終わり行くAtoZ/風【しんか】


「うッ・・・あ・・・」
「く・・・う・・・」

もがき苦しみながらも、エターナルメモリとゾーンメモリ、イモータルメモリとサイコメモリ、そして緑色の薬品と打ち込み器具を手に、克己とシックスはドアを開けてよろよろと外に出た。

「マリアさん・・・」
「本城博士・・・・・・」

翔太朗とゼロによって束縛を解かれたフィリップとリインフォースは、マリアと二三男に歩み寄る。

「ありがとう坊や・・・・・・」
「感謝するぞい、ガキ共・・・」

マリアと二三男は弱弱しく感謝の意を述べた。

「貴方達の存在が・・・私に、過ちを気づかせてくれた・・・・・・貴方の、母に成り済ますうちに・・・昔亡くした、我が子の夢を・・・重ねていたのね・・・」
「私もまた・・・お嬢さんの、容姿と聡明さに・・・若き日の妻と、刹那(むすめ)のソレを・・・重ね合わせていた」

フィリップとリインフォースと同じ心境が、二三男とマリアにはあった。

「私は・・・生きている間は、あの御方への忠誠を、手放せないと・・・思っていた。だから三年前、私は・・・自殺しようとし・・・桂木弥子に、情報を託した。・・・しかし、生きてる間に、あのお方に・・・ほんの少しの間・・・・・・反逆できるとは・・・・・・」

二三男は弱弱しく、死の淵への旅立ちを匂わせていく。

「大丈夫・・・貴方は、自分自身の中にある(モノ)に打ち勝った。それは誰にもできることではない・・・誇るべきことだ・・・」

リインフォースは涙ながらに言った。

「だから安心してください。大道克己もシックスも・・・・・・僕たちが止めて見せます・・・・・・」

フィリップもまた然り。

「「ありがとう・・・フィリップ(リインフォース)・・・」」

それが、マリアと二三男の、最期の言葉となった。

「さようなら・・・・・・母さん・・・・・・」
「お休みなさい・・・・・・父様(マイスター)・・・・・・」





*****

その頃、パワーが限界まで充填されたことで、あちことで小爆発が起きている風都タワー。
克己とシックスは、細胞分解酵素の効力を打ち消す為、細胞維持酵素を打ち込んでいた。

「ま、まだだ・・・!エネルギーはもうタワーに充填されている!」
「こうなれば俺たち自らの身体で、街に落す!」
「「そうはいかない!!」」

そこへ大声が聞こえる。
そこには、ドライバーを装着したWコンビとイーヴィルコンビがいた。

「「(貴様)は悪魔だ・・・()が止める!!」」
「笑わせるな。お前らだってそうだろ?」
「寝言は永眠してから言いたまえ」

克己とシックスはロストドライバーとシングルドライバーを装着。

【ETERNAL】
【IMMORTAL】

そして、

「「変身」」

【ETERNAL】
【IMMORTAL】

永遠の名を持つ白い悪魔・仮面ライダーエターナルと、黒い脳細胞を持った不滅の絶対悪・仮面ライダーイモータルへと変身する。

「「()たちは人間を捨てた(越えた)魔物(新種)同士だ!!」」

エターナルローブとイモータルローブを脱ぎ捨て、完全な攻撃態勢となる。

「違う!今なら確信がもてる・・・!」
「私達は悪魔でも新種でもない!」

二人は本心・本音・真実の言葉を、心の底から腹の底から吐き出す。

「なんの痛みも感じない、哀れな君とは違う!」
「そして他者を不幸にすることしか考えられない下郎とも違う!」

エターナルとイモータルの猛攻をよけながら、二人は精一杯己の答えを導き出す。

――ガシッ――

「「この胸には、マリアさん(本城博士)が遺した心がある!」」
「なにぃ・・・!?」
「どこまでも世迷言を・・・!」

胸倉をつかまれながらも、見つけ出した真実は決して折り曲げない。
そこから翔太朗とゼロがイモータルらを蹴り飛ばすと、

「「()は人間で、探偵(魔人戦士)で・・・そして、仮面ライダーだ!!」」

それが、二人が導き見つけ出した、『答え』である。
それを誰にも否定される言われは無い。

「相棒。それをいうなら、”僕たちが”、だろ?」
「単数形ではなく、複数形にしろ」
「あぁ、いくよ皆」
「最後の大勝負だ」

使用可能となった愛用メモリを構えた。

【CYCLONE】
【JOKER】
【MAGICAL】
【LEADER】

「「「「変身!!」」」」

【CYCLONE/JOKER】
【MAGICAL/LEADER】

二人で一人の探偵・仮面ライダーWと、二人で一人の魔人戦士・仮面ライダーイーヴィル。

「『さあ、お前の罪を数えろ!』」
「『さあ、貴様の欲望を差し出せ・・・!』」

指差すことで、その決め台詞は、何時も以上の何かを感じさせた。

「今更数え切れるか!」
「なら貴様らは命を差し出せ!」

激昂するエターナルとイモータル。
二組のキックが交差して互いにそれが決まり、距離がある程度はなれた瞬間に、

【LUNA】
【FLAME】

ルナとフレイムがWとイーヴィルに突っかかってきた。

『克己ちゃんにシックスさん!こいつらはワタシ達に任せて!』
『一足先に行っててくださいな!』
「離せこの野郎!」

そうして、ルナとフレイムがWとイーヴィルを連れて行くと、

「・・・・・・任せた」
「頑張りなさい」

エターナルとイモータルはそういってタワー上部へとかけていく。





*****

そして・・・!

