外伝2『太平洋戦争編』
九十話『戦争の状況』


――扶桑皇国はA世界では、日本からの横槍で軍事予算が減らされた(国民への補償金に予算が回された)ため、黒江達の装備調達は黙認されていた。戦争中というのに、だ。そのため、47年までの皇国は大規模な軍事行動は実質的に封殺されていた。また、艦や航空機、電探装備に至るまで、日本の左派が満足行く水準まで更新せざるを得ない状況なので、既存の装備は使い倒すしかなく、扶桑軍の装備の稼働率は低下していった。特に、陸戦装備はボルトアクション式から自動小銃に切り替え、特に現場を困らせたのは戦車である。105ミリ砲から120ミリ砲搭載型が主力として満足行く装備とされたが、扶桑は75ミリ砲から90ミリ砲戦車への世代交代途中だったので、もう一世代進めるのは数年以内には無理難題であったし、旧装備の大半の生産ラインは閉じられてしまったため、実質的に補充可能な戦車は五式中戦車改型のみになっており、そこも稼働率低下の一因であった――


――扶桑本土――

「くそ、日本の連中、無理難題言いやがる。敵だって、そうそう120ミリ砲搭載戦車は戦場に出せないつーの」

元騎兵閥の戦車兵らは、戦車が加速度的に大型化し、105ミリ砲や120ミリ砲搭載の大型戦車が求められている事に苦言を呈するが、敵戦車が軽戦車でさえも、76ミリ砲搭載に飛躍してしまった事で、彼らの考える戦車像は過去のものになっていた。

「海に比べりゃマシだろ。海なんて、大和型の前の世代は旧式艦って切り捨てられたし、空母も翔鶴までしか使い物にならん扱いだぜ?無茶苦茶だぜ」

戦艦も紀伊型戦艦以前の艦は一切合切が旧式艦と切り捨てられ、大和型すら『砲撃特化』とせせら笑われる時勢になってしまったし、空母は翔鶴でさえも手狭と言われる。それに比べれば、戦車はマシなほうである。

「後知恵だろう?全て」

「だが、正しい流れに則ってるから、反論できんのが痛いそうだ。結果、大和型も大改装されてるし、量産された後の艦ほど、中身は別物だ。宇宙艦にほぼ近いそうだ。ここまで改造した理由は、相手が『日刊駆逐艦、隔週巡洋艦、月刊軽空母、隔月正規空母、季刊戦艦』の国だからだ。たとえ、今の連合艦隊のワンセットをまるごと喪失しても、一年で元に立ち直れるそうだ。ブリタニアと扶桑だけではそんな国に立ち向かえないぜ……」

「嘘だろ……」

「相手のウィッチ閥が発言力を無くして、本気になられたら、大和型をあと12隻増やしてもトントンらしい。それくらいの生産力だ。弾道ミサイルで敵本土を叩き、その上で艦隊を行動不能にし、400万の敵兵を撃滅する。それでしか和平のテーブルについてくれんよ」

彼らは陸軍兵だが、終結に払う犠牲は現在の軍の総人数の70%を覚悟している。日本連邦は海戦での犠牲については悲観的な予測で、現在の主力の壊滅は計算に入れている。これは当時の海軍ウィッチ達が全員戦死するのも勘定に入れられている予測であるので、ウィッチ達からは批判されている。これはウィッチ戦力の大半が単なる『飛べる歩兵』扱いと見做されていたためだ。そのため、64Fは最高戦力としての贅沢の極みが許容されている。スーパーロボットすら動員可能なのは、こうした予測を超えるためであった。

