お葬式がはじまる……


誰の? ……アキトさんとユリカさんの


どうして? ……死んでしまったから


でも、遺体がない……いえ…あの爆発では、跡形も……


私はいや! 認めない! ……死んだなんて思えない!


だって二人はボソンジャンプできるから、きっと逃げたはず……


だから…だから私…探しに行く……


そう、私の中で今でも生きている……二人は…私の幸せそのものだから…






機動戦艦ナデシコ
心の隙間に響く声…(後編)








アキトさんとユリカさんが乗ったシャトルの爆発が起こってから瞬く間に数日が過ぎました。

私は今が昼なのか夜なのかすら判然としません。

私が発作的な行動を起こさないか心配したのか誰かが私に付いていてくれたらしいのですが、

記憶すら定かではなく、誰だったのかすら覚えていません。

あまりにも空漠とした現実に耐えられなかったのでしょう…

いっその事、このまま気が狂ってしまえたら楽なのでしょうけど…

いえ、既に狂い始めているのかもしれません。

私は、事故が起こった当日から殆ど寝ていません。

寝ればあの夢を見てしまうから…

死んだ方が楽になれるという、あの夢を…






私は最近認識力が低下している事を自覚しています。

外に目を向けようという気が無いのですから当然ですが…

ただ、時々自分の近くで何か言っているという事は感じられます。

そういえば、今日は何か用件があってみんな集まっているらしいです。

なんの集まりなのか判りませんが…

集まった人たちは、何か話しているみたいです。

みんな黒い服を着て何が楽しいんでしょう?


「ルリちゃん大丈夫かしら…なんか生気がまったくないみたいだし…」

「寝てないって、夜中も起きているって、みんな言うよ?」

「そのうち倒れるんじゃないか心配ですね」

「幸せの真っ只中だったからなぁ…」

「家族ができて、結婚式、青い空に飛び行くシャトルかぁ、それが…あんな事になったんじゃな…」

「誰かルリちゃんの側についていた方がいいのでは?」

「そーだな、代わる代わる見ていようか」


誰かがが心配そうに話しかけてきます。

最も認識力が低下している私には聞き取る事ができません。

訳もわからず適当に返事だけは返していますが…

「はい」「分かりました」「大丈夫です」程度の言葉しか返した覚えがありません。

それ以上の事を言う気力はとてもありませんから…

時間だけが、ただ過ぎていく…

そう感じられます。

ですが、それでも時折、何かが頬をぬらします。

自分では認識していないのですが…涙でしょうか…

私は……泣いて……いるのでしょうか?


「ルリちゃん、こんな時は声を出して泣いた方が、少しは楽になるよ」


誰かがそんな事を言った気がします。

最も私にはその言葉をかけたのが誰かすら判りませんでしたが…













「ご家族の方、親族の方、関係者の方こちらへどうぞ」


と、誰かの声がします。

相変わらず私は自分がどこにいるかすら判然としませんでしたが、

それでもこれがお葬式であるという事だけは思い出しました。

そう、これは…アキトさんとユリカさんの…お葬式……

幸せになるはずだった、私ももっと近くで見ていたかった。

そんな二人の…お葬式…

二人は…死んだ?

本当に?

