2008 カップリング祭・カップリングSS
機動戦艦ナデシコ THE MISSION AFTER
ユキナとジュンの未来

 

ここはDCゲーム「NADESICO THE MISSON」においてゲーム終盤、木星圏に置き去りにされたナデシコBのブリッジである。
そこには留守番をしているジュンとユキナの姿があった。

「ね〜、ジュン君。退屈だよ〜」
シートに座って足をプラプラさせているユキナがジュンに退屈を訴える。
「仕方ないだろ。マスターキーが無かったら、いくらワンマンオペレーションシップでも動かせやしないって」
至極当たり前の事を言うジュン。
男女が一つのところで二人っきり、と言う状況を歯牙にもかけていなかった。
「でもさ〜。持ってきた本も全部読んじゃったし〜、ホウメイさんが作り置きしておいてくれた料理も全部食べちゃったし〜。やることないよ〜」
ジュンに気づいて欲しいユキナはぶちぶちとぶーたれる。
年頃の女の子は大変なのだ。
「しょうがないなぁ。じゃあ……」
「何するの!?」
期待に胸を膨らませてジュンに詰め寄るユキナ。
「勉強でもしようか?」
「え?」
ジュンからでた真面目な言葉に目を丸くするユキナ。
「学校、この間の『火星の後継者』事件から休学したままなんでしょ? ちゃんと勉強しとかないと学校に戻った時、大変だよ」
……男と女が二人っきりの状況でそれを言うか、この男は。
ある意味、ジュンもアキト並みの朴念仁なのだろう。
「ええ〜!? いいよ、そんなの〜!」
「ダメだよ。ミナトさんにしっかり面倒見るようにお願いされているんだから」
文句を言うユキナをたしなめるジュンだが、その言葉はむしろ火に油だった。
「ぶ〜! ミナトお姉ちゃんのお願いは聞けても、私のお願いは聞いてくれないの〜?」
頬を膨らませてジュンににじり寄るユキナに、腰の引けたジュンは後ずさる。
「お、お願いって?」
完全に気迫負けしたジュンは冷や汗をたらしながらシートの上に追い詰められる。
「んふふふ……。それはねぇ……」
二人の影がブリッジで重なった……。

 

二人きりのブリッジに鳴り響く警報。
<ボース粒子反応増大。本艦正面です>
「えっ!?」
「えっ!? ぐあっ!?」
突然開いたウィンドウに驚く二人。
いや、ジュンのほうは痛がってもいた。
二人に共通しているのは青い顔。
━━━ナデシコCが帰還したのである。

 

「たっだいま〜……?」
「ただいま戻りまし……た?」
ブリッジに入ってきたミナトとルリが見たモノはシートの上で合体しているユキナとジュン。
四人の時間は凍りついた……。が、他の人間の時間は動いていたため……。
「なにやってんすか、艦長? そんなトコで立ち止まったら中に入れないで……しょう…が……」
ルリたちの後ろから入ってきた三郎太が目を丸くする。
他にもぞろぞろとブリッジに入ってくるクルーたち。
しかし、それぞれが中の光景を見て目を丸くし、フリーズしていた。

そんな中で、一番早く再起動した三郎太が口笛を吹いた。
「ヒュゥ〜♪ やっるねぇ〜! 中尉〜、俺たちも負けてらんないっすねぇ♪」
「ば、バッカ野郎! 何言ってんだ!? お前らも早く離れろ!!」
三郎太のセリフに、正気に戻ると同時に顔を真っ赤にするリョーコ。
「そ、それが……」
なにやら苦しそうな表情のジュン。
「さっきから外そうとしてるんだけど……」
焦っているユキナ。
「い、痛いってユキナちゃん!」
ジュンとユキナは、すでに都市伝説と化した症状、ユキナの『行為中の膣痙攣』により、分離できなくなっていた(大爆笑)。
ミナトからは合体した状態のまま、『どう責任取るつもりなの!?』と追い詰められている。
九十九の唯一の肉親であるユキナは己にとって大事な妹である以上、いい加減な男にはやれない、と考えているのだ。
ちなみに行為の最中攻めていたのはユキナのほうであるが。

この状況を困った顔で見つめる一人の青年が、傍らのルリに話しかける。
「ホシノ少佐……。こういうのは私の監督不行き届きになるのでしょうか……?」
と、ルリに聞いてきたのは今の今まで頑張ってきた艦長候補生。
少し考えたルリは一歩前へ出る。
「……とりあえず多数決を取ります。ジュンさんが悪いと思う人」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい! はい! はい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
間髪を入れず、ブリッジクルーのほぼ全員が手を上げる。
「ちょ、ちょっとルリ君!?」
ジュンの制止も虚しく、新たにルリが問う。
「では、ユキナさんが悪くないと思う人」
「ちょっと待ってーー!?」
ジュンの叫びも虚しく……。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい! はい! はい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
やはり、ブリッジクルーのほぼ全員が手を上げていた。
ちなみに手を上げていないのはジュンとユキナだけである。
「というわけで、多数決の結果、ジュンさんが悪い事に決定しました。よって、艦長の……いえ、艦長候補生である貴方の試験結果に影響が出ることはありませんので安心してください」
「は、はぁ……」
だいぶ毒されたとはいえ、まだまだナデシコのノリについていけない艦長候補生君であった……。

 

結局、イネス特製筋弛緩剤で分離した二人は、ミナトから十二時間に及ぶ説教を食らった挙句、婚姻届にサインをさせられた。
ただし、提出はユキナが高校を卒業してからの予定である。
ちなみにジュンの息子は一週間の使用禁止であった(笑)。

 

その半年後……。
ジュンとユキナの婚姻届の提出は速やかになされた。
理由は大当たりしていたからである(笑)。
結局ユキナは休学期間が延び、ジュンは軍部でお喋りスズメたちの話題となっていた。

そして産まれた子供たち(双子の姉弟だった)の名前を決める際に集まったナデシコクルーが一騒動起こしたについては……想像に難くないだろう……。
ちなみに収束させるために、ネルガルのSSが出張るほどであったことを付け加えておく。
結局、騒ぎが収束した後にジュンが考えた名前が採用され一段落したのだった。

 

その子供たちが二十年ほど後に起こす事になる騒動についてはまた別のお話。

ああ、ジュンに幸多からん事を……。

 

あとがき

ども、喜竹です。
とりあえずですが、カップリングSS作ってみました。ユキナ×ジュンです。

一部では都市伝説と化している『行為中の驚きによる膣痙攣で分離できなくなった恋人たち』を入れてみました(笑)。
なんでも二十年以上勤めている看護婦でも、そんな事態に遭遇した事は無く、同僚の話にも聞いたことは無いそうです。

人数多いのは誰かが作るだろうから、マイナーな奴を作りましたが……、はっきり言って短い作品しか作る余裕はありませんでした。
申し訳ありません。
一応作品のベースはDCゲームの「NADESICO THE MISSION」ですが意外とやった人がいなかったりするんですよね、このゲーム。
SSゲームの「Blank of 3years」はやった人も多いと思うのですが。
そんなわけで知らない人にはつまらないと思いますが勘弁してください。




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