「スーハー、スーハー、すっすまん。ルリさんよろしく」

「はい。よろしく」

「ああああの……ルリさんは、アキトのお知り合いで?」

「はい、というか私はアキトさんの為にこの学校にきました」

「えーーー!!? もっもしかして……アキトの彼女ですか!?」


リョウジは何かとてつもなく不思議な事があったように驚いている。

流石にちょっと心外だ、俺も見た目は19なのだから年齢的にそれほどおかしくは無いはずなんだが……

実年齢を見抜かれたのだろうか?

それとは別にルリもおかしな行動を取った、ルリはどこかもじもじとした様子で、頬を赤らめながら。


「ご想像にお任せします」


そう言ったのだ……

ちょっと待てい!

それは、あからさまに勘違いを誘っているぞ!?

しかし、教室内でこんな事を話していたのは不味かった。

幸い講師は既に席をはずしていたので問題になる事こそ無かったが……

教室に残っていた殆どの人間が目撃する事となった。

噂は風の速さで広がったらしい……(汗)


機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜





第十六話「いつもの『自分』に休息を」その3





━━━明日香インダストリー系列ナガサキホスピタル━━━

ここには、元々並よりは上程度の医療設備しか置かれていなかったが、

現在明日香インダストリーの医療設備の最先端に近い設備が置かれている。

もちろん、急増に過ぎないためナノマシン設備関連のみが特化した形となっている。

現在この設備ではネオスの治療と平行して、ネオスのナノマシン……

つまりは、アメジストのナノマシンの研究を行っている。

最初はルリやラピス等のIFS強化体質と比較検討されていたが、実質的な回答が得られないまま現状に落ち着いている。

研究は手詰まりの様相を呈し始めていたが、シノダ・アイの登場により一つの仮説が立ち上がった。

シノダ・アイには未来に起こったはずの無数の出来事が、脳内に蓄積されており。

イネス・フレサンジュの記憶はほぼ残っているらしかった。


それと照らし合わせた結果、ナノマシンのように見えるそれはナノマシンではなく、擬態した更に細かなマシンであるという仮説に行き着いた。

その、認識可能サイズを超える超小型さを考え、アイはフェムトマシンと命名している。

アイと紅玉は現在フェムトマシンをどうすれば沈静化させられるのかという指針を基に行動している。


「現行の医療技術では無理がありますねー、取り出し及び制御は先ず無理でしょう」

「そうでちゅね。電波なり、光なり、電気的な接触なりを試してみまちたが……結果を出せたとも思いまちぇん」

「他の方法って言うと、やっぱりあれしかないんでしょうか?」

「どうなんでちょう?」

「行き当たりばったりも過ぎると何か嫌な気がしますよね……やはり、鍵はアメルちゃんでしょうかね?」

「多分……でも、その事になると口が重くなりまちゅよね、彼女」

「そうなんですよー。多分何か重要な手がかりを知っていると思うんですけど。それを言う事をためらっている様な……」

「彼女なにか使命の様なものがあるのかもちれまちぇん……何かそれとぶつかるんじゃないでちょうか?」

「それは……私も感じていました。あの子も溜め込むタイプみたいですからね。育ての親と同じで」

「そうみたいでちゅね。でも、ここはどうにかして聞き出したほうがいいかもちれないでちゅ」

「うーん、多分聞き出すのは難しいと思います。でも、確認なら取れるかもしれません」

「……なるほど。貴女もわるでちゅね〜」

「ふふふ、これも医療特権と言う事で♪」


全く関係ない言葉を吐きながら、

医療に携わるには若すぎる二人の少女(一人は幼女?)はテキパキとそれぞれの資料をまとめていく。

現状分かっている範囲内で、ネオスとされたメイドの女性たちの延命処置を施すという作業を続ける。

それは、遅遅として進まない作業ではあったが、それでも確かに結果を出してはいた。

そして、彼女らはある推論を既に導き出していた。

延命ではなく、ほぼ完全に被害をなくす方法を。

しかし、それは口にすれば笑い話にしかならないものであり、それを証明する方法は実際にやってみるしかなかった。

そのための実験をどうするか、それが彼女達のネックであり、それをせずにすむ方法を模索した結果が、

アメジストに問いただすと言うものであった事は、原点回帰なのか、皮肉の結果なのか……

兎も角、ネオス治療が大詰めを迎えているのは間違いなかった。


「所でー、これ着てみません?」

「なっ、なんでちゅか!?」

「似合うと思うんですけど〜♪」

「いや、あのでちゅね。申し訳ないでちゅが。そういった系統はちゅみじゃ……!?」

「まーまーそんな事言わずに♪」

