in side

「く! はぁ……くぅ……」
「じっとしてて! とにかく治療しちゃうから! ミュウ! アプサラスも手伝って!」
「うん!」
「はい!」
 どっかの部屋に入り込んだ直後にうずくまる俺。流石に腹をやられたせいか、痛い上に苦しいっての。
そこに理華が指示を出して俺を魔法で治療する。ついでに魔石も使っておくか。
「しっかし、今のは無茶だと思うぜ?」
「俺だってしたくはないがな……」
 オニに言い返すのだが、聞いたのか美希が落ち込んだようになってる。珍しいもんが見れたな。
いや、それはそれとしてさ。俺って、なんで事あるごとに大怪我するかね?
「すまない……私が迂闊だったばっかりに……」
「あ〜気にすんな……俺も何回か死にかけたことあるから」
「何回もでしょ……」
 明らかに落ち込んでる美希にそう言っておくが、理華に呆れられていた。いや、その通りなんだけどね。
最近は少なくなったけど、何かあるたびに攻撃喰らったり騙し討ちされたり……良く生きてるよね、俺……
「ところでさ。こいつらって、確か女神転生とかデビルサマナーとかに出てくる悪魔だよな? なんでいんの?」
 と、克也がミュウ達に視線を向けつつ聞いてくる。克也もゲームやってるって言ってたしな。わかって当然か。
「ま、ゲームに似た世界があって、俺と理華はそこに行く羽目になった挙句にとんでもないことに巻き込まれてる。そうだと覚えてくれりゃいい」
 明らかに端折ってるが、一から説明すると長くなる。美希達は納得してないけど、今はそんなことしてられない……あれ?
「なぁ、なんかおかしくねぇか?」
「そういえば……静かすぎますね?」
 俺の疑問にルカが首を傾げてる。そう、静かすぎるのだ。この部屋に飛び込んだ時、悪魔はまだ結構残っていたはずだ。
だから、ここに悪魔が飛び込んできてもおかしくないはずなのだが……
「な、なぁ……」
 と、直貴が声を掛けてくる。なんだろうと顔を向けてみると……どうやら、この部屋は子供部屋らしい。
子供向け……というより、少女向けと見られる内装や人形が見て取れる。それはいい。問題なのは……
俺達の視線の先に女の子がいるってことだ。なんだろう、すっげぇやな予感するんだけど。
だってさ、ここって空家なんだよ? 誰も住んでないはずなんだよ? それなのに女の子がいるっておかしくね?
忍び込んだという線もないわけじゃないが……夜も遅い時間にか? なんか、加速度的に嫌な予感が大きくなるんですけど。
「そ、そなたは……いつからそこに?」
 美希が戸惑った様子で声を掛けるが、その間に俺は立ち上がって理華と共に武器を構える。
女の子は見た目は幼い。10歳に届くか届かないかと思われる背格好。ブロンドの髪に赤いカチューシャを付け、青いワンピースのような服を着ている。
顔立ちも幼くも可愛らしく整っている。これだけなら普通の女の子に見える。だが、その少女の肌の色は白かった。病気と思えるくらいなまでに……
それに感じる雰囲気は明らかに普通じゃない。
「私はね、ずっと1人でここにいるの。お姉ちゃん達、アリスのお友達になってくれる?」
 何が楽しいのか、笑みを浮かべながらアリスと名乗った少女は答えた。
その笑みから何かを感じ取ったのか、美希と直貴、克也の顔が歪んでた。かくいう俺も……すっげぇ、嫌な予感が消えないんですけど。
「そう……この人達みたいに仲良くなって欲しいの」
 アリスがそんなこと言うと、数人の男女がまるで空間からしみ出すように現われた。あ、警官もいる。
で、そいつらが普通ではないのが見てわかる。だって、明らかに動きがおかしいもん。なんかに吊られてるように見えるし。
それに何人かは皮膚がただれてるっぽいし、おかしな傷がいくつも付いていたし。ええと……なんか、ゾンビっぽくね?
「ちなみに友達って……その人達みたいに?」
「そうだよ」
「断固として絶対に断る!」
 満面の笑顔で答えるアリスに即行で返す。ていうか、絶対にアレは友達にすることじゃねぇよ!?
「そう……友達にならないんだ……なら、死んじゃえ!」
「のわぁ!?」
「きゃあ!?」
「うおぉ!?」
「おわぁ!?」
「うわわぁ!?」
 と、表情を一変させて怒りの顔で攻撃してくる。飛んでくる光の弾を俺や理華ももちろん、美希達も避ける避ける。
「きゃあ!?」
「ぐおぉ!?」
 だが、オニとアプサラスがまともに喰らったようで、吹っ飛んでいる。ていうか、アプサラスはまだしもオニ吹っ飛ばすってマジか!?
「ちょっと待てぇ!? お前、絶対に勘違いしてるぞ! 友達殺しちゃダメだろうが!?」
「え? 友達って、こうやって作るんでしょ?」
「絶対に違うわぁ!?」
 思わず叫んじゃったけど、きょとんとするアリスから返ってきた言葉に大絶叫。なに、その理屈!?
どこをどうしたら殺して友達になれるのさ!?
「ふ〜ん、まぁいいや」
「いや、ちったぁ考えろよ!?」
 なんてこというアリスにまたもや大絶叫。何あの子!? どういう思考回路してんのさ!?
「もぉ〜。さっさと死んで、私の友達になってよ〜」
「だから、殺すなと言ってって、攻撃するなぁ!?」
 頬を膨らませるアリス。それだけ見たら可愛いもんだが、魔法で雷出しながらはやめろ!?
避けるけど、当たったらシャレにならねぇぞ!
