さて、士郎のGUMPのAIの報告で目的の場所へと急ぐ士郎達。
林の中に入り、アーチャーやライダー、バーサーカーが姿を現し、セイバーも鎧の姿となる。
また、士郎もGUMPを操作してフロストエースを召喚していた。
実はフロストエースは見た目に反して……というのは失礼かもしれないが、かなりの強さを持っている。
流石にセイバー並とまではいかないものの、正面で戦うには十分な強さをもっていたのだ。
 準備を終え、更に先を急ぐ士郎達。しばらくして、人の話し声のような物が聞こえてきた。
「なんですの、こいつらは!?」
「さてな……化生の類というのは間違いなさそうだが――」
「やばい! 誰か襲われてる!?」
 話し声を聞いた士郎はそう判断し、更に速度を上げる。
急いだ士郎が向かった先には青いドレスを纏った長い縦ロールブロンドの女性と、なにやら侍の格好に長い髪をおさげにした男がいた。
そして、その2人は悪魔に取り囲まれており、なんとか戦っているようではあるが――
「大丈夫か!?」
「え? あ、あなた……は?」
 突っ込む形で悪魔を斬る士郎に、女性が戸惑いを見せる。
それでも問い掛けたが、すでに士郎はもう1体の悪魔と斬り合っていた。
「シロウ! 1人で突っ込むのは危険だと何度も言っているでしょう!」
「ブフダイン!」
「え? え? サーバント?」
 続いて怒りながらもセイバーも士郎に続き、フロストエースも援護の為に魔法を使う。
そのことに女性は戸惑いを見せるが、その時に漏らしたひと言を凜は聞き逃さなかった。
「あなた、聖杯戦争の参加者ね?」
「違います!? これは――」
「待て、話すのはこやつらをなんとかしてからの方が良かろう」
「確かにな!」
 凜の言葉になぜか語気を荒げて反論する女性。それを見た侍がそう言うと、アーチャーも同意しつつ戦いに参加する。
その直後にライダーとバーサーカーも現れたことで女性は更に混乱していたが……
悪魔の方はそのおかげであっさりと倒すことが出来たのだった。
「ありがとうございました……私の名はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト……
ある方の依頼で聖杯戦争の調査をしている者ですわ……ところで、あなた方は参加者……で、よろしいのでしょうか?」
「エーデルフェルト? なんでそんなのがここにいるのよ!?」
「ですから、調査に来たと言ったでしょう!?」
 頭を下げる女性ことエーデルフェルトであったが、驚く凜になぜか怒鳴り返してしまい……更には睨み合いにまでなってしまう。
「えっと……何かマズイのかな?」
「マズイってわけじゃないけどね。エーデルフェルトは魔術師の名門よ……一応はね」
 戸惑いがちに問い掛ける士郎に、イリヤが呆れた様子で答えていた。
ただ、イリヤのただならぬ様子に、士郎はどうにかしなければと感じてしまい――
「え、えっと……エーデルフェルト……さん、だったよね? さっきは調査とか言ってたけど――」
「え? ああ、あの……ルヴィアで構いませんわ……その、その通りでして……」
 なんとかなだめようと声を掛けた士郎であったが、エーデルフェルト……ルヴィアはなぜか顔を赤らめながら答えていた。
なお、この様子にセイバーに凜や桜とライダーにイリヤが危機感を感じていたり――
アーチャーはやれやれといった様子で見ており、侍はなにやら笑いをこらえている。
バゼットはあごに手をやりつつも、なぜか真剣な眼差しで見つめていたりしたが。
 それはそれとして、ルヴィアはそのことを話し始める。
始まりは聖杯戦争を調べていた魔術師が、聖杯戦争は儀式として機能しているのか? という疑問を感じたからだった。