私は…まだ、信じられない…


「ルリ! 聞いているのかね?」

「!?」

「君も辛いだろうが…見送ってあげてくれないか…あの二人を」


私の眼前には二人の棺…何も入っていない…アキトさんもユリカさんも…

爆発したシャトルから降って来た灰さえも…

そんな、そんなのって…

告別式…

結婚式から僅か数日で…

それも、新婚旅行へと向かおうとしていた矢先…

遺体も見つかっていないのに…


「おじ様はそれでいいんですか? こんなお葬式…二人の事、まだ何も分ってないじゃないですか!」

「ははは……

 そうだね、諦めというのは老人のすることだと思う。

 しかし、私もあの後色々調べてみたのだよ。

 連合宇宙軍と統合治安維持軍、それからネルガルにクリムゾングループ。

 主だった大組織におかしな行動が無いかをね…

 しかし、今のところ外から分る動きは見られない…

 つまり、あれがどこかの組織が起こした元ナデシコクルーに対する何かである可能性はそれほど高くないという事だ。

 私にできることはもう…あの子達を見送るぐらいしか無いんだよ」

「それは…大人の理屈です」

「そう、私も感情ではユリカ達の死を否定している。

 いや、それどころか。どこかでこんな事ならユリカを嫁にやるんじゃなかった、とすら思っているのだよ。

 浅ましいだろう?」

「だったら、こんな事…」

「だが、私は葬儀を出す。それは生きているもののケジメというものだ」

「!?」

「確かに二人は助かっているのかもしれない。だが、ここには帰って来ていない。

 あれから数日たっているのにも関わらずだ。

 我々は捜索を続行するつもりだが。

 なんにしろ、それに周りの人間まで巻き込むわけには行かない」

「じゃあ、この何も無いお葬式を…それでも、やらなくちゃいけない…そういうんですか?」

「そうだ」


そういって、私を見たミスマルおじさまの顔は真剣そのもので…

どのような思いの元で言われた言葉なのか伝わって来ました。

私が自分の殻に閉じこもっている間に、ミスマルおじさまは捜索をはじめていた。

それは同時に衝撃でもありました。


「……わかりました」


そう、頷くしかなかったんだと思います。

でも、やはりそれは…二人の死を再認識させられて…


葬式は進み、とうとう火葬のために炉の方へと向かうことになりました。

棺桶には生前の遺留品を多数いれています。

何も無いとはもう言えないのかも知れません。

なぜならあそこにあるものは思い出なのですから…


棺桶は…中身を含んで燃えてしまい。

焼却場から出てきたそれは唯の灰でした…

それを骨壷に収めるため…私は…私は…

一歩目を踏み出すことすら出来ませんでした。


「うっ……うっ……」


気付いた時には私は泣いていました。声にならない声を上げて…

そして、どこかでもう戻らないかもしれない、そう思った時…

私はまた意識を手放していました…

でも、倒れる瞬間誰かに抱きとめられたようで…

私は声にならない声を今はいないその人に向けて言いかけたところで…

完全に記憶が途切れたんです。
















ここはどこでしょう…

何か水ではない液体の溜まった場所…深くはないように思います。

でも、座っている格好なので半身はびしょびしょになっている…びしょびしょ?

いや、どろっとしています、嫌悪感が走る…そう思った瞬間、今度は身体全体が沈んでしまいました。

飲み込まれると思いました…

でも一体何に?





<ほほう、やっと来たか>


<さあ、ここに来れば、悲しいこと、辛いこと、嫌なこと、苦しいこと…>


<何も無くなる…だから、さあ…こっちに来い…>


死神……

本当にそんなものが存在するのか、私にはわかりません。

でも、目の前にいるそれを表現するには一番適当でしょう。

このまま私は死んでしまうのでしょうか…

死ねば確かに何もなくなります。

辛さも…苦しみも…悲しみも…

私にとってはそれは魅力的な言葉に思えました。

でも…

それは、遠くの方から? いえ、それは心の中から…


「だめ」 「ダメ」 「駄目」 「×」 「No」 「却下」 「ブッブー」


どこかで、聞いたような声

どこかで、見たような文字

この騒がしさも、どこかで、感じた温もりのよう

それは、まるで湧き出してくるかのように私の中にある別の感情を呼び起こしてくれる。


「自分から居場所を消してしまうなんて駄目だぞ」

「…物語は始まったばかりじゃない♪」


その言葉は…まるで…一番聞きたかった二人の<声>のように…





 
はっとして、気付く…

体が重い…それでも無理をして首を動かし周りを見回してみる。

白一色の部屋、ベッドやシーツ、昔はよくかいだこの匂い。

病室? それとも、医務室でしょうか?





