アマテラス・・・それは、その名の通り日本神話に登場する日の神と呼ばれる女神のことである。

そして、この天照隊というのも日の神つまりは、太陽の神であるアマテラスをもじった女性のみで形成された部隊。そして、彼女らは、宇宙から来る木星蜥蜴の 脅威を食い止める少数精鋭部隊でありミスマル・コウイチロウの管轄部隊であった。

「天照隊か。少数精鋭の地球軍の中でも選りすぐりの極東部隊・・・極東のことは極東で止めろということか・・・仕方ない相手をしてやる。」

ライフルを引っ込め両腕にワイヤークローを装着した。

「どうしてジュン君がいるの!?」

「えっ・・・ユリカ?」

(((もしかして気づいてなかったのか?)))

ブリッジ全員が艦長席の方に目線をやり様子を伺っている。

「もしかして・・・ユリカ気づいてないの?」

「えっ何が?」

(((やっぱりか〜〜〜。)))

「はぁ・・・バカ?」


機動戦艦ナデシコ〜MACHINERY/DARKNESS
第8話『素敵過ぎる再開』


黒い宇宙に映えるピンク色のエステが巨大な真っ赤な腕に鋼色をしたペンチの様な爪を持ち宇宙を駆けていた。

「俺だけ発進が遅れちゃったよ。ガイの奴は、病み上がりだって言うのに大丈夫か?」

まだ慣れていないのかエステの動きは、どこか素人臭かった。ゆっくりと移動していると閃光を発する何かが近づいてきた。

「な、なんだ・・・なにか近づいて・・・。」

ビュンッ

「うわ!」

ビュビュンッ!

「わわっ!!」

一体の青紫の機体が4体の機体と互角以上に渡り合っていた。

「ナナシさん!?」

モニターをその戦闘に合わせる。ライフルの銃弾を掻い潜り迫る拳を薙ぎ払い彼女らのエステを手玉に取っていた。

「す、すごい。」

自分の力とは比べものにならない戦い方と操縦方法。ナナシの持つ術と腕は、一般のエステライダーのそれを超えていると素人の彼の目から見ても明らかだっ た。

そして、目を止める。カイトは、自分でも何を考えているのか分からない。だが、それでも彼の戦いは、見なくてはいけないと脳が訴えているように感じてい た。

「おい、半端者!貴様ここで何をしている!!」

「へっ。」

戦いを覗いていたカイトを叱る様にナナシがモニターから顔を出した。

「でも、ナナシさん余裕だし・・・俺が手伝う事なんて・・・。」

怯えるような顔をしながらナナシの顔を見るとナナシの顔に一瞬だけ怒りの表情が見えた。

「えっ。」

「お前は、忘れたのか?ヤマダが居る・・・アイツの方を手伝え・・・貴様なんぞに俺の戦場(いくさば)を掻き回されてはたまらん。」

ライフルの閃光がエステを襲うとフィールドが弾き返す。そして、茶色のエステが小太刀の様な形状の武器を構え迫った。

「行け。邪魔して足を引っ張るならいない方がマシだ。」

「そんな・・・。」

「いいから行け!これ以上俺を失望させるな!!」

アシビの瞳が輝きアシビを走らせクローを構え茶色のエステに接近戦を挑んでいった。


ガシンッ!ガシンッ!!