「でも、あと数年は引きこもる予定なんだろ?どうしてだ?」

「機甲戦力と歩兵火力の向上と更新が済んで、対潜網が整い次第だからな……。50年代までかかるよ。二線級部隊に行き渡らすのにも、あと数年は必要だしな」

「奴らは俺達に何を求めるんだ?」

「国民を守る軍隊だろう?日本軍が放棄したのと逆の事をしろってさ。俺たちゃ肉壁か?」

「仕方がない。満蒙開拓団の事があるから、俺達は肉壁になれってさ」

「前線に兵器送るのはいいが、弾がほしいね。ウィッチがくると、大火力で吹き飛ばすしかねぇしな」

「ミニガンで蹴散らすしかないからな。ウィッチは強力な者なら単発なら戦艦の砲撃も一撃は耐える。が、弾丸が連続発射されるミニガンには耐えられないからな」

この時、扶桑陸軍はVADSやミニガンを導入し、前者を対航空、後者を対陸戦ウィッチ用に用いていた。主に陸戦ウィッチなどに配備され、数名が一斉に発射することで虚を突き、敵を蹴散らす。これが敵ウィッチには恐れられている。ミニガンの通常の人間が制御不能な反動も、ウィッチであれば制御可能だからで、それらが戦線の重要火力であった。

「欧州に64が向かったって?」

「ああ。俺の従姉妹があそこにいるんだが、あそこは優遇されてるって話だ。食事も装備も一級、給料も通常ウィッチ部隊の倍は出るそうだ」

64Fは日本へのプロパガンダの意味も含まれているため、当時の扶桑軍では最も待遇もよく、高級取りである。ただし、最前線投入の可能性が高いため、当時に貴重であった若手は配属人数がそもそも少ないため、天誅組や極天隊に配置されている。彼らもそれは知っている。64Fに行くのは『物好き』、『戦闘狂』という評判も立ち始めていたが、極天隊に属すれば、給金に手当が加算されるため、給金目当てで極天隊に属する若手も多くなっていた。もちろん、素養があれば実働部隊の3つに異動となるのは言うまでもない。64が極天隊を予備人員とそれらの他部隊へ送る人材の受け皿に充てており、前線に動員する可能性は低い。そのため、新撰組が最も人数が多いのであった。



――2018年の日本――


「扶桑の空軍のこの部隊の構成は可笑しいのではないか?」

「申し上げたように、64Fは本来、若手とベテランを混合させてボトムアップを狙って設立された部隊です。しかしながら、貴方方の持ち込んだ風潮により、若手の確保が困難になったため、ベテランを集中配置した『精鋭部隊』に結果としてはなったのです」


日本の野党は64Fに多大なる予算が費やされている理由を防衛大臣に問う。ここのところの日本ではお馴染みの光景だった。日本は戦時に突入している扶桑をよそに、前年に艦隊による襲撃があったのにも関わず、平時と変わらぬ国会の進行ぶりであった。特に槍玉に挙げられるのはウィッチ部隊への高額な費用のつぎ込みであり、64は豪華な人員(エース級がズラリ)もあり、突っ込まれる事が多かった。防衛大臣はお決まりの説明を淡々と答弁する。そして、今回は扶桑空軍から説明のために『牟田弘子』大佐(第59戦隊長兼第100飛行団隊長。陸軍航空ウィッチ出身)が派遣されており、答弁する。

「ウィッチの長所としましては、100MHz帯以下の周波数の電探に引っかかる事がないのと、然るべき訓練さえ施せば、空挺部隊としての運用も可能と言えるところです。その点、64の実働部門は抜群の人材が結果として揃いましたので、空挺訓練も積んでいます」

ウィッチ部隊はこの頃より、高練度航空部隊は空挺部隊の講習を受け、実質的に臨時空挺団としても運用されていた。64Fも例外でもない。64Fは特に厳しく、陸自の第1空挺団の講習を実働部隊の全員が受けており、黒江のいる部隊に講習しにいくと聞いた空挺団の幹部はあそこが縮み上がったという。(黒江が防大時代、陸戦の適正もあったので、陸自はほしいと言っており、空軍軍人であることが分かった日には陸自は血の涙を流したという。だが、黒江は当時の時点で見込まれており、レンジャー課程もクリアできると評されていた)64Fがベテランばかりになった事は、空挺部隊も兼ねるようになった戦時にはプラスになった。また、英霊達もメンバーに加わっている64への講習は空挺の誉だとされ、特に力が入れられた。そのために64はそれら講習を受けた部隊でも最強となり、戦時突入前の演習では、対戦相手の米軍のデルタフォースやグリーンベレーをすら恐怖させたという。言うならば、陸自空挺団が64Fを『扶桑のSAS』(英特殊空挺部隊)として飛躍させたと言え、日本最強の特殊部隊として名を馳せるのである。

