外伝2『太平洋戦争編』
七十一話『まやかし戦争3』


――日本からはかなりの人間が扶桑に移住したが、その中には左派的な思想の人間達が新天地を求めて移住したケースもあり、この頃から行動を起こしており、既存の学校に似た学校を作り、そこで『戦後民主主義』教育を仕込んだりする事を始めた。その関係もあり、ウィッチの中にはその学校の教諭になった親族からいじめを受け、更にそれが村全体に広まり、村八分にされた挙句、一家心中でウィッチの名家が絶えたという事例が出始めた。この事件はすぐにニュースになった。それを皮切りに、設立された学校のある市町村で似たようなケースが続出し、中には誹謗中傷で自殺する者も出たため、軍が保護に動くに至る。ウィッチの社会的地位の保全のため、軍の依頼を受けた治安当局が抜き打ち検査に動くが、日本の過激派仕込みの戦術の前に阻まれたり、『担当者が帰ってこない』事も起こった。ウィッチ候補生やその家族の人的被害は軍が保護に動いたのもあり、大した事ないものの、この時に広まってしまった左翼的思想のほうで社会的被害は大きく、48年の秋から始まった、1949年度の募集の際、市民との衝突を恐れ、学校側がウィッチの名簿を提出しないという事態に陥った。また、学校との話し合いに行った軍所属のウィッチが襲撃される(圭子だったので、逆に叩きのめしたが)事件も起こる。B世界から一旦戻ってきた圭子は、公用で来て妨害されるというとんでもない事態に憤慨した。

「ただいま〜……」

「おかえりなさい。上手く行った?」

「向こうが落ち着いて、状況報告で戻ってきて、さっそくウィッチ募集の仕事したら襲撃されたわよ。もちろん返り討ちにしてやったけど」

「どうする?この分じゃ、あと6年位で左翼教育がかなり広まるわよ]

「学校からの採用は無理になるわ。直接調査と面談に切り替えましょう。」

「めんどくさいけど、しょうがないか」

「それに、ウィッチ訓練校自体も立場が危うくなるでしょうし、司令に最終判断仰ぎましょう」

「親父さんも危惧してたし、こうなったらY委員会にも動いてもらう?」

「人事院の問題でもあるしね」

扶桑に設立された人事院は軍人・軍属もその管轄下に置いており、軍の人事問題をも解決すべく、強大な権限が与えられている。そのため、Y委員会は人事院も手中に収めており、その委員である圭子の要請で、Y委員会が招集された。委員会では、ウィッチの社会的地位の保全と、前途ある若き候補生らの保護が決議され、直ちにウィッチ保護のため、ウィッチとしての素養発現の段階で、ひとまず軍隊が家族共々、身柄を保護することが決議された。その過程で『新学校』への査察も警察により行われ、そのたびに暴動と衝突が起き、逮捕者が30名以上生じた。この時にその学校にいて、後にウィッチ側に立場を転じたがため、自分のアイデンティティを求め、軍大学校に入った者もいて、その者達は1960年代頭にかけてかなりの割合で存在した。結局、日本が自衛隊の法制でネガティブリストを潰していった事もあり、新学校は存在意義を見失い、1960年代終わりまでに活動は低調になるのだった。


――この時期はその新学校の問題が顕現して間もない時期だったが、Y委員会が早期に対策を講じた事もあり、ウィッチ募集方法は様変わりした。(同時に、ひかりが最後の生え抜き『ウィッチ訓練校出身者』世代となった)同時に人的資源の補充量が低調になる事でもあるので、次第にリウィッチが実働部隊主力になっていく。64Fの実働戦力の9割がリウィッチとなるのは、この時期からだ。なので、軍出身者たちの政治的圧力で『新制学校にはウィッチクラブの設置を義務化する』事が決まる。これはカールスラントを参考にしてのもので、その著名な出身者は芳佳の娘『剴子』、二代目スリーレイブンズであり、黒江の義理の娘『翼』だったりする――





――二代目スリーレイブンズは祖母世代の戦いに地味に協力させられており、圭子の義娘『澪』はその筆頭で、多忙な大叔母に代わり、黒江に育てられたため、黒江の命令でF-15ストライカーを提供させられていた。

