out side

 その猫はある一件の家を見ており、そこからまったく動こうとはしない。
人が通ろうが車が通ろうが、まるでそれに気付いてないかのように家を見続けていた。
それ故に気付かなかったのかもしれない。
「な!?」
 気付いた時、猫はかごの中にいた。この事実に猫は驚くしかない。
確かに家を見ることばかりに集中していた。だからといって、まったく気付かれずにかごに入れられるはずがない。
そのことに戸惑う猫をかごを持ちながら見ている者がいた。
「申し訳ありませんが邪魔をされるわけにもいきませんので……しばらく、大人しくしてもらいますよ」
 その当人ことシンジは、まるで手品のように猫が入ったかごを懐にしまってしまった。
すでにお気付きだろうが、この猫はただの猫ではない。もっとも、正体に関しての説明は後ほどとなるが。
シンジは翔太の話からこの世界の情報を更に調べ、猫の正体も知り得ていたのである。
 かごを懐にしまった後、シンジは猫が見ていた家に近付き、呼び鈴を押した。
「は〜い」
 直後、可愛らしい女の子の声が聞こえてくると、少しして家のドアが開けられた。
その先にいたのは栗色の髪を持つ可愛らしい少女。しかし、その少女は車いすに座っていた。
「あの、どちらさんですか?」
「初めまして、八神はやてさん。私の名前はアオイ シンジと申します。
実はあなたに尋ねたいことがありまして」
「尋ねたいこと?」
 シンジにはやてと呼ばれた少女は、その話に可愛らしく首を傾げるのだった。


 in side

 さて、シンジが行ってしまった後、俺達は思い思いのことをしていた。
俺はイスに座ってるだけだけど。たく、漫画でも持ってくれば良かったかな?
ちなみに忍さんはレッドスプライト号の乗組員と話し合っている。
技術がどうとか聞こえたんで、興味でレッドスプライト号のことを聞いているんだろう。
なのははアリサに詰め寄られていた。で、そのアリサは怒ったり呆れたりしている。
たぶん、なのはが魔導士になったこととかを聞いているんだろう。なんか、羨ましそうにも見えるけど。
フェイトとアルフはレッドスプライト号の人から飲み物を貰い、飲んでいる。
アルフが警戒してるけど……ま、あれだったし、これはしょうがないだろうな。
 ここまではいい。理華や美希達も思い思いに話し込んでるし。
ただ……なぜか、すずかが俺のことを怯えたように見ているのである。俺、なんかしたっけ?
ううむ、覚えは……無いな。何か言った覚えも無いし。どうしてだろ?
そのせいか、ノエルとファリンが心配そうにすずかを見ているし。
「なぁ……俺、あの子に何かしたっけ?」
「私も気になってるが……少なくともお前が何かをしたようには思えんな」
 スカアハに聞いてみるが、彼女も心当たりが無いらしい。そうなるとどうしてだろ?
俺がこの世界のことを知ってたから? ありそうだけど……でも、すずかに秘密なんてあったっけ?
アニメじゃ、どう見たって普通の女の子だったしな。ううむ、わからん。
「あ、あの……」
「ん? 何?」
「あ、あなたは……知っているんですか?」
「はい?」
「すずか!?」
 声を掛け、そんなことを聞いてくるすずかに顔を向けた俺は首を傾げる。
なぜか、忍さんは驚いてたけど……知っているって何を?
「いや、知っているって何をさ?」
「え、あ、私の……その……」
 聞いてみるけど、すずかは怯えたようにうつむいてしまう。
それとは対照的に忍さんはこっちを睨んでくるんだが……話からして、やはり俺がこの世界のことを知っていたことが関係してそうだ。
でもな……アニメだとすずかに秘密らしい秘密なんて無かったし……アニメじゃ?
そういや二次創作のSSじゃ、すずかは吸血鬼の末裔とかになってるSSもあったな。
そっちの方はあまり読んでなかったから、俺も詳しくは知らないんだけど……
確か、リリカルなのはには元になったゲームがあって、そのゲームではすずかの一家は吸血鬼の末裔という設定だったらしい。
もしかして、この世界のすずかって、そっちの方なのか? で、俺がそのことを知ってると思ってるのか?
