――――――これでまでの
仮面ライダーディロードは、



「ここは、ライダー大戦の世界だ」

『…仮面ライダー達を救い、悪を砕け…』

「今から僕と僕の仲間達が…貴方達の旅を終わらせます」

「来るなら来い!全てを破壊してやる…!」

「終焉を、迎える時だ!!」



――バギュン!!――
――ザシュッ!!――



「ディケイドォーー!!」
「ディロードォーー!!」

ディロード・完結編


天空にて深く大きく積った雲。
その中を突き進み、突き破った二人の戦士。

スカイライダー。
仮面ライダー555・ブラスターフォーム。

――ビューーーーン!――

「ディケイドはまだ発見できない」
「こちらもディロードの姿が見当たらん」

二人の言葉は地上のライダー達へ通信として伝わっていた。

仮面ライダースーパー1
仮面ライダーカブト
仮面ライダーグライズ
仮面ライダーアギト・シャイニングフォーム

「だが気をつけろ。何しろ奴らは、魔王と悪魔だからな!」
「くれぐれも油断するなよ」

スーパー1とグライズが警告した直後、それは起こった。

「「ッ!?」」

突如として、スカイライダーとファイズの周辺に二種類の巨大なホログラムカードが無量大数に現れる。無論、二人は逃げようとするも、カード達は逃がすまいと追い回す。

≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DECADE≫
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

そして、

「「うおぁぁぁ!!?」」



――ドガァーーーーーアァン!!――



「スカイライダー!」
「ファイズ!」

空中を飛行していたスカイライダーとファイズは何者かの攻撃を受け、火達磨状態というより隕石の如く、地上に墜落した。

二人の墜落した場所にはクレーターができており、そこには二枚のカードがおちていた。
彼等を撃墜した二つの存在は、カードを拾うと…。

≪ATTACK RIDE…CLOCK UP≫
≪ATTACK RIDE…SPEED≫

電子ボイスが鳴ったと同時に、

「「うぉぁぁぁあ!!」」

突然スーパー1とアギトが超高速移動にはいった敵の攻撃に翻弄される。
よく眼を凝らしてみると、スーパー1とアギトに攻撃しているのはマゼンタの戦士とイエローの戦士であることが垣間見えた。

≪CLOCK UP≫

カブトとグライズはクロックアップしてみたのは、紛れもなく……
仮面ライダーディケイドと、仮面ライダーディロード。

≪ATTACK RIDE…INVISIBLE≫

グライズとカブトの攻撃を咄嗟の判断で使ったカードで避けたディロードとディケイド。

「どこにいった?」
「ここだよ」
「ッ!?」

ディロードの声が聞こえた時にはもう遅い。
空中に放り投げられていたスーパー1とアギトを挟みこむようにしてホログラムカードが展開され、一番後ろのカードからキックの姿勢で突っ込んでくる二人の戦士。

「ハアァァァァァ!!」
「ゼアァァァァァ!!」

ディケイドのディメンションキックはスーパー1を貫いてその先にいるカブトを、ディロードのデスエンドクラッシュはアギトを貫いてその先にいるグライズに直撃した。


激しい爆音と爆炎が起こり、それが収まった時には、カブトホーン・ファイブハンド・アンカージャッキ・シャイニングカリバーが地面におちていた。

ディケイドとディロードは変身を解き、それらを拾い集めてみるも、十秒ほど眺めれば飽きたかのように投げ捨てた。

そして、先程倒した四人のKRとFKRカードを見つめる。

「………」
「………」





世界の終焉者・ディロード。全てのライダーの敵となり、その心は何を映す?





