刑は犯罪行為であったが、彼は軍法会議の陪審員を買収したりする手段で厳罰を免れ、また、親友が法務士官だった幸運も重なった。彼とその法務士官により、太平洋戦争から、彼らが失脚するベトナム戦争にかけて、かなりのウィッチが失態を理由に処刑されている。スリーレイブンズと源田が64Fにウィッチの有力者を集結させたのは、彼らからの庇護もあった。三輪の親友の法務士官の名は『中村正徳』と言い、三輪の幼少期からの親友であり、反ウィッチ思想者だった。彼が吹き込んだ思想が三輪の人生を左右し、運命も彼と共にした事から、『扶桑の恐怖』と渾名されている。彼と三輪がグルになり、処刑したウィッチは10数年の権勢の時代にかなりおり、一度目での記録では、各戦役ごとの合計で150人であったという。その中には、戦中後期に64F戦隊長を代行(武子の療養での代理的な)していた者も含まれており、そのウィッチが処刑された事を知らされた事が、衆議院議員転身後の源田に、スリーレイブンズを日本から呼び戻す決意をさせる。三輪の権勢が衰えを見せ始めるのは、扶桑航空の大家であり、天皇陛下も忠臣と評価するレイブンズの帰還以降の事だ。帰還直後はレイブンズは基地司令という閑職になっているが、扶桑軍航空に影響力を行使できる立場であった。これは未来に属する話だが、三輪と中村が扶桑軍に暗黒時代をもたらし、その復興に江藤敏子が軍人としての後半生を捧げ、江藤の引退後、スリーレイブンズが空軍司令を歴任し、その意志を引き継ぐのである。その後の中興の時代が二代目スリーレイブンズのいる2000年代にあたる――

『個人回線だから聞くんだが、今回もあいつらの台頭は避けられないのか?』

『無理ね。あいつらは反ウィッチ派が太平洋戦争をきっかけに生み出しちゃう『怪物』だもの。生き残るには『政治に興味がない実直な軍人』を演じるしかないわ。この年代のウィッチ達は、第二次事変で予備役になるのも多いから、あまり関係はないけどね』

『そうか……。職業軍人なのは私達だけだからな……それを思うと、寂しいよ』

『仕方がないわ。この年代の子たちは使命感だけで飛び込んだり、家が箔をつけさせるために入れたのも多いし。芳佳だって、あなたと竹井がスカウトしなければ、家を継いでいただろうし』

『今後は私達のように、小学校からそのまま軍人なのも出なくなるしなぁ』

『つぶしが効かないウィッチ出身者は次の戦争で疎んじられるからなぁ。ロジスティクスのロの字も知らないし』

『兵站は近代になってから、ウチだとあまり気にされていなかった分野だしなぁ。私ら世代が最後だと思う。お前らがあれこれ文句言ってたの見てたし』

『そうね。あなたと竹井の世代が最後?三年の教育期間だった』

『いや、私はそのまま少尉に任官して、前線に行ったし、一年半くらいだったぞ。多分、前線に行ってたからだと思うが、醇子の頃までは3年だったのは確かだ』

『お前、兵站の教育やった?』

『私らの頃はカリキュラムの簡略化の試験段階に入ってたから、輜重はあまりやってない。現地で先輩から覚えさせられた』

『これじゃ、連邦軍からどやされるわけだ……。戦技と戦術しか能がないの多いんだわ。お前にはメタ情報があるから良いけど、いるのよね。戦略もまるで出来ないの』

『私らが新米だった頃の古参が『輜重輸卒が兵隊ならば〜♪』なんて歌を歌ったし、日本軍よりはマシだけど、軽蔑の対象だったんだよな。従卒にやらせてた人も多かったよ。醇子みたいに自分でやりたがるのは奇異の目で見られてたよ』

