外伝2『太平洋戦争編』
第二話


――1946年の大神海軍工廠は呉の機能を肩代わりする形で稼働を開始していた。呉の機能は完全には回復不能である事が判明した1946年、工廠機能を大神へ移転させ、辛うじて無事であった港湾施設+αを民間へ払い下げるという案と引き換えに、大神の更なる拡張が決議され、横須賀の拡張と合せて行われている。大和型5番艦はここで建造されていた。事実上の改大和型三番艦である同艦は当初、越後が最優秀候補の艦名だったが、神社的繋がりを意識した、ある造船官の提言で白紙に戻ったという。

「戦艦建造はこれで一旦打ち止めだって?」

「ああ。空母の旧式化が顕著になってきたから、当面は空母と巡洋艦以下の更新に専念するそうだ。空母もジェット化に伴って、37000トン級では容量不足だからな」

「そんなにジェット機は大型になるのか?」

「エンジンのサイズや性能とかとの兼ね合いで、どんどん大型になるそうだ。今、各国が作ってるのはほとんど爆撃機迎撃にしか使えんが、次世代のは制空戦闘も可能になるってさ」

この時期に於ける次世代型は『F-86』、『ドラケン』、『F-104』、『F8U』などを指す。扶桑軍は旧式化した『雷電』、『紫電改』などのレシプロ戦闘機の代替機として採用し、順次配備を進めている。ジェットに当初から対応した空母が自国製でない2隻しかないのでは、話にもならないと艦政本部が焦ったためでもある。戦時中ではあるものの、戦場が南洋島周辺であるので、本土は穏やかであった。スチームカタパルトの試験も行われており、油圧式から蒸気カタパルトへの転換が騒がれていた。

「ウィッチ運用は強襲揚陸艦で選任と?」

「そうだ。空母は近いうちにジェット戦闘機と爆撃機で埋まる。ウィッチを載せる余裕はない」

――ウィッチは人的資源の少なさから、空母で飛行隊を組むには少なすぎるという難点がある。そこで強襲揚陸艦に乗っけて強襲する案が浮上、採用された。これはミッドチルダ動乱の戦訓によるもので、艦載機の急速なジェット化で扶桑海軍は空母用兵の変革を余儀なくされたのだ。

「今度の空母は一気に45000トン級だって?大きいな」

「ああ。アングルドデッキと、スチームカタパルト搭載の大型空母だよ。ジェット機にはこれくらいないとな。翔鶴型の改装で場を凌ぎつつ、四杯くらい新造して、旧型や雲龍型の一部の代替にするそうな」

それはG20という計画名で進められている次期空母である。扶桑国産空母としては、初の基準排水量50000トンをマークする大型空母だ。タイプシップはミッドウェイ級航空母艦(第一次改装後)であり、空母機動部隊の新たな主力と期待されていた。ドックでは竜骨が完成し、船体組み立てに入っている。大鳳で試験して良好だった装備とエレベーター配置も取り入れる予定だ。艦載機は『F8U』、『A-4』などが予定されており、更にその次として、より高性能の『F-4E』の購入も1950年代を目処に計画されていた。これは戦線での消耗とモデル寿命を考慮してのもので、扶桑軍戦闘機は国産機の開発はほぼ停止状態であるのが分かる。ただし、私案で震電改二と呼ばれるダブルデルタ翼機の開発は続けられており、『補助戦闘機』という名目でこの次の年に採用されたという。

「で、瑞鶴の改装は終わったのか」

「ああ。パッと見た形状からして別艦だよ。今頃、ウィッチの連中驚いてるかもな」

造船官らも言う通り、瑞鶴はこの頃には第二次改装で姿は戦後型空母化していた。艦載機も先行してジェット化されており、その艦歴の最盛期を迎えていた。基準排水量は改装により25000トンから一気に45000トンへ増大し、アングルドデッキ化と飛行甲板と艦首の一体化も行われた。ほぼ格納庫より上を新造し、改造したためである。そのために艦内構造は別物となっていた。



