仮面ライダーブライ!
前回の三つの出来事は!


一つ!土門&吹雪と陽炎&シルフィードが合流し、キリトからディスクを奪い返した!

二つ!マリーの館には、ちょっとしたギャグシーンが展開!

そして三つ!小金井とバットは、ゾンビ達のリーダー・ゼットから五枚目のディスクを託された!

DEATHと蛭湖とジョーカー


HELL OR HEAVENへ突入する為の唯一の建造物。
名前は一切不明だが、この建物の中枢である石像の間に全員が集まっていた。

「・・・・・・久しぶりだな」
「えぇ、お久しぶりです兄さん」

そこで、十五年もの間、音信不通となっていた兄妹が再会した。
白髪の無造作ヘアに赤い瞳をした兄の名は鋼刃介。
忍装束に茶髪のミニポニーテールをした妹の名は鋼金女。

「まさか相生忍軍の教えを受けていた上、仮面ライダーになっていたとはな」
「生き延びるにはそうするしかなかったもので」

二人は確認しあうように会話する。
とても感動の再会とは程遠い会話内容である。

「お互い随分見ぬ間に変わったもんだ」
「変わらない物などこの世にはありません。この世界は変化の連続で構築されていますからね。それはそうとにーにー」
「なんだよにーにーって?どこの妹ネタ?」

何処ぞの金髪ロリっ娘の真似をする金女。

「変わったといえば、兄さんの声も杉田智和と中井和哉を足して二で割った感じですね。それにダークな感じのイケメンになってますし」
「どうでもいいことだろ。つーかなんでプロ声優の名前をスラスラ言えるんだ?顔の評価については嬉しいけどさ!」

その時刃介は、金女がどんな道を歩んでいるのかがメチャクチャ気になってきた。

「まあ、その辺は後で聞くが・・・・・・シルフィード」
「なにかしら?」
「テメェ金女(コイツ)のこと知ってたなら何故俺に教えなかった?」
「その辺は後で聞いて頂戴♪」

ウインクしてエメラルドグリーンの瞳を薄ら光らせるシルフィード。

「テメェ・・・・・・」

ブラッドレッドの瞳に力をこめ、今にも喰ってかかりそうな表情をする刃介。

「落ち着けよお前ら!今はこっちが先決だろ!」

と、烈火が止めに入った。
刃介は舌打ちしながらも矛先を引っ込めたようで、烈火たち火影はホっとする。

そして目の前の本題に視界を向けた。
小金井達がラストディスクを手に入れて戻ってきたとき、石像は森光蘭という人間の形ではなくなっていた。

一言で言うなら、刺々しい繭。

「手に入れたディスクを次々入れていったら、段階的に変化して、第四形態に移行したわ」

シルフィードは軽口を叩くようにいった。
そう、これはあくまで第四段階。まだこの先に最終段階があるのだ。

「そして・・・・・・」

シルフィードは小金井からラストディスクを受け取り、機械にさしこんだ。

「これで最後(ラスト)ね」

――ピキ・・・ピキ・・・――

すると、繭状態の石像は嫌な音を立てて罅割れ始める。

「出てきますね、最後の鍵が」
「あぁ」

それを見ていた刃介と七実は呟く。

――バギン!!――

そしてとうとう、石像の繭は砕け散った。

「なるほど、そういうことですか」

それの正体をみた金女は納得したように眼を細めた。
繭という殻を破って現れたのは、眼球のような球体からは視神経のような物が伸びている物体。
全ての火影の民にとって、禁避すべき物の象徴。

天堂地獄。

つまり森光蘭は石像を通して、自らの変貌の過程を誇示したということなのだろう。
一体それになんの意味があるのかは不明だが。

そして機械の液晶にはこんな文章が映し出されていた。

「かなり舐められてますね」

金女は苛立つように言った。
文章の内容はこうだった。


次の英字を並べ変えてお前達の運命をつくれ
――KEY WORD――
DISK1 >A
DISK2 >T
DISK3 >H
DISK4 >E
DISK5 >D


「阿呆らしいことを」

それを見た七実は小さく呟いた。

「取りあえず入力するぞ。あ、それから火影のバカガキども、訳わからん単語はつくらんように」
「なんだよやぶから棒に!」
「それは俺たちがバカってことか!」
「バカガキだと言ってるのにそんな質問してくるからバカなんだよ」

刃介は烈火と土門に返答しながらキーワードを入力する。
余りに簡単で、敵がいかに勝利を確信しているかを予想させるアナグラム。

ATHED

DEATH=死

――ゥオン・・・・・・――

すると石像が音を立てて降下していき、直下にある穴に鍵を差し込むようにして合着した。

「今度は何・・・!?」

――ゴゴゴゴゴ・・・!――

地響きのような音がしていき、石像と機械と一体になっていた上座がゆっくりと後ろへ下がっていく。
すると、その下に隠された通路は現れた。

「見ろよ。ラストステージへの入り口だぜ」

烈火はそれを見て、決意を新たにするように告げた。

「なるほど。下り階段の隠し通路ということは、あの湖の水面下たる地下道を通って本丸に行けというわけだな」

刃介はシェードフォーゼのエンジンをふかしながら呟く。

「・・・みんな・・・よくここまで頑張ったわ」

そこへ陽炎が全員に声をかける。

「私は・・・みんなを心から誇りに思います」

全員は顔を引き締めて言葉に耳を傾ける。

「そして願わくば―――勝利を手に入れましょう!」

そうして、ファイナルダンジョンへと足を踏み入れていった。





*****

FINAL(ファイナル) MISSION(ミッション)
HELL(ヘル) OR(オア) HEAVEN(ヘブン)

