不思議なハッピー・デイズ

 

魔法少女リリカルなのはStrikerS

Another story's

  Fate-T- Harlaown

前編

 

―フェイトside―

正直、よかったんだろうか?

 

今日、12月24日。痺れるような、でも快晴の空の… ここは、時空管理局古代遺物管理部―機動六課―……その庁舎の前。

体の芯まで凍ると思うほどの寒さだったけど

それは同時に今日という日の始まりを私に、感じさせてくれるには十分の寒さ…やっぱり、 寒い。夢じゃない。

 

そう、今日という日を数日前からずっと。。。ずっと、 私は待ってた。

それは、数日前。丁度、私が所属するライトニング分隊 が24日を休みにすることが決まった日だった。

ミッドチルダでは、特別な日ではなく、でも日ごろ休暇 を取れない六課のためにはやてが分割して用意した、大切な休暇の日。

それが偶々12月24日だっただけの…そのだけの日に なるはずだった。

 

法務担当として、事務処理に専念してたらキャロが柔ら かい声とノックで入ってきて、それが今日という日を、意味あるものにする最初の鐘だった。

 

 


 

 

12月上旬 地上陸士部隊 機動六課 法務担当室

 

 

「…遊園地?」

 

そう、その日。キャロが頼みに来た話はいたって簡単か つ、ちょっと保護者としては気になる話だった。

エリオと一緒に休日を過ごすことにして、この前の話で あがった遊園地に一緒に行くことにしたらしいのだけど…

 

「そ、その。私とエリオ君だけだとちょっと…」

 

明らかに顔を赤くしてるキャロを見ていたら、なんだか すべて分かっちゃう、から不思議だと思った。

保護者として、確かに二人のなのはやはやて疑惑「ち びっ子カップル」なんていわれてる二人の仲は見守るべきだと思うし、遊園地ほどの広さもあるところだと

さすがに二人だけでは…心配ということはないけど、で もやっぱり私がいたほうが何かと便利なのは事実なのかな?

でも、私が行っていいのかな、という思いもあって…だから、それをたずねておくことにし た。

 

「分かった。キャロ、安心して。私もついて行ってあげ るから。でも、本当に私が一緒に行ってもいいの?」

 

「あっ、はい!」

 

そのまま、日程表みたいなものを渡してもらって、色々 と会話して嬉しそうなままキャロは退室して…ただ、そんな光景を見るとちょっと悲しくなる。

私はそれと言って、異性を好きになったことはない。

最後に異性を意識したのは、クロノと兄妹になったころ だったかもしれないぐらい、私は異性に疎い。

執務官としての勉強や、仕事を次から次へと処理していたころが丁度、なのはたちの世界で 言う思春期だったのは、多分にまずかったのかもしれない。

 

結局、今でも私、なのは、はやてとも浮いた話は聞かないし…

 

そういう自分を考えると、キャロとエリオは…保護者なのに羨ましいって気持ちが少しでも ないとはいえない。

気になってる人がいないとはいわない。けど、正直それが『恋』なのかすら曖昧で……

 

「ふぅ……ユーノかぁ……」

 

イスにぐったりと深く座りながらも、私は一人の青年のことを頭に浮かべていた。

それは、執務官試験を受けるために管理局の知識とまで いわれる無限書庫の資料を探しに行ってからの付き合い、といった方がいいのかも入れない。

それまで、私とユーノはどっちかというとなのはを挟ん での話が多くて…なのはを間に挟まないで話をするってことはほとんどなかった。

 

あれから、定期的にあってること、実はなのはにもはや てにも言っていない秘密。

でも、全然恋人とはいえない不思議な関係。友人にして は近すぎて、恋人にしては離れすぎていて…きっと、そんな曖昧な関係。

私もユーノも到底、精神的に良い思春期だったとはいえないし…

むしろ、書庫に入り浸りのユーノなんて、思春期を迎えないまま大人になったんじゃないか と思ってしまう。

 

とにかく、そんなことよりも私には法務担当として、書類の山の処理に専念するべきなんだ ろうけど。

書類整理や処理もユーノに見習うところも多かったりして…教えてもらったりして…

ああ、もちろん、やましいことはないんだけど。。。なに言ってるんだろう、私。

 

六課の関連書類といっても過半数ははやてが処理してるから、そんなに時間はかからず、一 時間程度で片付いて。

 

「ああー、フェイトちゃんおる?……って、仕事中?」

 

ノック無しで扉を開けて入ってきたはやて。手元に書類を少し持ってるし、忙しそうだ。実 際に六課で一番忙しいし。

 

「ううん。今、ひと段落ついたところだよ?」

 

「ちょうどよかった。そうならちょっと仕事頼まれてくれへんか?」

 

「仕事?」

 

仕事自体を私に頼んでくることは多いはやてだけど、なんかいつもと違うような…?