なぜそう考えたかは聞くと、10年前に起きた冬木の災害が大きすぎる上に不可解な点があったためだという。
ルヴィアも資料を見た限りだが、確かに冬木に起きた災害は大きすぎる。
どうしたらこんなに被害が大きくなるのか? と思ってしまうほどだ。それに原因が特定されていないのも気に掛かるし……
更にはその10年前というのが、聖杯戦争が起きた年なのである。災害との関連性を疑うには十分であった。
それともう1つが10年後……すなわち現在に聖杯戦争が起きたことにある。
聖杯に魔力を溜める関係上、聖杯戦争は60年周期で行われるはずなのだが、今回は10年目に行われている。
単に前回の聖杯戦争の魔力が残っていたためか……あるいは――
 それを詳しく知るために、その魔術師は調べようとしたのだが……立場上、自分が冬木に向かうのは色んな意味で得策では無かった。
そこで他の魔術師に頼んで調査をしてもらおうと考え……その白羽の矢がルヴィアに刺さったのである。
当初、ルヴィアは断っていた。というのも、エーデルフェルトとしては聖杯戦争に関わりたくなかったのだ。
なにやら、因縁があったらしいのだが……しかし、その魔術師が魔術協会内でそれなりの地位であり――
結果として断れなくなってしまったのだった。まぁ、代わりに時計塔に来る際に便宜を図ってくれるとは言ってはくれたが……
 それでもルヴィアは気が重かった。因縁もあるが……なにしろ、聖杯戦争のまっただ中に行くのだ。
下手をすれば、巻き込まれて……いや、参加者と間違われて殺されることだってあり得た。
仕方なく、ルヴィアはほとぼりが冷めるまで下手に動かずに静観するつもりであったのだが……
それが冬木に到着すると共に瓦解してしまった。なんと、自分の左手の甲に聖痕が現れたのである。
この時のルヴィアがそれはもう混乱していた。なんで? 参加者は全員そろっているはずなのに? と……
実はルヴィア、まだ聖杯戦争が開催宣言されてないことを”うっかり”確認し忘れたのである。
 それでもなんとか混乱から立ち直ると、サーヴァントを護衛にして聖杯戦争を乗り切ろうと考えた。
出来れば自分にふさわしい者を……例えば、セイバーとかを――
などと考えていたが……ルヴィア、召喚出来る枠の残りを確認していなかった。
いや、その前にサーヴァントを召喚したら、逆に狙われやすくなるという可能性に気付いてもいなかった。
まるで誰かのうっかりの如く――
「ぐ!」
「どうしたんですか?」
「いや……誰かに突っ込まれた気がして……」
 桜の問い掛けに、思わず声を漏らした凜は拳を握りしめながら答えていたが……こちらの言葉が聞こえていたのだろうか?
それはそれとして、ルヴィアはそうと決めると召喚を始めてしまう。魔力を込めた宝石を使って――
その数は凜よりも多かったとだけ言っておくが……その結果が――
「アサシン……だと?」
「いかにも。さーう゛ぁんとあさしん……名を佐々木 小次郎と申す」
「え? 佐々木 小次郎って――」
 アサシンを召喚したのだが……アサシンこと小次郎の姿を見て、アーチャーが訝しみ……士郎も名前を聞いて戸惑っている。
佐々木 小次郎……巌流島で宮本 武蔵と戦った剣豪と言えば、思い当たる人は多いだろう。
しかしながら、最近の研究では小次郎は架空の人物では? という説が出始めている。
というのも小次郎の出自に関しては不明な点が多く、巌流島の決闘が行われた経緯にしても不明な点があるのだ。
なお、士郎が戸惑ったのは彼が本当に佐々木 小次郎なのか? と思ってしまったからである。
確かに持っている剣は佐々木 小次郎の愛刀と言われる物干し竿と同じ位の長さの刀だが――
「それでさっきのはなんなんですの? そこにいる可愛らしい者は何者なのですの?
