out side

 さて、一方の士郎達はと言えば――
「はぁ!」
「ぐおぉぉ!?」
「ふん!」
「がはぁ!?」
 セイバーとアーチャーが式神や悪魔を斬り倒し――
「させません!」
「ぐほぉ!?」
 ライダーが駆け巡り、時には蹴り飛ばし――
「やっちゃえ、バーサーカー!」
「■■■■■■■■■■■■■〜!!!???」
「ぼふぅ!?」「ぎゃは!?」「ぎゃび!?」「ぐげ!?」
「こ、こっちもとんでもないで……」
「あのデカイの一振りで3人も4人も喰ってるわ!? なんなんや、あいつら……」
 イリヤの掛け声に応えるかのように吼えたバーサーカーが式神や悪魔を数匹かき消すかのように斧剣で斬り潰していく。
まぁ、こちらもある意味当然の結果と言えた。サーヴァントは過去の英雄であり、者によっては一騎当千の力を持つ英雄もいた。
今ここにいるサーヴァント達はまさにそれだけの力を持つ者ばかりである。
式神や悪魔の中にはかなりの強さを持つ者もいるものの、それでもサーヴァントに比べれば見劣りしてしまう。
「くっ……くそ!」
「ぐおぉぉぉ、ぐぎゃ!?」
「何やってるのよ! ああいうのはセイバー達に任せておきなさい!」
「だけど――」
 だが、士郎の方はそうはいかない。倒していないわけではないが、それでもかなりの苦戦を強いられている。
今も凜のガントが無ければ悪魔の爪に切り裂かれていたかもしれない。それでも士郎は戦うことを止められなかった。
というのも――
「ああんもぉ〜……こっちに来ないでよ!?」
「く、こいつら……こっちに狙いを定めてきたか……」
 アサルトライフルを撃ちながらも思わず泣き言が漏れる香奈子の横で、君嶋も悔しそうにしながらもアサルトライフルを撃ち続ける。
翔太達やセイバー達の強さに式神や悪魔達はそれほど強くない方に狙いを定めてきたのだ。
確かにアサルトライフルは強力な銃器ではあるが、性質上誤射の可能性も高い。
翔太達がいる中では撃ちまくるというわけにはいかず、慎重を期して狙いを付けて撃っているのだが……
必然的に倒せる数が少なくなってしまうため、式神や悪魔達に狙われだしたのである。
「ぎゃあ!?」
「ふんばれ! もう少しすれば……翔太達が手伝ってくれる!」
 美希も日本刀を振るいながら声を掛けるが、彼女も状況的には芳しくはない。
君嶋と香奈子の援護の為に動き回るが、スタミナが続かない。今も苦しそうに肩で息をしている。
そんな彼女達を見て、士郎は手助けしようとしてるのだが……今の士郎は明らかに実力不足であった。
「く! こうも数が多くては……」
「イリヤには……近付けさせない!」
「うっとしい!」
 カラステングとネコマタと共に式神や悪魔と戦うバゼットだが、数の多さに押され気味になっている。
横で戦っているリーズリット……どこに持ってたのか非常に気になるハルバードを振るいながら……
と、式がいなければ式神や悪魔達に呑み込まれていたかもしれない。
つまり余裕が無かった。そのため、美希達の援護まで手が回らなかったのである。
かといってセイバー達を美希達の援護に回そうとすれば、式神や悪魔達が一気になだれ込んでくる可能性もある。
セイバー達がああして戦っているからこそ、こちらにくる数は少なくなっているのだ。
「だ、大丈夫かな?」
「なんか……やばそう……だよね?」
 怯えている三枝と朝倉。式神や悪魔が自分達に迫ってきているように見えたからだ。
それはこの場にいる戦えない者達も似たような心境であり、のどかにいたっては完全に青くなっている。
「私が戦えていれば……」
 一方で詠春は悔やんでいた。フェイトの襲撃を受けた際に手痛い一撃をもらってしまったのである。
長い間、戦いから離れていたこともあったのだろう。ダメージが抜けきっておらず、まともに戦える状態ではなかった。
これでは逆に足手まといになると感じ、この場にいるのだが――
(俺が……もっと戦えていたら……)
 一方で自分のふがいなさに士郎は思わず悔やんでいたが、それでもなんとかしようと考える。
そんな時だった。
「あいつ、ほんまに人間か!?」
「やっかましい! 有象無象と集まって来やがって! てめぇらみてぇな幻想はまとめてぶっ殺すぞ、オラァ!?」
 戸惑っている式神に翔太はそんなことを吼えていたが……
言ってることが某不幸体質の主人公のパクリな上に言動が完全にヤクザである。
「幻想を……殺す?」
 だが、士郎はこの言葉にどこか感じるものがあった。
そして、思い出されるのはケルベロスの住処に向かう時に見た翔太の戦う姿。その時――