廻と士はあの日以来、戻ってこない。
信彦やユウスケ、キバーラも姿を消し…アタシ達は三人だけとなってしまった……。

「おっといかん。またコーヒーを多く淹れてしまった」

栄次郎は三人分ではなく、七人分のコーヒーを淹れてしまっていた。

「…廻…」

流姫は皆で楽しくお茶やコーヒーをのんでいたあの頃を思い出す。

「…キレイサッパリ処分しましょう。そうしないと、つい士君達のこと考えちゃいますから」

夏海は四つのマグカップを箱に入れて捨てようとするが、

――ガチャ――

「進歩がないね、君達は」
「まあ、お前達らしいけど」
「二人とも!」

ドアを開けて、海東大樹と坂木了が登場してくる。

「あいつらのことなんか、僕はとっくに忘れたよ」
「憶えていると、後で辛くなるからな」
「「マスター、コーヒー」」

二人をハモッて注文する。

「あのね、私はマスターじゃないし、ここは喫茶店でもないよ」

と反論しつつ、しっかりとコーヒーをスタンバイする栄次郎。

「…士君達、今は何所にいるんでしょう…?」
「あの世界(なか)さ」

大樹は後ろにある背景ロールを指差す。
背景ロールには、幾つもの世界(ちきゅう)が互いに引かれ合い消滅する様子が描かれていた。

「このライダー大戦の世界の何所かに、廻達は…」
「ま、そういうこったな」





*****

――ブゥゥーーーーン!!――

バイクのエンジン音。
それは士が駆るマシンディケイダーと、廻の乗るマシンディローダーのものだった。

どこかの建物に通りかかろうとすると、次元の壁から量産型ライダー・ライオトルーパーが現れ、アクセレイガンで発砲して二人を止める。

廻と士はバイクから降りる。
周りには二十人余りのライオトルーパー。

「士」
「廻」

背後から現れた次元の壁からはユウスケと信彦が…。

「今度こそ逃がすわけにはいかない」
「…逃げるつもりはない」
「君達とは戦いたくなかったが、世界を破壊と終焉から護るためなんだ」
「覚悟しろ…!」

そう、ユウスケと信彦…心優しいこの二人までもが、ディケイドとディロードの討伐に乗り出したのだ。

「口上なんてどうでもいい。かかってこい…!全てを終らせてやる……!!」

士と廻はカードを構えた。

≪KAMEN RIDE…DECADE≫
≪FINAL KAMENRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

幾つものヴィジョンが二人の身体に重なり、アーマーを形成すると、最後にライドプレートが仮面に突き刺さると、アーマーの色をマゼンタとダークバイオレットに染め上げる。

二人は世界の破壊者たるディケイド・激情態と、世界の終焉者ことディロード・デスエンドフォームに変身したのだ。

ディケイドの歪んだ緑色の瞳とディロードの濁った白色の目は、鋭い眼光を宿している。

襲い掛かるライオトルーパーの軍勢を赤子のように容易く捻り潰していく二人のライダー。
たった一人でもかなり厄介だというのに、それが二人ともなれば益々手がつけられない。

――ザシュ!ザシュッ!――
――ブゥガ!ブゥガッ!――

「グァァアアア!!!」

きこえてくる攻撃の音と悲鳴。

「…士…」
「…廻…」

呟くユウスケと信彦を後目に、建物のすぐ近くには…。

――ズゥン…!!――

巨大な戦士が居た。





*****

「士君は何故、世界を映していたんでしょう?」
「さあね」

一方、夏海・流姫・大樹・了は橋の下の河で、火をくべていた。
火のなかに、士の歪んだ写真を放り込んで。

「…変な写真しか撮れないくせに…」
「あいつは、見掛けほど強い人間じゃない。……ファインダー越しでしか、世界とは向き合えなかった」

大樹は士のもっていたトイカメラを持ちながそう言う。

「でもさ、廻は罪を背負いながらも、士は撮り続けることで……世界と…、皆と向き合いたかったのかもしれないじゃない」

ここでさっきから黙っていた流姫が発言する。

「それは誰にもわかんねーよ。…しかしながら、今日は随分と本腰入れてるな」

了が目線を真っ直ぐ河の向こう側に出現した次元の壁を見据えながらそう喋った。

「あれって確か…!」
「仮面ライダーJ。いや、今はジャンボライダーと呼ぶべきか?」





*****

――ズン!ズン!ズン!ズン!――

大きい足音を立てて歩くJ。
足元にいるディケイドとディロードを踏みつぶすために。

しかし、ディケイドとディロードは巧みな操縦でそれを避け続ける。

道成りに先ほどライオトルーパー達を蹴散らした六階建ての駐車場にはいる。
だがJは執念深く、天井や壁を突き破って攻撃するも、的が小さい上にその巨体が仇となって駐車場に拳や足を上手く入らず、ディケイドとディロードを仕留めきれない。

