外伝その174『戦況報告4』


――地球連邦軍は裏で21世紀世界の統制を取りつつ、三つの国の連邦化に力を貸した。ティターンズの後始末をするために大規模に軍を派遣している一方、今のエゥーゴの系譜にある政権を敵視する地球至上主義者達は裏でティターンズ残党を支援しており、プリベンターによる対応も後手後手に回るなど、一枚岩ではないのが23世紀地球である。戦いは続いているが、ここで21世紀日本の造船関係者から疑問が生じた。何故、パナマックスサイズを超えるモンタナがポンポン量産されたのか、である――


――扶桑本土 コードネーム『サンダー・ボール』とされる連合軍参謀本部――

「何故、リベリオンはモンタナをポンポン造るのか」

「理由は簡単。大和型への対抗ですよ。大和型の性能が判明し、実戦で証明されれば、当然、国力があるリベリオンは戦艦と空母の両立を目指します。弾道ミサイル潜水艦など無いですし、かと言って、それを造るだけの潜水艦技術があっても、ウィッチ閥の妨害にあいますから」

扶桑やカールスラントは高性能攻撃型潜水艦を造るだけの技術はあるものの、ウィッチ閥が潜水空母を造らせていたこともあり、攻撃型潜水艦そのものはあまり発展していなかったが、未来技術でそれが一気に軌道修正され、扶桑はおやしお型潜水艦/そうりゅう型潜水艦の生産で伊号潜水艦を置き換えようとしている。これは海自が潜水艦隊を重視していることも大きいが、潜水艦の発達とあるべき姿を考えれば、必然的な回帰であった。(既存の潜水空母はウィッチの軍事的価値の低下、水上爆撃機の衰退とともに、未来兵器であるMSの母艦としての発展にシフトしていく)

「妨害、ですか」

「ええ。だから、我々の世界では戦艦の価値が高いのです。怪異の攻撃にも耐えられますからな」

「戦艦の高性能化はそれが大義名分と」

「左様です。しかし、大和型のように『艦隊戦で圧倒する』ために高性能化したものもありますので、戦艦の整備は理解が最近は得に得にくいものでしてね」

――扶桑の造船技師の言う通り、当時の時点で戦艦はウィッチの台頭で整備の大義名分が得にくくなっていた。扶桑で信濃と甲斐が空母になりかけていたのもその証明だが、大和と武蔵がリバウ撤退戦で活躍したことで、ヤマトショックで建造されていた新戦艦に大義名分を与え、怪異に蹂躙されたガリア以外では概ね、完成に至った。大和型の性能に対等に並び立った最初はモンタナであり、扶桑軍をして狼狽させ、大和の前型『紀伊』を轟沈させる華々しい戦果を見せつけ、扶桑の国民を恐慌状態にした事で造船所が作業を急がせた結果、エクスウィッチ出身の参謀が視察した時には、もはや空母として改造不能なところに来ていた事が信濃と甲斐の戦艦としての完成を決定づけたように、国民からの圧力で建艦計画が決まることも多いので、戦艦は目に見える『力のシンボル』と言える船だ。特に、ティターンズの示威により、既存空母が陳腐化した空母機動部隊と違い、新造しなくとも、改造さえすれば『対等に渡り合える』戦艦は手っ取り早い海軍力の示威に繋がるという利点から、国力があった列強は空母の維持費の高額化もあり、戦艦を空母より多く保有する国も現れていく。カールスラントのように、空母の新規取得を半ば諦める国も出てくるため、戦艦は運用ノウハウが等しくあることもあり、列強のステータスシンボルであり続けるのだ――

「空母は汎用性がありますが、高額化していくと、アメリカですら11隻体制が限界になりますから。それに宇宙時代ですら、戦艦が空母の任務を兼務するようになるので、どれが最善かは決着はついていません」

「未来の宇宙戦艦は軽空母並の搭載能力を持ちますからな」

ラー・カイラム級を見ても、MSを20機近く積み込める(大型機基準)ため、64Fの戦線維持能力はこの後の戦争で重宝される。ロンド・ベルが任務の拡大で旗艦をヤマト級宇宙戦艦へ切り替えたのもあり、ラー・カイラムは64Fで運用されるので、64Fは地球連邦軍の出先機関の側面も与えられていく。幹部らは便宜的に地球連邦軍に軍籍があるからだ。