「なんで死んでくれないの?」
「死にたくないわ!? お前だって死ぬのは嫌だろうが!?」
「そうなの?」
 アリスの返事に何かがぶち切れたような気がした。ああ、そうかい。そういうことを言うのか……だったらな……
「ぜってぇに殴る!」
「あ、翔太!?」
 理華の声が聞こえた気がしたが、構わず駆ける。オマケに銃を乱射しながら。
「あははは。なに、お兄ちゃんが遊んでくれるの?」
「ぐぅ!?」
 撃たれているはずのアリスだが、その表情は喜んでいるように見える。ていうか、銃が効いてないんかい!
しかも、アリスが放った魔法が俺の首の辺りをかすめて傷を作る。だけど、そんなのに構わずに駆け寄り――
「あ――」
 アリスのそばに来た時に刃物を振り落とした。で、その刃物はこっちに向けていたアリスの手のひらを切り裂く。
その瞬間、アリスの表情が変わる。呆然とした顔が――
「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「のわ!?」
 いきなり泣き叫んだものに変わったと同時に衝撃波みたいなのを飛ばしてきやがった。
それにものの見事に吹き飛ばされて――
「おぐ!?」
「「「翔太!?」」」
「翔太様!?」
 壁に激突した。その時に理華と美希にミュウ、ルカの声が聞こえた気がしたが……
「おい、大丈夫か?」
「あ〜……なんとか……」
 オニにそう答えておく。実際、痛いだけだし。それに一旦膝を付いたが、立てないわけじゃない。
問題なのは――
「いや、いや、いやあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 アリスの方だ。なんか錯乱してるのか、膝を付きうつむきながら頭を抱えて悲鳴を上げてる。
「どうしたのよ、あれ!?」
「俺が知るか! ていうか、俺が知りたいわ!」
「そんなことより、これをどうするのだ!?」
 理華が叫んでるが俺だってわからんわ。だが、美希の言うとおりで結構ヤバイ状況なんだよ。
つ〜のもね。家具とか人形とかゾンビとかが浮かび上がってるの。あ〜、これって飛んできそうな雰囲気だよね?
「いや!? いやぁ!? いやなの!? 痛いのはいやなの!?」
「もしかして、トラウマを刺激したとか?」
 アリスの様子に克也がぼやくが……あり得そうで頭が痛い。たく、しょうがねぇか……
「おい!」
「ひ!?」
 両肩をつかんだらアリスがびくっとしてこちらを見てくる。その顔は恐怖で歪んでいた。
たくもぉ……俺のせいだろうが、全面的には悪くないよな? たぶん……
「痛いのが嫌ならこんなことしてんじゃねぇ! 大体な、こんなことされて喜ぶ奴なんて普通いねぇよ!」
「あ、ああ……」
「しっかり人の話を聞きやがれ! いいか? お前、自分があんな風になって嬉しいと思うのか?」
 怯えるアリスだが、俺は構わずある方へと指を向ける。アリスがそこへと顔を向けると、そこにはゾンビになった人がいた。
かなり恐い目にあったのか、その顔は恐怖のままで固まっていた。そして、そんなことしたのはこいつだろう。
「お前、あの人に何をした? それを自分が受けたらどう思う? ハッキリと言っておく!
あんなことするのは友達になれるからなんて理由は、俺は絶対に認めねぇ!」
 再びアリスの顔を俺へと向けさせ、そう言い放つ。というか、友達云々の前にあんなことされたくないわ!
「え? あ……ああ……」
 だが、アリスはといえば震えているだけ……ん? なんか、様子が……
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
 え? 謝ってる? でも、様子がおかしいんだけど……え? どうすりゃいいの?
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ごめん……なさい……ありがとう」
「はい?」
 謝ったかと思ったら、アリスがいきなり笑顔を向け……たと思ったら、緑色の光になってGUMPに吸い込まれていった。
慌ててGUMPを開くが……何も起きてない? どういうことだ?
 と、アリスがいなくなったせいだろうか? 浮いていた家具や人形、ゾンビがぼとぼとと落ちていた。
「終わったの?」
「たぶん……な……」
 理華に答えつつため息を吐きながら、俺はGUMPや武器をホルダーにしまう。
たぶん、終わったんだと思う。屋敷を包んでいた異界のような雰囲気もいつの間にか消えてたし。
「本当に……終わったの……か?」
「さてね。ともかく、すぐに逃げた方が良くないか?」
「なぜだ?」
 直貴に答えてやるが、腰が抜けてるのかへたり込んでる。んで、美希がんなことを聞いてくるが――
「警察来たらやばくないか? ていうか、来そうだぞ?」
 俺のひと言にみんなが固まる。さて、ここで問題です。この部屋には動かないですがゾンビがいます。
そんな部屋に俺達がいて、それを見た人はどう思うでしょうか? うん、怪しまれるよね。
それに俺と理華は完全に銃刀法違反だし。ていうか、外が少し騒がしい。警官が来たかな?
そんなこともあってか異論も無いようなので、俺達はさっさと屋敷から逃げ出すのだった。
 ちなみに無事に逃げ出したぞ? 捕まったら嫌だから、俺達だって必死だって。


