シルフェニア11周年&1億ヒット記念作品
深海提督日常
BY黒い鳩




流転する、そう……あらゆる思いも、その姿も。

何をもって、何を成すというのか……またたく間に過ぎて行く時間の中で。

何かを成し、果てて消える、だがそれはただの形骸に過ぎない。

永遠は無く、有限の世界の中で、ただたゆたう果てに。

流れ出した水滴が今……。



何が言いたいのか分からなくなりました!(爆)





「ヲイ!」



頭の中に勝手に流れていたモノローグに突っ込みを入れ。

しかし同時に、ぱっと景色が変わった事に気づく。

眠っていたのか?

いや、俺は……。

23世紀最大のテロリスト、テンカワ・アキト……のはずなんだが……。


なんだこれは?

周囲を見回す。

凄く、磯臭いです。

いやま、洞窟の中にいるのはわかる。

恐らく海が近いのだろう、洞窟内には磯の香り、そして海藻がそこかしこに茂っている。

こんな所に異様なのが、俺の目の前の机。

木で出来た執務机だろうか?

そこそこ頑丈に出来ている、俺はどうやら机に肘をついて椅子に座ったまま寝ていたらしい。

よく見れば、洞窟内にはそこかしこ生活臭のする物品も見受けられる。

……なんだろう、このせせこましさは?

テロリストである俺は確かにこー狭苦しいところに縁が無い訳じゃないが……。

自然と生活臭が混然一体となって意味不明な世界を醸し出している。

なんといっていいのか……そう。

大人になってから作った、無駄に金のかかった秘密基地みたいな?



「なんで俺がここに……というか、ここどこだ?」



はっきり言って意味不明過ぎる。

まー俺もホラ二次創作とかで色々な世界に行ったが、多分意味不明具合ではトップレベルだ。

あまりメタな事を言うなって?

気にするな、俺は気にしない。

そもそも、気に出来るような空間でもないだろ?

っていうか、そろそろ第一村人を探しに行かないといけないな。

いつまでたってもここには誰も来ないみたいだし。

まあ来てもこんな場所、恥ずかしくて悶絶できるかもしれないが。



「まったく……毎度毎度変な所に連れられて来る俺の身にもなってみろよな……」



そりゃ、ボソンジャンプは時を越えるらしいから、並行世界の分岐でいろんな所にいけるってことになるが。

だからって、色々な世界にいかされたからな……。

ファンタジーな世界、俺のいた世界よりも未来っぽい世界、異世界を行き来する技術がある世界。

逆行もよくあったし、女になる事も多かった、正直ピーされた時は呆然となったものだ。

そんな事を考えながら、水たまりを飛び越えようとしてふと見る。

ん?

おい……

な……な……



「なんじゃこりゃーーーー!?」



今回は人かどうかすら怪しかった。

両手はある両脚もあった、身体そのものはさほど問題ないように見える。

見知った、俺の手足と言う訳ではないが、それはまあ良しとしよう。

しかし……頭が……Tだった。

何を言っているか分からないだろうが、俺も何が何だか分からなかった、催眠術とかェ……

いや、実際催眠術にでもかかってるか、仮面でもかぶせられてるほうがマシだろう。

このT字は俺の動きに合わせて動き、俺が表情を変えようとすると歪んだ。

つまり俺は……T字頭人間(?)になったようだった。

……ここは飛びぬけて異世界なんだろうか?



「とっ、兎に角落ち着け……。

 お……俺の姿が変わってしまった事は……仕方、仕方ないさ。

 どうしようもない事を議論するより、前向きに考えないと」



そう、俺は23世紀最大のテロリストと呼ばれたテンカワ・アキトだ!

だよね? そのはず……、ちがうかもしんない……。

いやいや、そんな事はない! 俺以外にだれがテンカワ・アキトだっていうんだ!

並行世界に沢山いるって? まあ否定できないけども……。



「ビークール、ビークール! 今の俺にとって大事なのはなんだ?

 そう、周囲を探索し、現状を理解することだ!

