ナイトメア開発計画開始から2ヶ月経った今日、レオ君からKMFが完成したという報告が来たので、ノネットさんとの訓練をいち早く抜け出し、研究室へと向かっている。

早く自分の機体が見たいので早足で研究室に向かう。

ようやく俺も自分だけの機体が持てる、これで俺も無双状態のように敵をばったばったと切り倒すこと間違いないだろう。

「レオ君、俺の機体できたんだって?どこにあるの?」

研究室へ駆け込むや否や、俺はレオ君にKMFの所在を大声で尋ねる。

「ああレイ、とりあえずこっちに来てください。話しはそれからです。」

俺は武器を作ってる時は口出しをしたが、それ以外は専門外なので、イメージだけを伝えてレオ君に任せっぱなしだったからな。完成した姿は見てないんだ。

「これがあなたの機体です、なるべくあなたのイメージどおりに再現しましたが、やはり脚部は既存の機体よりもはるかに大きくなりましたが、本当にこれでいいのですか?」

目の前には俺のイメージ通りの機体が立っている。赤をベースにしたアルトアイゼンそっくりな機体だ。あまりの感動に目から思わず涙がこぼれ落ちそうだ。

「ああ、これでいい。足がこれぐらい太くないと機体の重さに耐えられないだろうし、これぐらい必要だろう」

ランスロットのようにナイトメアで肉弾戦をやるような考えは俺にはないしな。

「そうですか、では報告を続けます。まず肩や背中だけでは機体の姿勢が安定しないので、脚部にもブースターをつけました。それからランドスピナーも特別性の物をつけて、既存のものより倍近い耐久性を持たしてありますが、この機体の重さが重さですのであまり無理な動きをさせ続けると壊れますのであしからず」

「ランドスピナーは具体的にはどれぐらい耐えられるんだ?」

「私たちも実験させようとしたのですが、この機体を動かせるのがあなた以外にいないので、これから実験していくつもりです。負荷がかかりすぎている場合は、モニターに注意が出ますのでそれに注意して動かしてみてください」

今から実験なのか?まあこれは俺の機体だし、やれるの俺だけだからな。

「わかった。じゃあこいつを外の演習場に運んでくれ、俺も着替えてすぐに向かう」

パイロットスーツに着替えて、試運転を行うために俺はKMFに乗りこむ。

「レイ、ひとまずブースターは使わずに機体の運動性を確認してください」

「了解」と答えて操縦桿を握り、ペダルを踏み込んでKMFを前進させる。

前進だけなら何とかなるが、急旋回しようとすると機体の重さに引っ張られて、姿勢制御が難しい。これは改良しないとな。

「レイ、機体の調子はどうですか?」

「運動性自体は俺のサザーランドとそこまで変わりはないが、急旋回すると姿勢制御が難しい。ランドスピナーもブースターを使わなければ多少むちゃな動きをしても何とかなりそうだ。」

ランドスピナーが心配だったが、特別性の物を使っているので何とかまだ機体の動きについてきてくれている。ブースターを使えばまだわからないが、運動性自体はサザーランドとそう変わりはないので被弾にさえ気をつければこのままでも戦場で使えると思う。

「わかりました。ではエナジーフィラーが切れるまで機体を動かし続けて、ランドスピナーの耐久性をチェックしましょう。それが終わったら休憩を挟んでブースターを使った実験をします」

それから20分、エナジーが切れたのでひとまず機体から降りて、機体を整備に回す。ランドスピナーはなんとか最後までもってくれた。

それにしても武装を使ったらエナジーの消費はどれぐらいあるのだろうか?場合によってはそれも改良させないといけない。

「機体の調子はどうでしたか? やはり問題は姿勢制御ですか?」

「ああ、今は問題にはならないが、まだブースターも使っていないし、武装を使った場合のエネルギーの消費もまだわかっていないから、実際に戦場で使うにはまだまだ時間がかかるだろうな。これは時間をかけて解決して行かないとならないだろうからしばらくはサザーランドで戦場に出なければならないだろう」

「すいません、私たちの技量が足りず、時間までに機体が仕上がらなくて」

「気にしなくていいよ、レオ君たちは俺の安全のために少しでも機体をよくしようとしてくれているんだから。その人たちに文句なんてつけないよ」

彼らは出来うる最大の仕事をしてくれてるんだ、文句なんて言うはずない。

でもどうしよう、陛下は3ヶ月で機体を作れと言っていたからな、出来てなかったら最悪ラウンズクビになるかも。

このあとブースターの実験をしたが、やはりランドスピナーに相当の負荷がかかるらしく、連続で使用はあまり出来ず、姿勢制御も難しかった。








はい、1ヶ月経って、ただいま謁見の間で陛下の前に控えております。横には3ヶ月ぶりのジノとアーニャも一緒に控えてます。

「それではお前たちに任務を与える、ジノ・ヴァインベルグ、アーニャ・アールストレイムの2人はこれからEUに向かえ、レイス・リンテンドは1ヶ月本国の防衛任務をしてからトゥウェルブと交代でEUに向かってもらうぞ。よいな」