「士君!」
「廻…!」

そこで流姫と夏海も到着し、ディケイドとディロードの姿を確認した。

当の二人は駐車場の屋上にたどりつき、Jの追撃をかわすと、バイクを一旦止めてカードを装填した。

≪ATTACK RIDE…GIGANT≫
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

G4の目玉武器であるギガントを出現させるディケイドと、コールドライバーに別種のFARを装填することで、四発ミサイルとディメンションエクストラブラストを同時に叩き込む。

≪ATTACK RIDE…SIDE BASSHER≫
≪ATTACK RIDE…JET SLIGER≫

トドメとでも言うように二人はARによってマシンディケイダーをサイドバッシャー・バトルモードに変形させ、ディロードもマシンディローダーをジェットスライガーに変形させる。

「ハアァァァァァアアア!!!」
「ゼァァァァァァアアア!!!」

サイドバッシャーとジェットスライガーのミサイル攻撃を直に喰らい、Jは成す術もなく倒れ伏した。

「「うわあああぁぁぁぁぁ!!」」
「ユウスケ!」
「信彦!」

Jが倒れた際、運悪く倒れる方向にいたユウスケと信彦は必死に走りギリギリのところで助かった。

そして、

――パシッ!――

ディケイドは敗北し、残されたJのKRをキャッチする。





*****

Jを倒した廻と士は、今迄倒したライダー達のカードを眺めながらあるいていた。

だが、そんな状況でもライオトルーパー達がでてくるのである。

「懲りない奴らだ」
「学習するということを知らんのか?」

二人が呆れていると、

「士!廻!」
「またお前か!」
「ガキは退いてろ!」

可愛らしい少女が現れた。最も、邪険に扱われているが。
少女はライオトルーパーの前に立つと、ポーズをとった。

「電波人間・タックル!」

少女は本来ならば仮面ライダーストロンガーのパートナーである筈のタックルへと変身する。

タックルは早速ライオトルーパー達と交戦を開始する。
正規のライダーではないとはいえ、仮にもブラックサタンによる高度な改造を受けたタックルが量産型のライダーに負けるわけがなかった。

