注  このSSにはリバホに投稿した拙作「Phamtom-If‐」の登場人物が出てきます。

    ジャンル的には、「Phamtom-If‐」→「Kanon」になります。

    それでも読まれるという大変奇特な方は先へとお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かのんにふぁんとむいふ

作者 くま

 

 

 

< U1 >

 

 

「―――寒い」

 

今の時間は後もう少しで三時になろうというところ。

俺は駅前のベンチで人を待っていた。

約束の時間は一時。

もうすでに2時間近く経とうとしている。

 

「待ち人来らずという所か、少年」

 

そんな声とともに、見つめていた地面には影が差す。

その元を辿り視線を上げていくと、

俺と同年代に見える一人の男が、

こちらへ缶コーヒーを差し出している姿があった。

 

「持っているのも熱いから、

 早く受けとってくれると助かるがな。

 ああ、安心しろ、毒など入れていなぞ。

 疑うなら、一口毒見をしても良い」

 

そう言いながら、目の前の人物は口元に軽く笑みを浮かべている。

 

「いや、それは遠慮しておこう。

 男と関節キスして喜ぶような趣味は、

 持ち合わせていないんでね」

 

俺は差し出された缶コーヒーを受け取りながらそう答える。

かじかんだ手の中で缶コーヒーを転がすと、

凍りかけていた血流が解れ、血が通って行くような気がする。

 

「なあ、アンタ、俺の知り合いか?」

 

温かいコーヒーをくれた彼の容姿は、俺の記憶になかった。

知り合いだったら随分と失礼だな、とは思いつつも俺はそう訊ねる。

 

「いや、別に知り合いじゃ無いな」

 

不確かとはいえ俺の記憶が正かったことに安堵し、

プルタブを引き、温かなコーヒーを口にする。

口の中も少し暖まったところで、俺は当然の疑問を口にする。

 

「正直助かったが、何でアンタは俺にこれをくれたんだ?」

 

彼が俺の知り合いで無いのなら、

何故このコーヒーを俺にくれたのか?

尤もな疑問ではあるだろう。

 

「お宅の様子を見ていて、あまりに寒そうだった。

 いや、むしろ見ているこっちが寒くなってきたんでな。 

 それにしても大した根性の持ち主だよ。

 この雪の中、2時間近くも屋外のベンチに座りつづけるとはね」

 

両手で自分を抱える様にしながら二の腕をさすり、

寒いとジェスチャーをしながら問いかけに答える彼。

確かに俺はここに2時間近くいるが、それを何故彼が知っている?

 

「アンタ、何時から俺を見ていたんだ?

 ひょっとして、ラブリー祐ちゃんに付き纏う新手のストカーか?」

 

缶の中に半分ほど残っていたコーヒーを一気に飲み干し、彼に問い掛ける俺。

 

「いや、どちらかと言えば、電波系だ。

 月の裏側のクレーターから放たれる電波は、

 それはもう凄いものだからな」

 

俺の冗談交じりのその言葉に、

彼はニヤリと笑みを浮かべながらそう返してきた。

 

「………」


「………」

 

互いに相手の反応を待ち、沈黙がその場を支配する。

雪だけは先ほどと同じ様に、深々と空から降りてくる。

 

「つっこめよ」


「そっちこそ」

 

短い言葉の応酬を交わし、再び黙り込む俺達。

ただ視線をぶつけ合い、相手の出方を覗っている。

 

「………」


「………」

 

そうこれは戦いでもあった。

何故だか解らないが、そういう気がするのだ。

 

「アンタ、変なヤツだな」


「確かにな、が、お宅には、負けるさ」

 

俺の言葉に反応し、即座に切り返してくる彼。


「………」


「………」

 

再び黙り込んでしまう俺達。

彼に負けじと睨み合うほどに視線を交えていると、別の思いが来襲する。

俺達は何でこんな事をしているのだろうか?