――瑞鶴 格納庫

「しかし、改めて見てみると別物になってるな」

「新造パーツで格納庫以後を置き換えたらしいからな。費用はかかったらしいけど」

「いいのか?そんなに改造して」

「運用試験艦代わりだよ。新造空母を完成させて戦力化させるには、最低でも3年はかかる。艦載機載せて就役するまでの日数が昔より長くなったからな、データ集計も重要なのさ」

「ずいぶん詳しくなったな」

「宇宙軍にいれば、否応なく詳しくなるさ。お前こそ航空指揮管制の教育受けてるんだろ?どうだ?近代の航空戦の指揮は」

「画面と睨めっこして、無線を活用するのは難しいな。ミーナに今までは任せきりだったからな」

「お前は前線指揮官型だったからな。これからはパイロットの腕だけじゃ戦局を動かせん時代になる。よく勉強しとけ」

「分かった。しかし、大きいなこれは」

「F-8はレシプロより大きいからな。運用費は上がるが、その代わりに一機辺りの費用対効果は上がる。烈風や流星はここ一年辺りが華だろう。ジェット機の時代はもうじきで訪れるだろうからな」

黒江はレシプロ機が第一線で活躍できる機会はここ一年ほどで減るという予測を話す。最も、ヘリコプターの熟成には時間がかかる故、レシプロ偵察機は当面、現役だろうか。

「なるほど。上はどういう戦略を?」

「多聞丸のおっちゃん曰く、当面は防衛に徹するらしい」

「敢闘精神旺盛なあの人の割には慎重だな」

「ミッドチルダ動乱の戦訓を受け止めたんだろう。戦艦には当面は潜水艦か空母で応対する方針だ」

「何故だ?戦艦には戦艦だろう?」

「空母か潜水艦で弱め、最後のトドメを戦艦でするそうだ。最初から戦艦でやると、思いのほかコストパフォマンスが悪いのにげんなりしたそうだ」

――ミッドチルダ動乱は、扶桑海軍の用兵に多大な影響を与えた。純粋な艦隊決戦を真っ向から行うとコストパフォマンス的に悪く、空母などを活用した上で、艦隊決戦を挑むというドクトリンへ進歩したのだ。そのため、空母機動部隊の編成が急激に進み、第一線級空母の集中運用が行われるようになった。艦載機はジェットへの更新途上であり、軽空母に分類変更されたのと、強襲揚陸艦へ改造された雲龍型が複数存在する。これは空母の急激な発展で雲龍型の大きさでは、レシプロ・ジェット双方の新鋭機に対応が困難であると判定されたからだ。スーパーキャリアである龍鶴型を除けば、ジェット対応空母は3隻もあればいい方。空母が次代の主力艦となった故、三笠型の調達と既存戦艦の近代化後は、新規建造は控えられ、尾張と駿河が老朽化する1960年代まで新規建造はスローペースになっていく。(代替としての建造は行われている)

「搭乗員の教育は?」

「飛行時間800時間の奴らを中心に確保している。下手にベテランを中心にすると、適応できないからな。ミサイル戦は最初の一撃が肝心だから、それをよく教えこんでいる」

「お前、よく出来たな。前にコスモタイガーに乗った事あるが、目回しそうになったぞ」

「電子機器とかが増えてるかんな。ただ、覚えりゃレシプロ機より楽だ。養成はむしろ楽にできるし、オートパイロットもあるからな」

――そう。ミノフスキー粒子散布後でも、オートパイロットを可能にする電子機器の開発に血道を上げた地球連邦軍は、その課程で扶桑皇国にオートパイロットの技術を提供、まだ初歩段階にあった扶桑皇国の電子機器技術を1950年代相当にまで向上させた。そのため、扶桑皇国もF8Uなどのアビオニクスを完全コピー出来たのだ。

「なるほど。ところで、改大和型はなぜ過剰にまで防御面が強化されたんだ?」

「向こう側の歴史で、大和と武蔵は悲劇的最期を迎えた事は知ってんだろ?未来人は『制空権喪失状態でも沈まない』のを目指したのさ。だから広島型原爆や長崎型原爆だろうと耐えられる装甲にしたらしい」