………風……

吹き抜ける何かを私は感じ、ふとそちらを見ると窓が開いていて風が小枝を揺らしています。

気持ちいい……


「あっルリさん? 良かった、気が付いたみたい」


ふと体を起こしてみる事にしました。少しうつむき加減になりましたが、仕方ないでしょう。

周りを見ると、ナデシコのみんなが私を心配そうに見ているのがわかります…

でもその中には…


…あの人たちがいない…


……想いが過ぎる…


…それは、今までの思い出……


………そして、私の思い……


……目頭が熱くなった……


…ただ涙がこぼれ落ちる…


……涙はとめどなく頬をぬらし……


…私は気が付く…


……あの微笑みも、頭をなでてくれる手も、包んでくれる優しさも……


…何もかもが……今は…遠い…



私は涙で目が曇っていて、周りの事もよく分かりませんでしたが…

みんな、同じように悲しかったんだと思います。

やがて、メグミさんが「ううう…」と嗚咽を漏らし泣き初めました。

みんな我慢していたんでしょう、伝染したかのように泣き始めました…

ハルカさんやアオイさん、アマノさんにウリバタケさんも…

私はただ泣きました…

声を出して、まるで幼児のように…

大人の人たちも泣いています。

ただただ悲しくて…

でも、私は…

それでも…



















私は草原にいます。


青い空…


緑の樹…


赤い花…


黄色い麦わら帽子…


何故ここにいて、一体どこに行きたいのか…


まだ私にはわかりません。


それは、未来と過去へ、それぞれに繋がる道だから…


でも、それを探す為に人が生きているのだとすれば、私は…


私は夢を見ます…


この「ナデシコ」に来てから、もうひとつの夢を…


それは、みんなの夢、馬鹿なことをして騒がしくて、


いつも当たり前に幸せで、どこか可笑しく、


何にでも首を突っ込みたがり、他人事なのに泣いてしまう…


そんなやさしいみんな…


そして誰かが言うんです。


「さあ、あそこへ行こう、みんなで行こう」


何気ない言葉と共に、世界中のいえ、もしかしたら知らない宇宙をみんなで飛び回る。


そんな、幸せな幻想…


だけど、それは…私の夢…


いつか取り戻し、そして実現させる…そんな…夢…


私はその為に…














翌日から私はテンカワラーメンの屋台をひく事にしました…

意味があるのか無いのか私自身分かっていません。

でもそれは、大事な儀式ですから…

アキトさんのラーメンを作る事ができると考えたわけでも、お客さんを待たせてはいけないと思ったわけでもありません。

ただ、アキトさん達が帰ってくるまでできれば屋台を押していたいと思ったからです。

いつまでもそれが出来ると思ったわけでもないですが…

もちろん、露店とはいえ、私の年齢では労働基準法の問題で補導されても仕方なかったのですが、

お客さんは不思議と私の事を通報しようだとか、お金を払わずに済まそうだとかそんな事はしませんでした。

私自身アキトさんのラーメンに遠く及んでいない事は知っていましたから…

それは、きっとアキトさんの屋台を知っている人たちだったに違いありません。

常連の人たちの顔は覚えていましたが、二度目とか三度目とかの人たちも同じようにしてくれていたという事だと思います。

それは、不思議なつながりでした。

きっと、この人たちは二人がいなくなったという事を知らない…

でも、一緒に二人を待っていて、そして、その為に来てくれる。

何度か、二人の事を聞かれた時は困りましたが、不思議と他のお客さんが注意してくれました。

私は、そういう雰囲気が嫌いではありませんでした。

このまま待っていれば二人がかえって来てくれる、そんな気がしていましたから…




















それは、私が屋台を引き始めて一ヶ月ほど経ったころ…

会社帰りのお客さんが帰りはじめる時間でした。

場にそぐわない目立つ格好をした人が屋台にやってきました。

私は地元の暴力団関係の人かと少し警戒しましたが、

よく見れば彼は白い制服…軍服と言うより学生服のような…

これは、木連の軍人さん?

でも木連軍人にしては金髪に赤毛のメッシュというのがいささか派手すぎるような気がします。

ロンゲなのは確か他にもいるようですが…


「お客さん、ご注文は?」

「うぃ…ック…ああ、ちゅ〜もん…注文ね…」


ロンゲの赤金髪木連軍人は完全に酔っ払っていました。

多分何軒かはしごして、ついでだからラーメンもといった所でしょうか?


