外伝その386『プリキュアチームの様子』


――ここで、ミーナに起こった降格にまつわる話をしよう。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは基本は温厚を装っているが、存外に過去の出来事を引きずるが故のヒステリックさも持つ。そのヒステリックな点が裏目に出たのだ――

「あのさ、気になってたんだけど、ミーナさんをどうやって覚醒させたんだ?」

「ああ。敢えて、強いストレスをかけたんだ。ちょうど閣下が俺たちの事を知って、三将軍に査問させたんだよ。二度目は整備兵の訴えだったから予定外だったが、効果はあった。坂本はかなり嫌がったがな」

「薔薇乙女の長女みたいな怖い声出すことあったからなぁ、前の人格だと。今のほうが付き合いやすいよ」

「同感だ。一度タガが外れると、薔薇乙女の長女もかくやの勢いでヒステリー起こすから、整備兵の反感を買ってたしな、あいつ」

「同感だ。一度タガが外れると、薔薇乙女の長女もかくやの勢いでヒステリー起こすから、整備兵の反感を買ってたしな、あいつ」

「あの人、昔の元カレで幼馴染が死んだからって、そのトラウマを他人に押し付けるとこあったから、整備兵に嫌われてたんだよな。坂本少佐とバルクホルンが裏でペコペコして持たせてたから、お武さんの部隊に取り込まれて良かったよ」

「整備兵は人事異動で343空の連中をそのまま引っ張ったし、何人かは47Fとトレードしたしな。オレたちの癖を知ってるから、整備の円滑化は出来たと思うぜ」

「今の練度は?」

「明野よりいいそうだ。各戦線のエース級を引き抜いたり、343空の熟練者たちをそのまま引き継いだから当然っちゃ当然だが、これで装備がありゃな…」

「どうにかしてくれよ」

「ウチのガキどもにも言って、あれこれ集めさせてるが…。お前んとこのクラリスにもやらせろよ」

「ウチのはそういうのダメだよ、ルッキーニんとこのトリエラにやらせよう。装備調達のプロだ」

「ユーロファイターでも持って来るか?」

「ルッキーニ曰く、手が早いそうだから、第三世代ストライカーは持ってくんだろ。あいつにメールして、やらせるようにいうよ」

「あ、自由リベリオンの海兵隊連中の孫どもにもライノ持ってこさせろ。数多いから、バレんだろ?」



「あ、先輩。47の友達が員数外扱いの疾風の増加試作機の行き場を探してましたけど」

「俺が後で47Fに電話する。あそこの幹部は俺の後輩だ」

「先輩、顔広いですね…」

「飛行戦隊のある世代までのウィッチに七勇士を知らん連中はおらんよ。オレたちゃ伝説だからな」

「銃はどうする?」

「今日、アイクからのプレゼントが米軍の輸送機で届くから、そこから取れ」


「え、米軍?」

「ちょうど話を聞いた米空軍が運び屋を買って出たんだよ。アイクの特命だからな」

「まさか、ギャラクシーでくるんじゃ?」

「ありゃ古いから、別のだよ」

「そうだっけ?」

「冷戦中の初飛行だしな。今はKC-130とC-17の方が主流だよ」

「なるほど」

「ロシアから鹵獲したAn-225は防衛装備庁が渋りやがったからな。部品は一個さえありゃコピーできんのに」

「あれ、ミデア並のペイロードだからな。ロシア製だからって死蔵するのはよくないぜ?」

「それなら、のび太くんに頼んで、南洋でコピーしましょうよ。ドラえもんズにコピーして貰えばいいんだし」

「それだ!さすがはハッピー!今日は冴えてるぜ!」

「生前とは違いますって」

「うっし、今度の休暇で機龍のメンテ部品運ぶ名目で出させよう。あれなら機龍の部品運べるし」

「で、今日の広報に誰がいってんの?」

「ミューズとフェリーチェと調の三人。見かけが俺らより若めだろ?広報は三人を売り出したいんだと」

「おい、待ってくれ。ミューズは魂的意味で、元・男だぞ」

「今は正真正銘の女だよ」

キュアミューズ/調辺アコはアストルフォの転生であった。その双方の力に加え、ロボットガールズのVちゃんを素体に再度の転生を遂げたため、現在は正真正銘の女性だ。アストルフォの生前の容姿をとっても、今回は正真正銘の女性である(英霊としての召喚中に男性としての裸体を惜しげもなく、ジャンヌに見せた事もあったため、その方面で愚痴られているというが)

