最初

「ねえ、廻。何でこの世界のことわかるの?というより、そのカード何?」

廻が今現在自分たちがどの世界に居るのかを言ったことに問いかける流姫。

「わからない…頭の中に、入って来たというか。このカードもこの世界来た途端…別のカードと一緒に入っていたわけだし…」

そう言って”TENGA”と書かれたカードを含めた九枚のブランクカードをライドブッカ?・ソードから出す。

「まあ、良いけど」
「それにしても…」
「な、何よ…?」

廻は婦警姿になった流姫を見つめ、

「似合ってるな」
「……///」

褒められたのが嬉しかったのか、流姫は顔を紅に染める。

「………あれ?僕、忘れられてる?」

信彦は時折こうなる。

「ま、とりあえずは情報収集だ」

と言って三人は自分たちの住み家にしている掘立小屋に入った。
小屋は外装こそは貧相だったが、中にある家具云々はかなり高性能そうで充実していた。

その中の一つのテレビの電源を入れると

『あ、こちら現場!聞こえますか?こちらは”未確認生命体”と警察隊との戦いを少し離れた場所からその映像をお送りしております」

「未確認生命体……クウガの世界の怪人、グロンギの筈」

テレビに映るリポーターの報告に信彦は物静かに言った。

『あ!ご覧になっている皆さん!もう安心です!』

「「「???」」」

一瞬三人はなんのことを言ってるのか分からなくなった。

『今、未確認生命体・天我(テンガ)が現れました!』

「はっ?」

信彦は間抜けな声を出した。
そしてテレビにはこの世界を守護する”仮面ライダーテンガ”が登場してグロンギと戦い出す。

「どうやら、この世界でのライダーは”字こそは違えど”人々の守るライダーとしての名で呼ばれ、世間でも完全に味方として認識されているらしい」

この”テンガの世界”の世界観を理解する廻。

「それなら接触しやすいかも」

そう言ったのは流姫。

「次にグロンギ共が現れた時にでも行くか…」

その時、廻の声はどことなく楽しそうだった。



***

翌日、都合のいいことにグロンギが現れた。
三人はそれぞれのバイクで発進する。



『グハアァァァ…!』
『ンウゥゥ…!』
『シュウゥゥゥ…!』

「………」

三体のグロンギを相手にしているのは、
銅と灰色の体色と灰色の瞳。頭には短い角の直ぐ後ろに長い角。腰には奇怪な霊石のはめ込まれた黒っぽい金色のベルトをしたカブトムシのような戦士がしっかりとした構えを取っていた。
そう”仮面ライダーテンガ”だ。

「……ッハアァァァ!」

膠着状態から一気に勝負に出たテンガ。
グロンギ達もそれに呼応するようにテンガに襲いかかる。

「ウラッ!セラッ!」

見事な体術でグロンギを圧倒するテンガ。
だが、グロンギの一体はその場にあった棒キレを剣の様に変形させて攻撃する。

凄変身(さいへんしん)!」

そう叫ぶとテンガは生体装甲を銅色とメタリックバイオレットの強固なものへと変換させた。

このフォームの名はアースフォーム。
さらにテンガは足元にあった、先端が突き出している棒を持つと、それは斧”アースアックス”へと変形させる。

「……」

フォームチェンジすると、テンガは急に静かになり、グロンギ達へ歩み寄っていく。

『グギャァァ!』

剣を構えたグロンギは刃をテンガに振り下ろすが。


―ガギイィィィンッ!―


テンガは咄嗟に自分の腕を盾代りにして防いだ。

『……フウゥ!』
「!!」

防いだ直後にほかのグロンギがテンガの背後に回り込んでいた。
流石にテンガもこれはかわせないと思った瞬間、


―ブオォォォォォオオオン!!―


バイクのエンジン音がすると、いきなり現れたマシンディローダーに跨ったディロードがグロンギをはねた。

「!?」

いきなり現れたディロードにテンガは

「何物?」

問いかけた。

「仮面ライダー…ディロード」
「仮面ライダー…?」

ディロードが名乗った直後はねられたグロンギはディロードに向かったが、

―ボガッ!―

蹴り飛ばされた。

「最後だ」

≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

電子ボイスが鳴ると、ディロードの前方に十枚のカードで作られた十通りのゲートが発生し、ディロードは勢いよくジャンプしてそのゲートめがけてキックの姿勢で潜り抜けいき…。

