仮面ライダーブライ!
前回の三つの出来事!


一つ!オカマサイボーグ神威に、小金井とカッパヤミーが勝利!
二つ!シルフィードがバットと吹雪を増援に決定する!
三つ!七実は強大な力にて、敵を完全に撃破した!

選択と影と増援


鋼刃介・花菱烈火・石島土門・佐古下柳=パー組の四人はというと、牙王を余裕で倒して先に進んでいた。現在は幾つモノ鍾乳石と石筍が天井と地面を繋いているかのような場所にいる。

ブライはそこに来た際、懐からバッタカンドロイドを取り出す。

「さて、七実たちはどうしてるかな?」

プルトップスターターを開けて、カンモードから飛蝗型のメカモードにチェンジさせる。

「七実、そっちの調子はどうだ?」
『ああ、刃介さん』

バッタカンドロイドを通して、七実の声が聞こえる。

『今のところ、敵の妨害にあって三手に分かれさせられました』
「なに・・・?」
『御心配なさらず。すぐに合流して、そちらとも一緒になります』
「・・・・・・わかった。お前がそういうなら信じよう」
『ありがとうございます。では、また何かあったらこっちから連絡します』

バッタカンドロイドはカンモードに戻った。

「どうしたんだ鋼?」
「七実さんから連絡ですか?」

烈火と柳が聞いて来た。

「・・・先を急ごう」
「お、おい待てよ!」

小走りで進行しようとする刃介に土門が止めようとすると

「あれ?」

柳が何かを見つけた。
ブライもそれに反応し、足を止めた。

「張り紙?」
「なんだ?」

四人の誰かが必ず見つけられる場所に張られたそれには、こう書いてあった。

”死に向う男と女 助けるならどちらか”

「・・・・・・・・・なんだこりゃ?」

烈火が首をひねっていると、ブライは後方に跳躍して、

「お前ら、そこ危険だぞ」

それを告げた瞬間に、烈火と柳と土門がいた足場が崩れた。

「なっ・・・なんだぁあ!!?」
「きゃあああああ!!」
「うわあああああ!!」
「だから危険だと言ったんだ」

そして・・・!





*****

一方その頃風子は

――カシャ・・・――

誰かに遠方から無断撮影の対象となっていた。

――カシャ、カシャ――

「キヒヒ・・・」

不気味な笑い声。

「たまんねぇ体してんなぁ・・・・・・あの乳・・・・・・ケツ・・・・・・もう誰かに触られちまってるのかねぇ」

インスタントカメラで撮影した写真を手に取る者。

「関係ねぇか・・・もうすぐ・・・俺だけのものになる。キヒヒヒヒヒヒヒ「盗撮は犯罪ですよ変質者」だ、誰だ!?」

いきなり声をかけられ、盗撮魔は後ろを振り返った。
そこにいたのは、女物のビジネススーツを着こなしたダークブルーの頭髪をした麗人だった。

そしてもう一人、

「あーあー眼つぶっちゃってる!お前写真撮るの下手だねぇ」
「!!? ふ、風子!?」

霧沢風子本人。

「ところでさ、あんた誰?」
「トライブ財閥会長秘書のバット・ダークです」

風子に問われ、バットは素直に名を名乗った。

「会長からの命令により、貴方方火影の助力となりに来ました」
「ふーん。鋼といい七実ちゃんといい・・・ここんとこ最近、妙な連中が助っ人してくるねぇ」

風子はこれといって疑う様子もなく、バットを信じた。

「あ、そうそう。そこの変質者。あんた好い加減目障りだからさ・・・命令、”三秒で消えろ”!じゃなきゃボコボコ」

そして視線を双角斎にむけて言ったのだ。

「気の強い女だ。そっちの仕事人風なのはよく知らんがまあ良い。俺は気の強い女をなぁ・・・ジワジワジワジワと、泣かせていく過程が大好きでね・・・”断る”」

「上等!!」
「参ります」





*****

そして烈火たちはというと、

「おーい、大丈夫か?」
「これが大丈夫に見えるなら眼科いけ!」

烈火が土門の手を握り、土門が柳の手を握ることで、三人は奈落の底へ沈まずに済んでいる。
だが、誰とも触れずにただからかうようなことをいうブライに、烈火は苛立って叫んだ。