遂に新生火影忍軍は、裏麗本拠地に到達した。

『ようこそ火影忍軍!』

そこへスピーカーから声が出てくる。

『要塞都市SODOMの観光は如何でしたか?』
「烈火・・・この声」
「葵だ」

風子と烈火のみならず、彼と面識のあるものは全員声の主を特定した。

『そこへ七つのエレベーターがあるのが見えますよね?定員二名のエレベーター・・・・・・各人お好きなところへとお入り下さい』

確かに向こう側にはエレベーターのドアが7つ。

『止まる階は自動的に決まり、7つ全ての出口は違う。どのルートも最終的には最上階まで来る事ができます。今までの戦いから見て、難易度を更に上げるべくヤミーを各種配置しております』

葵は懇切丁寧に説明する。

『・・・何人上がってこれるかな?今度は本気で殺しに行くよ』
「ざけんな馬鹿野郎!!そっちこそ頭洗って待ってやがれ!!」
(頭じゃなくて首だろ)

さりげに刃介は烈火の間違いに内心ツッコむ。

「俺たちゃ火影!!最強無敵だ!!全員でテメーの前に現れる!!」

烈火は大声で叫び、

「姫は、返してもらうぜ」

そして最後に宣言した。

「キャ〜〜♪烈火カッコい〜〜♪」
「お?そうかい?」
「惚れ直した流石リーダー!!」
「おお!そうかいそうかい!?」

見事な啖呵に風子と小金井が大絶賛し、天狗になる烈火。

「洗うのは頭じゃなくて首だぞ。バカだな」
「あ”−−うるせぇうるせえうるせぇうるせえ」
「俺も同じこと考えてたぞ」
「あーもうやかましいやかましいやかましい」

水鏡と刃介の言い分に不貞腐れる烈火。

「水鏡!お前はホント嫌な奴だ。初めて会ったときからずーっとそうだ!冷たいしよ!」
「・・・・・・・・・」

そういわれた水鏡は”ほっとけ”とでも言わんばかりの表情になる。

「お前もだ、風子!いつまでも女らしい色気がでてこねぇ!そんなんじゃ嫁さんになれねーぞ」
「っッ!!//////」

それを言われた風子は顔を真っ赤にしながらガーンとなる。

(うふふ、風子さん・・・そういうことでしたか)

その風子の変化に七実は何か勘付いたようだ。十中八苦恋愛関係であろうが。

「小金井ナマイキすぎ!小せぇんだから牛乳飲んで身長伸ばせ!」
(牛乳だけじゃ背は大きくなりませんよ。ちゃんと栄養とって眠らなきゃ)

金女は烈火の言い分に内心、きちんとした科学的根拠のある補強策を述べていた。

「土門はゴリラ!!」
「んだとテメーっ!!」

うん。こっちはどうでもいいな。

「母ちゃん優しく甘えさせろ!タマには綺麗な服着ろ!」

その言葉をキョトンとして聞いている陽炎。

「七実ちゃん!もっと楽しそうに笑え!その黒い笑み怖いぞ・・・」
「あら、すいません」

七実は邪悪な笑みから真顔に戻った。

「そんで鋼!ガメついのもいいけど、溜め込みすぎずに時折パーっと景気よくイケ!!」
「それだけの蓄えができたらな」

と、刃介は返答する。

「んでもって皆大好きじゃ!!勝手に死ぬなよ!!以上!!」

そうして烈火は、全員に向けて渇を入れたつもりなのだろか。無理矢理最後を締め括った。

「フッ・・・言われずともこんな陰気臭いところでくたばりはしねーよ。けどな、そんな啖呵をキッた以上、テメェも死ぬんじゃねぇぞ花菱」
「おうよ!!」
『我刀流に火影よ』
「「!!」」

行き成り会話に割り込んでくる女の声。
今度のものはスピーカーから流れてくるものではない、まるで壁そのものから音声が出ているかのようだ。

『うかれているのなら、今すぐその考えは捨てることだ。この先に用意したヤミーは中々の出来栄えだからな』
「リュウギョク、か。・・・忍法『声帯移(せいたいうつ)し』か?」
『相生忍軍ではそう呼んでるらしいが、真庭忍軍では忍法「音飛(おとと)ばし」と呼んでいる』

刃介はかつてそれを使った男のことを思いしながら言うも、竜王はそれを壁を媒介にして否定する。
本来は有機生命体を利用して音声を伝達させるのが声帯移しや音飛ばしという忍法なのだが、無機物無生物を媒介にできる忍者ということが、竜王の実力と練度の高さを証明している。

