限界突破のO!/力【オーバー】


戦いあうイーヴィルVSオールド&ヤング。
そんな中Wは・・・・・・

『・・・・・・眠い・・・御休み・・・』
「翔太朗!寝ちゃダメだ!!」

翔太朗が睡魔に襲われ、役にも立たない状況。

「ハァァ!」
『『あらよっとっ』』

イーヴィルの回し蹴りを避ける。

『意外としぶといな、こやつ等』

ゼロがそういうと、

『当然だ。僕達は占い師だからね。何度蹴落とされても何度も甦ってやる』
「どういう意味だ?」
『占いしてて気付いたよ。人は自分の幸せと同じくらい、他人の不幸を願ってるってな!」
「貴様ら・・・!」

オールドとヤングの言い分に怒るリインフォース。

――ガシャン!ガシャン!――

【ARROW DARKNESS】

アローブラッカーを装備。
ブラックダートを一斉射出する。

『って危なっ!・・・・・・まあいいや』
『俺たちは仕事を続けるぜ。人の恨みを晴らし続けてやる』

そういうと、オールドクリークとヤングクリークによって姿を消した。

「大丈夫二人とも?」
「あぁ・・・」

亜樹子に声をかけられ、フィリップが返事をし、変身を解除する。
勿論イーヴィルもだ。

「・・・・・・恨み」

ただ、良枝が呟いた言葉が不穏だった。

そんなとき、フィリップは思い出す。

――今度ばかりは貴方達から頼むことになるわ。「究極のWになりたい」と・・・――

「・・・・・・・・・・・・」

シュラウドの言葉を。

「リインフォース、あのドーパント、逃げてしまったね」
「心配無用。魔界の追尾蟲(イビルストーカー)をつけさせた。いつでも追尾できる」

「「え!?」」





*****

ビリヤード場。

「あの女が井坂先生を怪物にした。貴方の家族を亡き者にした。残念だったわね。井坂先生が死んで、復讐を終えたつもりだったでしょうけど・・・・・・」

――トンッ、カンッ!――

復讐は、終わらない」

――トンッ!――

冴子は再び球を突く

――ガシッ!――

照井はそれを止めた。

「シュラウド・・・!奴が俺の家族を・・・!」

照井の両目には、燃え滾る怒りの炎が溢れていた。





*****

風都タワー

「プレシアが・・・、ヘルに・・・」
「そうだ。あの大魔導師がだ」

――ダッ!――

大地はダーツを投げる。

「まあこの話、どう解釈するかは自由だけどな」
「・・・・・・・・・」

――ダンッ!!――

「んじゃ、俺はこの辺で戻るわ」

ダーツを打ち終え、去っていく大地をディアンは止めなかった。

「・・・・・・・・・・・・」

ただただ、沈黙するばかりだった。





*****

園咲家。
そこでは琉兵衛が加頭に二冊のファイルを渡していた。

「加頭君。これが今月分の報告書だ」
「確かに。遅れを取り戻しましたね。・・・では、これを」

加頭は小切手を渡す。

「我がミュージアムが今日(こんにち)、これだけの計画を進められるのは、財団Xの支援のお陰だ」

加頭は席を立ち、こういった。

「私も大変嬉しく思います」
「ホントかしら?相変わらず、貴方の言葉には感情がない」

そこへ若菜が登場してくる。

「手厳しいですね。・・・ところで、照井竜という刑事が、シュラウドのことを探りだしましたよ」
「・・・え?」
「刑事を見張っていれば、シュラウドにあえるのでは?」

それだけいうと、加頭は今度こそ帰った。





*****

探偵事務所

――ズズッ――

ポカポカとした、昼下がり。
天気は良いし、風も穏やか。
正に天下泰平・・・・・・ハードボイルドじゃ〜


「ん〜〜!」

――パコン!――

亜樹子は翔太朗に向けていたスリッパを自分に向けて叩く。

「どこがハードボイルドよ!?どこが天下泰平よー!?」
「・・・それにしてもリインフォースにゼロさん。その話、本当?」

亜樹子がツッコんでいると、フェイトがゼロとリインフォースに問う。

「当然だ。相棒は半人半魔・・・いうなれば、ハーフデーモンとなったのだ」
「魔界能力の発動についてはもう話したな?」

ゼロが説明し、リインフォースが話の経過を確認する。

「相棒は長らく私と一緒にいた上、イーヴィルへの変身による瘴気の摂取、エクセリオンによる一体化。変化がないほうが可笑しい。中級ドーパント辺りの剛力と頑丈さ、肉体変化、魔界能力発動が可能になっている」