『あんたらの相手はワタシ達よ!』
『火ッ火ッ火!悪いねぇ』
「邪魔しやがって・・・!」
「面倒な連中だ」

――チャリリリリリリリリリリン!!――

などといっていると、向こうから金属的でなにかが転がってくる音がする。

「あーちょっとちょっと!」

すると、奇妙なベルトをした一人の青年が、ソレを追いかけてきた。
青年が追いかけていた”赤い鳥のメダル”は、Wの足元で止まり、Wは拾い上げる。

「なんだこれ?」
「あ、ゴメン・・・それ俺の」
「なんだって?ほれッ」

Wは青年にメダルを投げ返した。

「おいおい、大事なコアメダルを落として転がすってどんだけだよ?」

すると今度は別の男の声。
声がしたほうを見てみると、白髪で黒い着流しに黒いズボンを着て奇妙なベルトを装着した男が歩み寄ってきていた。

「えと・・・貴方は・・・?」

青年は白髪男の素性を聞こうとしたら、

『誰?このイケメンズ?誰このイケメンズ?』

ルナの声に阻まれる。

『貴方方、ここは危険だから早く避難を!』

とリインフォースが当然のことをいうが、

「ありがとう。でも逃げんのはコイツら倒してからかな?」
「同意見だな」

なんていいだす青年と白髪男。
二人はベルトのバックルにある三つの窪みに、三枚のコアメダルを入れると、サイドバックに提げている円盤型のスキャナーを手に持つと同時に、バックルを斜めに傾けた。
そしてスキャナーで三枚のコアメダルを読み取る。

「「変身!」」

言葉とともに、彼らの周囲には幾枚もの円盤(メダル)が舞い踊る。

【TAKA・TORA・BATTA】
【RYU・ONI・TENBA】

恐らく力の起点となるであろう生物の名があげられ、

【TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!】
【RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!】

奇妙で不可思議な歌とともに、円盤(メダル)円形(サークル)となり彼らは変身した。

「いくぜ・・・!」
「推して参る・・・!」

鷹の赤い頭、虎の黄色い腕、飛蝗の緑な脚。
龍の血錆色の頭、鬼の血錆色の腕、天馬の血錆色の脚。
それが彼らの特徴だった。

『貴方達は何者!?』
『正直にいいな!』

ルナは触手、フレイムは火炎弾を放つも、三色の戦士は飛蝗の脚力(バッタレッグ)で触手を弾き、血錆の戦士は腕にある2本の唾無し日本刀・魔刀(マトウ)(コガネ)』で火炎弾を斬り裂く。
そして彼らは自らをこう名乗る。

OOO(オーズ)・・・仮面ライダーオーズ」
「俺は仮面ライダーブライだ」

威風堂々と、当たり前のようにした名乗り。

「『「『仮面ライダー・・・?』」』」

イーヴィルもWも、思わず疑問系に言葉を発してしまう。

『上下三色とは、興味深い』
「幻想種の三冠揃いもなかなか」

フィリップとゼロはそんなことを言っていたが。

『おいおい。メンドくさいのが現れちゃったよ・・・』
『でもイケメンで強いのね!嫌いじゃないわ!』

フレイムとルナはオーズとブライに突貫していく。
しかし身のこなしや戦闘技術は向こうが上らしく、

「ハッ!セイヤァ!」

オーズは自慢の脚力でルナを翻弄し、

七花八裂(しちかはちれつ)!」

高速で打ち込む掌底、『鏡花水月(きょうかすいげつ)
敵を突き刺す貫手、『花鳥風月(かちょうふうげつ)
片膝による蹴りの一撃、『百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
防御力を無効化する鎧通しの拳、『柳緑花紅(りゅうりょくかこう)
開きゆく花弁の如き張り手、『飛花落葉(ひからくよう)
上方から両手による手刀、『錦上添花(きんじょうてんか)
そして斧の如き踵落し、『落花狼藉(らっかろうぜき)

七つの必殺奥義を連続で叩き込んだ。

『げふぁあ!』

フレイムはそれによってかなりのダメージを負う。
しかし、生身で警察の強力ゴム弾を喰らってもどうにかこうにかで立っていられるほどの彼だ。
頑丈さなら常人の部類において最上位にあると自負している。