「忍法の御教授なんざどうでも良い。俺とお前はどの道、殺し合うんだからな」
『ならば直ぐ来るがいい。こちらの準備もそれまでには完了する』
「あぁ・・・死装束用意して待ってろ」
『悪いが私が忍び装束を脱ぐのは風呂に入るときだけだ』

一見不毛そうに見える会話だが、その裏ではお互いにお互いの心情という腹の探り合いをやっているのだ。

「あ、そ。兎にも角にも、残りのコア全部貰うからそのつもりで覚悟しろ」
『二度目だが、ならば直ぐに来るがいい』

そうして、竜王の気配は完全に掻き消えた。

「上等だぜ。完全体になっていようと、俺は俺の『欲望』でそれを越えてやる」

誓いを立てるように、刃介は口にした。欲望に忠実な彼だからこその台詞。
ただ単純に負けたくない、絶対に勝ちたいと思うが故の言葉だ。

我刀流二十代目当主、鋼刃介。
先祖代々その心に憑かれし欲望は、その名の通り刃金(はがね)という単語が相応しい。





*****

H()OR(オア) H(ヘブン)(ルートC)
石島土門と凍空吹雪

このルートを進む巨漢パワーファイターたちを待ち受けるのは、やけに広々とした部屋に佇む一人の青年と一体の怪人。
裏麗四大首領が一人、蛭湖。
そして重量系の”バクヤミー”。

「あんたらが俺っちらの対戦相手って訳っすか」
「死四天・蛭湖。隣にいるのは束の間の相方であるバクヤミーだ」
『グゥゥゥ』

バクヤミーはいびきをかくように唸る。

「まあ宜しく頼むよ。石島土門に凍空吹雪」
「・・・・・・あんた、礼儀正しいな」

土門は蛭湖の態度に意外性を感じた。

「そんな事は無いさ」

蛭湖はそういうと、ナイフを取り出す。

「神聖な戦いにおいて相手に敬意を表するのは当然だ」

そのナイフで右手の甲を突き刺し、流血を起こした。
ボタボタと流れる血液、それは大した時間もないうちにあっと言う間に固まり、歪な血の剣となす。

「!!?」
「まさか・・・・・・」
「そうか。君達と私は初対面。私の能力を知らないか・・・。私は己の血を武器にする。こんな風にね!」

簡単に説明し、蛭湖はこちらへ低姿勢で跳躍してくる。

「おわ!?」

土門はギリギリでかわしたが、

――ザシュ!――

蛭湖は空かさず軌道を変え、土門の体に切り傷をつくる。

(速ェ・・・!)

高度な戦闘技術に土門も焦る。

『グゥゥゥオ』

するとバクヤミーが唸り、鼻の部分からなにやら光量をを漏らし始めた。

「させないっす!」

――ズガァァン!!――

そこへ吹雪が双刀を思い切り叩きつけてバクヤミーを吹っ飛ばした。

『グウォォォン!!』

しかしそこは重量系ヤミーだけあって壁に激突した程度で済んだらしい。

「意外と梃子摺りそうっすね。そっちはどうっすか?」
「ぺっ・・・なんとか大丈夫だ。にしてもこの野郎、キリト並の強さかもしんないな」

土門は血の刃を噛んで折り、蛭湖に拳を喰らわせたらしい。
そして血の刃を吐き捨てて返事をする。

「けれど、一つ気になることがある」
「・・・・・・背中っすか」

そう、二人は薄薄勘付いていた。
蛭湖の背中に纏わり付く邪気を。

その邪気の正体は、”不死身の蛭湖”という通称の由来でも在る。

「私の背中の邪気に気づいたか。流石は火影の一人、そしてトライブ財閥の用心棒。眼が利くらしい」

すると蛭湖は羽織っていたコートを脱ぎ、背中にある邪気の正体をみせた。

――ドクン、ドクン、ドクン・・・!――

「生体魔導具『血種(けっしゅ)』」

核の玉が埋め込まれた心臓が、蛭湖の背中に張り付き、血管という根を張っていた。

「通常の場合、血液が体外へ1/2流れ出ると人は出血死する。この命の液体を武器として操る私の力の源はここにある。私の二つ目の心臓だ」

血種の鼓動音をバックに、蛭湖は己が唯一の魔導具の特性を語りだす。

「この魔導具により精製される『魔血(まけつ)』・・・私の体を巡りこれは、常人の血液の濃度、量を凌駕する。循環作用、凝固作用、運搬作用、全て意のままに操ることができるのさ」

すると蛭湖は砕かれた血の剣を一度液状にすると、再び凝固させて握力で砕いた。
それによって繰り出される技は、

血塊弾(けっかいだん)!」

凝固を極めた血液の一斉掃射。
手動による投手ではあるが、蛭湖の身体能力と血液の硬さもあいまってかなりの威力になっている。

「「うおっ!」」

思わず土門と吹雪は身をかがめてそれらを避けた。
不発に終わった血塊弾は壁に激突し、穴をあける。

「大型の弾丸もいいとこじゃないっすか?」
「だったら先手必勝だ!」

土門は陽炎から貰った”物品を収納する”魔導具”蔵王(くらおう)”からあるものを取り出す。

嘴王(くちばしおう)!!」

取り出されたのは、名前の通り鳥の嘴を模した攻撃部位に、何十メートルもの鎖が付いた魔導具だった。

「とォー・・・りゃ!!」
回処帯(かいじょたい)!」

土門が嘴王がブン投げると、吹雪も勢い良く突進していく。
結果、

――ゴドォ・・・・・・!!――

実に鈍くて嫌な音を立てながら、蛭湖とバクヤミーに攻撃が命中した。
体から流れ出る血液とセルメダルの量はかなりのものだ。

((避けない!?))