それになぜ参加者であるあなた方が一緒にいるんですの?」
「ええと……話した方がいいかな?」
「ダメよ。下手をすれば私達が嬉しくないことになるから」
「どういうことですの?」
 頭を掻きつつ問い掛ける士郎に凜がため息を吐きながら待ったを掛けた。
そのことに問い掛けたルヴィアは訝しげな顔をするが――
「事情が複雑な上にとんでもなくややこしいことが起きてるのよ。
もし、協会がこのことを知れば、すっ飛んできて私達を拘束して……下手すればモルモット以下になるかも……
それ以前に聖堂教会と全面戦争になるかもしれないわね」
 肩を落としながら凜は話すのだが、ルヴィアは訝しげな顔をするだけである。
まぁ、事情を知らないのだから当然だが……凜の話は実際に起こりうる可能性が高いので始末が悪い。
士郎達は自分達の力では無いとはいえ第二魔法を体現し、更には異世界と交流をしたりしている。
もし、魔術協会がこのことを知れば、士郎達を捕らえて……なんてことは十分ありえた。
士郎はGUMPやフロストエースを持っているだけに、なおさら狙われやすいだろう。
それにボルテクス界の悪魔の存在が一番厄介である。なにしろ、その存在は魔術協会にとっては格好の研究対象だ。
逆に聖堂教会だと、異端として殲滅しようとするかもしれない。
ある者に対し、手に入れようとする者と排除しようとする者……この相反する者同士がぶつかり合えば、どうなるのか……
それが先程、凜が話したことなのである。
 それを避けたい凜としては、なんとしてもこの事態を出来る限り早く解決したかった。
時間が掛かれば掛かるほど、この事態を知られる可能性は高くなるのだから……
「まったく、トオサカは何をしているのでしょうか……」
「うっさいわね!? 私だって、こんなことが起きるなんて、思ってもいなかったわよ!?」
 思わず漏らしたルヴィアのひと言に凜が思わず反応してしまう。
まぁ、凜の言うこともわからなくはない。聖杯戦争をしようと思ったら、なにやらきな臭い事態になり――
更には異世界の存在やら、その世界を含めた世界の崩壊の危機やら……そんなことに巻き込まれているのである。
いくら凜でも、対処しきれるような状況ではなかった。
 それはそれとして、その凜の言葉にルヴィアは眼を細め、彼女を睨んでいた。
「ほぉ……では、あなたが……」
「ええ、セカンドオーナーの遠坂 凜よ」
 ルヴィアの問い掛けに胸を張って答える凜。なぜか、そのまま睨み合いになる。
一触即発……どころの騒ぎじゃならなくなりそうな予感が、その光景を見ていた士郎はなぜか感じてしまう。
いや、事実そうなるだろう。どうにかしなければ……
「な、なぁ――」
「貴様ら、こんな所で何をしている!」
 士郎がなんとかしようと声を掛けようとした時、そんな大声が聞こえてくる。
士郎達がそちらへと顔を向けると、そこには1人の男がいた。
全身を黄金のフルプレートで包み、逆立つ短いブロンドの髪の男。その顔立ちは凛々しくも畏怖を感じさせる。
「な、あなたはアーチャー!?」
「え、知っているの? ていうか、アーチャー!?」
 その男を見て驚くセイバーに、凜は驚きを隠せない。アーチャーということは、あの男もサーヴァントのはず。
しかし、アーチャーは自分のサーヴァントでもあるのだ。では、あの男はいったい――
「は、はい……あれは私と同じく、前回の聖杯戦争に喚び出されたサーヴァントです。
もっとも、真名は最後までわかりませんでしたが……」
 男から目を離さず、それでも戸惑いも見せるセイバーの言葉に凜が驚きの表情を見せる。
セイバーが前回の聖杯戦争でも喚び出されたのは聞いていた。
その時に士郎は切嗣がどんなことをしたのかもわずかながらに聞いている。
それはそれで士郎としては考えさせられたが……
「いや、それよりも……なぜ、あなたがここにいる!? あなたはあの時――」
「ふん、そんなことはどうでもよい。それはともかく、セイバー。我の物になれ」
「断る! あの時も言ったはずだ! 私はお前の物では無い!」
 男の言葉に最初は戸惑っていたセイバーも怒りを露わにしながら拒絶する。
そのやりとりで2人の関係をなんとなく察した士郎達だが……
「それよりも、貴様ら! なぜ戦わん!?」
「うっさいわね!? こっちはそれどころじゃ無いのよ!?」