『イケメンで強い・・・、嫌いじゃないわ!』
『大出火の大サービスだぜ!!』

ルナは触手を伸ばしてオーズを絡めとり、
フレイムも獄炎と呼べるレベルの火炎放射を行う。

『ワタシが、抱きしめてあげる・・・!』
『どうだ燃えるかい?』

それに少し戸惑ったが、オーズもブライもバックルのメダルを換装し、スキャナーで読み取る。

【TAKA・KAMAKIRI・BATTA】
【RYU・MEGALODON・TACHIUO】

オーズは緑の蟷螂の腕をした亜種形態の”タカキリバ”となって触手を切り裂く。

ブライも青い古代鮫(メガロドン)の腕と青い太刀魚の脚をした亜種形態の”リュウメタ”となり、両腕に装備された2本の長槍・水刀(すいとう)(ヤリ)』のうち、一本の穂を飛ばしてフレイムに攻撃して火炎放射を止めさせて、もう一本は投げてフレイムにあてた。

『あぁぁ!切れちゃった!!』
『なんなんだコイツら!?』

オーズはそのままルナをカマキリソードでザシュザシュと切り裂く。

ブライも脚に装備されたブレードの魚刀(ギョトウ)(ホコサキ)』の斬撃を舞を踊るかのようにして浴びせる。さらには先ほど投げた水刀『鑓』ともう一本のそれを合体させて三叉鑓(さんさやり)型にして一突きくらわせた。

「おぉい!行くなら今の内だよ!」
「こんな雑魚、俺たちで十分だな」

【TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!】
【RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!】

オーズとブライはそう言いながら、基本形態の”タトバコンボ”と”リオテコンボ”に戻った。

「誰だかわかんねぇけど、助かったぜ!」
「ではここは任せるとしよう」

そうしてWとイーヴィルは、スタッグフォンとマンティスフォンを操作しながら走り駆けて行く。

『やったわね!』
『おじさんも、好い加減キレちまったよ・・・!』

などという二人に対しオーズは大剣に、ブライは銃の硬貨投入口(メダルインジェクション)に三枚のセルメダルを入れた。そしてメダレバーを作動させて、セルメダルをクリスタルユニットに移行させる。

「ライダーは助け合いでしょ」
「いや、弱肉強食だな」

真っ向から対極のセリフを吐くオーズとブライ。

『両者共々に・・・!』
『仰る通りだわぁぁぁああああぁぁぁぁあああああ!!!!』

フレイムとルナは何の策もなしにこちらへ走って来る。
そんな二体のドーパントにお構いなく、オーズとブライはそれぞれの武器にスキャナーを滑らせる。

【【TRIPLE・SCANNING CHARGE】】

「ありがとよ!」
「感謝する」

Wとイーヴィルが礼を言った直後、

「セイヤァァアア!!」
「ぶちまけろ!!」

――ザンッ!!――
――バンッ!!――

メダジャリバーによるオーズバッシュはルナを空間ごと断裂し、メダマガンによるブライクラッカーはフレイムを空間ごと破砕した。
そして、断裂と破砕された空間だけが元に戻ると、

『克己ちゃん!!』
『燃え尽きたぜ』

ルナとフレイムは爆発した。
そして、京水が塵になっていると、

「がんばれよ!」
「ま、我は通せよ」

ハードタービュラーとイビルホイーラー・フライトモードで空に向うWとイーヴィルに激励を贈っていた。

「火火、火火火・・・・・・逮捕されたくなかったからこっち来たが、どの道貧乏くじかよ・・・」

なんと、まだ意識のある葛西。
そんな葛西に、

「失せろ中年」

とブライが冷たく言い払った。

「・・・そうさせてもらうよ・・・」

葛西はメモリを回収せず、帽子だけ頭にかぶって、フラフラの千鳥足で立ち去っていった。

「・・・あの、貴方は一体?」

そこへオーズがブライの素性を聞いてみる。

「今答える必要は無い。時が来ればまた会う」

とブライは答えた。

「お人好しも程々にしないと、その内自分自身さえも救えないぜ」

と言い残すと、天馬の脚力(テンバレッグ)で其の場を去っていった。

「・・・・・・・・・・・・」

そんなブライの言葉に、オーズは沈黙し、少しばかりそこに佇んでいた。





*****

その頃、

――ピッ――

「ゲームセットまでのカウントなら、俺が数えてやる!」

アクセルトライアルは超高速でトリガーを翻弄し、何発も何十発も何百発もキックを叩き込む。
そして、

【TRIAL・MAXIMUM DRIVE】

「タイムアウトだ」
『うぁぁぁあ!!』

マシンガンスパイクが炸裂し、トリガーは賢に戻るとT2トリガーメモリを残して消滅した。

「ヴィヴィオ、ツインマキシマムだ」
「わかった!」

――ガシャン!ガシャン!ガシャン!――

【VENOM・MAXIMUM DRIVE】
【SANCTUARY・MAXIMUM DRIVE】

「「ライダー!ツインマキシマム!!」」

ネイルベノムのジャッジメントシザースと、ホッパーサンクチュアリのセイントフィールド。
2大必殺キックが見事に決まり、

「今この瞬間、お前の死が訪れる」
「安らかな闇に眠って」

ネイルとホッパーが決め台詞を述べた。
そして・・・・・・

『やっぱり・・・強いのって疲れるね・・・』

ユグドラシルはそう言い遺し、ヴァイジャヤ・・・・・・いや”チー坊”に戻って消滅した。

そしてゾディアックVSアクアでは・・・!