「戦況は?」

「一回目の海戦は終わりました。扶桑艦隊は主力戦艦の整備のために浮きドックを使用中です。ブリタニアは旧式艦中心に損害が出ていますな」

「グランドフリートと言えど、主力艦の多くは戦間期までに作っていた老朽艦……。それを考えると、よく戦っているほうですな」

「財政が傾いていたブリタニアとしては頑張ったほうです。キングジョージもライオンも、条約が形骸化さえしなければ、と先方は愚痴っています」

「第二次ロンドン条約、ですか」

「ええ。しかし、大和型の登場を契機に形骸化してしまい、主砲口径は46cmの時代を迎えようとしている」

「我々からすれば信じられませんが、戦艦の発達が続いていれば、遅かれ早かれ、訪れはしたでしょうな」

ブリタニア自身が46cm砲を整備するなど、戦艦の発達は未知の領域へ突入していた。扶桑は実弾を用いた主砲口径の拡大の限界点は56cmと定め、敷島型では61cm砲の採用が覆り、56cm60口径砲と定められた。実弾形式を併用する場合、そこが限界点であると悟ったのだ。代わりに長砲身化を模索し、60口径砲の採用がされだしたのが、この時点の扶桑の戦艦事情だった。当時、46cm50口径砲が陳腐化した事に慌てていた扶桑は、三笠や播磨、敷島の計画を経ていくにつれ、実弾とショックカノンの併用式では『56cm砲が実用限界点』と悟り、以後は長砲身化や炸薬の高性能化などで火力向上を目指していくのである。

「しかし、我々は口径拡大の限界点を知った。22インチ。それ以上だと列車砲と変わらなくなるので、そこが限界点でしょう。船で運用できる、ね」

「しかし、なぜブリタニアは主砲口径で46cmに拘ったので?ドクトリン的には…」

「ブリタニアにもいるんですよ、ネルソンの遺伝子を継いだ連中が」

「信じられませんな。ブリタニアが戦艦を戦の道具として特化させる進化を選ぶとは」

「かつての戦列艦の時代、競うように門数を増やしたように、ブリタニアも戦艦の戦闘能力が一線級であることを志向し続けているんですよ。だから、これまでのドクトリンをかなぐり捨ててでも、大和と渡り合える船を作ったのですよ」

ブリタニアは他より小口径で投射量を稼ぐドクトリンを取ってきたが、怪異相手では41cm以上でなければ無力になった事、条約規格を超越する超弩級戦艦『大和』の存在により、46cm砲の搭載に固執するようになった。これは大和の欺瞞情報に引っかかったからでもある。だが、大和が46cm砲であること、その大和をも上回る戦艦が現れたこともあり、ブリタニアは一周遅れの艦が否めなくなってはいる。また、同盟国であるために開示された情報により、大和が改造され、たとえ同等の砲を当てても(たとえ、核砲弾でも)絶対に沈まない事を知ると、榴弾メインの速射砲ドクトリンに舵を切る。日本連邦が『艦隊決戦で蹂躙してやる』と言わんばかりに速射+波動カートリッジ弾+徹甲弾の三段構えで対艦の組み合わせを選んだのと別方向になっていくのだ。

「ブリタニアは榴弾を積み込み、非装甲部を焼き尽くすドクトリンに変化し始めています。我々は艦隊決戦で勝つことを至上目標としていますので、対比になるでしょう。ブリタニアは戦艦で戦艦に勝つ事は求めてませんが、我々は戦艦に最強である事を求めますからな」

その考えの元は、日本の後世の一般人が相当に毒されたイメージだったが、23世紀の技術がそれを可能にし、史実武蔵のように、トーペックス系炸薬を使う魚雷を20発被雷しようと無傷な戦艦を実現させた。その点は扶桑が振り回された幻想でもある。『不沈戦艦』。日本が大和に対して抱いたイメージであり、扶桑を悩ませた幻想である。日本は坊ノ岬沖海戦やレイテ沖海戦の記録から、扶桑の艦隊運用を否定したが、扶桑の大和型は制空権確保後の決戦で使用するのが目的だったし、別の世界でもそれが本来の運用想定だった。そのため、日本のように、制空権もない海に突っ込ませる事は設計側を絶句させるような行為であった。