 

「なんか、とてつもなく不毛な事をしている気がしてきた」


「全く持って、同感だな」

 

軽くため息をつきながら俺の漏らした言葉に、それもそうだと肯く彼。

睨み合ったにせよ、目の前の彼に感謝するべきなのは確かなことだ。

とここで、恩人ながら初対面の彼の名を知らない事に気が付いた。

 

「俺は相沢祐一、アンタは?」


「吾妻玲二だ、ラヴリー祐ちゃん」

 

俺が名乗りながら名を尋ねると、すかさず返してくる吾妻。

 

「クッ」


「フッ」

 

互いに漏らした短い声が勝敗を語っていた。

どうやら今回は俺の負けらしい。

だが、次こそは俺が勝つ。

何時になるかは解らないが、絶対にだ。

まあ、それにしても変なヤツだ。

碧と黒のオッドアイなんかは、

不思議な感じで引かれるものがあるんだが…」


「誉めるか貶すかどっちかにしたらどうだ?」

 

突如、吾妻の口からはそんな言葉が語られる。

 

「な、ばかな、俺の考えが読めるのか?」


「口に出てればな」

 

驚愕した俺の問いかけに、冷静に返してくる吾妻。

どうやら、自分でも良く無いと思っている癖がまた出たようだ。

 

「ぐはっ、またか」

 

後悔とともに苦悶の声を漏らしてしまう俺。

 

「良くやるのか?」


「ああ、まったく困った癖だ」

 

訊ねる吾妻に苦笑をしながら答える俺。

吾妻は何か思い当たることがあるのか、少し考え込んでから口を開く。

 

「直し方を教えよう。

 言語圏を変えて生活するんだ。

 一度考えてから喋る様になるから、ほぼ直せるはずだぞ?」


「そうか、でも遠慮しておこう。」

 

要するに外国で暮らせという吾妻の提案を即座に否定する俺。

それが嫌で両親と一緒に向こうに行かないことを選択した俺だ。

今更そんなこと出きるかと言う感じだ。

 

「で、正直な話、何で俺が2時間も待っていることを知ってるんだ?」

 

先ほど、無意味な睨み合いにまで発展した疑問を、再び吾妻に投げかける。

 

「2時間前と全く同じ場所に座っていて、

 身体に雪を積もらせていれば、その結論しか無いだろう。

 ちなみに俺は飯食って、食後のコーヒーすすりながらのんびりしてたけどな」

 

と、納得のいく答えを返した来た。

吾妻の指差す先にある喫茶店からは、確かにこのベンチが見えるだろう。

 

「なるほど。

 なあ、親切ついでに一つ教えて欲しいんだが、

 水瀬秋子さんの家はどこにあるか知らないか?

 知っていれば教えて欲しいんだが…」

 

これも何かの縁とばかりに、吾妻に取り合えずの目的地を訊ねる俺。

溺れる者は何とやら。

俺とは面識が無いようだが、

ひょっとしたらという思いも込めて、俺は吾妻に訊ねてみた。

 

「いや、済まないが、その名前には聞覚えがないな。

 何せ、俺も今日この町に着いたばかりでね。

 その水瀬さんの家に何か用なのか?」

 

ゆっくりと首を横に振る吾妻は、

俺の足下に置かれた大きなバッグを見ながらそう問い返してくる。

旅行にしては大きすぎる感のあるバックだ。

吾妻が疑問を感じるのも無理はない。

 

「何と言うか、その親せきの家に、今日から居候する事になってるんだ。

 その家の従姉妹が、1時に俺をここまで迎えに来る約束になってたんだが…」

 

不審がられたままといいうのも、気分のいいモノじゃない。

俺は今の事情を掻い摘んで、訝しむ吾妻に説明する。

 

「それがまだ来ないと?

 ……なあ、相沢、

 お前その従姉妹によっぽど酷いことをしたんじゃ無いのか?