「我がウィッチ部門はそちらより流入した戦闘形態に適応しようとしています。航空兵に空挺訓練を積ませていますのも、特殊部隊として戦後も維持するための試金石なのです。言わば、未来への投資とお考えください」

「いつ終わるかどうかもわからぬ戦争の後の事を考えろと?」

「この国の軍事評論家などからは批判の的になっているので、公式の答えは必要です。特に我々は魔法の力を持つので、奇異に見られますから」

牟田大佐はウィッチを戦後も生き延びさせるため、新参者のMATに存在意義を奪われないよう、MATとの差別化の意図もあり、特殊部隊化を強力に推進する。64に多くの予算を割いている理由を、特殊部隊化も兼ねていると公式に表明する。言わば、軍ウィッチを戦国時代以前に先祖返りさせる事を示している。これが太平洋戦争でウィッチの上層部が取った生き残りのための選択だった。当時、ブリタニアの誇るコマンド部隊はティターンズの本隊の前に散り散りとなったモノも複数生じ、ウィッチのコマンド化はその代替措置も含めていた。扶桑がそれに最も熱心だったのは、陸軍の『貧弱な』歩兵装備をあげつらって、それに否定的な論調が扶桑の一般国民に晒されたからでもある。彼女らの苦労は諸方面に広がっていた。ウィッチだけの問題でもなくなっていたからだ。当時、歩兵連隊の火力の要は機関銃であるとされており、扶桑は九六式軽機関銃から九九式軽機関銃を開発し、歩兵連隊に配備していた。だが、日本の一般国民は扶桑陸軍を『三八式でガーランドに勝てない』とする論評を扶桑の新聞に載せ、混乱を引き起こしていた。確かに、史実戦争末期の日本陸軍は機関銃部隊を歩兵連隊につける余裕すら失せていたのだが、扶桑は満州事変当時の余裕があった時の実情を当てはめたほうが正確であり、扶桑軍は一般国民へのプロパガンダに力を入れている。特に、歩兵装備に自動小銃を言い渡らせているのは、この論評で本土部隊にも九九式小銃以前の小銃を置けなくなってきているからでもあり、扶桑の旧輜重/主計科(現・輸送/需品科)関係者を悩ませている。また、彼らの承認なしでは、陸上の作戦を立てられなくなった事、『道路がなければ、作れば良い』と叩き込まれた事や、自動車運転可能な者を増やす事から始めるため、ここも当面は自衛隊や義勇兵、地球連邦軍頼りであった。