『本当か?ったく、総力戦ってのがどういうのかも分からんガキの多い事……』

『お前、口が荒くなっとるぞ』

坂本が指摘するように、圭子はゲッター汚染が進んだため、イライラしたりすると、口が荒くなる。普段は控えている『ガキ』、『お前』などの荒い言葉を使っているのも、その汚染の片鱗だ。

『連邦軍からなんて言われとると思う?『必要最低限の事しか出来ないようでは、こちらとしても困る』だぞ!連邦軍の方から文句言われるの、佐官の私達なんだぞ!うが――ッ!!』

圭子はイライラが溜まってるらしく、坂本にぶちまけた。扶桑/日本は『編隊長が士官で僚機は下士官で十分と考えていた』が、地球連邦軍からすれば、余りにも無知すぎて、一から十まで指示しないといけない上に、爆撃任務を馬鹿にする』という事を連邦から怒られた事があるし、『ウィッチは地形的要因でしか戦略を立てられない』と愚痴られてもいる。これはウィッチには『相手がどう考えるのか?』という視点が根本的に欠けており、諸兵科連合で戦うという思想すら欠けている。それがティターンズへの連戦連敗の一番の要因であった。特に、開戦劈頭に下手に経験のあるウィッチがティターンズのF-4Eなどを怪異と誤認して攻勢に出たりした結果、返り討ちにされた事例もあるように、経験を踏むと、独断専行の気も出てくる。改変前の智子がそうであったように。ティターンズは開戦劈頭、第三/第四世代ジェットを『力の誇示』のために使い、シンパからの補給が得られるようになったり、リベリオンの生産設備を手に入れるまでは温存に努めた。ウィッチは場当たり的対応に終止し、連邦の援助が得られるまで、マルセイユすら翻弄されるだけであった。(実際、マルセイユはティターンズのエース、コールサイン『クルセイダー』を49年になっても落とせておらず、マルセイユの目標となっている)圭子は二度目の改変では、マルセイユの口からこのことを若い連中に言わせ、『戒め』とするつもりである。マルセイユは当時、既に当代の世界四強と謳われしエースであったので、彼に何度やっても(しかも彼がF-104に乗っていても)勝てず、逆に背後をアフリカ失陥まで取られ続けた。その事がマルセイユを酒浸りにさせた原因の一つだ。

『溜まってるな、お前』

『色々あったのよ、色々…』

『あ、赤ズボン隊の若いのが、智子をなんとか振り切ってこっちに来るみたい』

『お前、オーラパワー使えるんだろ?揉んでやれ』

『言われなくとも。あたしを誰だと思ってんのよ。扶桑海の電光、加東圭子様よ!』

圭子も戦闘になるとやはり、若き日の血が騒ぐようである。

「メディテーション!」

圭子は光戦隊マスクマンからオーラパワーの扱い方を教わり、その発現に成功している。その印は日輪印。レッドマスク=タケルと同じモノである。従って、彼と同じ技を放てるという事だ。フェルは圭子の構えを意に介さずに突進するが、圭子はキ100の加速力をオーラパワーで増強し、電光のように正拳突きを食らわす。ゴッドハンドだ。その際、拳は赤いオーラを纏っているので、フェルは『!?』と驚いて、回避の判断が遅れる。鋭い打撃音が響いたのは、その次の瞬間だった。