(((夫婦揃ってチートに・・・・・・)))


三人はリインフォースの半人半魔化(ハーフデーモン)の力を聞き、呆れかえる。

「でもこうななると、あのドーパント倒せるのはこの二人だけかな?翔太朗はお爺ちゃんだし、竜君とディアンさんはどっか行っちゃったし・・・」

亜樹子は落ち込んでそういっていると、

(究極のW・・・・・・CAX)

フィリップは、一人考えていた。





*****

雑木林。

――ブゥゥゥゥゥウウン!!――

そこへ二台のバイクが走りこんでくる。

「竜!」
「ディアン!」

「・・・どうやら、用件は似ているようだな」
「そうだな・・・・・・シュラウドォォォ!!」
「プレシアァァァ!!」

二人は一気に叫ぶ。

――ボォォ!――
――バチバチバチバチ!!――

それに呼応してか、炎と雷が起こる。

「私達はここにいる」
「そろそろ、来る頃かと思っていた」

シュラウドとプレシアが並んで現れた。

「何故、俺たちを選んだ?」
「照井竜、貴方のデータを調べた結果、ある事実が判明した。・・・貴方こそが、私がずっと捜し求めていた特殊体質の人間だということが」

「特殊体質だと?」

照井の怪訝とした表情に、シュラウドは説明を重ねる。

「精神干渉タイプのドーパント攻撃に耐えられる体質。実際、オールドの攻撃が効かなかった。それは同じ種類の、テラーの攻撃に耐えられるということ。来人と共に究極のWになれば必ず、園咲琉兵衛に勝てる・・・!!そして、復讐の炎・・・・・・憎しみの心こそが、W・CAXの源!!」

シュラウドは自信たっぷりに説明した。
彼女を突き動かす思念の強さが手に取るようにわかるほどだ。

「プレシア、我は?」

ディアンが聞いた。

「・・・私は、貴方にネイルの力を託してから数日後、貴方の寝て入る間に貴方の身体にある細工をした」
「その細工とは?」

「精神干渉系だけでなく、ありとあらゆるドーパントの特殊攻撃の耐性を追加した。そうすれば、貴方はどんなドーパントに対しても有効に戦える」

「そうか・・・・・・それで?」

ディアンは値踏みするかのような口調。

「・・・・・・貴方を甦らせたのは、ただ貴方に・・・人として生きる、ということを知ってもらいたかったからよ」
「では、別の質問だ」

聞くだけ聞くと、ディアンは一気に別の質問のことに話題をふる。

「井坂達のメモリを渡したというのは本当か?」

照井の冷たい言葉。

「それは・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

二人は答えずらそうにする。

「答えろ!」
「正直にな」
「・・・本当よ」
「事実、としか・・・」

その言葉によって、照井とディアンのなかで、なにかが芽生えた。
照井はエンジンブレード、ディアンは拳を握る。

「そうか・・・・・・よくも今迄騙してくれたな。よくも俺の家族の命を!!」
「フェイトには悪いが、あんたを一発殴る!!」
「「ウアアアァァァァァァ!!!!」」

二人はシュラウドとプレシアに向って走る。
怒りと憎しみの眼差しを二人に向けながら。

――バンッ――
――ビリビリ!!――

しかし、エンジンブレードは銃声と共に弾き飛ばされ、ディアンの足元にも小さな落雷が。

それは勿論、大きな杖型デバイスを持ったプレシアと、小型の茶色いエネルギー銃ことシュラウドマグナムをもったシュラウドによるものだ。

「とてもイイ眼をしている。憎しみに満ちた眼」

照井とディアンはドライバーを装着。

【ACCEL】
【NAIL】

「変・・・身!!」
「変身ッ!!」

【ACCEL】
【NAIL】

ライダーに変身するやいなや、アクセルはエンジンブレード、ネイルは背中のネイルカリバーを持って走る。

【BOMB】
【PLASMA】

対してシュラウドとプレシアはメモリを起動。
シュラウドマグナムと杖型デバイスのマキシマムスロットにインサート。

【BOMB・MAXIMUM DRIVE】
【PLASMA・MAXIMUM DRIVE】

――バンッ!――

シュラウドマグナムから放たれた弾丸はアクセルに命中する直前で四つに分裂してアクセルに被弾し、デバイスから放たれた雷撃はネイルが避けても自動追尾してネイルに命中する。

