外伝その380『戦場の技術革新』


――ウィッチ世界は21世紀日本と23世紀地球連邦の援助で急速に科学の進歩が起こった。軍需分野からその革新は始まり、戦闘機はジェット化が始まり、戦車はMBT化した。急速に起こったため、反発も大きかった。だが、F-84Fが生産ラインに乗り始めたという情報が伝わると、日本はジェット化を強引に押し進め、自衛隊で訓練済みのパイロットに優先的に配備を行うつもりだったが、当時はレシプロ戦闘機の全盛時代であったため、レシプロ機の需要は高かった。その兼ね合いで『機種の絞り込み』が行われ、実在機では、キ100、紫電改、烈風、キ84に重点を置こうとしたが、キ84がウィッチ支援機としての性能に重点を置いていた事で『戦闘機としての運用に特化すべき』とし、キ84-Uを設計させる事態となった。また、ウィッチ世界での疾風のポジションになるはずのキ44-Vは既に量産ラインに乗っていたのを強引に中止させた影響で、配備予定と伝えられた前線部隊が混乱したが、エンジンのライセンス生産が頓挫したために仕方がないとされた。リベリオンから購入済みのR-2800エンジンの備蓄数の半分は試験機名目で機体につけられて完成させられ、100機ほどは47Fと244Fに分散されて配備され、数年ほど使用されたという――







――地球連邦軍からの援助を受ける64Fは機材整理の影響はなかった。ロンド・ベルに属している扱いになっている以上、地球連邦軍からふんだんに機材の補給が可能なので、その方面で機材を更新し、実戦機はMS、VF、デストロイド、スーパーロボット、戦闘機と多種多様であった。

「うちの部隊、SFじみてるわよね」

「色々、地球連邦軍が送ってきてるからね。標準型、特務仕様、小型機、ミドルサイズ、ガンダムタイプ」

64F、とりわけ新選組はそれらを扱える人員で固められたため、64F内でも花形とされる。時代を超えた装備を持つため、維新隊を実質のバックアップとする形で部隊は運用されている。格納庫にはガンダムタイプも複数置かれている。特にガンダムタイプは多種多様ながら、幹部の専用機扱いで運用されており、B-17やB-29を迎撃し、叩き落とすと言った運用もされている。史実の枢軸国の戦略爆撃機の迎撃成功率は最高でも6.6%だったが、デストロイドや可変MSなどでの迎撃網を64Fが展開すると迎撃成功率は跳ね上がった。更に自衛隊が弾道ミサイル防衛用のミサイルを戦略爆撃機迎撃用に転用すると、所詮は第二次世界大戦レベルでしかないB-29では、当然ながら対抗不能であった。時代相応の装備相手であれば、当時最高の超重爆のはずの同機だが、64Fが宇宙からの相手ですら迎撃可能な性能の武器を持ち出した結果、ハエのように叩き落とされる光景が常態化した。(当時、政治的兼ね合いで、連合軍は米軍や地球連邦軍から提供された誘導爆弾を既に戦略爆撃機に配備していた。44年にヘンリー・アーノルド大将が日本から非難を浴び、彼の悲願の元帥昇進が取り消され、そのショックで心臓発作を起こして入院した後、現場ウィッチからの非難を避けるため、戦略爆撃機の近代化を進め、精密爆撃を可能とした戦略爆撃機が投入された。彼は『日本の兵士たちめ。私たちはパールハーバーを忘れはしない。B29はそれを何度もお前たちに思い知らせるだろう。何度も何度も覚悟しろ』と史実で演説した事などで、日本から『人種差別主義者の殺戮主義者』と非難され、連合軍の要職から外さそうになったが、米空軍が『功労者』であることもあって庇った事、既に彼は数度の心臓発作を起こしており、余命はもう10年もないだろう事からも同情論もあったため、自由リベリオン空軍大将の地位には留まったという)

