「アイビー、とりあえず君が知ってる事を話してくれないか?俺自身は全く知らないから」
自分の話だって言うのに本人が知らないなんて。
母さんも兄さんも今まで黙っていたのはなぜだろう。
それほど・・・俺がとんでもない血筋なのかもしれないな。

「・・・まず、リョウのお兄さん レイ・アベリア議員との関係からいきます」

・・・最近、連絡とってないけどついに議員か。
レイ兄さんは地球統合軍から太陽系連合軍の会議に参加する議員をやっている。
ニュースに興味ない俺は今知ったんだが・・・それだけ大物になったというわけだ。
統合軍と連合軍の間をつなぐ重要なポジション。多忙でもう3年も帰ってこなかった。

「レイ議員はただの人です、父親が普通ですから。しかしあなたの場合は精子バンクから買った精子に重大な秘密があったのです」

精子バンク・・・か、少し安心した。父親は俺が生まれる前に亡くなったらしい。
いまさらレイ兄さんとは全く関係のない第2の父親は登場したらそれこそ困る。

「その精子は全く普通の人物のものとされていたのですが・・・実際は違います。精子はとある歴史上の人物の精子でした」

歴史上って・・・戦国時代とかじゃないだろうな?
いや、その頃に精子を長期間保存する技術なんかない。
と、なるとその技術が創られた21世紀あたりの人物か。

「その人物は・・・マサキ」

・・・・はい?
一瞬、自分の名前を呼ばれた気がした。
真崎。
読み方はシンサキとかよく間違えられるが本当はマサキだったりする。

「彼は21世紀初頭にある組織にいた能力を持った特殊な人間です。
彼は後に日本に建てられた未来学園の設立メンバーであり、能力者がどうして生まれたか?をレポートにして発表した研究者でもあります。
67歳で亡くなられましたが、死ぬ直前に地球環境回復プログラムと宇宙への進出という今の地球が現存できる道の雛形を作った人物でもあります」

・・・絶句。
そんな人物が俺の親父?
嬉しくもないがどうすればいいか困る。俺にそんな行動は到底不可能だし。

「彼の子孫は彼の意思を受け継ぎ、21世紀半ばに地球から月への移民を開始しました。
それと同時に地球環境の改善として全人類を100年間の間、地球から一掃しました。
このプログラムのおかげで現在の地球が存在するといわれています」

地球の恩人ってわけか、すごいな〜今じゃそんな事する奴はいないな。
メリットどころかデメリットだらけだもんな。

「しかし・・・それから300年後、彼らの子孫は全員暗殺されました。現在の地球統合軍によって。
これにより地球から能力者と呼ばれる人種は絶滅しました。きっと人類が一度は認めた能力者を認めなくなったんでしょう。
あれだけのことをやったんです、きっと統合軍は危険を感じたのでしょう。
これが・・・あなたの父親であるマサキのわかるかぎりのデータです。
本来なら苗字や外見なども教えなければならないのでしょうけど彼の場合、データ自体が消失してしまっていますので。
きっと統合軍の仕業でしょうね・・・彼の子孫が生き残っていれば統合軍はもう少し良い組織になったでしょう」

アイビーはふうっと息を整えてお茶を飲んだ。
俺は一気にいろんなサプライズがあったもんだから放心状態。

「・・・で?それがアイオーンの操縦者とどんな関係があるんだ?まさかマサキの血筋がないと認められないとか?」

冗談で言ってみた。

「・・・驚きました、少し違いますがだいたい当たってます」

アイビーの感心したような顔でさらに俺の精神状態は不安定になった。

「マサキの血・・・とは限定しませんが生物として優れている、特に精神面での強者がアイオーンに乗れる資格とされています」

・・・驚きの連続で崩壊間近な俺の精神状態が優れているっていうならアイオーンは誰でも乗れるんじゃないか?

「それにあなたは特殊なんです。その・・・彼女に選ばれた人だから」

彼女?
あぁ、俺のあやふやな思い出の中にいる彼女か。

「彼女はあなたにとある膨大なロストテクノロジーを記憶の中に置いたんです。そう、あの夏休み。あなたは彼女と1ヶ月過ごしたあの夏の日。全てはあなたが アイオーンに乗るために必要だったことなんです」

「ちょっと待て。ならどうして俺はその記憶がない?思い出せないのなら意味がないじゃないか?」
「重要なのはあなたがその知識を使いこなすことじゃなくてあなたがそれを守り続けることなんです。
その知識がなんなのかは話せませんが必ず後で必要になることなんです・・・すいません、これ以上は言えないんです」

