in side

「ふむ、なるほどな……」
 と、ヴィクトルさんは納得したようにうなずいていた。
さて、あれから俺達はあのままでいるわけにもいかなかったので、町に入ることにした。
幸いというか、悪魔に襲われることも無く町に入ることが出来、俺は町の人に助けてもらいながら治療を受けることが出来た。
おかげで疲れ以外は問題は無い。流石は魔法まである世界だ。骨折もあっさりと治ってしまったしな。
 で、あの少女の話が気になったので、ヴィクトルさんに相談しに来たのである。
「どう思いますか?」
「そうだな。その少女がかなり高位な悪魔であるのは間違いないだろう。
そんな者がただの戯れだけでそんなことを話すかどうかは首を傾げる所だな」
 あごに手をやりながらヴィクトルさんは答えてくれたが……確かにそうだよな。
冗談にも聞こえる話だが、何の意味も無くあんなことを話すかと言えば……ちと悩んでしまう。
 ちなみに理華は俺の横で興味深そうに周りを見てるけど……まぁ、こっちは気にしなくてもいいだろう。
「じゃあ、本当にボルテクス界は――」
「それはわからない。だが、確かめる必要はある。
その悪魔はこれから繋がる世界の先に崩壊を止める鍵があると言ったのだろう?
それが本当にあるのかどうかを確かめてからではどうかな?」
 俺の言葉を遮るようにヴィクトルさんは答えたけど……でも、そうだよな。
本当に崩壊が起きるのかは怪しい所だし……確かめる必要はあるわな。
「それで、君達はどうするのだね?」
「え?」
 なんか、ヴィクトルさんにそんなことを聞かれる。でも、どうするのかと言われてもなぁ……
「やっぱり、俺達が行かなきゃまずいんでしょうかね?」
「その悪魔はそれが目的のようだがね」
 ヴィクトルさんはそう言うけど……まあ、あの少女も俺達に何かをさせるためにあんなこと言い出したんだろうしな。
やっぱり、俺達が動かなきゃダメなのかな? たく、なんでこんなことになるんだよ……
いきなりボルテクス界に飛ばされたと思ったら、変な奴に襲われるわ……戻って来れたと思ったら今度は理華が飛ばされて……
助けに行ったら、とんでもない奴に襲われて……で、あの少女だろ? たく、俺が何したっていうんだよ……
「今日は疲れただろう? 部屋を用意する。今日はそこで休みたまえ」
「え? あ……それは助かりますけど……お金、足りるかな?」
 ヴィクトルさんの申し出は嬉しいけど……治療した際、俺と一緒にミュウ達も治してもらったんだが、当然というか治療費は出した。
その治療費が千マッカくらいで……これって安いんだろうか? 基準がわかんないから判断出来ないな。
それに業魔殿って、明らかに高級ホテルのイメージがあるしな。残りの手持ちが間に合うかどうか……
「その必要は無い。我が研究の手伝いをしてくれれば、それで良いのだ。メアリ、彼らが泊まる部屋を準備してくれ。
それと彼らに住む場所を探しておいてほしい」
「かしこまいりました」
「あ、いや……住む場所って、そんなこと……というか、なんで?」
 ヴィクトルさんの指示に、いつの間にかいたメアリがうなずいている。
いや、泊まる部屋はまだしも住む場所って、どういうことさ?
「まだ、どうなるかはわからないとはいえ、いつまで掛かるかわからないことだ。寝泊まり出来る場所を持っていた方がいいと思うが?」
 まぁ、ヴィクトルさんの言うとおりだよな。いつまで掛かるかわからないし。
それに元の世界との時間のズレを考えると2・3日ボルテクス界にいても問題はなさそうだしな。
しかし、いいのかなぁ……確かに宿屋とかに泊まる手間を考えれば、そっちの方が楽そうだけどさ。
「なんか、何から何まで……すいませんです」
「言ったであろう? 研究の手伝いさえしてもらえれば良いと」
 思わず頭を下げる俺にヴィクトルさんはそう言うのであった。で、この後メアリに案内されて泊まる部屋に来たんだけど……
なぜに理華と一緒の部屋? 流石にベッドは別々だけどさ。
ちなみにミュウも俺達と一緒の部屋におり、エンジェルとノッカー、タンガタ・マヌはGUMPの中だ。
で、理華は現在シャワー中。うん、なんだろうね……この気まずさは……
「どうかしたの?」
「なんでもない」
 なにやら笑ってるミュウに言葉を返すが……なんでもないわけないんだよね。
本気でなんなんだろ、この気まずさは……なんて考えてたら、ドアをノックする音が。
「はい」
「着替えを持ってまいりました。洗濯の方はまだ掛かりますので、今日はこちらを着てください」
「あ、すいません……」
 ドアを開けるとメアリがいて、着替えを持ってきてくれた。
俺のもそうだが、今回の騒ぎで理華の制服が盛大に汚れてしまい、このまま帰るには問題があった。
汚れたままで帰れば、明らかに何かあったと思われるしな。
幸いというか、俺は買った着替えがリュックに入ってたんでいいのだが、理華は着の身着のままで来ている。
着替えは買おうと思ったのだが、それならとメアリが洗濯と共に言い出してくれたのだ。
助かっちゃったんでお願いしちゃったけどな。
「後、もう少しで御夕食が出来ますので、準備が出来ましたら食堂まで来てください」
「あ、何から何まで申し訳ないです」
「いえ、ヴィクトル様の言いつけですので。では」
 着替えを受け取ると、メアリさんは頭を下げて行ってしまった。
う〜ん、夕食まで食べさせてもらえるのは嬉しいけど、本当にただでいいのかな?
「あ、翔太。着替えはどこに?」
「ああ、今届いた――」
 理華の声が聞こえたんで振り向いて……固まった。ていうのもさ、理華がいたんだよ。
バスタオル1枚巻いただけの姿で……
「どうしたの?」
「あ、いや……そのな……」
 理華は首を傾げるけど……うん、なんて言ったらいいだろうかね? 色っぽいというよりエロいよ。
バスタオルの裾がギリギリの位置を隠してたりとか、バスタオルが落ちないように胸に腕を当ててたりとか。
「な〜に見つめてるのよ」
「ん? ああ、別に良いじゃない。一緒にお風呂に入った仲じゃない」
「いつの話だよ……」
 ミュウにからかわれた挙句、理華には苦笑混じりにそんなことを言われたが……
理華、それって俺達が幼稚園の時の話だろ? ちなみに美希も一緒にいたけど……いや、俺はロリコンじゃないよ?
「ほら、着替えて。もう少しで夕食だってさ」
「あ、うん。待っててね」
 ともかく、そのままにしておけないので着替えを渡すと、理華はシャワールームへと戻ってしまう。
で、聞こえてくる着替えの音……いかん、嫌でも妄想しそう……俺だって、一応男なんだぞ。
「お待たせ。いこ」
「ああ……」
 まぁ、着替えはすぐに終わり、理華はフォーマルな上着とズボンといった服装になっていた。
待ってた俺はすっげぇ疲れたけど……ミュウには笑われるし……なんだろ、この厄日?