「史実で日本を焼いたB29も、こいつらの前じゃハエも同然さ。ヘンリー・アーノルド大将は同位体の発言で、日本の意向で統合参謀本部の重要メンバーから外されたけど、まさか、B29より高性能な爆撃機が出るとは思ってなかったはずだよ。それに鬼の首を取ったように日本が非難したもんだから、心臓発作起こして、下手すれば余命宣告だそうだ。かわいそうに」

のび太はヘンリー・アーノルド大将や富嶽に触れる。日本は戦略爆撃に嫌悪を持つ者が多く、ヘンリー・アーノルド大将は日本の圧力で正式な元帥昇進は見送られたが、米空軍は元帥として遇しており、日本も流石にそこは妥協した。彼は同位体が『ジャップを生かしておく気など全くない。男だろうが女だろうがたとえ子供であろうともだ。ガスを使ってでも火を使ってでも、日本人という民族が完全に駆除されるのであれば何を使ってもいいのだ』と発言していたことから、日本人の怒りを買っており、同位体の発言のせいで釈明に追われる内に心臓発作を起こしてしまった。米空軍から抗議を受けた日本は彼を連合軍の閑職に置くことを望んだが、米空軍は『同位体の発言は彼には関係ないし、既に数度の心臓発作を起こしている老い先短い老人なのだ』と声明を出し、日本に『同位体の発言で彼を追い詰めるな』と暗示した。このように、日独の魔女狩り的な粛清人事は度を越しており、日本に至っては親独派相当の外務官僚や政治家にも粛清は及んでおり、カールスラントが困惑して抗議する事態に陥った。この頃、軍事的に優秀であったグデーリアンやロンメルを『ヒトラーのお気に入り』というだけで予備役に追い込もうとする動きがドイツにはあり、日本における軍部の粛清人事と似ていた。結局、彼らに代わり得る人材はカールスラント/ドイツの双方に存在しない事、カールスラントがプロイセン軍である幸運で粛清人事を免れたという。

「あれが富嶽だよ、ルージュ」

「ああ、弟がプラモ作ってたような記憶がある。日本軍幻の超重爆でしょ?」

「海軍が作った爆撃機さ」

のび太は格納庫で整備を受ける富嶽に視線を合わせる。富嶽とは、扶桑軍が1940年度から開発し、44年初頭に配備された超重爆で、B29より高性能で大型である事から、扶桑海軍は急ピッチで生産を進めていたが、部隊、稼働生産ラインの全てが空軍に持っていかれた。富嶽にかけた莫大な資金を無にされたも同然と憤った海軍は費用を空軍に請求しようとしたが、昭和天皇の鶴の一声で阻止され、そこも海軍のクーデターに繋がる。空軍は米空軍の補助で独自に富嶽の運用ドクトリンを構築。ジェット化された飛天については、B-52を模倣する事で開発を達成し、現在の重爆の後継として、連山後継のポジションはソ連のTu-95を模倣して達成させる計画である。史実戦後の代表格が早期に出現する事で、B-29は配備開始から何ほども経たない内に陳腐化した事になる。

「あれって、絵に描いた餅って馬鹿にされてなかった?」

「仕方がないさ。B-36と同じ大きさだもの。初期型は扶桑の保有技術の関係で火器管制装置付きの銃座がなかったしね。今はアメリカの援助でついたから、和製B-36って言われてるそうな」

富嶽の生産型は主に陸軍と海軍の生産ラインを分け合う都合で、性能をダウングレードされた初期型、各勢力の援助で予定仕様を達成した主生産型、電子装備を充実させた電子戦機、ウィッチ母機としてのパラサイト対応タイプに分かれ、主生産型以降は空軍の管理下で生産されている。なお、塗装は史実の日本軍機塗装であり、識別のために日の丸がデカデカと記されている。機影のみではB-36との誤認が懸念されたからだ。富嶽はレシプロ機でありながら、空力的洗練、5000馬力エンジンを六個も持つため、780km/hを高度10000mで弾き出しており、火器管制装置付き動力銃座の搭載が成った生産型は『レシプロ究極の爆撃機』とされる。それをジェット化やターボプロップ化する計画は同時進行で進められており、ジェット化案が先に実戦投入されている。ターボプロップ化はレイアウトがソ連のTu-95そのままになることを嫌う技術者の議論が起こったため、遅延していた。飛天はターボプロップ案と競作の予定だったが、太平洋戦争が差し迫ってきたため、双方が採用されたという。