「フェル隊長!?」

マルチナとルチアナ・マッツェイが悲鳴をあげる。フェルは口から泡を吹くほどの打撃を与えられ、昏倒寸前だった。圭子は更に応用を見せる。

『私らの事をオバサンと言った代償は払わせる!悪いわね、『ガキンチョ』。……奥義!ゴッドハンドスマァァシュ!!』

と、そのままフェルを掴み上げて、オーラパワーを炸裂させた。(フェルが次に目覚めたのは、ベットの上だったとか)これを地上から見ていたフレデリカは大笑した。

「なーるほど。あれが扶桑海の電光、カトウケイコかぁ。かなり前の世代だから侮ってたなぁ」

「少佐、これでわかったろう?あいつはロートルどころか、現役バリバリと」

坂本と二人で笑い合うが、リーネはフェルの吹き飛ばされ速度を計測し、冷静に伝える。

「フェルさん、マッハ、超えました」

「スゴ……。エイラ中尉、回収よろしくね〜」

「り、了解……」

フェルを倒したレイブンズは残りの二人へ攻勢を強める。ゴッドハンドスマッシュを確認した黒江も、吹き飛ばし重視の奥義を放つ。

『廬山百龍覇ぁ―ッ!!』

まさにやりたい放題である。黒江の背後に朱雀(黒江の背中には転生以前から引き続いて、朱雀が浮かぶ)を見たマルチナは動揺するが、すぐにシールドを張る。当然ながら百龍の牙はクリスタルウォールでも防げないので、ウィッチの盾などは薄紙も同然であった。マルチナはシールドを貫かれ、百龍に呑まれる幻影を見て、恐怖で気絶し、そのまま飛ばされていく。

『さて、残るはアンタだけね。ショルダースライサ――ッ!』

「け、剣を胸のペンダントから呼び出した!?」

『綾香に出来て、このあたしに出来ないはずはない!!ハァアアアア!』

と、ショルダースライサーを天に掲げ、招雷する。自分は『神』となった。それを強く想い、智子はその力を見せた。戦友の魔神の力を借りて。その名も。

『トールハンマーぁぁ、ブレーカァアアア!!』

『お、おもしれぇ。加勢すんぜ!サンダーボルトブレェェカァ!!』

黒江もサンダーボルトブレーカーを撃つ。見るからにやり過ぎであった。当然、神の雷を体現した攻撃に、地上の皆も、観測と回収を兼ねたメンバーも唖然とした。

「ひ、ひぇええええええぇ!?」

光速で迫るライトニングバスター。ルチアナはとっさにシールドを張るが、サンダーボルトブレーカーの命中時に発生する強磁場に飲み込まれ、ストライカーの制御を不可能にされる。黒江と智子が拳を握りしめた瞬間、その空間ごと爆破される。

『あなた達、いったい何をしてい……!?』

ミーナが無線で怒鳴るが、次の瞬間には驚くべき光景があった。

「あ、あれ……、私……生きてる?」

「大丈夫かい?」

「は、はい……って、え、え、え!?」

お姫様抱っこする黒江の姿があり、ルチアナ当人のみならず、観戦していた多くが腰を抜かす。

「あー、あいつ、光速で移動したな?ったく、張り切りすぎだぞ?」

「美緒、ミーナ中佐、完全に固まったわ」

「あー、どうしよう、なんと言えばいいんだ」

と、説明に困りそうな二人。ミーナは完全に固まっており、フレデリカも口からコーヒーを、ロザリーも茶をだらしなく垂らしており、目は完全に点だった。光景が光景だ。タネを知っている自分達は良いが、他の皆にいきなりこれでは、心臓麻痺でも起こりかねないほど強いショックである。

「そういうものだ、としか言えないし……」

「うーむ。あいつらはナインセンシズにすら到達して、もはや神の領域だからな……。冥界にも普通に行けるし、肉体は現世での器に過ぎんしな」

「ラル少佐がいても、似たような反応でしょうね……」

「おまけに、あれでまだ序の口だからな。彼女の着任が遅れているのが、不幸中の幸いか」

「ええ…。」

「これからは、あれくらいとは行かなくとも、敵を容赦なく叩ける能力が求められる時代だ。リーネやサーニャ、それに他のウィッチの若手が耐えられるか……」

「そうでなくては、軍にウィッチの居場所は無くなるわ。お祖父様もそれを心配なされていた……。ウィッチは同胞を殺す訓練はされていない。けど、そうでなくてはティターンズやジオンの跳梁跋扈は止められない……。このジレンマは私達に禍根を残すわね……」


「ああ……。多分、次の戦争が終わる頃には、ここにいる者の半数は現役ではあるまい。私の記憶だと、リーネは4年後に退役する。が、今回は宮藤が前線にいる以上、戦争中は留まるだろうが…。」