 男の言葉に凜が怒鳴り返してしまう。確かに状況を考えると、サーヴァント同士で戦うというのは得策では無い。
異世界で起きた事態や悪魔の侵攻に聖杯戦争の裏の事情……ハッキリ言って、戦っている場合では無かった。
それ以前にルヴィアと小次郎を除く全員が、この事態をなんとかしなければと考えている。
故に互いに戦うつもりは無い。それに凜、桜、イリヤ、セイバー、ライダーらは、別の理由があったのだから――
「ふん、何をやってるかは知らぬが……戦わぬというのなら、貴様らに用は無い!」
「え? あ、しま――」
「く!?」
「■■■■■■!!?」
「セイバー!?」「ライダー!?」「バーサーカー!?」
 男がそんなことを言いながら指を鳴らした瞬間、セイバー、ライダー、バーサーカーがいきなり現れた鎖に全身を縛られてしまう。
そのことに士郎、桜、イリヤは驚きを隠せない。
一方、アーチャーや小次郎にも鎖は向かっていたが、こちらは気配を察知出来たおかげで逃れている。
「く、この!?」
「あ、く……」
「■■■■■■■■■■■■!!?」
 なんとか鎖から逃れようとするセイバー達。セイバーは魔力を全開にして引き千切ろうとするが……
一方でライダーもそうしようとするのだが、なぜか上手く行かずに焦りを見せる。
バーサーカーにいたっては咆哮を上げるものの、鎖はビクともしなかった。
「さぁ、疾くと去ね」
「な!?」「く!? 投影開始(トレース・オン)!」
 男がそう言いながら指を鳴らすと、背後の空間が歪み……そこから無数とも思える数の剣や槍、斧などの武器が現れた。
その光景に凜は驚愕し、アーチャーは舌打ちしながらも投影しようと魔術を行使する。
士郎達もこの光景に驚きを隠せなかった。なぜなら、男の背後に現れた武器の全てが宝具と言える物。
解析出来たからこそ驚き……状況がまずいことに気付いた。
鎖に拘束されては、いかにセイバー達でも防げる物では無い。そのことに気付いた桜やイリヤに絶望の表情が浮かぶ。
フロストエースも表情はわかりにくいが、男がしたことに驚いて動けないように見えた。
ルヴィアにいたってはへたり込み、同じような表情を浮かべている。
逆に凜は驚きながらも宝石を構え、いかにこの状況を乗り切るかを考える。
それは士郎も同じだ。男から発せられるプレッシャーは尋常では無い。
もっとも、アスラに比べれば耐えられない物でもない。だからこそ、士郎は冷静になれ……あの話を思い出した。
望めば剣は自分の力となる……それで気付く。剣に込められた魔力の存在を……
込められた魔力は自分の物では無く、シンジの物。隠蔽されてるが、込められた魔力量は――
 気が付けば、士郎は二振りの剣を投げ放っていた。放たれたセイバー達を貫かんとする武器による暴風に……同時に思い出す。
シンジが話していたもう1つのことを――

「そう、その剣はあなたを映す鏡……だから、あなたが想い描いた物を現実にすることが出来る。
むろん、完全とはいきませんが……幻想を現実へと解放出来れば、あなたは一歩を踏み出せますよ」

「解放されし幻想(オープンザ・ファンタズム)!!」
 その言葉を思い出した瞬間、士郎はそのひと言を放った。
「「「きゃあぁぁぁぁぁ!?」」」「「な!?」」
 次の瞬間、剣がとてつもない爆発を起こす。
あまりの爆風と衝撃に凜、桜、イリヤは悲鳴を上げ、アーチャーと小次郎はその光景に驚愕する。
他の者達も声には出さなかったが、同じく驚愕し……爆発から顔を背けていた。
 やがて、衝撃が収まり、誰もが顔を向けると……セイバー達を貫こうとしていた武器の暴風の姿は無く……
男は明らかに怒りを見せながら士郎を睨んでいた。
「何をした、雑種!?」
「投影開始(トレース・オン)!!」
 男の叫びに、士郎は投影で答える。投影したのは先程投げた二振りの剣。
しかし、剣に込められた魔力量はあまりにも微弱……いや、それでいいのだ。
今、この時をもって、この剣は真に士郎の剣となったのだから――
「く! シロウ……今のは?」
「シンジさんが込めていた魔力を解放しただけだ。二度は出来ない……今はあいつをなんとかするぞ!」
「え? あ、はい!」
 なんとか鎖の戒めを解いたセイバーが駆け寄り問い掛けると、士郎は男を睨んだまま答えた。
