ジュディが逃げた後、僕は途方に暮れていた。

理由?

其れは僕の頭上で固まっちゃってる子さ。

さて、如何したもんかね〜?


灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜


第三話  共同戦線
                                                                                      著・神威



(封絶は解けてないみたいだな)

アキトが言う。

(そだね。ってことは彼女がやったと言う事だよね?)

燐子を撃退しても封絶が解けないことから、僕等はそう予想した。

燐子は慌てていたし池達が襲われる事も無いだろうと思い、少女が動き出すまで待ってみる事にした。

「・・・・・・・・・・はっ!」

程無くして少女が復活(笑)

僕は御剣を送還すると、彼女のほうを向く。

少女の方も地面に降りる。

「お前、何者?」

開口一番はそれだった。

でも彼女は、自分が知っている『誰か』が僕であるかどうかを確認しているようだった。

(会った事あるか?)

(いや、無いけど・・・・)

アキトの質問にそう答える。

フレイムヘイズ自体には会った事があるけど、こんな幼い子にあった事は無い。

因みに僕が会った事のあるフレイムヘイズは二人。

名前だけを挙げるとマージョリーさんとヴィルヘルミナさん。

特にヴィルヘルミナさんの事は良く憶えている。

と言うか忘れる筈も無い。

彼女とはアキトが僕の中に入ってまだ一年もたっていなかった時に会った。

その時はまだフレイムヘイズとかの事は知らなかった。

草薙の御剣と零時迷子は持っていたけどね。

で、町を襲ってきた徒―これも最初は知らなかったけど―に襲われているヴィルヘルミナさんを見つけたんだ。

周りは止まっているのに自分が動けるのは不思議だったけど気にしなかった。

勿論彼女は助けたよ?

当時僕はまだ鍛錬に入って間もなかったから、アキトに変わってもらって。

でも今思うと余計な事をしたような気がするんだよね(汗)

彼女、フレイムヘイズの中でも強いし。

これだけならまぁ、絶対忘れられないほど強烈じゃない。

あろう事か彼女、惚れましたよ。

アキトに(爆)

一目惚れだそうです。

会って行き成りお姫様抱っこ。

インパクト与えすぎですアキトさん。

それに加え、アキトの容姿もプラスされて相乗効果。

意外にヴィルヘルミナさんは純情でした。

表情には表れないけど。

ってかアキトは彼女の雰囲気で判断してたけど・・・・・。

やっぱりアキトは凄いや。

彼女とは其れからちょくちょく会うようになった。

彼女は僕の中にアキトが入っているのを知っている数少ない一人でもある。

其の間に会った事は、マージョリーさんの事も含め、別の機会に語ろうと思う。

―――そう言えば、ヴィルヘルミナさんフレイムヘイズの養成をしているって言ってた様な・・・・・・。

(ねぇ・・・)

(言うな。俺も今思ったとこだ)

アキトも僕も、そこで気がついた。

あまりにも都合の良すぎる考えに。

「えっと、僕は坂井 悠二。君は?」

僕の名前を聞いた瞬間、少女の顔は明るくなる。

「私に名前は無い。其れより、ヴィルヘルミナが言ってた『人間なのに存在の力を使う奴』はお前ね?」

わぁ〜お。

当たっちまいましたよ奥さん(壊)

(悠二、壊れるな(汗))

「という事は、君がヴィルヘルミナさんが言っていた子?」

頷く少女。

それだけで解るのも凄いと思ったのは内緒だ。

「でも名前が無いってのは・・・・」

「本当の名前は知らない」

ちょっと驚く。

本当の名前を知らない?

唐突に少女は大太刀を掲げて言う。

「この贄殿遮那からとって、シャナ。ヴィルヘルミナは其れを名前にするといいって言ってた」

「シャナ、か・・・。いい名前だね」

そしてニッコリ。

心なしかシャナも誇らしそうだ。

「もう一人、居るんでしょ? 会わせて」

シャナが言う。

(アキト?)

(OK)

そして僕等は入れ替わる。

容姿が変わるのを見ているシャナは驚いている。

俺は表に出ると、改めてシャナちゃんの顔を見て言う。

「―――初めまして、シャナちゃん。俺は天河 アキト」

俺はそう言うと共に笑ってみせる。

何故かシャナちゃんの頬は赤く染まった。

心なしか目も潤んでいるようだ。

そう、あえて言うなればその顔は恋する乙女のそれだった―――

「アキト・・・・。ヴィルヘルミナから聞いていた通りだ・・・・」

そう言ってポッと頬を赤らめるシャナちゃん。

一体何を吹き込まれた?