「まぁ待ってろ。今すぐ引き上げるからよ」

ブライはいま牙王を倒した状態=バマーイコンボのままだ。
人間二人分を持ち上げるのに苦労など皆無。

地面に這いつくばって仲間を支える烈火の腕の先に手を伸ばして何とかしようとしたとき、

――ヒュンヒュン!――
――ザクッ!――
――カキンッ――

「なんだ?」
「あでででで!!」
「花菱!大丈夫か!?」

どこからか苦無が投げられて、烈火の肩に突き刺さる。
しかしブライには一切の効果もない。

「構うな。このまま引き上げる」

そういってブライはバシュッ!という音を立てて両腕のチェインハンドを飛ばし、力任せに土門の頭と柳の腕を掴んで引っ張り上げた。

(チッ!あの仮面・・・あんなこともできるのかよ!)

影でそれを見ていた苦無の投擲手はブライに悪態をつく。

「さて、絶好のポジションで震える仔鼠には」

≪RYU・ONI・TENBA≫
≪RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!≫

「たっぷりとお仕置きといくかな」

リオテコンボとなったブライは両の拳を鳴らしながら口に出す。

「あぁそうだな。面出せボケナス!ナメたマネした御礼返しといこうじゃねぇか!」

すると、

「くっくっ・・・くっくっく・・・」

暗闇から聞こえる不愉快な笑い。

――ヒュッ!ーー
――カッ!――

そして地面に突き刺さる苦無つきの紙。

「読みな・・・花菱烈火」
「なんでぇ一体!言いたいことがあんなら口で・・・・・・・・・!?」

声に言われる通り、一応は紙に書かれた内容を読んだ。

「ど・・・どうしたの烈火くん?」


――ビリビリビリビリ!!――


烈火は凄まじい勢いで紙を破りまくり、柳をビクっとさせた。

「クソくだらねぇこと書いてんじゃねぇよ!面出せよてめぇ!勝負してやるよ!」
「・・・断る。君の力を私は甘く見ていない」

謎かけ人は間を開けて答えた。

「あの紅麗を倒した男と、グリードに匹敵するであろう戦士に正面から戦おうなどとは馬鹿げている。間接的に攻撃させてもらおう。それも花菱烈火が一番嫌がるやり方でな」
「根性のねえ野郎だな!!ならこっちから探してやらぁ!」

走り出す烈火、その時だ。

――カチッ――
――ボム!!――

烈火の足元が爆発した。もちろん避けたが。

「地雷を仕掛けるとは、随分とまあ用意周到なことで」
「君達相手にこのくらいでやり過ぎということはないだろう?」

謎かけ人は再び苦無つきの紙を、柳の足元に投げた。

烈火君に見せても破かれてしまうからな。彼女に見てもらおう」

「見るな、姫!」

といわれつつも柳は読み上げる。

「父と仲間と姫君・・・助けるならどちらか・・・?」
「トンマなこと言ってんじゃねーよターコ!俺の親父がこんなトコにいるかよ!」
「そうだぜ!花菱の親父さんは、今頃家でまったりだ!」

烈火と土門がそういってると、『声』と記された魔道具の核が放り投げられた。

『てやんでぇ馬鹿野郎がっ!!!なんなんだぁこん畜生!!?』
「こ・・・この声は・・・」

それは十数年間も常に聞き続けた声。

文丸(ふみまる)様・・・こちら地上!花菱邸付近です。ターゲット「花菱茂男」捕獲に成功!いつでも殺せます』
『なんのつもりだてめ、固羅!!あぶねぇ!卑怯者!ロープほどてめぇ!!』
「オ・・・親父・・・」

