in side

「どうやら、相手も本格的に動き出したようです。今はまだ数は少ないですが、放っておくわけにもいきませんからね。
そこで士郎さん達には元の世界に戻ってもらい、その悪魔達の対処をお願いしようと思っております。
麻帆良の方も同じですが……こちらの方はちゃんとした対処出来るのは高畑さんと葛葉さんにエヴァさん……
それに刹那さんと真名さんに長瀬さんでしょう。
すでに学園長さんにはこのことは伝えておりますので、お願い出来ないでしょうか?」
「あ、あの、ボクは――」
「あ、私も――」
「ワタシはダメアルカ?」
「お前ら、幻想郷でのことを忘れたのか?」
 とんでもない事を言い出したシンジはそんなことをお願いしてたけど。
で、自分を指差すネギの言葉を聞いて明日菜と古菲も気になったのか、そんなことを聞いてくるが……
呆れた顔をするエヴァにばっさりと切られ、言われたネギと明日菜は落ち込んでた。
古菲はもっとクンフーを積まねばとか言ってたけど。あ、幻想郷での騒動では古菲も実は行ってたりする。
周りの連中があれなんで、楓と同じくあまり目立って無かったけど……そこで見た限りじゃ、古菲はなんとか戦える程度でしかなかった。
まぁ、あの時は気を使いこなせてなかったからな。それもあったんだろうけど。
「そうでしたか……ゴールデンウィークには翔太さんのお手伝いをと思っていたのですが――」
「無理でしょうね。ていうか、あなた護衛の仕事はどうするんですか?」
「あ……」
 落ち込む刹那だが、シンジに言われたことにあっという顔をする。
もしかして、完全に忘れてたとか……おいおい、それは色んな意味でマズくないですか、刹那さん?
ほら、このかが寂しそうな顔してるぞ。
「ご、ごめんなさいい、このちゃん……ほら、翔太さんに助けられたから、そのお礼をと思ってて――」
「あ、そ、そやね。あの時の翔太さん、かっこよかったもんなぁ〜」
 慌てる刹那にこのかは苦笑している。う〜ん、なんとかした方がいいような気がするんだが……いいんだろうか、あれ?
後で問題とかにならなきゃいいんだが……ん、待てよ?
「それじゃあ、俺達の世界にも悪魔が行ってるんじゃ――」
「それなのですが……結論から申し上げると、ありえないですね」
 麻帆良と士郎達の世界に悪魔が行ってるなら俺達の世界にもと思ったんだが、シンジはあっさりと否定する。
それはそれでいいんだけど……けど――
「なんでありえないのさ?」
「説明が難しいですね……申し訳ありません。今は話すことは出来ません。
ですが、いずれそのことを話すことになるでしょう。それまでは待ってもらう方が……あなた方の為でしょうね」
 聞いてみたんだが、シンジはなぜか沈痛な面持ちで答えていた。
あの、なんで言えないの? そう言われると物凄く嫌な予感しかしないんだけど?
ていうか、言えないことが多く無い? メムアレフのこととか、そいつの目的とか……
「あなたはまだ心が弱いのよ。そんな状態で伝えても、足枷にしかならない。それを避けるために……でしょう?」
「まぁ、そういうことなんですがね」
 紫の言葉にシンジはため息混じりにうなずくが……それを言われると……な。
だって、あのゴスロリボクっ娘の正体を知った時も相当ショックを受けたからな。
下手なこと聞くと色々とヤバイかもしれない。俺の精神的に……
「それで私達はどうすればいい? 今の所、士郎達の世界に戻って探索を続けるつもりでいたんだが」
「翔太さん達はボルテクス界に戻ってもらおうと思ってます。
士郎さん達の世界に悪魔達は侵攻を開始はしましたが……それ以上の動きは見せておりません。
たぶんですが、悪魔達の侵攻は前準備といった所でしょう。安心は出来ませんが、しばらくは士郎さん達で対処出来るはずです。
ま、ボルテクス界に戻るのは美希さんの修行の為といった所です。アーマーを身に付けた時の力に慣れてもらわねばなりませんし」
 スカアハの疑問にシンジはそう答えるんだが……そうなるとみんなとは一旦お別れか。
しかし、美希の修行代わりっていうなら、どっちかの世界にいてもいいような……
と思ったんだけど、後で聞いたらボルテクス界の方が色々な悪魔がいるんで、美希の修行の調整がやりやすいとのこと。
 あ、そうだ。今思い出したんだが――
「そういや、橙子さんと式はどうするんだ?」
 そのことを思い出して、思わず聞いてみる。いや、気になったんだけなんだけど。
「そうだな……私達は一旦帰らせてもらおうと思ってる。
元々、彼女の義手を渡すのが仕事なのだし、事務所を空けたままには出来ないからな。
それに私は元々戦いを得意としてないし、式だって悪魔相手にはキツイだろうし」
「ふん」
 橙子さんの言葉に式はそっぽ向くが……まぁ、そうだろうな。
確か、橙子さんの魔術は戦闘向きじゃなかったはず。使い魔だかなんだかに戦わせていたと思ったけど。
式も直死の魔眼は一見するとチートっぽいが……身体能力はあくまで普通の人より高いくらいだったはず。
それだと悪魔とガチバトルは厳しいからな……それを考えたら、俺はなんでそんなのが出来るようになってるんだよ……
「そうでしたか……では、報酬の方をお支払いしないといけませんね」
「それなんだが……報酬はいらない。その代わり、幻想郷と行き来出来るように出来ないか?」
 シンジの話を聞いた橙子さんがそんなことを言い出したが……なんでまたそんなことを?
