前書き
この作品は東方Projectとペルソナシリーズのクロスオーバーです。オリジナル主人公の他、キャラの性格などが若干不自然に思われたり、戦闘が異なったりするかもしれませんのでご了承ください。
OP→『色は匂えど 散りぬるを』
主な登場キャラ設定

名前:綾崎(あやさき)優也(ゆうや)
能力:仮面(ペルソナ)を付け替える程度の能力
備考:2011年4月にとある都市の田舎町に引っ越してきた高校1年生の少年。八雲紫と廃れた博麗神社で出会い、彼女によって幻想郷に招かれる。ペルソナという力を得て、幻想郷にて起きる不可解な異変に立ち向かう。アルカナは愚者。召喚レベルは55。


名前:藤原(ふじわらの)妹紅(もこう)
能力:老いることも死ぬこともない程度の能力
備考:人里と迷いの竹林の狭間に住んでいる女性。蓬莱の薬を飲んだために不老不死という、人の道から外れた存在となる。戦うたびに怪我をする優也を永遠亭にまで案内する役が定着するかもしれない。アルカナは塔。コミュニティはなし。


名前:上白河(かみしらかわ)慧音(けいね)
能力:歴史を食べる(隠す)程度の能力、歴史を創る程度の能力
備考:人里の守護者であり、ワーハクタク。普段は人間の姿をしているが、満月の夜になると獣人に変身するらしい。人里に住む者たちを愛していることもあり、幻想入りして日が浅い優也のことを心配している。アルカナは法王。コミュニティは法王。

4、
名前:博麗(はくれい)霊夢(れいむ)
能力:空を飛ぶ程度の能力
備考:幻想郷の平和の象徴でもある博麗の巫女。外の世界とを分け隔てている博麗大結界の管理人でもある。幻想郷において起きる異変解決の専門家であるが、普段は巫女らしくない巫女の振る舞いをしているいたって普通の少女。アルカナは愚者。コミュニティは正義。

5、
名前:霧雨(きりさめ)魔理沙(まりさ)
能力:魔法を操る程度の能力
備考:優也がアリスの家でであった魔法使いの少女。普通の魔法使いと自称している。アリスとは同じく魔法の森に住んでいることと魔法使いということで親交がある。優也が来る以前の幻想郷で起きていたいくつ者異変を解決している実力者でもある。アルカナは魔術師。コミュニティは魔術師。

6、
名前:アリス・マーガトロイド
能力:人形を操る程度の能力
備考:優也を魔法の森で介抱した魔法使いの少女。人形を操る魔法に特化している。最終的に完全な自立行動をする人形を作り上げることが彼女の夢でもある。アルカナは女教皇。コミュニティは女教皇

7、
名前:射命丸(しゃめいまる)(あや)
能力:風を操る程度の能力
備考:烏天狗であり、妖怪の山に住んでいる。天狗の間で流行である新聞屋を彼女も同様に趣味で行っている。文文。新聞という名の新聞を書いているが、中身がでっち上げや誇張が多いということであまり信憑性はない。彼女自身はそう言われてもあまり気にしていない。新しい外来人であり、ペルソナを操る優也にネタ的な意味で興味を持っている。アルカナは悪魔。コミュニティは悪魔。



―4月16日 魔法の森―


 食事を終えてから魔理沙は向かうところがあるということで先にアリスの家を出ていた。何でも“紅魔館”と呼ばれる洋館に向かうとのことだった。
 一体その洋館はどういうところなのかと尋ねる。すると返ってきた答えは優也の考えの斜め上を行くものだった。

「そこは吸血鬼が住む洋館よ。その吸血鬼と仲のいい魔女や、付き従っている妖怪や人間なんかもいるらしいわね」

 やはり国というのは関係ないらしい。吸血鬼などという存在もこの世界に入り込んでいるようだ。魔女がいると言うことから魔理沙は魔道書などというものを借りに行ったのだろうと考える。
 するとそれに対してアリスがため息をつきながら答える。

「“借りる”というよりも“死ぬまで借りる”……つまり“盗み”よ」
「はっ……?」

 アリスの言葉を聞いて、ただそう呟くことしかできない。
 どうやら彼女による盗みというのはアリスにも被害が来ているようだ。彼女が持っている魔道書のいくつかも彼女が死ぬまで借りていくという名の盗みよって、まだ一冊も戻ってきていないとのこと。
 それについて追求はしないのかと尋ねる。
 しかしいくら言っても改善されることはないらしい。もはや諦めたようであるアリスは深いため息をつく。彼女ができるのは必要な魔道書を取られないように隠しておくか早めに読んでしまうことらしい。

「あの魔女、今日も涙を見ることになるかもね」

 そう黄昏たような表情でアリスが呟いた。
 少しだけアリスのことを知ることができたような気がした。


―4月16日 魔法の森―


 しばらくしてから二人は家を出て人里へと向かうことにした。
 このままアリスの家にいるのもやはりお互いが異性だということもあって却下になっていた。それに優也としてもアリスに負担をかけるわけにはいかない。あの夜に助けてもらっただけでもありがたいことなのだから。
 そう言った時、アリスは別段気にしている様子ではなかった。しかし優也の気持ちを汲み取ってくれたのか、人里に家を構えることに賛成したのだ。
 二人で魔法の森を歩く。
 アリスはいつもとは色違いの洋服にトレードマークともいえる赤いカチューシャをつけている。その手には大きめの魔道書のようなものを抱えている。しかし革ベルトのようなもので十字に固定されており、とても読むためにあるようなものではなさそうだ。
彼女の回りには数体の人形たちが浮かんでいる。
 その人形たち一体一体に様々な得物が握られている。長槍であったり、薙刀であったり、西洋剣であったりと様々だ。弾幕の他にも人形たちによる直接的な攻撃も戦闘手段の一つらしい。
 かわいらしい容姿の人形たちであるがその得物と合わせてみると少しシュールだ。
 魔法の森は他のところと比べて瘴気が濃い。
 そのために普通の人間が堂々と歩けるような環境ではないのだ。
 その瘴気とは魔力素のことである。普通の人間にとっては普段身体にないものが入り込むことになるので体が拒否反応を起こすということだ。
 しかし彼女や魔理沙のように魔法使いにとってはうってつけの場所でもあった。そのために二人は普通の人間が生活している場所から離れたこの場所に家を構えているのだった。
 日中とはいえ木々が密集しているためにやや薄暗い。いつどこから何が現れるか分からない。家を出る前にもアリスから注意するように言われていた。
 ようやく魔法の森の中間辺りに来たところだろうか。相変わらず不気味な雰囲気が漂っている。アリスを先頭にその後ろを優也がついて歩いている形だ。

「取り敢えず人里に向かっているけど。着いたらまずはどうしようかしら」
「寺子屋……慧音にでも頼んでみるしかなさそうだな。数日はあいつの家に厄介になっていたから。まあ、人里に空き家があればそこを借りるさ」
「ならまずは寺子屋に――」