「電波投げ!ハアァ!!」

タックルが周囲に強力な電波を攻撃エネルギーとして発生させ、ライオトルーパーを追い払った。
タックルは仮面をとると、真っ先に二人に向って駆けた。

「へっへーん!やっぱり二人にはユリ子がついてないとね♪」

岬ユリ子=電波人間タックル。

「「………」」

しかし、天真爛漫な彼女に対する興味が無いのか、二人は無言で立ち去ろうとする。

「あ、待ってよぉ!」





*****

片や、流姫達は先程の戦闘の二次災害によって怪我をしたユウスケと信彦の手当てをしていた。

「じゃあ、ユウスケ達はずっと士君達を追っていたんですね?」
「あぁ、だがその間に奴らはライダーを次々と破っていった。生き残ったライダーも残り僅かだ」

ユウスケの声に、かつての活気は感じられない。

「……廻達、一体なんの思惑があって?」
「あろうとなかろうと、最早二人は昔とは違う。…”魔王と悪魔”になってしまった」

信彦の声にも暗さがある。

「でも……」
「それ、士の…」

夏海の持つ士のトイカメラに、ユウスケが反応を示した。





*****

「おーっととと!」

ユリ子は相変わらず廻達に付き纏っていた。
線路の上を歩きながら…。

「お前、ライダーの一味のくせして、なんで俺達についてくる?」
「なんでかな?…士達がカッコ良いって理由じゃダメ?それに、廻なんて超美形だし♪」

そう、お忘れかもしれないが廻の容姿はそんじょそこらの連中とは比較にならないくらいに美形だ。恐らく世界レベルの俳優・スーパーモデルなどとも対等に渡り合える程に。

しかし、今は両目の上下に稲妻模様の彫りが施されている仮面をつけているため、良くわからないが。

「……下らん」
「そんな冷たいこといわないでよ。ユリ子は、二人の傍に居られるだけで幸せ♪」
「鬱陶しい」

漫才のようなそうでないようなやり取り。
でも、トンネルを抜けた先に居たのは…。

「士君」
「廻も…」

流姫達を遭遇した。

「夏海」
「流姫」
「その女、誰なの?」
「お前等には関係ない」

「士君、廻さん!…どうしてライダーを倒すんですか?」
「教えて、廻。四年前に犯した罪を、また背負う気なの?」

夏海と流姫が問うと、士と廻は悠然とこう答えた。

「俺達はかつて、御仕着せでするべきことを決めていた。だが今は、自分ですべきことを自分で決めている」
「それがライダー達を倒すことだって言うのか?」
「俺達は全ての破壊者と終焉者だ。そして、それを受け入れた。それだけのことだ」
「そんなの僕達が許さな――――ッ」

信彦とユウスケは反論しようとするも、傷が痛むのか、その場に座り込んでしまう。

「今だけは見逃してやる」
「逃げろ。もう二度と俺達に関わるな」

二人は冷酷に言い放った。

「私達は逃げません!」

夏海はトイカメラで”士の写真”と”廻の写真”を撮った。

「…二人を信じています…」

しかし、士は無情にもカメラを取り上げ、投げ捨てた。

「カメラはもう必要ない。世界だろうがなんだろうが、ぶち当たる壁は正面から打っ飛ばす!!」
「憶えておけ…!!」

士と廻は完全にかつての仲間達を敵としてみていた。

「行こう、二人とも!」

ユリ子はそんな二人を急かし、共に何所かにいってしまった。



夏海と流姫は、士が捨てたカメラをさがしていた。
そして、見つけだしたものの、カメラは破損していた。

「私はどうすれば……」
「アタシだって…」
「私にはなにもできない…、なにもしてあげられない」
「アタシは戦えるけど、あの二人を止める自身がないわ」

二人が意気消沈としていると、

『なーつみちゃん♪るーきちゃん♪』
「キバーラ!」
『忘れたの?鳴滝様が言ってたでしょ。士君を止められるのは、夏海ちゃんだけだって』
「私が、士君を?」
『遂にその時が来たのよ。貴女に力をあげるわ。悪魔にも負けない、特別な力を…!』