「次の戦争は血みどろの同胞殺しになるもの。恐らくは、こにこにいる中の半分が終戦時に残っていればマシな方でしょうね」

「だな……。しかし、人を撃つ怪異と人を撃つ兵士、見た目以外に差があるか?」

「若い子らは受け入れるかどうか。それに今の子らは対人戦線への投入なんて考慮外の教育されているし、ノーブルウィッチーズの周りで起こっていた陰謀で使われた『訓練を受けた子供』のほうが軍のウィッチより対人戦では強いって情報もロザリー少佐から報告されているわ」

坂本と竹井が心配したのが、ウィッチらの倫理的に、今度の戦争に耐えられるかどうかだった。同胞殺しのウィッチが公的にいたのは、もう遥か以前の事だし、近代のウィッチは軍隊にいても、独自の社会を持っていた。それが対ティターンズ/ジオン戦では裏目に出ている。現に、ミッドチルダ動乱に従軍した部隊は『未来で軍事訓練を受け、メカトピア戦争に従軍した』部隊に限られていた。

「全く、軍隊というのは『国家に仇なす全ての敵と戦う』ための組織だぞ?嫁さんに貰われるための養成所でも、人生に箔をつけるための学校でもないというのに……」

「それを忘れてる人々の方が多数派ってことよ」

「実に嘆かわしい!ウィッチたるもの、国家に奉仕することが最大の意義だというのに」

坂本は親や姉から『ウィッチは国家に奉仕することが最大の意義である』と常々、言い聞かされていた。坂本の家では、自由人な姉でさえも『七生報国』精神を叩き込まれている。これは坂本の父が農家出身であり、娘達に家の盛り立てを託すため、愛国教育を強く施したためである。ウィッチに目覚めた次子の美緒にはより強く施され、父親が武器の扱いを仕込むほどに戦いに関する技能を教え込んだ。その影響は坂本の人生に多大な影響を残し、軍人であり続ける理由であった。この愛国教育は逆行後の今となっては『娘との確執の原因』として苦々しく思っているものの、自らのアイデンティティであるため、否定はしていない。

「何のために有る力か? 弱いものを守り、闘うため、理不尽に立ち向かうため。 ただ力を振るうのは悪、義を以て成すには法に則り国家の認証を以て力を振るう必要がある、それがウィッチが軍人である必要なのだ。私は逆行したからこそ分かる。あいつらが数百年も生きて戦ってくれたから、私達は『前史』で居場所を守れた。今度は私達が恩を返す番だ。私はそう思う」

――『前史』。坂本が今生を前世の歴史を区別するため、便宜的に用いた表現であった。坂本はレイブンズの数百年の戦いを肯定する立場を取っており、これが坂本の逆行後における原動力だった。坂本は前史において、クロウズとしての功績が歳月で忘れ去られてしまった後も、レイブンズが子孫らに言い伝えてくれていたおかげで、その功績が顧みられるようになった事を死後の世界から『見ており』、それに恩義を感じていた。坂本は人の世の移り変わりで、『クロウズ』の存在が忘れ去られていった事に無情さを感じつつも、数百年に渡って生き続け、ウィッチ達の庇護者であり続けた三人を、今生では前史以上に敬愛している。存在が昇神していっても、彼女達が変わるわけではないからだ。坂本はそう考え、それが自らの昇神に繋がっていく――

「美緒……あなた……」

「フッ……あいつらのような絶対的エースにはとうとうなれなんだが、あいつらの理解者になる事はできる。あいつらは不老不死になる。それは孤独との戦いでもある。私たちはあいつらの後継に一度は目された。それがそれになり損ねた私に残された役目だ」

坂本は前史の経緯を踏まえて、自虐的に言った。後輩達がなんと言おうと、自分は『スリーレイブンズの後継に成りきれなかった』。その自覚こそが坂本の『大人』としての諦感であった。