 アリスがそう言い後ろを振り返った――その時だった。
 突然に優也の背後にあった草むらから妖怪が飛び出してきた。それほど強い部類に入るような妖怪ではないためにすぐさま反応したアリスは不可視の糸を操って人形たちを向かわせる。
 牛のような顔を持ち、一つ目はギョロリとこちらを見下ろしてきている。二足歩行をしているそれが巨大な拳を振り下ろしてきた。
 人形たちが物凄い勢いで優也の横を通っていく。それに反応して慌てて横に飛びのく。
肩越しに後ろの様子を見る。
人形たちが振り下ろされた拳をかわしてそれぞれが持っている得物によって切りかかる。細かな切り傷が妖怪の身体に刻み込まれていく。
 しかしそれでも微々たるダメージしか与えられず、妖怪の咆哮に人形たちはやや後退せざるを得ない。
 鋭い爪が人形たちから放たれる色とりどりの弾幕を切り裂いていく。それでも着弾するたびに一歩、また一歩と妖怪は後退せざるを得ない。
 図体がでかくとも実力的にはアリスには遠く及ばない。
 優也もそれを見ているだけではなかった。
 自身も戦わなければいけないというような義務感的なものに突き動かされるがままにペルソナを召喚するために集中する。
 そして光の放流と共にペルソナが召喚される。

「……“ジャックフロスト”!」

 雪だるまのようなペルソナが召喚される。くるりと一回転してそのペルソナは氷結系の魔法を唱える。
 低級氷結系魔法の“ブフ”が妖怪の足元に放たれて氷付けにする。突然動けなくなった妖怪は完全に身動きを奪われる。思わず手を地につけてしまい四つんばいの完全な無防備状態を曝け出してしまう。
 今だといわんばかりに二人はそれぞれ叫ぶ。

「トドメよ、咒詛「魔彩光の上海人形」」
「任せた、“アルトリア”」

 複数の弾幕と共に数体の上海人形が武器を持ちながら飛ぶ。それぞれの得物で妖怪に切りかかる。小さなダメージでも確実に蓄積していたために妖怪の悲痛な叫びが森に響き渡る。
 アリスのスペルに続くようにして召喚された“アルトリア”が不可視の剣を握り締めて接近する。腰高に構えられたその剣が横一線に妖怪に向けて振り抜かれる。
 斬撃攻撃が叩き込まれ、衝撃で妖怪の足を拘束していた氷が砕け散る。そのまま後方に吹き飛ばされた妖怪は後ろに迫っていた樹木にもろに身体をぶつけ、ずるずると下に崩れ落ちる。
 気を失ったようで動かなくなった。
 いきなりのことだったがお互いにうまく合わせることができ、撃退することができた。

「ペルソナって便利ね。そうやって戦闘にも使えるんだから。正直、今は私一人でやることになると思ってたわ」
「戦い慣れるだなんて勘弁して欲しいけどな」
「ついこの間までは一般人だったんでしょう? この状況で慌てふためかないなんて神経が図太いのか、それとも――」
「まあ、なんというか……」
「まあ、いいわ」

 戦闘が終わり一息ついているとアリスが話しかけてきた。ペルソナという能力が戦闘に特化していることに気付いたようだ。
 助けられた時にはよく見たわけではなかったのでようやくただの人間でしかない優也が何故あの時助かることができたのかを理解できた。
 とはいえ幻想郷に来る前まではこのようなことにはほとんど無縁であった、喧嘩だってほとんどしたことがないというのに命のやり取りなどという危険なことをすることになるだなんて思いもしなかった。
 アリスが言うように、どうしてここまで落ち着いていられるのだろうかと自分でも不思議に思う。とはいえあれこれ考えても仕方がないと思う。
 アリスもあまり深くは考えるつもりはないらしく、それ以上そのことについて話すことはなかった。


―4月16日 人里―


 あの妖怪以降襲われることがなかった二人は比較的スムーズに人里に到着することができた。
 アリスはそれほど多い頻度でここにくることはないらしい。時々中央の広場で人形劇を披露したり、食料を調達するくらいだという。
 取り敢えず向かう先は家を出るときに決めていた寺子屋だ。
 人里で生活をするとすればやはり人里の守護者たる慧音に話を通すべきだと考えていた。以前は慧音の家で数日世話になっていた優也。どこに彼女の家があるのかは記憶に残っていたので迷うことはなかった。
 お昼まではまだ時間のある時だったので人の往来は少ない方だ。皆々が店を展開したり、農地の方に出かけていたりと忙しい時間帯だ。
 子どもたちの姿も少ないと見るや、おそらく寺子屋の方に勉学に行っているのだろうと思う。今この時間に向かっても邪魔になるだけだということで少しだけ人里の中を歩くことにした。

「勉強中か……今行くのは邪魔になるだけだな」
「そうね。あっ、ならちょっと買い物に付き合ってくれないかしら」
「買い物? 別に構わないけど」

 丁度いいことにアリスが人形作りのために布が必要だということで買い物に付き合うことにした。
 向かった先はやはりこの世界の時代にあった建物だった。色とりどり、種類豊富な布がそこに並べられているのが見える。
 こことは別のところでもものを購入するというアリス。慣れたように次々と仕入れるものを指定したり、何か注文のようなものを店主に話したりしている。
 そんなあり巣の様子を見ながらすっかり暇になってしまった優也。仕方なく店の外で空を眺めていた。すると店の中から人形、確か上海人形と呼ばれるそれがフワリフワリとゆっくり優也の元にやって来たのだ。おそらく中でまだ購入しているアリスの指示なのだろうと思う。
 気を遣わせてしまっただろうかと思う。
 目の前に立つ上海人形に人差し指を向けて見せる。すると小さな手をこちらに差し伸べてきてその人差し指を両手で包み込む。人形だからかその手は人の手とは違って布独特のやわらかさというものがあった。
 しかし不思議なぬくもりのようなものがその指を通して感じられた。
 不思議だと思う。
 今指を包み込んでいるのは人形だ。アリスから聞いた彼女の夢はまるで人間のように自立行動をする人形を作るということだった。
 しかしあくまでも人形でしかない。
 人のような行動をとっても完全に人間にはなりきれないはずだ。
 ところがこの上海人形から感じられるのはまるで人間のようなぬくもりだった。この上海人形だけは特別なものなのだろうか。アリスの周りにいた彼女たちとはどこも変わらない、瓜二つの存在だ。彼女たちに込めた思いというのは変わりないアリスからの愛情だ。

「お前は不思議な奴だな……」
「シャンハーイ?」
「っ? そっか、お前言語能力はないんだったな」
「シャンハーイ……」
「落ち込んでるのか? 言葉を理解するのはできるんだな。そっか、じゃないとアリスの指示なんて理解できないよな。それに感情表現はできなくても感情そのものは持ってるのか?」
「シャンハイ!」
「強く肯定か……ハハッ、凄いな」

 人形であるのに人間のような温もりを感じたことに対して不思議に思った優也は思わず尋ねていた。だが目の前の上海人形には言語能力がないらしく、ただ「シャンハーイ」と答えるだけだ。
 しかしその言葉には僅かながらに感情というようなものが込められていた。
 落ち込んだり、強く肯定したりと上海人形からは確かな感情のようなものを感じ取る。
 優也はそれをただ純粋に驚いていた。表情にこそ出ていないが目の前の上海人形を見る限りアリスの夢が叶わないものじゃないと素直に思えた。
 数分上海人形とやり取りをするなどという奇行をしていた優也。店の中からいくつもの布の束を抱えたアリスが姿を現した。相当な量の買い物をしたようだ。