「魔界777ッ能力・・・激痛の翼(イビルトーチャラー)

それはDRを恐怖と絶望のどん底に陥れた魔界能力。

――ビュンビュン!!――

一対目の翼が敵の動きを封じて、

――メキメキメキ・・・!――

二対目の翼が体内に侵入し、

――グチャグチャグチャグチャ(バサバサバサバサバサ)!!――

『んぎゃあああああああああああああああ!!!!』

体内で羽ばたきまくって肉をミンチにしていった。
そして、

拷問楽器「妖揺・魔」(イビルストリンガー)

作者のお気に入りのあの能力が登場する。

――ギコギコギコギコ!!ギィィイイイィィィイイイイ!!――

『ンギャうぇああああああああああああああああああああ!!!!!!』

痛覚を弦代わりに弾かれて激痛の極致に苛まれる。
ちなみに激痛の翼(イビルトーチャラー)の三対目の翼でアクアの”更に縛り上げている”ので逃げることなど到底不可能。こんな状態では特殊能力も満足に使えない。

【ZODIAC・MAXIMUM DRIVE】

ゾディアックは自らのメモリをマキシマムスロットにインサート。
手刀を構えて弱りに弱ったダニに止めを刺す。

「ゾディアックチョップ」

――ザシュンッ!――

手刀には似つかわしくない音を立ててアクアは切り裂かれ、

『――――――――――』

悲鳴もあげられずに爆発し、メモリを遺して消滅した。





*****

ミッドチルダのクラナガン。
シックスと克己が流した絶望的放送によって市民が恐怖のどん底に陥っていると、

「お、おい!見ろよあれ!」
「なんだよあの光ってる風車みたいなタワー?」

街中のテレビというテレビに、風都タワーの様子が映し出された。
少しすると、エターナルとイモータルの姿も映る。

「あ、あいつらとうとう・・・!!」
「もうお終いだぁぁ!」

その時、

【CYCLONE/METAL】
【MAGICAL/KNIGHT】






*****

風都タワー上部。
そこにイモータルとエターナルはいた。

「さぁ・・・!地獄を楽しみな・・・!!」
「さあ・・・!苦痛を味わいなさい・・・!!」

と決め台詞を吐いていると、

【CYLONE/METAL】
【MAGICAL/KNIGHT】

風の闘士(サイクロンメタル)魔法の騎士(マジカルナイト)が空より飛んできた。
そして機体から飛び降りて、最終決戦が始まる。

エターナルとイモータルはそれを上手く避けたが、想定内の動きだったので、二人のライダーは慌てずにメモリチェンジする。

【LUNA/METAL】
【TRICK/KNIGHT】

幻想の闘士(ルナメタル)奇術の騎士(トリックナイト)にハーフチェンジして、伸縮自在な鞭状となった鋼鉄の棍棒(メタルシャフト)騎士の薙刀(ナイトグレイブ)を振り回し、後方へ距離をとった敵を強打する。

そこへさらに、

【HEAT/METAL】
【SONIC/KNIGHT】

熱き闘士(ヒートメタル)音速の騎士(ソニックナイト)にハーフチェンジすると、高温のシャフトを叩きつけ、高速の刃先を連続で繰り出した。

そこから追撃する。

【HEAT/JOKER】
【SONIC/LEADER】

熱き切札(ヒートジョーカー)音速の統率者(ソニックリーダー)にハーフチェンジ。
高温の拳と蹴りを叩き込み、高速連続パンチとキックを幾度も食らわせる。

上空へと逃れるエターナルとイモータルに、

【LUNA/JOKER】
【TRICK/LEADER】

幻想の切札(ルナジョーカー)奇術の統率者(トリックリーダー)にハーフチェンジ。

「どんどん行くぜ!」
「逃しはせん!!」

右腕を伸ばすと、その腕はイモータルとエターナルの足をガシっとつかむ。

「「うおッ」」

バランスが崩れて落ちて来ると、素早く腕を戻してメモリチェンジ。

【LUNA/TRIGGER】
【TRICK/BLASTER】

幻想の銃撃手(ルナトリガー)奇術の砲撃手(トリックブラスター)にハーフチェンジし、思い切りジャンプする。

――バンバンッ!――

銃撃手の鉄砲(トリガーマグナム)砲撃手の大砲(ブラスターキャノン)から発射されたエネルギーバレットは変幻自在な軌道を描きながら分身し、敵二人の近辺に集中砲火される。

【CYCLONE/TRIGGER】
【MAGICAL/BLASTER】

風の銃撃手(サイクロントリガー)魔法の砲撃手(マジカルブラスター)にハーフチェンジ。

――バンバンバンバンッ!!――

何発も連射される弾丸。

「「うぁぁあああぁぁぁああああ!!!」」

エターナルとイモータルは、エターナルエッジの斬撃とイモータルマグナムの銃撃で、弾丸を脇道に逸らさせながら爆進していき、Wとイーヴィルにまで辿り付く。
ほんの少しの間だけ近接戦闘となったが、二組からすればそんなものを長々とやるきは毛頭ないので、素早く後方へと高くジャンプ。その跳躍中に・・・・・・。