余りにお決まりで緊張感をぶち壊す展開と声音。
烈火もそれに対して呆れを通り越して地面に突っ伏している。

「いかがかな?君の父は我々の手の中にある。助けたくとも遠く離れた地上、為す術もあるまい。どちらかは殺す。言っておくが”どちらも嫌”だった場合は両方殺す」

文丸は陰にて語る。

「父と仲間と姫君、どちらを選ぶ?」
「お前バカだろ?」
「は?」

突然のブライの声に文丸は間抜けな声を出す。

「俺は花菱と出会ってまだ日は浅いし、茂男とかいうオッサンとは知り合いでもなんでもない赤の他人だ。要するにだ――――」

ブライは一瞬でその場を離れ、文丸のいる場所に出向いた。

「な、なんでここが!?」
「俺には人質など意味を成さない」

――バギボギッッ!!――

「ぐぎゃああああああ!!」

薄汚れた忍び装束を着込み、髭を生やし、眼帯をしていて、頭頂部にまで禿げ上がった落ち武者みたいな頭をした中年。それが文丸だった。

「こ、この野郎!俺に手を出した以上、花菱茂男には死んでもらうぞ!」
「だからお前はバカだっつってんだよ。花菱家に今いるのはそのオッサンだけなわけないだろ」

そう、ブライは知っていた。
七実から聞いた際における烈火の家族構成を。
そして連れて来ればある程度は戦力になったであろう不死のくの一のことを。

『な、なんだお前・・・うわっ――ボコッ!――ぐぁあ!!』
「ど、どうした?なにが・・・!?」

魔導具の核から聞こえてくる部下の声に、文丸は不安を覚え始める。

『バカな子。私の存在を知らなかったの?』

烈火の実母、陽炎の声。

『助かったぜ陽炎さん!あ〜〜〜自由って素晴らしい!』

この様子だとロープも解かれたらしい。

「アホンダラ殺せ!!さもなきゃてめぇが殺されるぞ!!」
『うっ・・・うわあぁあぁあああ!!』

文丸の言葉に反応し、部下が茂男を殺そうとするも

『固羅、小僧!俺を誰だと思ってやがる』

そこからは、

(ムン)!!』

――ドゴゴゴゴ!!――

何かの炸裂音が聞こえてきた。

『ガハハハハ!油断しなきゃあこんなもんよ!烈火(あいつ)に・・・火薬(コレ)教えたのは俺様だからな!まだまだ腕は衰えとらん!』

どうやら手に持った火薬玉を投げつけて撃破したようだ。

『花菱茂男を殺したかったら、戦車でも持って来い!!がはははははははははは!!!』
「・・・・・・・・・」

もはや二の句が告げていられない文丸。

――ポンポン――

そんな彼に仮面の死神が呟いて見せた。

「遺言くらいは聞くぞ。聞くだけだがな」

なんか烈火たちはこんなブライを見てこう思った。

(((あれ?どっちが悪党?)))

「ま、まだだ!まだ終わっちゃ居ないぞ!」

そういうと文丸は懐から玉のついた針を複数本取り出し、烈火たちやブライの影に投げさした。

「こいつは影縫(かげぬい)!これに影を縫い刺されちまったら誰かが影から抜いてくれるまで動けないぞ!!これで一気に形勢ぎゃ「無駄な足掻きだな」

そう、影・・・・・・それは今のブライ・リオテコンボにとっては専売特許といってよかった。

「黒影操作」

固有能力名が語られた途端、ブライの影は形を歪めた。
そして、ブライの影は彼の直下にまで縮み、影縫の針から逃れた。

「こ、こんな・・・ば、バカなことが!!?」
「現実を受け入れろよ落ち武者モドキor忍者モドキ」

ブライの拳が文丸の顔面に飛ばされた。

「ぶがあああああッッ!!」
「きゃあぁあッ!」

しかし文丸の飛ばされた方向には柳がいて、文丸が吹っ飛ばされた勢いで柳まで吹っ飛ばされてしまう。
文丸はこれを好奇に思った。

「選択だ!!来たらこの女を殺す!!俺を見逃してくれたら、この女は助けてやる!!どうだ!?」

小太刀で柳の首を狙いつつ、なんともまあお約束の小悪党な台詞がでてきた。

「はぁ、ホントに哀れな奴だぜ。花菱、あいつのトドメはお前がさせ」

――パチンッ!――

ブライは指を鳴らして烈火の影を変形させた。
自由になった烈火は黙って文丸のほうを向いて、柳にこういった。

「姫!目、閉じててくれ」
「・・・・・・?・・・・・・・・・!」

その言葉の真意にきづくと、柳は眼を閉じた。
土門も勿論を眼を閉じた。

「人の話聞いてんのか馬鹿餓鬼!!見逃すんなら姿見えなくなるまで全員、遠くに離れやがれ!!」
「見逃すつもりはねぇよ」

空中に描かれた「刹」の一文字によって現れし火竜の名は、竜之炎肆式(りゅうのえんししき)の邪悪竜・刹那(せつな)

「テメーは調子に乗りすぎた。許すわけにはいかねぇな」

当たり一面を暴れ回る刹那。
怨念じみた叫び声を発しながらも動き続け、無眼に見えるその姿。

しかし奴が隠し持つ独眼の瞳を見た者は、

瞬炎(しゅんえん)

