儂はシャツに袖を通し、慣れないダービー・タイを締める。漆黒の軍跨と、これまた漆黒の上着を身につけ、西洋式の軍靴を履く。ベルトを締めた時、バックルの表面を眺めこれにあの国の紋章が入っていないことに気づいた。咎人とはいえあの紋章はいかにも不味いな。そう思い短剣と指輪は鞄に放り込み、手慣れた軍刀を持つ。最後は帽子、目深に被る。
 着替えを終え外に出る。外には伊地知以下、第3軍の将官達が待っていた。彼らは普段の軍服である肋骨服を身に纏っている。珍妙な姿をしているのは儂だけだ。


 「閣下……」     痛々しそうに伊地知が喘ぐような声を上げる。

 「かまわんよ、君たちは責を負う必要はない。怨嗟を受けるのは儂だけでいい。」


 死出の旅路、穏やかさも満足感もなく悲痛と後悔ばかりが頭をよぎる。耐えかねた鮫島が口を開いた。


 「閣下! 閣下に責はありません。我等が、いや! 私が愚かにも出しゃばったが為に!!」


 静かに彼を両眼で見る。あの時から幼き頃、視力を失っていた左目は光を取り戻した。呪いでもなんでも生きて最後に御国が見れる、これだけは唖奴に感謝すべきだろうな。穏やかな顔で言葉を紡ぐ。


 「為らばそなたは生きよ、儂はもはや自ら死ぬこともできぬ惰弱者になり下がった。自裁できぬ以上、軍法を持って処断するしかあるまい。だからこそ全ての責は私が背負って地獄に行く。だからそなたたちは生きよ、楽をさせるつもりはないがな。」


 少し笑う。僅かに揺れる船内、桟橋に付けた輸送船の舷側通路を歩きタラップを降りていく。そう、儂は自ら死ぬこともできなくなった。あの日、この凶相が顔に刻まれた時、50代の老人とは思えぬ頑健な体に作り替えられている事を知った。せいぜい30代、人によっては20代と勘違いしてもおかしくない時代の体力。しかし、その代りに儂の肉体は儂のものではなくなった。いくつかの行動をとろうとすると体が勝手に動きその行動を掣肘するのだ。特に自害しようとするときには…………
 腹掻っ捌こうとして逆手に握った筈の軍刀が、腕はもとより肩すら万力で固められたように動かず何度絶望した事か。
 タラップを降りた瞬間、民衆の声が上がった。儀式の始まりだ。英雄が逆賊として裁かれる瞬間、そうこれでよかったのだ。御国にとっても己にとっても……





―――――――――――――――――――――――――――――








蒼き鋼のアルペジオSS 榛の瞳のリコンストラクト
 

第二章 外交破戒 第6話

     





「人殺し乃木!」  「皆殺し乃木!!」  「鬼畜乃木!!!」


 港の岸壁に降りた瞬間、集まった数百人の群衆から激しい罵声を浴びる。当然だ。奉天会戦、いや奉天大虐殺と呼ばれる結末を大新聞が競って報道した結果である。
 発端は既に解らぬ。しかし奉天で日本軍、露西亜軍、奉天市民が三つ巴になって殺し合い、残ったのは累々たる屍山血河。新聞記者が大勝利と呼ぶのも躊躇うほどの凄惨な現実がそこに広がっていた。
 日本軍によって家ごと焼き殺された市民、ロシア軍によって見せしめに惨殺された女子供、明らかに銃創でなく鈍器や手近な刃物で滅多討ちにされた両軍の兵士達、日本兵とロシア兵だけが殺しあった死体とは思えぬ異様な光景が其処にあった。
 奉天市民に生存者は数えるほど、ロシア軍は逃走した数万を除いてすべて消滅、残った御国の軍隊に否応無く記者たちは怒りの矛を向ける。記者達は自ら悟ったのだ。


 「これはとんでもないことだ! 皇軍はとんでもないことを仕出かした!!」


 さらにそれに数という現実が圧し掛かる、勿論戦死傷者のことだ。奉天会戦が始まる前、いや沙河での対峙が始まる前、日本軍の戦死傷者は概ね三万以下で納まっていた。
一回の会戦や小競り合いで数百から数千程度、旅順も個々の戦いを細かく見ればその程度である。40年後の兵器はそれほどまでの優位を儂等に与えていたのだ。しかし奉天での戦いが全てを変えた。