【HEAT/TRIGGER】
【SONIC/BLASTER】

熱き銃撃手(ヒートトリガー)音速の砲撃手(ソニックブラスター)にハーフチェンジ。
両手で愛用の銃をしっかり握り、敵を引き付けてから、引き金を引いた。

――バンッ!!――
――バババババンッ!――

「「うぅああああああああ!!」」

高温火炎弾がエターナルに、高速で何発も発射された弾丸は見事に敵を吹っ飛ばした。

【CYCLONE/JOKER】
【MAGICAL/WISEMAN】

風の切札(サイクロンジョーカー)魔法の賢者(マジカルワイズマン)へとチェンジする。

『エクストリームで勝負だ』
『こちらもエクセリオンで決めるぞ』

エクストリームメモリがフィリップの、エクセリオンメモリVer.Xがリインフォースの肉体を回収し、Wとイーヴィル達のドライバーに合体した。

【XTREME】
【XCELION】

セントラルパーテーションから光が一気に漏れ出し、二人のライダーはソレに手をかけてこじ開けると、全身を眩い光とデータが包み上げ、CJXとMWXへと強化変身させる。

PRISM(プリズムの記憶)
NEXUS(絆の記憶)

プリズムビッカーとネクサスブレイブを取り出して抜刀する。

「させるか!」
「奥の手だ」

【ZONE】
【PSYCHO】

メモリを起動し、マキシマムスロットにインサート。

ZONE(地帯の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
PSYCHO(精神の記憶)・MAXIMUM DRIVE】

マキシマムが発動したことで、T2ガイアメモリとアナザーT2が集まってくる。

「「うぅぅおおおおおおおお!!」」

そしてその全てが、エターナルとイモータルのコンバットベルトに設けられたマキシマムスロットにインサートされていった。



ACCEL(加速の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
BIRD(鳥の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
CYCLONE(風の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
DUMMY(偽者の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
FANG(牙の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
GENE(遺伝子の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
HEAT(熱き記憶)・MAXIMUM DRIVE】
ICEAGE(氷河期の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
JOKER(切札の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
KEY(鍵の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
LUNA(幻想の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
METAL(闘士の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
NASCA(ナスカ文明の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
OCEAN(大洋の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
PUPPETEER(人形遣いの記憶)・MAXIMUM DRIVE】
QUEEN(女王の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
ROCKET(ロケットの記憶)・MAXIMUM DRIVE】
SKULL(骸骨の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
TRIGGER(銃撃手の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
UNICORN(一角獣の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
VIOLENCE(暴力の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
WEATHER(気象の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
XTREME(極限の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
YESTERDAY(昨日の記憶)・MAXIMUM DRIVE】


AQUA(水流の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
BLASTER(砲撃手の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
CHARM(魅惑の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
DARKNESS(暗黒の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
ELEMENTAL(元素の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
FLAME(火炎の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
GROUND(地面の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
HOPPER(飛蝗の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
JOINT(接続の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
KNIGHT(騎士の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
LEADER(統率者の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
MAGICAL(魔法の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
NAIL(爪と刃の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
OMEGA(終末の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
QUETZALCOATLUS(ケツァルコアトルス)・MAXIMUM DRIVE】
ROGUE(無頼漢の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
SONIC(音速の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
TRICK(奇術の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
ULTIMATE(究極の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
VANITY(虚無の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
WISEMAN(賢者の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
XCELION(極致の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
YGGDRASIL(世界樹の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
ZODIAC(十二宮の記憶)・MAXIMUM DRIVE】



26×2のT2メモリ達が一斉に声を発した。
まるで死と悪の交響曲のようにだ・・・・・・!
エターナルとイモータルはそこへさらに、ドライバーのスロットから自らのメモリを取り出して己が武器のスロットにインサートした。

ETERNAL(永遠の記憶)・MAXIMUM DRIVE】
IMMORTAL(不滅の記憶)・MAXIMUM DRIVE】

マキシマムの発動で眼が不気味に輝く悪のダブルライダーは、風都タワーの最上部・風車と同位置にまでジャンプした。

「メモリの数が違う・・・!終わりだぁ!!」
「滅びなさい!!」

風車部分に集まっていたウェーブを自らの身体に取り込み、エターナルオーラとイモータルオーラとして纏う。

「ブラッディヘルブレイド!!」
「ブレインデビルガン!!」

悪のダブルライダーが発動した最強の斬撃は風都タワーの風車を切り落とし、最悪の銃撃はWとイーヴィルの足場を蜂の巣へと変えた。

「「「「ウアアあぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあああああ!!!!」」」」

正義のダブルライダーは足場を失い、巨大な風車と共に地上へと落下していく。

それを遠くから見守っていた風都の皆は、


「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」


亜樹子と御霊の叫び声をきっかけに次々とこの街の希望の名を呼び始めた。


「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「頑張って仮面ライダー!!」
「頑張れ仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」


街中の到る所で人々の声援は衰えを知らずに増していく。





*****

ミッドチルダのクラナガン。
ここでも、


「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「勝つんだ仮面ライダー!!」
「勝ってくれ仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!」