扶桑は戦争時の日本の10倍はモータリーゼーションが進んでいたが、軍隊や公共交通機関のモノという意識がまだ強く、自家用車は華族や高級軍人、芸能人などの裕福な人間のおもちゃという意識もあったので、そこを如何に改革するかが問題だった。そのため、この戦争は、扶桑全軍とリベリオン軍を使っての『未来人のウォーシミュレーション』とも揶揄されている。実際、日本人の一部には、『生え抜き自衛隊員の発言力を強めるため、扶桑軍人を万単位で間引きする』とする考えすら存在しており、命の価値を扶桑軍人10人=自衛隊員1人と考える者も存在していた。これが政治家達の大半の考えなのだから、困ると言うのは、とある幹部自衛官の言。そのために前線の扶桑軍、特に陸軍は兵器不足、弾不足という泣くに泣けない窮状だった。これは兵器更新途上な上に、旧来型兵器のラインが日本側主導で閉じられたという事情があり、そのため、地球連邦軍が代わりに前線に弾を届けている始末である。そのため、陸でまやかし戦争状態に陥っている。(ただし、兵器や弾薬が増産されさえすれば、攻勢をかけられるだけの量は確保出来ると日本は説明している)日本は平時の感覚で軍事行政を仕切りたがるが、扶桑は戦時である。そのため、兵器の生産ラインを閉じる事の意味は掴めていない。前線にある、その兵器の稼働率は共食い整備が行われるために低下する。そこも日本の軍事への無知が扶桑を窮地に追い込んでいると言える。だが、一方のリベリオンも開戦からの一年近くの間に、当時の保有潜水艦がよってたかって撃沈されたため、ウィッチの輸送にティターンズの装備を用いる必要に陥るなど、リベリオン本国軍ウィッチ隊も地味に打撃を被っていた。これは有力ウィッチが潜水艦ごと屠られた事例が続いたからで、ウィッチ同士の空戦が未だに起きていないのは、潜水艦が撃沈されたときに、ウィッチ輸送艦化していた艦が多かったからで、64と空戦が出来る練度のウィッチが開戦から数ヶ月で尽くが海の藻屑となっていたからでもある。これは扶桑には僥倖だった。ウィッチ育成は数年はどうしても必要となるし、リベリオンは『新しい土地』であるため、人口に比してのウィッチ確保可能な人数がどうしても扶桑よりも少ないため、ウィッチはリベリオンでは早くも弾切れの様相を呈している。皮肉なことに、膨大な物量を誇るリベリオンならば、ウィッチに頼る事なく戦争を行えるということは、リベリオン本国のウィッチ部隊にとっては『存亡の危機』そのものであった。黒人やネイティブ・リベリオンからも集めれば、まだまだ余裕であったが、リベリオン本国の軍部は白人至上主義気味であり、そこもリベリオン本国のウィッチ資源のフル活用が出来ていないとティターンズも呆れる理由だった。





――扶桑皇国がこの時期に困っているのは、元々、海援隊に領海警備などの任務を委託していたのを、海軍にいきなりそれを考慮した任務を負わせる事を強要した海上保安庁という、領海警備部署の存在であった。従って、海援隊も装備の大幅な更新を強いられた。元々、海防艦などの優先的割り振りを約束されていたところに、『ボフォース40ミリ砲もレーダー照準の射撃指揮装置もない)となじられ、機材取得が海上保安庁などに強要されたため、海援隊も本来の任務に支障をきたすほどにパニックであった。米の沿岸警備隊が任務を代行するなどのパニックも起き、このパニックは米軍や英国軍は『日本人の敗戦のトラウマが引き起こした集団ヒステリー』と評している。実際、扶桑の軍装備は1940年代の水準で言えば、アメリカを除けば『列強』の中でも優秀と言える水準であるため、性急に戦後装備に更新したがる日本の軍事官僚や政治家を揶揄している。そのため、事の重大さに気づいた日本人が慌てて、前線の要望に応えるという体裁で、扶桑の旧型陸戦兵器や装備の『改善型』を生産させたのは翌年の48年の事である。それまでは既存兵器の共食い整備で場繋ぎを行うしかなく、実質的にそれまでの期間、完全な装備の充足状態でいた陸・空の部隊が64Fと義勇兵部隊のみという情けない状況だった――





――統合幕僚会議では、この問題の解消がある日の議題であり、とても反転攻勢どころではない前線の状況により、64Fに実質的な自由行動権を与える方向が決まった。これは敵への心理的効果を期待してのもので、日本としても、後方撹乱の意図があったため、事後承諾の形で認めた。また、スーパーロボットの事はこの際に知らされた。ゲッターロボやマジンガーなどの実在は、前々から一般層は知っていたが、政治家や官僚が逆に半信半疑という状況である(そもそもマジンガーやゲッターロボさえも知らない者が防衛官僚にいた)ため、改めて説明がなされる珍事が起こった。

「――であるので、64Fに自由行動権を与えるのは、至極当然であると考えます」

会議で流されている映像は量産型グレートマジンガー(第二期生産型)、ゲッターロボ斬などのテスト時の映像で、ヒーローメカ然とした外見のスーパーロボットも、兵器として運用するには、相応の設備や準備が必要であることも示す。スーパーロボットも兵器の一種である事を示すため、格納庫などで整備を受けている様子が映像の中心である。リアルロボット世代が官僚になっている時代を迎えている故、日本への説明の動画がリアルロボットの説明っぽいのだ。