「ふ〜ん、そうなんだ……」
 で、夕食を食べに食堂に行き、そこで今まで起きたことを話した。
まぁ、気が付いたら変な所にいて、帰るために悪魔と戦ってましたとしか言えないけどな。
「それでさ……ヴィクトルさんだっけ? あの人にも言ってたけど、本当に翔太がやるの?」
「どういうわけか、あいつは俺にやらせたそうにしてたからな」
 理華にため息混じりに答えた。どうにも、あの少女に変に気に入られたようだしな。
これでやらないとか言い出したら怖いことになりそうだし……やるしかないんだろうなぁ……
「あのさ……私も手伝えないかな?」
「は?」
「え?」
 なんか理華がとんでもないこと言い出したよ? ミュウも一緒に驚いてるし。いや、待てって。
「おいおい、危険なんだぞ? 悪魔と戦わなきゃならないんだし」
「わかってる。でも……翔太だけに危険なことさせるのも……」
「いや、待てって」
 理華の話に思わず汗が頬を伝う。心配してくれるのは嬉しいが、それとこれとは話は別だって。
「俺だって、自分から危険に飛び込むようなことはしねぇって。死にたくないし、危なくなったら逃げるしな」
 夕食を口に運びつつ、そう言っておく。ていうか、俺だって死にたくないっての。
でもなぁ……あの少女の言うこと色んな意味で無視出来ないし……本当になんでこんなことになるかな?
「だったら、いいでしょ? 手伝ったって?」
「いや、だからさ……」
 でも、なぜか理華は不満そうな顔をこっちに向けてくる。
なんとか反論しようとするが……理華は変わらない目でこっちを見てくるだけである。
「はぁ……わかったよ」
「ふふ、これからがんばろうね」
 結局、俺が折れた。で、とたんに笑顔になる理華。まったく、どうなっても知らないぞ……
「むぅ〜……」
 この時、ミュウが不機嫌そうにこちらを見てることに気付いてなかった。
で、この後部屋に戻った俺達は寝るわけだが……理華と一緒に寝るなんて久々でどうしようかと思ったんだけど……
疲れていたせいか、俺はあっさりと眠りに付くのだった。


