in side

 さて、あの休憩の後に2度ほど悪魔と妖精の襲撃を受けた俺達。
まぁ、それらはみんなのおかげで危なげなく倒すことが出来た。
その代わり、ネギと明日菜、高音とシャークティさんの様子がおかしくなっていくけど。
ネギと明日菜は焦ってる様子だが、そっちはスカアハとエヴァが言いなだめてる。
2人ともしつこすぎたせいか、一度スカアハに叩かれたりしてたが……
高音とシャークティさんは戦えないわけじゃない。ただ、相手が悪すぎて立ち回り切れてないのが現状だ。
なので、援護が主になってるが……本人達、それでは不満らしい。先程、スカアハに言われたことで思う所があるみたいだが。
 おかげで不安一杯である。大丈夫なんだろうか、マジで……そんなこんなでなんか広場みたいな所に出たら――
「なにこれ?」
 そこで起きてたことに思わず疑問の声が出る。何が起きてるかというと――
『ホホホ、それではオイラには勝てないほぉ〜』
「く、クソだホ〜……」
「なに、このカオス?」
 なんかでっかくて黒いフロストが高笑いをしていて……
そいつから少し離れた所になんかヒーローっぽい格好をしたフロストが膝を付いていて……
うん、見ていてもサッパリわからん。というか、コントかこれ? 思わず声に出ちゃったけど。
「あ、翔太!」
 と、理華が何かに気付いて指を差した。俺もそこへと顔を向けると――
「って、霊夢!?」
 俺が顔を向けた先、あの黒くてでっかいフロストの横に霊夢がいたのである。
なんか、見えない十字架に貼り付けにされた感じで宙に浮かんでたけど……
『む、お前は!?』
 なんて、叫んだのがまずかったんだろう。でっかくて黒いフロストがこっちに気付いた……
うん、ここで嫌な予感がするんだけど? まさか……だよな?
『待っていたホ! オイラを倒した人間!』
「やっぱりか……」
「知り合い……ですか?」
 だが、黒くてでっかいフロストのひと言に頭を抱える。さよが首を傾げながら聞いてきたけどな。
「あいつも言ってたが、前に倒したことがある悪魔だ」
「ですが、あいつは白かったはずでは?」
『ホホホ……そう、オイラはお前達に倒されたホ。だが、オイラの魂は死んでいなかったホ。だから、お前達を恨んだホ。
その恨みがあの方に届いてオイラを復活させ、更にはキングジャアクフロストとしてパワーアップしてくれたんだホ!』
 とりあえず呆れながら答えると刹那がそんな疑問を投げかける。
代わりに黒くてでっかいフロストことキングジャアクフロストが話してくれたが……
あの方って誰だ? なんか、嫌な予感しかしないんだけど。それはそれとして――
「なに、そのお約束……」
 思わずそんなひと言が出ちゃったけど……ただ、真名も同意してくれたようでうなずいてる。
いや、死んだけど生き返ってパワーアップって……漫画とかじゃお約束じゃん?
ていうか、ツッコミ所が満載すぎて、どこを突っ込んだらいいのかわからんのだが……
後、こいつを生き返らせた奴に思いっきり文句を言いたい。面倒ごと増やすなって。
「に、逃げるんだホ! こいつは人間では勝てないホ!」
 で、ヒーローっぽいフロストがそんなことを叫ぶんだが……
ごめん、なんていうか……勝てそうなんだけど。いや、たぶんだがキングジャアクフロストは強いんだろうよ?
でもさ、このメンバーだとあっさり勝てそうな気がするんだけど?
『逃さないホ! 来い! ライダー達!!』
 しかし、キングジャアクフロストはこっちを睨んだかと思うと杖を掲げて叫んだ。
すると杖の先端が輝き……しばらくしてその輝きが消えると、キングジャアクフロストの周りに4人の……悪魔か、あれ?
4人とも全員同じ格好で、なんか死神みたいな姿をしている。
あ、良く見たら1人だけ違う。なんか、王冠みたいなのをかぶってるや。
それと持ってるのもそれぞれ違うな。鎌に剣、弓に……なぜに天秤?