「なお、これらも『機械』であるので、このようなことは日常です。従って、これらを強力な兵器と見做しております」

スーパーロボットも、マジンカイザーや真ゲッターロボ以上の上位機種のような自己再生能力を有さない機種は武器の威力などを除けば、俗に言うリアルロボットと何ら変わるところはない。会議では、そこのところの説明に会議の半分の時間が費やされた。地味ながらも重要な説明であるのだが、戦争がどうにも大勢を動かせない時期には、こうした副議題の説明に時間が割かれる事が多かった。特にマジンガーやゲッターロボなどを大っぴらに運用していることを周知させることは、戦争の今後を占うため、特に力が入れられている。このプロモーションビデオの制作にはドラえもん、のび太、スネ夫が関わっており、この頃には地球連邦と扶桑にとって、重要人物と見なされていた証であった。これにより、後の次元融合後、兜博士にマジンガーZとゴッドマジンガーの情報が、息子の兜剣造には、グレートマジンガーの情報が入り込んだのである。しかしながら、この事でグレートマジンガーの誕生が決定的になったのを気に入らないZの邪の自我がZEROの顕現を促す事になる。それを感づいていた兜十蔵は、息子にゴッド・マジンガーの設計図を託す。つまり、兜十蔵はZの完成と同時に、善と邪の自我が芽生える事を悟っており、甲児を守るために、Zを超えるマジンガーを生み出すことを息子に託した事になる。ZEROはマジンカイザーすら倒せるほどに力を飛躍させるが、ゴッドマジンガーとグレンダイザーなどがZEROを倒す。Zそのものは自己否定となるため、取り込む方向を取っており、ダイ・アナザー・デイでZEROが倒された際、Zちゃんが生まれた地点には、ZEROが捕食したと思われる、平行時空のマジンガーZが大量に残された。パイルダーには平行時空の甲児の朽ち果てた遺体が乗っていた。その数は少なく見積もっても数百体。ZEROに果敢に立ち向かい、大破状態に痛めつけて捕食したのがわかる破損状態のものばかりであった。その内の比較的破損が軽いパイルダーから拾えた映像データには、初の顕現の際に、グレートマジンガーがサンダーブレードでZEROを倒す様子が記録されていた。ZEROが味わった初の敗北であったのだろう。いくつかのやり直しの中で、ZEROはグレートマジンガーに破れ、やがてそれを超える力を手に入れ、グレートマジンガーを戦闘不能にするが、甲児がマジンカイザーを引っさげて救援に来て、ZEROを打ち砕く事があったという事が判明した。ZEROは甲児がマジンカイザーを『最強の魔神』と言うことが我慢ならず、幾度となく世界をやり直し、ついにはカイザーすらも屈服させられるほどに強大化したが、Z神の意思により、マジンエンペラーとゴッドマジンガーが生まれた。つまり、この2つが生み出された時点で、ZEROはマジンガーの定義から外れた存在とされたのだ。『人の頭脳を加えたロボット』というのがマジンガーの定義であるが、パイロットを部品とみなすZEROは暴走した機械でしかない。その矛盾に気づいたZEROの最後の良心が集まり、ある時空の甲児の遺骸が抱えていたカプセルを依代に生まれたのがZちゃんなのだ。そのカプセルには、とある時空の甲児が死ぬ前、ZEROから弾かれた善性が封じ込まれており、弓さやかに似た姿を取っていた。それが解き放たれ、ロボットガールズとして生まれたのがZちゃんである。統合幕僚会議でおそらく、最も頭を柔らかくしないと理解できない議題はこの時の議題だっただろう…。