こう、はやてのテンションが違う気が…なんなのか、はっきりとはいえないんだけど…正 直、凄い熱気というか、殺気というか、そんな気迫が出てるよ、はやて(汗

 

「せやっ!無限書庫に行って…ユーノ君に…」

 

「ユ、ユーノに…?」

 

「…とりあえず、わたしのもっとる書類を渡してきてくれへん?後は…まあ、倒れておらへ んか調査や。このごろ、フェイトちゃん、定期的に書庫行ってるみたいやし」

 

えっ……?

 

「え!?は、は、はやて知ってたの!?」

 

その時の私は私らしくなく相当慌てているに違いない。

で、でもなんではやてがそんなこと知ってるんだろう。た、確かにこの頃は時間が空くとき に会いに行って、そもそもそのスケジュールははやてが決めたもので…

プレシア母さんの子といえるスピードの考察をしてみても、やっぱり分からず。で、でもは やてにばれてたのか…あうぅ…

 

「そりゃ、一応上官やから、部下の行動はある程度把握してるつもりやよ?うんうん、フェ イトちゃんの相手はユーノ君かぁ…ふむふむ…」

 

「ちょ、ちょっと!は、はやて!私はユーノとはそんな関係じゃなくて…」

 

「そうなら、どんな関係なんや?」

 

「えっ・・・・・・」

 

はやてにそう言われて再び考えてしまう、私とユーノの関係。

曖昧すぎる。同時に今の私の、行動。それはきっとはやてから見ても単なる友人には見えな かっただろう。

考えて、思って、また考えて…ユーノの存在、執務官の試験の勉強で教えてもらって、今も 教えてもらって…その理由は…

きっと、きっと…そうやって思ったことを勃々とはやてに、私は話していた。

 

「うーん。確かに『曖昧3センチ?』とまではいわんけど、曖昧やな。それは。」

 

「はやて、いきなりネタはやめようよ…一応、私も本心で言ってるんだから…」

 

「すまへんすまへん。大阪の血が私にボケろと…とにかくや、本当に曖昧や。だけどそれ は、関係云々以前に二人ともどうしたいかが曖昧っちゅう意味やけど

つまりや…フェイトちゃんはどうしたいんや?ユーノ君とどうしたいんや?

同時にユーノ君も態度が曖昧やな。正直、私もつい最近まで二人が定期的に会ってること、 しらへんかったし。」

 

私しだい、といわれても、やっぱり実感がわかない。

きっと、ユーノに好意は持ってる。でも、その好意が友人なのか、恋人としてなのか、それ が…でも、なのはやはやてを思うそれとも違って。

 

「はぁ…こりゃ、重症やな。まったくもって、思春期を法と秩序の守護者に掲げるのも考え もんやぁ…まあ、確認には丁度よかったんね?

ユーノ君もちょうど、24日。休みなんやよ。と、そこまで来るともう、フェイトちゃんと 日程合わせるしかないやないかい!」

 

ちょ、ちょっと〜、と声をかけてみても聞こえないのか、それとも聞こえていてその上で無 視してるのか、はやてはやる気満々だった。

こういうときのはやては、私でも止められない。はあ、と思う一方でちょっとした期待も…

そんなこんなで、そのまま私一人の予定だった、無限書庫への渡しは、はやてと私の二人で 行く結果になっていた。

 

――仕事はいいのかな、はやて?

 


 

 

そのまま、ユーノに話をはやてがつけちゃって・・・でも、はやて…

『休みで家でゴロゴロはあかん!こう、いい歳してそれはあかん!こう、接近3ピクト、そ れまでって躊躇だ!的な心構えが必要なんやよ!

まあ、そういうわけで、今回は私八神はやての独断で、フェイトちゃんがユーノ君の休暇の 護衛担当や♪』

って…正直に言うと、それでどうやれば特別捜査官やれたんだろう…押しの強い捜査が有 名ってそういうことだったんだ、と私ははやての評価を改めて…

 

とりあえず、今、私はユーノを待っていた。管理局機動六課前で…寒いから、コーヒーを 持って飲んで…

 

 

 

予定時間の30分前…しかも、それが待ち合わせならともかく、待ち合わせは六課であって

別に外で待たなくてもいいのに、朝の5時に待ってる私…やっぱり、どうかしちゃったの… かな?