「じゃあ、そのテンカワら〜めんっての一つ!」

「はい、わかりました」


私はラーメンをちゃっちゃと仕上げていきます。

ここ一ヶ月ほかの事はしていませんでしたし、いつもアキトさんの仕込みから料理の仕方まで見ていましたから、

少なくとも食べられないラーメンを作る事はありません。

出来上がりを手早くロンゲの赤金髪木連軍人…長いですね…これからは、金ロンゲと呼びましょう。

金ロンゲは私の作ったラーメンをづずるずるとかきこみ始めました。


「うまい、嬢ちゃん旨いわ…なんでそんな子供なのにうまいんだ?」

「いえ、私は元々屋台を引いていた人の調理法をずっと見ていましたから…」

「それじゃ独立…な訳けないか…だとすれば…」

「今はいません…」

「ん…すまない…聞いちゃいけないことだったかな…」

「いえ、アキトさん達はいつか戻ってくる…そう信じていますから…」

「アキト…ん? アキトって…元ナデシコクルーのテンカワ・アキトか?」

「え? アキトさんを知っているんですか?」

「いや、俺も詳しくは知らないが…戦争当時は俺デンジンのパイロットだったからな…

 アイツには何度も煮え湯を飲まされた…ナデシコクルーの名前は忘れないよ」

「そう…なんですか…」


金ロンゲは私が沈んだのを悟ったのか、それとも元々そう思っていたのか、更に言葉を重ねました。


「でも、不思議とナデシコのクルーに悪い感情は沸かないよ」

「え?」

「あいつらとは何時も正々堂々戦って負けていたからな…

 軍の奴らとはえらい違いさ…」

「軍の奴ら?」

「ああ、言ってなかったっけ。俺は今、統合治安維持軍とかいう軍隊に参加しているんだが…

 表向きは同権とか抜かしているが、明らかに元木連組をいびり出していやがるんだ」

「そう、なんですか」


金ロンゲは憤懣やるかたないという様子でコップ酒に手を伸ばし一気にあおります。

既に頬が赤くなっているんですが…

このままじゃつぶれちゃうんじゃないでしょうか?


「ちっしょう! 木連組は木連組で未だに都市なんかに固執しやがって…何がヒサゴプランだ! 唯の使い回しじゃねぇか!」

「え!? あの…都市ってなんですか?」

「ああ、こっちじゃ遺跡演算ユニットっていうんだっけな」


今何か、私の心に届く物がありました…

ヒサゴプラン…確かチューリップで幾つものステーションを繋いでボソンジャンプによる宇宙航行時間の短縮を狙ったものだったはず。

でも、それだけなら遺跡演算ユニットは必要ない…

もしかして…あれには裏が?

そして、ボソンジャンプ、遺跡演算ユニットと切り離せないのがA級ジャンパー

かんぐり過ぎでしょうか?