 そうでなきゃ、この雪の中、2時間も待たせるような事はしないだろう」

 

納得はしたが、という吾妻は眉を寄せたまま俺にそう告げてくる。

何となくだが、吾妻の言っていることが正解のような気がした。

 

「……酷い事、か。

 ひょっとしたら、そうかもしれない。

 この町に来るのも、その従姉妹に会うのも久しぶりなんだ。

 けど、俺は最後にこの町に来ていた時の事を、良く思い出せないんだ…」

 

本当に思い出せない俺は、そんな言葉を吾妻に語っていた。

 

「若年性健忘症?」

 

俺の言葉に吾妻が縁起でも無い事を呟く。

が、それもある意味正解ではある。

 

「かもな、七年前のこの町の事に限って言えばな。

 ところで、吾妻は何をしにこの町へ?」


「――修行、かな?」

 

返ってきたのは随分と意外な答えだった。

この雪の町に何かそういうところがあるのだろうか?

 

「そりゃまた随分と古風な。で、しばらくこの町に?」


「多分な。

 と言っても今夜寝る場所も無いような状況だから、どうなるかは解らん。

 ま、いざとなったらいつものように野宿でもするさ」

 

そう気軽に話す吾妻に俺は呆れていた。

この寒空の下、野宿だなんて正気の沙汰じゃないだろうに。

本人が全く危惧していない事からすると、多分慣れてはいるんだと思うが…。

 

「なんか、無茶苦茶だな、お前。

 親は何にも言わないのか?」


「両親はとっくに雲の上。

 義理のも、中学を出た時に離れてるからな」


「悪い」

 

吾妻の口調こそ軽かったものの、

どうにもバツの悪かった俺は短くそう返すしか出来なかった。

 

「謝る必要はないさ、単なる事実だからな。

 何となく思うんだが、相沢って、優しいんだな」


「優しい?俺が?」

 

吾妻の言い様に俺は当然にして首を傾げる。

優しいというならば、見ず知らずの俺に熱い缶コーヒーを恵んでくれた吾妻の方だろうに。

 

「俺を気遣ってくれた今のもそうだし、

 雪の降る中2時間も待ってたのもだ。

 その従姉妹と入れ違いになって、

 この寒空の下で待たせるのが嫌だったんだろ?多分」


「………」

 

そうじゃないと俺は言いきれなかった。

俺がベンチに座りつづけたのは単たる意地だと思っていたが、

自分でも気が付いていない内に、

心のどこかでそんな事を考えていたのかも知れない。

 

「ちなみに、その従姉妹とやらは、同い年ぐらいの女の子か?」


「……そのはずだが、何故解った?」

 

本当はエスパーかなんかじゃ無いんだろうか、

と疑わせるほど鋭い吾妻の台詞に、

俺は眉間に皺を寄せながら、訊き返す事で答える。

 

「俺の右手後方。

 さっきから、こっちをちらちらと見てる娘がいたんでな」

 

言いながら自分の背後を指差す吾妻。

その方向の茂みの向こうには、

どこかの学園の制服を着た少女が居て、

確かにこちらを覗っているように思える。

 

「知り合いか?」


「多分な」

 

はっきりとそうだと言いきれないのは、

その娘との距離が離れているだけではない。

最後に顔を合わせてから随分と時間を空けてしまったのも、

そう言いきれない要因だった。

 

「そうか、じゃあ俺は行くとしよう。

 流石に女の子を待たせるのは趣味じゃない」


「悪いな吾妻、そしてありがとう。

 また会えると良いな」

 

言いながら肩をすくめる吾妻に対し、

空になった缶コーヒーを掲げ礼を言う俺。

 

「今度は、ツッコミ要員を用意しとけよ」


「善処しよう、とだけ言っておく」

 

軽く笑みを見せながら、冗談を言う吾妻。

俺もそれに乗る形で言葉を返す。

 

「じゃあな」


「ああ」

 