「この場にペリーヌがいないことが幸いだよ。私が自虐的な物言いをすると、あいつがレイブンズに突っかかるしな」

「それだけ慕われてるってことよ、美緒」

ペリーヌは前史ではレイブンズの実力を疑問視し、黒江にトールハンマーブレーカーを食らわせられている。今生ではそれは起きないだろうと踏んでいる。

「そうか。あいつは私を崇拝しているが、私としては重荷ですらあるんだがな……。あいつらのような絶対的な力を振るえたわけでもないからな、私は」

坂本は転生後は自らを見つめ直した影響により、かつての自分を自虐的に見るような癖がある。それは絶頂期と晩年とに落差がありすぎた事を自覚してしまった大人としての哀しい姿でもある。野球選手で言えば、『ミスタージャイ○ンツ』の絶頂期の華麗なプレーと、現役最晩年の姿との落差のようなものだ。坂本は逆行の影響により、大人としての哀愁を感じさせる雰囲気を見せている。それが絶頂期の精神と肉体を手にしたレイブンズとは対照的だった。逆に言えば、前史で見せていた激情は鳴りを潜めているので、組織人としては生きやすいのだが。

「自虐的ね」

「大人になって、子育てに失敗した経験をすれば、こうもなるさ。孫が大きくなるまで生きられなかった負い目だってあるしな」

娘の子育てに失敗した事を引きずっているらしく、自虐的な物言いである理由を竹井にはっきり述べる。前史では、孫の百合香の大成を見届ける事なく、西暦2000年に世を去っている。それが黒江の心に大きな傷を残した事も負い目となっている。

「あなたらしくもない」

「それと、私は黒江へ対しての罪がある。前史の退役間近の時だ。私は馬鹿をやった。黒江とやりあったんだが、私は軽い喧嘩したつもりだったが、知らず知らずのうちに、あいつの心の支えを砕いてしまった。菅野には殴られ、宮藤にまで軽蔑されたよ。……今にして思えば、あいつの辿った経緯を考えれば済んだことなのに、私は独善的に考え、言葉をぶつけてしまった。あいつの仲間への依存を治したいっていう独善のもとに。そのまま気まずいままで退役し……次に会えた時は……私の死に目だ」

坂本は退役後、死に目まで黒江と和解できなかった事を悔やんでおり、今生では黒江に献身的に尽くしている。晩年、黒江と和解して旅行に行きたかったが、果たせなかった前史の償いを『黒江への献身』と考えたためだろう。自分かしらぬ考えかも知れないが、戦友への罪の清算をしたかった故の選択。坂本はそう考えている。

「私らしくないだろう?が、清算をしなければ気が済まないんだ。それが前史に対しての最後のけじめだ」

「落とし前をつけたいのね」

「そういう事だ。さて、そろそろ皆が正気に戻るだろう。考えたか?」

「うーん、やっぱり駄目ね」

「そうか、私もだ。ワッハッハ」

「威張ることかしら、それ」

皆が正気に戻るまでにかかった時間は、なんと10分。ショックが大きすぎて脳がフリーズしたからだ。正気に戻ると同時に、皆が一斉に質問攻めに来る。

(来たぞ)

(ええ。処理して行きましょう)

と、相槌を打ち、皆の質問に答える身構えをする。答えの手順は打ち合わせをしてあるが、それなりに身構えた。

「あれが扶桑海の電光、加東圭子だ。巴戦でも穴拭と黒江に引けは取らん。それに、あいつはトップエースだった。いくら赤ズボン隊とは言え、経験が違うのだ」

「あの人達の異名はそれぞれ、扶桑海の『電光』、『稲妻』、『雷鳴』でした。私は当時、部隊の末席でしたので、それほど触れ合う機会はありませんでしたが……」

用意しておいた答えを並べる。実際、当時は新兵だった二人は実戦での接点はそれほどない。(坂本の酔っぱらい事件などの日常での接点はあるが)むしろ、黒田のほうが最終決戦で編隊を組んでいた分、まだある。坂本はその縁で黒田を記憶していた。