「犯されるでちゅー!」


にへらと笑った紅玉に対しアイは心底恐怖していた。

実際に犯されるとは思わないがアイデンティティ崩壊の危機かもしれない。

着せ替え趣味を表に出してきた紅玉を前に。アイは必死でにげまわるのであった……














元々、この大学は33の大学の集合体に過ぎないという話だ。

つまり、それぞれ学部ごとに分かれているように見えるのは当然。

政治家の類は殆ど法学部に行くというよりは、そういう大学に入っているらしい。

航空学部は本来そういったものの落ちこぼれが入る大学と言う事になるのか?

兎にも角にもピンキリという事だ。

それで、俺はさっき知り合いになった自称ポッチャリ系のリョウジと話しながら航空学部の学部棟に向かっている。


「でも、ミルヒシュトラーセさんは凄いねー彼氏を追って大学に入るなんてなかなか出来ないよ」

「いえ、アキトさんこんな状態ですし。やっぱり誰かがついていてあげないと」

「それでもなかなかできる事じゃないって。アキトもそう思うだろ?」

「うっ、そこで俺に振らないでくれ。しかし、確かに感謝しているよ」

「アキトさんにそう言ってもらえるなら、来た甲斐があります」


ルリは少し頬を染めてみせる。

実質、何となくだがルリは誤解を助長させるように行動している事が分かる。

俺とルリが恋人という誤解だが……

俺のほうは良いとしても、ルリが自発的にやっている理由は分からない。

まあ、好意を向けてくれているのは事実らしいが、ラブよりはライクといった感じかと思うのだが。

ユリカの元に戻るよう説得していたのも彼女なのだし。


「どうかしかしたか?」

「あっいや、これだけ広いとコロニー内だって言う事を忘れそうだなってね」

「ああ、それは確かにそうですね。このコロニーは平面型ですが、

 その全長、全幅共に30kmを超える上に、層になって積み重なっているので、

 5枚のプレートにそれぞれ生活者がいると言う形になっています。

 規模としても最大級ですが、その作りもかなり変わっているといえるでしょうね。

 大学は第五層つまりは、一番下の部分を丸々使って作られていますから、一時期は10万人以上の学生がいたようです」

「なるほどな、改めて言われるとその巨大さも分かると言うものだ」

「でも、さー普段生活してるとここって違和感ないから分からないかな〜やっぱ」

「まあ、30kmという幅も高さ2kmの生活空間が五層連なっているという発想もあまり一般的ではないですからね」

「確かにな、縦横にあるはずの隔壁も巨大なスクリーンを投影して昼と夜を表現するように出来ている。

 天気がシステムで動いている事を除けば生活は殆ど変わらない……」


車椅子で押されながらも、この空間の不思議を思う。

人類はここまでのことが出来る、火星もナノマシンで開発し、ゆくゆくは数億の人間が生活できる空間となるはずだった。

木連にしたところで、死の空間としか思えないような、高重力の星の周囲で立派に生活している。

しかも1000万人近い人数がだ。

これらは全て技術の産物。幾つかは地球の技術ではないものが使われているかもしれないが……

これだけの事が出来る人類は、なぜ戦争をしているのだろう?

どこへでも新天地に向かう事が出来そうに思える。

それとも、そんな事はボソンジャンプを知るが故の幻想だろうか?


「そういえば、また航空学部に向かっているな……」


俺にはサッパリついていけないんだが……

正直に言おう、俺は大学のレベルには全くついていけていない。

しょうがないから、ルリに話を合わせるようにと言われているだけだ。

まだ、詰め込み勉強は続けているが、正直言って才能がないことは間違いなさそうだ(汗)

政治に関しても、パワーゲームの動きは理解できるが、それはニュースの上での事。

憲法や法令、行政の内容について問われても全く答えられないのは間違いない。

法学部に入らなくて本当に良かったと思う……(泣)


「はい、午後になるまでには着いておきたいんですが……」

「そういえば、食事は?」

「……そうですね、リョウジさんはどうするんですか?」

「えと、俺は駅前のファミレスにでも入ろうと思うんだけど」

「そうですか、では、申し訳ないです。私たちは学部棟近くの公園で食べますので」


そう言って、俺の車椅子の背後を指す。

そこには、弁当箱が入った巾着がある筈だ……


「あー、なるほどね。お邪魔しちゃ悪いな。んじゃ、また学部棟で」

「はい、また後で」


相変わらず表情の変化は少ないが、

微笑んだような表情でリョウジを見送るルリを見て、ハァとため息をつく。


「あれは、ちょっとロコツ過ぎないか?」

「いえ、いいんです。だって……」

「?」

「あーんとか、している所を見られたくないじゃないですか(///)