だとすると……どうしたらいいんだろ? ここでそんなこと言うわけにもいかないし。
だって、明らかになのはやアリサには内緒にしてるっぽいしな。ここで話そうもんならバラすのと一緒だし。
まぁ、今ので何かあるというのは2人とも気付いたようだけど……
「心当たりが無いわけじゃないけど……気にしすぎじゃないかなぁ……」
 とりあえず、誤魔化すつもりで言ってみるが……言い方が悪かったらしい。
なんか、すずかの顔が不機嫌になってくるのが見てわかるし。
「あなたは……何を知って、そんなことが言えるんですか?」
「すずか!?」
「え? あ……」
 不機嫌なままでそんなことを言い出すすずかだが、忍の叫びで正気に戻ったらしく、また怯えたようになってしまう。
そのまま、なのはとアリサの方を見てるが、2人はきょとんとしていた。
あ〜……今のは俺が悪かった……よね? なんて答えればいいかわからなかったとはいえ……
それにさっきの言い方じゃ、すずかの正体を知ってますって言ってるようなもんだし。
今の所はなのはもアリサもわかってないようだが、この後すずかを追求しそうだな。
そうなるとすずかが傷付くかもしれんし……ん〜……
「じゃあ、聞くけど……君は何を知ってるのかな?」
「え?」
 ふと、そんなことを聞いてしまう。いきなり聞かれたせいか、すずかはきょとんとしてたけど。
「悪魔、妖怪、スキマに吸血鬼、死神に閻魔に神様や魔王……」
「え? え?」
「これらが俺が今まで知り合ってきた奴だな。このうち、悪魔や神様、魔王とはケンカしてるけど」
 指折り数えるようにそれらの名前を出し、そのことに気付いてため息を吐いた。
いや、今考えると……俺って、とんでもないのと知り合ってるよな。
で、話を聞いていたすずかは戸惑っていたが――
「ふ、ふざけてるんですか!?」
「いんや。ついでに言っておくと、スカアハ達は悪魔だぞ」
 怒り出すすずかに俺は親指を差しつつ、そう言っておく。
が、すずかは俺を睨んだままであった。というのも――
「あの人達のどこが悪魔だって言うんですか!?」
「それよりもあのエッチっぽい服はなんなのよ!?」
 すずかが怒鳴ると、なぜかアリサまで怒鳴ってくる。しかし、スカアハ達の服は……うん、なんでああなんだろうね?
ケルベロス(幼女)はほとんど裸みたいなもんだし……それはそれとして、確かに見た目じゃ悪魔には見えんわな。
ケルベロスを本来の姿にすれば信じてくれるかもしれないが……ここでんなこと出来ないし。あ、待てよ?
「美希、お前の仲魔を出してくれ。後、タカハシさんのもお願い出来ます?」
「ん? ああ、構わないが?」
「わかった」
 俺のお願いに美希は首を傾げながらも、タカハシさんは事情を察してくれたのかあっさりと。
互いに悪魔召喚の準備を始めた。ちなみにタカハシさんはヘルメットみたいのを被ってたけど。
ああしないと悪魔召喚出来ないのかね?
「う……」「「ええ!?」」「なに、あれ……」「うそ……」
 で、美希が召喚したのは聖獣ビャッコ。タカハシさんは……破壊神セイテンタイセイって……また、凄いのを……
このことにすずかは後退り、なのははユーノと一緒に驚き、アリサは戸惑っている。
忍さんも信じられないって顔をしてるけど……あ、フェイトやアルフも目を丸くしてる。
ふむ、もう一押ししておくか?
「お〜い、スキマ。見てるんだろ?」
「あら、気付いてたのね」
 呼んでみたら空間が裂け、そこからスキマが出てきた。
このことに俺や理華と美希、ミュウなどの仲魔達以外の全員が固まる。あ、そういやみんな初対面だったっけ。
にしても、本当に見てたのか。俺、半分冗談のつもりだったんだけど。
「紹介しよう。知り合いのスキマだ」
「もう……八雲 紫。こう見えても妖怪よ、吸血鬼もどきのお嬢ちゃん。いえ、もどきも言いすぎかしら?」
 俺の紹介にスキマは苦笑した後、くすくすと笑いながら自己紹介をするのだが……俺や理華達、スキマ以外は全員固まってる。
まぁ、無理もないか。だって――
「おい、気配は抑えておけ。普通の奴は怖がるから」
「あら、忘れてたわ」
 手で顔を覆いつつ言ってやると、スキマは今気付いたと言わんばかりに笑いながら解放していた気配を抑えた。
「あ……」
 それだけですずかは腰を落としてしまう。他にも何人か同じようなことになってたけど。
あ、フェイトは泣きそうになってるし、アルフは犬のように構えながら威嚇してら。
よっぽど怖かったんだろうなぁ……それが平気な俺って、どうなんだろうか?