・・・コーヒーを飲みながら頭の中で今までのことを整理する。

俺がアイオーンに乗れたのは精子の持ち主であるマサキとかいう歴史上の人物のおかげ。
俺の苗字だけに真崎がついてるのは母さんは仕来りとかなんとか言っていたがそれはきっと精子バンクから買い取るときの条件だったのだろう。
さらにあの夏休みの1ヶ月。俺は彼女と過ごしていた。そこで彼女に教えられた知識を今でも俺は頭の中にもっている。
・・・運命とは名ばかりの計画的なお膳立てだな。

「彼女は言ってます。あなたが選ばれたのは私の気まぐれ。ごめんなさい・・・と」

・・・気まぐれでこんなことになるなんてな。
気まぐれとは恐ろしい感情だったのか、覚えておこう。

「ありがとう、アイビー。悩むよりは全然気持ち的に良くなったよ」

微笑むアイビーを見ながらコーヒーを一気飲みする。苦味が口の中に拡散して鬱な気持ちも吹っ飛んだ。
とりあえず…彼女に会うしか真実を知る方法がないってことか。


いきなりのアラーム。

『各員に告ぐ、進路方向で戦闘を確認。各自、それぞれの配置についてくださーい!』
・・・アラームの後に緊張感のないアナウンスはバランスが悪すぎるぞ。

「リョウ、ブリッジに行きましょう」
アイビーの後を付いて行き、ブリッジへと向かう。
反対方向へ向かうモノの姿があった。
「モノ、ブリッジに行かないのか?」
「アイオーンの内臓武器の復元が終わったってアキトさんから連絡があってさ、俺は先に格納庫に行ってるからな!」
嬉しそうに、楽しそうに通路を走って去るモノを見送り、俺はブリッジへと向かった。

「距離3000の位置で戦闘確認。どうやら太陽系連合軍の戦艦がテロリストに襲撃されているようですね」
「・・・俺達が介入すると面倒なことになりそうだな・・・連合軍の救援が来るまでどれくらいかかる?」
「それが・・・あの戦艦、救難信号も近くの連合軍に救援を求める通信すらしてないようなんです」
「・・・なるほど、正規軍には知られたくない兵器か、人物か・・・」

ブリッジに入るやいなや、アイビーは席について特殊なキーボードを高速で操作し始めた。
俺にはただ、球体を握って指をカタカタしてるだけにしか見えないんだが・・・。

「・・・兄さん、あの戦艦の救助しましょう」
アイビー、いきなりの発言にブリッジ要員が一斉に振り返った。
「なぜだ、アイビー?俺達に関係のある人物でも乗っているのか?」
うなずく彼女はモニターを見ながら答えた。

「地球統合軍本隊所属・太陽系連合軍議会議員レイ・アベリア氏が極秘で乗艦しています。リョウのお兄さんです」
「なっ・・・!レイ兄さんがっ!?」

モニターに映し出されるレイ兄さんの写真。監視カメラの映像にも確かに兄さんが映っている。
「・・・レイが乗っているとはな・・・まずいな、彼はアザミの協力者でもある。リョウ、頼めるか?」
「兄さんのことは後できっちり説明してもらいます。それにもし反対されても出撃してましたよ、家族ですから」
ブリッジを駆け足で出る。少し遅れてアイビーもついてきた。

「リョウ、気をしっかり持ってください。私達がいけば必ず救い出せます」
「・・・ありがとな、ちょっと楽になった」
まだ会って3日も経っていないが、俺達は良いパートナーに成りつつある。
後ろには彼女がいてくれる。これほど心強いものはない。



格納庫にはすでに装甲板を装着したアイオーンが立っていた。
どうやらモノの言っていた内臓武器の復元はもうすんだようだ。
「リョウ、コクピットに乗ってウェポンセレクターを起動してみてくれ」
ワイヤーでコクピットまで上がり、システムを起動させる。
『リョウ、内臓武器のエネルギーコネクター併用拡散ビーム砲[デュラン]が使用可能になった』
ご丁寧にアイオーンが教えてくれた拡散ビーム砲の名前・・・デュランって言うのか。

・・・。

・・・・?