「過剰性能もいいところだな……戦術単位じゃオーバーにすぎるぞ」

「元々、神参謀の建てた無茶な作戦が原因で両方を無為に沈めたからな。あの人を未来人は目の敵にしてんだよ。それで当人は左遷させられたそうだが」

――神重徳大佐は連合艦隊参謀であったが、未来人の人事介入により、アリューシャン諸島へ左遷させられた事がここで明言された。海軍の辻政信という評判が立てられておいた事、大和と武蔵を無為に沈めた『無能』という史実に、連合艦隊司令部は『アリューシャン諸島の防衛強化』を名目に、アッツ島へ左遷した。これは地球連邦の強い要請もあっての事で、彼を理由づけて中枢から排除せよという圧力が連邦政府から加えられたのが示唆された。(ちなみに彼はその後、大戦終結後に少将として退役。以後は謹慎の日々を送り、1972年頃にガンで死去したらしい)

「軍も随分様変わりしたな。戦前のエリート共が殆ど追放、もしくは左遷とは」

「太平洋戦争じゃ、そんなエリート共が建てた机上の空論で何十万の軍人や軍属、民間人が無為に死んだからな。それを知ってるのから見りゃ、有能な人間だけで固めたくなるのも分かるさ」

黒江は航空士官学校出であるが、扶桑皇国が直面した事変をいい方向に改変しようとした(魂だけのタイムスリップという奇跡)結果、事変後は疎まれ気味で、最前線送りで酷使された後は20歳でいったん退役。21歳で再志願して技術部隊付のテストパイロットとして生活し、1944年からは一線部隊へ戻っている。1944年以後はまたも一転して、出世コースに戻った。空軍設立準備に当っての人員調査中に、源田実大佐の目に止まり、更に、山本五十六への航空士官学校出の陸軍高官の推薦もあっての事だ。



「この戦はいったいどうなるんだ、黒江」

「さあな。もう1946年の終わりで、とっくに戦争なんて終わってるはずの年だからな。史実の朝鮮戦争の終わった年までかかる可能性も無きにあらずだろう。朝鮮そのものが中国と一緒に滅んでるから、帳尻合わせにうちらが1946年を過ぎても戦争の当事者になっちまってるかもしれん」

――黒江の推測は当たらずといえども遠からずでもあった。大日本帝国は史実では1947年に日本国に取って代われ、終焉を迎えた。同時期に朝鮮戦争の火種がばら撒かれ、1950年に爆発している。歴史というのは皮肉なもので、ノモンハン事件相当の扶桑海事変が起こったあとは太平洋戦争が起こる。その流れは例え、異なる歴史であろうとも、当事者は同じ戦争として。しかも時期は朝鮮戦争の時期まで成りかねないと。これを皮肉と言わずにはいられなかった。





――この時期、扶桑皇国海軍は戦闘艦の世代交代を不本意ながら進めていた。これは戦前期建艦の戦闘艦の損耗が激しかった故のもので、駆逐艦は陽炎型や夕雲型に代わり、戦後型第一世代といえる有明型駆逐艦(ありあけ型護衛艦の帝国海軍仕様とでも言うべき代物)が竣工し始めていた。史実ではフレッチャー級駆逐艦の貸与であったが、扶桑皇国海軍には独自建艦能力があるので、フレッチャー級をタイプシップにした建造となった。スペックはフレッチャー級の速度を増し、水雷戦能力を増したものである。これは水雷閥と対潜能力を重視する派閥の抗争の妥協の産物であったが、飛躍的に生存性が上がった事は好評であった。特にCICの導入は革新的であり、駆逐艦が軍艦扱いとされた事もあって駆逐艦の地位は一気に向上していた。

――南洋島 第一海軍工廠(北部)

「駆逐艦もなんかリベリオンと見分けつかなくなったなぁ」

「この方が合理的だそうだ。武装もリベリオン製のが備え付けられ、殆どリベリオンの艦だぜこれは……」

「特型駆逐艦より遥かに生存性がいいって言うのだから、悔しいぜ」

彼ら工員は時代の革新を実感していた。かつて世界最高を謳われた扶桑皇国海軍駆逐艦群も、フレッチャー級駆逐艦以後の米海軍駆逐艦の前には陳腐化した事が明らかとなったのだから。