 out side

 翔太はすでに寝てしまったのだろう。寝息が聞こえてくる。
その左隣に寝ていた理華は、静かに体を起こして翔太に顔を向けていた。
「翔太……」
 つぶやいて、あの時のことを思い出す。翔太をかばって悪魔の攻撃を受けて気を失い……
実は本気で命の危険があったのだが、その時のことを聞かされていない理華はそのことを知らない。それはそれとして――
再び目覚めた時に見たものは、見知らぬ少女と……傷だらけの翔太の姿であった。
確かに翔太は理華を見つけてからあの悪魔に襲われるまでに彼女を守るために前に立って戦い、そのたびに傷を受けていた。
だけど、目覚めた時に見たのはその時よりももっとひどい状態だった。左腕も折れていたし、体中の傷ももっとひどくなってて……
下手をすれば、命に関わっていたかもしれないくらいにひどかった。
 そんな翔太を見て、理華は思う。翔太はまだあの時のことを引きずっているんだと。
翔太や自分が小学校に上がる前の頃、一緒に遊んでいた友達が事故に遭って生死の境を彷徨ったことがあった。
今になって思うと、あの事故は偶然が重なったもので、誰かが悪いというわけではないと思う。
でも、翔太は自分を責めた。あの時、自分が友達を呼んだから事故に遭ってしまったと。
あの時からだった。翔太は親しい友人などを失うことに拒否感を見せるようになったのは。
親しかった者がいなくなる。確かにそんなことになったら何かしら思う者が出る者だが、翔太の場合はそれが顕著なのだ。
 もっとも、その友達は一命を取り留めたし、それ以降は親しい者にそのようなことは無かったので、翔太はそのような素振りを見せることは無かった。
なので、理華も忘れていたのだが……今回、自分がボルテクス界に飛ばされた為に翔太のそれが再発し、あのような無茶をさせてしまった。
理華はそう思っていた。だから、これ以上翔太を無茶させたくないから……彼を手伝おうと決心したのである。
「ん〜……」
 寝返りをする翔太を見て、理華はふと笑みをこぼす。
それはそれとして、助けに来てくれたのは本当に嬉しかった。だから――
「ありがとう……翔太……」
 翔太の頬に軽く口付けをし、理華は再び眠りに付く。
「むぅ〜……」
 その様子をミュウが不機嫌そうに見ていたことに気付かずに。