「あの、元木連の人たちは何を狙っているんでしょう?」

「狙ってる? ああ、多分…いや、どうして君はそんな事を知りたがるんだ?」

「…それは」

「やめとけって…君が何者かは大体想像がつくが…深入りすると死ぬかもしれないぜ」


それは、私の事を心配して言ってくれたんだと思います。

でも、私にとっては途切れてしまっていた全てに繋がる唯一の希望…

ここで手放してしまうわけには行かないそんな一本の糸でした。


「それでも…それでも知りたいんです!」

「ふう…熱いな…昔は俺もそうだったんだ…

 なんだか懐かしくなってきたな…

 いいだろ、知っている事は全て話してやるよ。

 どうせ辞めるつもりだったんだ、全部吐き出した方がすっきりするさ」

「はい、お願いします」

「今、木連組は出世コースを外れた元連合宇宙軍将校の取り込みにかかっている。

 統合治安維持軍はなんだかんだいって地球政府のお偉いさん直属ばかり上につけるからな。

 木連も現政府直属はそこそこ出世するんだが、それ以外はな…

 だからだろう、木連組は大部分が動き出している。

 多分ヒサゴプランを使って自分達の売り込みを行うか…

 最悪軍部の乗っ取りでもして治安維持軍の権力を木連に回そうとしているといった所か…」


それは、クーデターの計画という事でしょうか…

そこまでは考えていないにしても、かなり危険な思想にそまっている、軍事行動を起こす可能性もあるという事です。

だとすれば、演算ユニットと共に必須だろうA級ジャンパーを放って置くとは思えない…

そんな事を考えていると、金ロンゲはその場で寝てしまっていました。


「…困りました」


そのままにして置くわけにもいきません。

何度か起こしてみましたが、一向に起きる気配も無く。

かといって私一人では動かせない…

私は電話でフミさんを呼ぶと、金ロンゲを連れておじさまの家に行きました。











翌日、私は金ロンゲに話の続きを聞こうと客間に向かいました。

案の定、昨日飲みすぎた所為でまだ寝たままです。

私は仕方なく先に朝食を済ませておく事にしました。

フミさんの料理は料理人のそれとは違いますが、

家庭の味とはこういったものでしょうかと感じさせる料理で、

美味しくいただく事ができました。

それから、今日は屋台を引いていくべきか金ロンゲに話を聞くべきか迷っていると、

珍しく早い時間におじさまが帰ってきました。


「おおルリ、来ていてくれたのかね? こちらに来る決心がついたのかな?」

「いえ、違います」

「それは残念だ。しかし、いつでも私は待っているよ?」

「はい、ありがとう御座います。でも今は…」

「仕方ない…まだ心に整理がついてないのだね…しかし、屋台の方は大丈夫なのかい?」

「どうにかお客さんもついてきています」

「それは結構」


ミスマルおじさまは私に大きく頷いて見せました。

私もそういうのは嫌いじゃありませんので、唇の端を少しだけ持ち上げてみます。

おじさまも心に隙間が出来てしまったのでしょう。

少し老け込んで感じます。

そんな少し微笑ましく少し悲しい時間をすごしていると、場違いな声がかります。


「あの〜…ここどこでしょうか?」

「うん? 君は何者だね?」

「あの人は、昨日のお客さんです」

「客…まさか…!?」

「ちょっ、そんなわけ無いですよ! 俺一応これでも女には不自由してませんから!」

「そっそうか…ならいいのだが…では客とは」


ミスマルおじさまは何を勘違いしたのかは知りませんが、私も一応フォローしておいた方がいいでしょう。

この後の話を考えれば…


「屋台の客です」

「ああ、そっちの客か…しかし、酔っ払いの相手をまだハイティーンにもなっていない子供がするものではないよ?」

「それは…そのとおりだと思います。でもアキトさん達が帰ってきた時…」

「…わからなくもないが…だが、二人のために君が自分の人生を犠牲にする必要は無いのだよ?」

「私は犠牲なんて思っていません。私にとって一番幸せになれる事を探しているんです。そのためには…あの二人が必要なんです」

「しかし…手がかりは…」


少し渋い顔をしつつおじさまがいいます。

ミスマルおじさまとしても自分が探りだせない事をふがいなく思っているのでしょう。


「その事ですが…その人が面白い事を言っていました」

「え? 俺?」

「統合治安維持軍内の動きに怪しいものがあります」

「ほう、それは何を根拠にいっているのだね?」

「昨日の彼の証言です」

「俺…何か言ったっけ?」

「彼は知らないと言っているが…」

「確かに、そうかもしれません、ですが…今は私…それを信じるしかないんです」

「それって…元木連軍人の動きの事か?」

「ええ、その通りです」

「やめとけ、ああいったことは個人の手におえることじゃない」

「彼は何を言っているのだね?」

「彼は元木連の軍人で今は統合軍にいますが、もうやめるそうです」

「ほほう、それで?」

「その際に色々鬱憤があったんでしょう。私に話してくださいました」

「なるほどね…では、君の言う妙な動き、もし捜索するのが個人でなければどうかね?」

「個人じゃない?」

「一応私は連合宇宙軍の大将という地位にいる」

「え?」

「ミスマル・コウイチロウだよろしく」

「ミスマル…アンタは…ミスマル・ユリカの父親…」

「ほう、知っているのだね?」

「は、失礼しました。私タカスギ・サブロウタと申します。秋山少佐よりお噂はかねがね」

「ああ、秋山君の知り合いかね」

「はっ、優人部隊では、秋山少佐の艦の副長をやっておりました!」

「うむ、では詳しい話を聞かせてくれるかね?」





それから、色々ありましたが、結局の所証拠などあるはずも無く、保留と言う形に落ち着きました。


でも…私はその一本の糸を断ち切るつもりはありません。


だから、私は軍に志願する事にしたんです。

もともと、オペレーターIFSの保持者は少ないですし、IFS強化体質となれば更に少ないです。

ミスマルおじさまの推薦で、士官級候補生として入隊。

仕官後すぐに少尉に任官。

とんとん拍子に階級を上げていきました。

軍人としての資質は兎も角、使える道具である事は自覚していますから。

まあ、ミスマルおじさまの手回しが良かったお陰ですが…

ミスマルおじ様には最初反対されましたが、親子の縁を切ってでもというと、悲しそうな顔をして了解してくれました。

おじさまには悪いですが、これが私の幸せの探し方なんです。

過去にとらわれているのかもしれません、


でも幸せは自分で勝ち取るものだから…


私は、二人の影を追います。


どこまでも……


どこまでも……


きっと、その先に幸せがあると信じているから……









あとがき

いろいろテンパッてたもんでなかがきのままupしてしまった(汗)

申し訳ないです。

ここまで読んでくださった方に感謝と謝罪を。

今後ともドジな私ではありますが、頑張っていきますのでよろしくお願いします。

ふじ丸さんにはイラストで多大なご協力を頂きました。

そのくせ、up失敗したとなればもんだいですね。

申し訳ありませんでした。




押していただけると嬉しいです♪


感 想はこちらの方に。

掲示板で 下さるのも大歓迎です♪


作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.