街の人々の声援が巻き起こっていた。
そして管理局内の地上と本局でも、


「「仮面ライダー!!」」
「「仮面ライダー!!」」
「「仮面ライダー!!」」
「「仮面ライダー!!」」
「「仮面ライダー!!」」
「「仮面ライダー!!」」
「頑張ってゼロさん!!」
「気張るんや翔太朗さん!!」
「頑張ってリインフォース!!」


なのは、はやて、フェイトも一緒になってモニターに映っていた戦いの光景にただただ声援をおくった。
その声援に熱中して夢中になっていて誰一人として気づいていなかった。
クラナガンの上空に巨大な魔方陣が描かれていることなど。





*****

再び風都。
亜樹子と御霊は両手をくみ、神々に祈りを捧げるかのように呟いた。

「・・・負けないで・・・仮面ライダー」
「皆が、貴方達の勝利を待ってるのよ・・・」


その瞬間、街に変化が起こった。
始めこそはいつもと変わり映えがなかったが、それは少しずつ、そして段々と大きく変わっていく。
街中の風車という風車が全て、突然街に吹き荒び始めた大きくて強い風に激しい回転を始めたのだ。

そして、ミッド上空に描かれたモノと同じ魔方陣が風都上空に現れ、そこからは薄く光る何かが凄まじい勢いで流れ込んできている。

そして、その全ては仮面ライダーという名の街の希望へと!


「みんな!風だ・・・風都の風が・・・!!」
「それだけじゃない!次元を越えて・・・!」
「ミッドチルダの希望と祈りが・・・!」
「僕たちに、力を!」


Wとイーヴィルが両手を大きく広げると、二つの街の風がエクスタイフーンとエクスハリケーンが、その風を吸収して回転を始めた。まるで風車のように回る二つの紋章は輝かしい光を放ち、彼らに新たなる進化を与えた。

Wは中央部分が黄金へと変色し、背中からは風車を模した三対の大翅が生えた姿となり。
イーヴィルは中央部分が虹色に変色し、背中からは邪龍の如き漆黒の骨に張られた白銀の飛膜による大翼が三対、頭部には虹色水晶でつくられたような刃の如き鋭い一本角が生えた形態となっている。

これこそがデュアル(レイズ)の遺した言葉の意味。
”人々の希望と祈りが黄金と虹色の光を齎す”
正しくこの時のことだ。

W・サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム!
イーヴィル・マジカルワイズマンレインボーエクセリオン!



「「「「うぉぉおおおおおおおおおお!!!!」」」」

背中の三対の大翅と大翼で大空を飛翔し、ただひたすらに上を目指す。

「なんだと!?」
「小賢しいマネを!」

それに対し、エターナルとイモータルは、身体に纏っていたオーラを全て攻撃エネルギーに転換して

「ネバーエンディングヘル!!」
「トライブデスデビル!!」

巨大な一個のエネルギーの塊として打ち(撃ち)だしたのだ!

しかし、Wもイーヴィルは華麗に降り注ぐ瓦礫を避けながら飛行し、さらには落下途中の巨大風車をも踏み台にしてジャンプすることでより勢いのある飛翔を行う。
そしてそれぞれにある三対の大翅と大翼は主人を包み込むかのように伸び、Wとイーヴィルはそこで構えて、

【XTREME・MAXIMUM DRIVE】
【XCELION・MAXIMUM DRIVE】

一気に両足を突き出した。

「「ダブルゴールドエクストリーム!!」」
「「イビルレインボーエクセリオン!!」」

2大ヒーローの超絶必殺キックはネバーエンディングヘルとトライブデスデビルのエネルギーと正面衝突した。しかし威力は完全にこちらの圧勝で、身体に捻りを加えながら進むことで、エネルギーの塊は霧の如く散った。

そして一直線に爆進して・・・!

「「「「喰らえぇぇ!!」」」」

ゴールデンエクストリーム。
イビルレインボーエクセリオン。
この二つが見事にスーパークリティカルヒットした。

悪のダブルライダーは武器(エモノ)を攻撃の衝撃の際に手放してしまう。
だが、エターナルは・・・・・・。

「これは・・・・・・そうか・・・これが・・・」
「そう、それが死だ。大道克己・・・」
「久しぶりだな・・・死ぬのは・・・・・・フハハハハハハ!フハハハゥアアアアアアア!!」

何かを悟り、満足げな笑いを散らしながら爆炎へと消え逝った。
それにより、当然のことながら、50本のT2メモリはブレイクされる。
そして爆炎からは、W・CJGXとイーヴィル・MWRXが輝かしい勇姿を現しながら飛翔した。