 日本軍死傷者……13万以上。

 27万以上の戦死傷者を出したロシア軍に対する戦果が吹っ飛ぶほどの物だ。本来『史実』では旅順で屍山血河が大きく報道され儂への非難が高まると同時に我が軍の損害に対する国民の慣れという諦観(あきらめ)が広がっていったのだが、今回はそれが無い。たった一度の激甚な損害が国民意識という心臓を直撃し、急停止させてしまったのだ。


 「満州軍の怠慢! 軍司令官の無能!!」


 煽情的(センセーショナル)な見出しが新聞各面を踊り、庶民の怒りは我等に向けられる。これこそが儂、いや儂等にとって千載一遇の好機! 国民を凹ませ無謀な夢を見させないがための大芝居。儀式として各軍司令官が辞表を提出し大山さんや児玉さんがそれを却下、彼らが陛下に辞意を述べる。しかし陛下はそれを許さず誰が責任をとるかで参謀本部が罪の擦り合い、庶民に面罵されたことで儂が腹を切って責任を取り全ては有耶無耶になる。そういう筋書きだ。


 「戦で血に狂い、都邑を滅ぼした鬼畜生」


 列強の理不尽な要求も乃木が馬鹿をやったからで済めば国民も納得しよう。国も長男も、孫娘すら守れなかった不出来な男には似合いの結末だ。やはり儂には汚辱にまみれた死こそ相応しい。
 群衆の罵声の中、怒りのあまり下駄や食い物、挙句にはそこらの礫まで飛んでくる。適当に投げられただけに命中するはずもないが、少し腰に力を入れいざという時に備える。自分の物にならぬ頑健な体だ、いつ群衆に斬りかかってもおかしくない。最悪ここで自裁する想定もしてある。臣民殺しという評判より儂如きに斬られ悲嘆にくれる家族の方が哀れだ。


 「逆賊乃木! 覚悟オぉぉ!!」


 書生の一人か? 罵声を上げていた男が短刀を振りかざし駆け込んで来る。刃を腰だめに構えず振りかざす有様から殺すつもりはなく、一太刀浴びせる目的だろう。周囲に唆されたか、売名行為か? 今の儂の体から考えれば哀れさ以上に微笑ましく思える程だ。…………暴走してくれるなよ?
 軍刀を持つ掌に力を籠め柄で振り下ろされる短刀を弾く、書生の手から弾かれ回転が加わった短刀の柄を狙い軍刀を持たぬ手で絡め捕る。本来、達人という階梯でも出来ぬ神業が儂の体でいとも易々と踊る。
 いきなり魔法のように短刀を奪われた書生のポカンとした顔を見て少しだけ茶目っ気が湧いた。短刀の刃を握って柄を逆手にし、書生に差し出す、そして一言。


 「すまんな、儂はもうすぐ死ぬ。君が官憲に逮捕され殺人者となる必要はないよ。」


 僅かの沈黙の後……


 「ひょえぅわァアァァァァッツ!!!」


 その書生が魂消る様な声を上げて腰を抜かす。そのまま手と足を激しく動かし後ずさる有様は油虫が上下ひっくり返され退散する如きだ。儂も自らの帽子が先ほどの騒擾で舞ってしまったことに気づく。そうか、
 儂の顔はすでに人の姿形をしていなかった。確かに顔の右半面、そして左半面の眉から上は元のままだ。しかし左顔面は……肌は黒く金属光沢のあるナニカに変わり唇の半分は藍でも塗りつけた様に青黒く染まっている。顔を飾っていた頬髭(ほおひげ)顎鬚(あごひげ)も左顔面は鮮血で染め上げたような真紅の色と、針金のような鋭さに変わっていた。そして、儂の幼小に(めし)いた左目はその光を取り戻したに留まらず……光彩がに変わっていた。そう、孫娘(とうこ)だったモノの様に。
 近くで一部始終を見ていた者の一人が喘ぐように声を上げる。   