「和製B-36ねぇ」

「ウチはスーパーロボットを整備可能なように余裕がある格納庫だからね。超重爆もああやってオーバーホールに場所貸してるんだよ」

「だからって、マジンガーとかゲッターを置くわけ?」

「ま、あれはよほどじゃないと使わないさ。MS相手にマジンガーを考え無しにぶつけるのは、コストパフォマンスに欠けるしね」

「なにそれ」

「マジンガーは武器の威力が強いからね。ちまちまやるのにはあまり向いてないんだよ。マジンガーはまだいいほうで、合体ロボだと、平均で38mから50mだからね。大軍団相手に無双するのがスーパーロボットの運用としては正しいと言えるよ。MSのほうがまだ加減が効く。それに今は連合軍、とりわけ扶桑軍は地球連邦軍の指揮下にある。それに不満を持つ将校はごまんといるから、各部隊から最高練度のパイロットを引き抜いて、ここに置いてる。この時代の日本軍の中堅将校はすぐにクーデターやらかすしね」

反G閥の失敗はそもそもクーデターという手段を昭和天皇が嫌っていた事にある。2.26事件の衝撃が冷めぬ内に海軍将校のクーデターが有事の最中に起きた事で決定的に嫌悪感が生まれ、そのクーデターを鎮圧した事が黒江達へ絶対の信頼を寄せる理由だった。天皇をすげ替える事すら画策された数度の騒乱の結果、昭和天皇に東條英機に代わる『信頼できる軍士官』として黒江達が見出され、江藤や武子は一時的にしろ、不利益を被った事になる。

「だから、昭和天皇はあの三人に絶対の信頼があるんだ。本当のことを言ってるから。東條英機元総理が信頼されてたのは、天皇には本当のことをなるべく報告してたから。逆に言えば、昭和天皇に本当のことさえ言えば、信頼を勝ち取れる証明だよ」

「この時代の日本軍って、なんで統制が効いてないの?」

「一般的には軍部の独裁って言われるけど、憲法の軍統制の規定がプロイセン風でね。そこを突いたのさ。まぁ、地球連邦軍が指示して造らせてる新憲法では、イギリス風に改定するつもりだよ。それまでに一悶着はあるのは確実だよ。史実じゃ、近衛師団がクーデター起こしそうになった宮城事件があったしね」

「一悶着って感じじゃないわよ、それ」

「海軍の中堅は連合艦隊の本土にいる艦艇を動かすつもりだろうけど、その頃には新鋭艦が竣工するから、それで降伏させるって計画だって」

「水戸黄門の印籠じゃあるまいし」

「それができるのさ。800mの大きさを持つ戦艦ならね。本土に残ってる艦艇の多くは工事中で、動いてるのは大正から昭和初期までの旧式ばかり。そこに戦艦大和を更に四倍以上に拡大したみたいなバケモノがくりゃね」

「できるの?」

「そのために地球連邦軍の技術で作ったらしいからね」

60口径56cm砲を三連装で四基以上備える敷島型戦艦。56cmどころか、更に大口径の61cm砲への強化も考慮された艦型である。これはバダンがH44以降のプランを完成させている事への対策を念頭に置かれていたからで、この時点で当時の新戦艦の大半を置いてけぼりにしている性能を目指した事がわかる。大艦巨砲主義を極限にしたような艦容である。これだけの威容ながら、45年度の地球連邦軍への依頼金は扶桑の感覚で言えば、『巡洋艦一隻分に相当する程度』で済んでいる。整備のために南洋に宇宙戦艦の整備が可能な秘密ドックが建築され始めており、一部は既に稼働している。