それを見た風都とミッドの市民達は皆、例外なく歓喜の声ををあげていた。
誰一人として笑顔で盛り上がる中、彼女は――園咲冴子は信じられないものを目撃したように呟く。

「仮面ライダーが、街を救った・・・」

と・・・。

そして、皆の心の高まりが静まり始めると、Wは人々の前にその勇姿をみせながら着地し、元のCJXに戻ってこういった。

「終わったぜ」





*****

園咲家。

「街に救われたな、仮面ライダー・・・」

そういって席を立った琉兵衛。

「・・・・・・・・・・・・」

なぜか納得しない表情の若菜。

「あ、局長?・・・・・・はい、大丈夫です。だから増援や機体のほうは・・・・・・はい、わかりました」

二人の見えないところでなんか怪しい電話をする大地。





*****

風都タワー中層部。
そこには、さっきから一言も言わなかった二人のライダーがいた。
一人は大きなダメージをおって最早戦闘不能だが、もう一方は前より進化している。

言わずともわかるだろうが、イーヴィルとイモータルだ。

「相棒、ここからは私一人でやる」
「・・・・・・大丈夫か?」
「案ずるな。私を誰だと思っている?魔界の『欲望』を食い尽くした男だぞ」
「あぁ・・・そうだったな」

この時リインフォースは、意地でも変身を解くんじゃなかったと後悔することになる。
なぜならそれが、後々の――暫しの別れへと繋がるのだから。

イーヴィル・MWRXはエクセリオンメモリを閉じて変身を解いた。

「では先に言ってるぞゼロ」
「あぁ」

そしてリインフォースは仲間のもとへと転移した。

「漸く二人きりになれたな、シックス」
「こ・・・この、化物・・・どもが・・・」
「フン、貴様にそれを言われたらお終いだな」

ゼロはさっきの爆炎のなかから密かに握り締めていた一本をだす。

「コイツといい貴様といい、悪運の強い」

回収していたのはT2エクセリオンメモリ。
今ブレイクされていないT2は、このメモリとイモータルメモリのみだ。

「ではシックスよ。こんな重症のところ悪いが、貴様にはたっぷりとお仕置きを施す」

悪いとは全然思っていない、寧ろ当然だといった口調だ。
そしてパチっという指を鳴らす音。

「街の連中に視られては都合が悪いのでな、多少ながら不可視(ステルス)作用を施す」

”もっとも、貴様と私は例外だがな”とゼロが付け足す。
そしてイモータルは視た。
自分を取り囲む三匹の巨大な古代魚を。

「魔帝7ッ兵器・・・深海の蒸発(アビルアクア)!三連弾!」

――ズゥドォォォオオオオオン!!!――

「グゥあああああああああああ!!!!」
「まだまだいくぞ」

――バリン、バリン――

ゼロは髪飾り=泥の指輪(イビルディバーシー)を噛み砕いて魔力を一気に補充。

「魔帝7ッ兵器・・・朽ちる世界樹(イビルツリー)!!」

――ベキベキベキベキ!!――

今度は空中から奇怪な魔方陣がイモータルを挟み込むように出現すると、そこからは巨大な大木が猛スピードで生えてきて、イモータルに直撃した。

「うぇああああああああああああああああ!!!!」
「お次はこいつだ」

魔界電池を噛み砕く。

――バリン、バリン――

「魔帝7ッ兵器・・・飛んで火に入る虫(イビルファイアー)

――チュドォォォオオォォォォン!!――

「ンガああああああああああああ!!!!」

亜音速以上で飛行する昆虫型兵器の体当たりにイモータルの装甲はもうズタズタのボロボロである。

「シックスよ、光栄に思え。我が魔帝兵器の猛攻の前に死ねることをな。・・・とはいっても、こんな過激な拷問方法を相棒に見せるのは酷と思い、ここまで無駄に魔力を浪費している私のほうが、この自らの心意気を誇りに思うべきか・・・・・・」

と、ゼロがブツブツと言い出した。
すると、

(フフフフフ・・・!精々いきがっていろ魔人(バケモノ)!まだ私には隠し手がある、本当の隠し手が・・・!)

イモータルは両掌に、体内に隠してあった爆薬を集中させる。
未だかろうじて立てている身体に鞭を打って、走り出す。

「私の脳を彩りなさいゼロ!!」

”その断末魔の悲鳴で!”と続けるつもりだったが、そうは行かなかった。

――ピッ、ピッ、ピッ――

奇妙な小さき音がした瞬間、イモータルの身体は細切れとなり生首だけとなった。
そしてその生首についている一本角を、ゼロは掴んだ。

ゼロの指先にはコレがあった。
かつてネウロがシックスに勝利するにあたって発動した最強の兵器。

「魔帝7ッ兵器・・・二次元の刃(イビルメタル)

斬るという過程を無視して斬ったという結果だけをつくりだす剣。
魔界王でも防げない魔界最強にして絶対無敵の一振り。

「キ・・・サマァ・・・ッ」
「ほほぅ、生首だけになっても喋るとは、流石にしぶとい」

イモータルの呪詛じみた声に、ゼロは半分以上聞き流した。

――バリン、バリン、バリン、バリン――

そして、十個あった魔界電池は全て消えた。

「シックスよ、貴様敗因は三年前となにも変わらん。それは、人間の力を侮った事だ。かつての警察連中がそうであったように、この街の人間達の秘める可能性の力に、貴様は敗れ果てたのだ。貴様の悪意は実に強大で、上手くいけば『究極の欲望』をつくれるやもしれん程に凄まじい」