そんな言葉を交わしたのを最後に、

ひらひらと手を振りながら吾妻は行ってしまった。

彼が去って幾分も経たない内に、

先ほどの女の子が俺の前に立った。

第一印象から言えば、紛れもなく美少女だと思う。

 

「雪、積もってるよ」

 

彼女に言われるとおり、

俺の頭や肩などには降り続く雪が積もっていた。

あえて払い落としていなかったのは、

ここまで待たせやがって、という意志表示でもある。

 

「2時間は待ってるからな」

 

目の前の少女に告げながら、

ベンチから三メートル程の所に設置されている時計を指差す俺。

 

「わ、ビックリ。

 まだ2時ぐらいだと思ってたよ」

 

時計を見て、あまりビックリ感を感じさせない緩やか口調で驚く少女。

というか、今が2時でも一時間の遅刻だ。

それはさておき、俺にはやるべき事があった

 

「まあ、それはともかくとしてだ。

 取りあえず謝っておくぞ。

 正直、すまんかった」

 

目の前の少女に深深と頭を下げる俺。

下げた頭に積もっていた雪が、どさっと足下に落ちる。

 

「え、え、何?!」

 

突然謝られた彼女は驚き、軽くパニックなっているようにも思える。

 

「凍死しそうになった俺を、缶コーヒーで救ってくれた命の恩人が言ったんだよ。

 そんな仕打ちをされるのは、俺が何かしたからだってな。

 七年前の記憶がはっきりとしない俺には、

 当時、俺が何をしたかはまるで解らない。

 けど、きっとお前にとっては酷い事をしたんだろう。

 これも結局、俺の自己満足にしかならないんだろうが、

 とにかく謝らせてくれ、済まなかった」

 

混乱する彼女に構わず、

俺は自分の言いたいことだけ告げて、もう一度深々と頭を下げる。

何て身勝手な、と呆れられるかもしれないが、

どうしても謝っておくべきだと、俺は決めてしまったのだ。


「…ずるいよ祐一。そんな事されたら私どうしていいか…」


頭を下げている俺に彼女が何か呟いている。

が、小さ過ぎるその声を俺は聞き取る事が出来なかった。

 

「ん?どうかしたか?」

 

顔を上げ、彼女にそう訊き返す俺。

先ほどは聞き取れなかった言葉も、

もし必要な事ならもう一度繰り返してくれるだろう。

 

「ううん、何でも無いよ」

 

軽く微笑み首を横に振る彼女。

何でも無いと言うからには、大した事じゃないんだろう。

 

「で、その手に持ってるのは?」


「遅れたお詫びと七年ぶりの再会のお祝い、だったんだけど…」

 

更に訊ねる俺の言葉に、彼女の言葉が尻すぼみになっていく。

俺の手の中に同じ缶コーヒーがあるのを見ての態度だろう。

 

「じゃあ、それは俺が貰っていいんだな?」


「あっ」

 

とまどう彼女の手から缶コーヒーを奪い取ると、

プルタブを開け中身を一気に流し込む。

 


「身体が温まったよ、サンキュ」


「うん」

 

俺が礼を言うと、彼女は少し嬉しそうに肯いた。

正直、舌を火傷したんだが、それを表に出すつもりはかった。

ちょっと、恥ずかしいからな。

 

「ねえ、私の名前、まだ覚えてる?」


「お前こそ、俺の名前覚えてるのか?」

 

彼女からの問いかけに問いかけで返す俺。

タイミングを計った訳では無いが、

奇しくも次に口を開いたのは同時だった。

 

「祐一」「花子」

 

俺の言葉を聞いた彼女はとたん困った顔になった。

冗談を言ったのだが、ウケなかったようだ。

 

「大吾郎?」


「そんな日本チームの子持ちの柔道家みたいな名前じゃないし、

 わたし、女の子…」

 

続ける冗談もウケなかったのだが、

それは『大門吾郎』だと突っ込むべきなのか、と迷わされる俺。

ボケにボケを重ねるとは、我が従姉妹ながら、なかなかやるようだ。

 