「俺も翔太さんみたいに戦えたらなぁ……」
「やめておけ。お前も翔太のように体を壊す気か?」
 士郎の漏らしたひと言にスカアハは呆れた顔をしていた。
「いや、そんなつもりは……でも、あんな風に動けたらと思うと――」
 両手を振りつつ、士郎は少し羨ましそうな顔を翔太に向けながら答えていた。
自分は翔太のような速さで動くことは出来ない。だから、羨ましいと思ってしまう。
あれだけの強さなら、守りたいものを守れると思ったから――
「ふむ……勘違いしてるようなので言っておくがな。翔太のあの速さは実を言えばオマケ的なものでしかない」
「へ?」
 スカアハの言葉に士郎は驚いたような顔を向ける。理解出来なかった。
あの速さがオマケでしかないとはどういうことなのかが……
「確かに翔太としては相手よりも速く動いて攻撃したり避けたりしようとしてるのだろう。
だが、いくら速かろうとも攻撃は当てなくては意味は無いし、相手より速く動いたからといって攻撃を避けれるわけではない」
 スカアハの話に士郎は首を傾げた。話していることはわかる。
攻撃が当らなければ相手を倒すことなんて出来ないし、避けようとしても当ったら避けた意味が無い。
それはわかるのだが……だから、どういうことなのかが士郎にはわかってはいなかった。
「では、どうしたらいいと思う?」
「あ、え……っと……相手の動きを見る……とかですか?」
 いきなりスカアハに聞かれて士郎は戸惑いつつも当てずっぽうに答えてみた。
言った後で士郎は怒られるかな? と思っていたが、スカアハは笑みを見せ――
「まぁ、あながち間違いではないな」
「へ?」
 と、スカアハから返ってきた言葉に士郎は再び驚きを露わにしていた。
わからなくて適当に答えたのに、まさか当るとは思わなかったのだ。
「相手の動きを見なければ攻撃も避けることもままならんのは当然だろう?」
「え……ええ……」
「翔太も同じだ。まず、相手の動きを見てから動いている」
 言われて思わずうなずいてしまう士郎だが、スカアハの話は確かにそうだと思った。
相手の動きを見なければ何をしてくるかわからない。ある意味当然のことに士郎は納得していた。
「もっとも、ただ見ているわけではない。
翔太の場合は戦い続けることによって、相手のわずかな動きから何をしてくるのかわかるようになったのだ。
本人はその辺りの自覚が全く無いが……まぁ、これは経験がものをいうからな。いきなり出来るものではない」
 少し呆れた様子でスカアハは話していた。
彼女の言うとおり、翔太は戦い続けることでそういうことが出来るようになっている。
ただ、本人はその自覚がほとんどない。あ、攻撃するな。じゃあ、避けよう。といった具合にしか見ていないのである。
「ただし、これだけを出来ればいいというわけではない。これだと視界の外からの攻撃は対処出来ないからな」
「じゃあ、どうしたら――」
「気配や相手の動きを感じ取る……といった所だな。感じ方は様々ではあるが……翔太も不完全ながらもそれが出来ている」
 話を聞いて士郎は困ったような顔をするが、話していたスカアハはそう答える。
確かに相手が見えなければ攻撃も避けることが出来なくはないがかなり難しくなる。
それを避けるために気配を感じ取り、どこに誰がいるのかを把握ことも大事であるとスカアハは話しているのだ。
ただし、翔太はそこに誰かがいる程度にしかまだわからないため、どうしても対処が遅れてしまうことがある。
それが元で何度も重傷を負ったりしてるのだが……
「まぁ、お前は翔太を見習った方がいいかもしれんな。ただし、全てを見習おうとするなよ?」
 などと苦笑混じりにスカアハは話すのだが――