土門と吹雪は、最悪受け流せそうな攻撃をあえて受けたのだと悟った。

「ふ・・・フフフ・・・」
『・・・・・・・・・』

蛭湖は吐血まじりに笑い、バクヤミーは無言のままとなる。

「火影忍軍石島土門・・・・・・私は見極めたい。君のその強さの根源を!数々の強豪たちを打ち破った力の正体をね!」

蛭湖は流血する体には気にも留めず喋りだす。

「そして凍空吹雪、君は刮目することになる。バクヤミーの能力をね」
『グゥゥゥ!』

バクヤミーは再び唸り声を上げた。

――オンッ――

奇妙な音をたてて、蛭湖の姿が複数に視認される。
この技の名は幻術の別魅(わけみ)。紅麗も使用する分身の術のようなものである。
もっともこの幻術は極めに極めれば幻の像にも実体を持たせることができるが、それほどの境地に到っているのは幻獣郎や竜王くらいのものだろう。

「嘴王!!」

土門は再び嘴王の鎖を部屋中に散乱させるくらいの気合で武器を投げ、次々と分身していく蛭湖を攻撃する。
しかし攻撃が命中してもそれは幻ばかりだ。

『グウォォォン!!』

すると今度はバクヤミーが咆哮し、飛び散ったセルメダルに光を灯していく。
光が灯ったセルメダルは次々とバクヤミーの頭上に集まり、巨大なエネルギーの塊となる。

『グウォン!!』

――ブンッ!――

バクヤミーはその巨大なエネルギーを丸ごと吹雪に投げつけた。

「ッ!させるか!」

吹雪は即座に反応し、バッティングの要領で武器を振り、エネルギー弾という玉を打ち返した。
しかしそれは意味が無いものだった。

――バクッ!――

バクヤミーは打ち返されたエネルギーを逆に吸収してみせたのだ。
モデルとなった獏という生き物は実在するものと架空のものがある。

片方は実在していて草や果実を食べている草食動物としての獏。
もう片方は中国において悪夢を食すと言われている獏だ。
この光景はまるで、バクヤミー自身が味わった苦痛という悪夢を自ら食したようにも感じる。

「リサイクルなヤミーっすねぇ・・・・・・」

目の前の光景に吹雪は半ば感心するように呟いた。
もっともそのリサイクルは限定的なようだが。

だが向こうでは、体中に血を浴びせられ、固まった血で体の自由が利かずにいる土門がいた。

「・・・賭けをしよう、土門君。死か生か(デッド・オア・アライブ)。君が今日まで生き残ってきた強者の資質、是非確かめさせて欲しい」

蛭湖の攻撃準備は万端である。

「―――死・・・仲間に救われてきた。運が良かった。それまでの男だったとする。――生・・・実力も当然、運をも味方にする天賦の才をもつ戦士と認めよう」

そして降りかかる一撃。

「血塊弾!!」

血液の弾丸が、土門の肉体に次々と命中していく。

「土門くん!」
『グゥゥモォォ』
「くッ」

吹雪は当然助けようとするがバクヤミーが邪魔で加勢にいけずじまいだ。
しかし、本当に加勢は要らなかった。

「おおおおおおおおおおおおお!!!!」

土門は攻撃に耐え切って見せた。

「こんな銀玉鉄砲効くかよ、バカチン!!ぬるいぜ流血野郎!!」

――メキメキメキメキ!!――
――ピキピキビキビキ!!――

土門のバカ力が、彼自身を戒めていた血液の枷を剥がしていく。

「りゃあ!!」

――パキィィィィン!!――

「ばッ・・・(血固めが壊された!?)」

蛭湖は今まで潜り抜けた者のいない技を筋力と根性で打ち破った男の出現に、心から驚く。・

「うっ・・・(しまった・・・使いすぎたか・・・)」

蛭湖は両膝を床につき、音がするほどに呼吸する。

「貧血だな蛭湖。オレぁ少々血の気が多い性質でな。まだまだ余裕だぜ?むしろ血塊弾で輸血状態になったかもな。おい、保健室いくか?」

それは要するに降参するか?という言葉の遠回しである。

「その必要は・・・・・・」

蛭湖は一息いれ、

「無い!!」

拒否した。
そして部屋の壁につくられた数多くの棚の近くにより、棚の上においてあった赤い液体が入ったビンを手に取る。

「弾倉に6発しか入らないリボルバー。撃ち終わったらまた弾丸をこめる。同じ事さ」

――バリィィン!!――

宣言通り、六つの血液入りのビンは無惨に割られ、蛭湖の全身に血の雨となって降り注ぐ。
しかし血種が降り注ぐ雨を一滴残さずドクンドクンと吸収する。輸血が滞りなく完了していく。