「で、これらと巡洋艦を建造して、当面の間は艦隊戦力を更新するそうだぜ。動乱で大正期の船をかなり失ったからな」

「金剛型の大半に、5500トン級巡洋艦の複数、峯風型駆逐艦のほぼ全艦、風翔……多いな」

「それに、反乱で伊勢型が退役処分になったろ?長門型も退役したから、大和型5隻と超大和型2隻で迎え撃つ事になるそうな」

「長門は何故退役を?」

「反乱の後の定期検査で、船体が老朽化してきてたそうだ。こればかりは改修でどうにかなる問題じゃないっていうんで、退役をさせたそうな」

「戦艦三笠を再び動かすと?」

「そうだ。あれならモンタナがこようが問題なしだからな」

三笠型は『自重0な超大和型』である。56cm砲を搭載したその威容はH44型にも対抗可能な唯一無二の大戦艦。絶大な戦闘力と引き換えに運用費が高いが、旧式戦艦群の代わりに海上移動要塞を設営したと考えればお釣りが来る。未来技術てんこ盛りなので、リトルボーイやファットマンを落とそうがびくともしない。扶桑が改大和型四番艦以後の計画をしていないのは、三笠型の運用費との兼ね合いである。その代わりに空母はジェット対応空母が四隻建造計画され、第二、第三、第四建造ドックで竜骨の組立作業が始められている(大神の施設は未来の耐震技術で改修ずみ)。南洋島は第二工廠(東部)は亡命リベリオン用になったので、南部工廠が拡張されている。この北部工廠は織田幕府時代からの伝統ある工廠だが、土地柄の都合上、近代戦艦と空母の建造には向かない。そこで、時代が進むごとに工廠が新設されてきたのだ。南部は設立当初は他工廠のバックアップとしての稼働であったが、現在では新たな主力工廠として、燃料庫、航空機製造施設と試験用基地なども整備されつつあった。



――この日、北部工廠のあるドックでは竣工した駆逐艦の命名式も行われた。失われていた白露や村雨の名を襲名した者、秋月型に予定された名を与えられた者と様々であった。こうして、完成していった有明型駆逐艦は1950年代により高性能な二代目秋月型駆逐艦が完成するまで、旧来型駆逐艦と共に艦隊戦力を担うこととなる。同時に改阿賀野型の建造も進められ、同5番艦『那賀』、6番艦『番匠』が失われた5500トン級巡洋艦の『多摩』、『名取』の代替として任についた。5500トン級軽巡洋艦の時代は終わった事を妙実に示していた。球磨は退役し、記念艦となることが決定しており、それらの代替として、改阿賀野型の建造は促進されたのだ。


――話は戻って、瑞鶴

「敵は何を狙ってるんだ?」

「奴らはロマーニャでグレートマジンガーにボコされてるから、うかつに攻撃はしないと思う。ただ、怖いのは少戦力しかいない泊地を全力で叩かれる事だ。この世界にはない『トラック島』の空襲みたいにな」

「防空体制や船の防衛体制が整わない泊地を全力で叩く、か……恐ろしいな」

「それで日本帝国海軍は崩壊していったからな……。小さい泊地には補給物資とかを少数しか置かないようにしたそうだ。燃やされると後に響くからな。この戦は防衛戦争だから、あまり進出する必要もないからな」

「つまり小さい泊地は見捨てると?」

「そうするのが最善だ。戦略的に不利な戦線を切り捨てる勇気も問われる。手広く戦線をやりすぎて破綻した戦争なんて、いくらでもあるからな」

「お前、随分勉強したな」

「未来じゃ特に任務に付いてない時期もあったから、図書館や軍の資料館に通ってたんだ。終わった後に後の時代の人間に好き勝手言われてる軍人や官僚なんていくらでもいたぜ。この国の別名は『日本』だろ?この時代の軍首脳や政府官僚なんて、本人聞いたら泡吹いて卒倒間違いなしの評判な奴らのほうが多いぜ」