 

 

その時、私は数日前から思っていたことをある程度整理できているつもりだった。

はやての言う通りなのか、ということを。何度整理しても結局、でも、という後がついて…

結局、整理なんていう方法じゃなくて、決着をつけないと終わらないと思って。

 

「…早く来ないかな、ユー…」

「ボクのこと呼んだ?」

 

後ろからだった。その声は。

えっと、そっと…イ、今の声は、そ、そのま、間違えなくてユ、ユ、ユーノ!?!?

 

「え、えっ!?!?な、な、なんでユーノがここにってまあ今日呼んだけど、なんでいつの 間に!?」

「あ、結局仕事が最後まで尾を引いてね、時間までに来れそうも無かったから、リンディさ んに頼んでトランスポータの使用許可とって直接ね

ただ、使用理由を言ったら『あらあら、まさかのダブルデート?』っていわれて、困っ ちゃったよ」

 

うん。兄さんも兄さんだけど、それ以上にかあさ…えっ?!?

私の頭の中で、ちょっとだけ・・・ちょっとだけ、怒り狂う兄さんの姿が…

なのはやはやてがいうに「ぶらこん」っていう感じだって言ってたし…兄さん。

 

「そ、それじゃ、今日のこと母さんにばれちゃったの?!」

「え、そ、そうなるのかな…ま、まずいことでもあった?」

「そ、それは特に無いんだ。でも…兄さんが…そ、その母さんの言うことをそのまま聞く と…」

「ク、クロノか…ま、まあリンディさんはそこら辺はちゃんとオブラートに包んでくれる と…思うけど…」

 

といいつつも、私も、それと私の目の前で同じように考えていたユーノも、結局、母さんの 気分次第な性格に、確証がもてなかった。

でも、ただユーノがいることに安堵を感じてる自分に、私は底知れない思いを感じ始めて た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ユーノside―

 

「…ほな、フェイトちゃん。一応提督と同位というかミッドチルダ政府国務大臣と同位で

時空管理局首脳陣と実際権力が同位、ちゅういったほうがいいんかもせーへんけど

無限書庫司書長のユーノ君の護衛とストレス解消、ゆっくりとするために休暇の護衛、頼む わ。

ああ残念ながら、私はミッドチルダ地上本部で緊急会議やぁ…まあ、トランスポーティッ ク・エディも一時的に発生しよったし仕方ないっていえばそうなんやけど…

ああ、残念。大いに残念!二人が一緒に遊園地なんて、まさしくデ○トやないかい!エリオ君!キャロ!にちゃんとカメラで…」

 

機動六課部隊長室。入った僕とフェイト、それと今日、遊園地に出かける予定のエリオ君と キャロちゃんだったけど、はやてのこの言葉で

少し…後ずさりしてる(汗

無限書庫、それはそれこそないものは無い、といわれるほどの超大規模・アナログ・データ ベースだ。アナログなのが凄い致命傷なんだけど。

それゆえにか、僕の権限はうなぎのぼりでいつの間にかそんなところ…国務大臣と同位なん てところまで来てしまっていた。

いや、それは認めるけど…僕の前でこれだ もんなぁ…、はやて、本当に特別捜査官だったのかな?

 

「はやて…私に言ってることとエリオたちに言おうとしてること、違いすぎだよ」

「はやて、あのさ…今回ばかりは僕もフェイトに同意するよ。というか、なのはの世界で言 う『関西人』だったかの血を丸出しだね?」

「ああ、それはちゃうな。私は京都訛りで、大阪とはまったく関係ないんよ?」

 

へぇ…地方によって違うんだ…って、そこに納得するところじゃないぞ、自分!

まあ、大体来た理由は分かるけど。というか、はやての第一声から大体想像できる、といい ながらも、数日の出来事まで、それは戻る、のかな?

 

 


 

 

12月上旬 時空管理 局本局 無限書庫 司書長室

 

 

「スクライア司書長。来客ですが…」

 

朝、といってもなんというか…徹夜を2回ほど連続でやった3日目の朝だった(?)から、 無糖のコーヒーを入れて目を覚ませようとして

丁度、入れたコーヒーを飲もうとした時だった。

秘書さんが、内線で通信をいれてきたのは。

何だろう、と思って相互通信を開いたら、目の前のウインドウに出てきたのは…はやてと… フェイトだった。

 

「おはよう、フェイト。はやて。どうかした?」

『…ユーノ。もうお昼だよ?また、徹夜してたの?ダメだよ、そんな無茶ばかりしたら』

「ご、ごめんなさい」

 

も、もうそんな時間?フェイトの尋問というか追求は、今回に始まったことじゃないけど、 もうお昼だったのかぁ…3日目にはいると時間の感覚も薄いなぁ…

1週間やると曜日の感覚すら薄くなるんだけど、ここ最近は部下の司書さんたちも慣れてき て、そこまで苦労することも無かったんだけど…

というか、フェイトには僕も弱いなぁ…なのはもそうだけど、自分の無茶はいいけど、他人 の無茶は許さない…って、それは僕も同じか。

と、二つ目のウインドウに分離したはやては、なんだか呆れ顔だけど。ど、どうしたんだろ う?