 「鬼じゃ…」

 「鬼……」   

 「鬼!」  

 「鬼じゃ!喰い殺されるゾォ!!」


 誰かの絶叫と共に群衆が恐慌を起こす。儂の傍から一歩でも一刻でも離れようと群衆が逃げ散ろうとし、隣の者を引き倒し、蹴倒し、踏みにじる。悲鳴と怒号が交錯し制止しようと駆け寄ってきた警官たちをも巻き込む。
 この時は儂も解らなかった。しかし後年考えてみれば群衆は唯、理由もわからず負け戦を突きつけられたことへの非難の矛先が欲しかっただけなのだ。人殺しも鬼畜もその欝憤を晴らすための言葉に過ぎない。


 しかし、彼らは本物を非難する気などなかったのだ。


 相手が本物の鬼ならどんな祟りが降りかかるや見当もつかぬ。悔恨と恐怖、そしてなにより本物に対する畏れが儂の周囲で爆発し、憎悪が恐慌に取って代わったのである。 群衆が我先に近傍の家屋敷や商店に逃げ込み、挙句には海に飛び込む有様を見て、唖然を口を開きかけていると従卒の鍵島が腕をとる。


 「閣下、今のうちです。御急ぎを……」


 言葉を返すこともできず皆に急かされるように儂は馬車に乗り込んだ。





◆◇◆◇◆





 この後、乃木希典に対する新聞などの対応はまったく違ったものに変わる。憎悪から讃辞に変わったのではなく意図的な無視、噂は噂を呼び大新聞すら彼に関しての報道はしなくなった。大山大将や降格された黒木中将を非難する文面はあってもその記事から乃木の文字は消えている。誰もが本物の物の怪に祟られては堪ったものではないということだ。とある文筆家は自宅の前で記者にこう答えた。


「誰も彼も臆病者と言うわけさ、勿論、僕を含めてね。唖奴の“存在の暴力”の前に誰もが口を噤まざるを得ない。だから嫌いなんだ! あんな奴を生かして国の役に立たせる軍て言う組織がね。奴が生きてこの世がどうなるか不安で不安で仕方が無い。そう思って僕は筆を執るのさ。」


 かつて宗教や平安朝の文学を書き続けた男はそう言って家の戸を閉めた。後に彼は(ぬえ)という題名で激しく軍批判を行い自殺することになる。彼の遺稿に将軍という乃木希典を皮肉った物が残されたらしいが出版される事も無く消えたという。





―――――――――――――――――――――――――――――






「ジェネラルの祖国上陸戦も大したものだよ。集まった有象無象共を顔だけで一閃、ジュリアス・シーザーでも出来なかった芸当だぞ!」


 エンペラーの宮殿(パレス)から退出し大使館に向かう馬車の中、我が家の執事のように苦言を囁く補佐官にボカァこの言葉で笑い飛ばした。彼には大体のあらましを伝えボクの個人的な策謀を任せている。


 「そのまま首都攻防戦にならねばよろしいのですがね。チャーチル閣下? もしジェネラルがハラキリでもすればジャパン国民の憎悪はそのまま列強に跳ね返ってきますぞ。よろしいか! 首相閣下はあくまでジェネラルとジャパンを切り離せと命じた筈です。ジェネラルにマケドニアと統治させろとは一言も言っていません。解任証書ひとつで済めばよいかと。」

 「で、……あの植民地人共にジェネラルの身柄を引き渡せと? 力もつ者に最大の機会を与えることをこの国ではこう言うらしいね。鬼に金棒を持たせる(デーモンハンズクラブ)。」


 皮肉気に言葉を続ける。


 「あの能天気な国民、神という恐ろしく厄介な概念と戦ったことすらない連中に偽物が御し得ると? 本物以上に偽物は性質が悪い。未来、自惚れるのがこの国なら対処もできようがあの国が自惚れたら世界中が迷惑する。だからこそ彼等を死地に送り込み、この国とマケドニア 2つの祖国をジェネラルに対する人質として使うのさ。」