また、キュアミューズの姿でないと理性が飛ぶのが難点だが、本人は『風呂とか以外は変身してればいいじゃん?』とお気楽であり、アコというよりはアストルフォがキュアミューズの姿である体裁が強い。ただし、アストルフォとしての姿を取らないわけではない。ド・ゴールとの会談ではアストルフォとしての姿で臨んだが、偏執的愛国者のド・ゴールを諌める英霊らしい姿を見せるなど、意外に頭は回る面もある。


「大丈夫かよ、あいつ」

「一応、イングランドの血は入ってるとは言え、フランスの英雄だぞ。意外に頭は回るんだよ。ド・ゴールを丸め込んだそうだ。ジャンヌの補助もあったけど」

「現役時代のときは小坊だったくせに…」

「お前だって中坊だろ」

「うっ…痛いとこを!」

「でも、プリキュアに変身すると、精神的に落ち着きが出る事ありますよ。のぞみなんて、声のトーン低くなるし」

「多分、気持ちがシャンとなる影響だな。一号さんからXさんまでは変身すると、私って言う時もあるから」

「お前らは概ね、14歳当時の姿であっちこっちに呼ばれるからな。アニメでも同年代で先代と会うだろ?魔法つかいの頃には生年月日、2000年代に下る計算なんだが」

「現役時代の時は考えたことなかったなぁ」

「そうだろうなぁ。アニメの制作会社の人が言ってたが、代が古いと、共演させるのも大変なんだとさ。2010年代後半だと。アフレコスタジオからはみ出るくらい多いし」

「だから、映画でわたししか出番を増やせないって言われた時、りんちゃんが泣いてましたよ」


「声優さんの都合もつかなかったみたいだしな」

「自分でアフレコしたっていいっていって、会社の人を困惑させてたし、りんちゃん」

「自分で自分にアフレコしたって、バチ当たらないっしょー!?」


「挫折したけどね。私はうららの仕事を手伝った経験あったから、声優さんが体調崩した時にアフレコしたけどね」

「なにそれ、するいじゃないの!」

「りんちゃん、本人だからって、特別にテスト受けさせて貰ってもダメ出しくらって涙目だったのに、何言ってんの」

「ああ、現役時代に演劇部の助っ人しとけば…」

ぶーたれるルージュ。ドリームは『オールスターズメモリー』で自分の出番が増えた箇所の吹き替えを臨時で担当する事になり、仕事をそれなりにこなしている。のぞみ曰く、『うららの仕事を手伝った事があった』らしく、後で担当の声優がその箇所を聞いたところ、まったく違和感がなく、自分が収録したとしか思えないため、驚いたという逸話を残したという。

「オールスターズメモリーだけどよ、どんだけ変えたんだ?」

「大筋は変わってないよ。こいつも初代と並んでメインになってるだけだ」

「制作会社の人達が急いで書き替えたけど、わたしのポジションを変えるのが精一杯だったんだよねー」

「声優さんと話したのか?」

「すごく緊張したんだけど、『本人』だから、アフレコスタジオで注目されちゃってさ」

「だろうなぁ」

「これまた、わたしの迎えに来たのがはーちゃんなもんだから、魔法つかい役の声優さんが本当に悲鳴あげたよ」

「本人が来たわけだもんなー、はーちゃん」

「うん。わたしも大変だったけど、はーちゃんはガチで悲鳴をあげられたよ。記念写真までせがまれてたなぁ」

「そりゃ、映画会社もセールスに使うわ」

「HUGっとの出番が削られたから、子供受けは悪かったそうだけど、なぎささんとほのかさんと殆ど対等に話せるのは、わたしら第一世代プリキュアだけだし〜…」

「たしかに、あたしらまでは、ほぼ同時代に生きてたわけだしなぁ」

「でしょ?第一期オールスターズは伊達じゃないよ、メロディ」

「ぶ〜。試合さえなければ、あたしもアフレコにぃ…」

「ぶーたれんなって、ハート。お前は別の意味で人気だぞ。大洗的意味で」

「噛ませ犬じゃんー!」

「いいやん、お前、30分番組でばっちり出番あったし」

「ツンツンしたあげくに噛ませっぽく負けるじゃんー!!」

「直接撃破は免れてるんだし、ゼータクいうな。あたしだって、紅蓮聖天八極式で暴れたの終盤の数話だぞ、数話!」

「お前ら、張り合う…、いや、愚痴んなっての」

呆れる黒江。だが、のぞみが本人としてアフレコしたことでプリキュアの実在が確認されたのをいいことに、のぞみとはーちゃんが制作会社に頼み込み、その時点で現れていたが、アフレコに参加できなかったプリキュア達の出番をその後の映画で増やすように要望したという。ただし、2019年の国営放送での人気投票はのぞみは大喜びだが、シャーリーは大泣きする羽目になったという。