 ふと、士郎は目を見開く。そして、思う。自分も翔太のようなことが出来ればと。
いや、出来るかどうかじゃない。するんだ。しなきゃダメなんだ。
そう言い聞かせ、持っていた剣に視線を向ける。翔太が昔使っていたという剣。確かに式神や悪魔にも十分に通じている。
でも、1本じゃ足りない気がする。翔太さんも銃を使ってるし、アーチャーも双剣で戦っている。
もう1本あれば……なら、創ればいいじゃないか。俺は……それが出来る!
「同調、開始(トレースオン)!」
 その考えに至ると士郎は魔術回路を起動させる。もう1本の剣……アーチャーのは……ダメだ!
あの剣は宝具のようだ。ランクとしてはそれほど高い物ではないが、それでも今の自分に創れるかは微妙だ。
翔太達と出会う前の士郎なら、そのようなリスクがあったとしてもアーチャーが持つ剣を投影しようとしただろう。
だが、士郎はメディアからの魔術を教えてもらった際の経験から、そんなことをすればかなり消耗してしまうことを知っている。
そんなことで戦えるほど甘いものでも無いことも、スカアハに直々に教えてもらった。
その時に痛い目にあわされているが……だから、他に無いかと辺りを見回す。
セイバーの剣を投影する……却下。
なんらかの魔術で風を高密度に纏い、それによって起きる光の屈折で刀身を見えなくしているようだが――
それでも解析は一応出来たが……それによってわかったことは、途方もなく凄い剣だということであった。
とてもじゃないが、今の自分には投影出来ないだろう。後は――
「投影、開始(トレースオン)!」
 ある物に目が止まり、士郎は投影を始める。創る物は翔太が今使っている剣。
流石にアーチャーの双剣と比べれば劣りはするが、今この場での戦いを考えれば十分すぎる武器である。
「ぐ、う、ぐ……」
 かといって簡単に創れるというわけではない。実際、士郎には負担が頭痛となって襲ってくる。
そのために士郎は苦しそうな表情を浮かべるが、そのすぐ後に彼の右手には翔太が使っている剣と同じ物が握られていた。
「士郎!」
 と、横から士郎に襲いかかる式神に気付いた凜が叫びながら人差し指を向ける。
士郎は気付いた様子が無い。このままでは……と、凜は思ったのだが――
「ぐぎゃあぁぁぁ!?」
「へ?」
 その式神が士郎によって切り裂かれる光景を見て呆然とするはめとなった。
凜としてはあの状況で士郎が動いても間に合わないと思っていたのだ。だが、異なる結果に戸惑ったのである
もっとも、士郎としては今のは偶然が重なったにすぎない。
魔術を行使するために集中していたら気配を偶然感じられた。危ないと感じて自然と体が動いた。
そう、翔太の剣を投影したから強くなったわけでも何かに覚醒したわけでもない。
ただ、本当に偶然が重なっただけなのだ。なのだが、士郎としては何か感じるものがあった。
「お前達が美綴や氷室……三枝に蒔寺や戦えない人達を狙うというのなら……俺は……俺はお前達のような幻想を……打ち砕く!」
 式神や悪魔達を睨みながら、士郎はそんなことを言い放つ。
今はただ、美綴達を守りたかった。そんな彼女達を狙う式神や悪魔達が許せなかった。言葉は自然と出てきた。
ボルテクス界にいた時に翔太に勧められてマンガやラノベを読んだことがあったのだが、士郎にとってはそれは衝撃的であった。
自分が目指そうとしていた物が様々な形で描かれていたことに、普段はマンガなどを読まない士郎には驚きだったのである。
先程のセリフもその影響が出たのかもしれない。ともかく、これが衛宮 士郎にとって色んな意味での始まりとなるのだが……
当然の如く、本人はこの時は知る由も無かった。
「衛宮……」
「衛宮君……」
「あいつ……」
 で、そんな士郎をじっと見つめる美綴に三枝に蒔寺。氷室も声には出さないものの、やはりじっと見ている。
そして、なぜか全員顔を赤らめていた。逆に凜、桜、セイバー、ライダーは嫌な予感を感じていたが……