そのことにセイバーは一瞬呆けてしまうものの、すぐさま真剣な顔付きとなって、同じく男を睨む。
 その光景にフロストエースは感動していた。なぜなら、今の士郎の姿は自分が目指した物で――
「オイラだって――」
 だから、フロストエースは両手を握りしめる。
彼が幻想郷でキングジャアクフロストと対峙していたのは、キングジャアクフロストに仲魔になれと誘われたからである。
フロストエースはそれを拒絶した。
なぜなら、キングジャアクフロストがしようとしたことは、フロストエースがやろうとしたこととは真逆のことだったのだから。
キングジャアクフロストがしようとしたのは幻想郷の支配。フロストエースがしようとしたことはそういった者から世界を守ること。
フロストエースの目標はヒーローになること。正義の味方としてでは無く、誰かのために何かが出来る者として――
だが、あの時は力が及ばず敗れ……やれらようとした時に士郎に助けられた。
その時に感じたのだ。士郎にヒーローとしての姿を――
だから、士郎と一緒にいようとした。そうすれば、自分もヒーローになれるから――
「あたしだってぇ!!」
「「へ?」」
 その光景を士郎とセイバーは呆然と見ていた。なぜなら、フロストエースの姿がクイーンフロストと同じようになったのだから――
違う点があるとすれば、両手を肘まで包む手袋や両足のストッキング、レオタードの柄が元の姿と同じような物であり――
首には風になびく長い白いマフラーが巻かれ、頭にはヒーローを思わせるようなメットが装着されていることである。
また、表情もどちらかというと好戦的に見えなくもない。
「え? え? なんで?」
「は、何言ってだよ? さっさとあいつを倒そうぜ!」
 戸惑う士郎だが、フロストエースは気付いてないのか、男に向かって構えを見せる。
「く、雑種共めがぁ……」
 それを男は忌々しそうにしながら叫んでいたが、そのことで凜は正気に戻った。
なお、凜達もいきなりのことに呆然としてたりするが――
「アーチャー! 士郎達の援護を――」
「無理だな……まったく、このような時に」
 凜の指示にアーチャーはやれやれといった様子で答える。彼が見ている先にいたのは悪魔の群れ。
そのことに気付いた凜は、思わず舌打ちしそうになる。
「ああ、そのようだ……まったく、無粋ではないかな?」
「ふん、俺だってこんなことしたくねぇよ」
「ランサー……」
 その一方で小次郎が振り返った先にいたランサーがこれまた忌々しそうにしながら顔を背けていた。
それに気付いたバゼットが悲しそうな顔をする。本来なら、自分のサーヴァントであったはずの彼……
それがいいように利用されてることに心を痛めたのだ。
「アーチャー! ライダーとバーサーカーを助けられない?」
「なんとかしてみよう……あいつらがそれを許せば……だがな」
 凜に答えながら、アーチャーは白と黒の一対の剣を投影し、構える。
その彼の視線の先では悪魔の群れが今にも襲いかからんとしていた。
「行くぜ、士郎!」
「あ……ああ!」
 フロストエースの言葉に一瞬戸惑った士郎であるが、気を取り直して構え直す。
フロストエースのことが気に掛かるが、今はそれどころではないのだから――
「バーサーカー……シロウ……」
「先輩……」
「士郎……」
 そんなシロウの姿をイリヤはバーサーカーも気を掛けながら、桜と凜と共に心配そうに見つめるのであった。



 あとがき
まずは……遅れて申し訳無い。体調不良もありましたが、ここしばらく仕事が立て込みまして……
私、アイラブユーカンパニーという所でアルバイト作家しておりますが……そこでの仕事が手間取ってしまいまして……
結果、遅れてしまいました。本当に申し訳無いです。
ちなみにフロストエースの進化は……趣味です。うん、趣味なんです……いいじゃないか、書いたって!(おい)
それはそれとして、次回は士郎編の最終回……になるのかな?
士郎と謎の男(バレバレだが)の決着はいかに……というわけで、お楽しみに〜

それと……実はこのSS連載開始して1周年が経ちました。
うん、いつの間にって感じです……でも、お祝いが出来ない……誰か、イラスト描いてくれないかな?(おい)



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