 悩んだりするのは後でいい、そう後でいいんだ!」



叫んでいる割には情けないとか気にしない。

俺に出来る事は周囲の探索だけ、だからきっちりと探査しないとな。

といっても洞窟はそんなに沢山の分岐があるわけじゃない。

俺のいた場所から正面は暫く進むと水没していた。

恐らくこの向こうは海なんだろう。

ひときわの磯臭さがそれを教えてくれた。

というか、そこには波もあった、水面は5メートルは下くらいになっていたが、津波とか来たらやばそうだ。

そしてもう一つ、横道になっている場所だ。

そこから先は直進できるようになっていて、扉のついた小部屋のような場所へとつながっている。

小部屋はかなりの数があるようだったが、開かない部屋が多かった。

開く部屋は何もなく、水浸しの所も多かったが、時々ベッドの様なものも置かれていた。



「誰か住んでいるのか? まあこんな場所だ、まともな人間を期待する事もできないだろうが」



というか、まともな人間がいた場合はそれはそれで困る。

俺の顔を見て、ギャー化け物ーとか言って逃げ出すのが目に見えてるからだ。

そうこうして探していると、今までと違い気配のする部屋を見つけた。

俺は思わず扉を開ける。



「ヲッ!?」

「ん!?」


俺が見つけた小部屋には、パンツはきかけのラピスっぽい子がいた……。

ピンク色の髪、金色の瞳、頭の上にでっかい帽子、そしてはきかけのぱんつ。

まじまじと見つめた俺に頬を染めた彼女は……。


「ヲーッ!」



俺を指差して叫んだ。

すると帽子の中からなんか小さい物が多数飛びだした。

そして、小さい物が放ったミサイルの様なものを受け俺は吹っ飛んだ。



「ぐぁぁぁぁ!?」










気絶していたのだろう、俺はまたさきほどの机に手をついた状態で寝ていた。

だがさっきと違う点があるとすればラピスっぽいでっかい帽子の子が目の前にいる事だ。

まだ怒っているのかと思い視線を向けると、頬笑みを返してくれる。

なかなか表情豊かな子のようだった、ラピスが成長したらこんな感じだろうか?

そう、年齢もどうやら十代後半くらいのようだった。

似ているが別人だろうか?



「ヲ!」



ヲッ!




彼女はヲしか言わないので何を言っているかは彼女の表情や動きを見て判断するしかない。

ただ、彼女は俺に付いて来いと言っているらしいことはわかった。

そうして、ついて行くとそこには……。

何だかわからない4つの穴が開いた巨大なタコつぼのようなものが中央に据えられた部屋があった。

丁度、さっきの小部屋のある通路の突き当りにあるためまだ行っていなかった部屋だ。



「なんだこれは?」



俺が5mはありそうな巨大なタコつぼを見て首をひねっていると。

ラピスっぽい帽子の子は横を指差す。

よく見れば横にあるのは倉庫のようだった。

そこには、一輪車と4種類の何かが置かれている。

一つは鉄だろうか? 磨かれていないのか真っ黒になっているが間違いないだろう。

次は、黄土色の鉄鉱石のようなもの、アルミの原料であるボーキサイトが黄色いらしいからそれか?

次は……海苔だろうか? 鋼材と食べ物が一緒にあるのはどうかと思うが。

最後は……これまた真っ黒だが……石炭……じゃないな、廃棄物固形燃料のようだ。

プラスチックや紙といった燃えやすいものを固形化して燃料としたもののはずだ。

かなり圧縮されていて、原型が見えないから燃料効率はそこそこよさそうだ。

鉄類は兎も角、海苔を食べて、固形燃料で暖をとれば最低限生活にプラスにはなりそうな。

少女が教えてくれたのはそのことだろうか?

しかし、少女は首を振る。

それらを一輪車に乗せ、さっきのタコつぼの足元まで運ぶよう俺に指示しているようだ。



「これらを持っていけというのか?」

「ヲ!」

「うーん、まあ持って行ってみるか」



とりあえず、指差ししている感覚から、4種類を均等に一輪車に乗せてタコつぼの下まで運ぶ。

すると今度は、タコつぼの下にある4つの穴を指差す。



「もしかして入れろってことか?」

「ヲ!」


少女は首を縦に振る。

そして、種類を示しては穴の場所を示す。

つまりは別々の穴に入れろっていうことか。

俺は言われた順序どおりに、中に入れていった。



「ヲッ!」



4つの穴の横にレバーがある。

彼女はそれをしきりに指差す。

ふうむ、引いてみるしかないな。



「よっ!」



レバーを引くとさっきまで無音だった世界に唐突に音があふれた。

ゴウンゴウンという音と共にタコつぼ内が明滅する。

そして、最後にチーンという電子レンジのような音を出して止まった。

内部から煙が漏れてくる、そしてタコつぼの一部がぱかりと割れた。

そして、その中からは……。

ヘルメットをかぶっって、食われかけの上半身しかない女が現れた!?