「ごめん、ちょっと時間を掛けすぎたわ」
「別に、こいつを送ったのお前だろ? 暇じゃなかったさ」

 そう言いながら上海人形の手を持って上下させる。引っ張られるように上海人形の体が上下する。もし上海人形に言語能力があったのなら軽く悲鳴を上げていたかもしれない。
 ぞんざいに扱うなと他の上海人形たちからの攻撃が優也の脳天に落とされる。遊んでいただけなのだがと思うが、少し力を入れすぎていたようだ。
 自分でも分からないうちに楽しんでいたのを不思議に思う。

「結構時間が経っちゃったわね。もうそろそろ寺子屋の方に行ってもいいんじゃないかしら」
「そう、だな。なら――」
「えっ?」

 両手に抱えていた大きな紙袋。何故そのようなものが人里で使用されているのかは分からないが、それをアリスの手から取り上げる。突然のことに呆気に取られているアリス。

「ちょっと、いきなり何を――」
「そんな状態だと前が見えないだろ。取り敢えず今日ですべてが解決するわけじゃない。家まで持っていくくらいはするさ」
「ハァ……見かけによらないわね」
「ほっとけ」

 自分の手から買い物袋が取り上げられたことに慌てるアリス。
 そんな彼女に対して荷物もちを買って出る優也。どうせ今日話をしたとしてもすぐに家を用意できるわけでもない。それに相当な量を購入しているためか紙袋から飛び出しているものもある。身長的なことからアリスの視界を遮ってしまうために危ないと判断したのだ。
 そんな優也に対して仕方ないというように小さく息をつく。小さく笑みを浮かべているのを見て、彼女も迷惑がっているようではないのが分かる。
 見かけによらないという言葉に鼻を鳴らす。
 昼になるということもあってか仕事から一旦戻ってくる人たちの姿が見える。ころあいだろうと思い、二人は寺子屋へと向かうことにした。


―4月16日 寺子屋―


 優也とアリスの二人は今寺子屋の中にいる。目の前には長い机を隔てて慧音と妹紅の二人がいる。二人は帰ったとばかり思っていた優也がここにいることに驚きを隠せていない。

「妹紅……」
「なっ、何で睨むんだよ慧音!? 私はちゃんとコイツが大結界を通ったのを見届けたんだぜ?」
「なら何故彼が今ここにいる? 私は言ったはずだぞ、無事に送り届けてこいと」
「神社まではちゃんと送り届けたさ。そこからは博麗の巫女の仕事だろ?」

 そこから這い上がってくるような声色で慧音が呟く。一瞬ビクッとした妹紅は慌てて弁論する。
 確かに彼女は優也が博麗大結界を通ったのを見たのだ。その中のことはまったく知ることはできないので彼女に対して文句を言っても意味はないことは慧音も承知している。

「元の世界に……戻ったんじゃなかったのかい?」
「それができなかったからな。取り敢えず戻れない以上はどこかにいるしかできない。人間が生活してるってなれば人里しかなかったんだよ」
「そう、だな……すまない」

 慧音の家にいた時からそのことだけを言っていたので尋ねてきた。優也自身早く戻りたいことは変わらない。しかし戻れないからここにいるのであって、魔法の森には優也の住む場所も、住むようにするための場所もないためにここに来るしかなかったのだ。
 それにここに歩いてくる間も少しだけ体調を崩しかけた。いくらペルソナの力があってもあの高濃度の瘴気のある森の中を平然と歩くのは厳しかった。
 住む場所があってもそこにはとてもじゃないが住むのは勘弁願いたい。人間が生活するのであれば人里しかなかったのだ。
 当然といえば当然のことなので納得せざるを得ない。
 優也が戻れなくなったことと、戻れるようになるまではこの世界に留まる、そのために人里に家を構えたいというのは理解できた。
 謝罪する慧音。
 聞くべきことじゃなかったと思っているのだろうと見て分かった。

「うん、分かった。君が住む家のことならば確か空き家がいくつかあったはずだ。一応お払いをしてもらってそこに住むといい」
「ついでなんだ。博麗の巫女、霊夢に来てもらえばいい。戻れないってことははく麗大決壊に何らかの以上か何かがあるんだろう? 今のところあいつが動いているっていう話は聞いていないから」
「気付いてないのかしらね。まあ、気付いていたのならこんなことになってないでしょうけど」
「霊夢には私から連絡しておこう。それで、今日はどうする?」
「一旦荷物を置いてきたいからな。まあ、すぐ戻ってくればいい話だ」
「まさか魔法の森とを往来する気? 今が昼間だからって無茶苦茶じゃないかしら?」
「いくら君が不思議な力を持っているといえ、それは危険行為じゃないか?」
「……まあ、なんとかなる」

 慧音はすんなりと優也が人里に住むことを了承してくれた。
 とはいえ彼女だけでは泣く他の住民たちにもあいさつ回りなどをする必要も出てくる。里長という存在もあるため彼にも話を通す必要がある。
 慧音が言うにそれほど心配はいらないようだ。現にこの人里には昔幻想入りした外来人が数人ほど生活しているからだ。ほとんど年配の方が多いだろうが話しができるのであればしてみるのもいいと進言してくれた。
 使われていない家もいくつかあるのでおそらくそれを借りることができるとのことだった。とはいえ一応浄化しておいたほうがいいということと、今回の異変のようなこともあるために霊夢を呼ぼうということになった。
 普通なら彼女が浄化作業などということをするとは思えないのだが、それ以上に問題である博麗大結界を通り抜けられないということがあるので当然断ることはできないだろう。なにせ通ることができなかった張本人がいるのだから。
 霊夢には慧音が話を通してくれるようだ。話題を変えるように慧音がそう尋ねてきた。今優也とアリスの後ろには先ほど購入したばかりの布の束が紙袋に入れられて鎮座している。これを一度アリスの家に置きに行きたいと考えていた。別に大きな理由があるわけではなく、助けてもらったこともあるし、人里まで案内してもらった御礼をしたかっただけだ。
 時間的な問題もあるためにアリスからは少し心配するように言われる。さらに慧音からもよしておいた方がいいのではないかというように言われる。
 もう一日泊まることも考えられたが、まあ、なんとかなるだろうといつものように流れに任せるスタンスでいることにした。


 ―4月17日 アリスの家―


 次の日の朝。
 ゆっくりと目を覚ました優也。最初に目に映ったのはアリスの家で気がついた時と同じ西洋風に白い天井だ。
 そういえばと昨日のことを思い出す。
 アリスの家まで買った物を持って帰る手伝いをしてもう一日泊めてもらったのだ。
 戻ることも考えていたが夜が近かったためにアリスが無理やりに引きとめた。
『あの時は助かったかもしれないけど、今度はそうはいかないかもしれないのよ? もう少し危機感というものを持ちなさいよ』
 そう強く言われたために泊まることにしたのだ。
 起き上がりテーブルに置かれていた服に着替える。ズボンは相変わらずジーンズであるが上は赤色のパーカー付きの服だ。昨日の夜にアリスが一着こしらえてくれたものだった。服一着を数時間で作り上げられる技術には純粋に驚かされた。
手抜きがされた箇所などは泣く、彼女の優しさが込められたものなのだと分かる。
 言葉にしなくても、彼女からの感謝の気持ちが感じられた。
 カーテンを開けるために窓の方に向かう。ザッと一気にカーテンを開けると窓からは眩しい光が部屋に降り注いできた。思わず目を細める。
 幻想郷に来て一週間以上が経つ。未だに戻るための手段はないが“可能性”は潰えたわけじゃない。取り敢えず人里に来るだろう博麗の巫女との話をしてから色々決め手行くべきだろうと思う。
 下からアリスの声が聞こえて来る。おそらく朝食の準備ができたのだろう。並べるくらいは手伝いをした方がいいだろう。そう思い、優也は部屋を出て行った。