 in side

「は? 合体させてくれ?」
 朝起きた俺達は顔を洗い朝食を取り……その間、理華の顔が少し赤かったのは気になったが……
理華もボルテクス界に来た時に来てた制服に着替えて出発と思ったら、GUMPごしにノッカーがそんなことを言い出したのである。
ちなみにだが、GUMPの中にいても仲魔は話そうと思えば話せることに今気付いたりするんだがな。
「そうじゃ……あの時、わしらは何も出来んかった」
「いや、あれで何か出来た方がすげぇと思うぞ」
 ノッカーの話に思わずツッコミを入れてしまうが……あの時の俺はぶち切れてただけで、普通だったらノッカーと同じだったと思うけどな。
そんだけ、あの悪魔の迫力って凄かったし。まぁ、あの少女の存在感と比べたらかすんじゃうけど……
「それでもじゃよ。自分より強い悪魔が現われたというだけで、わしらは何も出来んかった。
おぬしだけじゃなく、そこのピクシーの嬢ちゃんも動いたというのにな。本当に情けないもんじゃよ。
どうしたもんかと思った時に悪魔を合体させて強くすると言う話を思い出しての、それをしようと思ったんじゃ」
 が、ノッカーはそうは思わなかったようで、気落ちしたように言ってくる。
しつこいようだが、それが普通だと思うがな。でもまぁ……
「わかった。そこまで言うなら……」
 ノッカーの意志は固いようで結局、俺が折れることとなった。で、そのままヴィクトルさんの所に向かい――
「話はわかった。では、合体の前にいくつかの注意をしておこう。
まず、悪魔の合体には種族の相性がある。種族の相性が合わなければ、基本的に合体は出来ない。
また、同じ種族同士の合体も基本的には不可能だ。ただし、特定の種族のみに限って合体は可能となる。
それと合体には法則がある。どういうことかといえば、合体させる種族によって合体後に現われる種族がほぼ決まってしまうのだ」
 ヴィクトルさんの話を聞いてると、その辺りはゲームと余り変わらないような気がするな。
しかし、法則か……確かゲームでもあったと思ったけど――
「あの、その法則ってわからないんですか?」
「遺憾ながら、私も把握し切れていない。元の世界でもそうであったが、悪魔合体を行うサマナーが中々現われなかったのだ。
故に事例が少なく、法則をつかみ切れておらん。申し訳無いが協力してもらえると助かる」
「あ〜それくらいなら……」
 なんかヴィクトルさんは悔しそうな顔をしてるけど……まぁ、こっちも色々とお世話になってるんだ。
それくらいは協力しても別にいいだろ。
「おっと、説明がまだだったな。法則によって合体後に現われる種族が決まってるのは確かだが……現われる悪魔に変化が出る場合がある」
「え? どういうことですか?」
「基本的に合体の元となった悪魔よりもワンランク上の悪魔が合体後に現われる。
だが、時にはそれより高位な悪魔が現われる場合があるのだ。これはまだ研究中ゆえ、原因はわかってはいないが……
私はサマナーの力量が関係しているのではないかと考えている」
 ええと、つまり……運が良ければ強い悪魔が出てくることもありえるってことかな?
まぁ、そうだと助かるけど……そんなのは早々起きやしないか。
「最後に……万全を期してはいるが、事故が起きる可能性はある。確率的には非常に希ではあるが、そのことは考慮して欲しい」
「ああ、了解しました」
 あ〜……やっぱ、そう言うところもゲームと一緒か。でも、しょうがないかもな。
ヴィクトルさんもなんか研究中とか言ってたし。
「では、合体する悪魔はどれなのかな?」
「ええと、そういやノッカーは誰と合体しようとしてたんだろ?」
「私が行きます」
 ヴィクトルさんに聞かれたので、思わず首を傾げてたらタンガタ・マヌが言い出してきた。
「うむ、こやつもまたわしと同じ理由で合体を決意しての。頼むぞい」
「ああ、わかった」
 ノッカーにうなずいてからGUMPを操作し、ノッカーとタンガタ・マヌを召喚する。
召喚された2人はヴィクトルさんの指示で台座に立つと、ヴィクトルさんは装置を操作し始めた。
すると台座に電撃が走ったかと思うと2人の体が塵にように砕けていき、完全に塵となるとその塵がもう1つの台座へと集まっていく。
俺と理華、ミュウはその光景をただ見ている中、塵は集まり、収束していき、やがてそれは1つの形となった。
「凶鳥モー・ショボーよ。よろしくね」
 現われたのは髪の毛が翼のようになっており、モンゴル衣装のような服を纏った少女であった。
「合体によって現われた悪魔は、合体の元となった悪魔の力を受け継ぐ。この悪魔もまた、あの2体の力を受け継いでいる。必ずや君の力となるだろう」
 ヴィクトルさんの話を聞きながら、こちらにやってくるモー・ショボーと契約の操作をする俺。
そっか、こいつはあの2人の力を受け継いでるのか……
「よろしくな」
「ええ、こちらこそ」
 挨拶を交わしてから、GUMPを操作してモー・ショボーを中へとしまった。
「さてと……終わったようだな? 君達の住む場所を見つけておいた。メアリ、案内しなさい」
「はい」
 と、俺の横にいたメアリが頭を下げていた。しかし、住む場所といってもな。帰れないわけ……無いよな?
穴、消えてなきゃ帰れるはずだし。穴……まだ、残ってるよね?
なんて不安を感じつつ、メアリに付いていくように業魔殿を後にするのだった。