「―――女の子…ね、証拠あんの?」


「うー、ひどいよ、祐一」

 

更に続ける冗談に、頬を膨らませる彼女。

無論、彼女は少女以外の何者にも見えようがない。

彼女のその子供っぽい仕草に懐かしさを感じながら、

俺はバッグを肩にかけなおし、ベンチから立ち上がる。

 

「単なる冗談だ。

 そんな事より、早く案内をしてくれないか、名雪」


「うん!」

 

俺が名前を呼ぶと、途端に表情を明るくし肯く名雪。

足取りも軽くなった感の名雪に先導され、

俺はこれから暮らすことになる水瀬家へと向うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

< 02 >

 

「寒い」

ここに存在するようになって得た情報を処理した結果、一番強烈な印象がそれだった。

まあ、例のごとく飛ばされた結果、今ここに居るのだが、今度はどういった世界なのだろう?

俺は更なる情報を求め、周りの詳細な認識を開始する。

空から降りてきて、時折視界を横切る白いものは雪だった。

道理で寒いわけだ。

そして今居るのは聞き覚えのない名前の駅の前。

看板に書いてある文字から判断すると、どうやらここは日本であるらしい。

周辺の地図があることを期待してロータリーになっている駅前をぐるりと一周する。

半ば程回ったところに設置してあった案内板に、

この地域の観光名所などと共に周辺地図が載せてあった。

2分ほどそれをじっと見つめ頭の中に叩き込む。

が、地図はともかく、妙なことが解った。

ここを示す聞いた事のない地名なのにも関わらず、

何故だか俺はデジャビュを覚えるのだ。

首を捻りながらもすぐ側に誰も居ないことを確認した俺は、

背負っていたバッグを降ろし中身の確認をする。

OKだ。

2種類の銃と予備の弾が2カートン。

ナイフが三種類に、綺麗に折畳まれた戦闘服とポンチョ。

取りあえずビニール製のポンチョを取りだし、そそくさとそれを着込む。

雪のなか、シャツにジャケット羽織っただけという格好はあまりにも寒そうで浮いている。

外気を遮断するビニル製のポンチョ1枚でも、随分と体温の流出を防ぐ事が出来るだろう。

更なる情報収集に勤め、すぐ側に時計が設置されている事に気が付いた。

カレンダーも兼ねているそれによると、

今は一月六日の13時になろうかというところだった。

その時計を読み取っている時、丁度電車が駅に入ってきたらしく、

車掌が笛を鳴らす音と、降り立った幾人かによる雑踏が駅から聞こえてきた。

そんな人々の中で、俺の目を引く集団があった。

正確には一つのグループではないのだらろうが、

彼女達は見覚えのある衣装を見につけていた。

某北の街に一校だけあるという学園の制服。

そう、雪の降るような季節なのにああも足をさらけだし、

見ているこっちが心配になりそうなあの制服だ。

と同時に俺は、先ほどから感じていたデジャビュの正体にも気がついた。

確かにこの光景にも見覚えがあるはずだ。

モニター越しにとはいえ、幾度となく見ている背景なのだから。

そして人々の雑踏の後を追うように、

大きなバッグを肩にかけた一人の少年が駅から出てきた。

その見覚えのあるようで見覚えのない少年の名前を俺は知っている。

相沢祐一。

この世界があの世界だというのなら、それが彼の名前だろう。

そして取りあえず次の行動を、俺は決めた。

商店街にあるであろう本屋に行って更なる情報を集め、

今後俺がどうするべきかを検討するのだ。

が、その行動を起こす為にも先立つものがいる。

俺のサイフの中にあるの紙幣のうち、、日本の物は2枚だけ。

最高額の紙幣であるのが、ある意味救いでもあるが、

それがこの世界で使用できるかどうかは別の話だ。

そこを確認する為、俺は駅舎に入り自販機で入場券を購入する。

幸いにも機械は紙幣をきちんと認識し、お釣りと共に入場券を吐き出した。