「なっ!? なんだ!?」

「ホッ!」

「ヲッ!」

「ホ」

「ヲヲ!」

「いや、意味分からんが」



どうも、こういう存在らしいとはわかるが……。

どうやらラピス風の少女の格好も種族的な何かなのかもしれない。

ただ、ホ、ホ言っているほうの女性はかなり人間離れしている。

上半身しかないように見える点もだが、食われているというより食っている部分も含めて一つらしい。

ありていに言えば、脱ぐ事は出来ないと言う事で、ラピス風の少女より人間から遠い。

ともあれ、理屈はわかった。

つまり、あの素材を入れることで彼女を生産する事が出来るということだろう。



「ホ、ホ!」

「ヲッ、ヲ!」

「いや、何を言ってるかわからんのだが」



必死にジェスチャーしてくれるのはいいんだが。

ほんと、会話ができないのは厳しいな……。

時間をかけて、どうやらもっと生産してほしいと言う意味だとわかった。

それから数時間言われるままに一輪車に色々載せて穴に放り込みレバーを引く。

黒髪の女性だったり、白髪のパンツ丸だしセーラー服女性だったり、人間要素がほとんどなかったり。

どこぞの映画でみた、ホラーっぽい女性だったり。

いろいろ生産したが、はっきり言って一人も会話できない。

チ、チとかタ、タとか一音を繰り返すのみだ。

ただま、ジェスチャーである程度言いたい事は分かる。

だが、そろそろ疲れたので一度机のある場所に戻ることにする。

椅子よりベッドの気分だが、とりあえず椅子があるだけマシだろう。



「しかしなんなんだ……誰か説明してくれ……」



突っ伏しながら愚痴をこぼす……。

随分と増えた女性とよく分からないものが混じった女性達。

彼女らは何を思って俺に生産させたのか?

そもそも、ここはどこなんだ!?



「ヲッ!」



ラピス風の少女はまた俺に生産をする部屋へ行かせようとする。

俺は面倒になってぐずったが、引っ張られるまま結局部屋へと戻された。

しかし、今回は俺が運ぶまでも無く穴の周りに大量の資材が積まれていた。

しかもそれだけではない、タコつぼがずずずと奥に引きずり込まれていく。

そして、資材のあったほうとは反対の方向からもっと大きな実質10mはあろうかというタコつぼが現れた。



「何なんだ一体……」



今回はその穴へ資材を詰め込むところまで彼女達がやってくれた。

しかし、レバーだけは引かずに俺に向けて視線を飛ばしている。

何故だ? 彼女らが引く事が出来ない訳でもあるのか?

よく分からなかったが取りあえずレバーを引いてみた。

大型のレバーを引くためにはかなりの力がいったが取りあえず頑張って見た。

すると、今までとは比べ物にならない轟音がして、またタコつぼが開く。

その中から現れたのは……。



「アナタ……ガ、テイトクネ。ヨロシク」

「ウヮァァ……シャベッター!?!?」



思わず俺は逃げ出した、砲塔がついた巨人を引き連れた角付き黒髪女だった。

しかし、今までしゃべらないものだと思っていただけにショックは大きかった。

いや、普通に怖かったけどね。



「ドウシタノォ?」



逃げ出した俺を、巨人の手が捕まえる。

かなりの速度だし、パワーもごつい、俺……このまま死ぬのかな?