後、色違いの馬に乗ってる。赤と黒に白と……青っぽい白か? そんな色の馬にそれぞれ乗ってる。
で、全員空を飛んでると……ん? もしかして、大妖精が言ってた変な奴らってあいつらか?
でも、大妖精は3人って言ってたような――
『ふふ、いくらオイラがパワーアップしたといっても、このまま戦えば不利になるのはわかってたホ!
それであの方はこいつらをオイラの仲魔にしてくれたんだホ! 更には念を押して、全員を喚び出したんだホ!」
 あ、こいつ変な知恵付けやがったな? にしても、全員ね……霊夢を攫った時は全員じゃなかったってことかな?
後、そのあの方って奴は見つけたら絶対にぶん殴る。余計な手間増やしやがって。
それはそれとして、あいつらただもんじゃないな。なんか、変な雰囲気感じるし。
『ホワイトライダー! ブラックライダー! レッドライダー! ペイルライダー! そいつらを皆殺しにするホ!』
「わかっている」
「それがあの方の願いだからな」
「人間風情が……粋がったことを後悔させてやろう」
「ここが貴様らの墓場だ」
 キングジャアクフロストに言われてか、好き勝手言ってくれる……どれがどれなんだろうか?
たぶん、赤い馬に乗ってるのがレッドライダーで、黒い馬に乗ってるのがブラックライダーだと思う。
で、王冠被ってて白い馬に乗ってるのがホワイトライダーかな?
そんでもって、白に近い青い肌をした馬に乗ってるのがペイルライダー……なんだろうか?
さて、どうしたものかと思ってると――
『その前に邪魔者を消してしまうホ!』
「く……」
 キングジャアクフロストがヒーローっぽいフロストを踏みつぶそうとしていた。
て、やっべ! あのままじゃマズイじゃん! あのフロストも動けなさそうだし。
「理華、魔法――」
「うおおぉぉぉ!?」
 理華に頼もうと思ったら、士郎がいきなり走り出してました。なぜに!?
「くっ!」
「うお!?」
 で、士郎がヒーローっぽいフロストを抱えて地面を転がる。
その直後にフロストがいた場所にキングジャアクフロストの足が落ちてきた。
間一髪間に合ったのはいいが……それを見て今度は俺が駆け出した。
「大丈夫か?」
「あ、うん……助かった――」
「死ね」
 声を掛ける士郎に助けられたフロストが答えようとした時、ペイルライダーが鎌を振りかぶっていた。
士郎とフロストが気付いた時にはすでに遅く――
「「シロウ!?」」「士郎!?」「先輩!?」「お兄ちゃん!?」
「どわぁ!?」
 セイバーとライダー、凜に桜、イリヤが叫んだ瞬間、突き飛ばされたのは俺である。
いや、あの野郎が士郎に襲いかかるのを見てたんで、鎌を受け止めようと思ったんだが……
くっそ、痛みのせいで体に力が入らないから、受け止めきれずに突き飛ばされたわ。
「翔太さん!?」
「頼むから……そこで安心しないでくれる?」
 士郎が気付いて叫ぶが、俺はというと痛む体を我慢して立ち上がった。
やっばいな……今までの戦いで痛みがひでぇし……体を動かすのがやっとっぽいな。
この場は理華達と合流した方が良さそうだけど――
「我が一撃を受け止めるとは……」
「だが、それまでだ」
「我らから逃れられると思うな」
「まずは貴様から死んで逝け」
 うん、4人にしっかりと囲まれました。さて、どうしたものか……と考える。
余裕があるように見えるが……実際はどうしたらいいかわからないだけなんだけどね。
まぁ、理華達が攻撃しようとしてるので、その隙を見て――
「はい?」
 そこで気付いた。いやね、なんかでっかい光の塊がこっちに飛んできてって……ええ!?
「どわぁ!?」
「「「「翔太!?」」」」「「翔太さん!?」」「なに!?」
 いきなりすぎたのと体の痛みで光の塊の直撃を受ける俺。
なんか、理華と美希とミュウにクー・フーリン、それに真名と刹那の悲鳴が聞こえたような。
それにスカアハも驚いてたような……って、あれ? 痛くない? それどころか痛みが消えてる?