 ホーフブルグから今度は本国の連絡もそこそこに東洋の小国、いやペテンによる奇跡を成し遂げた国までやってきた。大使館のありとあらゆる伝手を使いこの国の皇帝にボクの意見を伝えたのだ。そうしたら向こうから『会ってみたい』と返事が返ってきた。
 正直、生きた心地がしなかったな。ジェネラルを見たことはないから彼が化物という実感は湧かないが、この国の皇帝も一種の化物といっていい。歴史が作り出した怪物(モンスター)、そして彼は首肯したのだ。それも我が祖国ではなくボク個人の策謀と見抜いていた筈の上で……まったく、
 ボクの策謀が実を結べばこの国は二流国の烙印と平穏を手に入れるはずだ。もはや列強にとって適度な気遣いをしてやれば済む市場と考えればいい。植民地のように搾取は行えないが、都合の良い金蔓と言ったところだ。そしてチャイナは列強のモノとして固定される。そして南下してくる北の熊(ロシア)はそれどころではない。


 「(ウクライナ飢饉か。)」


 詳しく調べなければ解らないが日本帝国に都合が良すぎる。たとえ戦争が続いたとしてもロシア帝国に後は無かったという事だ。だから疑わざるを得ない、『彼女』の力を。もし、彼女がその力を振るえることが全世界に公表されてしまえば、我々人類は彼女に平伏すしか手段が無くなってしまう。


 我等は食糧を農牧地でしか作れないのだ。


 全世界の豊作凶作をコントロールされ、大規模流通路――即ち海路――を封じられただけで人類は彼女の前で亡滅する! 救いは彼女にとってもそれはゲームオーバーだということだ。150年間人類を発展させなければならないのに人類が委縮してしまえば、かの中世暗黒時代の再来。その場合、彼女が主か? 笑わせてくれる。
 これほど強力が存在が我等の敵になるのだ。今、その敵は我々を原始人程度にしか考えていない。だから援助もするし保護もする。自らの目的のために投資は怠らないだろう。

 
だが人類を甘く見るな。


 神であろうが悪魔であろうがそれすら道具として世界に覇を唱えた人類は偽物の神など恐れない。彼女を利用し出し抜く……我が祖国の国是でもある『英国は統治する(ルールブリタニカ)』に誓おう。

 
人類は屈しない!(ネバーギブアップ)


その言葉を補佐官に聞こえぬようボカァ小さく呟いた。





◆◇◆◇◆






 このころ北海では謎の国籍不明船数隻を独艦隊が発見、追跡を開始する。これに仏艦隊、英艦隊がまるで出撃準備を整えていたように抜錨し独艦隊と合流、艦隊戦の末、この不明船群を殲滅したとの号外が発表された。
 更にこの不明船は帆走でありながら恐るべき戦闘力を有する軍艦であり現在この船の拠点らしき小島を英独仏【米】連合艦隊が捜索しているとの続報が紙面を踊った。しかしこの話題はそれっきりで各国国民に列強海軍合同訓練のカモフラージュでは? と疑う者もいた程だ。
 そして大衆向けの華々しい報道の裏で各国は取得した技術資料を巡って外交と言う名の暗闘を繰り広げたのである。
 全ては思うがままの筈だった。彼女にとって…………





―――――――――――――――――――――――――――――





 「違う!」

 橙子が叫ぶ、その声は部屋の中に(むな)しく木霊(こだま)した。彼女がいるのは硫黄島の地下ドックの一室。量子演算機を用いた世界の再現室、所謂シュミレーションルームである。白い壁に囲まれ何十という立体ディスプレイが並び中央にコアユニットが鎮座するこの部屋は誰もが知らぬ世界の中枢と言っても良い。その中で世界を動かしている二人? いや一人の意思と集合知性体は当惑の最中にあった。


 「西暦2039までの人類の自壊率37.23パーセント。その主要因は核分裂兵器による相互確証破壊、史実の4.55パーセントからすればあなたの国はおろか世界の破滅は格段に上がりました。」


 我の機械的な音声がさらに続ける。


 「この世界に我等と同等の存在があれば介入する可能性はあり得ます。我等のプログラムに人類の殲滅が規定されていない以上、我等のやったことは未来と言う概念に対する過剰介入ととられかねません。その結果は我々と介入対象への強制的修正行動……即ち抹消です。」