「「うわぁぁ!・・・くッ」」
「そうよ、憎みなさい」
「・・・・・・・・・」





*****

事務所

――ガチャガチャガチャガチャ――

ここでは、翔太朗は未装着状態のダブルドライバーのレフトスロットに、震える手でどうにかジョーカーメモリをインサートしようとしていた。

「・・・・・・お、出来たワイ」
「・・・・・・・・・」

そんな翔太朗に、フィリップは戸惑いや迷いの表情をみせていた。

――ガラッ――

すると、事務所のドアが開き、みゆが入ってきた。
しかし、

「・・・あら、みゆちゃん」
「その赤ちゃんは?」

そう、みゆは赤ん坊を抱えていた。

「・・・・・・・・・久美ちゃん」

間を空けて答えた。

「まさか、若返らせ屋か?」
「となると、やっぱり頼んだのは・・・」
「ウチのママ。久美ちゃんのお母さんのこと、絶対に許さないっていってから・・・」

そういうと、みゆは泣き出す。
久美も赤ん坊特有の甲高い声音で泣く。

「おーおー二人とも、可哀相にのぉ」

翔太朗はそんなみゆと久美を慰める。

「・・・・・・ッッ」

だが、表情は・・・・・・。





*****

――バンッ!――
――ビリビリ!!――

「「ウワァァァァアア!!」」

一方雑木林では・・・。

「アクセルは、お前を来人のパートナーとして鍛えるために渡したメモリ。そしてお前は、私の期待に応え、それを使いこなした。究極のWまで、あと一息よ」

シュラウドは冷酷なまでに冷静だ。

「その為に左を排除したのか!?あのドーパントを利用して!」
「そうよ」
「あの親子は、左とドーパントをぶつけるためのエサか!?」
「・・・そうよ」

プレシアは淡々と答える。

「貴様ァ!」
「さあ、私を憎みなさい。もっと憎むのよ・・・!」
「俺たちは、貴様の道具じゃない!!」

「プレシア、あんたはなんの為に!?」
「言った筈よ、いずれ話すと」
「だったら、無理にでも吐かせてやる!」

【TRIAL】
【VENOM】

二人はメモリを起動させてドライバーにインサート。

――バンッ、バンッ!――
――ビリビリ!!ビリビリ!!――

猛攻してくる二人に対し、シュラウドマグナムの弾丸とデバイスの雷撃が行われる。
しかし、アクセルとネイルは構うことなく、叫びながら、フォームチェンジしながら駆け抜ける。

――ビュン!!――

凄まじい速度で駆け抜けた二人のライダーは、プレシアとシュラウドが銃口と矛先を向けると同時に右足とネイルクローを首筋に突きつける。

「・・・やれ。私の命を断てば、お前は完全なる憎しみの化身となる」
「・・・・・・・・・」
「プレシア」
「・・・答えは変えない」

――ドガン!!ドガン!!――

その時、二発の光弾が四人に襲い掛かる。

『その女は私の獲物よ。トドメは私がさすわ』

クレイドール・ドーパント。

「若菜・・・!!」
『気安く呼ばないで!!』

シュラウドに名を呼ばれたクレイドールは激昂する。

『ミュージアムを裏切り、私達家族を捨てたくせに!』
「家族・・・?」

アクセルは疑問に思った。

――ドンドンッ!――
――バンバンッ!――

クレイドールが破壊光弾を発射し、シュラウドは銃撃でそれを撃ち落とす。
しかし、クレイドールは少しエネルギーを溜め、先ほどより巨大な一撃を発射する。

当然シュラウドはそれを打ち落とそうとする、が。

――ドガァァァァアアン!!!――

「ァァアアアアアアア!!!!」

相殺しきれず、シュラウドは無惨な悲鳴をあげて吹っ飛ばされる。

『トドメよ・・・』

――ガシッ――

寸でのところで、アクセルがとめる。

「おい、家族とはどういう意味だ?答えろ!」
『・・・・・・』

アクセルに問われたクレイドールは無言でアクセルを振り払い、その場の全員が変身解除する。

「その女の本名は園咲文音。・・・私と来人の、実の母親よ」
「シュラウドが、フィリップの母親だと・・・!?」
「それでメモリを・・・」

照井は純粋に驚き、ディアンは納得した。
仮にも園咲の人間であれば、ガイアメモリの知識は非常に博学であろう。
そうでなければ、アクセルドライブギアも、ガンナーAも、エクストリームメモリも、到底つくれるわけがない。