『アキトとやら。徒のほうには心当たりがある。此処は共同戦線と行こうではないか』

遠雷の様な低い声。

其の声はペンダントの様な物から聞こえてくる。

「貴方が、アラストールさんですね?」

『いかにも』

ヴィル(俺は彼女をそう呼ぶ)から聞いていたので、特に慌てたりはしなかった。

それは悠二も同じ。

「共同戦線の件、了承した。それより、そろそろ封絶を解いて欲しいんだが?」

俺がそう言うと、シャナちゃんは少し慌てて、

「直ぐに解く」

そう言った。

「俺達は行く所があるからこれで。っと、連絡先は此処ね」

そう言って名刺(何故持っているかは気にしないでくれ)を渡す。

「じゃ!」

軽く手を上げてそう言うと、俺はその場を後にした。

程無くしてシャナの姿も消えた。

後になって気がついたが、封絶が解ける前に元居た場所に居ないと怪しまれるな・・・・・・・。




何とか封絶が解ける前に戻れた俺は、直ぐ悠二と交代する。

そうしないとかなり怪しいからだ。

「ふぅ。とりあえずは安心、かな?」

「坂井、何が安心なんだ?」

池の声がして、僕はその方向を向く。

何時の間にか封絶は解け、通常空間に復帰していた。

「何でも無いよ」

僕は軽く言う。

其れを不思議に思ったようで、皆は一様に首を傾げている。

「ほら、そんな事よりあそこじゃないの?」

僕が指す方向には目的地が。

「おぉ、あれだ!」

田中が肯定する。

僕等はそのまま店に入った。

――――結局この日は、三時間近く熱唱していた事を追記する。

・・・・・・・・・・佐藤が言った通り、無性に空しくなったのは僕とアキトだけの秘密だ。








現在の時刻は午後八時。

あの後僕等は特にする事も無かったので、帰途についた。

今はまだ家に帰る途中である。

と言っても後わずか。

既に視界に入る位置にある。

「ただいま〜」

ドアを開けて家に入る。

どうやら僕が最後のようなので、鍵をきちんと掛けてから部屋に入る。

皆リビングに居るようで、談笑―と言ってもテレビだろう―が聞こえてくる。

「お帰り、兄さん」
                               みこと
部屋に入った僕を迎えたのは、一つ年下である妹―命―であった。

命もアキトの事は知らない。

ただ、それ以外で一つ困った事がある。

「兄さん、今日は何処に行ってたの?」

そう言って手を握ってくる命。

「池達とカラオケ」

やましい事はないので、事実だけを告げる。

「私も行きたかった」

頬を膨らませて言う命。

愛らしい其の姿に思わず微笑。

「あぁ〜、兄さん笑った!」

更に頬を膨らませる。

「ごめんごめん」

僕はそう言いながら軽く頭を撫でてやる。

命は幸せそうに目を細める。

そして其の頬は、赤く染まっていた

困る事。

それは、ぶっちゃけて言えば命が極度のブラコンであることだ。

こんな感じだと微笑ましい兄妹に見えるのだが、ところ構わずそれをしてくるからさぁ大変。

学校だろうが公共の場だろうがお構いなし。

何を間違ったのか、将来は僕と結婚するとまで言っている。

―――この歳で(爆)

いや〜、将来の夢を発表する時に僕の嫁になると暴露した時は心臓が止まると思ったよ。

え? 

それを何処で知ったかって?

気にしないように!(爆)

んで、兄から言える事は一言。

もっと分別をわきまえて下さい(泣)

これのおかげで、命のファンクラブ―非公認。何時の間にか出来ていた―の連中に殺気を浴びせられた事は僅かではない。

ま、嫌われるよりはマシだと半ば諦めてるけどね(苦笑)

「兄さん、速く入ろ?」

其の言葉が思考の海に沈んでいた僕を引き戻す。

手を握ったまま部屋に入る。

「あら、悠ちゃん。お帰りなさい」

部屋に入ると、夕食の準備をしていた母さんが声をかけてくる。

「ただいま、母さん」

「もうちょっと時間がかかるから、先にお風呂に入ってらっしゃい」

「うん、解った」

母さんに言われた通り風呂に入る為、部屋を出ようとする。

「――――命?」

手を握ったまま付いて来ようとした命に一言。

「一緒に入ろ♪」

命さん? 素敵な笑顔と共にそんなヤヴァイ事言わないでくれます?

いやマジで(号泣)




風呂を上がって夕食を食べ終わった僕は、特にする事も無くごろごろとしていた。

鍛錬は午前零時近くになるまでしない。

宝具『零時迷子』が真の効力を発揮するのはこの時間だからだ。

―――現在の時刻は午後十時。

(そろそろ始めるか?)

「そだね」

ベランダから外に出る。

この時間帯に朝の鍛錬場まで行く余裕は無い。

(さて、封絶を張るぞ)

「うん」

よってこのように封絶を張る必要があるのだ。

封絶は僕が張る。

何故アキトが張らないのか?