「まだ終わらない!!血塊弾!!」

再び幾つもの血液の弾丸が発射されていく

かと思われた。

「丸後如!!」
「ぐおッッ!!」

バクヤミーを振り切った吹雪の体当たり、蛭湖はぶっ飛ばされてしまった。

「な・・・ぜ・・・だ?なぜ君達は倒れない!?少なくとも火影の殆どはさしたる戦闘教育も受けていない筈なのに、何故君達は倒れない!?我々は戦いのエリートなのに、なぜ互角に戦える!?」

蛭湖は今まで吹き黙っていたもの全てを吐き出すように問い詰めた。

「俺っちはただ、見ず知らずの俺っちを拾ってくれた会長に恩を返したいから戦ってるっす。正直な話、戦闘訓練なんて積んでない・・・殆ど直感と怪力頼みで戦ってるっすよ。はっきり言って化物と直接戦うなんて怖いっすけど、恩人に仇を返すような不始末だけはやりたくない・・・・・・それだけっす」

「俺たちもよ、倒れたくないから倒れないんだよ。俺ら火影はみんなで”柳助けようマラソン”をバリバリ走ってんだ。まだ一人も脱落してねぇ!全員辛いのも痛いのも忘れてる!ゴールは目の前だ!」

吹雪と土門はただただ本音だけで語った。

「蛭湖・・・あんたは何の為に戦うっすか?文字通り、血達磨になってまでね?」
「使命感」

一言だけ、蛭湖は返答した。

「地獄のような戦闘教育、実践を繰り返し気づけば与えられていたポスト、裏麗死死天!理由など無い!私は只任務を遂行し、自分の居場所でなすべきことを成す!」

蛭湖は血の剣を生やし、低姿勢で跳躍する。

「私は死四天の蛭湖!その使命は戦うこと!!」

蛭湖は己の何かが命ずるままに動く。
その刃を土門に突き刺すべく動いていく。

眠調(みんちょう)!」
『グウウウウ!!』

一方吹雪とバクヤミーは体当たりと体当たりをぶつけ合っていた。

――ドゥガン!――

『グムゥウウ!!』
「っしゃ!」

結果としては吹雪の眠調が勝った。
バクヤミーは十数枚のセルメダルを撒き散らしながら床を転がる。

だが、

「ぐぁあぁあああ!!」

土門の悲痛な叫び声が聞こえて来た。

「ぐッ・・・痛・・・・・・」

不自然な曲がり方でだらりとぶら下がる土門の右腕。
確実に骨は折れたとみたいいだろう。

それを引き起こすだけの硬度を誇ったものが、蛭湖の左手に纏わりついている。
いや、超硬度に凝固した血液で左の拳全体を覆っているといってよいだろう。

血塊球(けっかいきゅう)。これで君の利き腕は封じた!」

しかし、先ほどの血塊弾と今の血塊球によって蛭湖はまた多くの血液を消費した。

「もっとだ・・・もっと血を・・・」

若干ふらつきながらも棚に足を向けて補充を行おうとする蛭湖。

「これ以上――ズドォォオオオオ!!!――ッッ!!な、なんすかこの極太の光線は!!?」

止めようと思った矢先にそれは必要なしとなった。
凄まじい轟音を発しながら、HELL OR HEAVENの階層を破壊する光線が、蛭湖の血液ストックを周囲の壁ごと粉砕したのだ。

「こ・・・の、波動は・・・死愚魔!?(しまった・・・血液が!)」

最悪なことに、仲間であるはずのキリトが別の場所で行った戦闘の副産物を思わぬところで喰らってしまったのは、味方である蛭湖という皮肉な結果だった。

(ッ――チャンス!)

蛭湖はアクシデントに気を取られているうちに、吹雪は一度双刀『鎚』を投げ捨て、身をかがめて構えを取った。

「完成形変体刀十二本が一本、賊刀『鎧』の限定奥義!」

吹雪は体中に力をいれ、『鎧』全体に付随した刃の一つ一つに気合を伝達させるくらいの意気込みでいく。

刀賊鴎(とうぞくかもめ)!!」

ズン!という音を立てて、吹雪は全力で駆け出した。
目標は、バクヤミー!