「・・・・・・照井竜。また来なさい・・・」

シュラウドはどうにか立ち上がり、草に猛炎を燃え上がらせ、姿を消した。

「逃げられた・・・!チッ」

若菜はおもむろに舌打ちする。
そして照井にこういって去った。

「お前がやるならそれでもいいわ。・・・必ずきちんと仕留めなさいよ」
「・・・・・・・・・」

照井は無言だった。

「プレシア・・・って、いるわけないか」

プレシアもまた、姿をけしていた。

――ビューーー!!――

その時、強い風が吹いてきた。
その風の流れのまま、宙を舞う白い花びら。

その元は、野に咲く白い花だった。
そしてその花は、照井の墓石に添えられているのと、全く同じものだった。





*****

一方その頃、

「貴女が久美をあんなめに遭わせたのね!?」
「そうよ。どう?大切な娘を赤ちゃんにされた気分は?」

すがりつく光子に、まるで別人にような冷たい態度で良枝は言い切る。

「酷いわっ!!」

光子は泣き崩れた。

「良枝さん!いくら悔しくても、復讐は・・・」
「あんたに何がわかるのよ!?」

良枝は止めに入った亜樹子を突き飛ばす。

「先に仕掛けたのはこの女よ!やり返して当然でしょ!!」
「う、う、うぅぅ・・・」
「ふざけんじゃないわよ!!泣いて済む問題だと思ってんの!?なに泣いてんのよ!?」
「「好い加減にしろ!!!!」」

突然聞こえた二人の男の声。
その大きすぎる声に、場の空気がシーンとする。

「ディアン、照井さん・・・」

「あんた、自分がなにやったかわかってるのか?」
「私はただ、娘のために・・・」
「違う。あんたはただ自分の憎しみをぶつけただけだ」
「見てみろ、子供達を」

ディアンが指差す方向には、

「・・・・・・ママ」
「・・・・・・みゆ」

老人となったみゆの、悲しげな表情。

「愚かだ、あんたは」
「刑事さん、許してやってください!」

そこへ劇団の責任者である大倉がでてくる。

「親の子供に対する愛は、理屈ではないんです。全ては、愛なんです。だから、許してやってください」

大倉は深々と頭を下げる。
それを見て自分の過ちに気付いた良枝と光子は、半泣き状態の我が子を必死になってだきしめた。

「やっぱりお年寄りの言葉には、重みがあるわ」
「うん」

「・・・愛・・・」
「そういうことか」

照井とディアンは、確信した。





*****

雑木林。
そこにはシュラウドとプレシアが、照井とディアンを待ちわびていた。

「覚悟はできた?究極のWになる覚悟が」
「俺はWにはならない」

照井はキッパリと宣言する。

「なに!?なら、なにをしにきた?」
「貴女を許すために」
「ッ・・・まだそんな戯言を!テラーの力は、恐怖そのもの!打ち勝てるのは、強い憎しみの力だけだ!」

シュラウドの言い分に、照井は首を横に振る。

「・・・・・・貴女は、自分の復讐の為に多くの人間を巻き込み、傷つけた。貴女を駆り立てたもの、貴女を復讐鬼に変えたもの、それは・・・・・・愛だ」
「ッ!」

その言葉に間違いはなかった。

「息子への愛」
「そうよ。私は来人を、愛していた」

シュラウドは・・・文音は語りだす。

「あの頃は、全てが幸せに満ちていた。でもあの人・・・園咲琉兵衛は、あの時から来人をまるで、自分の道具のように扱った」





*****

十二年前。

「来人を渡せ。その子はもう、普通の子供ではない。”地球の子”だよ!」

琉兵衛は文音から無理やり、幼い頃のフィリップ・・・園咲来人をとりあげる。

「か、返して!」

必死に縋り付く文音。
だが無情にも、琉兵衛は振り払う。

【TERROR】

「文音。もうお前に用はない」

そして琉兵衛はテラー・ドーパントになり、

『ハッハハハハハハハハハハ!!』
「うっ!あぁ!あああああああ!!!!」

テラーフィールドで文音を苦しめた。





*****

「私は、来人を奪われた。・・・だから、誓った。あの子と、来人と共に、復讐することを!そして私は利用した。お前の家族の死を、その憎しみを。私の、来人を取り戻すために!」

その言葉、思考、想いには、なんの混じりっけもなかった。
するとディアンはプレシアにこう尋ねる。

「プレシア、もういいだろ?聞かせてくれ」
「・・・・・・十年前、時の庭園から虚数空間に落ちた私は、運良くアルハザードに到達できた。そして私は、徹底的に調べ上げた」
「それは、死者蘇生術だな?」

