第3話「過去の遺物」

カタスはACをガレージに格納して、家のリビングに向かった。

「おぉー!うまそうだな!」

テーブルの上に並べられたたくさんの料理を見つつ、カタスは椅子に座る。

「今日も腕を振るいましたので、思う存分食べてくださいね」

ナターニャも椅子に座る。そして二人とも手を合わせ、

「いただきます!」

と言って、カタスは箸を取りナターニャの手料理に手をつける。
そして小皿に料理を盛り、箸で口に運ぶ。

「うん!やっぱり、ナターニャの料理はいつ食べても美味しいな!」

「ふふっ、ありがとうございます。では私も・・・」

そう言うとナターニャも小皿に料理を盛る。

「プロ並の腕じゃないのか?」

「いえ、そこまでは上手ではありません」

「そうかな?」

「でも、嬉しいです」

ナターニャはにっこりと笑う。この笑顔がとても優しい感じがして心が和む。
ナターニャと一緒にいると、心が穏やかになって安心していられる。
戦闘の時の疲れも、笑顔を見るとどこかに吹き飛んでいく。
ナターニャは俺にとってそんな存在だ。

ナターニャと会話しながら、料理を食す。
腹が満腹になり、ご馳走様のあいさつをし、食器を台所の方へ持っていく。

そしてカタスはまた椅子に座り、テーブルの上にあったリモコンでテレビの電源を入れる。
テレビを付けるとニュース番組をやっていた。

「・・・緊急ニュースです。つい先ほど、クレスト社の重要人物を乗せたヘリがミラージュ社の雇ったレイヴンによって
襲撃されました。クレスト社もレイヴンを雇った様ですが、ミラージュ社のレイヴンにより撃墜
された模様です」

「これってさっき、カタスさんが受けた依頼のことですよね?」

食器の片付けを終えたナターニャが、カタスの隣の椅子に座る。

「んで、あのレイヴンが現れたんだよな・・・」

「ナインボールのことですか?」

「そうだ」

何故奴が生きているのか、もう一度考えてみる。
考えていると、ナターニャが口を開いた。

「コールドスリープで生きていたとは考えられませんか?」

「確かに一理あるな・・・」

コールドスリープを使えば、数百年の時を過ごすなんて容易にできることだ。
そうなれば、生きている事に説明はつく。

「となると問題は、何故クレスト社が奴を雇ったのかということか・・・」

「そうですね・・・」

クレスト社が雇ったという事は、ナインボールが生きていることをクレストは知っていたということになる。
そこでカタスは思う。
クレストが、コールドスリープしていた奴を起こし、クレスト側に引き込んだとでもいうのか・・・

考えても答えは見つからなかった。
これ以上考えても意味が無いと思い、自分の部屋に向かった。そしてベッドに入り、眠りについた。


過去の遺物。


それは脅威過ぎた遺物だった。



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