そんなことに首を傾げてると――
「な、なんだこれ?」
 光が消えると俺が着ている物が別な物に変わってることに気付いて驚いた。
いや、膝当てに胸当て、それに小手と肩当てが付いたジャケットは変わらないんだけど……
なんというか、デザインがアニメとか漫画とか……そういうのに出てそうな機械的な物に変わっていた。
更には両手には付けていなかったはずのドライバーグローブまであるし……本気でなんなんだよ、これ?
「いやぁ〜……なんとか間に合いましたね」
 なんて声が聞こえたんで振り向いてみると……理華達の横にシンジが立っていたし。
「いやいや、申し訳ありません。まさか、このような状況になるとは思ってませんでしたので。
しばらく休ませるつもりでしたので回復はしなかったのですが……今回は私の失態でしたね。
そのお詫びと言ってはなんですが、体の方は回復させておきましたよ」
「いや、それは助かるんだけど……これなに?」
「それはあなたのための鎧ですよ。あなたが全力で戦えるようにするための……
もっとも、それに手間取って今まで掛かっちゃいましたが、効果の程は保証いたしますよ」
 とりあえず聞いてみたら、話していたシンジはにこやかに答えてくれたんだが……
「なにしてる……お前?」
 いったい、どこから出したんだかわからん真っ白なテーブルと椅子……
しかも、テーブルにはテーブルクロスがかけられており、その上にはちょっと高そうなティーセットまで乗っかってる。
で、シンジはその椅子に座って……ティーカップに何かを注いでいる。色からしてコーヒーか?
うん、どう見たって優雅なティータイムにしか見えません。だから、俺が思わず聞いてしまったのも仕方ないよね?
「見学ですよ。正確にはお渡ししたアーマーがどれだけの性能を出せるかを見ておきたいのと……
もし、不具合が出てもいいようにすぐに対処出来るようにですね」
「だったら、それは必要無いんじゃないのか?」
「あ、レミリアさんにエヴァさんもどうですか? 紅茶もありますよ?」
「あら、そう。咲夜、淹れてくれるかしら?」
「かしこまりました」
「人の話を聞けぇ!? それとレミリアも混ざってんじゃねぇよ!?」
 説明するシンジにツッコミを入れるが……
誘われたレミリアはさっさと椅子に座ってやがるし、咲夜さんも慣れた手つきで紅茶を入れてるし。
うん、叫んだ俺は悪くないよね? 同じく誘われたエヴァも呆れてるし……
「あら、結構美味しいわね、これ」
「ほぉ? なら、私ももらおうか。茶々丸」
「はい、マスター」
「おめぇもか、エヴァ!?」
 と思ったら、レミリアのひと言に興味を持ったのかエヴァまで椅子に座りやがるし。
おめぇも茶々丸に淹れてもらってるんじゃねぇよ!? うん、叫んだ俺は絶対に悪くないよね?