「本土にも新規で設備は建築され始めてるけど、戦後の時代で通用する能力のクレーンとかを備えたドックを造るのは一苦労だ。浮きドックを前線に持っていって活用してる。地球連邦軍のなら、バトル級やエクセリヲン級の整備も可能な大型のがあるしね」

「浮きドックねぇ…」

「戦争中にいちいち泊地に戻って整備するわけにもいかないし、扶桑軍の工作専門艦はたった一隻。そこで浮きドックを使ってるんだ。工作艦の増強分の『三原』、『桃取』の完成は遅れてるしね」

明石。日本海軍唯一の新造からの工作艦であった船である。扶桑軍はその改良型の建造を計画していたが、日本の防衛装備庁が高速タンカーや高速輸送艦、それを防衛する防空艦、掃海艦艇の整備に傾倒し、それらを優先させた弊害、21世紀水準の工作機械を載せようとしたせいで船体規模が大型化した事もあり、45年8月の時点での工事進捗率は未だに40%以下である。扶桑は戦艦や空母の多くを購入艦で賄い、余った予算を補助艦艇の整備に充てようとしたが、横槍で混乱しているのだ。それを補うのが浮きドックである。

「ぼくや君等の時代には大国の海軍が艦隊戦するなんてのは遠い昔の出来事って思われてるだろ?唯一の工作艦の明石が本土に留め置かれたから、前線が混乱してね。地球連邦軍が浮きドックを用意したのさ」

「弟がその方面に凝った時期あってね。今となっちゃ助かってるわー」

「君の弟さん、ミリオタ?」

「あたしの世界じゃ、中学以降にそうなったのよ」

「なるほど」

キュアルージュは出身世界での実弟がミリオタになったとのび太に語る。相当に濃いミリオタになったようで、その影響で一定の軍事知識は持っていたらしい。

「さっきの戦闘でドリームの技が破られたろ?それで今頃、綾香さんに手始めで揉まれてるはずだ。変身してても関係ないしね、あの人には」

「あの人、本当に聖闘士なのね」

「しかも黄金だよ。負ける度に極限まで鍛えるから、その内に黄金に到達したのさ。単純な強さじゃ、トップレベルだよ。ま、たとえ黄金聖闘士だろうと、僕には関係ないけど」

「貴方の能力も反則だものね」

「相手が神であろうとも、『撃ち抜ける』のが僕が得た力だしね。僕とゴルゴは神殺しを素でできる。宝具や聖遺物無しにね。そのうち、僕のクイックドローをお目にかけよう」

のび太はクイックドローではデューク東郷をも上回る。のび太は表世界でも『オリンピックの射撃競技で期待されている』ため、『自分たちにメリットがないのに、なぜ、関係がないウィッチ世界での戦いに加担するのか』という中傷がある。のび太は自分達にメリットのない戦いに、昔から好んで首を突っ込んできたため、中傷を意に介さない。

「誰かがメリットがあるのかっていうけど、護りたい物がそこに在る、それを護れる、それ以上の理由が必要かい?」

「あたしも似たような理由でナイトメアやエターナルと戦ってたのに、ずいぶん勝手な物言いじゃない」

「近頃のガキはそれしか能がないのさ。心が入ってないんだよね」

「昭和的って言われない?」

「だって、僕、昭和63年だもん」

「あたしの時代だと、19歳くらいの年代だなぁ、その年代」

「ま、僕の時代じゃ、君とて25くらいだけどね」

「2019年位じゃ、そうなるかぁ。」

のび太は2010年代後半から来ているため、見かけは若々しいが、実年齢はアラサーである。青年期以降は『人生の成功者』であるため、『落ちこぼれ』だったという評価はすっかり払拭されているのにも関わず、『所詮は落ちこぼれの劣等種の成れの果てだろ?』との中傷があるのは事実だ。フェリーチェはのび太が学生時代の頃には、そういった中傷に激怒し、プリキュア・エメラルド・リンカネーションをかまそうとする事があった。