「くそぉぉぉ!離せ!離せぇぇぇ!!」

一つ目のエステが束縛を解かれようと必死に手足を動かし束縛から逃れようと必死にあしがいていた。

「ユリカ・・・ナデシコを戻すんだ。」

「ごめん。ジュン君・・・・私は・・・。」

「そんなにアイツが・・・。(ユリカ、僕は・・・。)」

それだけを呟くとジュンが一つ目のエステの方を見る。その瞳には、憎悪の念と嫉妬の念が通っていた。

「わかった・・・ナデシコは、敵だ!だから・・・。」

黒い面を持った瞳が機体を見つめる。

「あの機体を破壊する!!」

怒りの言霊を発しライフルを構えエステを狙う。

「やめろーーー!!!!」

声が響き渡る。それと同時にガイのエステを捕まえていた機体の脚部を何かがグシャッと潰しバランスを崩した機体が1体落ちていった。

「「「なに!!」」」

驚いた声で攻撃の来た方をルリは、モニターに映し出しジュンも同様にメインモニターで確認した。

そこには、デルフィニウムの脚部を貫いた。機体を確認した。

「ぬぉぉぉぉ!!なんてヒーローのような登場だ!ええい、俺も活躍するんだいいかげん離せ!」

纏わりついていた機体の束縛を力任せに解いた。

「なんですかアレ?」

「ははは、本当にヒーローみたい登場の仕方ですね。」

「うーん、狙ったような登場だもんね。」

「近頃の若いもんは、分からんの。」

「うむっ。」

歓喜(?)するナデシコブリッジ。対照的にジュンは、怒りの表情が眼に見えて分かった。

「大丈夫かガイ?」

「ああ、にしても・・・その武器なんだ?」

「これ?もってけってウリバタケさんが・・・。」

「くぅ〜〜博士!!どうして、俺に武器を寄越さなかったんだ。」

和やかムードで会話をしている。それを見ながらジュンは、呟いていた。

「お前か・・テンカワ・・・。いいだろう一騎打ちで決着を付けてやる!!」

「へっ?」

いきなるジュンの機体がカイトのエステにタックルを決めその場から離れていった。


その頃アキトは、天照隊との激戦を繰り広げながらナデシコの範囲から出ないようにギリギリでナデシコから彼女らを離していった。

「さすがに4対1・・・こっちに分が悪いか・・・。」

もう、ライフルの弾がない。それを考えながらアキトは、距離を開ける。天照隊は、一度集団になりアシビとの差を開ける。

「何者だ?アレは?」

「分かりません・・・ただ、軍にもあそこまでの腕を持った人がいるかどうか・・・。」

「ムカツクーー!あそこまで腕のいい奴が軍に入ってないのよ!ムシャクシャする!!」

黄緑色のエステがブンブンと腕を振り回しながらムカムカしていた。そして、相手のエステを不思議な顔をした茶色のエステのパイロット。そして、リーダー格 の山吹色のエステがいた。

「どうしたんですか副長?お静かになられて・・・。」

「そうだな。どうした?」

「どこか負傷したんですかぁ?」

3者が心配したような薄紫の機体に近づいていった。

「大丈夫です・・・分隊長。」

「ん?」

「私にあの機体の相手をさせてください。私なら・・・。」

「なにをするつもりだ!おいっ。」

薄紫色のエステが集団から離れアシビにナイフを構え迫っていった。それに対峙しながらアキトは、機体の装備を確認していた。

「この機体の武器・・・試させてもらうとするか。」

胸部バルカンが迫る機体のフィールドを叩いた。だが、エステの先攻は止まらず距離を詰められた。

「今がチャンスですよ!」

「待て!迂闊すぎるぞ。」

「攻めに転じなければ負けます。私はいきます。」

その接近を見計らったように2機のエステが近づいてきた。しかし、隊長機だけは、動かずに盤面を見つめていた。

(今までは私たちを近づけようとしなかった。だというのに今は、容易に相手を近づけさせた・・・接近戦なら勝つ自信があるという余裕・・・いや、違う。そ れならば我々を近づけさせて破壊したはずだ。何かが違う、何かが・・・。)

彼女が考えている間に他のメンバーは、アシビに近づいていた。それに気づきアキトの口元は、不敵な笑みを生み出しクローが薄紫色の機体を捉え掴み取った。

「しまっ!」

「贈り物だ。しっかり受け取れ。」

「えっ?」

腕が伸びる。近づいてくるエステ2機のうち黄緑色の1機にクローを放したが吹き飛ばされる薄紫色エステを叩きつけられた。

「な、副隊長!スズネ!」

余所見をするうちにアシビが近づいていた。彼女も相手に気づきライフルを構えた。

バルカン程度なら今現在のフィールドで耐え凌げるだろう計算だったのだが、それが軽率だった。

打たれた攻撃は、胸部から放たれるバルカンではなく肩部から撃ち出される刃が打ち出された。

「なに!」

フィールドを突き抜けライフルに手裏剣のような刃が刺さり。次に肩、足と3つの刃がエステの装甲を刺しライフル、肩、足も全てが爆発した。

「まず・・・1!!」

茶色のエステが動けなくなったのを確認すると次に向かって行く。

「このぉ、よくも!!」

「行きます!」

「まて、編成を・・・ちっ、アヤネ無事か!?」

茶色の機体に通信すると彼女が苦痛な表情でいた。

「はい、無事です。ですが、回収をお願いしたいですね・・・ですが私に気にせず彼女たちをお願いします。」

「ああ、分かった。」

隊長機がアシビの方に向かって行った。

「このっ!」

黄緑色の機体がライフル弾を連射してくる。その銃弾の連打を潜り抜けながら手裏剣を発射する。

「見えています!」

「そうそう、こんな物で私たちは倒せないんだよね。」

薄紫のエステが先攻する。その後ろに居る機体がライフルを構えようとした瞬間に身体の1部分が避けられ浮遊した手裏剣の刃先に触れた。

途端に・・・。

爆発!!