 「じゃあ! なんでこんなことが解っていたのに何も言わなかったの!!」

 抗議の声にそう反応すると想定したことは折り込み済み、我は直ぐに機械的な音声で切り返した。

 「あなたが選択したのです。乃木橙子という存在がこの世界に介入し規定した。あなたはメリットもリスクも解った上で選択したと推察します。」

 抗議……支離滅裂とも言える喚き声を記録しながら機械的な音声の主である我、コアユニットA248-343-300Hはシュミレートを続ける。そう、ここで彼女にゲームから降りてもらっては困るのだ。彼女にはその生命活動が停止するまで人として選択し世界を動かしてもらわねばならない。それがこの惑星という世界でも、小さな家ひとつといった世界でも構わないのだ。
 それでも我は驚きという感情を実装できたことに満足している。この融合体(トウコ)が戦争介入を投げだしたあの日、彼女の祖父の刃は彼女に届くはずはなかった。何しろその前に空間歪曲障壁(クラインフィールド)は展開されていたのだから。しかし、“橙子”の意識がそれをキャンセルしたのだ! 本来なら自滅的な行動であり索敵ユニットに我以外が介入するなど不可能の筈である。それを覆したのだ!
 本来彼女の意識は索敵ユニットの付属個性に規定されていたが、ユニットを乗っ取り、限定的ながら支配下に置いている。これが人間の可能性という物なら、我々の存在意義はあったというべきなのだろう――敵味方友仇いずれにしても――
 意図的な情報誘導を行いつつ我は音声を発する。彼女はサンプルに過ぎないのだ、だからこそ大切に扱う。有力かつ可能性を秘めたは我にかつての霧の艦隊『次期総旗艦』(ヤマト)の答えを導いてくれるかもしれない。




 かつて大海戦において世界に知られることなく消えたフネは違う世界にて自らの存在を探している。人類評定(それ)が始まるのは今より12年後、与えられた時間は量子階梯で思考し学習し答えを導く彼等でもそう多くはない。
 白い部屋の中、彼女の悲嘆だけが流れていく。




 あとがきと言う名の作品ツッコミ対談




 「どもっ、とーこですっ!ようやく本編の状況に繋がりましたっ(喜)」


 ん?5話で繋がっているということにはならないか??状況説明化しているのは否めないけどね。問題は奉天からホーフブルグまでのじーちゃまサイド空白期の半年をどうすべきかなんだよなぁ。外伝でも作りっかな。


 「どーせ無精でネタすら考えていない癖に、でも最初っから悪趣味の状況ね。じーちゃまにSSの制服着せて登場させるなんて。たしかこの状況って作者の妄想から出たんだっけか?」


 うん、本来日比谷焼き討ち鎮圧に出るじーちゃまの服装の予定だったけどプロットコロコロ(笑)な状態になったしね。凱旋のこの時に着替えさせてみた。


 「でもさー日本人の体格であの服着せたら貧弱の一言だよ? たしか1章2話で作者本人書いていたんだしね。なんかちんまい親衛隊員なんて女ならともかく男じゃね。」


 フェリもそうは思ったけど。善通寺記念館の写真みて考えを変えた。『学習院時代のじーちゃま写真集そのいち『相模湾で褌一丁!』何処のアスリート? 位の筋肉の付き方してる。あれで50終盤の年齢だから怖いくらいだね。身長では少し小柄になるけどそのあたりは史実のSS隊員の平均身長くらいにはなるから何とかなると考えてみた。それと少々失礼なやり方だったけどあるキャプション流用して捏造写真作ったら似合う事似合う事……


 「なんかヤな予感……」


 史実における故ヒンデンブルグ大統領国葬式典会場を視察するヒムラーSS長官の隣の人の顔を消してその上から同縮尺のじーちゃま顔写真をぺたり。


 「おぃ(笑)捏造じゃなくて悪戯レベルじゃん。でもたしかヒムラーSS長官の隣の人って……」


 うん、ラインハルト・ハイドリヒSS中将、ナチス系悪役でなら最も映える人物。(威嚇射撃炸裂w)まてー!いいじゃないか悪戯レベルなんだし。


 「プロポーション良くて当然じゃー!!んなアホな悪戯やるならとっとと執筆進めんかー(砲口径拡大中)……ハァ、この作者に悪戯させると歴史上の有名人物もギャク化するわね(砲口径縮小中w)」


 遊びであることは否定しない。でもこのことから第2部におけるプロットに変更が加えられたことも確か。原作のゾルタン艦長のポジションにこの時代ではハイドリヒ閣下が収まることになった。何しろ彼も元海軍軍人だしね。