「僕はガキの頃のイメージがどうしても強いからね。学生時代の頃は、フェリーチェがぼくへの中傷に切れて、プリキュア・エメラルド・リンカネーションをかまそうと息巻いた事がよくあったよ」

「はーちゃん、貴方の義妹になってるんですよね。そっちのほうが驚きですよ」

「親父とお袋に紹介したら、親父達が気に入ってね。トントン拍子に養子縁組したんだ。戸籍上は野比ことはってなってるよ」

「うーん…。想像つかない…」

「僕だって、11歳から義妹ができるなんて、思ってもなかったよ。しばらくは精神的ショックか、緊張が本能的レベルで解けてなかったのか、その影響で変身が解除できなかったから、フェリーチェの姿で紹介することになったんだ」

「え、それじゃ、あの姿でしばらく?」

「添い寝もする流れになったと言ったろ?変身してても、やっぱり寝ぼけると素が出るもんだよ。経験者だから言えるけど」

「ファンが怒りそうな」

「ああいうのは、結婚すら諦めたネットギーク共の戯言さ。気にしなきゃ良いんだけど、キチンと潰しておかないとうるさいんだよなぁ、少なくとも、僕はどう転んでも嫁さんは貰える人生だから、何とかして貶したいのかもね」

「それじゃ、妙に変身した姿での買い物に慣れてたのは?」

「しばらくは変身解除が任意で出来なかったから、そのままで活動せざるを得なかったからさ。それを聞いた綾香さんが修行に取り入れて、マーチやラブリーたちにもやらせたんだよ」

「それであたしたちにも?」

「そういう事。仮面ライダー達やスーパー戦隊、メタルヒーローみたいに急速変身は出来ないだろう、君たちは」

「た、確かに」

「変身に慣れておけば、冷静になれるからね。なのはちゃんがしごいて問題になってる子の事もあるから、変身に慣れておくのは重要って考えてるのさ、綾香さんは」

「その子、なんで問題に?」

「それがねぇ。一言で言うなら、道具への依存度が高すぎて、なのはちゃんの想定外にイッちゃって、英霊に精神侵食されたって感じ。グングニルに依存しすぎて、手を焼く子なんだ」

立花響をのび太は『手を焼く子』と表現した。黒江も実際に、エクスカリバーを使ってみせても、『だとしても!!』と向かって来たと愚痴っており、自分の力の絶対性を信じて疑わない響の扱いには困っていた。滞在中、数度の戦闘でリストリクションをかけて拘束した事がある。また、ドミネーションラングウェッジを使って、その場で動きを封じた事もあるとのび太に言っている。響はいずれも歌エネルギーを高める事で拘束を振りほどこうとしているが、失敗しているという。また、黒江は拳を撃ち合う時に『ゴッドフィンガー』、『サンダークロー』、『ゴッドハンドスマッシュ』を使い、数回は撃退したとも述べており、かなり遊ばれていたりする。

「遊びすぎたのも要因じゃ?」

「多分。綾香さんは装者を数人まとめて相手にしても問題ないしね。遊びを入れたとは言ってたしね。調ちゃんもそれで僕んとこにきたしね」

「あの人、けっこう茶目っ気多いのよね。年のわりに」

「そういう性格なのさ。シンフォギア世界でも好きに過ごしたから、調ちゃんが僕のところにくるきっかけになったのよ。あの子がそれで反発したんだろうが、はた迷惑だよ。不可抗力で入れ替わってたからね」

黒江は現在の状態になったきっかけがきっかけだけに、精神年齢が低い状態に性質が振り切れている節があり、当時は戸籍年齢で23歳であるが、やっている事は10代半ばの少女そのものな時があり、智子とあまり変わらなくなった。それに合わせるため、圭子も振る舞いを変えたとはいっている。

「本人曰く、仕事以外で大人すんの疲れるんだよな、でもマナーくらいはわきまえて行動してるがなって奴。だから、シンフォギアを好きに展開してたりしてるのさ。仕事してる時はちゃんと大人だけど、プライベートじゃ羽目を外してるからね。なのはちゃんはその加減がわからなかったから、叩かれる要素持っちゃったのさ。今はプラモづくりが趣味だけどね」