また、日本側から疑問を呈されたのが、野比のび太(2018年では、環境省の官僚)の実家が、なぜ敵に襲撃がされないという疑問であった。これはのび太の孫の孫の孫(セワシの孫の一人)が地球連邦軍諜報部の将校であり、その先祖であるのび太がメカトピア戦役以後、23世紀の世界で、ひみつ道具の技術復興に尽力している事から、野比家は『原始時代からの伝統がある』(先祖がその時代にいたので)名家と見なされるようになり、20世紀の野比家の近所には諜報部員がガードするために潜り込んでいる他、ヒーロー達が何人か常にパトロールをしているからである。ドラえもんのひみつ道具に『科学的アプローチによる魔法道具』もあるのは、この時期の日本連邦化による魔法文明の確立が関係しており、それを欧米は恐れたのであろう。統合戦争の大戦化は各国の暴走によるところも大きいが、宗教的理由も大きかった。その中でも生き延びてきたのは、野比家には少なくとも、のび太の高祖父の代から代々受け継がれてる「トラブルを分散させる呪《まじな》い」がかかっていて、大きなトラブルが小さな複数のトラブルに変換される事で大事が起こせない様になっているが、皮肉なことに、家から独立して分家となっていたセワシの次男一家はブリティッシュ作戦の犠牲となった。これはセワシの次男はガチガチの科学者であり、呪いを信じなかったことで生じた犠牲だったが、セワシはこれですっかり気力をなくし、実際の年齢よりも精神的に年老いてしまった。そのため、家は23世紀初頭では、セワシの長男の『のび太郎』が取り仕切っている。その息子で23世紀初頭当時に30代前半の『のび一』が野比家次期継承者である。そのため、のび太は栄達しているセワシの子や孫達のツテもあり、23世紀ではVIP扱いである。野比家が20世紀から21世紀で平穏な暮らしを続けているのは、末裔たちの地球連邦への貢献度が大きかった。のび太と同時代の学園都市が手出しを避けているのは、仮面ライダー達やスーパー戦隊らが全力で学園都市を攻撃する可能性を恐れたからである。学園都市は設立過程そのものがきな臭いモノであるため、仮面ライダーらはその過程に組織の関与を疑っている。日本は1970年代半ば、ファントム軍団やデスパー軍団などが跳梁跋扈していた過去を抱えている(そしてイナズマンに倒されている)のもあり、超能力そのものには複雑な想いを抱えているが、なんだかんだでその大国となっていく。扶桑との接触で、過去の封印された記録も発掘され、ウィッチが自分達のところにもおり、東條英機が戦局逆転の望みを託していた事を知ると、日本側はウィッチの扱いを無下に出来なくなってきた。これが義勇兵問題の最終解決に繋がる事にもなり、日本が地球連邦を主導する立場になることへの伏線となる。東條英機が一縷の望みを託した『霊力部隊』(実際はウィッチ部隊だが)は終戦と同時にこの世から消えたが、Gウィッチの活躍が伝えられると、当時の部隊員の子孫らが発見した当時の写真が世に流れ、ウィッチの扱いが目に見えて良くなったという。また、NHKの資材倉庫に朽ち果てた試作品のストライカーユニットが放置されていたのが発見されると、日本のマスメディアは手のひらを返すように、ウィッチを優遇しだす。そのニュースを聞いた黒江は、日本のマスメディアの調子の良さに苦言を呈したという。発見された試作品のストライカーユニットは航研機のような外観の航空ストライカーユニットで、なんと、宮藤理論型であった。これは扶桑も驚きであり、日本はたった一年で宮藤理論型にたどり着き、実用試験段階であったのである。これは日本が如何に戦局逆転にどんなオカルトな研究にも縋っていたかの表れであると同時に、本土決戦があれば、一矢報いることは出来た事を匂わせる素材であった。同時に、どんな技術であれ、突き詰めれば同じような形態になる事の証明ともなった。同機は日本唯一のストライカーユニットとして、扶桑の手で修復され、当時の部隊員のひ孫の手で空を舞ったというニュースが新聞を賑わせたのは2018年のことだった。これを期に、扶桑の払い下げされたレシプロストライカーユニットが輸出されるようになり、扶桑の新たな貿易品目に加えられたという。



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