「母さん、いいの?F-15、そっちに送ったけど、何に使うのさ」

「黒江ちゃんが使うんだって。場合によってはあなた達をまた呼ぶわ。いつでも出れるようにしといて」

「分かった。麗子と翼にも言っとく」

澪の父親は圭子の次兄の子である。祖父母は澪の生誕時には既に亡く、両親も生誕間もない頃に航空事故で亡くなった。一番近い身寄りの圭子が引き取り、実子同様に育てたのだが、黒江が幼少時に面倒を見た影響で、性格は黒江の生き写しである。他には、圭子がゲッター線を浴びていた影響で、澪は隔世遺伝でゲッターの遺伝子を持つ『ゲッターの申し子』である。なお、初代スリーレイブンズと違い、全員が幼馴染であり、学校も常に一緒という関係で育っているため、事実上は家族同然の関係である。

「ふう。これで澪達は確保っと。武子、美奈子のほーは?」

「今、連絡取ったわ。オッケーよ。坂本の孫も連れてくるかも」

「百合香か。坂本が喜ぶわよ」

「前回はあの子が長じる前に死んでるからね、坂本。いいクリスマスプレゼントになるわね」


北郷百合香。北郷の曾孫であり、坂本の実孫でもある。前回は坂本はその成長を見れなかったが、今回はタイムマシンを使うことで実現する。それが武子が坂本へ送る二度目の『1948年』のクリスマスプレゼントであった。

「あとは……どうする?」

「何を?」

「決まってんじゃない。黒江ちゃんへのクリスマスプレゼント」

「あー、どうせ今年もゲームソフトじゃない?」

「投げやりねぇ、今年は」

「今年はやること増えたから、考えてなかったのよね。特に今回は、一度目になかった出来事も増えたし」

「あの子達――ロボットガールズ――が来たから楽にはなったわよ?」

「たしかに」

「なのははのび太と出かけたわ。前線に出た怪異はジークが倒したそうよ」

「ジーグブリーカーでもかけた?」

「スピンストームぶっ放したそうよ」

「過激ねぇ」

ジークさんは鋼鉄ジーグ=司馬宙の過激さを受け継いでいる面があるため、イタイ台詞を省けば、やることが大雑把なところもある。バズーカでいいのに、わざわざスピンストームで決めるという妙なこだわりを見せている。(実際のところは、トートバッグを整理していないため、トドメに使おうとしたジークバズーカとマッハドリルが見つからないので、スピンストームをぶっ放しただけであった)




――ジークさんはカッコつけたがりのくせに、慌てると、ドラえもんと同じような癖を持つ。つまり、トートバッグから目当ての武器が出せなくなる癖を持つ。そのため、誤魔化しを兼ねてスピンストームをぶっ放つ事が多い。ちなみに、当人曰く、格闘能力は司馬宙の新サイボーグ体に匹敵するポテンシャルを持ち、鋼鉄神ジーグが元々いた世界の彼のサイボーグを圧倒する能力を持つとのこと。反地球(ガイア)には二人の司馬宙がおり、その彼らを意識した台詞だと思われる。あとは真ゲッターロボの片鱗を垣間見せたゲッちゃんへのライバル意識だろう――








――ロボットガールズは合宿でその強さを増し、ゲッちゃんはゲッター線の真髄を感じ取り、ストナーサンシャインを完全に会得した。ゲッター線を高濃度に圧縮する都合、マッハウイングはバトルウイングに変異する。そのためか、ゲッちゃんから荒い言葉も出るようになり、竜馬のメンタリティが反映された好戦的な面も出始めた。

「味わっていただきましょう、ゲッターの恐ろしさを!!」

その台詞と共にシャインスパークやストナーサンシャインを放つようになり、ゲッタートマホークのデザインも真ゲッターロボのハルバードタイプに変わっていた。真ゲッターロボの片鱗と名付けられた、その『ドラゴンでありながらストナーサンシャインを撃つ』力はアカレンジャーが名付け親た。ロボットガールズは合宿後、直ちに64Fの人員と扱われ、軍籍も中尉から少尉相当で作られた。ウィッチの新規入隊が乏しくなった分を彼女らで補おうとしたのだ。実際、翌年度の募集で64Fにやってきた新人はたった数人であった。(人事院報告によれば、せっかく圭子の著書のおかげで回復に向かっていたのが、日本のせいでまたもどん底になったと嘆かれる水準の落ち込みだったとのこと)日本は罪悪感を感じ、その賠償とばかりに、2000年代以後の技術を惜しげもなく提供した。この事は2014年度の国会でも議題となり、財務省が扶桑側から通告された賠償金の試算が『日本円で10兆を超える金額である』とする報告と、扶桑側からの苦情を外務省が報告した事から、紛糾の末に決議された。流石に、『自分の行いで扶桑で失われた人命は25万を超えているのに、賠償金を出し渋る』事が知れたら、戦艦による砲撃が待っていて、扶桑の植民地化されるという恐怖があった。韓国が扶桑に完膚なきまでに叩き潰された事も、野党の恐怖を煽った。結果、外務省に『技術の提供で減額してもらえないか』とする要望を伝えてもらう以外は了承された。これはいくら日本でも、賠償金を一括で20兆近く払うと、国家運営に支障をきたすからであり、技術提供などでどうにか減額できないか?と財務省や政治家らが考えた末の結論だった。結果、試算から約5兆の減額と引き換えに、21世紀の技術を提供する事になり、その過程で、自衛隊の主力戦闘機、戦車などの軍事技術も扶桑に渡る事になり、64Fの独自調達品扱いだったF-15Jなどは制式装備扱いに変わった。これはアメリカが扶桑を『一大市場』と見なした事により、許可された事項で、日本に先立って、扶桑が接触していた事による成果だった。そのため、扶桑皇国軍と亡命リベリオン軍は急速に技術革新を迎え、1949年を迎える頃には、F-15/16/18が扶桑でも生産されるようになっていた。ただし、生産ラインの飽和を防ぐため、三機種の生産は旧式のレシプロ機の枠を補う『低率小規模量産機』の枠内でのみ生産されるようになっただけである。