一瞬にして焼き尽くされる。

文丸の体は燃やされ、柳は竜之炎伍式(りゅうのえんごしき)(まどか)の結界の力で護られた。

「・・・・・・まだだ・・・文丸様は不死身なのよォ!!」

全身に火傷を負いながらも、文丸は戦おうとする(卑怯卑劣に)。
だが、

「ぶごばッ!!」

烈火の拳が文丸に炸裂した。
それによって吹っ飛ばされた文丸は、断崖絶壁の崖の淵まで、あと1m有るか無いかのところに追い込まれた。

(しまった・・・)

さらに烈火は竜を呼び出す。
書かれた文字は「塁」
現れたのは竜之炎陸式(りゅうのえんろくしき)型無(かたなし)(るい)
姿を見せた塁は幻炎(げんえん)にて姿を変え、人間だった頃の姿と成る。

長くて綺麗な黒髪、妖艶でグラマラスな容姿。
そして身に着けているのは薄手の着流し一枚だけ。
それが塁の人間だった頃の姿の代表だった。

「さて・・・お前に選択と言う名の、謎かけをしよう。我が型無の炎に向こうてくるか・・・・・・はたまた奈落の底に堕ちるか、どちらが利口かな?」

それはつまり、どちらを選ぼうとも命は危ないということだ。

「・・・今度はてめぇが答える番だな、文丸!!」

烈火は自信満々に言って見せた。

「う・・・うっうッ、うう・・・」

文丸は一度崖の下を見てみると、そこへ堕ちる選択をした自分を想像する。

(嫌だ!嫌だ!!嫌だ!!!)

どう考えても助からないのは明らかだ。
そして今度は塁のほうを見た。

塁はのんきなことに「おいでやすー」などと言って手招きしている。
招いた瞬間に敵を焼き尽くすとは思えんような笑顔だ。
胸元もはだけさせており、さらし布さえ巻いていないが故、豊かで形の良い巨乳があらわになりかけている。

文丸は思った。

(下に堕ちればまず助からない・・・・・・・・・だが、炎とはいえ・・・女ならば!!)

勝てる!そう文丸は考えた。

「こっちだぁあぁあぁあ!!」

しかし幾ら見た目が美しかろうと、今は炎の亡霊だ。
塁の姿は一瞬にして猛火へと変わる。

「勇気ある選択ととれなくもないが・・・・・・利口ではないな」
「ぎいぃああああああああああ!!!」

こうして文丸は黒焦げの無惨な姿になった。
まあ虫の息だったりもする。

「・・・・・・・・・うぅ(涙)」
「どうしたの土門くん?」
「俺ってさ、ここにいる意味あんのかな?」

さっきからロクに台詞さえもらえず・・・・・・というか、描写さえマトモにされなかったが故に、完全に空気化していた巨漢学生であった。





*****

数分後。

「あーあー、聞こえてますか陽炎さん」
『そっちも大丈夫みたいね、四人とも』
「おお!通じたぁ!」
「スッゲ!そこらのケータイよりよく聞こえるぞ!」
「んー、バッタカンドロイドのほうがいいか・・・・・・」

声の魔導具にて連絡中。

『丁度よかった!烈火、大事件よ!朗報か悪報かどうかが複雑だけどね。遠目の能力を持つ影界玉(えいかいぎょく)が見つけたわ』
「?」
『紅麗は生きている!そっちに向ってるわ!』
「ん?紅麗って、顔に火傷のある野郎か?」

そのブライの一言で、みなの視線が一気に集まる。

「紅麗を知ってんのか!?」
「ここに来る途中、ヤミー倒す時に居合わせたんだよ。あの様子からすると、戦人であることは間違いないと思っていたがな」

勿論ブライは直接紅麗の名を聞いたわけではない。
彼の視界から去る際に音遠が呟いた彼の名を聞いただけに過ぎないのだ。

「がははははははは!!やっぱりな!!」

烈火が大笑いする。

「『「・・・・・・・・・」』」

それに対して、柳も陽炎も土門も少し引いた。

「あの野郎がそう簡単に死ぬかってんだ!俺の八竜全てを受けてピンピンしてた化物だぜ?そうこなくっちゃ面白くねえってもんよ!!」
「なんか烈火くん、凄く嬉しそう」

すると烈火は

「全然嬉しくねーよー」

メチャクチャ笑いをこらえていた。

(嬉しいんだ、嬉しいはずよ!絶対嬉しいんだわ!)