「ぶっ!?」


言われて俺も頬が熱くなって行くのを感じる、確かに恥ずかしすぎてとても人に見せられない……

やっぱり、手の骨折だけでも早く直さねば……(汗)

感覚は戻ってきたから、明日からはリハビリをしようと心に固く誓った。


「じゃ、行きましょうか♪」

「……そうしてくれ」


こうして、昼食をするために公園の方に向かった。

公園はそれなりに込んでいたが、上手く人のいないところを見つける事が出来たのでそこで昼食する事になった。

ルリの料理の上達振りは目を見張る物がある。

一般的な主婦のレベルは知らないが、今では十分にやっていけるだろう。

公園に持ち込んできたのは小さいサイズのサンドイッチを入れたバスケットと、紅茶入りの水筒、

それからリンゴをうさぎに切って爪楊枝を刺したものだった。

簡単な料理だが、サンドイッチの倶も綺麗に出来ている。

ナデシコに乗っていた頃のルリからは考えられない進歩ではある。


「どうですか?」

「ああ、うまそうだ」

「食生活は重要ですし。どうもアキトさんの周りには料理が壊滅的な人が集まる傾向があるみたいですから……

 私だけでもと思って練習してたんです」

「ははは……(汗)」


こればっかりは否定のしようも無い……

ユリカにメグミちゃんにリョーコちゃんの三人に悪臭漂う料理を持って追いかけ回されていた頃を思い出す。

カグヤちゃんも凄い料理を作るし(汗)

コーラルは食える程度の料理を作れるので救われているが……

正直やっぱりアクアマリンはいいな〜とか思ってしまいそうだ(汗)

アクアには二度と会いたくないけど。


「じゃあ、あーんしてください」

「……」


ルリが手ごろにちぎったサンドイッチを俺の口元に運んできた。

ちょっと待て。箸を使わない料理なら、俺の口に指を持ってくるわけか!?

俺は、恥ずかしさのあまり黙り込んでしまった。


「どうしたんですか、アキトさん?」

「いや、その……サンドイッチなら……ギブスに挟んで食べる事も出来るんじゃないかな」

「……往生際が悪いですね」

「いや、しかし……」

「もう、恥ずかしいのはアキトさんだけじゃないんですよ?」


ルリは少し頬を染めならがうつむき、か細い声で反応した。

俺は更に恥ずかしくなったが、ルリが手を引っ込めないので仕方なく口を開く。


「……あーん」


そういって口を開くとルリは嬉しそうにサンドイッチを俺の口に入れる。

その後、紅茶を水筒のカップに注ぎながら俺が咀嚼するのを見ている。


「お味はどうですか?」

「ああ、うまいよ」

「そうですか、じゃあこれからも時々サンドイッチを作りますね♪」

「……(汗)」


そんな事を言いながら恥ずかしがりつつも食事は進み、お互い昼食を食べ終えた。

俺は先ほどからのあらぬプレッシャーで、心身ともに疲労しているが……

そんな中でもルリが幸せそうにしていたのは印象的だった……


「また食事を作りますから。きちんと食べてくださいね」

「ああ、だが早く手のリハビリを終わらせて自分で食べられるようにならないとな」

「いいんですよ、アキトさんもたまにはのんびりとしても。私もこんなにゆっくりとしたのは久しぶりですし」

「そうか……そうだな。またゆっくりと出来る時間が来るといいな」

「ええ、戦争を終わらせてそうしましょう。でも……今はそんな事は忘れて大学を満喫しましょう」

「ん、そうしようか」


俺は、体を伸ばして気を緩めようとした……

しかし、その時背中を刺すような気配が一瞬だけ現れて消える。

俺は素早く周囲を見回した。

銃で狙われていたなら、俺は回避するすべはない。

ルリは残念だが正式訓練させたとはいえ、促成栽培の艦長だったはず。

銃器の扱いは何とかなっても、戦場の気配には詳しくないだろう。

俺は暫く緊張していたが、数分気配が戻ってきていない事を確認して一息つく。


「どうしたんですか? 緊張した顔でしたよ?」

「ん、ああ……なんでもない」

「……そうですか、でも何かあったら言ってくださいね。

 ここには明日香から護衛が何人かついているらしいですが、絶対とは言い切れません。

 いざとなったら、私がアキトさんを守ります」

「ああ、それは頼もしいな。今度頼むとしよう」

「……信じてませんね?」


ルリがちょっとむっとした顔をする、一体どういう意味なのか計りかねるが彼女なりの勝算でもあるのだろうか?