 

『はあ……いまどき、こんな定番の光景、ドラマでも見なへん…ベタすぎや…

まあ、このさいそっちはどーでもいいんやけど…とりあえず、頼んであった資料はできて る?』

 

何か突っかかることをいくつか言っているような気がするけど…まあいいか。

手元にはもう要約したデータカードはできてるし、そのデータをはやてのほうに…

 

「いやいや、やっぱり管理局一環境が整っている無限書庫は違うわぁ〜地上本部はもう寒く て寒くて…」

 

た、確かに来客とはいっていたけど…まさか、ここに普通に二人が入ってくるとは…一応、 生活レベルが悪くても男の子なんだけどなぁ…

って、もう子なんていう年でもないか。

もっとも、成人男性の一応の部屋(一応自室もあるけど)にズボズボ入るはやてたちもはや てたちだけど。

 

「勝手に入って…まあ、いいけど。そういえば、ミッドチルダ地上本部地域は冬だっけ?」

 

珍しいことに、地球の日本のある地域とミッドチルダ地上本部のある地域はだいたい季節が 4季あって、しかもほとんど同じ時間帯。

だから、同時に地球でもこの時期は冬のはず。まあ、はやてもフェイトもあまり地球には帰 れないから考えるだけ無駄だけど。

 

「そうだよ。ユーノ。そ、それにしても…コーヒーが無糖…3日目?」

「あは、あははは…」

 

うーん。まさかコーヒーの味で徹夜何日目を当てられるとは思っても見なかった。

それだけ、この頃はフェイトに助けて…と、はやてはもう終わりにしてくれ、みたいな表情 で…いや、どんな表情かはむしろ印象として伝わってきたんだけど…

耳元まで近づいてきて…

 

「ええい、いい加減にせい! この定番パターン新婚夫婦っぽい空気だしとる二人は!」

 

な、な、な…小さな声で、だけどはっきりとはやては…

いきなり、し、しかも夫婦って……でも、はやての顔は…お世辞にも真顔には見えなかった (汗

なんか、いまの状況を楽しんでいるというか、なんというか。ただ、嘘を言うような感じで はないし…ああーー確かに、今の空気は…

真っ赤な顔にきっと今の僕はなってるだろうなぁ。しかも、目の前にはフェイトが。

恥ずかしい、なんてここ数年間思わなかった感情がこみ上げてきて、ああーどうしようもな いよ!本当に!

 

「は、はやて! そ、それでそれだけの用で来たわけ?」

「いやいや、そんな用事だけで来るほど私も暇やなくてね。本局に来るついでに私は来ただ けなんよ。マリーさんとオーリス三佐とちょっとなぁ?

まあ、それはどーでもいいんよ!フェイトちゃん。ここは攻めや!ターン開始や!リバース カードオープンやぁぁ!!」

 

何か、は、はやては悪い病気にでもかかったのかな?(汗

って、まあ前からあんな調子で面白いことにはとことん突っ込む性格だったっけ。面白いか は知らないけどそういう性格は本当いい性格してるよ。

 

「あ、そ、そのね。エリオとキャロが今度遊園地に行くらしくて。それで一緒に保護者とし てきて欲しいってチケットを……2枚くれたんだ。

それで、もし再来週の24日空いていれば、と思って。エリオのことをよく面倒見てもらっ てたから。その…一緒に行かない?」

「うんうんフェイトちゃん。流れはバッチリ!安心せい、すでにユーノ君がその日休みなの は調査済みや」

 

勝手に調査しないでほしいんだけど、その…はやてさん?

というか、だから昨日あのいつもは仕事ばかり持ってくるクロノがいきなり休暇命令出して きたのか…

まあ、きっとこういう込み入った事情は知らないんだろうけど

でも、エリオくんか…ちょ、ちょっと待ってよ。落ち着け。僕よ落ち着け。

今、フェイトはなんて……?『一緒に行かない?』…?