 ―4月17日 アリスの家―


 下に降り朝食の準備をしていたアリスの手伝いをした優也。今日は魔理沙の姿は見えない。
 そう毎日来られても困るとアリスは呟く。
 そうなのかと思いながら彼女が作った料理がさらに乗せられ、それをテーブルに運んでいく。優也と同じように人形たちもそれぞれの命令された通りの作業を忠実に行っている。
 席についた二人は食事を始める。話をしようにもどういう話題がお互いに適しているか分からない。
 優也はアリスのことをまだよく知らないし、アリスも優也のことを、それに異性と接することが今まであまりなかったためにどういう話題がいいのか分からないでいた。
 食事も終わりに近づいてきたところで突然それは起きた。
 どこからともなくパシャ、パシャというシャッター音のようなものが聞こえてきたのだ。それと同時にばさばさという何か鳥が羽を羽ばたかせるような音が聞こえてきた。
 なんだろうかと思っていた優也であるがそれを聞いたアリスが慌てて椅子から降りて窓の方に走り、開ける。
 その瞳はキッと細められ苛立ちがこもっているものだった。なんだろうかと思いながら取り敢えずアリスの後を追うようにして優也も立ち上がり、窓の方に向かっていく。
 外の見ると上空に黒い羽を背中から生やした少女の姿があった。彼女の首からは紐で繋がったカメラのようなものがかけられており、その両手には筆と文化帖があった。その跳ねの色が黒色だったために烏の妖怪だろうかと思う。

「あややや、見つかってしまいましたか」
「鴉天狗……またあなたなの?」

 苦笑いを浮かべている羽を持った少女。その少女に対してアリスがまたという言葉を投げかける。このようなことを日常的にしているのだろうか。
 それにアリスは彼女のことを鴉天狗といった。優也が知っている天狗というのは赤い顔に長い鼻を持っているという妖怪だ。しかし視線の先にいる少女を見てもそうは思えない。
 鴉天狗の少女があり巣から優也に視線を向ける。その表情はまるで玩具を手に入れた子どものように嬉しそうだ。
 何か嫌な予感がする。

「あなたですよね、最近幻想郷に入ってきたという外来人の方は」
「俺以外にもいるかもしれないだろ」
「いえいえ、私が聞いている限りひとりしかおりませんよ。その外来人の特徴が丁度あなたと合致しますのでもしかしたらと思ったんです」
「どういう特徴で出回ってるのか……で、何で朝っぱらから? それにお前の首からかけてるのって――」
「これですか? カメラですが?」

 優也に対して質問をしてくる少女。外来人がどれくらいのタイミングでこちらにやってくるのかが分からないし、同時に優也以外にも迷い込んだものがいるかもしれない。
 そう尋ねると彼女はそれはないと優也の言葉を否定する。それに優也が戻った後に続けて誰かが博麗大結界に入ったとしても同じようにまた別の場所に飛ばされるのが考えられる。
 どうやら優也のことがこの世界では既に噂だっているようだ。どのような特徴があるようにみられているかは分からないがそれはどうでもいい。それよりも彼女が首からかけているものが問題だった。
 それに対して指を指しながら尋ねる。すると彼女は満面の笑みを浮かべながらそれを見せ付けるようにして手に取る。やはりそれはカメラらしい。

「やっぱりか……お前、さっき写真撮ってたよな?」
「そりゃ久しぶりにいいネタが手に入ったんですから当然ですよ」
「ネタ?」

 やはりかと呆れた表情を浮かべる。彼女は嬉しそうに文化帖を握り締めている。ねたとは一体どういう意味だろうか。

「ああ、あいつ以外にも鴉天狗たちの間では新聞を作るのが流行っていてね。あいつもそのひとりってわけなの。でもほとんど自己満足の趣味のようなものだからほとんど信憑性にかけたものばかりよ、その新聞は」
「酷いですね、アリスさん。私はちゃんと情報を集めて新聞を作っておりますが?」
「そのちゃんとした情報がどうして膨張された形で新聞で出回るのかしらね」
「そりゃ酷いな……まあ、外でもよくあることだが」

 アリスが説明してくれたように妖怪の山という場所にナワバリを強いている鴉天狗たちの間では新聞作りというのが流行だという。この世界にはテレビもラジオもないために情報を得るとなれば当然新聞となる。
 人里という狭い場所に身を寄せ合うようにして生活している人間たちにとっては情報というのはあまり必要のないように思えるが、やはり人外と共生している世界であるために多少の情報は必要なのだろうかと思う。
 しかしアリスからすれば彼女を含めた鴉天狗が作る新聞は信憑性が薄いものらしい。やはり趣味で作っているために自己満足な作品になってしまうのだろう。
 それに対して彼女は反論するように言う。しかしそれを切り捨てるようにしてアリスがツッコミを入れる。情報が膨張されて出回るというのは外の世界でもあることだ。

「あややや、でも多少面白くした方が皆さんの興味を引くかと思いましてね」
「それによって変わっちゃう部分とかもあるでしょうに……ハァ、朝から疲れるわね」

 どうやら彼女も認めるような発言をする。確かに膨張させ、話題を大きくすればそれだけ人々の目に付くだろうし興味も引くだろう。
 だがその話題となった者たちにとってはとんでもないことだ。
 この世界では限度というものがないのだろうか。まあそれを行ってしまえば外の世界も同じようなことが言えるのだが。

「まあ、取り敢えず……なんだ? そのカメラなんだが、さっきの写真……どうするつもりだ?」
「それはもちろん号外で使用させてもらいますよ! 題して! “魔法の森の人形遣いに春が!? お相手は外から来た外来人!”てなものですよ」

 どうするのか、当然聞くまでもない答えが彼女から帰ってきた。やはりそれをねたにして新聞を作るつもりらしい。
 そうなると優也はもちろんのこと、アリスにも被害が来る。
 こんな狭い世界であるために感嘆にうわさは広がるだろう。人伝いに伝わっていく情報は変わるものだ。噂が確信になることだってある。それだけは止めないといけないだろう。

「ふ、ふざけないで! 私たちはそんな関係じゃないわ! どうしてもっていうのなら力づくでも奪わせてもらうわよ……?」
「だな……変な噂を立たせたくない」
「これは困りましたね。まあ、取り敢えず逃げるが勝ち――」

 当然のように新聞に今撮られたことを載せられるのは困る。何とかしてとめなければいけないということもあり、アリスは叫びながらもスペルカードを取り出す。彼女の回りには既に数体に人形たちが得物を構え、心なしか睨みつけるような視線を鴉天狗の少女に向けていた。
 アリスの言葉に優也も同意する。
 そんな二人の戦意を感じ取り鴉天狗の少女は背中を見せて飛び去ろうとする。だが――