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

大声で叫び、全速力で突進していく吹雪。
今まで使ってきた体当たり技とは比べ物にならない程の勢いだ。

賊刀『鎧』は本来、素で2mを優に越える体長をした人間が、自分の体重と賊刀の重量を勢いに乗せることで初めて効果を発揮する。しかし吹雪の体重は超というほどのものじゃない。
しかしそこは凍空一族特有の怪力で補う。いや、補うどころではなく、より強化するのだ。

『グゥゥゥオオオオオ!!』

――ドガァァアアアアン!!――

結果は言うまでも無く、バクヤミーは大量のセルメダルとして爆散した。

「はあ、はあ、はあ・・・・・・」

流石に全力を出しての突進だった為、流石の吹雪も荒息をつく。

「土門くん、こっちは片付いたっす。今か「残念だがもう遅いよ」

だけど振り返ったときには、蛭湖は土門の体にしがみつき、いつでも彼の首を圧し折れる体制をとっていた。
しかし蛭湖の狙いはそこではない。ただただこの場を切り抜ける為ではなく、次の場面でも戦えるように体の血を補充する必要がある。

死か生か(デッド・オア・アライブ)・・・最後に運は私に巡ってきたようだよ。人間の血液の質を探る事もできる血種で君の血液型を調べた結果!私と同じ血液型、この意味がわかるな?」
「まさか、土門くんの血を吸う気っすか!?」
「ご名答だ!」

――シュオオオオオオ――

血種の効力により、傷口から流れ出る血液が、土門の体内から体外へ吸い出され、蛭湖へと送り込まれてしまう。

「君は素晴らしい戦士だ。ここで君が死しても、その勇猛な血は私の中で生き続け、涸れる事はない!戦えたことに感謝する、石島土門」

そう言いながら血を吸い続ける

「どの道私は凍空吹雪との戦いでは負けるだろう。ならせめて一人だけでも減らす。私は与えられた使命を果たす!」
「薄っぺらいっすね。そんな事しても、土門くんは何度だって地獄から這い上がってくるっすよ」

吹雪の言ったとおり、土門は決して志半ばで死ぬような男ではない。

「おおおおおおおおおお!!!」

まだ希望を捨ててはいない。

(おかしい!?石島土門の体から血液が流れてこない!戦いであれだけ血の道をつくったというのに・・・・・・!?そして密着している体が感じる違和感!首を折れない、固い、そして・・・・・・冷たい!)

蛭湖の頭の中から勝算が疑問に変わっていく。

(血液が失われていく為の低温ではない!これはまるで、鉄・・・・・・・・・鉄!?)

気づいた時にはもう遅い。
土門の肘打ちが蛭湖の胴体に直撃していた。

「がはっ!」

勢いをつけられて吹っ飛ぶ蛭湖。
床に大の字になって転がり、動く気配は無い。

「そうだ。忘れていたよ・・・・・・石島土門は複数の魔導具の使い手。土星の輪・・・嘴王・・・そして、発動させたのか・・・!」

そう、土門が体内に宿す最後の魔導具。
発動した瞬間、肉体を鋼鉄のように硬め、肌色を浅黒くし、額には鉄の文字が浮かぶ効果を持つ。

「身体硬化魔導具、鉄丸(てつがん)!」

ある意味この状況においてはうってつけの魔導具といえよう。

「傷だらけの体を硬化させ、筋肉を限界まで縮小、強制的に傷口を閉じたのだな?その体では首を折るに至らない。見事な防御だよ」

そして全てを勝機を失ったことを、蛭湖は素直に認識した。

「いけ、私の完敗だ」

任務失敗。
そう思っていた蛭湖だが、土門がとった行動は意外なものだった。

「割れてねーのがあったぞ。輸血しな吸血鬼」

輸血ビンを三つ、蛭湖の近くにコトンと置いたのだ。
蛭湖は目を見開いた。普通なら蛭湖に再戦するだけの余力を与えかねない行為だからだ。

「なァーーにパチクリしてやがる!早くしねぇとテメェ死んじまうだろ?それとも任務失敗したから死んでもいいやとか思ってたのか!?こーーーの馬鹿野郎!!!」

――パコン!――

土門は蛭湖の頭を軽く殴った。

「てめぇは操り人形でも捨石でもねぇ!意志を持てよ!自分の考えで動きな!機械にはできねえ芸当だぜ!!」

そう言い残し、鉄丸の効力が解除されながら土門が先へ進もうとすると、吹雪が蛭湖にこういった。

「火影の人間ってのは、誰に命令されたわけじゃなく、ただ一つのことをみんなが一緒にやりたいからやってる集団なんすよ。そこに義務とか責務とかはなくて、あるのは己の魂だけって感じっすね。もっとも、俺っちも会長の力になりたいってだけで此処にいるわけっすけど」

それだけ言い残すと吹雪は双刀を拾い上げ、土門の後を追うように歩いていった。



(・・・・・・・・・・・・どれだけ自分の心を偽ってきただろう)

ふと、蛭湖は考え出す。

(命令されたならば共に戦ってきた仲間や同志さえも葬ってきた・・・・・・なんでもした。己を殺す事で、力を手に入れて、そして・・・・・・失うものは増えた。見極めたよ。―――石島土門、凍空吹雪)

地面に伏せる今の蛭湖の両目には、威風堂々と自分の道を真っ直ぐ突き進む二人の後ろ姿が、とてもまぶしく映っていた。





*****

土門と吹雪が蛭湖と接触したほぼ同時刻。

H OR H(ルートB)
小金井薫&バット・ダーク

「では、前に進みましょう」
「うん!柳の姉ちゃんのトコに、俺たちで一番乗りだ!」

と、気合を入れる小金井。
だが、

――ゾクっっ――

なにか背筋の凍る感覚が二人を覆った。

「この殺気・・・・・・」
「向こうの角から・・・・・・」

二人が直感したとおり

――コツン・・・コツン・・・コツン・・・――

足音が向こうの通路の角から聞こえてくる。

そこから現れたのは男だった。
ニット帽を眼深に被っていて目元の表情はわからないが、口元の様子で笑っているのがわかる。男の割には妙に伸びた長髪が何処と無く似合い、黒のシャツとズボンといった全体的にラフな恰好だ。
しかし、それ以上に印象的なのは、右手に持った歪な魔導具だった。