それが連鎖して薄緑色のエステは、濃くピットを揺らされた。

「うわわっ!なに、なに、なにーーー!!」

その連鎖していく爆発の威力をフィールドが吸収してくれるといって衝撃をくらい彼女の機体は、動けなくなった。

「スズネ!」

「余所見をしていていいのか?」

クローが迫る。それを避けるようにナイフでアシビの爪を弾いた。

「なかなかの反応速度だ。感情に身を任せる新兵かと思ったが違うようだな。」

「ズルイ・・・。」

「ん、ズルイ?なにがだ?戦いにおいて卑怯という手段は当たり前だと思うのだが?」

「違います!それだけの機体と腕と頭があるのに地球の為に戦ってくれないんですか!?先生・・・いえ、ナナシさん!!」

「先生・・・お前は、カザマ・イツキか?」


そのころナデシコのいる宙域では、ジュンとカイトが一騎打ちをしていた。

「テンカワーーーー!!」

「なんだよ?コイツ!?な、なんか・・・コイツだけは違う!!」

エステの本来の動きをさせないようにとジュンの機体は、至近距離で攻撃を続けながら攻撃していく。

「僕は、僕は、お前を許さない!許せない!!僕の、僕の・・・うわぁぁぁぁ!!!」

攻撃がエステの装甲を歪ませた。だが、その衝撃でエステと距離が離れた。それがカイトにとって勝機だった。

「この距離は・・・銃は、ないし。」

一瞬カーソルを見る。『ディストーション・クラッシャー』のワイヤークロー攻撃これなら相手を貫くことができる。

「僕は、ユリカをユリカを守るんだ!だから、地球を敵に回すことは、したくない!できないんだ!!」

機体が迫り来る。それに合わせカイトが腕を振りかぶった。

「やるしかない!!」

手首が回転する。回転に回転を加え鋭い回転を生み出す。

そして、カイトのエステは、腕は、突き出す。そして、回転した腕が放たれ大蛇の様な姿を思い浮かび上がらせた。そして、回転した腕がカイトに迫るジュンの 機体に襲い掛かる。

(確かこういう時は、必殺技を呼ぶのが良いんだよな・・・ガイが言ってたし。)
一瞬だけ考えた。だが、瞬く間に思いついた。

「ゲキガーーーーン・スピーーン!!」

「こんなもの!!」

デルフィニウムが腕を避けようと微かに移動修正した。だが、それでも触れただけで機体のボディーが簡単に砕けた。

「んな・・・っと!!」

勢いを止めない腕がワイヤーを無理やりやり引っ張り擦り切れそうになる。

「こ、このっ!!」

戻そうとするが腕は、ワイヤーを引きちぎり飛んでいってしまった。

「ってうわ!!」

腕が解かれたときカイトのエステが吹っ飛んだ。

「カイト!?」

ユリカが叫んだ瞬間にエステがナデシコの装甲にぶち当たった。

「か、カイト平気?」

「らいじょうぶ・・・。はっアイツは!?」

「無事だぜ!!」

一つ目のエステがジュンの機体を抱きかかえながらナデシコに近づいてきた。

「ジュン君・・・。」

「ユリカ・・・ごめん僕・・・。」

「気にしないで。それよりジュン君にはナデシコに戻ってきてほしいの。」

「えっ、でも・・・。」

「気にするな!昨日の敵は今日の友だ!」

「ああ、俺も気にしてないし。戻って来いよ、ナデシコに。」

「テンカワ・・・。」

そのままジュンを抱えたエステは、ナデシコの中に戻っていった。


「なぜ君が?君は地球の部隊に居たんじゃないのか?」

「はい、でも私は、天照隊に配属されました。先生・・・ナナシさんのお陰で
そこまでの能力を手に入れました。だから、そんな先生に地球の敵に!私たちの敵になってほしくないんです!!」