プレシアが頷いた。

「貴方に身体を与えて魂を定着させたり、リインフォースを記憶の魔導書の管制人格として甦らせても・・・・・・あの子を蘇らせるには代償が必要だった。私一人では到底、払いきれない代償が」

プレシアは無念そうな表情をする。

「それで無限達、魔人の力に眼をつけたのか」
「・・・三年前、脳噛ネウロが電人HALや新しい血族に振るった能力の数々を知って確信がついた。魔人の能力も兵器も、死に物狂いで調べた。そして見つけたのよ。あの子を・・・・・・・・・アリシアを復活させる方法を!」

プレシアもまた、胸のうちの感情を暴露した。
そこへ二つの人影が、
それは言うまでもなく・・・

「来人・・・全部、聞いていたのね」
「フェイト、やはり来ていたようね」

「「・・・・・・・・・」」

母の言葉に、フィリップもフェイトも沈黙する。

「今から証明してやる。あの根暗コンビを倒し、闇の力に打ち勝つのは、決して憎しみの力ではないことを。・・・・・・俺たち六人が」
「六人?」

「我と竜。無限にリインフォース。そしてフィリップと・・・・・・左翔太朗だ」

そういうと、ディアンは照井と一緒にバイクに跨ろうとする。
が、その時、

「待ちなさい、照井竜」

シュラウドが引き止めた。
そしてある物を照井に投げ渡した。

「これは・・・・・・」
「持って行きなさい」

シュラウドはディアブロッサに跨る照井に、頷いてみせた。





*****

とある廃れた廃工場。
そこにはゼロ、リインフォース、翔太朗、亜樹子、御霊
さらには相場と遠藤がいた。

「さて、観念してもらおうか」

無論、二人の居場所を突き止められたのは、魔界の追尾蟲の対たる魔界能力、追尾蟲の追尾蟲(イビルステッカー)であることは言うまでも無い。

ちなみに、ゼロは亜樹子の中指にこれを貼り付けてアンテナ代わりにした為、相場と遠藤にケンカを売るサインをあえてつくらせたりもしたが。

「おいおい、俺らに簡単に勝てると思ってんの?」
「勝てる・・・!さあ、お前の罪を・・・数えるんじゃ」

と、翔太朗が言った矢先

――ギュウウウウウ!!!――

「「イダァァァーーーー!!!!」」
「クハハハ♪」

「あれって、歯医者さんの道具だよね?」
「うん、虫歯引っこ抜く奴でしょ?」
「どこであんな物を・・・・・・」

三人はあきれ果て、

「・・・・・・」

翔太朗に至っては出番をとられた。

「こいつ、調子にのりやがって!」
「こらしめてやる!」

【OLD】
【YOUNG】

どうにかこうにか脱出した二人はドーパントに変身する。

『スペシャルコース&50年追加だ。一瞬であの世に逝けるぜ』

オールドよ、ゼロにもそれは多分、あんまり意味無いぞ。

――ブゥゥゥゥゥン!!――

そこへ三台のバイクが走りこむ。

「竜くん!」
「ディアン、それにフェイト」
「役者が揃ったわね」

「待たせたな」
「遅れは取り戻す。フェイト、下がっていろ」
「うん」

【ACCEL】
【NAIL】

「変・・・身!」
「変身」

【ACCEL】
【NAIL】

二人はアクセルとネイルに変身。
エンジンブレードとネイルカリバーを持ってオールドとヤングを工場内での戦いに持ち込ませる。

「翔太朗!僕達も変身だ」
「ゼロ、いくぞ」
「無論だ」

【MAGICAL】
【WISEMAN】

「「変身!」」

【MAGICAL/WISEMAN】

「おーっと!」

倒れるリインフォースの肉体を、御霊が受け止める。

「あれ?意外と軽い・・・」

少々余計なことも言っていたが。

「ほら早く!それであってるから。何時もやってるでしょ!」

一方翔太朗はボケ度があれだったので、亜樹子に補助してもらっている。

【CYCLONE】
【JOKER】

「「変身」」

ぎこちない手つきでメモリをインサートし、

【CYCLONE/JOKER】

Wへと変身する。
もっとも、多少ふらついているが。

「「・・・・・・・・・」」

そんな皆を、シュラウドとプレシアは遠くから眺めていた。





*****

廃工場内。

――ザシュ!ザシュ!ザシュ!――

そこではアクセルとネイル、オールドとヤングが激闘を行っていた。

「おぉ、照井、大丈夫か?」
「中々頑張っているな」

そこで千鳥足で現れるWと、悠然と歩み寄ってくるイーヴィル。

『まずは二色のほうから片付けてやる!』
『フン!!』