「「「Yes, Your Majesty」」」

俺たちは謁見の間を出て、少し話し合うことにした。

「悪いな、俺の機体がまだ実戦投入に不安があるから陛下に頼んでもう1月だけ時間をもらったんだ。俺がいない間、2人で頑張ってくれ。俺も完成次第交代でEUに向かうよ」

そう、陛下に頼んだら1月だけ待ってくれることになった。時間に厳しい人だと思っていたがそうでもないらしい。いや、戦力になるかわからないラウンズを送っても仕方ないと考えたのだろうか?

「気にするなよレイ。何時も俺たちはお前に助けてもらってたんだ、1月ぐらい俺たちで何とかしてみせるぜ」

「まかせて、レイが戻ってくるまでは私たちでカバーしておく」

この2人本当にいいやつらだよな、涙が出そうだ。

「ああ、すぐに向かうからそれまでよろしく頼むぞ」

ジノとアーニャは戦場へ、おれは引き続き自分の機体の調整へ、俺たちはそれぞれの向かうべき道へと向かって歩き出した。

1ヶ月後、なんとか機体の問題点を改善して機体を完成させ、EUに向かうための手続きをしている俺の元に届いた知らせは「EUと一時停戦。」と言う知らせだった。

あれ〜?

俺の準備が整ってに向かう手続き中に届いた停戦の知らせ。

職業軍人である俺たちは命令がないと軍事行動を起こすわけには行かないので、EU方面軍は全軍ブリタニア本国へと戻ってきた。

ラウンズが控え室としている部屋で、本国に残っていた俺、ノネットさん、ビスマルクさんが集まっていて、する事のない俺がぼ〜としていると、EUに向かっていたラウンズが帰ってきた。

「レイ、久しぶりだな。お前が来る前に停戦になっちまったから一緒に戦えなくて少し残念だぜ」

「ただいま、レイ」

「これはこれは、直接会うのは初めてでしたか、リンテンド卿。私はナイトオブテンのルキアーノ・ブラッドリーです」

「私もはじめましてですね、リンテンド卿。ナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフスキーです。よろしくね」

「ああ、久しぶりだなジノ、アーニャ、それからはじめましてブラッドリー卿、クルシェフスキー卿、ナイトオブファイブのレイス・リンテンドです」


"ビスマルク・ヴァルトシュタイン"

"ナイトオブワン"の地位に就いている帝国最強の騎士。

彼の専用ナイトメアはギャラハッドといい、剛剣エクスカリバーを主武装に使う剣術を用いる戦闘を行う。

また普段は封印しているが、極近未来を読むギアスを持つギアスユーザー。


ビスマルクさんは今回は侵攻に参加せず、専用ナイトメアの武装を製作していた。どうやらこれをさらに改良させた物が、ギャラハッドの主武装エクスカリバーになるらしい。


"ルキアーノ・ブラッドリー"

ナイトオブテンの地位に就いている青年で"ブリタニアの吸血鬼"の異名を持ち、オレンジ色の髪をしている。

好戦的かつ残虐な性格で、"人殺しの天才"を自称し,殺人と破壊に至上の快楽を見出す。

専用機はパーシヴァルで、過剰なまでの攻撃兵装を搭載し、突破力に特化したナイトメア。


"モニカ・クルシェフスキー"