「だって、国営放送の人気投票じゃ…、人気投票じゃ!あたしはランク外だぞ!」

「いいだろ、どっちも圏外のスプラッシュスターよりは」

「あたしは21位だもんね、にしし〜」

「ハッピー、テメー!」

メロディ(シャーリー)は紅月カレンとしての血気盛んで喧嘩っ早い面も持つため、意外に血の毛が多い。

「あ、ゴメン、メロディ。わたし、四位だったよ」

「テメーもかぁぁ〜!」

涙目でドリームの胸ぐらを掴んでカックンカックンと揺さぶるキュアメロディ。よほどショック(しかもビート/エレンに負けた)だったのか、かなり切実な叫びだ。

「おい、バカ!落ち着け!」

黒江が静止するが、メロディは止まらない。

「ちっくじょぉぉぉ〜〜!!」

ギャグ顔で泣いているのもあり、生前以上のコミカルさを醸し出している。

「すぐ上がエリカちゃん、つまりはキュアマリンだったんだよね、アハハ……」

「ああ、青に珍しい、アホの子」

「先輩、マリンに殺されますよ?」

「大丈夫だ、手の内は覚えた」

「くぅ、こういう時、DVDとかある世界は強い……」

「そんな事言うなら、俺なんて、サイドストーリーで二回こっきりの出番しかないちょい役だぞ、本来は。それが宮藤や雁渕の妹を差し置いて、無双やらかすのは相当にクレーム来てるんだぞ?それを思えば、お前らはいいほうだ」

「あんた、相当に好き勝手してきてるからな」

「常識の範疇には抑えてるぞ?巨大な力を持つと、責任ってのが自然と生じる。やたらめったらと奮うわけにもいかんからな。アメコミの映画か何かにもあるだろ、『大いなる力には責任が伴う』って」

「確かにな。ネットギーク達は居場所なんて、自分で作ればいいだのいうけど、それじゃ獣の原理そのものだし、社会の一員なら、そのルールを弁えた上で、力を奮うのが最善の道だ。アベンジャーズとかでもやってるはずなんだけどなぁ、そういうくだり」

メロディも言うが、実際のところ、Gウィッチも社会の一員である以上はルールを弁えた上で生きることは重要である。ましてや、軍人というのは公職にあたるので重要事だ。

「ま、筆頭格のあんたが好き勝手してるように見えるから、かもな」

「多少は自重してるぜ?エアは温存してるし。英雄王から許しを得るのに骨を折った武器だし、下手に使えんよ」

「あいつがああなった原因の一つは聖剣だろ?」

「目星はついてる。あいつが聖剣を食らった時、自分の力で制御して発散させようとしたんだが、当然ながら無理だった。その時の結果が受け入れられなかった上、なのはのアホがボキンと心を折ったからな。あいつは加減がわからん奴だが、まさかな…」

「アイツ、中途半端に軍隊式教育を受けたかんなー。地球連邦軍で再教育しても、この結果かよ」

「不味ったよ。はやてに相談したら、それが教導隊のやり方なんだと。なのはも史実のティアの一件を引きずってるから、同じ轍を踏んだのに落ち込んで、ヤケを起こしてな。謹慎させたが、これからは身の振り方考えるだろう」

「それから二週間。誹謗中傷は絶えねぇな」

「のび太君が本当に強いか疑念を持ってる上、あたし達が目に見えて強力な力を持ってるのが気に入らないみたいだね。また。サーバに入ってますよ。何々、『超パワーを持つ者は超パワーを持つ者で頑張って。野比のび太?超パワーを持たない塵野郎がいて何になる?補正がなければ、無力以下の何ものでもないのに…』ってメール。同じ奴だね、送ってるの」

「やれやれ。今度はそれかよ。あたし達は平行世界の可能性の一つにすぎない上、融合した末の姿なんだぜ?好きでこうなったわけじゃない。連中は大手ネットSS投稿サイトの人気ジャンルに毒されてると見えるぜ。ま、似たような経緯があったのは認めるけどな」

「のび太に暴れてもらうっちゃないな。本当は模擬戦の時に大々的に公開する筈だったんだが……」

「毎日来るから、該当のIPの規制は検討しますよ。いくらなんでも、荒らしに近くなってきたしね」

「そうするしかないな。やれやれ、原作も読んでないか、あるいは新アニメしか見てねぇらしいな。129.3キロのドラえもん(機能停止状態)を近所の家から自分の家までおんぶして運んだ事あるし、時々、のび太はドラえもんを片手でブンブン振り回してたんだがな。それに、怒ればだが、子供の頃でも、ジャイアンに勝てるポテンシャルはあるんだぜ?ウソ800使った話の時にあったろうが」