(黒田のやつ、確か……この後、壮絶なスキャンダルが起こっての当主就任になるんだよな。前当主の息子も馬鹿な事を。未来でストレプトマイシンなり、複合薬の投与を娘にさせれば、大事にならなかったモノを…)


――黒田は扶桑海事変で唯一無二の戦果を挙げた華族ウィッチであるが、それが彼女の運命を変えたという因果がある。黒田家の家紋が付いている袴を着ていた事で、当時の状況と乖離した報告がなされ、本家の孫娘がプレッシャーに潰された(本家嫡男が園遊会の折、天皇陛下への手前、自分の娘ではなく、分家の娘であると言い出せなかった事、実際には『10代前半のウィッチは黒田家にいない』事を報告すれば、家が潰されると恐怖したため)からだ。本家の孫娘『風子』は父と母からの多大な期待の重圧に耐えられず、45年次には結核を患ってしまう。それが黒田の運命の分水嶺であった。黒田は当時、風子に未来での治療を勧めたが、家内の立場の低さから、その両親に取り合ってもらえず、一年ほどの療養生活を送った後に風子は没してしまう。『未来治療なら容易く治せた』。その事が当主の逆鱗に触れ、彼は息子の廃嫡を宣言する。その妻は夫のため、当主の排除を目論み、当主を同年に弱らせて死亡させる。が、自分にされていることを悟っていた当主は親友の吉田茂に遺言を残しており、黒田が本家から村八分にされたと泣きついたのを期に、遺言に従い行動し、最終手段として天皇陛下に上奏する。これが黒田のお家騒動の顛末だ。天皇陛下は『朕の忠臣になんという事を……。断じて許せぬぞ』と、黒田の武功と忠節を覚えていることを吉田に示し、自ら介入した。異例のことだが、黒田が事変の立役者の一人である事を記憶していた陛下はお家騒動に自分から介入し、黒田家へ扶桑皇国の指導者としての裁可を下した。それが邦佳の当主就任の流れだ。従って、邦佳にこの二年で待ち受ける運命は過酷であると言える。坂本は前当主の息子を憐れむような独白をする。結核の特効薬など、未来にはいくらでもある。黒田がそれを勧めたのも当然の事だ。彼らの認識は『世間の常識と、治療薬の価格を危ぶんでの当然の選択をした』であるが、前当主は『未来から邦佳を介して買えば風子を救えた』と激怒しており、それを嫡男の廃嫡の理由とした。これが息子の妻の怒りを招き、その更に報いが邦佳の当主就任として降りかかるという因果応報の法則を地で行く展開となった。先代当主の今際の言葉は『命と財産や名誉のどちらが大切と思っとるのか……』で、邦佳を後継に指名して果てた。これで本家は保身に走るが、天皇陛下の介入で諦め、本家筋が絶える事態を受け入れざるを得なかった。形式上は本家は続くが、その後の代々の当主は邦佳の子孫達であるため、元の本家筋の人間たちは血涙であった。坂本が生前に目にしたのは、その一代後の当主までだが、邦佳の容貌を受け継いでいるのを覚えている。その事もあり、哀れんだのだろう。更なる変化は未来世界でも起こっていた。


――その日の夜――

「なぬ――っ!?マジンエンペラーGがもう完成したぁ!?ど、どういうことだよ、鉄也さん!」

「俺に聞くんじゃない。所長にでも聞いてくれよ」

「説明してくださいよ!グレートブースターUのほうで忙しいんじゃ!?」

「ライオネル博士が『時の流れが違う作業室』を更に提供してくれてな、二つとも同時に完成した」

「うそ――ん!」(ゼウスのおっさんめ。テコ入れをもっと大きくしたな!ZEROとデビルと闇の帝王対策とは言え、やり過ぎじゃね?)

