魂の葬儀屋、の続き

 

作者 くま

 

 

 

 

 

 

手入れされた芝生の上に置かれたテーブル。

チチチと小鳥が囀る中。

テーブルを挟んで向かい合う最愛の女性の存在に、

横島は、ああこれは夢なんだ、と認識した。

 

「どうしたの、タダオ、変な顔して?」


「いや、何でも無いよ、ルシオラ。

  ただ、今あるこれが、夢なんだと、そう思っただけで」

 

笑顔のまま首を傾げ訊ねてくるルシオラに対し、横島は苦笑をしながらそう答える。

 

「別に、夢でも幻でも良いじゃない。

 私は、タダオとこうして久しぶりに会うことが出来て、嬉しいし」

 

蜂蜜をたっぷりと注いだカップの紅茶をティースプーンでかき混ぜながら、

視線をその渦巻く表面に向けたまま、照れた様にはにかんでみせるルシオラ。

 

「ああ、そうだよな」

 

そんな仕草を見せるルシオラに向けて、大きく頷く横島。

ルシオラの言葉にあった様に、これが夢だろうとなんだろうと構わないと、彼自身もそう思ったのだ。

 

「元気だったか?と聞くのは少し変かな?」


「そう・・・かもね。

 私はもう止まってしまった存在だから、変わることが無いものね」

 

横島の問いかけに答えるルシオラの表情は、笑顔ではあったがどこか寂しげでもあった。

横島は、その表情を見て見ぬ振りをして、言葉を続ける。

 

「・・・・・・そっか。

 俺の方はさ、相変わらずバカやってるよ。

 あれから少し仕事は減ったけど…。

 皆と一緒で、時には羽目を外して、美神さんにしばかれて。

 多分、前と変わらずに、俺はやっていけてるよ」

 

そう言って笑ってみせる横島を、ルシオラは悲しげな瞳で見つめ返す。

 

「知ってる。

 ずっと、側で見てたから」

 

そう短く告げたルシオラは、すっと椅子から立ち上がる。

 

「でもね、タダオ、無理はしないで良いの」

 

そのまま横島の背後に回り、そっと彼を抱きしめ、囁くようにその言葉を彼に告げる。

 

「ルシオラ?」

 

横島はその言葉の意味を理解しかね、問いかける代わり彼女の名を呼んだ。

 

「タダオに、貴方らしくと願ったのは私だけれど、

 それは、変わらないでということでは無いの。

 消えてしまった私と違って、生きているタダオが変わっていくのは当然の事。

 だから、タダオは変わって良いの。

 その結果、私の事を忘れてしまったとしたら、少し寂しいけれどね」

 

横島を後ろから抱きしめたまま、苦笑しながらそう続けるルシオラ。

 

「バカを言うな!

 お前の事を忘れるなんて、出来るわけ無いだろう!!」

 

後ろを振り返り、怒鳴るように言い返す横島。

その横島の様子に、ルシオラは一瞬きょとんとした表情をしたが、

すぐに笑顔になり、横島を抱く両の手にぎゅっと力を入れる。

 

「ありがとう、タダオ。

 貴方の気持ち、とっても嬉しい。

 でもね、私は貴方に幸せになって欲しいの」

 

振り返った横島をぎゅっとその胸に抱きそう続けるルシオラ。

 

「だからって、お前を忘れられるかよ・・・」

 

横島もまたルシオラの腰にその手を回し、力ない声で言い返した。

 

困った人ね、そう苦笑をもらしたルシオラは、

頭を抱いていた腕を横島の頬に沿え、情けなく歪む横島の顔を正面から捉える。

 

「じゃあ、約束してくれる?」


「約束?」

 

ルシオラの問いかけに疑問で返す横島。

 

「私の事を憶えていても、忘れてしまっても。

 タダオは、そう、貴方は幸せになってくれるって」

 

真剣な表情で語るルシオラ。その瞳はただ真っ直ぐに横島に注がれていた。

 

「タダオの心が幸せで満たされれば、

 それはタダオの中に居る私にも伝わってくるわ。

 つまり、タダオの幸せが、私の幸せでもあるの」

 