――黒江は勉強熱心な面を持つ。未来世界では、暇な時は釣りのついでに図書館などに通ってくて、本を読み耽った。すると、日本海軍と陸軍の高級将校と政府官僚は後世から『無能』、『精神論馬鹿』、『機会主義者』と罵られる人間のほうが多い事に思わずため息をついたという。東條英機内閣の外相『東郷茂徳』など『こいつが戦争勃発を誘発させたんじゃね?』、『ソ連に期待した馬鹿』などと非難する書籍もあった。地球連邦政府が圧力をかけて外相再任を阻止させ、吉田茂を推薦した理由もそれが要因であると悟った。



「東郷茂徳外相を覚えてんか?」

「ああ、東條内閣の外相だった?」

「多聞丸のおっちゃんから聞いた話だと、あの人を再任させる案が出たみたいだが、地球連邦政府が天皇陛下に口添えしまくって阻止したんだって。吉田茂大使を推薦して、一旦鈴木貫太郎内閣の外相にしてから、次の内閣の総理大臣に仕立てあげたのは、東郷外相の行為が結果的に対ソ参戦で全くの無駄だったのが証明されているから、無能と判定されてるかららしい」

「殆ど私怨だな」

「しゃーない。向こうの日本人は今、生きてる要人の選択ミスで全てが否定されたトラウマがあるんだ。それを生み出す要因を作った連中を排除したがるのもわからなくもない」

――地球連邦の支配層は日本人である。その彼らが祖国に軍事へのトラウマを埋めつけられ、経済至上主義に走ったはいいが、すぐに瓦解した事、軍事的に復興した途端に、周りの国が領土問題をとやかく言わなくなった事から、その遠因である太平洋戦争時代の政府高官や軍首脳を弾圧したがるのもわからなくもない。

「しかし何故、間接的なんだ?」

「直接、高圧的に出れば反発を食らうのは幼稚園生でも分かるだろ。ドラえもんから聞いたんだが、向こうの世界にゃ『天上人』って人種が固形化された雲の中に住んでたらしい。だが、彼らはその高圧さが原因で地球を捨てざるを得なかったらしい」

「というと?」

「1998年の春頃、ドラえもん達が雲の王国作った時、あいつらはその天上人と接触した。ドラえもん達はひょんな事から『ノア計画』という物騒な計画を耳にした」

「ノア計画?」

「名の由来はキリスト教のノアの大洪水だと思う。つまりあれみたいな洪水を人為的に引き起こし、地上文明を滅ぼそうとしたのさ」」

「傲慢な計画だな。地上にも生活があるのに」

「だから、ドラえもんは雲もどしガスという、雲を自然の状態に戻して分解させるガスを用いて抑止力として用意した。だが、収容されていたた悪人達が悪用し、天上人のエネルギー供給源を断ってしまった。それが原因でドラえもんは命を懸けて悪行を止めた。だが、天上人はその行為にも関わらず、地上文明を滅ぼそうとした。植物星大使が査問会に臨席してなければ地上文明は危うかった。その大使がのび太の友人で、地上文明を滅ぼす事を制止してくれたそうだ。その後、天上人はエネルギー源を失ったのと、環境汚染に耐え切れなくなった事から、植物星へ移民していったというのが顛末だ。高圧的に出ると思わぬ反撃を食らうし、自分達にも不幸が振りかかるってこった」

――黒江が話した、『雲の王国と天上連邦の顛末』は高圧的に出た者の末路と因果応報を示す好例であり、それを知った地球連邦は圧力をかけるにも、間接的に行う手法にしているというのが分かる。

「だから、ティターンズは核での威力を見せる事でリベリオンを屈服させたんだ。間接的にでも町を吹き飛ばすのはこれ以上ない圧力だしな」

――核兵器の恐怖はリベリオンを屈服させた。史実では核の力を得たリベリオンを核の力で屈服させるという皮肉は、以後のリベリオンの歴史に暗い影を落とすのであった。



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