その魔導具は薙刀にも三叉槍にも見えたが、穂の根にあたる部分には巨大な一つ目の装飾が施されている。こんな魔導具を持っている人間は一人しか居ない。

「小金井君めっけ!戦闘開始や!」
「ジョーカー!?」

麗十神衆が一人、帝釈廻天(たいしゃくかいてん)のジョーカー。

「おや、あの時の関西弁の人ですか。ちょっとだけ、お久しぶりです」
「おーっす。元気にしとったかい?」
「えぇ。お陰様で」
「ってちょっとまったぁぁ!!なに和んでるの!?つーかなんでジョーカーがここにいんの!?」

小金井は思い切りツッコんだ。

「なにゆーとんねん小金井くん?サーファーが海におるよう、戦士が戦場におるのは当然やないか!」
「よくわかんないけど、今は急いでるんだ、邪魔しないでよ!俺たちは柳ちゃんを助けに裏麗と戦いに来たんだ!今回はお前達が相手じゃないんだよ!」

と、小金井はジョーカーを説得しようとする。
ジョーカーは何食わぬ表情でこういった。

「そんなん関係あらへん。自分は小金井くんらと戦いにきたんや」

一発で交渉決裂。

「我侭言うな!!今はジョーカーと戦う意味が無いだろ!!」
「こっちは大有りや。裏武闘のカリ返さなあかんやろ。自分も残り少ない麗の一員や」
「避けては通れぬ道、だと仰りたいのですね。新生火影と麗の関係性は・・・・・・最早強固に定まっていると」
「よーわかっとるやないか。此間は利害が一致しとったがな、双方の関係はあくまで敵同士や。そっちの都合なんざお構いする気はないで」

ジョーカーは帝釈廻天の穂を二人に突きつけながら宣言する。

「ならば、こちらが取るべき手段は一つです」
「そうだね。火影(オレら)(そっち)は、相容れない間柄だったしね」

二人は真剣な目つきをし始める。

「ジョーカー!!」

そして、

「バイバイ!!」
「さようなら!」
「そんなアホな!!?」

敵前逃亡を選択した。

「ズッコけかけたで今のは!カムバーック!!」
「すいませんが、我々も其方の都合などに構ってられません」

ジョーカーの言葉をバットがバッサリと斬り捨てる。
小金井とバットは走りに走り、通路の到る所を駆け抜けながらフロアを調べていく。

ただし、幾ら走っても階段はおろかエレベーターもエスカレーターも見当たらない。
だが止まればジョーカーとの戦闘にはいってしまう。

「なぁ何時までこの鬼ごっこやるつもりや?」
((追いつかれた!))

伊達に麗十神衆を名乗っているわけではない。
この程度は朝飯前なのであろう。

「いい加減勝負しようやないか?今度こそ決着つけよーやー!」
「柳ちゃん助けたらやってやるよォ!次にしてよ次!!」
「次は・・・無いかもしれないやろ?」

ジョーカーの言葉、それはどちらかが戦いで死ぬかもしれない、という意味を指す。

「次はないかもしれへん!だから今や!」

ジョーカーは鋭い眼光を覗かせてそういった。
しかし二人はここに来て漸く巡り会えたのだ。

「っ!小金井君!」
「エレベーター!」

次のステージへの扉を。

――バッ!――

二人はエレベーターの扉へと飛び込んだ。

「ふ、振りきった・・・・・・上「どうやら、タダではないらしいですよ」・・・へ?」

二人が潜り抜けた先には、長い黒髪の少女が待ち受けていた。
エレベーターと思われた扉の先にあった部屋には、蜘蛛の巣の如き粘着性の糸が張り巡らされている。

「ホイ逮捕ー♪さ、リターンマッチ!立って!」

ジョーカーは気軽な口調で追いついてそう言うも、目の前の状況を見て考えが一変する。

――ガシャ!――

そして扉が強制的に閉じられ、逃げ道が封鎖された。

「なんやねん君?何か用?」
「裏麗死四天キリトと申します。ここに侵入する者を殺すよう命じられています」

このルートの番人は風子と金女に一杯食わせたキリトだった。

「火影の小金井くんですね?初めまして♪」
(大人しそうな女の子・・・・・・この子が裏麗!?)
(今までのデータからすると、まあ驚くほどのことではありませんね)

小金井とバットの考えは拮抗する。
バットは今までの火影の戦歴データを見てきている。なので火影が外見・内面・能力に著しいギャップのある人間と戦ったことがあるのを知っている。