だが、一瞬だったが多分複数の人間だった。

幸い俺達に注視している訳ではなく、たまたま俺達の事が目に入った感じだったが。

そうでなければ、応援を呼ぶなり、仕掛けてくるなりするだろう。

無視するには少し気になったが、気配だけで人探しができるわけでもない。

それに、見つけたところでこの状態では何も出来ないしな。

ルリを巻き込まないためにも、今は自重しよう。

可能性としてはいくつも考えられるが、この大学にはVIPも多い、おそらくその関係者だろう。

要人の護衛をするものは軍隊出身者や傭兵も多い。

俺が神経過敏になっているだけだ、あまり気にし過ぎないようにしよう。

ルリと話しながら俺はそんな事を思っていた……















空間に開いた穴から、徐々に出現していったのは、他ならぬ人間のようであった。

雪谷進一と神埼が見守る中、徐々に姿を現し始める。

その異常な事態を神崎は冷静に判断していた。

現れたのは白衣の男、30がらみの白人らしかった。

眼鏡をかけていて、顔にはどこかふざけたような表情が浮かんでいる。

その男は、彼らの眼前に突然現れた。

そして、周囲をふと眺めまわすと、中指で眼鏡をたくし上げ膝を折る。

それから、神崎に向けて一礼した。


「初めまして、木連の伏したる英雄。私はラネリー・フェドルトンと申す者です」


そう言って膝を折った状態のまま顔を上げて唇の端をつりあげる。

それに対し、神崎は片眉を動かしただけだ。

むしろ、隣にいた進一の方が表情を怒らせている。


「して、ラネリー殿はどのような用向きでここにこられたのかな?