「ゼアァァァ!!」

ディロードの必殺技の一つ、”ディメンションクラッシュ”がグロンギを吹き飛ばした。

「…凄い」

その光景を傍観していたテンガは素直に感心した。



***

その頃、ディガイドとSHADOWは……。

『リント、ルザバデギボグゾ…(リント、無駄な抵抗を…)』

自分たちに銃を向ける武装警官達にグロンギ語で話すイカみたいなグロンギは憐れむようにそう言った。

「無駄なことしてんのは…」
「君達だろ!」

突然聞こえてきた二人の人間の声。

―ブウゥゥゥゥウゥゥゥンッ!―

バイクのエンジン音が近くなり、その場の者達は一斉にその方向へと顔を向けて見たのは、マシンディガイザーとライトグラスに乗っているディガイドとSHADOWだった。

『ビガラサ!バビロボ!!(貴様ら!何者!!)』

問うたグロンギにディガイドは冷やかにこう答えた。

「ボダゲス ズヅジョグロ バギ(答える必要も無い)」

「!?」

武装警官達は益々状況がわからなくなってきた。

「…とっとと済ませて廻のとこ行きたいから手早くね」
「わかってるよ」

≪KAMEN RIDE…DELTA≫

ディガイドは電子ボイスの発せられたディガイドライバーの引き金を引くと、”仮面ライダーデルタ”が召喚される。

「さて、接近なんてことすらさせないわ」

≪KAMEN RIDE…CHALICE≫

トランスドライバーにライダーカードを装填すると、ディガイドの姿が侵食されるように朧気になると仮面ライダーカリスに変身する。

「姿が!?」

武装警官達は一斉に驚いた。

『ビガラサザ リントゼロ テンガゼロバギバ(貴様らはリントでもテンガでもないな)」
「どっちかと言えばテンガに近い存在と言えるかな…。流姫、今の言葉そのままグロンギ語であいつに」
「はあ、いい加減に覚えなさいよ」

SHADOWに通訳を頼まれたディガイドはため息を吐いた。

「テンガビヂバギ ゴンザギドギゲス(テンガに近い存在と言える)」

でも、一応は通訳する。

『バサダ…ギベ!!(ならば…死ね!!)」

それを合図にデルタとDカリスはデルタムーバーとディガイドライバーで銃撃を開始、SHADOWも別のグロンギと先頭を開始する。

「何だ?あの二人、人間の味方?」

突然現れ、片方はグロンギ語を話したかと思えば、日本語も話した二人のライダーに警官達は疑問のハテナマークが頭に浮かぶばかり。

「トオッ!」

空中へと目まぐるしい勢いで跳躍するSHADOW。

「RX!!キィーック!!」

光り輝く両足ドリルキックを喰らわされたグロンギはDカリスの真ん前に吹っ飛ばされてしまった。
それと同時に召喚されたデルタは消えていく。

≪ATTACK RIDE…BIO≫

出現した幾つもの触手はグロンギ達を捕縛する。そこへさらにDカリスは

≪FINAL ATTACKRIDE…CHA・CHA・CHA・CHALICE≫

Dカリスは発生した竜巻の勢いで上昇し、その竜巻を利用したドリルキック…”スピニングダンス”を炸裂させる。

当然動けなくなっていたグロンギ達は攻撃を避けられずに爆発した。



***

「仮面ライダー…」

ディロードに見とれていたテンガ。だが、その間彼は無防備だった。

『ギシャアァァァ!』

生き残っていたグロンギの存在に。

「邪魔なんだよ!」

でも、ディロードによってボコられた。

「変身…!」

≪FINAL KAMENRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫

Dキバ・エンペラーフォームに変身。

「!?」

テンガもフォームチェンジ能力をもつが、あそこまで完全に違う姿にはなれないのでかなり驚いた。

「武器すら必要ないな、雑魚に」

≪FINAL ATTACKRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫

Dエンペラーキバは腕はクロスさせると、扇状に開いていく。

「ハアァ…」

そして軽くジャンプして魔皇力と言う紅いエネルギーの刃を両足に発現させて”エンペラームーンブレイク”を発動。

『グガァァ!!』

あまりのダメージにグロンギは悲鳴をあげて爆散する。

『ヅ、ヅギガギビセスバ!(つ、付き合いきれるか!)』

とディロードにおびえて最後に残ったグロンギは翼を用いて逃げようとするが、

「逃がすか!…凄変身ッ!」

テンガはアースフォームから銅色とメタリックグリーンの”ハリケーンフォーム”となり、アースアックスは散弾銃の如き、”ハリケーンシューター”に再構築する。

テンガは上空へ逃げた敵を超越的に発達した感覚器官で捉え、引き金を引いた。

―ズバババッ!―

銃口から幾つもの弾丸が打ち出され、空には爆炎が起こっていた。

「へ?、やるじゃん」

その後、ディガイド達と合流したディロードは警察一同に説明の為、警察署へと向かった。

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