――1949年 一月――

49年を迎えた扶桑皇国空軍は精鋭にのみ『低率小規模量産機』の使用を許可した。同年開始と同時に『雷電』の生産終了と『F-14』の生産開始が加えられたため、雷電と飛燕などの代わりにジェット機が加わったというわけだ。『一度目』では生産は1960年代終わりであったので、かなり早まった事になる。自衛官でもある者が多い64Fでは『F-15』の装備率が高く、次に『F-2』、『F-4EJ改』だった。これは自衛隊側の要望でもあったが、『F-14』も装備していた。これは圭子に海軍から要望があっての事だった。ただし、問題があった。
現在の主力『F-4E』は複座戦闘機であるため、レシプロ機時代からの古参搭乗員からは『艦爆飛ばしてるみたいで嫌だ』と苦情が出たのだ。圭子は『ファントムは空戦出来る艦爆だから。 何を今さら』、B世界滞在中の黒江も『はぁ?何言ってんだ?ありゃ戦闘爆撃機だぜ』と冷淡であった。更に『外部装備7tだぜ?一昔前の重爆並じゃねーか』と一笑に付した。黒江はファントムドライバーの資格も取得しており、何度か乗っているので、扶桑パイロット達の空戦至上主義論を一蹴する。更に未来のジェット機の少なからずは複座型が存在すると言い、扶桑海軍搭乗員に喧嘩を売った。これが元で、海軍搭乗員らと乱闘を起こすことがスリーレイブンズの日常となり、智子にも喧嘩を売った者がいたという。この時期に海軍搭乗員らに響き渡った武勇から、『空軍の豪傑一族』と64F新撰組は部内で呼ばれるようになる。意外にも、売られた喧嘩を買った回数は圭子が最多をマーク。相撲の十両級の実力者が多い『空母翔鶴』の乗員40人を容易く投げ飛ばし、相撲協会から『男だったら』と嘆かれる』ほどに羨望されたという。


「――越後、もう少しで完成だって、のび太くん」

「越後?確か播磨の二番艦だったね」

「元は大和型戦艦の五番につけられるはずだったけど、流れたのが流用されたそうな」

なのははここ最近、のび太の護衛を務める事が多くなった。最近は休憩室で共にいるのが日常だった。話題にしているのは、竣工近い播磨型「越後」のことである。同艦級はいずれ登場する改モンタナ級を想定しているとプロパガンダされているが、実際はバダンの『ヒンデンブルク号』を主敵と想定していた。ヒンデンブルク号は大和型戦艦が波動カートリッジ弾を用いてさえも撃沈できず、三笠型と対等の能力を持つバダンの切り札であった。ミッド動乱の休戦協定の際には、バダンのシンボルとして君臨し、扶桑皇国に屈辱を与えた。その屈辱を晴らすべく、計画されたのが播磨である。計画自体は動乱中には立ち上がっていたが、これ以上の新戦艦の造船に疑問を持つ井上成美中将(現・空軍)などの影響力もあり、第三次ミッドチルダ沖海戦の大和型戦艦の惨状が知れ渡るまで軽視されていた。が、第三次ミッドチルダ沖海戦で『航空魚雷30発を片舷に食らっても傾斜を起こさず、その主砲一斉射でFARMされた大和型『甲斐』を半壊させた(砲弾が船体を貫き、ミサイル庫で爆発した)』との知らせが舞い込み、艦政本部を震撼させた。航空魚雷もミサイルも効かないヒンデンブルクに対抗するため、三笠型を投入し、勝つには勝ったが、通常サイズの船でカールスラントに遅れを取った事は扶桑海軍に強烈な屈辱感を与え、その屈辱を後ろ盾に、連邦軍『主力戦艦級後期型』相当の重装甲を持つ播磨型が承認されたのだ。播磨型の造船では、波動エンジンを積んでいない以外は宇宙戦艦に近い建造方法が取られ、主砲周りの機材は連邦軍が工廠に保管していた『アンドロメダ級』のショックカノンの部材が流用されている。宇宙戦艦にも改装可能な構造という。