横島は何ともいえない表情でその視線と言葉を受け止めていた。

彼は気が付いていたのだ、彼女のその嘘に。

だが横島は、目を瞑って一つ大きく息を吸い、決心と共に目を開いた。

 

「約束するよ、ルシオラ」

 

力強く、そして真っ直ぐに答える横島。

 

「俺、幸せになるよ」

 

そう続けられた横島の言葉に、ルシオラは唇を重ねる事で応える。

そうして口付けを交わすうちに、曖昧に成って行くルシオラの姿。

 

「そっか、あの娘のくれた時間はもう終りなんだ・・・」

 

横島から離れつつ、漏らされるルシオラの言葉。

 

「夢は夢でしかないってことか、ルシオラ?」

 

腕の中で徐々にぼやけていくルシオラの存在を感じ、横島は力なくそう呟いた。

 

「そうとも言えるし、そうでないとも言えるわ。

 今までの刹那の出会いは、あの娘が起こした束の間の奇跡。

 そして、本来なら在りえなかったものでもあるわ」

 

腕の中で、そう微笑むルシオラの言葉を、横島はただ黙って聞き入っていた。

 

「だからね、タダオ。

 この出会いをくれたあの娘を、タダオが助けてあげて欲しいの。

 あの娘、強くて優しくて、それでもどうしようも無いくらい困った娘だから・・・」

 

悲しそうな笑顔を見せて語るルシオラ。

 

「ああ、解ったよ、ルシオラ。

 俺がその娘を必ず助ける、だから、安心してくれ」

 

消えていくルシオラに向けそう力強く断言する横島。

 

「よかった、これで私も還れる」

 

先ほどとは違う、満足げな笑顔を見せるルシオラ。

 

「じゃあ、さよなら、タダオ」

 

ルシオラは飛び切りの笑顔で横島に告げ

 

「ああ、またな、ルシオラ」

 

横島もまた、彼女の笑顔に負けじと笑顔で告げる。

そのままルシオラの姿は光のきらめきへと崩れ、

そしてその全てが周りに溶け込むように消えていく。

横島が感じるのは己の中に何かが入ってくるという感覚だった。

それらがすべて収まったとき、横島は唐突に理解した。

ルシオラは確かに還ったのだと。

と、同時に横島を取り囲んでいた周りの景色も歪み、揺らぎ始めていく。

そうして横島の意識は、覚醒へと向かったのだった。

 


 

続かない


あとがき

ども、くまです。

どなたかがWEB拍手で続きを希望されたのと、

たまたま続きの下書きがあったので、テキストに起こしてみました。

かなり、短くなってますが、これでカンベンしてください。

また、これ以降の話は全く考えてませんでしたので、続きはありません。

まあ、希望する人も居ないでしょうけれどw。

次に書き上げれる話は不明ですが、またお会いしましょう、では〜。

以下特定一部へ向けた私信につき反転
某所ヲチスレ143の869氏以下その書き込みに反応された方へ。
私見ですが、あなた方はヲチが下手だと思いました。
半年以上の前のネタに対して普通に反応を返すのは、ヲチャーとしてはいかがなものでしょう?
もう少し才気に富んだ受け答えをしてもよろしいかと思います。
ただ、872氏に関しては、また別な感想を持ちました。
確かに、インターネットは妄想や虚言を書き込むには適した媒体だとは思います。
ある意味公共の場であるヲチ板に、自身の妄想じみた戯言を書き込むのは、
他の方にとって迷惑となる行為では、と少し心配になりました。
ヲチ板の住人の方々とて、そういった妄想家と同一に見られるのには、恐らく抵抗があるかと。
良く解りませんが、とりあえず半年ほどROMれ、と助言するのが正しいのでしょうか?
まあ、これらは、あくまで私見ですので、そうでないと言いわれる方々もいらっしゃるとは思いますが。
なんにせよ、これからのあなた方ヲチャーとしての、
毒でも薬でもなくWEB上のそしてリアルの資源をただ無駄に浪費する自慰活動にも似たその活動を、
今後もニヤニヤと眺めさせていただきたいと思っております。
皆様の今後の、そして今以上のご活躍を心から期待しております。
今度は素早く反応できると良いですね、では。



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