「ネットギーク達はのび太が少年ジャ○プの漫画みてぇに、バッタバッタと敵を倒していくのがお望みらしいな。のび太の取る行動や成長が自分の持ってるイメージと違うと粘着して潰そうとする。…馬鹿だぜ、連中」

「のび太の得物はあやとりと銃だ。鋼線はトラップじみた使い方できるが、準備が必要だ。銃は超人相手に効くかどうかって軽んじられてる。のび太は今の時点で『アーチャー』みたいな存在だぞ?実際、ドラえもんが作った犬の文明で神として崇められてたから、充分に英霊の資格はあるんだし、創生セットで作った昆虫文明じゃ、本当に神様だぞ」

「のび太は腕っぷしは弱いって自分で言ってるけど、三代目ジェー○ズ・ボンドのロ○ャー・ムーアの現役時代みたいな感覚だぞ?初代のシ○ーン・コネリーみたいな華麗なアクションって柄でもない。百万ドルの男やナポレオン・ソロじゃあるまいし……」

「今のガキはわからんだろ、そのネタ」

「のび太がしずかの事を『カミさん』って言ってるのも、刑事コロンボへのオマージュだろ?」

「結婚してすぐにそれは言ってた」

「『バークにまかせろ』とか『ハワイ5-0』のネタもやったことあるしな。大人ののび太、昔のスパイ映画や刑事ドラマ、探偵もののオマージュしてね?」


「大学に入ってからだよ。視聴覚室でそういうの暇つぶしに見たんだとよ」

「なるほど、時々、そういう時代がかった雰囲気出すはずだ」

「その一方で、相変わらず西部劇に傾倒してるからな。」

「アメリカかぶれって言われてるだろうなぁ」」

「のび太くんはなんで、そういう事になったんですか?」

「それはだな、ハート。のび太が9歳くらいの頃、ドラえもんがいない時、勉強が行き詰まった時に鼻くそを弾いてみて、思ったとこに当てられることに気づいたのが最初だ。それが一種のきっかけだったらしく、ドラえもんと色々な冒険で戦う内に銃の才能に目覚めていった。割と最近の『ドリーマーズランドの冒険』の時には、ヤドリ天帝を一発で仕留めるまでに成長していたそうだ。俺が思うに、あいつは銃を持つと、脳みそがフル回転する上、体のリミッターが外れるんだろうさ」

黒江なりに、大長編ドラえもんモードののび太が普段と別人と言われる理由を考察し、キュアハートに言う。のび太は銃を一種のリミッター解除のキーとしてる節がある。それはのび太以降の代々の野比家男子に高確率で遺伝しているなど、野比家は古来、山奥で『狩人』をしていた家系という遺伝子学的ルーツを考えれば、特段の違和感はない。先祖代々の狩人としての能力がのび太の代で隔世遺伝をしたとも考えられる。

「あいつの家は古くは狩人だったからな。その能力があいつの代に久しぶりに発現したとも取れる。ある意味で言えば、裏稼業は遺伝子学的には天職に近い。デスティニープランがのび太の世界で提案されりゃ、あいつの家はハンティングの仕事が割り振られるだろうさ」

「それは言えてますね」

「のび太の持つ力の一つは、誰かを安心させる包容力だよ。のび太の優しさを感じた連中は命をかけてものび太に尽くす。ピー助、キー坊、ペガ、グリ、ドラコ、イチ、フー子。例を挙げても、これだけいる。特に、イチは犬の文明の初代大統領になった後、今際の際にのび太がグリフォンと合体したみたいな銅像おっ立ってて、その文明の偶像崇拝を確立させてるそうだ。今のフェリーチェと調を見てみろ。フェリーチェはのび太の義理の妹としての生活を受け入れてるし、調はそれまでのすべてをなげうっても、のび太に尽くしてるだろ?これも立派な力さ。よく言うだろ、『人は優しくなければ、生きる資格がない』って。ドラえもんの口癖でもある。強さは愛なんだよな。宇宙刑事シャリバンや時空戦士スピルバンも言ってる事だ」