それはアキトと表裏を入れ替わってしまうと、アキトから僕に戻った時に封絶が解けてしまう可能性があるからだ。

そこで僕は封絶を使えるように訓練した。

今では零時迷子の特性とアキトの補佐で、何とか封絶だけは使えるようになった。

訓練次第では他の事も出来るかもしれない。

けど、まぁ、当面はするつもりは無い。

「―――封絶」

小さく呟き封絶を張――――ろうとした瞬間、小さな影が飛び込んできた。

其の影は僕が居る屋根の上にたつ。

「シャナ?」

其の影の主―シャナ―は、僕を見て一言。

「アキトじゃない・・・・」

かなり残念そうに呟く。

ってか、僕は邪魔者ですか!?

『シャナ、其れよりも今はこやつの事だ』

アラストールの声。

「うぅ〜っ。解った・・・・・」

滅茶苦茶残念そうに言うシャナ。

やっぱり僕は邪魔ですか?(泣)

(あ、あはははは(汗))

アキトも呆れてる。

『今宵は敵について情報を提供する為に来た』

今日此処に来た理由を言うアラストール。

「アキト・・・・・」

まだ言いますか貴方は(滝汗)

『・・・・・・・・情報交換もしたいのでな』

流石のアラストールも呆れてる模様。

「うっ」

僕の視線に気がついたか、少したじろぐシャナ。

『敵の名は狩人・フリアグネ。多数の宝具を駆使し、数多のフレイムヘイズを屠って来た強力な王だ』

シャナはスルーですか(汗)

「でも、何故そいつが今回の敵だって?」

『燐子の中に奴お気に入りの『マリアンヌ』の姿があったからだ』

何ともまぁ、解りやすい理由で・・・・・。

「今になって言うのも遅いけどさ、こういうのはアキトと話たほうが良いんじゃない?」

未だ隣で唸っているシャナを見かねて言う。

『む・・・・・。其れもそうだな』

一応納得した模様。

(変わるのか?)

空気を察してかアキトが聞いて来る。

「頼む」

頭の中でお願いポーズ。

(解った)

そして『僕』は『俺』になった。

「アキトッ!」

――――変わったとたんに抱きつかれました(汗)

「で、他に何か情報は?」

シャナちゃんの頭を撫でながら言う。

もはやこれは癖だな(苦笑)

『他には気をつけろ、としか言いようが無い』

気配でそちらは? と問う。

「じゃ、俺等が存在の力を使える理由からだな・・・・・・」

俺は話を切り出した。

――――因みに、其の日の鍛錬は説明だけでつぶれてしまった事を言っておこう。
                                                                                         続く





















次回予告

共同戦線を張ることにした一同。

お互いの立場をフルに利用して情報を集める。

そんな中、悠二の学校では一つの変化があった。

何と、シャナが転校生として転入して来たのだ。

その理由は行動を共にしたほうがいいとの事。

そして、決戦の日は来た。

次回

灼眼のシャナ
〜闇と焔の二重奏(デュエット)〜

第四話   決戦T
                                                                 乞うご期待

























後書き

ども〜、作者の神威です。

第三話お送りしましたが、いかがでしたか?

シャナの性格は大分変わってますが、気にしないで頂けると幸いです(汗)

理由はヴィルヘルミナなんですけどね・・・・・・・・(苦笑)

それはそうと、人気投票も灼眼人気のようで・・・・。

今から外伝の準備でもします(笑)

感想・その他諸々もお待ちしております。

では次回にまたお会いしましょう。
                                                                       一 月二十九日・執筆完了 神威




感想

シャナ凄い事になってますね〜♪ 萌キャラですね。

内気で言い出せないシャナもいいですが、妹系なシャナも良いですね♪

このクソタワケは何を言っているんですか! アキトさん! 騙されてはいけま せん! その子は邪悪な子です! アキトさんの事を狙ってるん ですよ!

人気投票で負けたからね〜、今からじゃ逆転も難しいだろうしね。

あれはちょっと油断していただけです! 私のファンはこんなものじゃありません!  それにアキトさんがいます!

うんうん、シャナとアキトでワン・ツー・フィニッシュしそうだしね。

そんな訳ありません! ワン・ツー フィニッシュとはアキト×ルリのみに許された言葉なのですよ!

これは神威さんに外伝の依頼する事がほぼ確定だと考えてもいいんじゃないかな…(邪笑)

レインボーブリッド・バースト!!
 
どどどどどどどばごー んー!


こんな…急に…なんてスピード…

ふふふふ、アキト×ルリを否定する ものは…滅殺です。
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神 威さんへの感 想はこちらの方に。

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