「我々は追い詰められたとは言え、戦艦を制空権無しに突っ込ませた。それには驚かれたでしょうな」

「おかげで、何人かは休職しましたよ。あのような用兵は想定外ですし」

扶桑の造船技師は日本のマスメディアが大和を指して使う『不沈戦艦』の文句に失笑していた。扶桑は事変を経ているため、大和にそこまでの幻想は抱いていなかったし、単なる一戦艦の艦級と考えていた。ところが、日本にとっての大和は『日本海軍悲劇のシンボル』、『日本の漢のフネ』、『日本の造艦技術の粋を集めた最強の戦艦』という箔がついた悲劇のヒーローであった。その認識の相違が扶桑を大きく困惑させた。その入れ込みから来る認識に苦しんだ扶桑。その結果、地球連邦の技術で改造する方法で日本の望みを叶えたのだ。(扶桑は長門こそが自らの象徴と考えていたので、大和を神聖視する事に反発する軍人も多かった)


「我々にとっては、長門こそが海軍力の象徴なのですがね。長門を日本に置く事に反対論が燻っているほどに」

「時代ですな。我々にとって、長門は単なる、歴史の一ページに名前が残る程度のフネ、大和は日本海軍悲劇の象徴なのですよ」

戦後日本に取って、日本の戦艦は大和だが、戦前戦中においては、長門と陸奥であった。しかし、長門は日本においては、核実験の犠牲となった『大和の前の旗艦であった旧型戦艦』という認識でしかない。(海自の護衛艦に名前が使えないタブーがあるとまことしやかに語られるほど)長門が戦間期にはアイドルであったことなど、21世紀の日本で記憶している者はかなり少なくなっている。そこも長門を記念艦にする案が出された理由だ。また、長門自身の性能も太平洋戦争では旧式化していた、艦齢が既に20年超えであった事を理由に、損傷していた陸奥をスクラップにしたこともかなり反感を買っており、記念艦化は扶桑の国民感情と日本での長門の末路を考慮した末の妥協案だ。

「大和の祭り上げられ方はウチが震撼するほどですよ。不気味に見えましたね、はっきり言って。戦艦は失われるものと思っていましたので」

竹井の祖父(退役少将。この時点では存命)も言ったように、船はまた造れる。そのため、海軍の滅亡を経た日本での大和への入れ込みようは不気味に見えたと造船技師は告白する。海軍そのものが滅んだ後の大和は『軍事大国であった頃の日本のシンボル』と見られている。その事実に扶桑の人間達は困惑し、『制空権確保されていない戦場に…』に『じゃあ、坊ノ岬沖海戦やレイテ沖海戦は?』と返される理不尽さに苦しんでいた。しかも海軍関係者はマスメディアにメディアスクラムで叩かれ、精神病院に入院する者も続出し、この作戦での参謀はほとんどGウィッチ達が兼任しているほど、現場で働ける参謀が不足している始末だ。

「我々は貴方方への償いをせねばならない立場にある。しかし、野党が邪魔をして、海自も空自もお情け程度の戦力しか出せない。それは申し訳無いと思っていますよ。野党はあきづき型やいずも型の派遣すら喚きちらしましたからな」

この時期、自衛隊は2018年の防衛不祥事もあり、扶桑への派遣などとんでもないと野党が喚いたが、日本連邦憲章違反と言われた途端に声が小さくなるなど、揚げ足を取る行動を取る野党に苦しめられていた。結局、自衛隊は陸自と空自が戦場で活躍出来たのに対し、海自は観戦要員に等しかった。そのため、現場の隊員の不満が溜まっており、あきづき型のみを空母機動部隊の護衛の交代として派遣、防空任務に従事させるのが限界だった。いずも型は海域の後方で分析などの裏方に徹し、あきづき型が進出し、連合艦隊と轡を並べる名誉に預かれた。ただし、ガトー級潜水艦を4隻ほど対潜ヘリで撃沈に成功しており、その点では立派な戦果であったりする。


「ええ。それはこちらがなんとかしましたが、同じ連邦の国にさえ派遣させないと宣うなど、軍事的無知も良いところだ」

「海外派兵ではありませんからな。そこをつくことで今回の派遣にこぎつけましたが、国民が大規模派遣を抑制したがるもので」

日本も流石に海自と空自が小規模に過ぎた事を、あしがらの海戦中継で思い知ったか、空自の追加派遣や海自の艦艇を増加させる事を検討し始める事が許される。八機のF-4Eでレシプロ機相手とは言え、戦爆連合50機を撃退させるような無茶な光景は流石に野党も青くなったのだ。それが空自を補助する名目で派遣された義勇兵の活躍に繋がり、義勇兵達は『軍人としてやり残した事をやれた』と大喜びで、そのまま太平洋戦争にも参加していく。義勇兵の内、元軍人で、戦後は一般人であった層は主に零戦二二型を使用し、紫電改なども使用しているが、少数派である。(元海軍航空兵の場合)だが、それは却って良かった。経験不足のウィッチ世界のパイロット達では、史実太平洋戦争を潜り抜けた義勇兵らのほうがむしろアドバンテージがあるのだ。そのアドバンテージが良い方向に働き、彼らはかつて成し得なかった凱歌に酔いしれていた。