「アンドロメダって増える予定だったの?初期仕様」

「ぼくもデザリウム戦役で真田さんに聞いただけだけど、アンドロメダってさ、英米が超ヤマトタイプを目指して考えてた船だそうだよ。で、戦争前には20隻前後の建艦が見込まれてたけど、ピースクラフト政権になった煽りで、完成間近の3隻以外の建造ストップ。で、白色彗星が迫るってなってから、3隻の建造再開が進められたんだけど、だめだった」

「ドックごと?」

「うん。当時の政権交代と地球連邦の安全保障法制の再整備が遅れたのもあって、三隻は哀れ、工場ごと吹っ飛んだ。結果、無事だったのは完成、あるいは起工された六隻中、二隻だけだそうだよ。デザリウム戦の時にパーツ取り用になってた初期仕様のは、戦いで大破して、そのままパーツ取りに使われたものらしい」

「アンドロメダって、なんか生まれの星が悪いのか、散々だね」

「あれは戦闘マシーンだって、真田さんがこき下ろすくらいに自動化進んでたしね。しゅんらんから人間の制御を増やしたのは、アンドロメダが超巨大戦艦と戦ったらあっさりやられたことの反省だそうな。で、新型の拡大波動砲に切り替え始めてるし、アンドロメダ級のタイプシップもしゅんらんになったけど、話を聞くと、そもそも前線で戦うのは想定外だっていうよ?」

「戦艦なのに?」

「アンドロメダ計画の主導者だった芹沢虎徹氏(不名誉除隊になったため)の手記によれば、アンドロメダは戦略指揮艦としての運用が主で、戦艦本来の任務を二義的にして造られた船だったんだ」

「旗艦だからね」

「ところが、実際は戦線の矢面に立ったもんだから、設計陣は阿鼻叫喚。土方提督の指揮を批判する技術者多かったって」

――アンドロメダは実際のところ、指揮官が指揮官先頭を是非とする猛将の土方竜であったので、想定と真逆の運用をされ、超巨大戦艦に破れて、儚く散っていった。対照的にヤマト型は超巨大戦艦の砲撃にも原型を保った。その事が戦後、ヤマト乗員のアンドロメダ型のこき下ろしと重なり、アンドロメダ級は連邦軍総旗艦の座から滑り落ち、今や大ヤマトにその座を明け渡している。その事も、アンドロメダ級の悲劇の証明であった。『ヤマトを超えようとしたが、越えられなかった哀れな女神』という諢名を後世に背負う。それがアンドロメダの悲しい運命だった――

「でも、大ヤマト、魔改造しすぎだよ。翼とバルジつけて、プラズマ波動エンジンの先取りなんてさ」

「25世紀じゃ性能不足になるんだよ、それで」


なのはは、ヤマトがどんどんパワーアップし、大ヤマトの今の時点でさえ、全ての時空管理局の船や地球連邦のほぼ全ての戦艦より強いのに、逐次改造されていくというのに呆れていた。

「そこまでやってアルカディアv-Wとトントンだからなぁ。アルカディア号が如何に強いか」

「その時は、Gヤマトにでもするんでしょう?魔改造しすぎだよ……」

「モノポールエンジンと波動エンジンの複合に将来的になるだろうし、今のヤマトなんて、ゲッターロボで言えば、ゲッタードラゴン程度だよ」

ヤマトは時代と共に有志がパワーアップさせるため、大ヤマトの時点で、正規軍の24世紀のヤマトと同等の性能を誇る。のび太がゲッタードラゴン程度と例えた通り、ヤマトの最終パワーアップは時流エンジン/波動モノポール機関/重力機関の統合双連化であり、真・グレートヤマトと呼ぶに相応しいものだ。大ヤマトはそれから見れば、赤子なのだ。