「これまた、思い切ったことを言いますね?」
「当然だ。幻想郷にあった魔法の数々は私達の世界では到底手の届かない物ばかりだったからな。
私としてはぜひとも見てみたいのさ。魔術師として、それらの魔法をな」
 シンジに聞かれると、橙子さんは空を見上げながら答えていましたが……魔術師って、そんなものなんだろうか?
あ、凜とメディアがうなずいてる。やっぱり、そんなものらしいな。
「そうですねぇ……紫さんがいいのなら、出来なくもないのですが――」
「そうね……もし、よからぬ者が幻想郷に来たら……その時は覚悟はいいかしら?」
「当然だ。それくらいのリスクがあって当然だろう?」
 で、顔を向けるシンジの問い掛けに答えるようにスキマは殺気を向けてくる。
そのせいで怯えている者も出るが、橙子さんはあっさりと流して答えていた。
すげぇな……俺は慣れてるからいいけど、他の奴らの中には気絶しかけてるのもいるんだぞ?
「そう……いいでしょう。でも、本当にその辺りは気を付けてちょうだいね?」
「わかっている。幻想郷が知られる危険性は身を持って知っているからな」
 ため息混じりに殺気を消しながら話すスキマに、橙子さんは笑みを交えて答えてたが……
知られる危険性ねぇ……知ったら知ったで、知った奴が危険だと思うのは俺だけだろうか?
「ふむ……では、私の方も頼んでいいかな?」
「あら、それはいいわね」
「あなた達は……エヴァンジェリン、あなたはわかって言ってるの?」
「当たり前だ。なに、わからん奴がいれば、私が直々に叩きのめすさ」
 エヴァもそんなことを言い出し、それを喜んでるのはレミリア。スキマは呆れてたけど。
まぁ、エヴァもその辺りはわかってるようで、そんなことを言ってたりするが……叩きのめすって……いいのかね?