「させるかよ、“ジャックランタン”! “スクンダ”だ」

 かぼちゃの顔を持ち、ランプを持ったペルソナ――“ジャックランタン”が召喚され、速度弱体化魔法の“スクンダ”を逃げ去ろうとする彼女に掛ける。
 突然体が重くなったことに戸惑いを見せる少女。
動きが鈍ったためにアリスが放った人形たちが一斉に彼女へと向かっていく。
 鴉天狗の少女もやられてばかりではない。動きが鈍くなったからといって、回避できないわけじゃない。それに優也の指示した弱体化魔法はしばらくすれば解除されてしまうものだ。それを知っているわけではないにしろそれほど長くは聞かないだろうと考えていた。
 人形たちが一斉に弾幕を放つ。それを紅葉の形をした扇を一振りすることで発生した強烈な風によって吹き飛ばす。
 人形たちが彼女に向かって言ったと同時に二人も外に飛び出していたためにその跳ね返ってきた弾幕が二人に襲いかかる。
 思わず手でガードを作ってしまう。その隙に逃げ出そうとする少女。慌てて“ジャックランタン”を帰還させ、“シーサー”を召喚する。
 羽を持ち、飛行しているためにおそらく電撃属性を弱点としているのではないかとなんとなくテレビゲームの要領で考える。
 取り敢えず攻撃して退路を阻まなければいけない。全体攻撃魔法である“マハジオ”を放ち、次々と回避しながら退路に向かう彼女を逃がさないようにする。
 こちらに対して苦々しげな表情を向けてくる。彼女とて折角手に入れたネタを奪われるのは勘弁ならないのだろう。
 だが今回ばかりはそうも言ってられない。
 何とか隙を見つけ少女が再び扇を一閃してくる。今度は純粋な風ではなく風でできた刃が無数にもこちらに向かってきた。
 おそらく斬撃属性と疾風属性の複合属性の攻撃なのだろうと考察する。地面を切り裂くその攻撃の威力は高い。人形たちも得物でガードしようとするが得物ごとその身体を切り裂かれる。
 それを見た瞬間アリスの小さな悲鳴が聞こえた。当然だ、大切に作り上げたそれを壊されたのだから。
 視線をアリスに向ける暇もなくこちらにも風の刃が向かってくる。取り囲むようにして放たれたその攻撃を回避することができない。
 ――どうする……っ!
 どのペルソナを召喚するのかを考える。時間はない。瞬間的に選ばなければやられてしまう。
 迫る攻撃はアリスも巻き込んでいる。弾幕を張ろうにも数が足りない。どちらにも耐性のあるペルソナ――それは。

「こいつか……“アルトリア”!」

 優也が初めて召喚したペルソナである“アルトリア”を召喚し、全体攻撃である“疾風斬”を指示する。腰高から一気に抜き取られた不可視の剣から放たれた無数の斬撃が少女が放ってきた無数風の刃とぶつかり合い相殺する。
 次々と不思議な力を使ってくる優也に対して苦々しげな表情から新しい玩具を見つけた子どものような輝いた瞳を見せてくる。
 アリスが新しいスペルカードを宣言しようと取り出した――その時だった。

「待って待って、ちょっと待ってください!」

 慌てて両手を突き出すようにして戦闘を止めるように叫ぶ少女。いきなりのことに優也とアリスはにらみつけるようにして少女を見つめる。
 戦闘が止まったことにほっと胸をなでおろしている。一体何をしようというのだろうか。
 黙って二人が警戒していると少女がカメラを手に何かをして、こちらに何かを投げてきた。それを優也がキャッチして、二人でその手の中にあるそれを見つめる。それはよく見るとカメラのフィルムだった。
 カメラのフィルムから彼女の方に視線を向ける。するといつの間にか空中から地上の二人の近くに降り立っていた。

「先ほどの写真ですがお返しします」
「……新聞屋のあなたが? 何か企んでるのは見え見えよ」
「あややや、やはり分かりますか。でも写真よりはずっと安いものだと思いますがね、綾崎優也さん?」
「っ!? どうして俺の名前を……」

 一体どんな心境の変化だろうか。突然フィルムを返してくるだなんて新聞記者としてはありえない行動だ。彼女が良心的な人物かどうかは先ほどの言動であまりそうは思えない。
 しかしアリスが言う通り、おそらくは何らかの企みがあるのだろうと思う。
 ばれたかというように笑い声を上げる少女。すると名指しで優也を指名してきた。一体どこで名前を知ったのかと少し動揺を見せる。

「それはあなたの特徴と共に知ったことですよ。名前も知らなかったらわざわざ来ませんよ」
「……で、俺に何か用か?」
「話しが早くて嬉しいですね。単刀直入に言います。先ほどあなたが召喚したあの妖怪……あれは一体なんなのでしょうか?」
「ペルソナのことか?」
「ほうほう、ペルソナというのですか。で、それは一体なんなのですか?」

 等価交換のようなものだろう。何を求めているのかを彼女に尋ねる。すると彼女が聞いて来たのは優也の力であるペルソナについてだった。
 やはりこの世界にはペルソナというものはないらしい。彼女にとってはものめずらしいものであるために興味があったのだ。
 取り敢えず説明することにする。
 まずは一体のペルソナを召喚する。ある意味優也の象徴的なペルソナである”アルトリア“を召喚する。現れた彼女をまじまじと見つめる。
 ほとんどはイゴールからの受け売りであるが優也が知っている限りの言葉で説明する。ペルソナとはその使い手の無意識に眠る、秘められた本性のようなもの。使い手の心から誕生するだけに、ペルソナはその人物の内面を色濃く反映させた用や能力を持っている。このため、ペルソナ使い自身の内面が成長するのに合わせて、呼応するようにして「ペルソナ」自体も成長するという。
 優也の説明を聞いている少女は首肯しながら手に持っている文化帖に何やら書き込んでいく。おそらく新聞にするためにまとめているのだろうと思う。
 話し終えると丁度彼女も必要なことを書き終えたようだ。

「いやいやありがとうございます。また面白い新聞ができそうです。そうですね、急ピッチで作ってみますね。そうすれば明日にでも配達できそうです」
「あんまり変なのを書くなよな」
「ふふふっ、これは記者としての腕が鳴りますね」
「話を聞いちゃいない……」

 今にもここで新聞を書き始めるような雰囲気を出している少女。
今更ながら彼女は優也のことを知っているが優也は彼女の名前を知らないことに気づく。

「そうでしたね、私は妖怪の山に住んでいます鴉天狗の「射命丸文」と言います。「文文。新聞」というものを書いていますので、なにとぞ御贔屓にお願いしますね」

 そう言ってまるで一陣の風の如く射命丸は空に飛び上がり、遠くへと飛んでいってしまった。
 まさに嵐のような少女だったが何やら射命丸から興味を持たれたのは間違いないと思った。


 ―4月18日 人里―


 翌日優也はアリスの家を後にし、人里へと戻っていた。
 取り合えず慧音の家に向かうことにした。

「……じゃまする」
「おや、来たようだね」

 断りを入れて中に入る。中の方から慧音の声が聞こえてきた。そこには慧音と妹紅、それに霊夢の姿があった。
 少しだけ不機嫌さを出していた彼女であるが優也が表れたのを見て目を見開いて驚いているのが目に見えて分かった。おそらく自分の処置は完璧だったと思っているのだろう。それなのに戻ったはずの優也がこの世界に留まっているというのが彼女にとってはありえない状況だったのだ。