「そういや、吸血鬼もどきってなにさ?」
「ああ、この子達は体質的に血を飲まなきゃならないってだけ。
人よりちょっと強い力は持ってるけど、吸血鬼の力なんて無いに等しいわ。
ただ、それだけ……その子はそのことを知られることに怯えてたみたいだけど……あなたならわかるんじゃないかしら?」
「ああ、なるほど」
 スキマの話に聞いてみた俺は思わず納得する。つまりは刹那と同じってことか?
「どういう……ことですか?」
「これはスカアハの受け売りになるんだが……人それぞれってことだよ。
すずかの体質を聞いて、怖がる奴がいれば、気にしない奴もいるし、信じようとはしない奴だっている。
興味を持つ奴もいれば、危険だと感じて襲ってくる奴もいる。ま、色んな奴がいるってことだな。
まぁ、なんだ……誰構わず話せってわけじゃないし……変に気にしすぎると何も出来なくなるし、友達も心配するぞ」
「え?」
 怯えながら問い掛けるすずかに肩をすくめつつ答えておいた。
話を聞いていたすずかはそのことに気付いて顔を向けるけど、向けられたなのはとアリサはキョトンとしている。
「つまりは……どういうことなんですか?」
「少し変わった体質を持ってるけど、あなたの友達は人間と変わらない。そういうことよ」
 首を傾げるなのはにスキマはにこやかに答えていた。
しかし、こいつが言うとうさんくさく見えるのは俺だけかね?
「あ、あの……妖怪とは悪魔とは違うのですか?」
「え? あ〜……どうなんだろ? 俺も詳しいことは知らないんだけど……」
 肩を指で突いてきたフィオさんに俺は頭を掻きながら答えるが……
ていうか、どこがどう違うんだろうか? 後で聞いた方がいいかね?
「で、血を飲むって、毎日飲まなきゃならないの?」
「え、あ……その、たまに凄く欲しくなる時はあるけど、毎日ってほどじゃ……」
「そう……まったく、事情が事情だから話せないのはわかるけど……」
 おどおどしながら答えるすずかに、腰に手を当てて問い掛けるアリサはため息を吐いていた。
アリサとしては色々と言いたいんだろうが困った顔をしているのを見ると、何を言えばいいかわからないって感じだな。
なのははなのはで苦笑してるようだし。
「あ……」
「まぁ、許してやれよ。誰だって、言いたくないことの1つや2つはあるだし。
無理に聞き出そうとして困らせることもないだろ?」
「う……わかってるわよ」
 立ち上がり、2人に近付いてすずかの頭を撫でながらそう言ってやる。
言われたアリサはむすっとしてたが、すぐに返事をしてきた。どうやら、アリサとしてもすずかを困らせるつもりは無かったらしい。
気になったから話を聞きたかったって所かな?
「あ、あの……ありがとう……ございます……」
「ん? ああ、別に礼なんていらないよ。俺が悪いようなもんだし」
 とりあえず、頭に乗せた手をどけながら答えるんだが……すずかさん、なんで残念そうな顔をするの?
それとなんで顔を赤らめるのさ? え? 俺、何かしたっけ?
「ふふふ……あなたも成長してるのね」
「そうなのか?」
「ええ……ただ、流されてた割には……だけど」
 言われて首を傾げるが、んなことを言い出したスキマは余計なことを言ってくれる。
言われるままだったのは確かにそうだったけどね……だって、どうすればいいのかわからなかったし。
情けないと言わないで欲しい。第一、ゲームと違って簡単に情報とか手に入るわけじゃないしな。
それにマジで急がなきゃ大変なことになるんだろうし……そう言う意味ではシンジに感謝した方がいいんだろうか?
 それはそれとして……俺って成長してるんだろうか? 今までのことを考えると、そうは思えないんだけど?