「あ、それじゃあ私も――」
「凜さんの場合は今すぐは無理ですね。聖杯戦争の対処とあなた方の世界に世界に侵攻してきた悪魔の対処。
とてもじゃないですが、その暇は無いと思いますよ?」
「う……そうかも……」
 自分を指差す凜だが、シンジの指摘に落ち込んでしまう。
まぁ、今すぐは無理ってだけだろうけどな。それらが終われば、凜も幻想郷に行けるようになるだろ。
それに気付いたのか、凜はなにやら考えていたけど。
「ああ、忘れる所でした。士郎さん、あなたのGUMPを貸してもらえますか?」
「え? あ、はい……」
 シンジに言われて、士郎は首を傾げながらGUMPを渡した。
受け取るとシンジはそのGUMPに右手をかざし……その途端にGUMPが光に包まれた。
といっても、それは一瞬で終わって消えちゃったけど。ん〜、見た目的には変わってないような……
あ、表面に2本の剣を交差したようなマークがあるや。
「はい、どうぞ」
「あ、はい……」
『初めまして、あなたが私のマスターですね?』
「え? あ、ええ!?」
 シンジから受け取る士郎だが、いきなりGUMPがしゃべり出したんで驚いてる。
いや、俺も少しばかり驚いたけどね。凜達も驚いてるし。ちなみに声は機械的というか、合成音っぽい感じがする。
「な、なんですかこれ?」
「あなたのサポート用にAI機能を組み込んだんですよ」
『イエス。私はあなたの魔術の補佐を行うために生まれました」
「俺の魔術の?」
 戸惑う士郎だが、シンジとAIの話に首を傾げていた。
まぁ、確かに魔術の補佐とか言われてもピンとはこないわな。
「ええ……あなたの魔術は色んな意味で特殊ですからね。何かと負担が大きいでしょう。
なにしろ、前例があそこにいますしね」
「む……」
 話しつつシンジは視線を向ける。その先にいたアーチャーは不満そうな顔をしてたが。
でも、今になって思い出したが、ゲームでも士郎の魔術は何かと負担が掛かってた覚えがある。
確かにそういった意味では補佐は必要なのかもな。
ん? そういや……今、士郎が持ってるのと似ている物を俺は知ってる気がするんだが……
「ま、魔術の方はアーチャーさんに教えてもらうといいでしょう。それとこちらを――」
 そんなことを言いつつ、シンジが取り出したのは2本の剣だった。
アーチャーが使ってた干将・莫耶に形は似てる所があるけど、色は2本とも同じで銀の刀身に青い柄という物だった。
「これは?」
「今のあなたの為の剣です。名はまだ付けておりませんので、良かったらお好きなようにお付けください」
 剣を受け取りつつも戸惑う士郎に、シンジはにこやかに答えてたけど。
なんか、見た目には普通の剣に見えるんだが? あれ? なんか士郎の顔が戸惑ってるように見えるんだけど?
あの剣、何かあるのか? 士郎の奴、あの剣見てたら戸惑ってたんだけど……あ、アーチャーもだ。
「更にご紹介したい方がいます。ラシェーナさん」
「やれやれ、やっとか。待ちくたびれたぞ」
 そんなことを言い出したシンジに呼ばれて、建物から出てきたのは1人の女性だった。
見た目的にはライダーに似てるな。高い身長にスリムな体をジーンズに空色のシャツで包んでる所なんか。
髪も地面に付きそうな位に長い。違うのは胸の大きさ……たぶん、あの女性の方が大きいと思う。
それに髪の色も青に近い水色って感じだし、瞳も金色に輝いてるしな。あ、メガネは掛けてないぞ。
表情は……知的端麗っていった所かな? 俺としてはそう見えるんだけど……所で誰だ、あの人?
「え、えっと……」
「シンジに頼まれて、お前の師匠をすることになったラシェーナだ。よろしく頼む」
「え、ええ!?」
「ちょっと待ってください!?」
 で、ラシェーナと名乗った女性の言葉に戸惑っていた士郎は驚いていた。
で、セイバーも叫んだが……いや、どっかでなかったか? このパターン?
あ、俺か。スカアハの時がそうだったよなぁ……うん、あの時の出会いは……色々とあったね。
「師匠とはどういうことですか!?」
「戦いの技術に関することはあなたやアーチャーさん、ライダーさんなどが教えてくれるでしょうが……
今の士郎さんに必要なのは人として大事な物。知識や経験だけでは得られない物です。
それを教えるはあなた方だけでは難しいでしょう。だからこそ、ラシェーナさんにお願いしたんですよ。
彼女はこう見えて永く生きておりますからね。人生経験はかなり豊富ですよ」
 怒鳴るセイバーにシンジはにこやかに答えるが……人として大事な物ねぇ……
それはそれで気になるが……もっと気になるのは――
「ねぇ、この人の気配……なんか、おかしく感じるんだけど?」
 と、イリヤがラシェーナを指差しながら聞いてきた。
うん、そうなんだよ。ラシェーナの気配が……なんというか、スキマに近いような――
「そりゃそうですよ。ラシェーナさんは5千年も生きてる古代龍(エンシェントドラゴン)なんですから」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!?」
 あっさりと答えるシンジだが、そこで凜が絶叫した。うん、俺も同じ気持ちだよ。
今、なんつった? エンシェントドラゴン? エンシェントの意味はわからんが、ドラゴンってなにさ?
「ドラゴンって……完全無欠の幻想種じゃない!? そんなのがなんでここにいるのよ!?