そう思っていたら、彼女の正面に降ろされた。



「ワタシタチ……シンカイ……セイカンハ。

 アナタタチ……シンカイテイトク……ノ、ヘイキヨ……」

「平気? いや兵器か……なるほど」


嘘を言っている感じではない。

彼女は俺より圧倒的に強いのだから、その気ならさっき死んでいた。

この体じゃボソンジャンプで逃げる事もできないしな……。


しかし、シンカイテイトク? テイトクは恐らく、提督だろう。

彼女らを兵器として使うというなら、しっくり来る。

だが、シンカイはいろいろ考えられる。

真改、真介、信会などなど正直なになのかわからない。


そして、提督というのが本当なら俺たちは海軍のような存在となる。

軍隊において提督という階級は海軍にしかないからだ。

ただ、俺の時代からすると宇宙軍が海軍であるから、そういうイメージが強い。

しかし、今まで歩きまわった限り、宇宙船というイメージはない。

さて、どういう状況なんだか。



「シンカイとは?」

「ヨリ、フカキ……ウミ」

「深海か……なるほど。つまりここは海底洞窟ということか!」

「ソウ」



これで一つ大事なことが分かった。

どうやら俺は海底洞窟の中にいるらしい。

よく空気なくならないなとも思うが、それはそれとしていつまでもこんな所にいたくはないな。

だが周辺のメンバーを見て、地上に出るのはかなりまずそうだとも思う。

皆それぞれ異形ばかり、俺自身も含めてだ。

こんなメンバーが地上に出た日には、遺伝子研究の礎にされるのが目に見えている。

なんとしてでも元の姿に戻りたいが……さて。

外の状況もわからないしな。



「ミナ、イッテイル。モットナカマ、フヤセト」

「もっと……わかった」



とりあえず、材料運びは勝手にやってくれるようなので、俺はレバーだけ引く。

確かにしゃべれる子が増えてくれれば俺にとって有利だ。

その後、数十回のチャレンジにて喋れる子が3人ほど増えた。

それぞれ、離島棲鬼、北方凄姫、空母凄鬼と名乗っていた。

ゴスロリ、幼女、おばさんと覚えた。


「いつの間にか大所帯になってきたな」

「ソウネ、ソロソロ……モットヒロイバショニイキマショウ」

「チジョウ、チジョウニイキタイ」

「ゼロホシイ」

「マッテ、ジュンビガマダ……」

「ヲ」

「タ」

「ホ」

「ル」

「チ」

「カ」



なんか、いろいろ台無しである。

とはいえ、このメンツで地上に出ても袋叩き必至。

こいつら、かなり強い感じはするが話を聞くにこいつらの性能は外の世界より70年遅れている。

勝負になるとも思えない。

だが、確かに手狭になってきた。

彼女らは何故か自然発生する素材を食って生きているようだが。

俺は藻だけの生活もきついので、外の魚を取ってもらい焼いて食っていた。

海の塩味しかつかないのは痛いがないよりはマシだ。



「お前ら! 俺が提督だって言うなら、言うとおりにしろ!

 これから、この洞窟の拡張工事をするぞ!