「ひゃあ……」

「ゲッターロボだって、エンペラーが待ってるんだし、真ドラゴンだって、エンペラーから見れば、『未熟な進化』だし、大ヤマトは初代ゲッターロボがドラゴンになった程度だよ」

もののたとえ的にはわかりにくいが、とにかくそんな感じのパワーアップが大ヤマトなのだ。ガイアの作るヤマトは竣工時ヤマト相当であり、大ヤマトには到底敵わない。

「それに『ガイア』でもBBY計画でヤマトの人柱に出来そうな艦が出来てるみたいだし、これからが楽しみかもね?」

「のび太くん、黒いよ?つまり、ガイアのヤマトは2199ヤマトって事?」

「多分。波動エンジンも根本的に違う技術で造られてるらしいから」

「ややこしいね。あれだと、波動砲封印されたけど、アースだとタキオン粒子砲だけど、ガイアは次元波動爆縮器だと思うから、パニックになりそう」

「波動砲のテクノロジー自体が別物だもの。こっち、つまりアースはタキオン粒子を圧縮して、小宇宙一つ分のエネルギーを撃ち出す構造だよ。ガイアは波動エンジンの理論が別のものじゃない?うろ覚えだけど、『波動エンジン内で発生した余剰次元を射線上に展開して、それで発生した超重力で形成されたマイクロブラックホールが放つホーキング輻射により域内の敵を一瞬で蒸発させ、吹き飛ばす』のが2199の波動砲。多分、2199のイスカンダルがアースの太陽系連合艦隊見たら泡吹くよ?多分」

文明体系がアースとガイアとでは異なるので、波動エンジンもまるで別物である。のび太が言った『2199』とは、アニメとしての宇宙戦艦ヤマトのリメイク版だが。それがガイア(反地球)のヤマトなので、波動砲も別物である。アース側はタキオン粒子技術の産物であると説明するつもりであるが、ガイアの出方が分からず、大ヤマトを控えさせている。これはガイアが接触したと思われるイスカンダルはアースのイスカンダルと別のイスカンダルである事が予測される事から、ガイア側がアースの波動砲艦隊を倒そうとする懸念(アースの技術はタキオン粒子文明だが)があったためだ。そのための大ヤマトなのだ。(なお、連邦軍は正式には、デザリウム戦後の組織再編成で『地球星間連邦防衛軍』という名に変わっており、正式略称は『地球防衛軍』に変わったのだが、未だに地球連邦軍で通る。なので、未だに連邦軍と現場でも言っている。現時点では外征艦隊が正式名称を使うが、長いので、地球防衛軍と言っている)

「ん?のび太君、何書いてるの?」

「ガランド閣下への報告書。一応、雇われてるしね」

「今年に入っていきなり?」

「うん。年末からまとめての報告さ。明後日にはウチに顔出して、カミさんを安心させないといけないし」

「のび太くん、英語書けたんだ」

「親父の代みたいに、よく映画で見る続き文字とかじゃないけどね。去年、家に帰ったら、親父に見られて叱られたところさ」

のび太の代になると、PCなどの都合もあり、のび助の時代に用いられていた書き方はあまり用いられなくなった。のび助は苦言を呈したが、のび太の時代ではそれが当たり前なのだ。

「大学時代、読みたい論文があったんだけど和訳が無くてどうせならって何ヵ月かかけて暗記パンで英語入門書丸暗記してから論文読みまくってたらいつの間にかラテン語とドイツ語は読み書き出来るようになってたんだけど、英語以外は喋るのだめでさ。翻訳こんにゃくに頼ってるよ」

「ドイツ語とかは難しいからね。あたしは喋れるけど、書けないタイプだよ」

なのははベルカ語がドイツ語ベースであったので、教導官としての任務の都合、喋れるようになったが、ミッドチルダ語が英語ベースである都合、ベルカ語(ドイツ語)は書けない。その点が似た者同士であった。

「さて、僕は荷造りしてくるよ。なのはちゃんは?」

「まだ休暇取れないし、外出届出して、気晴らしに行くよ。士官だし、軍需物資や人員運搬用の列車は乗れるし」

「新京の甘味屋の新メニューでも食いに行く?」

「いいね」

「確か、チラシが」

「……のび太くん、これ、実家と提携したところじゃん!」

「本当?なら、割引効くかも」

基地への列車は、軍都計画の日本の横槍での頓挫後は貨物列車と人員輸送用の車両が通るだけである。それが基地最寄りの市街地を憤慨させており、その賠償として、慌てて、その街の再開発事業を日本企業が行っている。日本側の再開発は軍都計画の区画を利用しての普通の街づくりであったが、結果として、街の活性化に繋がったとか。



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