「なんというか、GブースターUの詳細設計図、ライオネル博士が一晩でCADデータで出力してたのは驚いたよ。それと、闇の帝王の正体も彼の調査で判明した。奴は高次の存在と化して、輪廻転生の理から外れた者、そしていつしか冥府の王と化した古代ミケーネ文明の最後の王『ギャラハン』、今やオリンポス十二神のハーデスとして、星矢達と戦った『ハーデス』そのものだ」

「はぁ!?つまり、元々は古代ミケーネ文明の最後の王様で、高次の存在になって、オリンポス十二神になったと!?」

「そうらしい。ゼウスと同じ存在だろうな。それで本来の姿――ギャラハン――としての従者であり、腹心があしゅら男爵の元になった巫女とその夫だったとも言っていた」

「名前は?」

「パリアッチョというのが仕事での通り名、本名は『トリスタンとイゾルデ』。その二人の無事な半身を繋ぎ合わせた存在があしゅら男爵になる。あしゅら男爵が大物ぶってきてるのは、本来の有能さが目覚めつつある証拠だろう」

「甲児に毎回毎回やられまくって、『申し訳ありませんDr.ヘルゥゥ!』とか土下座しまくってたくせに……」

Dr.ヘルに土下座しまくるあしゅら男爵。『あしゅら男爵』としては、むしろ無能に近いところがあり、忠誠心だけが取り柄と言えるのがあしゅら男爵であった。Dr.ヘルも生前の頃に、あしゅら男爵があんまりに無能であるため、デビルマンとZが共闘した事件の際には『ええい、マジンガーZに機械獣がやられた報告など聞く必要はない!!』と憤慨したり、コンピュータにデータを記憶させておいたが、自分の脳で覚えていないのに逆ギレし、『この馬鹿モノ!間抜け!ウスラトンカチおたんこなすのダイコンめ!!!!』とまくし立て、『ははぁ…豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまいたい心境でございます』と返したことさえある。が、トリスタンとイゾルデとしては真逆に有能で、なのはの運命を変えたのも、ゲッターロボ號やゲッター真ドラゴンを用意していたのも、量産グレートを得たのも、その有能さが目覚めた証拠である。彼はつまるところ、なのはの運命を変えた張本人であると言えよう。

「今の奴はZが戦っていた無能な幹部ではない、ミケーネの巫女であり、神官でもある有能なミケーネ帝国の上級官僚だ。なのはちゃんの運命を変え、兜十蔵の代から、兜家に因縁がある。なのはちゃんと甲児君にとっては仇敵といえるのが、トリスタンとイゾルデだ」

「なんスか、その『真マジンガー的展開』は」

「俺に言われてもな。あれは俺は嫌いだぞ。死んでたし……」

「漫画版じゃ、かっこよかったじゃないすか」

「ZEROの噛ませぽくてなぁ。俺は仮にも、一個の作品の主人公だったんだぞ」

「メタい台詞言わんでくださいって」

鉄也は時空融合前には、『グレートマジンガー』の主人公としてアニメの主役であった。それが派生作品では死んだり、『目立っていても、甲児を引き立たせる脇役であった』事が気に入らないらしく、黒江に思い切り愚痴る。

「はやてちゃんからアニメとか漫画もらって、所長とつい、観てしまったんだが、真の漫画は俺の扱いがなぁ。グレートもGカイザーも噛ませにしか見えなかったし、『因果律兵器』と『マジンガーはマジンガーを倒せない』作中の描写といい……」