キバーラの言う言葉には夏海を意識を魅入らせるなにかがあった。

『あ、そ・れ・か・ら♪流姫ちゃんには、鳴滝様から預かってた新しい力をあげるわね』
「アタシに?」

キバーラは小型サイズの次元の壁を使い、ある物を流姫に渡す。

「これって……緑色(グリーン)の、ケータッチ?」





*****

その日の晩。
栄次郎はおでん屋に来ていた。

「琉ちゃんいるかな?」

琉ちゃんという人物が誰かは、多分読者の大半がしっているだろうから、説明は省く。

「あら、いないや」
「お待ちしておりました」

琉兵衛が居ないとわかった直後、おでん屋のおやじが栄次郎に声をかけた。

「え…?」
「どうぞ」
「あ、はい」

促されるまま栄次郎は席につく。
おでん屋は突き出しとしてスルメイカとビールをだす。

「イカで…、ビールか」

しかし、ここで栄次郎は思い出したくもない過去を思い出すことになる。

「イカデ、ビール………イカデビル。……まさか」

おでん屋のおやじをみると、そこには鳴滝がいた。

栄次郎は急いで逃げようとしたが、時既に遅し。
例のマントが彼に覆い被さる。





*****

「我こそは、スゥーーーパァーーーー死神博士ぞ!!」

小指の爪に”スーパー”とかかれた死神博士改め、スーパー死神博士となってしまった栄次郎。

「そして私は…!」

鳴滝も帽子や服を脱ぎ捨て、

「ゾル大佐……!!」

軍服に眼帯をした上、鞭を持ったゾル大佐となったのだ。

「いまここに、偉大なる大ショッカーは……スーパーショッカーとして復活したのだ!」

下ろされた幕に描かれたスーパーショッカーのエンブレム。

『偉大なるスーパー死神博士とゾル大佐に、敬礼!』
『イィーー!!』

怪人・蜂女の号令により、他の怪人や戦闘員は一斉に敬礼する。

「服装!!…服装が乱れているぞ!」

ゾル大佐に指適された戦闘員は慌てて全身タイツやベルトの乱れをなおした。

「服装のたるみは精神のたるみだ!私が幹部になったからには、たるみは絶対に許さん!」
『イィーー!!』

敬礼する構成員達。

「ディケイドとディロードのお蔭で、ライダーも残り僅か。究極の生命体が復活すれば………世界は、スーパーショッカーの物だ!」

『フフフフフ……オホホホホホホホホホホホホ!!!』
「フハハハハハハハハハ!!!!」

蜂女が笑うと、スーパー死神博士もつられて笑う。
まるで世界の崩壊と絶望が決定したかのように。





*****

その頃、廻達はとある廃工場で缶詰たペットボトルでの質素極まる食事をすませると、再びカードをながめていた。

「おい、士」
「あぁ、お前もか」

ここで二人は気付く。
もっているカードの中にブランクの、それもみたこともないライダーのカードが混じっていることを。

士の持ってるカードには帽子を被ったライダー。
廻の持ってるカードには口部分(クラッシャー)にマフラーを巻いた二本角のライダー。

「ねえ、ライダーを倒す度にカードを見てるけど…どうしてなの?」
「戦いの後に残るのはカードだけだ。だからせめて……消してしまったライダー達のことを、憶えておいてやろうかと思ってな」
「記憶こそが時間。そしてそれが、人を支える。…とか言ったおっさんもいるしな」

するとユリ子は少しばかり黙ると、

「……なんか羨ましいな」
「「………」」
「ユリ子のことなんて誰も見てくれなかった」

士と廻は椅子から立ち上がる。

「つまんない話しちゃったね。…二人は何時も見ててくれるもんね」

そう言われると、士と廻は目線を泳がせた。

――バッ!×2――

「相も変わらず泥棒か?」
「大樹、了」

テーブルにおいたカードをパクられ、振り返る2人の目線の先には、上記の二人がいた。

「しかめっ面は似合わないよ。楽しくやろうよ、昔みたいにさ」
「そんな怖い顔、解き解してよ」
「二人のカードを返せ!」

ユリ子は大樹と了からカードの束を取り返そうとする。
しかし、弄ばれるようにカードを投げ渡し合う二人に翻弄される。

「岬ユリ子。お前なんかに興味はないんだよな」
「君がここの存在していることにすらね」
「なにを訳のわからないことを!!」

ユリ子は拳と蹴りを繰り出すも、あっさりと受け止められてしまう。

「止せ、見苦しい」

そこで廻と士が割って入り、カードを取り返してユリ子と一緒に行こうとする。

「二人とも!死人を従者(ペット)にして楽しいか?」
「…死人だと?」
「「黙れッ!!」」

大樹の一言に士と廻は激怒にも似た声量だ。

「お前は己自身の末路を憶えていない。俺達が知っている岬ユリ子すなわち電波人間タックルは……蜂女の毒に冒され、既に死んでいる筈だからな」

了の口から告げられた事実。

「死んでる?ユリ子が?」
「士と廻もわかってるはずだ」
「それがどうした?」

一瞬、沈黙の間が流れた。

「こいつは昔の俺とそっくりだ。だれも自分と向き合ってくれない。だから自分の居場所を見つけられない。…その答えも見つからないまま死んでしまった。それはたた死ぬことより…ずっと…辛かった筈だ。だから死んでも尚、自分の居場所を探し続ける」