オールドクリークとヤングクリークが這い出る。
しかし、

「「うっ!あぁぁ!!」」

アクセルとネイルが身を挺してWとイーヴィルの盾となる。

『なに!?』

そこでシュラウドとプレシアの姿が視界に映る。

「よく見ていろ、シュラウド。憎しみのWなど、必要ない!」

そのまま二人はズカズカと前進していく。

『なんだこいつら!?』
『無茶苦茶な!』

アクセルとネイルはオールドとヤングの手を掴み、噴出口を自らの身体でふさいだ。

「今だ!四人とも!」
「好機を逃がすな!!」

「良かろう」
「よ・・・よっしゃ!」

Wとイーヴィルは高くジャンプし、エクストリームメモリとエクセリオンメモリが飛来する。

【XTREME】
【XCELION】
【PRISM】
【NEXUS】

CJXとMWXになると同時に、プリズムソードとネクサスソードを抜刀し、自由落下に勢いのまま、オールドとヤングの身体を切り裂く。

オールドとヤングも流石に怯まずにはいられない。
そして、それを逃がすアクセルとネイルではない。

【VENOM】

「その身の咎を切り裂く!」

【VENOM】

ネイルベノムにメモリチェンジ。

アクセルもそれにあわせ、メモリを取り出す。
勿論それはトライアルではない。
さきほどシュラウドから受け取った新しいガイアメモリ。

「限界を、振り切るぜ!!」

【OVER】

暗緑色でガイアディスプレイには何かで中央を突き破られたかのようなOの字がある。
メモリをインサートし、パワースロットルを捻った。

【OVER】

ガイアウィスパーがなると同時に、アクセルのライディングアーマーは急激な変化を引き起こす。
色はオーバーメモリと同じ暗緑色、姿形は重戦車をモデルとし、そして眼の色が青から黄色に変わった。

アクセルオーバー!

「俺はWではなく、仮面ライダー・・・・・・アクセルだ!!」

何の迷いも戸惑いもなく、アクセルが力強く断言する。
ネイルはそれを聞き、ネイルカリバーをネイルクローとして装着する。

【NATURAL】
【NATURAL・MAXIMUM DRIVE】

――ガシャン!――

ネイルはシュガーフィーラーを弾き、ガイアウィスパーの鳴る前から超高速でヤング・ドーパントを切り裂きまくる。

――ザシュザシュザシュザシュザシュ!!――

その技の名は、マッハスクラッチャー!

【MACH VENOM】

斬り終える頃になってガイウィスパーが鳴らされ、ネイルはこう呟く。

「今この瞬間、お前の償いが始まる」
『グギャアアアァァァァ!!』

無惨な悲鳴をあげ、ヤングはメモリブレイクされた。

『遠藤!』
「余所見とは余裕だな」
『っ!』

そしてアクセルはオールドの眼前に立った。
マキシマムクラッチレバーを作動させて。

【OVER・MAXIMUM DRIVE】

「ハァァアアアア!!!!」

アクセルオーバーの放った必殺拳は、到底擬音などでは表現しきれなかった。
その必殺パンチの威力の前に、オールドはあっけなくやられ、壁にめり込まされた。

そして、リミットブレイキングがきまる。

「これがお前の、絶望と限界だ」

メモリブレイク完了。

皆は一斉に変身解除する。
当然翔太朗も元通りの年齢に戻った。

『いただきます!』

――ガブッ!×2――





*****

無限家。

「やったぁぁ!パパたちが上手くやったんだ!!」

ヴィヴィオも勿論、元通りになっていた。
ちなみに、ゼロから連絡を受け、きちんと大人サイズの服を着て待機していたことを書き加えておく。





*****

再び廃工場。

「やったー!翔太朗君が若い!」
「凄いわね、アクセルの新メモリ!」
「やったね、ディアン!」

遅れて亜樹子たちがくる。

「・・・皆、世話かけたな」
「何時ものことさ」

礼を言う翔太朗に、フィリップが軽く答える。

照井とディアンはシュラウドとプレシアのところにまで歩き、他の皆も続く。

「俺の家族の墓に白い花が手向けられていた。あれは貴女が手向けてくれたんだろ?」
「・・・・・・」

シュラウドは無言だ。

「貴女は、井坂に俺の家族を襲わせるところまでは企んでなかった。・・・違うか?」

「私は、井坂のテラーを倒したいという願望を知って、彼にメモリを渡した。でも、彼があそこまでの怪物だとは、予想できなかった。まさか、貴方の家族や、他のあんなに多くの人の命を奪ってしまうなんて・・・・・・ごめんなさい」