鉄也はグレートの開発目的からして、ある漫画での自分とグレートとその派生機の扱いが気になるらしい。

「グレートマジンガーは『マジンガーを超えるマジンガー』として造られているんだぞ、まったく」

愚痴りまくりである。アニメでも甲児に美味しいところを持って行かれ、漫画でもイマイチ輝けない自分がメディアの大半で描かれている(ある漫画では自爆した)のが鉄也の愚痴の原因だった。鉄也は実物からして、孤児であるので、掴みにくい性格をしているという主人公映えしない影の部分を持つ。鉄也は運の悪い事に、真の理解者を得られず、シロー以外の誰もが甲児の代理を求めていたという不幸があり、それが自分に好意的なレイブンズ、ハルトマンへの優しさとなっていた。ハルトマンとレイブンズ、それとシローにだけは本心を明かしており、ミケーネとの最終決戦の折に『俺が今まで必死にやってきたのは 俺がこの世に存在する事をわかってほしかった…。愛されなくてもいい…俺がいる事を理解して欲しかったんだ…。甲児が帰ってきた今となっては、俺に残された唯一の道は……よりすぐれた戦闘でみとめてもらうしかないんだ!!』と、戦闘マシーンとして育てられた故の孤独と哀しみを見せた。その台詞をミケーネへの勝利後に甲児に叫び、甲児は半ギレで『ウダウダグチグチ〜』と売り言葉に買い言葉で喧嘩腰で返した事により、激昂したシロー渾身の金的を喰らい、さやかの目の前で悶絶してしまう醜態を晒し、更にシローの気持ちを悟った竜馬にボコボコに殴られている。甲児はシローからの白眼視と軽蔑、さやかに醜態を晒してしまった事が精神的ショックとなり、それがアメリカでのUFO研究に没頭する原動力となり、現地で三枚目として振る舞うようになった要因であった。また、鉄也やシロ―との関係修復にボスが尽力してくれた事から、ボスを真の友と信頼するようになり、甲児はボスを大親友と周囲に紹介するようになる。宇門大介にも『俺の大親友の〜』と紹介しているし、宇宙科学研究所預かりとなっている、箒、鈴、シャルにも同様である。甲児はアメリカでハーレム属性を身に着けたか、最近はさやかを差し置いて、グレース・マリア・フリードと仲が良かったり、IS三人娘の良き兄貴分だったりと、鉄也が呆れるほどモテモテである。また、マジンガーエンジェル計画の立ち上げは、『牧場ひかるとグレース・マリア・フリードが最近の甲児や鉄也の支援に活躍しているのに、さやかがやきもちを焼いたから』とボスは推測している。

「甲児君に後で連絡しといてくれ。『さやかがカンカンだぞ』って」

「甲児、さやかさんに連絡入れてないんスか!?」

「そうだ。脅しはかけといたが、どうも甲児君は楽天的でな…」

「あのボケナスカボチャ……彼女持ちのくせに、何してるんだぁ〜!」

甲児はアメリカ留学後、美人に弱くなったのか、宇宙科学研究所でハーレム生活を満喫していて、さやかへの連絡を怠っていた。それを鉄也から知らされて呆れ、ため息の黒江。叫びもごもっともだ。この後、事を知らされた甲児が顔面蒼白になったのは言うまでもないが、当人としては『さやかさんのことを忘れてたわけじゃねーって。さやかさんに相応しい男になる為の武者修行だよ』と言い訳し、黒江と漫才じみたやり取りを交わしたとか。


――鉄也にマジンエンペラーGとGブースターUをもたらしたライオネル博士。その正体がゼウス(Z神)であるように、ミケーネ闇の帝王はオリンポス十二神の『ハーデス』であり、元々はミケーネ最後の王であるという複雑な正体が白日の下に晒された。つまりは星矢達が倒したハーデスはその世界で行動するための器に過ぎず、魂そのものは別世界で闇の帝王として健在であるという事実が明らかとなったのだ。この事は後日、黒江を通し、城戸沙織=アテナにも知らされたという。また、デビルマン=不動明も闇の帝王の存在を知り、動き出しており、事態は『一度目』よりも加速していく。ゼウスとアテナ、それに敵対するハーデス=闇の帝王。それの腹心であるDr.ヘル=デビルマジンガーとあしゅら男爵。双方の思惑が絡み合い、オリンポス十二神同士の戦いが見え隠れする中、黒江達は動く事になる。歴史改変の引き金を引き、アテナの従神として……。



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