 幸い、下方向なら層が変わる当たりまでは掘っても問題無いだろ」

「ジミダナ」

「マァマァ」

「ナニナニ」

「ワレラガテヲカスワケニイカナイ。カリョクガタカスギル」

「ふむ……なら、凄鬼級と凄姫級は休憩していてくれ。

 それじゃあ始めるぞ!」

「ヲー」



返事をしたのはヲ級(凄姫達に教えてもらった)だけのようだった。

まあそれでも、俺が始めれば皆付いて来て掘るのを手伝ってくれた。

俺自身、この体が以外に使い勝手がいい事を確認してある意味満足でもある。


何せ、この体、疲れないし、怪我もしない。

人間じゃないどころではない、深海凄艦達とそう変わらないくらいに思える。

パンチで岩を砕けるんだから凄まじい、もっとも凄鬼、姫級には全く叶う気がしないが。



「ふう、かなり広がったんじゃないか?」

「ソウネ。デモ……ヒロクシテドウスルノ?」

「んー、そうだな。水の引き込みを考えている。

 ここが、ハッチとして使えるように強化すれば……。

 水を引いたりできる、その後ろ過して飲める水にすれば多少は持つ」

「ワタシタチ・・・カイスイデモダイジョウブ」

「へ?」

「シンカイセイカンハ、シザイガアレバイキテイケル。

 ナクテモ、ウゴカナケレバモンダイナイ」

「なんという便利な」



そういえば、彼女らは水を飲んでいないようだ。

俺は、海水をろ過してみたりしていたが、確かにそれほど量は必要としなかった。

海草と水で数日過ごしているがしんどいという気はあまりしないな。


「ヲッ!」


ヲ級が俺に先を示す。

よく見れば、掘り進んだ場所の一角から水が湧いている。

これがあれば、海底の水を引きこまなくても飲水には困らないな。

彼女らが特別必要なくてもあって困るものでもない。


それから数日、拡大した洞窟をいろいろ整備しなおしてから広間として作った所に皆を集める。

聞いておかねばならない事があるからだ。



「さて、集まってもらったのは他でもない。

 以前君たちが兵器だと言っていたことについてだ」

「ヲ!」

「タ!」

「ソノトオリダ」



多数の中からヲ級とタ級そして戦艦凄鬼が答えてくれる。

といってもヲ級やタ級の言ってる意味はわからないが。



「兵器ということは何かと戦っているのか?」

「スベテノウミヲワレラノモノニ、ワレワレガ、ウマレルトキニキカサレルシメイダ」

「ふむ……」

「モットモ、ソレイジョウニテイトクノメイレイハゼッタイダ」

「生まれた使命よりも優先されるのか?」

「グンニオイテハ、ジョウカンノメイレイハゼッタイダ。

 ケンポウニソムクバアイモアル、ソウイウコトダ」

「……」



かなり社会的な話だな、彼女らはやはり兵器というより海軍の軍人的なものなのかもしれない。

だが同時に、彼女らの使命は全ての海を制圧する事。

俺がその命令を下さないからこの場に居続けているだけということか。

これは不味いかもしれないな。

何より、以前聞いた事から推察するに、深海提督は一人じゃない。

俺の他にも何人(?)かいるのだろう。



「分かった、じゃあこうしよう。地上まで続く穴を掘ろう」

「ヘ?」

「ヲ?」

「タ?」



深海提督として戦う事の意味は正直分からないし、彼女らに死ねと言う意味も感じない。

彼女らの目的はある意味制海権の確保。

なら、世界の国々と契約し物流を担う事ができれば、達成されたも同然だろう。

それ自体難しいが、複数の国家に持ちかけたい。

そのためには、制海権を直接握るような真似をするより国家と話し合いができる場が必要だ。

それを確保するには、時間はかかるがトンネルによる直結が一番だろう。



「そういうわけだ、皆頑張ろう!」

「「「「?!?!?!!?」」」」



掘った土の処理の問題もあったが、所々に出口を作って、その周囲を固める方策でいった。

圧力が高いので、開閉式の特殊扉を複数重ねて守っている。

そうやってゆっくり時間をかけ洞窟を広げていく。

この先地上到達までに何十年、下手すると何百年かかるかはわからないが。

別に、急ぐ必要はなかった。

広がった洞窟で、住みやすくもなったし、資源が取れる場所も増えた。

俺が生きている内に辿りつけなくても何ら問題がないな。



「ヲ!」

「どうした?」

「ヲッヲ!」


ヲ級についていってみると、そこには・・・金鉱脈じゃねーか!?

こりゃあ、国家と交渉する余地が増えたな!

まだいろいろありそうだ、特にメタンハイドレートなんかが採掘される所なんかを見つけたら……。

素材燃料の代わりができるな。


「でかした!」


俺はヲ級を抱き上げて喜んだ。

ヲ級も喜んでいるようだ、意味は分かってないかもしれないが。

その後10年は地上に出る事もできなかったが、いろいろな地下資源を掘り当てた。

今では温泉すら確保している。

もう深海棲艦っていうか、地底棲艦って言う感じである。


それと今頃だが、俺たちは空気を必要としていないようだ。

Tの字のどこに空気を吸い込む穴があるんだという話でもあるが。

水中でも問題なく活動できるし、圧力にもそこそこ強いようだ。

そもそも、そうでなければ最初の場所から移動した際に酸素がなくて死んでいたんだが。

自分の人外具合がわかるごとに少し凹むが、便利なのは間違いない。



「それはあっちに、それはこっちに運び込んでおいてくれ。

 後々の交渉に使うにも便利そうだ」


そうして色々なものを増やしながら、更に20年ほど経った頃地上への穴を貫通サせることに成功した。

この世界に来てから30年、実に長い間洞穴暮らしを続けた格好になる。

おかげで、提督服も黒ずんでしまっている。



「さて、まずは第一村人を探すか……?」

「コノシマハ……ムジントウダ」

「へ?」

「ツギノシママデハアト20ネンハカカル」

「人のいる島までは?」

「100ネン」

「は……は、は……はーはっはっはっは!!」



ぬか喜びっつーか、やっぱ俺が死ぬまでに着くのは難しそうだな……。

ここは南国の島っぽいし少しリゾート気分を満喫してから帰るか……。

いろいろ地味に凹みながらも平和を満喫することにした。














あとがき


11周年&1億ヒット記念作品、として一つネタを書かせてもらいましたw

この作品は、一応艦これ?ナデシコのクロスオーバーですが、戦闘はありません。

この先100年たって人のいる場所まで掘り進んでも、まともな戦いにはならないでしょう。

なのであまり切りが良いとはいえませんが、話はこの辺でお開きとしたいと思います。


サイトの運営として1億ヒットは念願でした。

多分、個人運営のネット小説サイトとしては10指に入るのではないでしょうか。

なろうのような企業運営サイトとは比ぶるべくもないですが。

よくここまで来たものだと思います。

これからも、サイトが続いていければ嬉しいですね!

皆様も楽しんでいっていただければ幸いです。



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