それらを安堵と共に手にした俺は、

先ほど頭に叩き込んだ地図を頼りに、そのまま商店街へと足をむける。

たしか本屋は商店街でも解りやすい位置にあったはず。

程なく本屋を見つけた俺は、

この街の事も載っているひらがな三文字の観光用情報誌を購入。

試しに差し出したもう1枚の紙幣も、何の違和感も無しに受け取られ、

店員は渡した額面に見合ったお釣りを返してくる。

その後、一度情報を整理する為、近くの喫茶店にはいることにした。

ホットコーヒーとサンドイッチで軽く腹を満たしながら、

情報誌の、特に、この街について書かれている部分を読み進める。

そして今まで得た全ての情報を元に思考を開始する。

まあ、つまりアレだ。

これがいつもの修行のようなものだとするのならば、

この場合、所謂オールエンドに持っていけ、と言うことなのだろう。

要するにそう言う事なのだろう。

成すべき事を決めた俺は、目標に向いどうのように行動するべきかを考える。

とはいえ、彼の行動次第で対応は変わるものであるし、

臨機応変、言わば行き当たりばったりでやるしか無さそうではある。

そして先ず一番に決めたのは、きちんとした防寒具を手に入れる事だ。

流石にポンチョだけ長い時間でうろついていたら、

街の皆様に怪しまれることこの上ないからだ。

まあ、場所も商店街であったため、

9800円で特売されていた黒のロングコートを手に入れ、問題を解決した。

手袋は戦闘用の皮の手袋を流用し、取りあえずの体裁は整えることが出来た。

下準備を終えた俺は、物語の中心人物である相沢祐一と一次接触を計ることにした。

駅前に戻った俺は、彼の座る場所が見える喫茶店に入り、時間を調整する。

彼の迎えが来るぎりぎり前に接触を計る為だ。

30分ほど、雪の中で待ちつづける彼を眺め、喫茶店をあとにする。

そして彼への手土産であるホットの缶コーヒーを購入する。

印象に残るようにするには物で釣るのが一番。

警戒を抱くにせよ、感謝されるにせよ、記憶には残るだろうから。

そして缶コーヒーを手に、俺は彼が一人待ちぼうけているベンチへと向うのだった。

 

 

 

 

続かない


あとがき

100万ヒットの嫌がらせお祝いに一度はゴミ箱に入れたSSを送ろう第2弾です。

カノンのSSにはまった時に、1話分と少し書いてみて、続かなくなったものです。

手直しを入れたとは言え、まったくのジャンクです。

因って、打ち切りで、続きません。

ではまた。


感想

くまさん二本連続投稿!

ベースはカノンで、その世界にレイジが来るという設定のようですね。

レイジはリバホの「Phamtom-If‐」の主人公としてのレイジですので、最強ですが…

この世界では一体何をするつもりだったのか、凄く気になるところです。

修行との事ですし、おそらく「Phamtom-If‐」の外伝の一つだったのでしょう。

新たな力を手に入れるためにここにきたはずですが、さて…

困りましたね。

続きは気になっても「Phamtom-If‐」は完結済だからねぇ…

外伝の続編出よりも、本編の続編に期待した方がいいかな?

ああ、確か「新世紀エヴァンゲリオンR with ○○○なヤツら」でし たっけ。

確かに面白いと思いますが…その場合「Fate/stay nitro」はしばらく出ないと思いますよ?

ぐはぁ!?

それは…あっちもいいし…こっちも見たい…ああ…私はどうすれば…

くまさんのやりたいようにやってもらうのが一番でしょう…そもそも、駄作家 が口出しなどおこがましい。

ブツブツブツブツ

駄作家が壊れてしまったようですので、私のほうから伝えます。

くまさん、記念作品を送ってくださりありがとうございました♪


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