「こちらが翔太様のお住まいとなる所です」
 で、メアリさんが連れてきてくれた場所はちょっと古ぼけた建物だった。
1階はガレージのようになっており、生活スペースは2階になってるようなんだけど――
「なんか、何も無いね?」
「ああ、忘れておりました。必要な物は自分達で買うようにと、ヴィクトル様はおっしゃっておりました」
 理華の言葉にメアリはそんなことを言い出したけど……まぁ、流石にそれは当然だろうな。
一応、折りたたみベッドは2つあるか……布団とかは買わなきゃな。後、何必要だろ?
「あの、お手伝いの件で着たのですが、こちらでよろしいでしょうか?」
 なんて考えてたら、これまたメイド風の女性が着た。でも、肌の色が青っぽいような……
「あの、この人は?」
「ヴィクトル様があなた方の目的を考えると家を空けることが多いだろうから、
その間は管理してもらえる者を置いた方が良いとおっしゃっておりましたので、業魔殿の従業員から1名着てもらいました」
「妖精シルキーのラウルといいます。よろしくお願いいたしますわ」
「あ、こちらこそ……」
 ラウルと名乗った悪魔に理華が思わず頭を下げてる。いや、何から何まで……ヴィクトルさんに何かお礼しないとな。
「では、私は仕事がありますのでこれで」
「ああ、ありがとうございました。ヴィクトルさんに、今度何かお礼をしますって伝えておいてください」
「わかりました。では」
 俺の伝言を聞いて頭を下げ、去っていくメアリ。さてと、俺達は――
「じゃあ、俺達は買い物に行くか。すいませんけど、その間ここの掃除頼んでもいいですか?」
「ええ、構いませんわ。ですが、出来ましたら掃除用具なども買って頂くと助かるのですが……」
「ああ、わかりました。じゃあ、行こうか」
「うん」
「何買おうかなぁ〜」
 ラウルにそんなことを言われたんでうなずいてから理華に声を掛ける。ところでミュウ、お前は何を買う気なんだ?


 さて、生体マグネタイト協会で換金してもらったんだが、そこで協会の人に驚かれた。
つ〜のも、GUMPに溜まってた生体マグネタイトは1600MAG位だったんだわ。
これだけの量を持ってくる人はまずいないと驚かれたんだよな。まぁ、結構な数の悪魔を倒してたし、あのとんでもなく強い悪魔も倒したし――
それで溜まってたのかも。で、400MAG程残して換金。そのお金で必要な物を買いそろえることにした。
まず、ボルテクス界で必要な着替えと食器。布団や洗濯機に掃除機……洗濯機や掃除機もあるんだね、ボルテクス界って……
後、テレビもあったので買っておき、それらは家の方に送ってもらった。で、今は道具兼武器屋にいる。
銃の弾丸や治療薬に魔石の補充をしておきたかったし、理華も戦うっていうから装備を買ってやらなきゃならないしな。
ついでに俺も新しい装備を買う。といっても防具だけだけど。
両足と胸に防具を付け、更に両腕と両肩に防具が付いたジャケット着るというタイプの防具だ。
う〜ん、他にも買っておいた方がいいかな?
「なぁ、ミュウ。他に何か買った方がいいかな?」
「そうねぇ……チャクラドロップとかは? 魔力を回復出来るよ。
後、宝玉は魔石よりも回復力高いし、こっちの石はそれぞれ石化や毒なんてのを回復してくれるし――
これは確か条件がそろってれば死者を生き返らせる玉のはずだよ」
 ミュウに聞いてみたら、色々と勧められてしまったが……しかし、死者まで生き返らせるって……ボルテクス界、侮りがたしってか?
それはそれとして、宝玉と死者を生き返らせる玉ってのは……金額は普通に数字で書かれてるんで読めるけど……流石に高すぎないか?
死者を生き返らせる玉なんて、俺がさっき買った防具よりも高いぞ。流石にこの2つは今買うのはキツイか。
今までの買い物でお金の方も残りはそんなに多くはないし……とりあえず、考えてた補充とチャクラドロップに石の方を買っておくか。
あの時もミュウ達、魔力切れで戦えなくなってたしな。後、ゲームじゃ毒や石化を使ってくる悪魔もいたから買っておいた方が良いか。
「お待たせ……どうかな?」
 と、試着室から理華が出てきた。理華が今来てるのは黒いライダースーツのような防具なんだけど……
うん、理華ってスタイル良いよな……後、胸は思った以上にあったんだな……胸の谷間がハッキリと……
「どうしたの?」
「あ、いや……似合ってるぞ。間違いなく」
「もう〜……翔太ったら……」
 首を傾げられたが、本音を言ったら怒られそうな気がしたので、別なことを返すことにした。
でも、似合ってるのは間違いないけどな。照れたのか理華は頬に両手を当てながら赤くなって恥ずかしそうにしてたけど。
ちなみに理華が使う武器は刃渡りが俺が使ってる刃物より短い、日本刀のような刃物とサブマシンガンにした。
 まぁ、刃物は牽制用で、メインはサブマシンガンになるだろうけどな。