「のぞみはどうなの?」

「錦ちゃんとのぞみちゃんの要素が混じり合ってる途中だしなぁ。今はまだなんとも。ただ、怒ると錦ちゃんの粗野な口調になるから、二人の特徴がデフォルメされて出てる状態だね。その内いい所で落ち着くでしょ」

「そういうもん?」

ちょっと呆れるルージュだが、のぞみは錦の肉体の人格を上書き保存する形で転生した。だが、錦の意思は完全には死んでおらず、のぞみの記憶の混濁の原因となっている。そんな中でも、錦の剣の技能はのぞみに受け継がれており、秘剣・雲耀を放つことは可能である。

「ちょうど、タイムテレビあるし、綾香さんがこの後、どうなるか確認するかい?僕の部屋で」

「んじゃ…」

ルージュはのび太が泊まっている幹部用の部屋でタイムテレビを確認する。その映像は…。

「お、凄いの来たよ」

「え、えぇー!?」

ルージュが目の当たりにした映像とは。


「分かってるな?」

「ええ、感情を込めて、力を引き出す!!」

「私達の力を合わせましょう!!」

フェリーチェを含めて、ドリーム、ピーチの三人にゲッターエネルギーが集束していく。周囲から吸い込むかのように三人は白いエネルギー光に包まれ、眩い光を発する。ゲッターシャインである。その場にいた『オールスターズ』(時間軸的に本来いないはずのプリキュアを除く)はその行為に驚く。これは黒江がおおよそ一年後に遭遇した出来事の先取り映像だ。黒江と智子がドリームとピーチに成り代わり、プリキュアオールスターズの戦闘に参加し、シャインスパークを撃つ時の映像だ。

「溢れる感情に流されるな!意志で纏めるんだ!!」

「はい!」

「おう!」

『ゲッタァァァァ・シャイィィン!!』

シャインスパークはゲッターロボG以降のゲッターロボ最終兵器。それを発動したので、空間が揺らいでいるのだ。真ゲッタードラゴンのそれにはエネルギーの絶対量で劣るものの、ゲッター真ドラゴンに匹敵するだけのパワーを引き出していた。

『シャイン!!』

『スパァアアアク!!』

眩い光を放つ三人がボトムに突撃していく。一つの巨大な閃光として。もはやプリキュアの趣旨から離れているが、黒江と智子は力を借りている状態にあたるためと、フェリーチェは攻撃技を元々持っていない兼ね合いで行った。また、フェリーチェからは、ZEROの因果律操作により、以前のような『神通力』が失われたため、それを補うためにゲッターエネルギーと光子力エネルギーを制御する特訓を行い、20年の月日をかけて自家薬籠中の物にした。その賜物でもある。三人は眩い光とともに突撃し、大爆発を引き起こす。凄まじい衝撃波が走り、キュアレインボー状態のプリキュア達をも吹き飛ばさんばかりである。ボトムはシャインスパークのエネルギーを浴びせられ、断末魔もなく消滅する。爆発で生じた衝撃波が伝わり、プリキュア達は吹き飛ばされそうになるが、三大スーパーロボットが盾になって衝撃波から守るカットが映る。ルージュはダイ・アナザー・デイの内に、その戦いを見たことになる。

「なに、これ…」

「別世界のオールスターズの戦いに混ざったようだね。それも最強のマジンガーとゲッターを引き連れて」

「えぇ!?それでどうなるの?わからない?」

「ネタバレになるから、あまり見せられないけど、少なくともこうなるよ」

のび太がダイヤルを調節し、時間を多少ずらすと、プリキュア達に襲いかかった百鬼帝国の雑兵や鉄十字軍団の雑兵をリボルケインでチャンバラしながらなぎ倒すピーチ(智子)、ミラクルドリルランスで串刺しにしたり、薙ぎ払うドリーム(黒江)の姿が映る。好き勝手し始めたのがよく分かる。