ゼロはそこで一旦言葉を切った。

「だが貴様は負けた、一番見下していた人間の力でな。所詮貴様の悪意など、人間どもの可能性という力には及ばなかったのだ。私たち魔人は人間を完全に別種として客観的にみることはできた。しかし貴様等は人間から少し進化しただけで、完全な別種ではなかった。近すぎるが故に見えることも感じる事もできなかったのだよシックス」

もう一度言葉を一旦切る。
そして、イモータルの生首を床において思い切り踏みつけた。

「貴様には一瞬の死など甘ったるい。ジワジワと絶望と苦痛を味わいながら死んで逝くのがお似合いだ」
「く、くぅぅ・・・!」

――ミシミシミシミシ・・・!!――

イモータルの仮面にはどんどん罅が入っていく。

「さらばだ、一世代限りの新種よ」
「ぜ・・・ゼ――グチャァァァアアアァァァン!!――」

辺り一面には、血溜りができていた。
骨の破片に二つの目玉に、表現してはいけないものが入り混じった・・・・・・そんな血溜りが。

こうして、AtoZ事件は幕を下ろした。





*****

とある次元世界、時間帯は夕方。
そこで大魔導師のプレシア・テスタロッサは、とある銀髪の少年とあっていた。

「どうもありがとう。お陰で助かったわ」
「別に。俺を生き返らせた恩返しさ。・・・まあこれで、死ぬ前に漸く見つけた”俺自身”を楽しめるからね」

ダボついたシャツをきた銀髪の少年。
その名は怪物強盗Xi・・・・・・通称怪盗X!

「一つ訊いてもいいかしら?なんで協力してくれたのかしら?さっきの恩返しとかじゃないでしょ?」
「・・・・・・なーに、俺はただ、相棒を失った腑抜けの目を覚まさせてやりたかっただけさ。だから折角メモリを盗んでドライバーも盗んだんだぜ?もっと褒めてくれよ」
「そうね、ありがとう」

プレシアは微笑みながら感謝した。

「ところで、これからどうやって生きていくつもり?」
「そんなの決まってんじゃん」

Xは気軽な口調でこう告げる。

「本腰入れた怪盗生活(ライフ)さ」





*****

ところ戻って風都。
時間帯は夜で、花火大会が実施されていた。
翔太朗たちがそれを満喫している頃、こっちでは・・・・・・。

「・・・おじさん・・・」

全てが終わった後だが、この街のシンボルの前に来ていた桂木弥子。
その手には花束があり、弥子はそれをタワーの前に捧げた。

「ねぇ、ネウロ」
「なんだ、ザ・ナメクジ?」

その隣にはネウロがいた。

「おじさんは、これで良かったのかな?」
「無論だ。ゼロの話を聞く限りはな」

ネウロは何時ものように他人行儀に話す。

「しかし、あの男・・・本城は自らの力で一歩前進して、進化したことだけは確かだ。奴にとって、最期にして最大の進化を」
「・・・・・・そうだね」

弥子は頷き、夜空をみて花火をみた。

「おじさん。私たち、これからも頑張るよ」



一方管理局から急いで飛んできたなのは達は、

「ディアン!」
「フェイト!」

まずこの夫婦がハグをして再会を喜び合う。

「みんな無事だった!?」
「うん、大丈夫だよ!」
「でも、風都タワーが・・・・・・」
「気にしないで。みんなの力でまた立ち上がらせてあげればいいんだから」

なのはの言葉に、ヴィヴィオは自信を持って答えた。

「えぇ!?御霊さん、その話ホンマかいな!?」
「テレビでも言ってたから多分・・・・・・あ、でも風都タワーがあれじゃダメか・・・・・・」
「うぅぅ・・・!せっかく翔太朗さんと良い思い出つくるチャンスやったのにぃ!」

はやてははやてで、御霊から訊いた恋のジンクスについて、熱中したりガッカリしたりだ。

そして、ゼロとリインフォースは。

「中々の花火ではないか」
「えぇ。この街の活気そのものだ」

ゼロは暗紫色の浴衣で、リインフォースは漆黒に銀の線が描かれた浴衣だ。

「ゼロ・・・・・・あの、今回は、すまなかったな」
「全くだ。これからはもっと精進しろ」

――ギュゥゥゥゥ・・・!!――

「イタタタタタ!わかったわかった!わかったから放してくれ!」

思い切り頬を抓られるリインフォース。
ゼロもそれに答えたか、手を放した。

「イテテ・・・・・・」
「相棒」
「ん、なんだゼロ?」
「これからもよろしく頼むぞ」
「ッ・・・えぇ、ずっと」

そうして二人は身を寄せ合った。



この街は痛手を負った。
しかしゼロは、人間の強さ、仲間の強さ、そして相棒の強さを知っている。
人間の脳は一度か二度折られてこそ真価をみせる。
強い決意によって折れた心を繋ぎ合わせ、悪い箇所を修正し、不完全な部分を補い、以前よりもっと洗練された存在へと進化していく。

何度へし折られても立ち上がる、それが人間の『欲望(つよさ)』なのだから。





仮面ライダーイーヴィル INFINITY・Twin AtoZ/運命のガイアメモリ
完結

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