「理華! 悪魔の動きを良く見ろ! 後、銃はこっちに向けんな!?」
「で、でも……銃って、扱いが――」
 買い物を終え、俺達は一旦ボルテクス界の家に戻って荷物を整理してから、ラウルに一度元の世界に戻ることを伝えて町の外に出た。
理華が帰れるの? と、不安そうにしていたので、俺が通ってきた穴が残ってるはずだと言っておいてある。
穴、残ってるよね? でもまぁ、そこまでの道中はどうしたって悪魔が出てくる。
で、当然というか理華は苦戦していたが、これはしょうがないだろう。俺も初めて銃を使った時は中々当たらなかったしな。
そのせいで無駄弾が……あ〜弾丸、多めに買っといて良かった。いや、良くないのかもしれないけど――
「てぇ、理華!? 横横!?」
「へ?」
 なんてこと考えてたら、悪魔が理華の右から襲ってきた。危ないとばかりに俺は駆け寄るんだが――
「あ、アギ!」
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁ!?」
 理華の手のひらから出た炎に悪魔が吹っ飛びました……って、ちょっと待て!?
「あの〜理華さん……なんで、魔法が使えるの?」
「え? あ、あれ? なんでだろ? なんか、咄嗟に頭に浮かんで――」
 思わず問い掛けるが、理華も首を傾げている。そこで思い出す。あのゴスロリボクっ娘の事を……
あの野郎……なんか、余計なことしたのか? そのことを考えて、思わず頭を押えて悩む羽目になったのだった。


 で、もう少しで穴にたどり着くといったところで――
「へ、見つけたぜ!」
 オニに会いました。うん、オニだね。見た目もその通りのオニが……でも、なぜに1人だけ?
ちなみにオニ自体は珍しい悪魔じゃない。俺も何回か会ってるし、倒してもいる。頑丈なんで、倒すのに苦労してるけど。
「てめぇらか。最近、悪魔を倒しまくってるっていう奴らは」
 オニのひと言になんとなく察する。時々いるんだよ。どっからか話を聞いて挑んでくる悪魔が。
「いくぞぉ!」
 なんて考えてたら突っ込んできました。で、俺はといえば――
「てりゃあ!」
「ぐ!?」
 振り落とされる金棒を避けながら刃物で斬り付け、銃を向ける。
理華も少しは慣れて来たようで怖々としながらも同じように銃を向けていた。そこにミュウとモー・ショボーも取り囲む。
「へへ、なるほど……面白そうな奴らだな」
「は?」
 なのに、オニは気にした風も無くこっちを向く。しかも、金棒を肩に担いで。なんだ?
「俺はな、強い奴と戦いたいのさ。その時にお前らの話を聞いて思ったのさ。
お前らと一緒なら強い奴と戦えるってな。そういうわけで、どうだい? 俺を仲魔にしないか?」
 なんてことを言ってくる。しかし、いいのか? そんな理由で? というか、それってどこの熱血マンガですか?
「どうするの?」
「ああ……まぁ、仲魔が多いのは助かるしな。でも、本当にいいんだな?」
「おおよ。戦えりゃ、俺はそれでいいのさ」
 戸惑ってる理華に答えつつも、思わず聞いてしまう。オニの方はその気らしいけど……まぁ、いいか。
「妖鬼オニだ。よろしくな!」
 GUMPを操作し、オニを登録するとGUMPへと吸い込まれていった。
「え? 何それ……」
「こういう奴なんだよ。これはな」
 驚いてる理華にそう言いながら、俺はオニを召喚する操作を行う。その召喚の時も理華は驚いてたりするけど。