謝罪するシュラウドの手を、照井は優しく握った。

「もう貴女は・・・・・・誰も傷つける必要はない。・・・・・・俺たちが園咲琉兵衛を倒す。仮面ライダーとして」
「・・・わかった。私はもう、なにもしない」

シュラウドはそういって去ろうとする。
ただ、ほんの少しだけ、フィリップの・・・愛息の顔を眺めて。

「・・・いけよ」

翔太朗に促され、フィリップは母を追いかける。
しかし時既に遅し。
シュラウドは煙のように消えていた。

するとディアンはプレシアに視線をむけて尋ねる。

「これは我の予測だが、貴女は好意的にメモリとドライバーをヘルに渡したわけではないのだろう?」
「・・・・・・私がバニティーメモリとガイアドライバーをつくったのは、アリシアの蘇生の手立てになるかと思ったからよ」

プレシアは真実を語りだした。

「そこへ、ヘルが・・・」
「えぇ。奴は言葉巧みな話術で私に取り入り、力をてにした。”貴女のお力になりたい”なんて絵空事を言ってね」

ディアンは思わず拳をギューっと握り締めた。

「でも、これだけは信じて欲しい。私が貴方を甦らせたのは、決して「もういい、皆まで言わなくても」・・・ディアン」

ディアンは全てを察した。

「私も解るよ母さん。その理由は、ただディアンに・・・幸せになってほしかっただけなんだよね」
「フェイト・・・ディアン・・・」

プレシアの両目からは一筋だけ、雫が流れ落ちる。

「無限、リインフォース」
「わかっている」
「その願い、叶えてやろう」

二人も、今回のことには力を貸すらしい。

「「変身」」

【MAGICAL/WISE】
【XCELION】

MWXに変身し、プレシアにこういった。

「プレシアよ、アリシアの亡骸はまだあるな?」
「勿論よ」

プレシアは杖型デバイスを輝かせ、次元の裂け目を作り、アリシアの亡骸が入った巨大なカプセルをだした。

ちなみに、翔太朗・フィリップ・照井・亜樹子・御霊には退場してもらった。
リインフォースが、「流石にこの場は、家族だけにさせてやってくれないか?」
と、頼んだからだ。

勿論、復活させる二人はこの場に残っているが。

――ビチャ!――

プレシアはアリシアの亡骸をカプセルの外に出した。
そして、用意していた2メートルあたりの適当な白布で彼女の亡骸をくるむ。

「「魔帝7ッ兵器・・・慈愛と狂気の月黄泉(イビルムーンライト)」」

イーヴィルの手には藜の杖(仙人や老人などが持ってそうな物)に似たものを手中にする。
ただしそれの根の部分の中央には青白い美しい水晶が埋め込まれていた。

「ではいくぞ」

イーヴィルがそういって杖を亡骸にかざすと、水晶からは月光の光が照射される。
水晶と同じ青白い光。その美しい月華の光に、その場にいる全員が眼を見開く。

そして、一分ほどの照射が終わると・・・。

「・・・・・・・・・・・・ん」
「ッ!あ、アリシア?」
「ん〜・・・・・・あれ、母様?わたしは?ここどこ?」

少し幼い口調が目立つが、それはもう紛れも無かった。

「アリシア・・・・・・アリシア!!」

プレシアは精一杯、愛娘(アリシア)にだきついた。

「わッ!?母様どうしたの!?」

アリシアは当然困惑する。

「良かった・・・姉さん、よかった」

その光景を見て、フェイトは嬉し涙を流した。

ディアンは変身解除したゼロとリインフォースに近寄る。
そしていの一番にこう聞く。

「無限、何故アリシア義姉さんの肉体が成長している?」

そう、アリシアの肉体は6・7歳辺りから、一気に二十歳前後になっていた。

「子供のなりでテスタロッサの姉といっても、まず信用されんからな。多少細胞に細工したまでだ。まあ実際、上手くいくかどうかはわからなかったがな。私はこの兵器を使った経験がなかったしな」