「なに、お前は様々な者と出会い、色んな経験をしている。だから、それなりに成長していたとしても、おかしなことではないさ」
「そうなのかなぁ……」
「あ、あの……そういえば、スカアハって……確か、ケルト神話の……」
「ん? ああ……私はその当人というわけではない。ボルテクス界の一種族として存在しているようなものだ。
そこにいるクー・フーリンもそうだが……ただ、メディアはその当人だし、異世界に行けば神話級の英雄がいたな」
 スカアハに言われてもピンと来ないので首を傾げる俺。その時、スカアハにすずかがそんなことを聞いてきた。
そういや、すずかって本を読むのが好きだったっけ? それでその手の本でも読んでたかな?
で、聞かれたスカアハは苦笑しながら答えてたけど、聞いたすずかは驚いた顔をしていた。
まぁ、英霊が実際に存在したことに驚いてるんだろうが……会わせていいもんだろうか?
なんか、会わせたらショックを受けそうな気がするのは……俺だけ?
「おや、にぎやかですねぇ〜。あら、紫さんも来ていらしたのですか」
「お前の神出鬼没さもどうにかならないもんかね」
 いつの間にやら俺の背後にいるシンジに振り返らずに突っ込んでおく。
そのことに俺や理華達以外は驚いてたけど。まったく、こいつは……仕方なく振り返って――
「なに拉致ってきてんだ、てめぇは?」
「拉致ったとは失敬な。ちゃんと事情を話して来てもらったんですよ」
 で、シンジの隣には車いすに座り、辺りを見回すはやての姿があった。様子から見て、かなり戸惑っているようである。
それはそれとして……一応睨むと、シンジは心外だとばかりに言ってきたが……
「ええと……こいつが言ったことは本当か?」
「え? あ、その……頭を下げられてこの本のことを調べさせてくれって言われて……
それで一緒に来ないかって言われたんで、うなずいたらここにいきなり……
ていうか、ここどこなんです? さっきのはいったいなんなんですか?」
 とりあえず聞いてみたら、はやては戸惑った様子で答えてくれました。
うん、どう考えても拉致だよね。なにやってんだおめぇはと言わんばかりに睨んでみるが、シンジは気にした様子を見せねぇし。
見ろ、忍さんやフィオさんとかも微妙な視線を向けてるじゃねぇか。
「ま、強引なのは否定出来ませんが、そうしないと後々困りますし」
 なんて言い出すシンジは懐から……なんで犬とかを入れるかごが出る?
しかも、中にいる猫って、もしかして――
「おい、それって――」
「邪魔をされたくなかったのと……ここで行われることを見てもらうために来てもらいました。
さて、はやてさん。本を貸してもらえませんか?」
「え? え、あ……はい……」
 聞こうとしてシンジから返ってきた言葉に顔が引きつるのを感じた。
やっぱり、アリアかロッテのどちらかか……で、猫はといえばシンジをすっごくに睨んでるし。
そのシンジはといえば困惑するハヤテから本……たぶん、夜天の書だろう。
それを受け取って、放り投げて……空間に融け込むかのように消えてしまった。
「はいぃ!?」
 このことにはやては驚くが、なのは達も驚いてる。ま、本がいきなりあんな消え方したらそうなるわな。
で、シンジは両手を広げると、その周りにいくつものモニターみたいな物が浮かび上がる。
なんか、プログラムっぽい物が映ってるけど――
「なにこれ?」
「私のラボにあるシステムで夜天の書のプログラムを分解、解析してる所です。
ああ、夜天の書は疑似空間の中ですので、万が一暴走したとしてもこちらに影響は出ませんよ」
「いや、俺の記憶違いじゃなかったら、すでに暴走してないか?」
 聞いてみると、シンジはモニターと一緒に現れたキーボードみたいなのを操作しながら答えるけど……
確か、改変を受けた夜天の書って、マスター以外の干渉を受けると暴走を起こすような覚えがあるんだけど。
で、そのことを思わず漏らしちゃったもんだから、誰もが戸惑ってるが――
「ロストロギアといっても人が創った物であるならば対策することは可能ですよ。
ふむ、言語の方は……良かった、私の知っている物ですね。そうでなかったら時間が掛かってしまいますし。
ええと……まずはセキュリティ系プログラムを隔離。解析して修正……あっちゃ〜……バグだらけってレベル超えてますね。
一から作った方が良さそうでですが……とりあえず、解析して元の形を出来るだけ把握しておきますか。
その間に制御系と魔法関係のプログラムを解析……ん? これは……ああ、管理人格のシステムですか。