 out side

「やれやれ、なんとかなったみたいですね」
 逃げ出す翔太達の後ろ姿を、シンジは離れた場所から見ていた。
「ま、アリスさんのことは予想外でしたが……何かの手助けになると良いのですがね」
 ふと、シンジはそのようなことを漏らす。アリスがGUMPに吸い込まれたのはシンジの仕業である。
彼としては翔太の手助けになればと、アリスの力をGUMPに宿らせたのだ。
 だが、手助けになってくれるかは賭けだった。というのも、アリスのことはシンジにとっては完全な予想外である。
このままでは翔太が危ないかと思われたが、何がどうなったかはシンジもわからないもののアリスは解放された。
それを利用してアリスの力をGUMPに宿らせたのだが……
「果たして、どうなることやら……見守った方が良さそうですね」
 アリスの力は未知数であり、危険が無いとは言い切れない。
果たしてどうなることやら……シンジは自分がしたとはいえそんな一抹な不安を感じつつ、どこかへと消えていくのだった。


 in side

「そんなことが……」
 で、次の日。お昼休みに学校の屋上に集まって、俺と理華に起きたことやボルテクス界や繋がった世界に起きようとしていること。
それで俺達がボルテクス界に行ってることやしていることを美希達に話した。
「しっかし、ゲームのような話があるとはなぁ……」
「こっちはゲームのようにはいかないがな」
 克也の漏らした言葉にため息を吐く。だってさぁ、マジで命懸けなんだもん。
いや、死ねるよ? 下手したらマジでさ。
「にしても……なぜに話してくれなかったのだ?」
「いや、普通信じないだろ? こんな話」
「だよなぁ〜。厨房とか思われてもおかしくないしな」
 睨んでくる美希だが、直貴の言うとおりだろう。美希達もあの洋館のことがなけりゃ、まず信じなかっただろうし。
かといってボルテクス界に連れて行くのはダメだ。危険地帯に知り合い連れていくほど馬鹿じゃ無いぞ、俺は。
だったら、洋館になんで連れていったんだと聞かれたら……うん、ごめん。俺が悪かった。
 そういや、洋館で思い出したけど――
「あのアリスって子……結局なんだったんだろうな?」
 そう、洋館から逃げ出した後、改めてGUMPを見てみたんだが……アリスの痕跡みたいなのは残っていなかった。
もしかして、生体マグネタイトになって吸収されたとか? あの時、ドタバタしすぎてMAGの量確かめて無かったからな。
だから、そうなったのかどうかも確認出来ないか――
「それなのだが……あの後、少し調べてみたのだが、あの洋館の持ち主だった夫婦には一人娘がいたらしい。だが――」
「何かあったの?」
「うむ……その娘は幼くして死んでおるのだが、その死に不審な物があったらしくてな。夫婦が取り調べを受けている。
それが元なのかはわからんが夫が経営していた会社が倒産し、夫婦はあの洋館を手放したようなのだ」
 首を傾げる克也に話し始めた美希が困ったような顔をして答えた。
不審な物ね……何かがあったんだろうが……
「何があったのさ?」
「流石に一晩ではそこまではわからぬよ。詳しく調べれば、何かわかるかもしれんがな」