「我らを無視とは余裕だな?」
 なんてこと考えてるとレッドライダーが剣を振り落とそうとしていた。
それに気付いて、体を向け――
「なに!?」
 レッドライダーの剣を自分の剣で受け止める。今度は突き飛ばされることはなく、それどころかあっさりと受け止められた。
そのせいか、レッドライダーは驚いてたが――
「こんな時に攻撃してくるんじゃねぇ!!」
「ぐはぁ!? ぐお!?」
 苛ついてたので思わず全力で殴ってしまう。で、顔を殴られたレッドライダーは乗っていた馬ごと吹き飛び、木に激突していた。
「よし、殴る。この怒りはお前らにぶつけてもいいよな? 返事は聞かんが」
 両手を鳴らしつつ、どっかのイマジンみたいなことを言ってみる。
え? シンジにエヴァやレミリアはいいのかって? エヴァはまだしもあいつらに勝てるわけ無いじゃん。
エヴァも後々面倒になりそうだし……うん、ある意味情けないよね、俺って。


 out side

「スカアハさん、最低限の援護で構いませんよ。まぁ、あの大きい方は萃香さんにお任せした方がいいでしょうが」
「どういうことだ?」
 シンジの言葉にスカアハは睨みながら問い掛ける。4人のライダー達の実力は侮れないはずだ。
シンジだってそれをわかっているはずなのに……そんな苛立ちをスカアハは感じていたのだが――
「なに、今の翔太さんなら十分に戦えますよ。全力で……いえ、力を十全に発揮出来るようになった翔太さんならね」
 それに対し、シンジはティーカップ片手ににこやかに答えていた。
十全に発揮出来るとはどういうことなのか? いまいち意味をつかみ切れていなかったスカアハだが――
「理華、クー・フーリン、ミュウ、翔太の援護をしてくれ。私達はここで援護をする」
「う、うん」
 スカアハの指示に理華は戸惑いながらもうなずき、ミュウとクー・フーリンと共に翔太の元へと急いだ。
一方、指示を出したスカアハはシンジを睨み――
「これでいいのだな?」
「ええ、私もただあのアーマーを造ったわけではありませんから」
「あの……翔太さんのアーマーからパルスらしき物が検知されるのですが――」
 にこやかに答えるシンジだが、そこに茶々丸がそんなことを聞いてくる。
それを聞いてか、シンジは笑顔を向け――
「やはり、茶々丸さんにはわかりますか。その通り、あのアーマーにはちょいと細工をしておりましてね」
「ほぉ……どんなのだ?」
「それは……ま、見てのお楽しみということで」
 話を聞いて興味を持ったエヴァが問い掛けるが、シンジはというとにこやかにそう答えるだけであった。
このことにスカアハと幻想郷組、エヴァに茶々丸以外の者達は困惑していたが――
『邪魔をされる前にお前を潰してやる――』
「ちょいと待った。私達を無視してもらっちゃ困るねぇ〜」
 その一方で翔太を踏みつぶそうとするキングジャアクフロストであったが、その前に1人の少女が立ちふさがる。
いや、少女というのはある意味語弊があるだろう。
なぜなら、瓢箪の中身の物を飲んでから吐き出す息が酒臭いのは近くにいればわかるし――
それ以前にその少女の頭には左右に二本の角が生えていた。彼女の名は伊吹 萃香。見た目こそ少女ではあるが、れっきとした鬼である。
その後ろには大きな赤い杯を持つ、額に赤い角が生えた星熊 勇儀が不敵な笑みを浮かべながら立っていた。
『どかないと踏み潰すホ!』
「ふ〜ん、踏み潰すねぇ……出来ると思ってるのかい?」
 踏み潰そうとする足を止めないキングジャアクフロストに対し、萃香は不敵な笑みを浮かべながら懐から1枚のカードを取り出し――
「鬼神『ミッシングパープルパワー』!!」
『ホォ〜!?』
 そのカードが輝いたかと思うと、萃香の体が巨大化する。
そのことに驚いたキングジャアクフロストは思わず尻餅をついてしまったが。
「なに……あれ……」
「萃香さんの能力を利用した巨大化です。確か、密と疎を操る程度の能力でしたっけ?」
「でりゃあぁぁぁ!!」
『ホォォォォォォ!!?』
「おお、デカイと流石に派手ですねぇ〜」
 戸惑う凜に説明するシンジだが、幻想郷組とスカアハ以外はほとんど凜と同じ心境だった。
まぁ、見た目女の子が大木以上の高さまで巨大化したとなれば、大抵は戸惑ったり驚いたりするのが普通であろう。
で、巨大化した萃香はといえば、キングジャアクフロストを殴り飛ばじ、シンジは楽しそうにその光景を見ているのであった。



 あとがき
復活したキングフロストことキングジャアクフロスト。そして、4人のライダー達。
この戦いの行方はどうなるのか……というところで次回へ続きます(おい)
それと拍手などに感想を頂き、いつもありがとうございます。
誤字脱字の指摘までして頂いて……いや、本当に申し訳無い。
4日間連載はやはりというかいつも一杯一杯です^^;

さて、次回はシンジに与えられたアーマーの機能が明らかとなります。
そして、その戦いは幻想郷の……というようなお話です。次回をお楽しみに〜



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