「……えーと?」

「あちゃー。あの二人、どこにいってもこれだ」

『さあて、雑魚が増えたところだ。一気に始末すんか。死しても拝せない一撃で消えな!!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!』

エヌマ・エリシュを発動し、大地をえぐり取るような一撃をドヤ顔で放つシャイニングドリーム(黒江)。それに固まるブラックやブルーム達。柔和なシャイニングドリームに似合わない大地を分ける一撃である。

「え、エヌマ・エリシュ!?」

「綾香さんの本気がこれだよ。真っ向から食らって生き残れるのは、ゴルゴと僕しかいないよ。まぁ、僕の場合は何故か直撃しないとかなんだけど」

エヌマ・エリシュの一撃はすべての宝具の中でも最高の威力を誇り、ゴッドマジンガーのゴッドブラスターとマジンエンペラーGのグレートブラスターの同時発射に匹敵する。それだけというと威力がはっきりわからないが、世界ごと切り裂くため、二大マジンガーの威力の証明にもなる。ガイちゃんが撃ったものでも、シンフォギアの篭手を綺麗サッパリ斬り裂いたため、全力で撃つと対界レベルになるのである。

「なに、あの威力…」

「対界宝具の全力だしね。おそらく、ハートキャッチまでのプリキュアの『プリキュア・レインボー・ジュエル・ソリューション』が目じゃない威力だよ」

のび太の言う通り、エヌマ・エリシュの威力は海を裂き、空を切り裂くほどの圧倒的なものであり、計り知れない。その姿に恐怖を感じるキュアブラックやブルーム達。

「ああ、ブラックやブルームが腰抜かしそうな勢いでビビってるじゃないの〜…。やりすぎだってば…」

「ブルームで思いだした。ビートが言ってたけど、ビートが僕の家に泊まった日、ちょうど国営放送のBSでプリキュア大投票がやっててさ。スプラッシュスターが哀れになるくらいに圏外だったよ」

「あの二人、活動期間は一年こきりで、けっこう頑張ってたと思うんだけど、圏外って、そんな」

「まぁ、君たちと初代の三人に挟まれたオセロのコマだもの、あの二人。僕はその頃、見れなかったし、大学受験の準備で」

ブルームとイーグレットが大投票でトップ25の圏外であった事はかなりの衝撃であり、ルージュは思わず同情する。しかし彼女もランクは圏外だったりする。

「つまり、認知度はあたしたちのほうが?」

「三代目ってのもあるね。初期のオールスターズじゃ仕切ってたろ、君たちが。ドリームは第二期から第三期に切り替わるまで声付き率も高かったしね。まぁ、君の世界と違って、プリキュアは60人は超えてるし、トップランカーは新しい世代と、インパクトで初代が強いのは仕方ないかもね」

「確かに。スター☆トゥインクルプリキュアってのは?」

「2019年に生まれたプリキュアさ」

「へぇ…。アタシの世界じゃ生まれなかったけど、なんか、世代交代がこうも続くと、年食った気分ですよ」

「まぁ、魔法つかいプリキュアあたりになると、2000年代生まれだしね」

「なんかジェネレーションギャップ…」

「君たちはオールスターズじゃ時間軸は無視して集まってたけど、2010年代後半のプリキュアは初代が現役時代にはまだ赤ん坊なはずの子なんだ。それを考えると、君たちは年の差は関係なくなってるはずさ」

「あ、それでフェリーチェは養子縁組の時に生年月日をどうやったんです?」

「ああ、僕より三歳下って事で、親父達が便宜上、1991年の5月29日の生まれってしたらしい。以後はそれで通してる」

フェリーチェ/ことはは公的な誕生日は不明なので、便宜的に『1991年5月29日』という事にしていると伝えられた。ただし、ことはとしての見かけが中学生なので、正式な養子縁組は黒江が自衛官に任官された2003年以降の事である。ことはの姿を取れる様になってから、戸籍などの処理が行われたため、やってきてから少し間があるのだ。養子縁組が済んでからは普通に中学生、高校生、大学生として過ごし、自衛官に志願したという説明がされている。ちなみに、黒江が調とことはの学費を出すと言っていたが、実際は二人が成績優秀なために奨学金制度(返済無用)を使えたため、野比家に金銭的負担はかかっていない。