 直貴の問いに美希は肩をすくめた。ま、昨日の今日だしな。でも、アリスのあの様子を見ると、ただ事じゃないのは間違いなさそうだが……
ちなみに洋館の方はあれから凄い騒ぎになった。なにしろ、行方不明になっていた人達や警官が見つかったんだからな。
しかも、全員ゾンビで……だから、ニュースが騒がしいこと。
それと洋館の内部が破壊されてるとかあったけど……俺達がやったってバレないよね?
「それで今日はボルテクス界に行くの?」
「行かなきゃダメだろ? やっぱり……」
「しかし、翔太は大怪我を――」
 理華に答えると、美希が心配そうに顔を向けてくる。まぁ、確かに怪我はしたけどね。
でも、怪我の方は理華やミュウの治療魔法ですでに治ってるし、疲れもぐっすりと寝たおかげで無いしな。
「流石は魔法だなと思ってるよ。怪我も疲れも無いしな」
「ていうか、なんで理華が魔法を使えるんだよ?」
「さ、さぁ……」
 肩をすくめる俺だが、克也がそんな疑問を聞いてくる。理華は困ったように首を傾げるが……
うん、理華に起きたことは話さない方がいいだろう。


 で、放課後。俺達はボルテクス界に通じる穴に来ている。当然というか、美希達も来たけど。
「これがボルテクス界とやらに通じる穴という物か……」
「言っとくが来るなよ? あっちにも悪魔がいるんだからな。ていうか、洋館と同じ目に会いたくはないだろ?」
 興味深そうに見ている美希や克也達にそのことを言っておく。というか、こいつらは本気で付いてくるとか言いかねないしな。
「わかってるよ。俺達だって、そこまで馬鹿じゃねぇって」
「ま、ちょっと残念でもあるけどね」
 肩をすくめる克也だが、直貴は物欲しそうに穴を見つめてる。来ないよな? 直貴は来そうで怖いんだけど……
「しかし、行き来をしてては大変ではないのか?」
「あ〜……良くわかんないんだけど、時間がズレてるらしくてさ。ボルテクス界で1日すごしても、こっちじゃ数十分ぐらいしか経ってないんでね」
 美希の疑問にそう答えておく。そう、俺達が自分の世界からボルテクス界に通えるのはそれが理由なんだが……
改めて考えるとなんでそんなことが起きるかな? まぁ、深く考えてもわからなそうだけど。
「へぇ、そうなのか」
「ああ。そんじゃ、そろそろ行くわ」
「うむ、気を付けてな」
「ああ、死にたくも無いしな」
 克也に答えてから美希の言葉に苦笑しつつ、手を振りながら理華と共に穴に触れるのだった。


 out side

「おお……」
 穴に触れて消えていく翔太と理華を見て、美希はもちろんのこと克也と直貴も少しばかり驚いていた。
「さてと、行っちまったし……俺達はどうする?」
「あ、俺ア○メイト行きたいんだけど」
「私はやることが出来たのでな。帰らせてもらう」
 顔を向けて聞いてくる克也に直貴は右手を挙げて答え、美希もそう言うと振り返って行ってしまう。
「そっか、じゃあな。行こうぜ」
「おお!」
 克也も大して気にもせずに言葉を掛け、直貴と共にどこかへと行ってしまうのだった。
「ああ、やらねばならんよ。翔太と理華にだけに苦労させるわけにはいかんからな」
 歩きながらそんなことを漏らす美希。この時、美希が考えたことが後々翔太達に関わってくるのだが……
当然ながら、そんなことは翔太が気付くわけも無かった。