士の話を聞いている途中、ユリ子は完全に思い出す。
自分はもうとっくに、蜂女の毒針ともいえるサーベルの刃に刺し貫かれ、絶命したことを。


「それで君達がその居場所になってあげたというわけか」
「なんなのそれ?…そんなバカな話あるかよ!!」

いつもの天真爛漫ぶりは掻き消え、乱暴な口調になるユリ子。

「ぐすっ……死人とか、ペットとか…ぐすっ…ヤんなっちゃうな」

涙ながらにそう言うと、ユリ子は走り去っていく。

「待て!」
「ユリ子!!」

廻と士は呼び止めようとするが、

――ドガァアアアーーーーン!!!――

突如起こった爆発。
吹っ飛ばされた二人が見たのは、ドラグクローを手に持つ龍騎、ブレイライザーを構えるブレイド、音撃棒を携えた輝鬼、ザンバットブレードを研ぎ澄ますシャイン。

「「……ッ!」」





*****

スーパーショッカー。

そこではスーパー死神博士が不気味な光を放つ液体の入った装置に向かって呪文的なものを唱えていた。

「チャチャチャチャチャチャチャ…、スゥーパァーー!!」

すると、

『パパ、お願い。ここから出して』

装置の中から幼い少年の声。

『おぉ!ネオ生命体が…!』
「我々は遂に、神を越える力をてにいれた…!」

さらには、

「死神博士!」
「スーパーを付けろ、スーパーを」
「し、失礼」

突然にも、通信用の巨大画面(スクリーン)を通してスーパーショッカーの科学者が連絡を取ってきた。

「第二要塞の最重要ラボよりお伝えします。…完成致しましたよ」
「おぉ!それは本当かね?」
「勿論ですとも。嘘だと思うのならばご覧ください!」

スクリーンには巨大な培養装置が映し出された。
培養装置の中には、まるで多種雑多な生物の細胞全てを組み合わせた身体を仮面ライダーをモデルとすることでコンパクトにし、赤い単眼を備えた怪人が浸かっていた。

『これで揃いましたね、スーパー死神博士…!』
「あぁ、ネオ生命体と…”邪眼”がね」





*****

一方その頃、ディケイドとディロードは激情態とデスエンドフォームのパワーによって四人のライダー相手に圧倒的な優勢を築いていた。

そして、龍騎とシャインの首を掴むと、

≪FINAL FORMRIDE…B・B・B・BLADE≫
≪FINAL FORMRIDE…KA・KA・KA・KAGAYAKI≫

FFRによって強制的にブレイドと輝鬼を、ブレイドブレードとカガヤキオンサに超絶変型させた。

「「オラァァァァァ!!」」

ディケイドエッジとディロードショックを発動し、龍騎とシャインを叩き切って倒す。
そして、FFRしたライダーを放り投げて元に戻した。

「ディケイド…!」
「ディロード…!」

≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DECADE≫
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

ディメンションキックとディメンションエクストラスラッシュはクリーンヒットし、ブレイドと輝鬼は爆散。

ディケイドとディロードは残ったKRを手にとる。

しかしながら、戦いは休憩なんて生温いものを挟まず、再び始まる。
そう、ユウスケと信彦がその場に到着していたのだから。

「……俺達が最後のライダーになってしまった」
「廻、士……僕達の手で君達を倒す!」

ユウスケと信彦は構え、アークルとムーンライザーの放つ波動(オーラ)を纏い、アルティメットクウガ・ブラックアイと創世王となった。

「アルティメットだの創世王云々は知らねえが……」
「俺達は既に究極を越え、神の領域に在る」

そして…!