「高校と大学の学費ははーちゃんが成績優秀なおかげで奨学金使えたからタダだった。返済不要のね。多分、力を失った分、色々な知識を得ろうと必死だったんだろうね。ジャイアンの持ってる野球チームに飛び入り参加した時なんか、三打席連続ホーマーぶちかまして、相手のピッチャーが戦意喪失した事がある」

自分の妹として行動するため、必然的にジャイアンズとも関わり合いが出来、調共々、飛び入り参加でジャイアンズを勝たせた事が何度かあると述べるのび太。ルージュは『どんなコミカルな場面だったのか』と想像し、おかしくなって吹き出す。

「ほへ〜…のび太くぅ〜ん。やっと終わっ…」

「やあ、ドリーム」

「ち、ちょっと休ませて…先輩や仮面ライダーの皆さんが鬼に見え…」

「百鬼帝国の鬼よりはマシだよ?」

「それはどうでも…」

フラフラと入ってきたドリームはそのまま、部屋に備えつけられたベットに倒れ込み、そのまま寝てしまう。仮面ライダー達と黒江が超絶ハードな特訓を課したらしい事は分かった。ルージュが毛布をかけてやるが、変身したままで寝てしまうのも新鮮だと漏らす。

「なんか変な感じ」

「ま、綾香さんはシンフォギア姿でよく大の字になって寝てるからね。これくらいは軽いジャブだと思いな。それと、まだ、特訓の興奮が抜けてなくて、疲れから意識が落ちたんじゃないかな?

「でも、どんな特訓なの?」

「明日になれば、君も分かるさ。明日か明後日にはなのはちゃんの謹慎処分も解けるから、参加させられると思うけど、なのはちゃん、シェルブリットに目覚めたらしいし、それと殴り合う訓練もあるかもね」

「なんか食欲が…」

「少しは食べとかないと持たないよ?なのはちゃん、医者から魔砲の乱射はリンカーコアの機能低下を招くって宣告されたらしくてね。それに代わる戦い方を探してたら、シェルブリットに行き着いたらしい。アルター能力ってやつだ。多分、他の世界のなのはちゃん自身がシェルブリットを見たら、間違いなく泣くよ」

「言えてる…」

なのはは砲撃タイプとして成長してきたが、肉体にガタがくる事を懸念した医療関係者らの提言で砲撃主体の戦法からの転換を強いられた。それに代わって見出したのが『シェルブリットの活用』であった。戦法を近接格闘に転換する事は兼ねてから試していたが、シェルブリットへの覚醒は決定打となった。なのはものび太に『人生の何度目かの転換点だった』と語り、指切りグローブをするようになっている。元来の魔法少女からは思いっきりかけ離れた能力だが、『これで魂に火ぃつけて存分に暴れられるってわけだ』との事で、前向きに考えているらしい。

「なのはちゃんのその能力は、綾香さんたちが時間かけて魔改造した結果でもあるし、僕からはなんとも言えないね」

のび太はそう言って笑う。ルージュはドリームや後輩達共々、のび太たちの珍道中に巻き込まれたのを実感しつつも、ドリームが生前、娘たちとの不和から、自分達と共にいた時間に戻る事を望んでしまった事への悔しさ、び太の養子として転生を遂げていた『ココ』との結婚を決めた彼女を祝福したい気持ちが入り混じる。

「のび太さん、その、この子を受け入れてくれて、ありがとう」

「のぞみちゃんは君に会いたがってた。今度は側にいてあげなよ」

「うん。分かってる」

のび太はのぞみがりんを求めていた事を知っており、それをルージュに告げる。ルージュは改めて、ドリーム/のぞみを支える決意を固める。ダイ・アナザー・デイでのそんな一幕だった。



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