「・・・アイオーン、お前どうして内臓武器の名称を知ってるんだ?」
俺がPをプログラムした際に一応、できる限り武器データは入れたが、アイオーンの内臓武器なんて入力した覚えはない。
というか、データベースにすらない武器名称をどうやって知ったんだ?
『確かにベースはPだが、忘れないでほしい。私はアイオーンのAIだ、自分の搭載されている兵器の名称ぐらいは記憶している』
・・・あ、なるほど。なら最初から聞けばあんなに分解に苦労することなかったじゃないか。
今度からそうしよう。

「リョウ、テロリストの戦艦は旧型ですが違法改造によってDollを50機以上を同時展開していると思われます」
モニターに表示される映像には敵戦艦が月ドックを出た時の画像解析結果が表示された。
カタパルトは4つ、しかし戦艦全体には小型の射出口がいくつもある。
サイズはちょうど、Dollが通るのに丁度いいサイズだ。この前の戦艦とは比べ物にならないな。
「さらに・・・月ドックの搬入履歴を調べたところ、連合軍製ペルソナ:ポーンが6機、企業から横流しされた可能性があります」
連合軍製ペルソナ・・・ポーンか。高性能とはいえないがコストパフォーマンスがいい最も普及しているペルソナ。
「・・・アイビー、整備班にアキトさんの試作品を用意するように言ってくれ・・・兄さんには悪いが実践データを取るいい機会だ」
「わかりました・・・リョウ、大丈夫ですか?」
「・・・いや、さっきの俺ならすぐにでも飛び出そうとしたけどさ。思い出したんだよ、兄さんなら大丈夫だって」
「?」
アイビーはあまりよくわかってないらしいが、俺は嫌なくらいこの冷静さに納得してる。

・・・なぜかって?

レイ・アベリア。別名「クイックストライカー・レイ」
俺が行かなくても勝手にペルソナに乗って脱出しそうなくらい兄さんは強かったのを思い出した。
さて・・・腰にはレーザーブレイドとアキト氏作製のグラビティバスターカノン(仮)を装備。
ついでにアンカーショットと同時に修理した膝のビームショット、これで十分テロリストは殲滅できる。
兄さん、願ってもきっと生き延びるんだろうな。

またの名を・・・「リサイクル・レイ」さん?






[同時刻:連合軍戦艦サテライトナイト]

「へーーーーくしゅん!!!」
静かな、しかも緊張感に満ちたVIPルームに響き渡る緊張感ゼロのくしゃみ。

「・・・・グスッ、風邪かなぁ?」高そうなコートを着込む長身のすらっとした身体つきが印象的な男。
ただ、髪型が長髪でブロンズ、後ろでくくっているのがなんともアンバランス。
さらにいうならば右耳に常時ついているヘッドセットからは大音量のクラシック。
何かを勘違いした人のような風貌に似合わない左手のスーツケース。

!!!???

さらにゆれる戦艦。VIPルームにいる全員がその場に座り込むほどの衝撃。

「おいおい・・・ちゃんとやってるんだろうな、Dollの扱いがなってないんじゃないのかぁ!?」
叫ぶブロンズ長髪の男。
「レイ、解析終わりした。いつでも脱出できます、一気に格納庫のアレの元へ・・・」
眼鏡をかけた赤髪の、これまたスーツ姿でノートPCをVIPルームのドアに配線で繋いでいる。
「悲しいかなハインド、囚われの身でさらにこれって俺はやっぱ邪魔者なのか?」
「仕方ありませんよ、レイ。ただでさえ監禁されているようなものですし」
ヒソヒソ話でヘッドセットの携帯電話による通信機越しの会話。
隠された監視カメラはすでに取り外したが、盗聴されている可能性もあるがゆえの行動だろう。
「・・・今なら行けます!」
ドアが開いた瞬間、一気に走り出す2人。しかし、ハインドの指示した通路とは逆の方向に行こうとするレイ。
「レイ!?どこへ行くんですか、格納庫はこっちですよ?」
「悪い、ちょっと寄り道だ!久しぶりに会いたくなってな!」
「まさか・・・レイ!それは危険すぎます!彼はどうやっても助けられません、終身刑ですよ?」
「いざというときはアザミに就職させてやるさ!その方があいつの性分にも会ってるしなっ!!」
レイ達が走る方向には[牢屋]と書かれている。


「・・・俺を殺しに来たか、または・・・レイ達を始末しにきたか」
牢屋で両手を鎖で拘束された男はつぶやいた。見張りは緊急事態でいないがとても壊せるような鉄格子ではなかった。
男の髪は真っ黒。金色の瞳は吸い込まれそうになるくらいの圧力。
男は今起きているすべての事を理解し、それがどうなるかも手に取るようにわかっていた。
だから慌てようとせずに、彼は静かにベットに腰を下ろしていた。

!!!???