「そして、愛は奇跡を信じる力になるのです」

「エースか」

「スカーレットとキャラクターの方向性がかぶってるのは悔しいのですが…」

「60人もいりゃ、似た方向性のキャラの一人や二人は出るだろう、諦めろ」

「確かに」

キュアエースは言葉づかいなどで、彼女の後輩であるキュアスカーレットと被る事を地味に気にしているようだが、黒江は宇宙刑事シャリバンが新コードネームの城洋介と『時空戦士スピルバン』と名乗っている事実、60人もプリキュアがいて、まだまだ増えていく事も考えれば、似た方向性のキャラの一人や二人は出ると諭す。キュアドリームとキュアハッピーも似た方向性のキャラ(現役時代)だったので、お互いに顔を見合わせる。



「のび太さんはご苦労が多いのですね」

「カミさんと倅を食わせんといかんし、俺達への誹謗中傷に対応してくれている。子供の頃のものぐさの帳尻合わせって考えればいいが、あいつ自身、楽しんでるさ。青年になってからは特にな」

「のび太くんにどうやって報いればいいんですか、先輩」

「まずはこの戦いを戦い抜いて、それから、のび太との模擬戦で全力で戦うことだ。全力でやって、養子と結婚していいかって聞いてみろ。戦いの中で」

「それ、なんかバトルマンガみたいですよ」

「お前ら、元からそうだろうが。初代のコンセプトは『女の子でも暴れたい』なんだし。まずはそのコンセプトに立ち返って考えろ。なぎさとほのかの二人の戦いぶりを」

ドリームは黒江に言われ、ハッとなる。なぎさとほのかは『女の子でも暴れたい』とするコンセプトでアニメが制作されたし、実際の二人もバトルマンガのテイストが濃い。それでも一定のルールはあった。なぎさとほのかが現れた時代は某セーラー戦士達などの存在で潮流は変わり始めたが、まだまだ古き良き魔女っ子ものも細々と制作されていた時代である。バトルヒロインが主流になる流れを決定づけたのが『中興の祖』とされるプリキュア5であった。ドリームはある意味、なぎさとほのかの正統な後継者かつ、二人にない個性(カリスマ性)を与えられて、三代目として生まれたプリキュアである。桃園ラブ/キュアピーチ以降のピンクのプリキュアの雛形とも言える存在。

「原初のコンセプトは確かにそうでしたね…」

「ああ。HUGっとで多様性を入れてきたのを、社会派ぶってるって嫌う奴もいるからな。のび太はその点、安定してる。新アニメ版で誤解されてるかもしれんが、実際はどんなに躓いても、起き上がれる強い精神力を持ち、一歩づつでも、昨日より良くなろうと努力してきてる。俺たちはあいつのそんな姿が憧れなんだよ」

「あ、大先輩の講義に行く前に、のび太くんがなんでそうなったか、わかりますか」

「おばあさんだよ、あいつの。おばあさんがのび太の生き方を決めたんだよ」

のび太は亡き祖母との最後の約束を生涯、そして生まれ変わろうとも守り通す事になる。最愛の祖母との契りがのび太をのび太たらしめる最大の理由、彼が一歩づつ良くなろうと努力を怠らなかった精神力の根幹。のび太が生涯でもっとも敬愛し、その死後も会いたいと願い続けている父方の祖母。それが玉子の嫉妬に繋がった面もある。

「のび太はおばあさんが亡くなる数日前、ある約束をしたんだ。結果的に破ることを許されない約束になってしまったが、のび太の強さの根源になった出来事だ。俺はタイムテレビで見ただけだが…」

のび太が交わした祖母との約束。祖母がその数日後に亡くなった事もあり、のび太は大人になっても『おばあちゃんに誇れる僕になりたいのさ』と冗談めかして語り、祖母の命日には線香を欠かさない。黒江はかいつまんで、その事を説明する。のび太の『強さ、優しさ、勇気』の根幹になった約束を。同じく、幼少期に祖母を亡くしているキュアハート/相田マナはいの一番に目をウルウルさせて、泣いていた。自身も、亡くなった祖母が妖精の姿を借りて、自分を守ってくれた出来事があったからだろう。

「う、うぅぅ……いい話だぁ〜〜……涙が止まんないよ、六花ぁ〜…」

これであった。



――のび太は祖母の存在と祖母の言葉を糧に生き、最終的に『転生』を選んだ。それは彼の自由意志である。誰がなんと言っても、だ。のび太はどんな時も友情に殉じる。『友達が困ってるのに、黙っていられるかい?見て見ぬ振りできるかい?僕はできないよ』と公言し、子孫へ向けての遺訓も用意しておくなどの遠大な計画のもとに、Gウィッチ達のサポートを行っていく。仮面ライダー達に取っての立花藤兵衛のように。のび太自身も『僕は彼女達の父親であり、友達であり、兄であるのかもね』と語り、その役目を担っていく――



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