「な、何であんたがまだいるのよ!」
「だから言っただろう霊夢。戻れなかったんだって」
「だってあの時大結界自体に異常なんて……」
「なら何故彼は戻れなかったんだ? 不思議な力を持っているとはいえ、大結界自体に干渉するような力ではないだろう」
「そもそも大結界なんてもの、見えるわけないからな」

 当然いるはずもない優也の姿を見て声を荒げて叫ぶ。博麗の巫女が役割を失敗するなどあってはならないことなのだから当然慌てるのは仕方がない。
 そんな霊夢に対して落ち着くように何度目かの説明をする妹紅。それでも納得がいかないという霊夢。
 結界に異常があるかないかと考えるならあるのだろう。そうでなければ優也が帰れないというのはおかしいことになる。
 まさか結界事態がそれを拒んだなどというありえない。そんなことになったら結界事態が意識を持つことになる。そうなると異変以上のことになりかねない。
 最初は優也自身が持っている力によって何かをしたのではないかと考えたが、その力は目覚めて間もないものであり、干渉するためのものではないことから原因ではないことが分かっていた。
 今そのことを話し合っても仕方がないとその話を一旦切り上げるは慧音だ。
 彼女が霊夢を呼んだのはこれ以外に優也がこれから生活することにしている家のお払いをお願いするためだった。もちろんお金は払う。今の優也にこの世界で使えるお金があってもとても借りるために必要な値段には遠く届かないでいた。外の世界のお金が使え、数万円であるとはいえ、一高校生が簡単に払えるような金額ではなかった。
 霊夢もお金が払われなかったら絶対にこのようなことはしなかっただろう。しかし慧音から支払われるお金を前払いされた時には眼の色を変えてやる気を見せた。
 慧音の家を出て、彼女に案内されながらこれから生活する家を目指す。その歩いている途中に慧音から一つの案が出された。
 それは寺子屋で慧音の手伝いをするという案だった。もともと高校生であり、自分で言うのもなんであるが、多少なりとも勉強はできる方だと思っていた。
 それに手伝いをしてくれる妹紅がいつもいるわけでもないし、教える慧音もどうしても歴史以外になると少しだけモチベーションが落ちる。
 教師がそれでいいのかと思うが、彼女は“ワーハクタク”の血を持つ半獣半人としてどうしても歴史に熱を入れてしまう傾向があった。
 お金を稼がないと当然仕事もできない。近くに畑のようなものもあるらしいが当然手入れも行き届いていない荒地であろうというのは簡単に想像できた。
 食料を手に入れるため、荒地を耕すための農具やそこに植える苗や種、成長に必要な肥料などと色々購入するものが多い。
 本当に零からのスタートである。
 そんな風に話をしていると目的の場所にたどり着いた。確かに紹介された家は相当遣われていなかったのをその姿で印象付けていた。
 これからお払いをするとはいえ霊夢も多少引き攣った表情を浮かべている。だがお金を得られるということで我慢して中に入っていく。
 簡易的なお払いが行われることになった。
 その前に適当に掃除をする必要があったので持ってきていた道具を使い、手早く行っていく。ここまで大掛かりな掃除をしたのは初めてだ。掃除とはいえかなり疲労が溜まった気がする。
 ある程度綺麗になったところでお払いが行われることになる。事前に準備していたのか、素早くそれを終える。
 大幣を振り、穢れを浄化していく。
 それを行っている時の霊夢の表情は今まで見た彼女のもののどれにも当てはまらない、真剣なものだ。それがお金のためなのか、一人の巫女としての役目を確実に終えるためなのか。
 以前の優也を元の世界に戻すための儀式を失敗してしまったことを気にしているのだろうか。彼女の性格からしてそうだと想像するのは難しいと思った。
 最後に一振りして、終わったことを告げるように大きく息を吐く。
 よほど真剣にやっていたのかジンワリと汗をかいているのが見えた。取り敢えずこれで住むのは問題なくなった。あとはどうやって生活を支えていくかだ。
 農業などやったこともないためにここは人里の者たちの知恵などを借りるしかないだろう。家計を支えるための収入は早速明日から寺子屋でのアルバイトを始めることにした。さらにそれだけではなく自警団の仕事にも参加してはどうかと妹紅から話が出た。
 ペルソナ能力が戦いに特化しているのならそれを生かさない手はない。もちろん死ぬ可能性だって当然あるからそこはゆっくり考えるべきだろうと付け加える。
 しかしこの世界に来て覚醒させた力であり、この世界からもとの世界に変える事がで機内ということは、当然この力が今後も必要になってくる。
 戦うたびに強くなっていくのは感じられる。だがそれをしないでいるというのは力の弱体化にも繋がるかもしれない。備えをしていて悪いことはないだろうと判断した優也は妹紅のその話を受けることにした。

「いいのかよ。いつもザコ妖怪ってわけじゃないんだぜ?」
「構わない。それに強くなっておいた方がいいと思ってな……」
「どういうことだい?」
「どうもこうも何となく何かに巻き込まれそうな気がして、な……」
「ふむ、それは何か根拠があるのかい?」
「……ない、な。敢えて言うならば勘だ」
「当てにならなさそうな勘ね」
「巫女の勘とは違うだろう……」

 もしものことを考えて心配するように言う妹紅。
今までだって何人も傷ついた者たちを見て来たから言えたことだ。
 しかし大丈夫だと一言優也は言う。今はただ力をつけておいた方がいいと思っていた。イゴールとのやり取りや、元の世界に戻れないこと、そしてペルソナの力を総合しての答えだった。
 それに何となくであるがそのことから何かに巻き込まれるような気がしていた。慧音に尋ねられるがイゴールのことなどを知らない彼女たちに話しても意味はないと考え、とりあえずは勘だと告げておく。
 色々霊夢が言っているがそれは無視することにした。妹紅が言う巫女の勘というものがどれほどのものなのかは分からないが、あまり勘に頼るようなことをしたくない。
 取り敢えずは生活を安定機動に乗せることが一番だと考えた。


―5月8日 人里―


 しばらくは変わらない平和な日常が続いていた。
 朝は元の世界にいた時のように早めに起床し水瓶に溜めていた水を使って顔を洗う。少しだけ分けてもらっていた米やら野菜などを使っての朝食作りを始める。もともと家庭科くらいしか料理などやったことがなかったのでレパートリーは皆無に近い。
 色々と勉強していく項目が増えた瞬間だった。
 朝の仕事は寺子屋でのアルバイトが基本だ。毎日あるわけではなくない時などは朝から畑に出かけるのがいくつかのパターンとなっていた。
 寺子屋に勉学に来るのは何も人里の子どもたちだけではなかった。
 容姿が子どもである低級妖怪たちや妖精たちも時々慧音の教鞭を受けに来ていた。妖精というのは少々もの覚えの悪い存在であるが、それでも慧音は手取り足取り教えていた。
 妖精や妖怪とはいえ分からない時や分かった時、つまらない時や面白い時にコロコロと表情を変えるのが分かった。
 種族というのはまったく違うが、それでも在り方というのは変わらないものだと思った。
 今日は確か妖精や妖怪たちが来るはずだ。
 人間の子どもを相手にするよりもまた違った賑やかさになるだろうと思った。寺子屋の前に着き、ゆっくりと戸に手を伸ばす。すると突然ガラリと横に戸がスライドして勝手に開いたのだ。そして寺子屋の中からひとりの少女が現れた。
 水色の髪の毛、後頭部辺りに大きな深い青色の大きなリボンを付け、同じように青い服装とスカート、その背中からはツララのような透通った氷でできた三対の羽を持つ少女だった。