って、ことはも、もちろんエリオ君とキャロちゃんの監督者として、僕とフェイトが二人 で、二人で!?

 

「ちょ、ちょっと待って!それって…」

「安心せえ。ダブルデートでも何でもあらへん。ユーノ君が選ばれたのは、まあ多少歪曲は あるけど、なのはちゃんや私は仕事が入ってて

エリオ君が、ユーノ君を名指しで指名しただけや。なあ、フェイトちゃん?(話合わせて や)」

「え? え、え、えっとそ、そうなんだ!(私、そんなこと聞いてないよ!?)」

 

な、なんかそうなんだ、って言ってるフェイトが一番慌ててるんだけど、な、なにかありそ うな…

 

でも、自分の心は、きっとこの誘いを喜んでいる、はあぁ…こんなの10年前を最後にして いたはずなのに。

はずなのに、今目の前に僕の返事を待っている金髪の、もう少女ではない彼女、フェイトの 顔をまじまじと見たら、ふっと戻ってきて。

10年前になのはに一目ぼれして、それがやっと風化した、自分でそう思っていた矢先に、 その心は完全に僕に戻ってきていた、のかな?

 

そう思うと、僕も緊張してしまう。どう見てもつじつま合わせにしか見えないし。

Infinity Library 無限書庫にずっといると、どうしても外界との接触は少ない。僕だって同じようなもの。そういう意味ではその誘いは嬉しい

…いや、隠すのもやめよう。フェイトに誘われて嬉しい自分がいるんだ。さっきも思ったよ うに。

 

でも、その…恥ずかしいというか…

そんな思いも、だけど真っ赤な顔で僕の返事を待っているフェイトを見たら、もうどうでも よくて。

 

「…うん、分かった。24日の休みには、六課に行くよ。ありがとう、フェイト」

 

思えば、それがすべての転機の始まりだった、と後の僕は思うんだろうなぁ…

 


 

 

そう、その約束から2週間近く、僕はなんとも複雑な心境を自分の中でまとめて、司書たち がいうと「単に恋人になんていうか悩んでいる」

とかいってきたけど、心を落ち着かせた。

本当に、自分は恋、なんてほとんどしたことがない。

しかも、結局初恋…だったと思う、なのはに言えないまま…時が過ぎた。

そして、その思いはいつの間にか、大切な友人へと昇華していた。

 

そんな曖昧なまま、フェイトにも何も言えないまま、ということにできるとは今は思えな い。

あの時と違ってもう僕もそこそこに大人だと思ってる。

ただでさえ、今の状況が「曖昧な状況」だと、僕だって理解してたさ。無限書庫に頻繁に出 入りするフェイトに、毎度無理している僕は叱られて。

それを日常に、フェイトの顔が見れて嬉しいとすら思っていた自分がいたことにも。

 

そんなことをしていれば噂だって立つ。無限書庫では「フェイト執務官は司書長の妻に違い ない!」なんていっているところを見かけた時には

怒るよりも先に、そんなことになることを思い浮かべていたことすらある。

いつの間にか、いつの間にか僕は、あの笑顔に惹かれていた。

 

誘いは、はやてから後で来たメールによると「エリオ君の要望もあったけどフェイトちゃん 自身が望んだこと」らしい。

それがどういう意味を持つのか、僕は気が気でないまま…当日まで来ていた。

 

雪が降ってもおかしくない、そんな寒い日が。

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

文字サイズを小さくすると、途端に甘い系統の文体になる(通常サイズだと仮想戦記もの) グリフォンです(汗

現在進行形で進んでいるアニメこと、魔法少女リリカルなのはStrikerSのアナザー 系統です。本編7・8話で堂々なのユーな空気見せてくれましたし(ぁ

ゆえにどう見てもアナザーなフェイユー二次を書いてみました。

今回、挿絵が私のネット友達の月見里ゆいさんに頼んだものなので、正確には「共同作品」 に近いわけですが…

多分、この後が中編、後編と三話分で完結するかと思います。フェイユーっぽく、実は中編 はキャロエリな空気が大きかったり(ぁ

まあ、ご都合主義多々なので(本編終わってないし)、本当にアナザーストーリーというこ とでお願いします(笑

なんとなく、上の題がそもそもフェイトなので、フェイト比重を増やしたかったのですが、 出来上がった前編はユーノと文章比率が5:5という(汗

 

 

追記(絵担当の月見里ゆいさんより)

下手です穴掘って埋まります(ぇ

 

 

文 グリフォン

絵 月見里ゆい 

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