激しい船体の揺れにも動じずに静かにたたずむ男の前に、彼はやってきた。

「暁・テイジーさんですか?お届け物だ」
笑いながらその男は鉄格子の昇降スイッチをスーツケースで殴りつける。
鉄格子のなくなった牢屋にずかずかと入り込み、男は彼の鎖を懐から出したチェーンブレイドで削り切っていく。
「レイ、俺はいいからお前は逃げろ。お前がいなくなれば統合軍は完璧に連合軍の支配下になってしまうぞ?」
「そんなもん、俺がいても既に手遅れさ。テロリストは統合軍の差し金なんだからな」
「・・・気づいていたのか?」
「付き人が3人乗船しなかった。ついてきたのはハインドだけだったからな、嫌でも感づくわ」
切れた鎖がジャラジャラと床に落ちる。暁は見張りの机の上のマシンガンを手に取った。
「どうやら俺達3人は戦場がお似合いらしいな」
「全く・・・暁、悪いが統合軍にあなたの居場所はありません。もし今後、戦っていくならアザミに所属してもらうことになりますけど・・・よろしいです か?」
暁はサイクスの横をすり抜け、自動ドアの前に立った。
「友の為に戦えるのならば何処でもかまわない。俺は戦場が一番似合ってるらしい」
3人は通路を走り、格納庫へと向かった。

「それにしても暁、お前何したんだよ?書類には敵前逃亡って書いてあったけど」
「・・・誤解だ。俺は味方戦艦を守るために配置を一時的に離れただけだ」
「きっと、連合軍側も好機だと思ったのでしょう。私達を始末するのにね」
「相変わらずだな、どっちの軍も。弟に軍には入るなって念を押しておいて正解だったぜ」
そうこうしてる内に格納庫へ突入した3人を待っていたのは混乱しながらも必死に交戦する兵士の姿だった。
すでに内部に侵入したテロリストによって格納庫の3分の1は占拠されていた。
レイ達はコンテナの陰に隠れながら第4格納庫へと向かう。

まだ被害のない第4格納庫に人気はなかった。警備兵も交戦に駆り出されているらしい。
「レイは304、私は572、暁は329のコンテナに。ペルソナが入っているはずです」
手馴れた手つきでコンテナにパスコードを打ち込む3人。

「ナイトか、随分といい機体だな」
「前に俺達が乗っていたフレイムと比べるなよ?これでも偽装してなんとか持ち込んだんだ」
「エネルギーパックはスタンダードの3倍積んであります。これなら近くのアザミの基地まで補給無しで行けます」
コンテナの中には連合軍製ペルソナ:ナイトが積んであった。
ポーンが一般兵が乗るペルソナであればナイトは指揮官機の位置づけで性能も良好だ。

「どうする?出るだけなら格納庫の扉を破壊してそのまま突っ込めばいいんだが・・・」
「こいつらは何も知らない、無駄に殺す必要はない・・・警告してくれハインド」
「ふ・・・了解、第4格納庫前の兵士!15秒後に扉を破壊する、今すぐ退避せよっ!!」




[ゼクロス]

「システムまとめてオールOK!!アイオーン、出撃してくださいっ!!!」
・・・たぶんアザミのオペレーターの中でも彼女ほどフランクなのはいないだろう。
「リョウ、アイオーン出撃する!!!」
「アイビー、アイオーン出ます」
・・・俺のせいか?俺の影響なのかっ!?アイビーまでコールするとは。

アイオーンの脚部の足首関節は長距離航行時に人間で言うとつま先を立たせるような状態になる。
膝からつま先まで一直線のラインとなり、足での格闘は不可になる。
「リョウ、2分後にテロリストのDollと接触します。長距離航行モード解除のタイミングはおまかせします」
レーダーの中心にどんどん近づく赤い点々・・・タイミングって言われてもな・・・。



・・・・。


・・・・。


・・・・!!


肉眼で見えた瞬間・・・!!


今だ!!


センターのタッチパネルを操作して脚部を通常に戻し、ついでに威嚇射撃としてビームショットを適当に打ち込む。
「だんだん慣れてきましたね」
「まだ2回目だけど嫌でも慣れないとだめだろ?」
近づいてすばやくレーザーブレイドを右手に装備、Bee4機のエネルギーチューブを切る。
動きはない。どうやら操作もチューブをかいしているらしい。これなら楽勝だな。

『なっ・・・!?Bee4機が操作不能、レーダーに未確認のペルソナが!』
『焦ることはねぇ!!こっちにはまだ40機以上あるんだ、そっちにまわせ!』
と、相変わらずアイビーは敵の通信を傍受してくれてます。
敵の動きがわかりやすいからいんだけど・・・ちょっとかわいそうな気もする。
Beeの単調な動きを見切ってエネルギーチューブを切り捨ててると聞こえる通信。
ちょっと嫌な通信が耳に入ってきた。