 現在このような状態ゆえ満足に茶も出す事は出来ぬが」

「ふむ、流石は神崎准将、不振な訪問者にこれだけ冷静に対応できるとは、たいした胆力をお持ちだ」

「閣下の質問に答えろ!」


いきり立つ進一に目を少しやってから、ラネリーは一つ息をつき、神崎の質問に答える形で話を始めた。


「私がここに来た理由ですか……、それは簡単です。オメガとの約束を果たしに来たんですよ」

「約束? いや、オメガだと?」

「そう、オメガとのです。彼は私に多額の資金援助をしてくれましたからね、

 それだけではなく仕事にあぶれて路頭に迷いかけていた私を救ってくれたのも彼ですしね」


オメガの名は神崎も知っている……

木連とクリムゾンとの橋渡しを行っていた男であり、

同時に進一にナノマシンの暴走を引き起こした被験者のカルテを持たせてくれた者である。

進一は元々は製薬会社で働いていた事もあり、カルテに従い処方を行う事で、ナノマシンの暴走を抑えている。

元々、このカルテの患者のように多数のナノマシンを打ち込まれていたわけでもないので、

それなりに回復を始めていたのではあるが。

ある意味でオメガは神崎の命の恩人と言う事になる。


「表に名前の出ていないオメガを知っていると言う事は、かなり事情に通じた人間のようだね」

「そうですね、それなりに知っていますよ。

 例えばここが本来なら監視されている事とか、

 オメガの持ってきたカルテは役に立ているようで何よりだとか、

 貴方がこのまま埋もれていくには惜しい人材だとか」

「最後のは兎も角、確かに知っているようだね。それで、オメガ君との約束とは?」


神崎は今までの会話である程度ラネリーの行動を予測しつつ話し続けた。

ラネリーもそうした、探りの姿勢を楽しみはじめているようだ。

そういった違和感を、隣に聞いている進一は抱いたが、この場の異常性がキリキリと胃を傷ませた。


「約束について話す事は必要かね?」

「私を生かす事に手を貸した彼だ、私に何かをさせようとしていると考えるのが普通だろうね」

「ははは、確かに。ではオメガからの伝言を伝えよう」

「そうだね、一つ頼もうか」


それから、ラネリーは神崎に旧式のテープレコーダーを聞かせた。

それは、あまりに旧式であるため、再生方法が分からなくなりそうな代物だったが、それでも声はきちんと聞こえてきた。

神崎はオメガの語る声が誰かに似ている事に気付いたが、それを追求しようとは思わなかった。

それよりも、死んだ筈のものが語るその話に聞き入る事にした。

やがてテープレコーダは再生を終わり、神崎はその内容を租借するためにラネリーに幾つか質問をした。


「さて、大体は分かっていただけたものと思います。信用するかしないかは貴方の自由、

 ですが私は貴方に質問しなければならない、貴方はこの状況でどうしますか?」

「……それは、歴史に埋もれるか、オメガの残した道を行くかと問いかけているのか?」

「はは、私はその問いに答える気はありませんよ、私はただ貴方に手を貸すようオメガに頼まれただけですからね」

「なるほど……ならば、私は……」


その時の事は記録に残っているわけではない、

ゆえにその答えを知るものはその場にいた三人だけだが、

進一は、その時の神崎の答えにラネリーが満足そうにうなづくのをみた。

それは、世界の変革が加速したことを示していた。














俺達は今日の授業を一通り受けて自分達の部屋へと戻ってきた。

今回部屋は二つとってあり、俺の部屋とルリの部屋となっている。

実質、俺の部屋は風呂に入って寝る場所と化しているのは言うまでも無い。

なぜなら、食事も自分で取れない俺は勉強を教わる事とあいまって、殆どルリの部屋に居候状態となっているからである。

正直居心地は悪い、何せ勉強は未ださっぱり分からないし、食事はあーん状態が続いている(汗)

風呂とトイレは手伝いを拒否しているものの(幸いサポートする医療器械を紅玉が持ってきていたので)、歯磨きをお世話になるのは気分的に鬱だ……

早く、両手のリハビリをしないと、恥かしくて死にそうだ(泣)


「はい、アキトさん終わりました」

「あ……ありがとう」

「いえ、どういたしまして。というか遠慮しないでください。できない事はできない事と割り切った方がいいですよ?」

「そうはいってもな……自分の体の事くらいは自分で何とかしたい……」

「アキトさん……もしかして、迷惑ですか?」


ルリは俺の顔を覗き込みながら、少し悲しそうに表情をゆがめる。

これは本気ではないとわかってはいても、やはりこういう表情には弱い。


「いや……そんな事は無いさ、感謝している」

「じゃあ今後も食事と歯磨きは私の仕事ですね」

「あぅ」


ルリは俺をやりこめたことを喜んでいるのか、

口元を少し緩めている。

まあ、別に嫌がっているわけではないのだからいいのだろうか?


「それじゃ、今日はこの辺で」

「あ、はい。じゃあお部屋まで送りましょうか?」

「隣の部屋だし別にいいさ」

「そう言わないでください。今のアキトさんは車椅子が故障しただけで動けなくなるんですから」

「うっ、それを言われると辛いな」

「大体家では一緒に生活しているんですから、気にしなくてもいいのに……」

「そっそれは、だな……(汗)」


最近のルリはこういう事に妙に積極的だ、というか、再開してからは感情を表に出す事も多くなった。

復讐を誓っていた俺ですら戸惑うほどに「それって格好つけてます」の一言は効いた。

俺は本当に復讐が終われば死んでもいいと思っていたのに……


ルリに車椅子を押され部屋に戻る。

IFS使用なのだし一人でも動かせるが、気遣いはありがたい。

俺は例を言って部屋の中に入り、ふと気付く。

部屋の電話に着信があるようだ。

何かと思い電話の元に行く事にした。


「ん? この電話番号は……シゲルか?」


番号の後に名前が出ている、登録をしなくても名前が出るシステムは凄いな……

しかし、個人情報とか大丈夫だろうか?

まあ、その辺は兎も角、シゲルが電話を入れてきてくれたのは嬉しい。

俺は受話器を取る事が出来ないのでちょっと迷ったが、外部音声で会話する事にした。

先ずは電話を逆発信する、この程度は自動でやってくれるのが楽でいい。


『はい、もしもしサタケですが』

「シゲルか?」

『アキトか! さっきは出なかったからどうしたのかと思ってたよ』

「すまんな、留守電に切り替えてなかった」

『それは……じゃあ出かけていたのか、もう体はいいのか?』

「俺が怪我をしたことは伝わっているのか……」

『ああ、明日香の人達が時々<こうずき>に来るからな、その辺の話も聞けるんだよ』


おいおい、機密とかはないのか(汗)