こっちは守護騎士のシステムと……ふむふむ。こちらは改変の影響で変な負荷が掛かってますね。
こちらは手間は掛からなそうですけど――」
 話してからシンジは何かを始めるが……なにをやってるのかサッパリわからん。
いや、夜天の書を直してるのはわかるんだけど、なにをどうしてるのかがサッパリなんだよね。
「はやてさん、夜天の書を改造してもいいですかね?」
「はい?」
「ちょっと待て」
 シンジのいきなりの言葉にはやては目を丸くし、俺はツッコミを入れる。いや、本当に色々と待とうか。
「なんでいきなり改造? ていうかそれはマズイだろ? それで夜天の書はとんでもないことになったんだしさ」
「いえ、無事なシステムを見てわかったんですけど……
夜天の書が例え正常に戻ったとしても、今のはやてさんでは負担が大きいんですよ。
解決策としては、はやてさんのリンカーコアがちゃんと成熟するまでスリープモードに入ってもらうか……
改造して負担を減らすか。そのどちらかになります」
 思わず睨みながら聞いてみるが、シンジはため息混じりに答えていた。
しかし、はやての負担ね……確か、はやての下半身の麻痺は改変を受けたせいだったと思ったけど。
「はやての負担って、どれくらいなんだよ? それに改造しても大丈夫なのか?」
「負担の方は正常な状態に戻せば命に関わる程では無いのですが……足の治りはかなり遅れるでしょう。
改造の方ですが、夜天の書は元々様々な魔法を蒐集するべく造られたデバイスですからね。
それを利用して魔力炉を搭載すれば、暴走などの影響を極力無くすことが出来ます。
まぁ、完全とは行きませんから、何度も動作テストをすることになりますけどね」
 その辺りのことを聞いてみると、シンジは肩をすくめながら答えるが……
そういや、はやての足が治るのには時間が掛かったって、どっかで見た覚えがあったっけ。
その一方ではやては驚いた顔をしてたけど……なんで?
「あ、あの……うちの足……治るんですか?」
「ええ。あなたの下半身の麻痺の原因は、夜天の書のプログラムの暴走によるものですからね。
リハビリなどが必要になりますが、正常に戻せれば治るでしょう。
それに先程も話しました対策を施せば、ちゃんと歩けるようになるまで時間を少しばかりですが短縮出来ますよ」
 戸惑い気味に問い掛けるはやてだったが、シンジの話を聞いてか喜んでいるようにも見えた。
そういや、はやては自分の下半身麻痺の理由を知らなかったんだっけ? それが治るかもしれないとわかれば、嬉しくなっても当然かね?
「だ、だったら、その改造ってのをお願いします! あ、でも変なことはせぇへんでもらえると――」
「わかっております。では、時間が掛かりますので、しばらくの間みなさんとお話でもしていてください」
 嬉しそうになるはやてに、シンジはにこやかに答えるが……大丈夫なんだろうか?
なぜか、嫌な予感がするんだけど……気のせいかね?
 そんなことを考えてる間にはやてはなのは達と挨拶をし、ここがどこなのかを聞いてたりするのだが……
この時、はやてやシンジに声を掛けるべきだったと思ったりする。
「大丈夫……なのかな?」
「さぁな」
 まぁ、今はそんなことがわかるわけでもないので、心配そうな理華にそうとしか言えなかったんだけどね。



 あとがき
そんなわけではやてはなのは達と早くも出会いました。これがどのような影響を及ぼすのか……
そして、シンジの手によって修復される夜天の書。しかし、修復だけでは終わらない様子。
果たしてどうなることやら……ちなみになのは編は早く終わりそうだと思われがちですが、実はそんなことはなかったり。
確かに他のと比べると短いですが、ちゃんと幕間もあります。まぁ、あんまりネタバレをしたくないので、今はここまでしか言えませんけどね。
それを同じ理由なんですが、実は翔太の成長してるって場面はまだ先のつもりでした。
しかし、成長が見られないと言われてたので、前倒しで書くことになりましたが……前倒しすぎて、ちゃんとそう見えるか不安になってます。

さて、次回は管理人格と守護騎士達の復活。そのことで彼の使い魔は何を思うのか……
そして、翔太はシンジと話し合うことになるのですが……というようなお話です。次回をお楽しみに〜



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


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