 で、それから1週間後。俺達は今日もボルテクス界にいる。ああ、あの後は無事に元の世界に戻ったぞ。
で、学校行ってから再びボルテクス界に行って、3日ほど過ごしてからまた元の世界に戻って学校行って――
を、繰り返している。ちなみにそれで判明したんだけど、こっちからボルテクス界に向かう時も時間にズレが起きるらしい。
詳しい時間まではわからないけど、こっちの世界の1日はボルテクス界だと数時間程度らしい。
しかし、なんでそうなるかな? 穴に関係あるのか? ま、それはそれで助かるけど。
 あ、そうそう。ボルテクス界の家の整理はちゃんと終わってるぞ。買った物をちゃんと設置したしな。
それにラウルが掃除だけでなく、洗濯や食事もしてくれるので本当に助かってる。おかげで探索に集中出来る。
あ、ちゃんとお金は出してるぞ。流石にそんなに多くは出せないけど、そこまでヴィクトルさんにお世話になるわけにもいかないし。
 そんなこんなで1週間。理華も戦いに慣れて来て、戦いもかなり楽になってきた。
「おい、あれがそうなのか?」
「あ〜、たぶんそうかも」
 オニに答えつつ、俺達は目の前にある穴を見ていた。
俺達の世界に繋がる穴じゃない。新しく見つけた、どこに繋がっているかわからない物だ。
「どうするの?」
「行くしかないだろうな……何が待ってるかわからないけど」
 理華にため息混じりに答える。そ、この先に何があるかわからないというのが怖い。
でもまぁ……あのゴスロリボクっ娘の事を考えるとスルーも出来ないし……あ〜、本当になんでこうなったかな?
「そんじゃ、行きますか」
「うん」
「そうだね」
「楽しみ〜」
 俺のひと言に理華とミュウはうなずくけど……モー・ショボーは楽しそうに見える。
いいね、気楽な人は……あ、悪魔だったか。そんなことを思いつつ、穴に触れる俺達。
穴を通る感覚はいつものもので……すぐに出てこれたが……どこだここ? 森の中みたいだけど……
「どんな……所なのかな?」
「さてな。まずはそこら辺を――」
「ねぇ……」
 理華に聞かれて、とりあえず歩いてみようかと思った時だった。
女の子の声が聞こえた。いや、普通に聞こえたんならまだ良かったんだよ。問題なのは、それが上の方から聞こえたってことで――
顔を向けてみると、そこには1人の女の子がいた。
肩の辺りまで伸びたブロンドの髪に赤いリボンを付け、白のシャツに黒の服とスカートを着た女の子。
そんな女の子を見て、俺は顔が引きつるのを感じた。いや、普通の女の子じゃないんだって。
第一さ……普通の女の子が空なんて飛ぶか? 女の子は宙に浮かんでるだけだけど――
「あなた達は喰べてもいい人類?」
「はい?」
 んでもって、女の子の言った意味をすぐに理解出来なかったのは……しょうがないと思うんだ。
ていうか、今なんと言いましたか?


 out side

 かつて、この地には妖怪がいた。妖精がいた。神がいた。
人々はそれらを恐れ、敬った。だが、時代が進むにつれ、人々は知恵という力を持つようになった。
それにより、人々は現実にのみ目を向けるようになり、妖怪や妖精、神を幻想の者として追いやり……忘れようとした。
だが、それは妖怪や妖精、神にとっては自分達の存在が危ぶまれることである。そこでその者達は隠れ里を創り、そこへと隠れ住むようになった。
人々も住むその隠れ里はその者達にとって楽園となった。いつしか、その楽園はこう呼ばれるようになる。

『幻想郷』と――



 あとがき
というわけで、ヒロイン参戦。そして、異世界へ――
クロスオーバー登録してたのはこれが理由でしたw
そんなわけで次回は東方系のキャラが登場します。そんなに多くは出ないけど^^;
そして、もう1人新たなキャラが……それは誰かは……まぁ、わかる人にはわかる?
後、拍手でご指摘ありましたんで、オニの交渉(?)シーンを書いてみました。いや、交渉になってないね^^:
そんなわけで、次回をお楽しみに〜



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