まあ、伝えてくれていると言うのが正解だろうなと思うが……

そんな事をつらつらと思いつつ。


『それで、どんなもんだ? 体の調子』

「どうにかな、まだ骨折が直らないから車椅子生活だが」

『そりゃ大変じゃないのか?』

「んーまあ、サポート用の機材や、手伝ってくれる人がいるからな、正直困るような事は無いな」

『うわっ、いい生活してるな〜。っとっと、今回はそういう話をしに来たんじゃないんだ』

「何かあったのか?」

『ああ、実は少し聞きたいことがあって……、アキト、お前軍に知り合いいるよな?』

「知り合いか、いない事も無いが……」

『じゃあ、ちょっと聞きたいんだが、俺の妹がどこに配属されたか知らないか?』

「うん? また唐突だな……そういえば、お前の妹が軍に入りたがっていたって言うのは聞いたが……」

『そうなんだよ、とうとうあいつ勝手に軍に入りやがった』

「徴兵はやっていなかった筈だが……志願兵か……なら、18歳以上が条件のはずだな。お前の妹もう18歳になったのか?」

『ああ……3月でちょうど18歳だ』

「そうか……連絡とかは無いのか?」

『それが、軍に入って以後連絡が全く無いんだ……まだ一ヶ月程度だが、普通最初は連絡するものだろう?』

「ああ、そう思うが……」

『兎に角、そんな訳でちょっと連絡つけてくれないか?』

「ああ、所で妹さんの名前は何ていうんだ?」

『あれ? あった事無かったっけ?』

「すまん、全く知らない」

『分かった、先ず名前はサタケ・ミオ今年18になったガッテン系妹だ。

 顔は俺に似ていて、ニヒルな笑いをする。茶髪は天然なんで向こうでも同じだろ。髪の毛はショートにしてた。

 俺の覚えている特長はそんな感じかな?』

「分かった、調べてまた連絡する」

『ああ、お前も大変だろうから急げとは言わないよ。でも分かったら連絡宜しく』

「ああ、またな」

『んじゃ』


俺は、明日にでもルリに協力してもらって調べてみようと考えていた。

実際知り合いにはミスマル・コウイチロウ提督という大物がいるが、こういった頼みごとをするのには向いていない。

ルリの方が確実だろう。もっとも犯罪だが(汗)

簡単にハッキングなどと言う手段に頼ろうとする自分に自己嫌悪を禁じえなかった……









なかがき


棄てプリを飛ばして連続掲載〜(リバホの方には分らなくて申し訳ない)

まあ、人気投票から考えれば当然でしょう♪

いや、それもリバホから見てくれている人にはわからないって(汗)

そうでしょうか?

実はちょっと思っている事があるのですが。

言ってもいいですか?

あ、ちょっとそれはまずいからやめて。

君にも慈悲の心があるなら……

私の事はなんと呼ぶのでしたっけ?

あう、ルリ姫様どうぞお許しください。

私としても、流石に……ねぇ

前回から感想が殆ど来ていないことがそんなに困った事ですか?

貴方の
実力を考えれば当然でしょう。

うわーん(泣)

言わないで欲しかったのに〜

所詮私なんてダメダメなんだと再認識されるだけだから……

再認識も何も唯の共通認識に過ぎないでしょう?

あっアンタは鬼や……

知ってても言わないで置くのが優しさやんかー!?

うざいですね

うっ……

何を付け上がっているんですか、い いですか!

貴方など所詮は
底辺作家に過ぎないんですよ!

感想気にしている暇があるなら、最後まで仕上げなさい!

ぐはぁ!?

いや、だけどさルリちゃん、やっぱり感想は気力を底上げしてくれる大事な……

ふう、言ってしまいましたか。

自殺ワードを。

私は貴方にその名で呼ばれる筋合いが無いと何度言った事か……

せっかく最近は言わなくなっていたと言うのに。

まあ、久々ですし。

逝きなさい。

え?! え!? ちょっと!!

フォン……フォン…フォン………

その浮き上がったような構えは!?

そのまさかです! レインボーブリッド・バースト!!

どどどばごーーーーん!!

グシャ!

ああ、長い間食らわせてなかったので、簡単に潰れてしまったみたいですね。

断末魔も聞きたかった所ですが。

1 1

WEB拍手いただきありがとう御座います。

前回言われました誤字の改訂は行っておきました。

ただ、脇役好きさんが休業中のため、文面が荒れることをご了承ください。


気合……出来れば、注入して欲しいです(泣)

それでは、また次回あいましょう。


押していただけると嬉しいです♪

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