ナイトオブトゥエルブの地位に就いている女性で、皇帝直属部隊のロイヤルガードは彼女の部隊である。

性格、専用ナイトメアなど詳しい情報はわからない。


ルキアーノはノネットさんと交代でEUに向かい、モニカさんは俺と交代で本国に戻ってくるはずだった人だ。

そして今ここにはいないがナイトオブフォー、ドロテア・エルンストという女性がいる。

彼女は現在各地のエリアの軍の視察に向かっている。

「キミは残念だったねぇ、せっかくナイトメアが完成したところで停戦だろうやっぱり実戦で使ってこそのナイトメアだからさぞかし残念だろうね」

「いえブラッドリー卿、今回は仕方がない事ですし、できるなら俺はあまり戦場に出たいとは思わないほうなのでこれはこれでよかったです」

「残念だねぇ、戦場のあの空気こそが唯一私を熱くさせてくれるのに。君はそうではないんだね」

「えぇ、残念ながら。」

「そうか、私は自分の部隊に指示を出さなければならないので、これで失礼させてもらうよ」

「そうですか、それではまた、ブラッドリー卿」

俺はあなたのような快楽殺人者のような人物ではないので戦場に自ら出ようなどとは考えません。

「クルシェフスキー卿も俺のせいでこちらへの帰還が遅くなってしまって申し訳ありませんでした」

「そのことなら全然気にしなくていいわ、機体に問題があったなら仕方ないしね。それと私の事は気軽にモニカって呼んでくれればいいわよ」

「わかりました、モニカさんと呼ばせてもらいます。俺の事はレイでいいですよ」

「わかったわ、レイ君。私も自分の部隊にもどらなければならないからこれで失礼するわ。またね」

アニメではほとんど出てこなかったからわからなかったけど、モニカさんはセシルさんのような面倒見のいい優しいお姉さんみたいな人だな。

「レイ、俺達の相手もしてくれよ。お前に会いたくて早く戻ってきたのに、少しはかまってくれよ。アーニャもお前に会えなくていらいらしてたぞ」

「ジノ、余計な事はいわないで」

「痛ってアーニャ頼むからすねを狙うのは止めてくれよ」

「自業自得」

ジノが要らない事を言って、アーニャがジノのすねに蹴りをいれて、ジノが文句を言う。

ああ、しばらくなかった日常と言うものだな。

「どうしたレイ、そんな変な顔して?」

「ああ、こんな風に3人でふざけあっているのは士官学校以来だなと思ってな」

「そういえばそうだな、俺たちが知り合って士官学校を出てまだ1年しか経ってないんだよな。もう何年も一緒にいる感じがするのに」

「私もそう思う」

「そうだな、でもしばらくはEU侵攻も出来ないだろうから、本国で待機になるだろうからまたふざけあえるな」

現在EU方面軍は本国で再編を行われている、兵士を補充するのは簡単だが、錬度の低い部隊を連れて行っても無駄な損害が増えるだけなので、しばらくは本国で訓練をする事になるだろう。

俺の予想では軍の再編と停戦の都合からあと1年は再侵攻はないと思っている。

「じゃあまた休暇を合わせて色んな所に遊びに行こうぜ」

「私は面白いものを見に行きたい」

「そうだな、また3人でどこかに遊びに行こうか」

俺たちは今後の事などを話し合いながら、控え室を後にした。

それから1年の間は予想通りEUへの再侵攻もなく、ラウンズは全員本国待機となっていた。

少ない休みを何とかやりくりして、ジノやアーニャと色んな所に遊びに行った。ユフィの都合のいい時は彼女も誘って4人で遊んだし、それぞれ個別に二人きりで遊んだこともあった。

そういえばそろそろルルーシュがC.C.に出会い、行動を開始することだろう。

俺はルルーシュの味方をするつもりはない、初めはそれも有りかと考えていたけど、今はジノやアーニャ、ユフィなど大事な友達がいる。彼らを裏切ってまでルルーシュにつこうとは思わない。

本当のことを言えば、できるならばすべての登場人物に不幸のない、ハッピーエンドで終わらせたい。しかしブリタニアと敵対する反抗勢力が存在する以上、すべての人間が俺の望み通りに終わることなどあり得ないのは分かっている。

だからブリタニアで生きていくと決めた以上、自分は職業軍人であるから殺すときは容赦することはしない。敵対組織に属する人間も必要なときは殺していかなければならない。

そのなかでも最大の障害となるのはやはりルルーシュであろう。このまま進めば、彼は必ずブリタニア軍の前に立ちふさがるだろう。

たとえばルルーシュを保護するという手はどうだろうか。行方不明になっていた皇子と皇女を見つけてくる。それは聞こえがいいが、実際どうやって見つけ出すか。実際俺はルルーシュとナナリー、二人の居場所は分かっている。だが軍人である自分がどうやってその居場所を突き止められるというのかを考えた時、納得のできる説明ができない。アッシュフォードに知り合いはいるが、それはあくまで個人の付き合いでだ。学園の方には何のかかわりも持たない俺が彼らを見つけるのは不自然に他ならない。何の接点もない俺が偶然二人を見つける確率など天文学的な数字だろう。二人がブリタニアに帰ることを望んでいないことも分かっている。保護するという手は取るべきではない。

暗殺はどうだろうか。いや、それはあり得ない。やさしい世界をもたらすために自らを生贄として奉げた心やさしい少年を、俺は殺したくはない。

きっとこれは俺のエゴなんだろう、これから起こることを知っていながらそれを無視するのは。きっと多くの人間が不幸になるのだろう。それでも俺はルルーシュには生き続けてほしい。

せめて最後に幸せな世界が訪れることを願い、今はその業を背負って、俺は俺の信じる道を生きていこうと思う。



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