柳は確信した。

「ところで石島。花菱と紅麗ってどんな間柄なんだ?」
「腹違いの兄弟で・・・一度は命を賭けたマジ死合をした仲だよ。あのバカウンチ兄弟は」

『と、とにかく気をつけるのよ!また一人とんでもない人間がそっちに向うことになるのだから・・・・・・何かわかり次第また報告するわ!』
「あいよ母ちゃん!」

明らかに嬉々とした表情の烈火。
ブライはそんな烈火をみて仮面の下で笑った。

(わかりやすい奴だな。ま、いがみ合っていても兄貴ってことか)

自分には最初からいない兄という存在を持つ烈火の笑顔を見ながら。





*****

その頃、鬼凛と螺閃はというと、

「・・・神威、敗戦。木蓮と命、敗戦。文丸、敗戦。挙句の果てには葵までもが敗戦。・・・・・・負け越しなことこの上ないね」

鬼凛は冷静そうな表情でも、内心あせっていた。

「まさか裏麗という組織の中、螺閃と私に次ぐと言われる実力者達『四死天(ししてん)』の一人が敗れるなんて、どんだけバグキャラなのかしら?鑢七実っていうグリードは」

鬼凛も流石にこの状況は想定していなかったらしい。

「まぁそれでも、トドメ刺される前に逃げられたというだけでも奇跡中の奇跡ねコレは」
「・・・・・・・・・・・・」
「うん、そうだね螺閃。でも逆に楽しみじゃない!そろそろ誰かが私達のいるここに近づいてきた。一体誰が一番乗りしてくるのかしらね?」





*****

そして風子とバットはというと、

「うへへ・・・霧沢風子。・・・初めてお前に会ったときに言ったこと、覚えてるか?」
「忘れた。どーでもいいことは憶えない性格なのだ」

風子はキッパリと言い切った。

「じゃあ・・・もう一回・・・言ってやる。”お前は身も心も俺だけのものになる”」
「妄想劇場は御自宅だけでなされたら?」
「へへへ・・・そんなこと言われると、お前のことまで欲しくなる」

余りにクサい台詞に、バットが容赦なく毒を吐く。
だが、双角斎は逆に何かを心の中で燃やし始め、懐に手を入れてあるものを取り出す。

「な・・・何それ・・・?まさか・・・・・・私・・・・・・・!?」
「そう・・・・・・俺が作ったフィギュアだよ。霧沢風子1/10スケール。ふ、服は着脱式で制服バージョンと私服バージョンがある・・・小さいが下着もちゃんとある・・・」
「その器用さを利用して就職しようとは思わないのですか?才能の無駄使いですよ」

またも毒込みのツッコミ。

「キヒヒヒ・・・・・・1/1の等身大スケール、作っちゃおうかなぁ」

――ベロ・・・――

双角斎の下がフィギュアに触れるのを見て、

((ゾゾゾゾゾ!!))

二人の背筋が一気にこおり、色々と接触してはならない嫌悪感が緊急警報を鳴らしまくる。

「なんなんだてめぇは!!?」
「今すぐ消滅しなさい!!」
「おっと」

二人の拳とビンタを巧みに避ける双角斎。

(な、な、なななな、なんて気持ちの悪い奴だ!!生理的嫌悪感がハンパ無いよ!!きっつぅ〜〜!!)

(ま、まさか、世の中にこんなイカレた変態オタクが存在しているとは!様々な情報を仕入れるべく、裏社会に精通したこの私さえも・・・!これなら会長の淫乱コスプレ趣味に方が遥かにマシではないですか!!)

二人は体を震えさせる。
そんな二人の心情を真っ向から無視するかのように、奴は改めて自己紹介した。

「我が名は双角斎、お前らのご主人様になる男だ・・・・・・!!」





*****

同時刻、なにやら古い巻物を手に道を進む一行の姿あり。

「・・・真ん中だ、行くぞ!」

ただ一人、何の障害も無く、確実に最凶の魔導具に近づく者・・・森光蘭。

「近い・・・・・・近いぞ!天堂地獄!!」
(やはり、人間の欲望が進化し、愚かになったな。特にこの男は・・・・・・別格だ)

地下世界に存在する全ての人間に・・・・・・どのような運命が待ち受けているのか?

それは天堂地獄だけが、知っている。

次回、仮面ライダーブライ

妄想狂人と王子様と純情


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