アシビにイツキの機体が迫った。さっきまでの感情的な攻撃じゃない狙いつけたような的確の攻撃だった。

「さすがだ・・・だが、まだまだ、あまいな。」

爪がナイフを持つ腕を掴んだ。そして、もう片方は拳を固めエステの面を叩いた。同時に捕まえた腕を引きナイフを持つ腕を引っこ抜いた。

「まだまだ!」

「来るか?仕方ない・・・少し大人しくしてもらう。」

エステが動こうとした瞬間爪がエステの装甲をひん剥いた。

「しまっ。」

「弱い・・・ん?」

アシビがイツキ機を機能停止させようとした瞬間に1機のエステが一気に距離を詰め拳を繰り出された。それをアシビは、触れはしたがダメージを受けずに拳を 避けた。

「誰だ・・・?」

「さすがだな。やっと思い出したぞ・・・最強にして冷酷な火星のエステライダー『ファントム・マーズ(火星の亡霊)』。」

「ほぉ、知っているか俺を・・・。」

「一応な。しかし、貴様を相手にして勝てる気はしないが・・・天照隊のメンツもかかっているのでな!」

アシビと隊長機が対峙し戦おうとするとレーダーが熱源を捉えた。

「分隊長!?」

「ミサイルか!?」

「くっ。」

2機ともこの場を離れる。だが、イツキの機体は、ボロボロになり避けられない。覚悟を決めようと目を瞑るが何かが掴みエステが移動していった。

「ナ、ナナシさん!?」

「なにをしている?死ぬ気じゃないなら死を抗え!死ぬ気じゃないなら俺について来い!」

イツキを助けたのは、敵であるアキトの乗るアシビの爪。アキトの近くにイツキが居たからといって助けるのだろうか?

彼女は、敵である。だが、それでもイツキを助けた何故なのか?そんな事をイツキは、考えていた。

「ちっ、動けない奴がまだ居たか。」

片方の腕がさっき、機能停止させた黄緑色のエステを掴んだ。

「ナナシさん!?」

「喋るな・・・今は助かることが先決だ。」

それだけを言うとアシビは、ナデシコの方に移動していった。


ミサイルの攻撃を受けながらナデシコは、この場を動けずに居た。アシビが帰還できずに居たせいで動けずにいた。

「くっ、ナナシは、まだか!?」

「まだです!」

衝撃に振らされながらブリッジでは、苦痛の表情を浮かべていた。

「仕方ない・・・このまま突破を!!「ダメです!」艦長!!」

「誰も欠けちゃダメなんです!だから、私はナナシさんを信じます。」

「しかし・・・「大丈夫です。」今度は誰だ!?」

扉から彼女『ヒヅキ・アカリ』が出てきた。

「アキトは、約束を絶対に守ってくれます。だから、皆さんも信じてください。」

それを言うと衝撃が起きていたブリッジも一瞬だけ静まった。そして、その時。

ピー、ピー

「ナナシ機が接近しています!」

「なにっ!?」

「ナナシさん?」

「すまん、待たせたな。このまま突入する整備員に注意を出しておいてくれ!!」

それだけを言ってアシビが格納庫内に突入していった。

「よぉし!!このままビッグ・バリアを突破しちゃいましょう!!」

「了解!!」

ナデシコは、そのままビッグ・バリアの方へ全速力で突き抜けていった。


「逃してしまいましたね。隊長・・・。」

「ああ、しかし・・・。これはこれでいいのかもしれないな。」

二人は、宇宙を見ながらそんなことを呟いた。


あとがき
はい!イツキの再登場でしたが・・・ジュンとイツキとかの戦いを書いて手薄になった感じになってしまいました。もう少し改善する余地があるんでしょうね (汗




感想

NEOさん頑張っておられる様子! 私も痔なんていってられませんね(爆)

私も大体回復してまいりましたし、少しくらいなら問題ありません。

早めに更新した方がいいですしね。


作品は地球圏脱出直前といった所でしょうか…

ビックバリアはどうなるのか、まあスルーしても問題ないかも?(爆)

天照分隊活躍してますね〜イツキも再登場、頑張ってヒロインポイントを稼いでもらわないとね♪(爆)

イツキさんは地球で力を使って欲し いとアキトさんを止めにかかり、アキトさんはそれを超えても先へと進む。

良いシーンですよね。

ふふふ…いいだろう! 私も同じやり方をしたのだ!

どこかの誰かさんみたいに大気圏や低空衛星軌道に関するバカ設定が無いだけましです。

第三次防衛ラインは地上250kmつまり、熱圏だそうじゃないですか!

なんでバンアレン帯の中にしてしまったんですか!!

そんなの知らなかったんだよ〜(泣) 今から変えるのもおかしいし(汗)

NEOさんも、知識は出来るだけ広範囲に取っておいた方がいいですよ。

ここの駄作家のように、後から気付いて右往左往するのはばかばかしいですから。

ひっ、ひでぇ…

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