 in side

「はい、出来てるわよ。それと銃のメンテはちゃんとしなさいよ」
「すいません……」
 今日は銃の合成が終わっているはずなので業魔殿を訪れ、ラリーさんの所に行って銃を受け取ったのである。
で、合成された銃なんだけど、見た目はあんまり変わってない。でも、持つと今までの銃とは何かが違う……というのは普通わかんないって。
「あ、この銃の合成もお願いしていいですか?」
「はいはい……って、この銃もじゃない。まったく……メンテのやり方、教えてあげましょうか?」
 と、そのことを思いついて代わりとして持っていた銃を出すんだけど、それを見たラリーさんに呆れられてしまった。
いや、だからさ。一般の人は銃のメンテなんて普通わからないと思うぞ?
え? あんたらは一般の人と違う? あ〜……言わないでくれ。最近、それで悩むことがあるんだからさ。


 で、銃の試し打ちをしながら探索をしたのだが、なんというか感心しっぱなしだ。
合成された刃物だけでも凄かったのに、合成された銃も加わると悪魔が倒しやすくなった。
おかげで少し奥地まで進めるようになり――
「見つけちゃったね」
「ああ……」
 探索3日目にして、新たな穴を発見したのでした。やれやれ、なんか実際よりも時間が掛かったような気がするな。
「行くの?」
「その為に探してたしな。魔石とかのストックもあるし、とりあえず行ってみようぜ?」
「うん」
「わかりましたわ」
「腕が鳴るぜ!」
「楽しみだね〜」
「お供いたしますわ」
 理華にそう言うと、ミュウ達がそんなことを言い出す。ちなみに上からミュウ、ルカ、オニ、モー・ショボー、アプサラスだ。
理華も同じだったようでうなずくのを見て、俺達は穴に触れるのだった。


 out side

「ふふふ……」
「うう〜……」
 腰の辺りまで伸びるブロンドの髪を持つ可愛らしい女の子が不敵な笑みを浮かべていた。
それを赤毛で小さな眼鏡を掛ける、こちらも可愛らしい男の子が悔しそうな顔で見ていた。
女の子の横には背中まで伸びるエメラルドグリーンの髪に両耳にアンテナのような物を付けた少女が様子を静かに見ており、
男の子の横には腰の辺りまで伸ばした茶色がかった髪をツインテールにし、目がオッドアイなっている少女が女の子を睨んでいた。
 この者達に何があったのか? それは後で語ることになるだろう。なぜなら、この者達は本来とは違う物語を歩むことになるのだから。
というのも――
「あ〜、やっと出れた〜……」
「あれ? もしかして町じゃない? ミュウ達を引っ込めておいた方が良くない?」
「え〜? COMPの中は狭くて嫌なのに〜」
 なんてことを言い合う翔太、理華、ミュウや仲魔達が現われたからである。
「む……」
「はい?」
 女の子が翔太に顔を向けると男の子や少女達も顔を向ける。だが、女の子の方は敵意を含んでいるようにも見える。
それに対し、翔太は呆然としていた。
「貴様ら……何者だ?」
「え? え? ええぇ!?」
 女の子が問い掛けるが、翔太はその女の子を見て驚いていた。というか、男の子や少女達も見てなのだが。
「なんだ? 何を驚いている?」
「エヴァン……ジェリン?」
 そんな翔太の様子に女の子は首を傾げるが、翔太の漏らしたひと言に瞳が鋭くなる。
エヴァンジェリン……それは女の子の名前であった。そして、エヴァンジェリンが思ったこと。それは翔太が敵であるということだった。
だが、それは勘違いである。翔太がなぜエヴァンジェリンを知っているのか? もう少し言えば、男の子や少女達が誰なのかも知っている。
なぜなら、翔太が好きなマンガに登場するキャラクター達なのだから――


ここは『麻帆良』――
一般人には秘匿されているが、魔法使い達によって造られた魔法都市である。



 あとがき
というわけで、翔太達の世界に起きた異変はこれにて決着。
しかし、アリスはどうなったのか? 美希は何をしようとしているのか?
この辺り、物語に関わってきますのでお楽しみに〜。

さて、次回からは麻帆良編です。今回は少しばかり長いお話となります。
エヴァ達と出会った翔太達。しかし、この世界にも異界は存在して――
というわけで次回をお楽しみに〜。
あ、まだ先になりますが、ちゃんと東方系も出ますのでご安心を(何をだ?)



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


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