「く、くくく……はははは……まったく、面白い奴だな」
 と、今までの光景を見たエヴァは思わず笑みが浮かんでしまう。翔太のことは興味があった。
刹那や真名から話を聞いていたのもあったが、あの八雲 紫と知り合いというのが興味を深めていたのだ。
ただし、紫と知り合いというのを翔太が聞いたら、本人否定するだろうが……
そして、実際に見たエヴァは更に興味を深めた。気も魔力も使わずにああまで戦い――
「それがいつまで続くかな?」
「マスター?」
 故にその危うさにもエヴァは気付いていた。すなわち、翔太の体に掛かる負担のことを……
それがどうなっていくのか、エヴァとしては興味が湧いたのである。そんなエヴァの様子に茶々丸は首を傾げていたが。
「ぐお!?」
 そんな時であった。エヴァの横で1発の銃声が鳴り響く。誰もが振り向いてみると、そこにはライフルを構える真名の姿があった。
そして、それと同時に翔太の横にいた悪魔が脳天を撃ち抜かれて倒れていた。
「やぁ、翔太さん。お久しぶりと言いたいけど……手伝いは必要かな?」
「いや、いたんなら手伝って欲しいんだけど!?」
 にこやかな笑みを浮かべる真名だが、翔太はといえば思わず叫んでいた。
まぁ、翔太としては今の状況はかなりキツイと感じていたのだ。
「やれやれ、相変わらずだね。ま、そのために来たんだ。一仕事ぐらいはしないとね。
そういうわけで、楓、古。ちゃっちゃと片付けてしまおうか」
「あいあい」
「ふふ、腕がなるアル」
 それに真名は嫌な顔どころか笑みを浮かべていた。翔太がいつも通りであることに安心したのだ。
それに対し、声を掛けられた楓はにこやかに答え、古菲はやる気を見せるかのように右腕を振り回している。
 ちなみにだが、楓という名前が出た為に蒔寺が思わず顔を向けてたりする。
「ほぉ〜……坊やとは正反対だな。まぁ、見ているだけでは暇だった所だ。茶々丸、行くぞ」
「はい、マスター」
 ネギであれば絶対に言わないであろうことを翔太があっさりと言ったことにエヴァは楽しそうに視線を向けた。
ネギは他人に頼ることを良しとしない。逆に翔太は頼りになるなら躊躇無く頼ってしまう。
これは心構えによる違いなのだが……どちらが正しいかは意見が分かれる所だろう。
そのことに興味を深めたエヴァだが、今は邪魔者を倒すかと考えて茶々丸と共に飛び込んでいった。
「え、あ……危ないよぉ〜」
 エヴァのことを知らない三枝がその光景を見て止めようとしたが――
「魔法の射手! 連弾! 氷の80矢!」
「なんじゃありゃあ!?」
「な、なによあの子……」
 直後に魔法を使ったエヴァを見て、蒔寺と美綴と同じように驚くはめとなったが……
なお、同じく見ていた凜は顔を引きつらせていたりする。


 まぁ、色々とあったが……式神や悪魔達が全て倒されるのは時間の問題となった。
それと共にもう1つの戦いが終わろうとしていた――



 あとがき
そんなわけで士郎君はきっかけをつかみました。それがどんなことになるのか……
そして、戦いが収束していく中、もう1つの戦いもまた終わろうとしています。
次回はクー・フーリンVS月詠。その結果は――
一方、翔太達は式神と悪魔達を全て倒しきりますが……急いで刹那達の元へ向かうことに。
刹那達に何が起きたのか? 次回はそんなお話です。お楽しみに〜



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