「あーっ! やっと来たわね!」

 ドドンっというような効果音が似合う少女だ。少し偉そうに腰に手を当ててふんぞり返っている。しかしそれが彼女の性格なので特に言うことはない。
 彼女は氷精の“チルノ”。霧の湖というところに住んでいる妖精の一人? だ。
 彼女も時々人里にあるこの寺子屋に勉強をしに来ている。あまり賢い方ではないがそれでも楽しそうに、時々憂鬱そうにやっているのは子供らしいと見える。
 そんな彼女に会う度にこうして絡まれるのは初めて会った時のことだった。
 突然弾幕ごっこだと言ってスペルカードを宣言して来たのだ。優也としてはスペルカードを持っていないために弾幕ごっこをすることはできない。
 しかし何度言葉をかけても少々小馬鹿にするような言葉が続いたために少し苛立ちを覚え、ペルソナを召喚していたのだ。
 流石に甚振るのは気が引けるために遊び感覚でやろうと考えた。
 そのために召喚したのは彼女の属性である氷結に対して特性を持つ“ジャックフロスト”だった。
 氷結属性の攻撃はまったく効果がなく、さらに彼女が放ってくるスペルカードの攻撃にはムラがあり、余裕を持って回避することができた。
 トドメの“ソニックパンチ”がもろに入ったために気を失ってしまったのだった。その時からやけに優也に対して敵意というのかライバル意識というのかそんな風に戦いを挑んでくるようになった。
 氷と霜の妖精という違いはあれど、負けたことがよほど悔しかったようだ。
 時々であるが、彼女との戦いを受けることもある。

「チルノか……」
「今日こそあんたをギッタンギッタンにしてやるんだから!」
「それは構わないが、もう時間だ。早く入らないと慧音の頭突きが来るぞ?」
「うっ! そ、それは勘弁ね……」

 どうやら今日も戦闘を申し込んでくるようだ。
 しかし授業が始まる前だということもあり、それを受けるわけにもいかない。よほどの理由がない限りは彼女も引き下がらないだろう。
 だが最も効果のある言葉があった。それは慧音の頭突きというものだ。一体何が詰め込まれているのか、彼女の頭突きは寺子屋内では一種の恐怖にもなっている。首の骨が折れないか、子どもたちに対していつも心配が尽きない。
 その言葉を聞いて、流石に引き下がるしかできないチルノ。そんな彼女の後ろから一対の羽を持った緑色のサイドポニーの少女や頭に赤いリボンを付けた金色のショートの少女が現れる。
 彼女たちもチルノの親友である“大妖精”と“ルーミア”だ。
 大妖精というのは彼女の名前ではない。彼女には個人を特定する名前というのがないらしい。それが彼女にとっては小さなコンプレックスのようである。しかしチルノたちからは“大ちゃん”という愛称で呼ばれていることから少し救われているようだ。
 彼女たちの中でも比較的落ち着いている性格であるためにストッパー役と思うがあまりに個性的過ぎる彼女たちを止めるまではできないようだ。
 しかしそれを楽しんでいる彼女もいたりする。
 ルーミアは二人とは違って妖怪に分類される。
 “宵闇の妖怪”という二つ名を持つように彼女の能力は“闇を操る程度の能力”」らしい。聞く限りでは相当強い能力ではないかと思うが、実際は彼女自身自分の闇の中では目が見えないらしい。
 自分にまで悪影響を及ぼす能力ではとても戦闘に特化したものとは言えない。それに人食い妖怪とも言われるが妖怪なのだから当然なのではないかと思う。
 確かに初めて会った時はいきなり――『あなたは食べてもいい人類?』――などと尋ねられた。
 その時は運よく握り飯という名の昼食があったためにそれをあげることで食べられることはなかった。その後はご飯をくれたということでいい人間だと好印象をもたれてしまった――ご飯をくれる人間だと。
 当然ルーミアに昼食を食べられてしまったのでその時は酷い空腹に悩まされることになった。家まで戻ればまた作り直すこともできるがそんな気がまったく起きなかった。そんな優也に対して慈悲を与えるように、何かを差し出してくれた子がいた。

「チルノたち、何騒いでるんだろう?」
「あっ、優也先生来てたんですね」

 それがチルノたちとのやり取りの声を聞いてやって来たピンク色の髪に帽子を被った少女、夜雀妖怪の“ミスティア・ローレライ”だ。
 ミスティアについてくるように現れた緑色の髪をしてまるで少年のような服装をしている子――蛍妖怪の“リグル・ナイトバグ”。初めて会った時は普通の少年のように扱ってしまった。それが彼女にとっては禁忌だったらしく突然“リグルキック”と称される蹴りを放たれる羽目になった。運よく“打撃見切り”のスキルを持っていた“ペルソナ”を装備していたために回避することができた。
 寺子屋の中からやってきた二人。ミスティアの手にはよく屋台などで持ち帰りする時に使う入れ物があった。それを優也に手渡す。

「ええっと……これくらいだよな?」
「はい、丁度ですね。毎度ありがとうございます」

 ミスティアに数枚の硬貨を手渡す。値段にして五百円くらいだ。
彼女たちがここ寺子屋にやってくるのは週に一度か二度程度だ。そんな日は決まってミスティアの営業している屋台のメニューにもある八目鰻の弁当を購入することにしていた。
 それを事前に頼まれているため、ミスティアは毎回作った弁当を持って寺子屋に来るようになっていた。
 ミスティアにとってはこうすることでまた一人鶏肉を食べる人が減ると嬉しく思っていた。だが彼女には申し訳ないのだが、時々夕食で鶏肉料理を食べているとは流石に口にはできなかった。

「おーい、そろそろ授業を始めるぞ!」
「時間か、行くぞ……みんな」
「はーいっ!」

 寺子屋の中から慧音の声がする。どうやら授業開始の時間らしい。
 生徒たちが全員外に出てしまっていたので優也は中に入れるために声をかける。大きな返事をして、彼女たちはバタバタと中へと入っていく。そんな五人の後ろを優也はゆっくりと追いかけるのだった。


―5月8日 寺子屋―


 短くとも楽しい時間が過ぎていった。
 妖精や妖怪といっても人間と同じように精神を持ち、物事を考える。
 慧音の用意した問題に対してああでもない、こうでもないと悪戦苦闘しながらも必死に問題と戦っていた。
 すべての授業が終わった後、すっかり疲れてしまったのかみんな机に突っ伏すなどしてしまう。
 しかし授業が終われば待っているのは自由な時間だ。遊ぶことが何よりも好きな彼女たちは笑い声を上げて寺子屋を出て行く。