ていうか、本当にあの人はドラゴンなの!?」
「ふむ……ならば、見せた方が早いか」
 絶叫しながらシンジに詰め寄る凜。それを見てか、ラシェーナはうなずき……変化した。
いや、変身と言っていいかもしれん。なにしろ、左腕はは虫類っぽい腕になるし、瞳もそれっぽい物になっている。
更には背中にコウモリみたいな翼が生えてて……うん、とんでもねぇ存在感なんですけど?
「う、うそ……」
「これで信じてもらえたかな?」
 顔が引きつっている凜にラシェーナは声を掛けるけど……うん、流石にあれは納得するしかないって。
ほとんどの奴らが呆然としてるしな。スカアハも顔が引きつってるし。
「にしても、エンシェントドラゴンが良くそんな奴の師匠を引き受けたな?」
「シンジには色々と借りがあってな。それでだよ」
 訝しげな顔をするエヴァに、ラシェーナは人の姿に戻りつつ……戻ったと言っていいんだろうか?
それはそれとして、答えてはいるんだが……なんで、忌々しそうな顔をするの?
シンジ……お前、ラシェーナに何したんだ……おい?
「ラシェーナさんの滞在費は私から出しますので……まぁ、色々とがんばってください」
「は、はぁ……」
 にこやかに話すシンジだが、士郎は困った顔をしている。
まぁ、何をがんばれというのか……ていうか、色々ってなんだ? 色々と不安を感じるぞ。
とまぁ、こんな感じで不安を感じる休暇をなってしまいましたとさ……うん、なんでこうなるかね?


 その後、3日ほどエヴァの別荘に滞在した。そこでの話は……まぁ、士郎達がちょっとぎくしゃくしたといった所かな?
まぁ、いきなりラシェーナが現れたし、凜達も思う所があったんだろう。
俺の方は……どういうわけか、美希まで俺と一緒に寝始めやがった。うん、なんでだろうね?
おかげで君嶋さんと香奈子さんや他のみんなにまでジト目を向けられたよ? いや、俺としてなんとかしたかったんだよ?
でも、あの顔は……泣きそうな顔は反則だって。おかげで何も言えなくなりました。
それでも普通に眠れる自分が怖いです……言っとくが、手は出してないぞ。
ま、そのせいで美希も俺の家に泊まることになったんだが……
 で、最後の1日は別荘にて宴会となった。ここでみんなとは一旦お別れとなるから……と、魔理沙が企画したのである。
その宴会では学園長も来て、幻想郷のメンバーに軽く驚いてたけど。まぁ、神様とかそういうのを見たらそうなるわなぁ。
 そんなわけで次の日となり、俺達はみんなと別れの挨拶を済ませ、シンジが創ったゲートでボルテクス界に戻ってきたのだった。


「あ〜、なんか懐かしい気がするな」
「当然だろう。10日近くも別の世界にいたんだからな」
 ノーディスの町中を歩きながら、スカアハとそんなことを話し合う。
日はまだ高いので、今日は町の外に出ることになってる。ま、美希の訓練の為なんだけど。
なんてことをしていた時だった。
「あ、翔太さん! 良かった〜……」
「あれ、ウィルじゃん。どうしたの?」
 こっちに駆け寄ってきたのは、前にケルベロスの騒ぎの時に一緒になったウィルだった。
しかし、俺達を見るなり安心したようにため息を吐いてたが……どうしたんだ?
「あ、そうでした。翔太さん、サマナーギルドの召集要請です。すぐにギルドに来てください」
「はい?」
 ウィルの言葉に俺は思わず首を傾げるのだった。
これが切っ掛けで俺達は人の業を見ることになろうとは……この時は思いもしなかったけど――



 あとがき
そんなわけで再びボルテクス界に戻ってきた翔太達。
しかし、なにやら不穏な影が……ボルテクス界で何が起きたのか?
そして、刹那達や士郎達はどうなるのか? ここら辺は後ほど幕間にて紹介することになると思います。
さて、次回はボルテクス界で事件発生。複数のサマナーの行方がわからなくなると言う事件が起きます。
それを聞いた翔太達は警戒しながらも町の外へ。そこで何者かに終れるリィナを見つけますが――
そんなお話です。果たして、ボルテクス界で何が起きているのか? 次回をお楽しみに〜



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