――バッ!!――



四人が動きだした。

ディケイドVSアルティメットクウガ・ブラックアイ
ディロードVS創世王

当初はそのスペックの途轍もない高さを活用し、クウガも創世王もディケイドとディロードを劣勢に追い込んだ。しかし……。

≪ATTACK RIDE…COPY VENT≫

ディロードが創世王のサタンブレイダーをコピーベントの力で写し取る。

「オラオラァァァアア!!」

サタンブレイダーとライドセイバーの二刀流で創世王を圧倒する。
それを繰り返した後、サタンブレイダーを投げ付けて注意を引くと、一気に体当たりを行って創世王を下の階に転落させた。

向こうで戦っているディケイドもクウガを下に落し、己も下に降りてクウガを踏み付けていた。
ディロードも真似して上から下に飛び降り、創世王を踏み付ける。

そして、飽きたかのように歩む二人に、クウガと創世王は攻撃しようとするも、ディケイドとディロードは御見通しだとでも言うかのようにカウンターの蹴りを決めた。

吹っ飛ばされた二人は必死になって立ち上がりこう述べる。

「俺はもう、誰かの涙は見たくない!皆の笑顔を守る為ならば、究極の闇にもなる…!!」

するとクウガは次元戦士の助力無く、自力でFFRしたアルティメットクウガゴラムに超絶変形した。そして脚が変化したオオアゴを使ってディケイドの身体を挟み、空中へ飛行する。

「俺は昔の自分のように、誰かが罪に塗れる様は見たくない!それを阻止できるなら、例えこの身を滅ぼしても厭わない…!!」

創世王もまた、サタンブレイダーにエネルギーを注入し、一気にディロードに突っ込んだ。さらにはディロードを掴み、天高くジャンプしてアルティメットクウガゴウラムの背中に乗り、ディロードをオオアゴ内の押し込む。

『二人とも、お前達だけを逝かせない。俺達も一緒に逝く!』
「君達だけに、死を押し付けたりはしない!」

飛行するアルティメットクウガゴウラムとそれに乗る創世王と捕縛されたディケイドとディロード。

「ユウスケ!」
「信彦!」

夏海と流姫は地上から四人の姿を捕捉し、急いで彼等にたどりつくであろう場所に向かった。

「テメーらだけで逝ってろ!!」

ディロードは乱暴な口調でそう喋り、コールドライバーで創世王を撃ち、ディケイドはライドブッカー・ソードモードでアルティメットクウガゴウラムの翅を全て斬り取る。

『「うわおぉぉぉあああああ!!!!」』

それによって四人は纏めて墜落してしまった。





*****

「士、生きてるか?」
「……さぁてな?」

あの決死の…捨て身の攻撃すらディケイドとディロード
その手にはSHADOW RXとクウガのKRカードがにぎらている。

「…酷いです…、あんまりです!」
「廻…、幾らなんでもこれは……」

そのタイミングで夏海と流姫が到着する。

「だったらなんだ?」
「どうする気だ?」

ディケイドとディロードが質問すると、

「アタシ達が、あんたらを止めてみせる」

流姫の瞳には決意の光があった。

「キバーラ」
『フフフフ♪いくわよー♪』

夏海に呼び掛けにキバーラが現れ、夏海に手に収まる。
流姫もディガイドライバーをスタンバイ。

≪KAMEN RIDE≫

「変身」

≪DI‐GUIDE≫

流姫は仮面ライダーディガイドに変身。

「変身」


夏海もキバーラを前方に突き出してそう言うと、額にハートマークが現れると同時に無数の薄紫色の結晶のような物が辺り一面に飛び散り、それが夏海の身体に纏わり付き、ガラスが割れる音と共に砕けると、そこには夏海ではなく、仮面ライダーキバと同じくコウモリを意匠とした純白と薄紫の美しい鎧を身に着けた女戦死がいたのだ。


「仮面ライダー……キバーラ!」

そして、とうとう…ディガイドも。

「廻、手加減しないわよ…!」

ケータッチにコンプリートカードを装填するディガイド。

≪GILLS・KNIGHT・KAIXA・CHALICE・ZANKI・GATACK・ZERONOS・IXA≫
≪FINAL KAMENRIDE…DI‐GUIDE≫

八つのクレストにタッチし、最後の自分を表すライダークレストにタッチすると、
ディガイドの頭部にFKRカードが収められるの始まりに、色は黒と銀となり、ディメンションヴィジョンもグリーンに染まった。胸には八枚のKRが収められいる。



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