「殺すぅ?できるんかいオジョーチャンに?兎に角自分たちの戦いが予約済みなんや。そこでまっとってな」
「そうはいかないんです」
「・・・・・・自分らを誰や思ーとる?」
「火影の小金井くんに助っ人の一人ですよね?貴方は知りません」

キリトはニッコリ笑顔でジョーカーと話を進める。

「麗十神衆ジョーカーや!下がっとれ!」
「知りません。誰ですかあなた?」

あくまでジョーカーのことを知らないというキリト。
いや、本当に知らないのかもしれない。麗という組織が組織でなくなった以上、首領だった紅麗は兎も角その部下のことを新たな首領が一々気に止めるとも思えない。

「・・・・・・・・・・・・よっしゃ小金井君にお嬢さん。こっちの戦いは後回しや」

ジョーカーはゆっくりと言い放ち、

「世間知らずにモノ教えたる!」

再び紫電の如き鋭い眼光を覗かせた。

「ではお願い致します、一時共闘で宜しいですね?」
「当ったり前や!」
「くすくす・・・」

バットとジョーカーの会話に、キリトが笑いを零した。

「別に私は三人相手でも構いませんよォ♪そうでもしなきゃ貴方達も大変だと思いますし。ね♪」

そういわれたジョーカーは口元だけを笑わせ、鋭い犬歯を際立たせた。

「少っしもおもろないボケやのー。自分、女の子にはめっちゃ優しくすんねんけど、嫌いなタイプにはけっこー冷たくなれるクールな奴なのよ。あんたはタイプちゃうわ。遠慮なくいこか!!」

ジョーカーは宣言どおり、全力で帝釈廻天を振り回した。
しかしキリトは次の瞬間には穂の上に乗っかっていた。
ジョーカーの攻撃をあっさり過ぎるほどに見切った上での行動だ。

「質問@――貴方は何歳ですか?」
「歳ィ?数えとらんからよう覚えとらんのォ!25か26やったかなァ?それがどないした?」

――ビュ!――

指の間に挟んでいた苦無が飛び交う。

「キャーー♪」

しかしキリトが余裕で避けた。

「小金井さんは情報だと14歳でしたよねぇ。フムフムー。あ、ところで其処の型はお幾つですか?」
「さぁ?私にとって年齢など有って無きが如しですからね。ついでにいうと私は普通じゃないので、ちょっと体をイジれば肉体年齢くらい変えられますよ」
「へえ、そうなんですか?」

キリトは蜘蛛と糸に靴底をつけ、逆さ吊り状態で質問したが、返答を聞くと

「私と同じですね」

そして、彼女の傍らに空間の裂け目が発生した。

その裂け目から出てくるのは、一度は吹雪の使った双刀之犬で頭を潰され、竜王のセルメダルで修復された存在。

『キァァァアアアア!!』

死愚魔(シグマ)

「なるへそ!複数相手でもかまわんのはこれかい!!」
「となると、ヤミーが一体くらい居そうな気がしますが?」
「取って置きでお楽しみ一体は直ぐ出てきます。仮面ライダーや鑢さんとかが此処に来てたら十体でも二十体でも投入してましたけど、貴方達ならパワーアップした死愚魔とあの子だけで十分です♪」

思い切り余裕を見せるキリト。
それと同時に、

――バギャアァァァン!!――

何処からか妙な音を立てながら何かが姿を現した。

『ふー・・・漸く出番か』

流暢な日本語でそれは喋った。
全身が黒光りする生体装甲で覆われ、頭部には2本の触覚、口には鋭い顎がある。

クロアリヤミーだ。

「これで三対三。フェアプレイというわけですか。あのジョーカーさん、あの化物は貴方にお願いしていいですか?私はヤミーを相手にしますので」
「ん〜〜・・・・・・まあ美人のお願いやし、一度くらいならその指図受けたるわ」

ジョーカーの返答にバットはペコリと頭を下げた。

「じゃあ俺は!」

小金井の相手を消去法で決定した。

「攻撃目標キリトちゃん!!」

一目散にキリトへ向っていく。

「質問A」

――ガシャッ!――

キリトは警棒を取り出す。

「私は何歳だと思いますか?」

笑顔の状態でそんなありきたりな質問をし、ガギンという金属音を立てながら鋼金暗器を受け止める。

「えっとね・・・柳ちゃんよりちょっと下に見えるからな。14でタメ!」

結果は、

「ハズレよ。ボ・ク♪」

さっきとは比べようも無く大人っぽくなったキリトによって不正解とされた。

「罰ゲームね」

――ゴッ!――

「がッ・・・!!」

警棒による突きを腹に喰らい、強制的に距離をとらされた小金井。

「お前・・・何者だ・・・?」

その言葉は当然であろう。
自分と同年代と思われた少女が行き成り二十代前半の成人女性へと変貌したのだから。

「この問題にはね、答えは無いの。ゴメンね♪」

先ほどとは打って変わり、成人したキリトの顔にあったのは笑顔ではなく、大人特有の静かで余裕ある表情だった。

そして、三人はこの後に知る。
人間が如何に歪み易い心を持つか、如何にシブトイ存在かを。

次回、仮面ライダーブライ

さいならと光界玉と雷覇


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