ゼロのすんでいた魔界の生物達は、例え五体をバラバラにされようが、テリトリーである魔界にいれば復活できるほどの生命力を誇っている。おまけに慈愛と狂気の月黄泉は二次元の刃と同量の魔力を消費するため、誰もこの兵器を使おうとは思わなかったのだ。

「・・・ありがとう・・・」

それでもディアンは、ゼロに感謝した。

「別にそんな深々と頭を下げなくても・・・」

リインフォースは戸惑う。

「いや、下げる。本当に感謝している。義姉さんのことも、そして・・・・・・義母さんのことも」

ディアンは笑った。
今までのなかで、最高の笑顔で笑ったのだ。





*****

風都ホテル。

「AtoZ、26本確かに。必ず財団本部に届けます」
「では、宜しくお願いします」

加頭は26本のガイアメモリの詰まったケースを、同じ財団X所属の田端に引き継がせた。
これが後に繋がる、AtoZ事件の幕開けとも知らずに。

「ところで、貴女のお母様。このゲームを降りたみたいですよ」
「そう」

冴子は構わずに球をついた。

「でもまだ動いてる球はあるわ」





*****

風都タワー地下の研究所。

「よーし、完成だな」

――ビカァァ!――

白い光を放つ何かを完成させた大地。

「これで漸く、最終段階に入れる」

大地の目前にあるモニター。
そこには完成された物体の名前があった。

WORLD(ワールド) PROGRESSURE(プログレッサー)





*****

報告書

事件は解決した。
もっとも今回、俺とヴィヴィオの出番はなかったが、あの親子は笑顔を取り戻した。
そしてシュラウド・・・・・・フィリップの母親も救われたと信じたい。

だが、無限のがやってのけた死者蘇生には驚くばかりだ。
亡骸の一部、髪の毛一本、骨一本だけでもあれば蘇生可能ってのが余計にだ。
でも、テスタロッサ家の幸せな顔を見られたのだから、よしとしよう。

因みに無限の奴、時空管理局の上層部を脅迫しまくって、プレシアのことを認めさせたらしい。勿論、アリシアのこともだ。今更ながらホントに敵に回したくないとつくづく思うぜ。





*****

???

火火火(ヒヒヒ)、まさかあんたとまた犯れるとは・・・・・・・なんという数奇な運命」

そこでは、火の文字が入った帽子を被る、全身に火傷の痕がある男。
そして、その前には否が応でも威圧感と、絶対的な”悪意”を漂わせる長身の男がいた。

その後ろには四人の人影があった。

「そういうな。君が戻ったことで、”五本指”が再び揃った」
「しかし、あの仔鼠はいかがなさいますか?」

控えていたイブニングドレス姿の巨乳美女が問う。

――パカッ――

問われた男は持っていたケースを開けた。
以前は26本あったメモリ。
しかし今は25本だ。

「構わんよ。どうせすぐに取り戻せる」
「火ッ火ッ火!じゃあ、いきますか?」

火傷男の言葉を皮切りに、六人は一斉にメモリを手に取った。

【AQUA】
【GROUND】
【YGGDRASIL】
【CHARM】
【FLAME】

そして

【IMMORTAL】



次回、仮面ライダーイーヴィル

Kが求めたもの/尾【テイル】

これで決まりだ!






アクセルオーバー
仮面ライダーアクセルがメモリチェンジしたことでフォームチェンジした形態。基本色は暗緑色で、眼の色は黄色、モチーフは重戦車。スピードを減退させた代わりに、ノーマルアクセルを遥かに凌ぐパワーを誇り、一撃ごとに強力極まる攻撃が可能になる。他にもかなりの高硬度を持ち、防御面にも優れる。

決め台詞は「限界を、振り切るぜ!」「これがお前の、絶望と限界だ」

身長/197cm
体重/123kg
キック力/18トン
パンチ力/25トン
ジャンプ力/20メートル
走力/100mを8秒


オーバーメモリ
「過剰な記憶」が収められた暗緑色のガイアメモリ。
形状こそが通常の純正型メモリと同じだが、内包されているデータ量とプログラムの大きさは常軌を逸する上、アクセルのパワーを向上させるという一定のベクトルに大きく効果を発揮する性質を備える。マキシマムドライブの方法はノーマルアクセルと同様。

リミットブレイキング
アクセルオーバーのマキシマムドライブ。威力は120トン。
増幅されたオーバーメモリのパワーを全て拳に集中させて放つ必殺パンチ。


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