「彼らは死に場所を探していた。それは良かったのか」

「軍人として死に損なった者の気持ちは軍人にしか理解できませんからな」

映像で凱歌を歌い上げる零戦部隊。扶桑が零戦を大規模に運用したのは、ダイ・アナザー・デイが最後となる。義勇兵らの中でもいくつかの世代分けがなされたが、零戦二二型以前を使用するのは、大戦前期からの古参兵、五二型や紫電系統は後期組と、大まかな区別がなされていた。前期組は元々、神がかり的な腕を持っており、二二型の機動性を存分に発揮。大方の予想を超え、先行生産されたベアキャットを圧倒していた。これは米軍も唖然とさせた。ある専門家は『ポンコツのゼロ戦でベアキャットを圧倒できるわけが……』と唸り、中には『20ミリをコックピットにぶち当てる』芸当を見せた者もいた。これは日本側の『新型機は必ず百戦錬磨の日本軍の洗礼を受ける』記録の妥当性をハッキリ示す事になった。つまり、百戦錬磨のパイロットが乗った零戦は未熟練のパイロットが乗る新型機よりはよほど強いのだ。これが扶桑の零戦の最初で最後の『戦闘機としての見せ場』であった。ダイ・アナザー・デイで使われた後は紫電改/雷電/烈風の三本柱に義勇兵用の機材も更新されていくからだ。陸軍は四式戦の性能特性が史実と違い、ウィッチ支援機になっていた不幸で機体自体を史実寄りにしないと、戦闘機として使い物にならないと判定されたため、百舌鳥と呼ばれるキ100が代わりに働く事になり、結果的に疾風は百舌鳥の影に徹するしかなくなるのだ。そのため、百舌鳥は疾風の地位を瓢箪から駒で奪い、ストライカーユニットとしても、レイブンズのレシプロ最後の愛機という名誉を授かっている。疾風は誉からハ43(マ43)への転換設計が遅れ、更にジェットの開発が予想以上に早く進展した事などの要因で、疾風は他国への供与用、あるいは航続距離が長い初期モデルが偵察機に現地で転用されるなどの別用途で生きながらえたが、ハ43搭載戦闘機型の芽は摘まれてはおらず、700kmの大台を叩き出し、最速戦闘機の名誉は守り抜いたという。それが疾風がウィッチ世界で見せた生き様であり、ストライカーユニットの退役式典(戦後)の際は智子がパイロットを努め、その引導を渡したという。(ストライカーユニットの大量配備が実現しなかったのは、外れの個体が未来世界で宛てがわれた事へのレイブンズの苦情が発端であるため、智子なりの償いだったとも)


「陸では、北ロマーニャは一旦放棄、鏡面世界の中央〜南ロマーニャとヒスパニアが主戦場、海では地中海が主戦場であり、恐らくヴェネツィアが敵の拠点でしょう」

「ジブラルタルの地中海艦隊は?」

「グランドフリートが主力をぶっこ抜いたので、事実上、形骸化しています。H艦隊はポンコツ揃いですが、動かせない模様で」

このダイ・アナザー・デイでは、グランドフリートに主力が集められた結果、地中海艦隊は形骸化、H艦隊は防衛のために動かせないという弊害が出ていた。元々、ブリタニアは各要所に艦隊を置いていたが、リベリオンの分裂でグランドフリートに主力を置かないと隙を狙われる恐怖に晒されており、戦時に再結成されているグランドフリートに優良艦が集められている。しかし、バダンが援軍として送り込んだH43級の援軍の前に、グランドフリートは三下扱いを受け、わざわざ無線で『我々の敵はヤマトである。老いぼれグランドフリートの諸君は俺のケツを舐めろ』と挑発される扱いに甘んじている。この時、H43のあまりのタフネスぶりに音を上げそうになったテメレーアの艦長が『榴弾でもいい!撃て!!』と、弾薬庫に残っていた榴弾を使った事がブリタニアの砲撃ドクトリンを転換させる転機となる。この時に苦戦ぶりを見ていたチャーチルは葉巻をとにかく吸いまくりながら愚痴り、セント・ジョージの慣熟とクイーン・エリザベスU級の全艦の完成を催促させるのだ。