「気をつけて帰るんだぞーっ!」
「「はーいっ!」」

 慧音が見送りの言葉を言うとそれぞれ返事を返して笑い声を上げながら寺子屋を後にする。
 すっかり静かになった寺子屋内では二人で片付けや明日の授業の準備を始める。とはいえ準備というのはほとんど慧音が担当しており、優也は寺子屋の周りや教室内の掃除を担当していた。
 以前早く終わらせようとしてペルソナ魔法である“スクカジャ”をかけて機動力を上げた状態で庭の掃き掃除をしていたのだが、勢いを付けすぎて止まれなくなり丁度様子を見に出ていた慧音と接触事故を起こしていたのだ。
 それ以降戦闘以外ではペルソナ魔法を使うことを固く禁じられていた。
 その時はお互いにおでこをぶつけてしまい、ただでさえ固い慧音のおでこに高速でぶつかったために優也だけ気絶してしまったのだ。
 それを知った妹紅は腹を抱えて大爆笑した。その時の羞恥は忘れられず、黒歴史の一つとなっていた。
 そんな風に作業をしていると突然寺子屋の戸を叩く音がした。

「誰か来たのかな? 悪いが優也くん、出てくれないか?」
「分かった」

 離れた教卓で作業をしていたために慧音からお願いされた優也は教室を掃いていた箒を壁に立てかけて玄関の方に向かう。
 今開けると一言言い、その戸を開けた。
 すると戸の外にはひとりの少女の姿があった。メイド服に、カチューシャをつけているなど、どこをどう見ても完璧なメイドだった。銀髪に紫色の瞳とまるで西洋ヨーロッパに行けばいるかもしれない人物だ。
 しかし人里では浮いた存在であるメイドがどうして寺子屋に来たのだろうか。

「初めまして綾崎優也様。(わたくし)紅魔館(、、、)でメイド長を務めております。“十六夜(いざよい)咲夜(さくや)”と申します。以後お見知りおきを」
「ああ、よろしく。紅魔館……確か吸血鬼が住むと言われる洋館か。で、そのメイド長がどうして寺子屋に? 授業はもう終わったぞ」
「今回は我が主であるレミリア・スカーレット様の命により、あなた様を紅魔館に招待するために参上しました」
「吸血鬼が、俺を? どうして……」

 十六夜咲夜と名乗る少女が恭しくお辞儀をする。
 完璧に仕込まれていると見えるその流れるような動作。完璧なメイドだと思う。
 そもそもメイドなどゲームの世界でしか知らなかった。時々学校で友だちがその方のジャンルに対して変な嗜好を持っていたのを思い出す。押し付けられたのもいい思い出だ。
 当然寺子屋に用があって来たわけではなさそうだ。
 優也の冗談のつもりで言ったものを華麗にスルーして見せた。
 どうやら今回の訪問は彼女が仕えている主の命令らしい。
紅魔館というのは以前聞いた話で吸血鬼が住んでいると知っていた。その主が吸血鬼だということは想像に難くない。何か目を付けられることをしただろうかと今までの行動を思い起こす。

「詳しくは聞かされておりませんが、主の命は絶対――私と一緒に来ていただけないでしょうか?」
「今から? やけに唐突だな」
「いつものことです」

 完全に忠誠を誓っているようだ。
 とはいえいきなり着いて来いと言われても困る。準備とかというのではないのだが、やはり事前に連絡をよこしておくのが常識だろう。
 しかし彼女にはいつものことだという言葉で片付けられる。彼女自身はまったく気にしていないようだ。少しは相手に気を遣えと言いたくなる。
 既に一通りの仕事は終えている。戻ってこないことを気になった慧音がやって来て、優也と話している咲夜に気付く。
 二人が顔見知りだというのは知らなかった。どうやら優也が来るよりも前に知り合っていたようだ。
 咲夜が慧音に対して自分がここに来た理由を説明する。
 なるほどと頷いている彼女であるがあまりよくは思っていないようだ。それが何に対してのものなのかは分からないが。
 話を聞き終わった慧音はどうするのかは優也に任せると言う。
 だがあまり行く事はお勧めできないと助言してくれる。彼女から気遣いを感じる。

「分かった……行くさ」
「感謝します、それでは――時符「プライベートスクウェア」」

 慧音の言う通り断ることだってできただろう。
 しかし幻想郷におけるパワーバランスの一角を担っている「紅魔館」の主から目を付けられたというのはこの幻想郷にいる間はどうしようとも逃げることはできない。
 もちろん最初から逃げるつもりなどないが。
 優也が承諾したのに対して絵に描いたような笑みを浮かべポケットから古ぼけた懐中時計を取り出した。
 そして一枚のスペルカードらしきものを取り出し、唱える。
 その瞬間優也は意識を刈り取られるような感覚に襲われた。




後書き
はじめましての方は、はじめまして。
いつもこの作品を読んでくださっている方はありがとうございます。
作者の泉海斗です。
今回のお話で第一章であります「幻想入り」は完結しました。
今回のお話では一気に時間が流れましたが、比較的平和な日常が続きました。
 住む家を探したり、それのお払いをしたり。収入を得るために寺子屋を始めとして自警団の手伝いを始めた優也。それらは収入や主人公の実力アップの他にも、ペルソナ3以降の主人公のステータスアップの意味も兼ねられています。あまり本編には大きく関わらせるかは分かりませんが……なんとなくです、はい。すいません。
 4月が終わって一気に5月に入りました。
 ここではアルバイトの一つである寺子屋でのやり取りを書きました。
 平和の象徴である子ども妖精、妖怪たちを登場させて見ました。彼女たちの様子がイメージできるような文章になっていればと思います。
 そして登場したのが紅魔館メンバーから咲夜さんです。
 こうなるともう皆さんは次章の舞台がどこなのか分かってしまいますよね。自分でももうネタバレしてしまっているのですが……。
 次章ではかなり独自設定が含まれると思います。あのキャラが!? というような場面も入れるつもりです。
 ペルソナ3シリーズでは満月に大型シャドウが出ていましたのでその辺りもうまく関連させていきたいなと思っております。次章のボス的東方キャラは満月から力を得るような人物? だからです。
 長くなりましたが、次回も楽しんでいただけるような文章を書くことができればと思っております。私自身も楽しく執筆していきたいと思っておりますので、次回も目を通していただけると嬉しいです。
 ここまで読んでくださったみなさまに最大の感謝を。
 それでは!!

コミュ構築

愚者→幻想郷の民
道化師→???
魔術師→霧雨魔理沙
女教皇→アリス・マーガトロイド
女帝→???
皇帝→???
法王→上白河慧音
恋愛→???
戦車→???
正義→博麗霊夢
隠者→???
運命→???
剛毅→???
刑死者→???
死神→???
節制→???
悪魔→射命丸文
塔→???
星→???
月→???
太陽→???
審判→???
世界→???
永劫→???

我は汝……汝は我……
汝、新たなる絆を見出したり……
絆は即ち、まことを知る一歩なり。
汝、「愚者」のペルソナを生み出せし時、
我ら、更なる力の祝福を与えん……

我は汝……汝は我……
汝、新たなる絆を見出したり……
絆は即ち、まことを知る一歩なり。
汝、「悪魔」のペルソナを生み出せし時、
我ら、更なる力の祝福を与えん……



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