『・・・何!?ターゲットがペルソナで!?』
『え、えぇ!確かにあの動きはクイックストライカーです!』
『他にも2機、あれはたぶん・・・レッドテイルとゴールドオーガです!肩にペイントがありました!』
『あの3人が!?よりによってターゲットがペルソナに乗るなんて聞いてないぞ!?』

・・・・あ〜なるほど、これはまじで俺達いらなかったかも。
テロリストのBeeを見事に3機のフォーメーションで潰してるのを肉眼で確認。

『レイ、あんまり暴れるな!それじゃあエネルギーが持たないぞ?』
『なんだよハインド、いざとなりゃコクピットだけひっぱってくれよ』
『・・・レイ、とんでもないのが来たぞ。ただのペルソナじゃない・・・!!』

たぶんとんでもないっていうのは俺のことだな。
「アイビー、あの3機・・・」
「はい、レイ議員ですね確実に。通信、つなぎますね」
アイビーにヘッドセットを手渡される。
「こちらゼクロス所属のファミリア、そこの3機聞こえるか?レイ兄さん?」
『・・・んぁ?ゼクロスってカオスの新しい家か?』
『そうです、そういえばファミリアを発掘したと報告ありましたね・・・兄さん?』
『レイ、お前・・・兄さんってところになんかないのか?』
『・・・え?』


かなりの間の後・・・・『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???』


おーおー、驚いてる。いつも冷静なのか鈍感なのかわからんがこればかりは想定外らしい。
っと、テロリストのペルソナが戦艦から出てきやがった。

「兄さん、今はボーン6機を片付けましょう。話はそれからです」

無駄にジャンクパーツになりさがる運命のポーン1機目をアンカーショットで引き寄せる。
『なっ・・・そんなんありかよ!?』
ありなんだよな・・・アイオーンの場合は。
攻撃する前に敵のパイロットが脱出、ポーンからアンカーショットをはずす。
『へぇ・・・レイの弟はクールだね、見習ってほしいもんだ』
レッドテイルの異名をとる人は敵のポーンの周りを旋回し、確実に関節にマシンガンの銃弾を叩き込む。
最後は左腕に装備された盾のクローで敵の頭を引っこ抜いてゲーム終了。
見事としか言いようがない戦いだ。
『うるせぇぞハインド!!リョウ、あんまり無理すんなよ!?』
兄さんはまさに一撃必殺。ポーンのマシンガンの乱射をクイックストライカーの名のとおりにかわしながら接近。
盾のクローで腕ごとマシンガンを破壊、さらに右手で頭を潰す。
本来、ああいう風に使うものじゃないよーな気がします、手は。
「・・・兄さん、なんかあったんですか?いつもとちょっと違うような」
『ふっ・・・気にするな、弟。後ろから来てるぞ?』
後ろから来たポーンを回し蹴りでヘッドを潰す。
良かった・・・格闘モーションインストールしておいて・・・。
『最後は俺か・・・』
敵のポーンの格闘をスルーして、背後に回りこみクローで両腕を破壊。
さらに頭を背中のバズーカで吹き飛ばす。

・・・この人たちは徹底してパイロットを殺さずに勝利するスタイルだな。
見とれてる場合じゃないな。今は戦闘に集中しないと・・・残りのポーンは任せてテロリストの戦艦を壊しておくか。

「リョウ、エンジンはここです。しっかりねらってください」
「了解・・・!」

アキトさん作製のグラビティバスターキャノン(仮)をエネルギーコネクターに接続する。
彼女が指定した場所にロックオンして・・・静かにトリガーを引いた。

・・・・?

何も出ない。

「リョウ、トリガーを放してください」
「え?あぁ・・・!?」トリガーを放した瞬間、バスターキャノンから黒い線が放たれた。

・・・次の瞬間、戦艦のエンジンどころかほとんどの船体が吹き飛んだ。

『うぉ!?』
『・・・』
『弟君、派手にやるね〜兄さんの片鱗かな?』
「ちょ、なんでこんなに威力あるんだよ!?説明じゃぁ・・・・」
『ちなみにトリガーを押し続けるとチャージ、押す時間が長いほど威力が増すってのは教えてなかったな〜悪い悪い』
・・・通信機の向こうでアキトさんの笑い声がこだまする中、俺達はゼクロスへと帰還した。


さて、こんなのは序の口ですよ?
これからが一番話がややこしくなるんだからさ・・・。



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