「あ、チャーチル卿がコメントしてますよ」

「なんと?」

「葉巻をアホみたいにスパスパ吸いまくって、不機嫌な顔で愚痴ってます。我がグランドフリートは何をしているのか、と」

「本当だ。しかし、14インチや15インチ砲が多いグランドフリートが19インチ砲のH級と戦えてるだけ、奇跡と言えるのでは」

「そうなのですが、ドイツ海軍は田舎海軍という認識ですし、大洋艦隊の栄光も今は昔、ですからな」

チャーチルが葉巻を吸いまくる様子はシュールだが、律儀に中継されており、がんになりそうな勢いで吸っているのは不機嫌な証拠だ。ただし、この苦戦が新戦艦に存在意義を与えているのはいうまでもないので、複雑である。大和も単艦での砲撃戦は避け、隊列が富士、播磨などの後ろに入れ替わっている事が戦況表示モニターに示されているように、H43は大和よりも強力な戦艦なのだ。ドイツ人歓喜モノの光景とも言えるが、ハーケンクロイツを掲げた船が大和やライオンを向こうに回しての立ち回りを演じ、超大和型と撃ち合うのは複雑であるが、大洋艦隊の末裔としての誇りを見せたのは確かだ。この中継は箒を通して、ロンド・ベルに協力しているラウラ・ボーデヴィッヒも見ており、ラウラは『喜んで良いのか複雑だ』と嘆息であったという。海軍は帝政ドイツの名残りが多く残されていたので、そこも複雑になる要素らしいが、日本の象徴とされる大和の系譜を継ぐ三笠型/播磨型の勇姿は惚れ惚れするものではあるので、軍人として悩むラウラであった。IS学園の寮の私室(相部屋だが…)で中継に一喜一憂し、箒の頼みもあり、現在は裏方で戦いに関わっている(現役軍人であるので、箒に軍隊でのマナーやノウハウを手っ取り早く教えられるといい、レイブンズから講師を依頼され、箒を鍛えている。)ため、未来世界と繋がりを持つ。中継にかじりついていたことで、シャルやセシリアたちに事が知れ渡るのは言うまでもない。ラウラは『教官から、一夏には言うな、と事付されている事項なんだ!』と弁解する羽目になる。一夏は当時の時点で、箒に化けていたとは言え、黒江へ無礼を働いたこともあり、千冬は『織斑を未来世界へ行かせない』と決めていた。流石に箒に化けていた事は苦言を呈したが、『箒が直前にインフルエンザで寝込んだんだ。代わりに行ってくうれって頼まれてさ』とフランクに返され、呆気にとられた事もある。黒江は箒の姿と声を使っていても、いつものフランクな態度であったのもあり、一夏は『箒の真似するんじゃねえ!』と突っかかったが、『初対面の目上の人にその口の聞き方はなんだ、ボーズ』と言い、きっちりお仕置している。ただし、しっかりIS学園の制服を着込み、箒の姿をしっかりコピーしていたのもあり、傍目から見ると、箒が尻に引いているようにしか見えない構図ではあった。また、赤椿を整備に出した代わりにアガートラームを持ち込んでおり、それを有事の際に使った事で、別人という事が皆にバレたが、無人ISが赤子の手を捻るように破壊されていくのはシュールであり、その糸を引いていた篠ノ之束へ、当てつけで『ギャラクシアンエクスプロージョンでISごと吹き飛ばしますよ、ねーさん』とテレパシーで脅している。元の容姿はこの時は秘密とし、調の容姿を、学園から去る際に『フフ、空中元素固定は伊達じゃないもんねー』として、普段遣いと称して見せている。黒江はダイ・アナザー・デイの前後から調の容姿を慣れていることもあり、多用している。瞳の色が違う事、背丈が調より高いなどの違いはあるものの、切歌ですら困惑するレベルであるので、当人からは苦情が入ったという。なお、織斑千冬は自分と似た声ながら、粗野な性格の圭子(レヴィ)に手を焼いており、軍人としての階級が上であったりするために振り回される珍しい姿を見せたという。声が似ている事(レヴィのほうがヤサグレているが)が一番の困った点で、流石の千冬も『閣下、私に声が似てるからと、弟を玩具にしないで頂きたいのですが…』と困惑したという。



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