 「え?もう第2部のプロット作ってるの。」


 原型だけはね。何しろ第2部からはアルペジオの年表人物と事実の有名人が入り乱れる構成になる。当然今連載中の第一部の乃木系列キャラとアルペジオ転位原作キャラも含める。いったいどうなる事やらたのしんどい状態だね。


 「うわーこの作者、エタらなきゃいいけど……でもちょっとびっくり、1章15話のじーちゃま絶叫伏線をこう展開するか。でもこれはレギュレーションである橙子のみチートと矛盾するんでない?」


 かすってはいるけどこれが今回の物語に影響するかは微妙だしビジュアル的には異形と化したじーちゃまの方がインパクトあるしね。それにじーちゃまの肉体もだいぶチート化したけど所詮個人のチートレベル、国家、組織戦が本題の拙作ではあまり意味はない。ルーデル閣下やビットマン閣下がいくら頑張っても独3帝を救えないのと同じ論理だね。


「それでも序章で国家指導者と化したじーちゃまだと十分チートに……あーそうか。」


 気付いたなw実質大日本帝国欧州領をじーちゃまに与えても維持できるかどうか大変不安だったのが理由の一つ、一度台湾総督で失敗しているしね。肉体の維持と情報の優先的獲得位は入れておかないと同じことの繰り返しになる。それと根本的な問題としての統治スタンスと性格、この第2章において徹底してじーちゃま自身の改変を起こしておかないと物語が破綻するからその保険という意味合いも強い。このあたりは作者がよく読んでいるSSの諸作家様に感謝、キャラクターをどう構築し変化させていくか非常に参考になってる。


 「丸パクリはしないでよ?」


 しないって(笑)それと第1章の約束を果たせたことも大きかった。ようやく一節分だけど大先生登場!彼の史実との差異こそが日露戦争の結末の違いとも言っていいと思ってる。


 「ハァ? 芥川大先生は元から軍大っ嫌いの人だし露骨にじーちゃま批判してたじゃない?? この作品でもほとんど変化ない状態だと思うけど。」


 かなり違う。彼の作品を全集とかで読むと以外に中立的な物の見方をしている。でも今回、拙作でのオリ作品である鵺で激しく軍批判を行いと書いているだろ?彼は基本陸軍が嫌い、海軍は憧憬的なものの見方もあって比較的中立な性格だったそうだけど。今回の日露戦争によって陸軍嫌いどころか陸海軍憎悪に変わってしまったんだ。完全な反軍思想作家化だね。だから新聞記者にも公然と軍批判をやったし将軍も後の時代でのじーちゃまの行動を批判しているという名目で事実上の発禁処分となった。


 「もしかして作者、大先生アンチ?」


 うんにゃ、それはない。むしろ大先生がそう変わらざるを得ないほど世界が激変した事実を表現したかったのさ。もう過去には戻れない、ではどのような未来が待ち受けるのか?大先生の名言『漠然とした将来への不安』に大日本帝国全土を叩き落したじーちゃまと橙子を間接的にクローズアップさせたわけ。


 「また回りくどい方法を(汗)じゃ最後に最後の一節を、結局橙子は傀儡にすぎないわけか。でもこれに納得できるの?わたし」


 自分の命を楯に取られているからね。誰だって命は惜しい。要するに命と引き換えた力以上にボーナスをもらってそれを使って失敗したようなもの。なんか文句ある? そんな感じかな? それに橙子は力の加減と向けるべき方向を初めから間違っていた。簡単に丸めこまれて誘導されてしまうだろうね。残念だけど彼女単独じゃ自我意識の形成が不十分な大海戦時の『霧』にすら手も足も出ないんだ。ま、彼女も彼女で霧に対する浸食能力持ちだから『霧』も迂闊に手を出せない。どちらも『相手が何をしてくるかを考えて』行動しなきゃならないんだ。双方未熟だけど立派に政治ゲームをしてるんだよ。


 「ひぇぇ!!責任重大だわ わたし」


 今頃気づくかよ


 「ならもっと早く言えー!なんであの対応2章8話が必要か悩んだからー!!」


 元ネタを絶叫すなー!!


 (轟音と絶叫が複数回交錯)



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